JP5258141B2 - 水性樹脂分散体及び製造方法 - Google Patents
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Description
GR>(100−S)×(1+Y)+5 (1)
式中、Sは、上記重合体における単量体成分より構成される全単量体単位を100質量%とする場合の芳香族系単量体単位の含有率である。Yは、上記重合体における紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位の含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合には、Y=−0.25+0.5Zであり、Z>0.5質量%の場合には、Y=0である。
以下に本発明を詳述する。
なお、上記重合体を構成する単量体単位は、重合性不飽和結合基含有化合物やその他の化合物を含有する単量体成分を重合することにより形成されるものであり、上記芳香族系単量体単位の含有量としては、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位を基準とするものである。また、本発明の水性樹脂分散体を構成する化合物やその原料等は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記式(1)中のSにおける芳香族系単量体単位の含有率としては、本発明に必須として有される重合体において、重合性不飽和結合基含有化合物やその他の化合物を含有する単量体成分を重合することにより形成される全単量体単位100%中の芳香族系単量体単位の割合を表すものである。
上記Yにおいて、紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位としては、例えば、水性樹脂分散体に含有される重合体の単量体単位が該物質より構成されている形態であっても、重合体に該物質が付加されている形態であってもよい。
上記式(1)においては、含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合、上記式(1)は、
GR>(100−S)×(0.75+0.5Z)+5 (2)
となり、含有量Zが、Z>0.5質量%の場合、上記式(1)は、
GR>(100−S)+5 (3)
となる。
まず、下記組成からなる白塗料を調製する。
・水 62.4部
・特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤
(商品名「デモールEP」、花王社製) 2.0部
・消泡剤(商品名「ノブコ8034」、サンノブコ社製) 0.3部
・酸化チタン(商品名「CR−95」、石原産業社製) 60.0部
・水性樹脂分散体(固形分49〜51%) 146.7部
・2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
(商品名「CS−12」、チッソ社製) 11.7部
・5%ポリエーテル系の増粘剤
(商品名「アデカノールUH−420」、旭電化社製) 1.0部
合計284.1部
得られた白塗料を、溶剤系シーラーを塗布したJIS A5430に準ずるスレート板(6mm×70mm×150mm、日本テストパネル社製)上に、乾燥塗膜が約100〜150μmとなるように塗布する。そして、塗料を25℃で7日間乾燥させ、これをテストピースとする。このテストピースを用いてサンシャインウェザオメーターによって促進耐候性試験を行い、2500時間後の塗膜の60°鏡面光沢値を測定し、下記式より光沢保持率GR(%)を算出する。
上記促進耐候性試験は、1995年発行のJIS A1415の4.(促進曝露試験装置)に規定するサンシャインカーボンアーク灯(WS形)を用い、5.(試験方法)に規定する試験方法によって試験する。
上記光沢保持率(GR(%))は、下記ように定義する。
GR=A/B×100
A:促進耐候性試験(S−WOM)2500時間終了後の60°鏡面光沢値
B:促進耐候性試験(S−WOM)開始前の初期60°鏡面光沢値
上記重合性不飽和結合基含有芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート等が好適であり、これらの中でも、スチレンが好ましい。このような重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量としては、重合体における芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して上述のような範囲となるように用いることとなる。すなわち、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、下限値が15質量%であることが好ましい。より好ましくは、18質量%であり、更に好ましくは、20質量%である。上限値としては、40質量%であることが好ましい。より好ましくは、35質量%であり、更に好ましくは、30質量%である。
また、本発明における重合体としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須とする単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
上記紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、耐候性向上の効果を充分に発揮できないおそれがある。10質量%を超えると、コストを低減できないおそれがあり、また、重合安定性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.2〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記添加型の化合物において、紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−ト、4−t−ブチルフェニルサリシレ−ト等のサリチル酸誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレ−ト、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−ト、2,4−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、4,6−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル等のベンゾトリアゾ−ル系及びその他(シュウ酸アニリド等)の化合物等が好適であり、光安定剤としては、例えば、ヒンダ−ドアミン誘導体であるビス−(2,2′,6,6′−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバテ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2′,6,6′−テトラメチルピペリジン等が好適である。
上記添加型の化合物の使用量としては、本発明における重合体100質量%に対して、該添加型の化合物を0.1〜10質量%含有することが好ましい。より好ましくは、0.2〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記カルボキシル基を有する重合性単量体の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.5〜4質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、機械安定性を充分に向上できないおそれがある。4質量%を超えると、耐水性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.7〜3質量%であり、更に好ましくは、1.0〜2.5質量%である。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール等のオキソ基を有する重合性単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有重合性単量体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の窒素原子含有重合性単量体類。
上記重合体Aにおいては、芳香族系単量体単位の下限値が40質量%であることがより好ましく、上限値が60質量%であることがより好ましい。
上記重合体Bにおいては、芳香族系単量体単位の下限値が5質量%であることがより好ましく、上限値が15質量%であることがより好ましい。
このようにすることにより、重合体A及び重合体Bにおいて芳香族系単量体単位が多く含まれる部分が内側に存在する形態とすることができることから、水の侵入による塗膜劣化を抑制することが可能となる。
上記重合体Aの重合においては、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物、カルボキシル基含有重合性不飽和結合基含有化合物以外の重合性不飽和結合基含有化合物は任意であるが、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合性不飽和結合基含有化合物を使用する場合は、SP値(Solubility Parameter)が9.5以下の重合性不飽和結合基含有化合物を使用することが好ましく、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート等が好適である。
上記重合体Aに架橋構造を形成する方法としては、どのような方法でもよいが、(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤等を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法等が好適であり、これらの中でも、(1)の方法が好ましい。
上記重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以下である。
上記重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸とアリルエステル等が好適である。
上記エポキシ基を有する重合性単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が好適であり、その使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物総量に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以下である。
上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、上述のカルボキシル基を有する重合性単量体等が好適あり、その使用量としては、上述したような範囲で用いることが好ましい。
上記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の重合性不飽和結合基を有することが好ましい。このような重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が好適である。
また重合性不飽和結合基を有しないシランカップリング剤を用いることもでき、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、β−(2,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が好適である。
上記シランカップリング剤の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して3質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以下ある。
上記初期重合反応は、樹脂粒子の核、すなわち樹脂粒子の中心部分を形成させるものであり、投入した単量体成分の80質量%以上を重合させることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上である。第2段目以降の反応においては、初期重合反応を行う必要はなく、直ちに本重合反応を行えばよい。
上記初期重合反応における単量体成分の使用量は、全単量体成分の合計使用量に対して、2.5〜20質量%であることが好ましい。2.5質量%未満であると、粒子径が大きくなりやすく、20質量%を超えると、発熱の制御を充分に行うことができなくなるおそれがある。より好ましくは、5〜10質量%である。
また各段の本重合反応で用いる単量体成分は、単独で添加してもよいし、水性媒体や乳化剤とともにプレエマルションとして添加してもよいし、一部をプレエマルションとし残部とともに混合したものを添加してもよい。また、初期重合反応及び各段の本重合反応における添加方法としては、一括添加、分割添加、連続滴下等のいずれでもよく、各段階で添加方法が同じであっても異なっていてもよい。
上記アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウムドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「ハイテノール18E」等);ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「ハイテノールN−08」等);ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩等が好適である。
上記カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩等が好適である。
上記高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;又はこれらの重合体を構成する重合性単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体等が好適である。
上記重合性基を有するノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンRN−20」等)、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープNE−20」等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープER−20」等)等が好適である。
上記乳化剤の使用量は、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、重合安定性が充分に向上しないおそれがあり、10質量%を超えると、塗膜の耐水性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.5〜5質量%である。より好ましくは、1〜3質量%である。
上記重合開始剤の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.01〜1質量%とするのが好ましい。0.01質量%未満であると、重合速度が遅くなって未反応の単量体成分が残存するおそれがあり、1質量%を超えると、形成される塗膜の耐水性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.05〜0.8質量%とすることであり、更に好ましくは、0.1〜0.5質量%とすることである。
また添加方法は、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下等のいずれの方法であってもよい。更に、重合の完了を速めるためには、最終段の単量体成分の滴下終了前後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
上記連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン等のチオール基を有する化合物等が挙げられる。連鎖移動剤や調節剤の使用量は、例えば、単量体成分の合計使用量に対して0.01〜10質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.02〜5質量%とすることである。
上記中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸化物;アンモニア、モノメチルアミン等の有機アミン等のアルカリ性物質を用いることができる。これらの中でも、特に耐水性を重視する場合には、アンモニア等の揮発性をもつアルカリ性物質が好ましい。
上記重合体Aを重合する際には、該重合体Aの重合で用いる重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を30〜70質量%とし、かつカルボキシル基含有単量体の使用量を3質量%以下とすることになる。また、重合体Bを重合する際には、該重合体Bで用いる重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を0〜20質量%とすることになる。このような製造方法は、上述したような本発明の水性樹脂分散体を製造する場合にも好適な方法である。
上記ガラス転移温度は、次のFoxの式より計算して求めることができる。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)
ここで、Wnは単量体nの質量%、Tgnは単量体nからなるホモポリマーのTg(絶対温度)を示す。
上記平均粒子径としては、例えば、動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizlng Systems社製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径として測定することができる。
上記顔料としては、例えば、無機顔料として酸化チタン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の白色顔料、カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、べんがラ等の着色顔料等を挙げることができ、また、有機顔料としてベンジジン、ハンザイエロー等のアゾ化合物やフタロシアニンブルー等のフタロシアニン類等を挙げることができる。本発明の水性樹脂分散体を例えば塗料として用いる場合には、塗膜の耐候性を低下させることのないように、耐候性の良好なものを選択することが好適であり、例えば、白色顔料である酸化チタンに関してはアナタース型の酸化チタンを用いるよりもルチル型の酸化チタンを用いる方が塗膜の耐候性の面で好ましい。また、ルチル型としては、硫酸法酸化チタンよりは塩素法酸化チタンのほうが長期に耐候性を維持発現させることができるので好ましい。
上記顔料や骨材等の添加剤を含む場合、その効果を充分に発揮するためには、本発明の水性樹脂分散体中のその含有割合は、クリアー塗料等に用いる場合は40質量%未満が好ましい。また、エナメル塗料等に用いる場合は、好ましくは5〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは20〜60質量%である。
上記重ね塗りの方法は、例えば、プライマー処理やシーラー処理等を施した塗装対象物に、第1層(下塗り層)の塗料を塗布して乾燥させ、続いて第2層(上塗り層)の塗料を上塗りして乾燥させる方法等を挙げることができる。塗料を塗布する方法としては、スプレーやロールコーター、フローコーター等の塗布装置やローラー、ハケ、コテ等を用いることができる。
本発明の水性樹脂分散体を建築外装用として用いる場合、その基材としては、例えば、コンクリート、PCパネル、セメントモルタル、ALCパネル、コンクリートブロック、スレート板、石綿セメント系サイディング等を挙げることができ、これらの基材上に塗布することにより塗膜を形成することができる。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水467.2g、乳化剤(「アデカリアソープSR−10」旭電化工業社製;以下「アデカリアソープSR−10」と称す)の25%水溶液36.0g、乳化剤(「アデカリアソープER−20」旭電化工業社製;以下「アデカリアソープER−20」と称す)の25%水溶液36.0g、ダイアセトンアクリルアミド1.0g、2−エチルヘキシルアクリレート38.6g、メチルメタクリレート53.4g、スチレン5.0g、アクリル酸2.0gを仕込んだ。ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。
昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
引き続いて脱イオン水157.9g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液13.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液13.2g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルへキシルアクリレート193.0g、メチルメタクリレート267.0g、スチレン25.0g、アクリル酸10.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液42.9g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム30.0gを、100分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水13.0gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
<不揮発分>
得られた水性樹脂分散体約1gを秤量、熱風乾燥機で105℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<粘度>
BM型粘度計(東京計器社製)により30min−1、25℃にて測定した。粘度測定時には、粘度に応じてローターを選定した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<最低造膜温度(MFT)>
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に0.2mmのアプリケーターで、得られた水性樹脂分散体を塗工、乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温度(MFT)とした。
<平均粒子径>
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizlng Systems社製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
表1に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例8)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水434.9g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液33.3g、アデカリアソープER−20の25%水溶液33.3gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水189.6g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液16.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液16.2g、ダイアセトンアクリルアミド7.6g、2−エチルへキシルアクリレート228.6g、メチルメタクリレート321.8g、スチレン30.0g、アクリル酸12.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの137.0gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2、5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
引き続いて脱イオン水126.4g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.8g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.8g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルヘキシルアクリレート154.0g、メチルメタクリレート57.0g、スチレン180.0g、アクリル酸4.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液34.3g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム24.0gを、90分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水13.0gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水434.9、アデカリアソープSR−10の25%水溶液33.3g、アデカリアソープER−20の25%水溶液33.3gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水189.6g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液16.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液16.2g、ダイアセトンアクリルアミド7.6g、2−エチルヘキシルアクリレート228.6g、メチルメタクリレート321.8g、スチレン30.0g、アクリル酸12.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの137.0gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
引き続いて脱イオン水126.4g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.8g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.8g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルへキシルアクリレート154.0g、メチルメタクリレート45.0g、スチレン180.0g、4−メタクリロイロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン10.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液34.3g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム24.0gを、90分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
表3に記載の組成とした以外は、製造例8と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例13)
表3に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水516.5g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.0g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.0gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水245.0g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液50.0g、アデカリアソープER−20の25%水溶液50.0g、2−エチルへキシルアクリレート328.0g、メチルメタクリレート162.0g、スチレン500.0g、アクリル酸10.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの134.5gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水6.5gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
表4に記載の組成とした以外は、製造例14と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例19)
表4に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
A−174:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
GMA:グリシジルメタクリレート
LA82:4−メタクリロイロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
25%SR−10:アデカリアソープSR−10(旭電化工業社製)の25%水溶液
25%BC−10:アクアロンBC−10(第一工業製薬社製)の25%水溶液
25%ラテムルE−118B:ラテムルE−118B(花王社製)の25%水溶液
25%ER−20:アデカリアソープER−20(旭電化工業社製)の25%水溶液
25%RN−20:アクアロンRN−20(第一工業製薬社製)の25%水溶液
3.5%KPS水溶液:過硫酸カリウムの3.5%水溶液
2.5%SMBS水溶液:亜硫酸水素ナトリウムの2.5%水溶液
25%アンモニア水:アンモニアの25%水溶液
水性樹脂分散体を用いてなる塗料について、下記のようにして促進耐候性試験(S−WOM)を行うことにより評価した。
基本配合:上記組成からなる白塗料とした。
実施例2〜4及び15、参考例1、8、9、10の塗料配合:塗料化時に上記基本配合に10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を、各製造例に用いられているダイアセトンアクリルアミドに対して当量になるように添加して塗料とした。
実施例5〜7、11〜13、参考例14、比較例1及び2:基本配合をそのまま使用した。
参考例14:製造例14及び製造例15で得られた水性樹脂分散体を有姿で1:1にブレンドして使用した。
実施例15:製造例16及び製造例17で得られた水性樹脂分散体を有姿で1:1にブレンドして使用した。
得られた塗料を、溶剤系シーラーを塗布したJIS A5430に準ずるスレート板(6mm×70mm×150mm、日本テストパネル社製)上に、乾燥塗膜が約100〜150μmとなるように塗布した。そして、塗料を25℃で7日間乾燥させ、これをテストピースAとした。このテストピースAを用いてサンシャインウェザオメーターにて下記のように促進耐候性試験を行い、促進耐候性試験2500時間経過後の60°鏡面光沢の値を下記のように測定し、下記式より光沢保持率GR(%)を算出した。結果を表5に示す。
GR=A/B×100
A:促進耐候性試験(S−WOM)2500時間終了後の60°鏡面光沢値
B:促進耐候性試験(S−WOM)開始前の60°鏡面光沢値
<促進耐候性試験>
1995年発行のJIS A1415の4.(促進曝露試験装置)に規定するサンシャインカーボンアーク灯(WS形)を用い、5.(試験方法)に規定する試験方法によって試験した。
<光沢値>
JIS K5400に準拠して、VZ−2000(商品名、日本電色社製)を用いて、光源の入射角を60°として光沢値を測定した。
塗料配合時に各実施例の塗料配合に、更に添加型HALS(添加型紫外線安定剤)であるTinuvin292(チバスペシャルティケミカルズ社製)を樹脂固形分に対して1%加えて塗料とし、上記耐候性と同様に試験した。結果を表5に示す。
使用樹脂A及び使用樹脂B:実施例、参考例で用いる各製造例で調製された水性樹脂分散体
A/B:使用樹脂A及び使用樹脂Bの有り姿での含有割合
*1:サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験において、2500時間経過後の60°鏡面光沢における光沢保持率
*2:添加型紫外線安定剤であるTinuvin292(チバスペシャルティケミカルズ社製)を樹脂固形分に対して1%添加してサンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験行った場合の2500時間経過後の60°鏡面光沢における光沢保持率
Claims (5)
- 芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体であって、
該重合体は、芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して15〜40質量%であって、
重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体、及び/又は、重合体Aと重合体Bとを含有する混合物であり、重合体Aは、芳香族系単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して30〜70質量%であって、カルボキシル基含有単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して3質量%以下であり、更に(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法、のいずれかを含む方法により架橋構造を形成したものであり、
該重合体Bは、芳香族系単量体単位が、重合体Bの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して0〜20質量%であり、
該水性樹脂分散体の塗膜は、サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験2500時間経過後の60°鏡面光沢保持率GR(%)が下記式(1)を満たし、かつ、62以上である
ことを特徴とする水性樹脂分散体。
GR>(100−S)×(1+Y)+5 (1)
式中、Sは、該重合体における単量体成分より構成される全単量体単位を100質量%とする場合の芳香族系単量体単位の含有率である。Yは、該重合体における紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位の含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合には、Y=−0.25+0.5Zであり、Z>0.5質量%の場合には、Y=0である。 - 前記芳香族系単量体単位を必須とする重合体は、紫外線吸収性重合性単量体及び/又は紫外線安定性重合性単量体を全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.1〜10質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂分散体。
- 前記芳香族系単量体単位を必須とする重合体は、重合性不飽和結合基を有する乳化剤を使用して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性樹脂分散体。
- 前記水性樹脂分散体は、平均粒子径が50nm〜300nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
- 芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体を製造する方法であって、
該製造方法は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を必須とする単量体成分を重合して、重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体を得る工程を含んでなり、
該重合工程は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の全使用量が全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して15〜40質量%であり、
重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して30〜70質量%、カルボキシル基含有単量体の使用量を3質量%以下として重合体Aを重合し、更に、(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法、のいずれかを含む方法により重合体Aに架橋構造を形成し、
重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0〜20質量%として重合体Bを重合する
ことを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法。
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