JP7217146B2 - 新規エマルション及びこのエマルションを用いた塗料用組成物 - Google Patents
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Description
[1]
芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)及び重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤(B)を少なくとも重合成分とする(メタ)アクリル系ポリマーのエマルション。
[2]
反応性乳化剤(A)が下記式(1)で表される反応性乳化剤を含む[1]に記載のエマルション。
[3]
重合成分が、さらに、脂環族基を有する単量体及び芳香族基を有する単量体から選択される1種以上の単量体を含む[1]又は[2]に記載のエマルション。
[4]
反応性乳化剤(A)の割合が、重合成分全体に対して0.1~10質量%である[1]~[3]のいずれかに記載のエマルション。
[5]
シランカップリング剤(B)の割合が、重合成分全体に対して0.05~10質量%である[1]~[4]のいずれかに記載のエマルション。
[6]
反応性乳化剤(A)以外の乳化剤の割合が、重合成分全体に対して5質量%以下である[1]~[5]のいずれかに記載のエマルション。
[7]
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が-40~80℃である[1]~[6]のいずれかに記載のエマルション。
[8]
芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを少なくとも重合成分とする(メタ)アクリル系ポリマーのエマルション及びウレタン会合型増粘剤を含む塗料用組成物。
[9]
エマルションが[1]~[7]のいずれかに記載のエマルションである[8]に記載の組成物。
[10]
[1]~[7]のいずれかに記載のエマルション又は[8]~[9]のいずれかに記載の組成物を含む塗料。
[11]
[10]に記載の塗料で形成された塗膜。
[12]
[11]に記載の塗膜を有する建築物。
[13]
[11]に記載の塗膜を有する建材。
このようなエマルションでは、増粘剤の配合量を少なくしても十分な粘性が得られうる。そのため、少ない増粘剤でも、効率よく塗膜を形成でき、特に上記のような耐水性に優れた塗膜を形成できる。また、多量の増粘剤を使用しなくてよいため、塗膜形成における、増粘剤を使用することによる悪影響(例えば、保管時における経時での粘度上昇)を低減しうる。
本発明のエマルションは、芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)及び重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤(B)を少なくとも重合成分(又は単量体成分)とする(メタ)アクリル系ポリマー(以下、(メタ)アクリル系ポリマー(a)ということがある)のエマルションである。
本発明では、(メタ)アクリル系ポリマー(a)の重合成分が反応性乳化剤(A)を含む(特に、シランカップリング剤(B)と組み合わせて含む)ことにより、効率よく塗膜の耐水性を向上又は改善しうる。
また、このような特定の反応性乳化剤(A)を用いることで、増粘応答性に優れたエマルションが効率よく得られうる。特に、このような増粘応答性は、シランカップリング剤(B)と組み合わせることで、より一層、向上又は改善しうるようである。
反応性乳化剤(又は反応性界面活性剤)(A)は、通常、反応性基(又は重合性基)を有する。
反応性基としては、重合性不飽和結合基(特に、炭素―炭素二重結合)が好ましい。
また、芳香族基の数は、2以上であればよく、例えば、2~10個、2~8個、2~6個、2~4個などであってもよい。
また、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが好ましい。
重合成分において、反応性乳化剤(A)の割合は、例えば、重合成分全体の20質量%以下、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であってもよい。
重合成分において、反応性乳化剤(A)の割合は、例えば、重合成分全体の20モル%以下、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であってもよい。
シランカップリング剤(B)は、通常、重合性不飽和結合基を有する。
重合性不飽和結合基としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクロイル基などが挙げられる。
重合性不飽和結合基の数は、特に限定されず、1以上であってよい。
シランカップリング剤(B)において、ケイ素(原子)の数は、1以上であればよく、2以上(例えば、オリゴマーないしポリマー型のシランカップリング剤など)であってもよい。
(R2)n1-Si-(R3)4-n1 (3)
(式中、R2は、同一若しくは異なって、重合性不飽和結合基を有する基を示す。R3は、同一若しくは異なって、水素原子、加水分解縮合性基、炭化水素基、エポキシ基(エポキシ基含有基)を示す。n1は、1~3の整数を示す。)
R3において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などのC1-4アルコキシ基などが挙げられる。
加水分解縮合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子など)、アルコキシ基、アシロキシ基、アリールオキシ基(フェノキシ基など)、メルカプト基などが好ましく、アルコキシ基、アシロキシ基がより好ましい。
重合成分において、シランカップリング剤(B)の割合は、例えば、重合成分全体の15質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であってもよい。
重合成分において、シランカップリング剤(B)の割合は、例えば、重合成分全体の15モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは3モル%以下であってもよい。
架橋の態様は、例えば、ポリマー(a)に有するシリル基同士の結合(分子内の架橋)であってもよいし、ポリマー(a)に有するシリル基とポリマー(a)に有するシリル基以外の官能基(例えば、後述する2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位に有する水酸基)との架橋(分子間架橋)であってもよい。
架橋性モノマーにおいて、架橋は、例えば、重合による架橋であってもよいし、化学反応(例えば、イソシアネートとの反応、エポキシとの反応、加水分解シリル化反応、ヒドラジンとの反応、アジリジンとの反応など)による架橋であってもよい。
これらのエポキシ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのカルボニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらのアジリジニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
イソシアナト基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」など)、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」など)、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」など)、5-メタクロイルオキシ-3-オキシペンチルイソシアネート(商品名:昭和電工株式会社製「カレンズMOI-EG(登録商標)」など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
これらのイソシアナト基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系ポリマーの重合成分は、反応性乳化剤(A)及びシランカップリング剤(B)(さらには、架橋性単量体)以外の他の単量体(モノマー)を含んでいてもよい。
代表的な他の単量体としては、脂肪族(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂環族系単量体としては、脂環構造(例えば、C4-20シクロアルキル基、好ましくはC4-10シクロアルキル基)を有する単量体が挙げられる。
具体的な脂環族系単量体としては、例えば、脂環式(メタ)アクリレート[例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのC4-20シクロアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはC4-10シクロアルキル(メタ)アクリレート)、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのC4-10シクロアルキルC1-4アルキル(メタ)アクリレート)、架橋環式(メタ)アクリレート(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなど)]などが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート、さらに好ましくはヒドロキシC2-4アルキル(メタ)アクリレートなど]、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのトリ乃至ヘキサヒドロキシC3-10ポリオールの(メタ)アクリレート]などが挙げられる。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、α-アルキルスチレン(例えば、α-メチルスチレンなどのα-C1-4アルキルスチレン)、アルキルスチレン(例えば、ビニルトルエンなどのC1-4アルキルスチレン)、ハロスチレン(例えば、クロロスチレンなど)など]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、アリール(メタ)アクリレート(例えば、フェニル(メタ)アクリレートなどのC6-10アリール(メタ)アクリレート)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレートなどのC6-10アリールC1-4アルキル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキルメタクリレート(例えば、フェノキシエチルメタクリレートなどのC6-10アリールオキシC1-4アルキルメタクリレート)など]などが挙げられる。
酸基含有単量体(アニオン性基含有単量体)としては、例えば、カルボン酸基含有単量体[例えば、不飽和モノカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸)など]、スルホン酸基含有単量体[例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレンスルホン酸など)など]などが挙げられる。
なお、酸基含有単量体は、アニオン化されていても(又は塩を形成していても)よい。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、フッ素原子含有アクリル系単量体[例えば、フルオロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフルオロC1-10アルキル(メタ)アクリレート、好ましくはフルオロC2-6アルキル(メタ)アクリレートなど)など]などが挙げられる。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド系化合物{例えば、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミド[例えば、N-アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N-ジC1-4アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど)など]など}、窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物{例えば、N-置換アミノアルキル(メタ)アクリレート[例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N-ジC1-4アルキルアミノC2-4アルキル(メタ)アクリレート]など}などが挙げられる。
紫外線吸収性単量体(紫外線吸収性基を有する単量体)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などが挙げられる。
ヒンダードアミン系モノマー(紫外線安定性単量体、重合性基を有する光安定剤、光安定性を有する単量体)としては、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイル-1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
乳化剤は、反応性乳化剤(A)であってもよいし、反応性乳化剤(A)に加えて、反応性乳化剤(A)の範疇に属さない他の乳化剤(界面活性剤)を含んでいてもよい。
エマルションが他の反応性乳化剤を含有する場合、他の反応性乳化剤は、反応性乳化剤(A)とともに(メタ)アクリル系ポリマー(a)の重合成分であってもよい。
(メタ)アクリル系ポリマー(a)(のエマルション)は、外層と内層のいずれを構成していてもよいが、少なくとも外層を構成していることが好ましい。
また、外層と内層のいずれか1層が、(メタ)アクリル系ポリマー(a)以外のポリマー(のエマルション)で構成されている場合、そのようなポリマーの重合成分としては、上記例示の単量体(例えば、上記例示の他の単量体など)から選択することができる。
このような場合、外層及び内層のいずれをハード層としてもよく、すなわち、外層がハード層及び内層がソフト層の層構成であってもよく、外層がソフト層及び内層がハード層の層構成であってもよい。また、内層が複数の層で構成されている場合、複数の内層間で、ハード層及びソフト層を構成してもよい。
また、多層構造のエマルションである場合、多層構造のエマルションを構成する重合体全体のガラス転移温度が、上記例示の範囲であってもよい。
式(I): 1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100 (I)
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度であってもよい。
エマルション粒子の平均粒子径は、代表的には、50~300nm(例えば、60~250nm)、好ましくは100~250nm程度であってもよい。
式:〔エマルションにおける不揮発分量(質量%)〕=(〔残渣の質量〕÷〔エマルション1g〕)×100
に基づいて求めることができる。
エマルションの最低造膜温度は、例えば、エマルション粒子全体のガラス転移温度や最外層のガラス転移温度を調節することによって調整することができる。
エマルションは、溶媒中で、重合成分(単量体成分)を乳化重合することにより得ることができる。
溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2- メチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2, 2-アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4-アゾビス(4-シ アノ吉草酸)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられる。
重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、重合反応の終了時期を早める等の観点から、重合成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を反応容器内に添加してもよい。
本発明は、芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)を少なくとも重合成分とする(メタ)アクリル系ポリマーのエマルション及びウレタン会合型増粘剤を含む組成物も包含する。
本発明の組成物は、特に、塗料用に使用することができる。
このような組成物において、反応性乳化剤(A)としては、上記例示の反応性乳化剤(A)を使用することができる。
なお、疎水性基は、会合部位として作用しうる。
例えば、溶媒中(水、水を含む水性溶媒)で、疎水性基部位(特に、末端の疎水性基)が(メタ)アクリル系ポリマー(a)のエマルション粒子表面と会合(物理的結合)することによって、及び/又は、疎水性基同士が会合することによって、(メタ)アクリル系ポリマー(a)のエマルションを増粘しうる。
これらの中でも、アデカノールUH-420などが好ましい。
ウレタン会合型増粘剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、上記反応性乳化剤(A)を使用することにより、(メタ)アクリル系ポリマー(有効成分)に対する増粘剤の配合割合を比較的少なくしても、塗料を効率良く形成することができる。
他の増粘剤は、例えば、塩基を添加することで水に溶解する(アルカリ可溶する)アクリル系樹脂[例えば、(メタ)アクリル酸由来の単位とアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチル(メタ)アクリレート)由来の単位を少なくとも含むアクリル系樹脂]などであってよい。このようなアクリル系樹脂は、アルカリ溶液中で溶解することによって、溶液を増粘しうる。
なお、このようなアクリル系樹脂は、会合部位(例えば、前記例示のウレタン系樹脂における疎水性基など)を有していてもよい。
他の増粘剤としては、例えば、アクリセットWR-507、アクリセットWR-650〔以上、(株)日本触媒製、商品名〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
他の増粘剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、組成物は、エマルション及び増粘剤が水性溶媒中に分散(又は溶解)した組成物(水性組成物)であってもよい。
他の成分としては、例えば、顔料(後述の顔料など)、顔料分散剤、沈殿防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、成膜助剤、増粘剤、表面調整剤、防腐・防黴剤、レベリング剤、凍結防止剤、湿潤剤、pH調整剤、消泡剤などが挙げられる。
これらの成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明のエマルション及び組成物は、特に、塗料用(塗装用)として好適である。このようなエマルション及び組成物は、例えば、各種素材(例えば、金属、ガラス、磁器、コンクリート、サイディングボード、樹脂など)で形成された基材の表面仕上げ等に使用してもよい。
本発明のエマルション又は組成物で形成された塗料は、得られる塗膜の耐水性が優れるため、このような外装用塗料に使用した場合にも、十分な塗膜強度を発現することができる。
そのため、塗料用組成物(塗料)は、顔料を含んでいてもよい。
顔料は着色剤であってもよく、体質顔料(増量剤)であってもよい。
代表的な顔料としては、例えば、無機系顔料(例えば、酸化チタン、酸化鉄、アルミニウム、パール顔料等の無機系着色顔料)、有機系顔料(例えば、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピリミジン、フタロシアニン、スレン、ジオキサジン、カーボンブラック等の有機系着色顔料)、体質顔料(例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、タルク等)を挙げることができる。
顔料は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水475部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水465部、乳化剤((株)第一工業製薬社製、商品名:アクアロンAR-10)の25%水溶液120部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)333部、メチルメタクリレート(MMA)460部、スチレン(St)200部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5部、シリル基含有モノマー(商品名:KBM-503)2部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの100部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液60部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
モノマーの種類及び配合割合を表1に記載のようにした以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
なお、表1において、BAとはブチルアクリレートを示し、AAとはアクリル酸を示す。
また、実施例3で使用の乳化剤SR-10は、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10(アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレン硫酸エステル塩)を示す。
また、実施例4で使用の乳化剤NF-08は、(株)第一工業製薬社製、商品名:ハイテノールNF-08(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)を示す。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水461部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水59部、乳化剤((株)第一工業製薬社製、商品名:アクアロンAR-10)の25%水溶液80部、スチレン200部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの40部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液60部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水435部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水59部、乳化剤((株)第一工業製薬社製、商品名:アクアロンAR-10)の25%水溶液80部、スチレン200部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの40部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液60部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部を60分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持した。
モノマーの種類及び配合割合を表1に記載のようにした以外は実施例8と同様にして、樹脂エマルションを得た。
モノマーの種類及び配合割合を表1に記載のようにした以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
特許文献1の実施例1に記載の方法を用いて、樹脂エマルションを得た。
乳化剤として、アクアロンAR-10の代りに、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10(アリルオキシメチルアルコキシエチルポリオキシエチレン硫酸エステル塩)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
乳化剤として、アクアロンAR-10の代りにアデカリアソープSR-10を用い、また、モノマーの種類及び配合割合を表2に記載のようにした以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
乳化剤として、アクアロンAR-10の代りに、(株)第一工業製薬社製、商品名:アクアロンBC-10(プロペニルノニルフェニルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
乳化剤として、アクアロンAR-10の代りに、(株)第一工業製薬社製、商品名:アクアロンKH-10(アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
乳化剤として、アクアロンAR-10の代りに、(株)第一工業製薬社製、商品名:ハイテノールNF-08(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂エマルションを得た。
[ガラス転移温度(Tg)]
ガラス転移温度は、ポリマーを構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、
式(I): 1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100 (I)
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度として算出した。
エマルションにおける不揮発分量(固形分量)は、エマルション1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、
式:〔エマルションにおける不揮発分量(質量%)〕=(〔残渣の質量〕÷〔エマルション1g〕)×100
に基づいて求めた。
BH型粘度計〔東京計器株式会社製〕で回転速度20rpmにおける25℃での粘度を求めた。
BH型粘度計で回転速度2rpmにおける粘度を20rpmの粘度で除したものをTI(チクソ係数)とした。
TI=粘度(2rpm)/粘度(20rpm)
エマルション粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing Systems)社製、商品名:NICOMP Model 380〕を用いて測定した。
熱勾配試験機(テスター産業社製)の上に置いたガラス板上に樹脂エマルションを厚さが0.2mmとなるようにアプリケーターで塗工し、クラックが生じたときの温度を最低造膜温度とした。
(1)顔料ペーストの調製
脱イオン水210質量部、分散剤〔花王株式会社製、商品名:デモールEP、分散剤(固形分)濃度25質量%水溶液〕60質量部、分散剤〔第一工業製薬株式会社製、商品名:ディスコートN-14、分散剤(固形分)濃度30質量%水溶液〕50質量部、湿潤剤〔花王株式会社製、商品名:エマルゲンLS-106、湿潤剤(固形分)濃度100質量%〕10質量部、プロピレングリコール60質量部、酸化チタン〔石原産業株式会社製、品番:CR-95〕1000質量部及びガラスビーズ(直径:1mm)200質量部をホモディスパーで回転速度3000rpmにて60分間撹拌することによって調製した。その後、ガラスビーズを除くために60メッシュ金網で濾過して顔料ペーストとした。
上記水系樹脂分散体100質量部に、成膜助剤として2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート〔JNC株式会社製、品番:CS-12〕7質量部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500rpmにて10分間撹拌した。撹拌を継続しながら、上記顔料ペーストを42質量部投入した。顔料ペーストの投入量は、不揮発分の全量に対し顔料の量が14体積%(40質量%)となるように調整した。更に、不揮発分量が50質量%となるように適量の希釈水を加え、塗料の全体量に対して0.3質量%のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ株式会社製、商品名:SNデフォーマー777〕を当該混合物に添加した。BH型粘度計〔東京計器株式会社製〕で回転速度20rpmにおける25℃での粘度が4500mPa・sとなるように増粘剤〔株式会社ADEKA製、商品名:アデカノールUH-420〕の5質量%水溶液を当該混合物に添加した。その後、更に1500rpmで30分間攪拌することにより、必要な増粘剤量(単位:g)を評価した。
上記水系樹脂分散体100質量部に、成膜助剤として2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート〔JNC株式会社製、品番:CS-12〕7質量部を添加したものをクリヤ塗料として用いた。
クリヤ塗料をガラス板(縦:150mm、横:70mm、厚さ:2mm)に10milアプリケーターを用いて塗布し、23℃の大気中にて1週間乾燥させてクリヤ塗膜を得た。得られた塗膜を25℃に調温した水に浸漬(没水)させ爪で引っ掻く事によって、以下の基準で塗膜強度を評価した。
◎:僅かに傷が付くが浮きや剥れが見られない。
○:僅かに傷が付くが浮きや剥れが一部発生。
×:浮きや剥れが発生。
また、実施例のエマルションによれば、塗料における増粘剤の添加量を低減できた。
Claims (20)
- 芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)及び重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤(B)を少なくとも重合成分とする(メタ)アクリル系ポリマーのエマルションであり、反応性乳化剤(A)が下記式(1)で表される反応性乳化剤を含み、反応性乳化剤(A)の割合が、重合成分全体に対して0.1~10質量%であり、シランカップリング剤(B)の割合が、重合成分全体に対して0.05~10質量%であり、重合成分が、さらに、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含み、重合成分全体における2-エチルへキシル(メタ)アクリレートの割合が10~90質量%である、エマルション。
- 芳香族基を複数有する反応性乳化剤(A)及び重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤(B)を少なくとも重合成分とする(メタ)アクリル系ポリマーのエマルションであり、反応性乳化剤(A)が下記式(1)で表される反応性乳化剤を含み、反応性乳化剤(A)の割合が、重合成分全体に対して0.1~10質量%であり、シランカップリング剤(B)の割合が、重合成分全体に対して0.05~10質量%であり、重合成分が、さらに、脂肪族(メタ)アクリレート及び/又は脂環族系単量体、並びに水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合が、脂肪族(メタ)アクリレート及び/又は脂環族系単量体100質量部に対して、0.1~20質量部である、エマルション。
- 重合成分が、さらに、脂環族基を有する単量体及び芳香族基を有する単量体から選択される1種以上の単量体を含む請求項1又は2に記載のエマルション。
- 反応性乳化剤(A)の割合が、重合成分全体に対して0.5~10質量%である請求項1~3のいずれかに記載のエマルション。
- 反応性乳化剤(A)の割合が、重合成分全体に対して1~10質量%であり、シランカップリング剤(B)の割合が、重合成分全体に対して0.1~10質量%である請求項1~4のいずれかに記載のエマルション。
- 反応性乳化剤(A)以外の乳化剤の割合が、重合成分全体に対して5質量%以下である請求項1~5のいずれかに記載のエマルション。
- (メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が-40~80℃である請求項1~6のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含む請求項2~7のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含み、重合成分全体における2-エチルへキシル(メタ)アクリレートの割合が10~90質量%である、請求項2~7のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、脂環族系単量体を含み、重合成分全体における脂環族系単量体の割合が5~80質量%である、請求項1~9のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、脂肪族(メタ)アクリレート及び脂環族系単量体を含み、これらの割合が、脂肪族(メタ)アクリレート/脂環族系単量体(質量比)=95/5~5/95である、請求項1~10のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、水酸基含有(メタ)アクリレートを重合成分全体の0.1~20質量%の割合で含む、請求項1~11のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、脂肪族(メタ)アクリレート及び/又は脂環族系単量体、並びに水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合が、脂肪族(メタ)アクリレート及び/又は脂環族系単量体100質量部に対して、0.1~20質量部である、請求項1、3~12のいずれかに記載のエマルション。
- 重合成分が、さらに、芳香族系単量体を含み、重合成分全体における芳香族系単量体の割合が0.1~50質量%である、請求項1~13のいずれかに記載のエマルション。
- 請求項1~14のいずれかに記載のエマルション及びウレタン会合型増粘剤を含む塗料用組成物。
- (メタ)アクリル系ポリマー:ウレタン会合型増粘剤の質量比が、100:0.01~100:1である、請求項15記載の組成物。
- 請求項1~14のいずれかに記載のエマルション又は請求項15~16のいずれかに記載の組成物を含む塗料。
- 請求項17に記載の塗料で形成された塗膜。
- 請求項18に記載の塗膜を有する建築物。
- 請求項18に記載の塗膜を有する建材。
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