JP2003096261A - シクロヘキシルアクリレート系水性樹脂分散体組成物 - Google Patents

シクロヘキシルアクリレート系水性樹脂分散体組成物

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JP2003096261A
JP2003096261A JP2001292113A JP2001292113A JP2003096261A JP 2003096261 A JP2003096261 A JP 2003096261A JP 2001292113 A JP2001292113 A JP 2001292113A JP 2001292113 A JP2001292113 A JP 2001292113A JP 2003096261 A JP2003096261 A JP 2003096261A
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meth
acrylate
resin dispersion
dispersion composition
polymer
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JP2001292113A
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Masaya Uchida
雅也 内田
Kunio Takahashi
邦夫 高橋
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜を形成した場合に、耐候性に優れるとと
もに、可とう性にも優れた、水性樹脂分散体組成物を提
供する。 【解決手段】 本発明に係る、水性樹脂分散体組成物
は、シクロヘキシルアクリレートを必須に含む単量体成
分を重合して得られるポリマーを含有する水性樹脂分散
体組成物であって、前記ポリマーの計算Tg(K)を、
ポリマー1g中のシクロヘキシル基の含有量(g)で除
した値(p値)が880以下であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐候性、可とう性に
優れた、水性樹脂分散体組成物に関する。さらに詳しく
は、例えば、建築外装用塗料、建材用塗料、金属用塗
料、プラスチック用塗料、重防食用塗料、屋上防水用塗
料等の塗料用の他に、フィルム、プラスチック、ガラ
ス、紙、繊維、皮革等のコーティング剤、粘着剤、接着
剤、インク等の各種用途に用いた場合に、耐候性、可と
う性に優れた、水性樹脂分散体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料用途に好適に用いられるポリマーと
してメタクリル酸エステル系ポリマーがよく知られてい
る。そして、塗膜に耐候性を付与するための手段とし
て、塗料のポリマー成分にシクロヘキシル基を導入する
ことが知られており、シクロヘキシルメタクリレートを
ポリマー原料として用いることが一般に行われている
(例えば、特開平3−128978号公報、特開平5−
140240号公報、特開平6−313088号公報な
ど)。しかしながら、シクロヘキシルメタクリレート系
ポリマーは、耐候性には優れるものの、可とう性に乏し
く、特に低温で硬脆いという欠点があった。このため、
シクロヘキシルメタクリレート系ポリマーを含有する樹
脂組成物は、可とう性が要求される塗装対象や塗装環境
では使用し難いという問題点があり、耐候性と可とう性
との両性能に優れた樹脂組成物の開発が望まれている。
【0003】また、取り扱い性、環境汚染や人体への影
響などを考慮すると、溶剤系としてよりも、水性の樹脂
分散体組成物として扱うことが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、塗膜を形成した場合に、耐候
性に優れるとともに、可とう性にも優れた、水性樹脂分
散体組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するべく鋭意検討を行った。まず、高耐候性塗料用途
としては従来において用いられることが少なかったシク
ロヘキシルアクリレート系ポリマーに着目した。そし
て、特に、シクロヘキシルアクリレート系ポリマー中の
シクロヘキシル基の含有割合に着目し、シクロヘキシル
アクリレート系ポリマーの計算Tg(K)を当該割合で
除した値によって耐候性と可とう性とがどのように変わ
るかを検討した。その結果、驚くべきことに、シクロヘ
キシルアクリレート系ポリマーの計算Tg(K)を、ポ
リマー1g中のシクロヘキシル基の含有量(g)で除し
た値(p値)が特定の値をほぼ臨界点として、当該特定
の値以下の場合に、顕著に、耐候性と可とう性とが共に
優れたレベルを発現できることが判った。
【0006】本発明はこのようにして完成された。すな
わち、本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、シクロヘ
キシルアクリレートを必須に含む単量体成分を重合して
得られるポリマーを含有する水性樹脂分散体組成物であ
って、前期ポリマーの計算Tg(k)を、ポリマー1グ
ラム中のシクロヘキシル基の含有量(g)で除した値
(p値)が880以下であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る水性樹脂分散体組成
物は、シクロヘキシルアクリレートを必須に含む単量体
成分を重合して得られるポリマーを含有する。本発明に
係る水性樹脂分散体組成物中の前記シクロヘキシルアク
リレートを必須に含む単量体成分を重合して得られるポ
リマーの含有割合は5〜90重量%が好ましく、より好
ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは25〜8
0重量%、特に好ましくは25〜75重量%、最も好ま
しくは30〜70重量%である。前記シクロヘキシルア
クリレートを必須に含む単量体成分を重合して得られる
ポリマーの含有割合が上記範囲を外れると、本発明に係
る水性樹脂分散体組成物の有する各種特性が十分に発揮
できない恐れがあるので好ましくない。
【0008】本発明に係る水性樹脂分散体組成物中の前
記ポリマーは、シクロヘキシルアクリレートを必須に含
む単量体成分を乳化重合して得られることを特徴とす
る。全単量体成分中のシクロヘキシルアクリレートの含
有率は、下限値として、好ましくは60重量%以上、よ
り好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重
量%以上、最も好ましくは75重量%以上含まれること
が、得られるポリマーの物性上、ひいては最終的に得ら
れる本発明に係る水性樹脂分散体組成物の物性上、特
に、耐候性と可とう性の向上の点で好ましい。また、全
単量体成分中のシクロヘキシルアクリレートの含有率
は、上限値として、好ましくは99重量%以下、より好
ましくは95重量%以下、さらに好ましくは85重量%
以下、最も好ましくは75重量%以下で含まれること
が、得られるポリマーの物性上、ひいては最終的に得ら
れる本発明に係る水性樹脂分散体組成物の物性上、特
に、耐候性と可とう性の向上の点で好ましい。
【0009】前記シクロヘキシルアクリレートを必須に
含む単量体成分を重合して得られるポリマーを得る場合
には、シクロヘキシルアクリレートを単独で重合させる
か、あるいは共重合可能な他の重合性不飽和単量体と共
重合させることが好ましい。前記共重合可能な他の重合
性不飽和単量体としては、特に限定されるわけではない
が、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチ
ル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプ
ロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オ
クチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)ア
クリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ベン
ジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メ
タ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレー
ト、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニ
ル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチルアクリ
レート、α−ヒドロキシメチルアクリレート、カプロラ
クトン変性ヒドロキシアクリレート(商品名プラクセル
Fシリーズ、ダイセル化学工業(株)製)、カプロラク
トン変性ヒドロキシメタクリレート(商品名プラクセル
FMシリーズ、ダイセル化学工業(株)製)、4−ヒド
ロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレー
ト等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン
酸、イタコン酸、無水マレイン酸、スルホエチル(メ
タ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルアシッドホスフェート等の酸性官能基を
有する(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸エ
チレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコー
ル、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコー
ル、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メ
トキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等
の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ
(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)ア
クリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)ア
クリル酸ジプロピレングリコール等の(ポリ)オキシプ
ロピレン(メタ)アクリレート類;アクロレイン、ジア
セトンアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルア
ミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセ
トアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ホルミルス
チロール等のホルミル基またはオキソ基を有する重合性
単量体類;酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエス
テル類;アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエー
テル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビ
ニルベンゼン等のビニル化合物類;酢酸ビニル、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、プロピオン酸ビニル等のビニル
エステル類;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、トリメチルシロキシエチ
ルメタクリレート等の珪素含有重合性単量体類;トリフ
ルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル
(メタ)アクリレート、ヘプタドデカフルオロデシルア
クリレート、β−(パーフロロオクチル)エチル(メ
タ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレ
ート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート
等のフッ素含有重合性単量体類;(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、
N−イソプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリル
アミド、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、N,N’−ジエチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾ
ール、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリル
アミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等
の窒素原子含有重合性単量体類;ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテ
ル、ビニル−n−プロピルエーテル、ビニルイソブチル
エーテル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルエー
テル類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ
基を有する重合性単量体類;2−〔2’−ヒドロキシ−
5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−
2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル〕
−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ
−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニ
ル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロ
キシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾ
ール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチ
ル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−
ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−ク
ロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロ
キシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニ
ル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−
〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキ
シエチル〕フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリ
アゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニル〕−5−t−ブチル−
2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−
5’−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−
tert−ブチルフェニル〕−4−tert−ブチル−
2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(2
−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)
ベンゾフエノン、2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)
アクロイルオキシエトキシ)ベンゾフエノン等の紫外線
吸収性重合性単量体類;4−(メタ)アクリロイルオキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−
(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペ
ンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミ
ノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−
(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペ
ンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アク
リロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性単量体類を
好ましく挙げることができる。これら他の重合性不飽和
単量体は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0010】上記他の重合性不飽和単量体の中でも、本
発明の効果が十分に発揮されるためには、(メタ)アク
リル酸アルキルエステル類、水酸基を有する(メタ)ア
クリレート類、酸性官能基を有する(メタ)アクリレー
ト類、ビニル化合物類、珪素含有重合性単量体類、エポ
キシ基を有する重合性単量体類、紫外線吸収性重合性単
量体類、紫外線安定性重合性単量体類が好ましく選ばれ
る。特に好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル類、水酸基を有する(メタ)アクリレート類、酸性
官能基を有する(メタ)アクリレート類、ビニル化合物
類、紫外線吸収性重合性単量体類、紫外線安定性重合性
単量体類を挙げることができるが、これら他の重合性不
飽和単量体は、特に限定されるわけではなく、単独で使
用しても2種類以上を併用してもよい。
【0011】全単量体成分中の前記他の重合性不飽和単
量体の含有率は、全単量体成分中のシクロヘキシルアク
リレートの含有率を除いた範囲となり、具体的には、上
限値として、好ましくは40重量%未満、より好ましく
は35重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満、
最も好ましくは25重量%未満含まれることが、得られ
るポリマーの物性上、ひいては最終的に得られる本発明
に係る水性樹脂分散体組成物の物性上、特に、耐候性と
可とう性の向上の点で好ましい。また、下限値として、
好ましくは1重量%より多く、より好ましくは5重量%
より多く、さらに好ましくは15重量%より多く、最も
好ましくは25重量%より多く含まれることが、得られ
るポリマーの物性上、ひいては最終的に得られる本発明
に係る水性樹脂分散体組成物の物性上、特に、耐候性と
可とう性の向上の点で好ましい。
【0012】前記他の重合性不飽和単量体として紫外線
吸収性重合性単量体および/または紫外線安定性重合性
単量体を用いる場合、全単量体成分中の紫外線吸収性重
合性単量体および/または紫外線安定性重合性単量体の
含有率は、好ましくは0.1〜10重量%、より好まし
くは0.25〜7.5重量%、さらに好ましくは0.5
〜5.0重量%である。0.1重量%より少ないと、十
分な紫外線吸収効果あるいは安定化効果が得られず、耐
候性が低下する問題があり、10重量%より多いと、重
合安定性の低下の問題があるために好ましくない。本発
明に係る水性樹脂分散体組成物中の前記シクロヘキシル
アクリレートを必須に含む単量体成分を重合して得られ
るポリマーは、その計算Tg(K)を、ポリマー1g中
のシクロヘキシル基の含有量(g)で除した値(p値)
が880以下であることを特徴とする。本発明者は、シ
クロヘキシルアクリレート系ポリマー中のシクロヘキシ
ル基の含有割合に着目し、シクロヘキシルアクリレート
系ポリマーの計算Tg(K)を当該割合で除した値によ
って耐候性と可とう性とがどのように変わるかを検討し
た結果、シクロヘキシルアクリレート系ポリマーの計算
Tg(K)を、ポリマー1g中のシクロヘキシル基の含
有量(g)で除した値(p値)が880という特定の値
を臨界点として、当該特定の値以下の場合に、顕著に、
耐候性と可とう性とが共に優れたレベルを発現できるこ
とが判った。
【0013】上記計算Tg(K)を、ポリマー1g中の
シクロヘキシル基の含有量(g)で除した値(p値)
は、好ましくは870以下、より好ましくは850以
下、さらに好ましくは820以下、さらにより好ましく
は800以下である。上記計算Tg(K)を、ポリマー
1g中のシクロヘキシル基の含有量(g)で除した値
(p値)が880を超えると、耐候性と可とう性との少
なくとも一方のレベルが低下してしまう。上記計算Tg
(K)は、次のFoxの式より計算される。 1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100 ここで、Wnは単量体nの重量%、Tgnは単量体nか
らなるホモポリマーのTg(K:絶対温度)を示す。
【0014】上記ポリマー1g中のシクロヘキシル基の
含有量(g)は、シクロヘキシル基の分子量(83)を
シクロヘキシルアクリレートの分子量(154)で除
し、ポリマーを構成させる全単量体中のシクロヘキシル
アクリレートの重量百分率を乗ずることで算出される。
本発明に係る水性樹脂分散体組成物中の前記シクロヘキ
シルアクリレートを必須に含む単量体成分を重合する際
に用いることのできる乳化剤としては、特に限定されな
いが、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、
カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等が使用
できる。なお、乳化剤は1種類のみを用いてもよく、ま
た、2種類以上を併用してもよい。
【0015】前記アニオン性乳化剤としては、具体的に
は、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナト
リウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート
塩;アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウム
ドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート
塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナ
トリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキ
ルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアル
キルサルフェート塩(例えば、第一工業製薬(株)製、
ハイテノール18Eなど);ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールサルフェート塩(例えば、第一工業製薬
(株)製、ハイテノールN−08など);ジアルキルス
ルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合
物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレ
ート等の脂肪酸塩;等が挙げられる。
【0016】前記ノニオン性乳化剤としては、具体的に
は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例
えば、三洋化成工業(株)製、ナロアクティーN−20
0など);ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル(例えば、三洋化成工業(株)製、ノニポール−20
0など);ポリエチレングリコールとポリプロピレング
リコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグ
リセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族
アミンの縮合生成物;等が挙げられる。前記カチオン性
乳化剤としては、具体的には、例えば、ドデシルアンモ
ニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩;等が挙
げられる。
【0017】前記両性乳化剤としては、具体的には、例
えば、ベタインエステル型乳化剤;等が挙げられる。前
記高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナト
リウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアル
コール; ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチ
ルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレート;またはこれらの重合体を構成する重合性単
量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体;等
が挙げられる。本発明において特に耐水性を重視する場
合には、前記乳化剤として、重合性基を有する乳化剤を
使用するのが好ましい。具体的には、重合性基を有する
アニオン性乳化剤としては、例えば、ビス(ポリオキシ
エチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸
エステル塩(例えば、日本乳化剤(株)製、アントック
スMS−60など)、プロペニル−アルキルスルホコハ
ク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレ
ンサルフェート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチ
レンホスフォオネート塩(例えば、三洋化成工業(株)
製、エレミノールRS−30など)、ポリオキシエチレ
ンアルキルプロペニルフェニルエーテルサルフェート塩
(例えば、第一工業製薬(株)製、アクアロンHS−1
0など)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキ
シエチレンの硫酸エステル塩(例えば、第一工業製薬
(株)製、アクアロンKH−10など)やアリルオキシ
メチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエ
チレンの硫酸エステル塩(例えば、旭電化工業(株)
製、アデカリアソープSE−10など)等のアリル基を
有する硫酸エステル(塩)等が挙げられ、重合性基を有
するノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエ
チレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、
第一工業製薬(株)製、アクアロンRN−20など)、
アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシ
ポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業(株)製、ア
デカリアソープNE−10など)等が挙げられる。
【0018】前記乳化剤の使用量は、特に限定されるも
のではなく、具体的には、単量体成分の総重量に対して
0.1〜20重量%であることが好ましく、より好まし
くは0.2〜10重量%、さらに好ましくは0.3〜6
重量%である。前記単量体成分の総重量に対する前記乳
化剤の使用量が、0.1重量%よりも小さい場合は、本
発明に係る水性樹脂分散体組成物中の前記シクロヘキシ
ルアクリレートを必須に含む単量体成分を重合して得ら
れるポリマーの重合安定性の低下が見られるので好まし
くなく、20重量%を超える場合は、本発明に係る水性
樹脂分散体組成物を塗料などに好ましく用いた際、その
塗膜に耐水性などの低下が見られるため好ましくない。
【0019】乳化重合の際に用いることのできる水性媒
体としては、通常、水が使用されるが、必要に応じて、
例えばメタノールのような低級アルコール等の親水性溶
媒を併用することもできる。なお、水性媒体の使用量
は、得ようとするエマルションの所望の樹脂固形分を考
慮して適宜設定すればよい。また、水性媒体の添加時期
については、特に制限はなく、例えば、初期重合工程の
ために予め反応釜に仕込んでおいてもよいし、本重合工
程でプレエマルションとして投入してもよい。また、水
性媒体は、必要に応じて、冷却、洗浄、固形分調整、粘
度調整等の工程で用いてもよい。
【0020】乳化重合の際に用いることのできる重合開
始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2−
アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド
等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化
水素等の過酸化物;等が挙げられる。なお、重合開始剤
は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。前記重合開始剤の使用量は、特に限定されない
が、好ましくは全重合性単量体の合計使用量に対して
0.05〜1重量%であり、より好ましくは0.1〜
0.5重量%であるのがよい。重合開始剤の使用量が
0.05重量%未満であると、重合速度が遅くなって未
反応の重合性単量体が残存しやすくなり、一方、1重量
%を超えると、形成される塗膜の耐水性が低下する傾向
がある。なお、重合開始剤の添加方法は、一括添加、分
割添加、連続滴下等適宜選択すればよい。
【0021】乳化重合の際には、前記重合開始剤の分解
を促進する目的で、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の
還元剤や硫酸第一鉄等の遷移金属塩を添加してもよい。
また、必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移
動剤、成膜助剤等の公知の添加剤を添加してもよい。前
記連鎖移動剤や調節剤は、単量体成分の総重量に対して
0.01〜10重量%となるように使用するのが好まし
く、より好ましくは0.02〜5重量%である。乳化重
合の際の重合温度、重合時間、攪拌速度、雰囲気等の条
件は、特に限定されるものでなく、反応器の種類、スケ
ール等に応じて適宜設定すればよい。具体的には、重合
温度については、使用する重合開始剤や重合性単量体の
種類を考慮して決定すればよいのであるが、40〜95
℃とするのが好ましい。また、重合時間は短いほど工業
的に簡便であるが、重合速度や安全性を考慮すると、2
〜8時間の範囲が好ましい。重合時の雰囲気について
は、重合開始剤の効率を高めるため窒素等の不活性ガス
雰囲気下で行うのが一般的である。
【0022】乳化重合は、一段階で行ってもよいが、好
ましくは2段階以上に分けて行うのがよい。2段階以上
に分けて重合させると、得られるエマルションを構成す
る樹脂粒子は、Tg差もしくは組成差をもった粒子とな
る。なお、乳化重合を2段階以上に分けて行う場合、各
段階で用いる単量体成分、乳化剤、重合開始剤等の種類
や使用量は、適宜設定すればよく、特に制限されるもの
ではない。前記乳化重合で得られたアクリル系エマルシ
ョンは、必要に応じて、樹脂のもつ酸性基の一部または
全てを中和剤で中和することもできる。中和剤としては
特に限定はなく、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカ
リ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸カルシウム
等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸化物;アン
モニア、モノメチルアミン等の有機アミン;等のアルカ
リ性物質を用いることができる。これらの中でも特に、
耐水性を重視する場合には、アンモニア等の揮発性をも
つアルカリ性物質が望ましい。なお、中和剤は、1種の
みを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。エマル
ションの好ましいpH範囲は用途によって異なるが、一
般的にはpH5〜10の範囲が好ましく、所望のpHと
なるように中和剤の量を調整すればよい。
【0023】本発明に係る水性樹脂分散体組成物中の前
記シクロヘキシルアクリレートを必須に含む単量体成分
を重合して得られるポリマーは、そのガラス転移温度が
0〜30℃であることが好ましく、より好ましくは5〜
25℃であり、さらに好ましくは10〜20℃である。
前記ガラス転移温度が上記範囲を外れた場合には、上記
ポリマーが発現できる物性、ひいては、最終的に得られ
る本発明に係る水性樹脂分散体組成物の物性が低下する
おそれがあるので好ましくない。本発明に係る水性樹脂
分散体組成物中の前記シクロヘキシルアクリレートを必
須に含む単量体成分を重合して得られるポリマーは、そ
の平均粒子径が50nm〜300μmであることが好ま
しく、より好ましくは70nm〜250μmであり、さ
らに好ましくは80nm〜200μmである。前記平均
粒子径が上記範囲を外れた場合には、上記ポリマーが発
現できる物性、ひいては、最終的に得られる本発明に係
る水性樹脂分散体の物性が低下するおそれがあるので好
ましくない。
【0024】本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、そ
の必須構成成分である前記シクロヘキシルアクリレート
を必須に含む単量体成分を重合して得られるポリマーお
よび前記水系媒体水に加えて、例えば、(部分鹸化や)
カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、メチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロ
リドン、ポリカルボン酸系高分子乳化剤、ポリビニルア
ルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレートなど、さらには、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−
プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエ
トキシシランなどを使用してもよい。これらは単独で用
いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、さ
らに顔料や骨材や充填剤など、これらに限定されない様
々な添加剤を成分として適宜必要に応じて好ましく含む
ことができ、これらを単独で含んでも、2種以上含んで
もよい。前記顔料としては、その種類は特に限定される
わけではないが、具体的には、無機顔料としては酸化チ
タン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の
白色顔料、カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、べ
んがら等の着色顔料など、また、有機顔料としてはベン
ジジン、ハンザイエローなどのアゾ化合物やフタロシア
ニンブルーなどのフタロシアニン類などを好ましく挙げ
ることができ、これらは単独で用いても、2種以上を併
用してもよい。
【0026】本発明に係る水性樹脂分散体組成物が、例
えば塗料として用いられる場合には、前記顔料は、塗膜
の耐候性を低下させることのないように、耐候性の良好
なものを選択することが望ましく、例えば、白色顔料で
ある酸化チタンに関してはアナタース型の酸化チタンを
用いるよりもルチル型の酸化チタンを用いる方が塗膜の
耐候性の面で好ましい。また、ルチル型としては、硫酸
法酸化チタンよりは塩素法酸化チタンのほうが長期に耐
候性を維持発現させることができるので好ましい。前記
骨材としては、その種類は透明骨材でも着色骨材であっ
てもよく、具体的には、特に限定されるわけではない
が、透明骨材としては長石、硅砂、硅石、寒水砂、ガラ
スビーズ、合成樹脂ビーズなど、また、着色骨材として
は大理石粉、御影石粉、蛇紋岩、蛍石、着色硅砂粉、有
色陶磁器粉などを好ましく挙げることができ、これらは
単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0027】前記顔料や骨材や充填剤などの添加剤を含
む場合、その効果を十分に発揮するためには、本発明に
係る水性樹脂分散体組成物中のその含有割合は、クリア
ー塗料等に用いる場合は40重量%未満が好ましく、ま
た、エナメル塗料等に用いる場合は、好ましくは5〜8
0重量%であり、より好ましくは10〜70重量%、さ
らに好ましくは20〜60重量%である。本発明に係る
水性樹脂分散体組成物は、前記顔料や骨材以外に、さら
に、充填剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、安定剤、
染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤など、
特に限定されるわけではないが、これら各種添加剤を適
宜必要に応じて好ましく含んでいてもよい。
【0028】本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、p
Hの値が1.5〜11であることが好ましく、より好ま
しくは4〜10、さらに好ましくは6〜9.5である。
前記pH値が上記範囲を外れることは、本発明に係る水
性樹脂分散体組成物の物性を低下させるおそれがあるの
で好ましくない。本発明に係る水性樹脂分散体組成物
は、粘度が100000mPa・s以下であることが好
ましく、より好ましくは5〜50000mPa・s、さ
らに好ましくは10〜20000mPa・sである。前
記粘度が上記範囲を外れることは、本発明に係る水性樹
脂分散体組成物の物性を低下させるおそれがあるので好
ましくない。
【0029】本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、塗
料として用いられる場合、単独で一層に塗工される形態
でもよいし、二層以上に重ね塗りする形態でもよい。ま
た、二層以上に重ね塗りする場合には、その一部の層の
みが本発明に係る水性樹脂分散体組成物である形態でも
よいし、全部の層が本発明に係る水性樹脂分散体組成物
である形態でもよい。重ね塗りの方法は、特に限定され
ず、例えば、プライマー処理やシーラー処理などを施し
た塗装対象物に、第1層(下塗り層)の塗料を塗布して
乾燥させ、続いて第2層(上塗り層)の塗料を上塗りし
て乾燥させるなどして行う。塗料を塗布する装置として
は、スプレーやロールコーター、フローコーターなどの
公知の塗布装置が挙げられるが、特に限定されない。
【0030】本発明に係る水性樹脂分散体組成物は、塗
膜を形成した場合に、耐候性に優れるとともに、可とう
性にも優れているので、乾燥被膜の−10℃での伸び率
が、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35
%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは
45%以上である。乾燥被膜の−10℃での伸び率が3
0%未満の場合には、十分な可とう性が発揮できない。
【0031】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。なお、以下、重量部を単に「部」と記すこ
とがある。 (不揮発分測定)試料約1gを秤量、熱風乾燥機で10
5℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前重
量に対する比率を重量%で表示した。 (pH測定)pHメーター((株)堀場製作所社製:F
−23)により25℃での値を測定した。
【0032】(粘度測定)BM型粘度計((株)東京計
器製)により30min-1、25℃にて測定した。粘度
測定時には、粘度に応じてローターを選定した。 (最低成膜温度:MFT)熱勾配試験機の上に置いたガ
ラス板上に0.2mmのアプリケーターで試料を塗工、
乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温
度(MFT)とした。 (計算Tg)モノマー成分からなる重合体の計算Tg
(絶対温度)は次のFoxの式より計算した。
【0033】1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100 ここで、Wnは単量体nの重量%、Tgnは単量体nか
らなるホモポリマーのTg(絶対温度)を示す。 (低温伸び率)下記の手順に従って乾燥被膜を作成し、
引っ張り試験を行うことで伸び率を測定した。 1.乾燥被膜の作成 成膜助剤としてブチルセロソルブと2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
(チッソ製、CS−12)の1:1の混合溶液をエマル
ションと配合し、最低成膜温度が0℃付近になるように
配合したエマルションを用いた。
【0034】離型紙上にWETで12milの厚さにな
るように塗工し、室温にて3分間セッティングさせた
後、100℃のオーブンにて10分間乾燥させ、さらに
2日間室温にて養生させたものを1×3=3cm2の短
冊フィルムとして試験に供した。 2.伸び率測定(引っ張り試験) 上下両端1cm2をチャックにて固定しながら、引っ張
り試験機を用いて−10℃の雰囲気下で1時間以上放置
した試験片を用いて5mm/minの条件で引っ張り試
験を行った。そのチャックの移動距離から下記の計算式
で伸び率を算出した。
【0035】((破断時の試験片の長さ−最初の試験片
の長さ)/最初の試験片の長さ)×100(%) (エナメル塗料の調整)下記の組成物配合に従い、調製
した重合体分散液を用いて、エナメル上塗り用塗料を作
成し、試験に供した。 1.上塗りエナメル用組成物配合 下記組成で配合した。 各製造例のアクリルエマルション 300部 白色ペースト 135部 消泡剤(ノプコ8034L(サンノプコ製)) 1.5部 ブチルセロソルブ 15部 成膜助剤(CS−12(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ ールモノイソブチレート、チッソ製)) 15部 2.白色ペーストの調製方法 下記組成で調製したものにガラスビーズを500g入
れ、ホモディスパーで3000min-1×60分間攪拌
して調製した。
【0036】 分散剤(デモールEP(花王製)) 60部 分散剤(ディスコートN−14(第一工業製薬製)) 50部 湿潤剤(エマルゲン909(花王製)) 10部 脱イオン水 210部 エチレングリコール 60部 酸化チタン(CR−95(石原産業製)) 1000部 消泡剤(ノプコ8034L(サンノプコ製)) 10部 (促進耐候性試験)得られた白塗料を乾燥膜厚が約80
μmとなるように塗装し、80℃の熱風乾燥機で乾燥さ
せて試験板とした。この試験板を用いてサンシャインウ
ェザーオーメータ試験機で促進耐候性試験を行い、30
00時間後の光沢保持率を測定した。
【0037】(実施例1)滴下ロート、攪拌機、窒素導
入管、温度計、および還流冷却管を備えたフラスコに、
脱イオン水61.8gを仕込んだ。また、滴下ロート
に、アクアロンHS−10の25%水溶液6.0g、R
N−20の25%水溶液6.0g、脱イオン水29.0
g、シクロヘキシルアクリレート99.0g、アクリル
酸1.0gからなるプレエマルションを調製し、そのう
ち14.1gをフラスコに添加し、ゆるやかに窒素ガス
を吹き込みながら75℃まで昇温した。
【0038】昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を
6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を
80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期
反応とした。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持
したまま、調製したプレエマルションを180分間にわ
たって均一滴下した。滴下後、脱イオン水10gで滴下
ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後
も同温度で30分間維持した。その後、室温まで冷却
し、0.9gの25%アンモニア水を加えて中和し、1
0分間攪拌後、100メッシュの金網で濾過して、重合
体分散液(1)を得た。
【0039】得られた重合体分散液(1)について、計
算Tg、p値、不揮発分、pH、粘度、MFT、低温伸
び率、促進耐候性を計算または測定した。結果を表1に
示した。なお、表中の略号は以下の通りである。また、
Foxの式により重合体のTgを算出するために使用し
た各々のホモポリマーのTg値を( )内に示した。 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート (−70
℃) St:スチレン (100℃) MMA:メチルメタクリレート (105℃) BA:n−ブチルアクリレート (−56℃) CHMA:シクロヘキシルメタクリレート (66℃) CHA:シクロヘキシルアクリレート (16℃) AA:アクリル酸 (95℃) MAA:メタクリル酸 (130℃) LA−82(旭電化製):1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジニルメタクリレート (130℃) RUVA−93(大塚化学製):2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベ
ンゾトリアゾール (100℃) n−BMA:n−ブチルメタクリレート (20℃) A−174(日本ユニカ製):γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン(70℃) GMA:グリシジルメタクリレート (40℃) HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート (5
5℃) (実施例2〜8)用いる重合性単量体の量を表1または
2に示す組成とした以外は実施例1と同様に行い、重合
体分散液(2)〜(8)を得た。
【0040】得られた重合体分散液(2)〜(8)につ
いて、計算Tg、p値、不揮発分、pH、粘度、MF
T、低温伸び率、促進耐候性を計算または測定した。結
果を表1または2に示した。 (実施例9)滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度
計、および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水
61.7gを仕込んだ。また、滴下ロートに、アクアロ
ンHS−10の25%水溶液3.0g、RN−20の2
5%水溶液3.0g、脱イオン水13.8g、メチルメ
タクリレート9.0g、2−エチルヘキシルアクリレー
ト7.0g、シクロヘキシルアクリレート30.0g、
アクリル酸1.0gからなる一段目のプレエマルション
を調製し、そのうち14.0gをフラスコに添加し、ゆ
るやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に75℃まで
昇温した。
【0041】昇温後、5%の過硫酸カリウム水溶液を
6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を
80℃まで昇温し、10分間維持した。ここまでを初期
反応とした。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持
したまま、調製した1段目のプレエマルションを80分
間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水5gで
滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。そ
の後も同温度で30分間維持し、一段目の重合を終了し
た。次に、0.9gの25%アンモニア水を加えて中和
し、その10分後に、アクアロンHS−10の25%水
溶液3.0g、アクアロンRN−20の25%水溶液
3.0g、脱イオン水15.3g、メチルメタクリレー
ト3.0g、2−エチルヘキシルアクリレート9.0
g、シクロヘキシルアクリレート40.0g、LA−8
2を1.0gからなる二段目のプレエマルションを10
0分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水5
gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加し
た。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を
終了した。
【0042】その後、室温まで冷却し、100メッシュ
の金網で濾過して、重合体分散液(9)を得た。得られ
た重合体分散液(9)について、計算Tg、p値、不揮
発分、pH、粘度、MFT、低温伸び率、促進耐候性を
計算または測定した。結果を表2に示した。 (比較例1〜2)用いる重合性単量体の量を表3に示す
組成とした以外は実施例1と同様に行い、比較用重合体
分散液(1)〜(2)を得た。
【0043】得られた比較用重合体分散液(1)〜
(2)について、計算Tg、p値、不揮発分、pH、粘
度、MFT、低温伸び率、促進耐候性を計算または測定
した。結果を表3に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、塗膜を形成した場合
に、耐候性に優れるとともに、可とう性にも優れた、水
性樹脂分散体組成物を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BG041 FD20 FD206 GH01 HA04 4J100 AB02Q AB03Q AB07Q AB16Q AC03Q AC04Q AE02Q AE03Q AF06Q AF10Q AG04Q AG15Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK32Q AL03Q AL04Q AL08P AL09Q AM15Q AM19Q AM21Q AM43Q AP16Q AQ06Q AQ08Q AQ12Q AQ15Q AQ19Q BA02Q BA03Q BA05Q BA06Q BA08Q BA10Q BA11Q BA13Q BA14Q BA31Q BA56Q BA65Q BA71Q BA76Q BA78Q BB01Q BB07Q BC04P BC28Q BC43Q BC54Q BC64Q BC65Q BC73Q BC75Q BC79Q BD14Q CA01 CA04 CA05 DA25 EA01 FA02 FA03 FA20 JA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロヘキシルアクリレートを必須に含む
    単量体成分を重合して得られるポリマーを含有する水性
    樹脂分散体組成物であって、 前記ポリマーの計算Tg(K)を、ポリマー1g中のシ
    クロヘキシル基の含有量(g)で除した値(p値)が8
    80以下であることを特徴とする、 水性樹脂分散体組成物。
  2. 【請求項2】全単量体成分中のシクロヘキシルアクリレ
    ートの含有率が60重量%以上である、請求項1に記載
    の水性樹脂分散体組成物。
  3. 【請求項3】単量体成分として、紫外線吸収性重合性単
    量体および/または紫外線安定性重合性単量体を含む、
    請求項1または2に記載の水性樹脂分散体組成物。
  4. 【請求項4】乾燥被膜の−10℃での伸び率が30%以
    上である、請求項1から3までのいずれかに記載の水性
    樹脂分散体組成物。
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