JP5258141B2 - 水性樹脂分散体及び製造方法 - Google Patents

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本発明は、水性樹脂分散体及びその製造方法に関する。より詳しくは、各種下塗り、中塗り、上塗り等に利用される水性樹脂分散体及びその製造方法に関する。
従来の水性樹脂分散体としては、アクリルエマルションが知られており、耐水性において有用なものである。このようなアクリルエマルションは、プラスチック成形品用、家電製品用、鋼製品、大型構造物、車両用、建材用、建築用、瓦用、木工用等の各種下塗り、中塗り、上塗り等に利用されていることから、これらの各種用途に好適に用いることができるような特性を発揮できるようにすることが重要である。このようなアクリルエマルションについては、スチレンを含有する単量体成分を用いることが検討されているが、耐候性において充分ではなく、この点について改善の余地があった。
共重合エマルションの製造方法に関して、α,β−エチレン性不飽和単量体としてスチレン及びカルボキシル基含有単量体を用い、第1段階から最終段階にわたって該スチレン及びカルボキシル基含有単量体の使用量を次第に減少させることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような製造方法では、スチレンを多量に重合させている重合段階において、親水性基であるカルボキシル基を有する単量体を多量に用いて共重合エマルションを製造しているため、得られる共重合エマルションより構成される塗膜の耐侯性が充分ではなく、各種下塗り、中塗り、上塗り等の各種用途に好適なエマルションとするための工夫の余地があった。
特開平6−179726号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、水の侵入を防ぐことにより塗膜劣化を抑制して、優れる耐候性を発揮することができ、各種下塗り、中塗り、上塗り等の用途に要求される基本物性を充分に発揮することができる水性樹脂分散体を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、水性樹脂分散体について種々検討したところ、スチレンを単量体成分として用いて得られるアクリルエマルションが塗膜用エマルションとして有用であることに着目し、特定量の芳香族系単量体単位を含有する重合体を含むアクリルエマルションとし、このアクリルエマルションを用いてなる塗膜の促進耐候性試験(S−WOM)後の光沢保持率(GR)が、特定の式により求められる値を上回るものとすることにより、各種下塗り、中塗り、上塗り等の用途に好適に用いることができるような優れる特性を発揮できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。このような水性樹脂分散体の製造においては、スチレン等の重合性不飽和結合基含有芳香族化合物が多量に重合されている重合段階を疎水性にすることが好ましい形態であり、このような形態とすることにより、塗膜劣化の原因となる水の侵入を防ぎ、耐候性の向上を図ることができることを見いだし、その結果、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を増やすことが可能となり、低コスト化を可能とすることも見いだし、本発明に到達したものである。また、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を多量に重合させている重合段に選択的に架橋系を導入することにより、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を多量に含有する重合体を高分子量化し、架橋構造を有するものとできることから、重合体の強度を上げ、耐候性を更に向上させることができることも見いだしたものである。
すなわち本発明は、芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体であって、上記重合体は、芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して15〜40質量%であり、上記水性樹脂分散体の塗膜は、サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験2500時間経過後の60°鏡面光沢保持率GR(%)が下記式(1)を満たす水性樹脂分散体である。
GR>(100−S)×(1+Y)+5 (1)
式中、Sは、上記重合体における単量体成分より構成される全単量体単位を100質量%とする場合の芳香族系単量体単位の含有率である。Yは、上記重合体における紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位の含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合には、Y=−0.25+0.5Zであり、Z>0.5質量%の場合には、Y=0である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の水性樹脂分散体は、芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して15〜40質量%である重合体を含有してなるものである。15質量%未満であると、耐水性を充分には向上できないこととなり、40質量%を超えると、耐候性を充分には向上できないこととなる。下限値としては、好ましくは、18質量%であり、より好ましくは、20質量%である。上限値としては、好ましくは、35質量%であり、より好ましくは、30質量%である。
なお、上記重合体を構成する単量体単位は、重合性不飽和結合基含有化合物やその他の化合物を含有する単量体成分を重合することにより形成されるものであり、上記芳香族系単量体単位の含有量としては、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位を基準とするものである。また、本発明の水性樹脂分散体を構成する化合物やその原料等は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の水性樹脂分散体はまた、その塗膜が、サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験(S−WOM)2500時間経過後の60°鏡面光沢保持率GR(%)が上記式(1)を満たすものである。
上記式(1)中のSにおける芳香族系単量体単位の含有率としては、本発明に必須として有される重合体において、重合性不飽和結合基含有化合物やその他の化合物を含有する単量体成分を重合することにより形成される全単量体単位100%中の芳香族系単量体単位の割合を表すものである。
上記Yにおいて、紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位としては、例えば、水性樹脂分散体に含有される重合体の単量体単位が該物質より構成されている形態であっても、重合体に該物質が付加されている形態であってもよい。
上記式(1)においては、含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合、上記式(1)は、
GR>(100−S)×(0.75+0.5Z)+5 (2)
となり、含有量Zが、Z>0.5質量%の場合、上記式(1)は、
GR>(100−S)+5 (3)
となる。
上記促進耐候性試験(S−WOM)としては、例えば、以下のように行うことができる。
まず、下記組成からなる白塗料を調製する。
・水 62.4部
・特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤
(商品名「デモールEP」、花王社製) 2.0部
・消泡剤(商品名「ノブコ8034」、サンノブコ社製) 0.3部
・酸化チタン(商品名「CR−95」、石原産業社製) 60.0部
・水性樹脂分散体(固形分49〜51%) 146.7部
・2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレート
(商品名「CS−12」、チッソ社製) 11.7部
・5%ポリエーテル系の増粘剤
(商品名「アデカノールUH−420」、旭電化社製) 1.0部
合計284.1部
得られた白塗料を、溶剤系シーラーを塗布したJIS A5430に準ずるスレート板(6mm×70mm×150mm、日本テストパネル社製)上に、乾燥塗膜が約100〜150μmとなるように塗布する。そして、塗料を25℃で7日間乾燥させ、これをテストピースとする。このテストピースを用いてサンシャインウェザオメーターによって促進耐候性試験を行い、2500時間後の塗膜の60°鏡面光沢値を測定し、下記式より光沢保持率GR(%)を算出する。
上記促進耐候性試験は、1995年発行のJIS A1415の4.(促進曝露試験装置)に規定するサンシャインカーボンアーク灯(WS形)を用い、5.(試験方法)に規定する試験方法によって試験する。
上記光沢保持率(GR(%))は、下記ように定義する。
GR=A/B×100
A:促進耐候性試験(S−WOM)2500時間終了後の60°鏡面光沢値
B:促進耐候性試験(S−WOM)開始前の初期60°鏡面光沢値
本発明における重合体としては、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を必須として含有する単量体成分を重合することにより得られるものであることが好ましい。
上記重合性不飽和結合基含有芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート等が好適であり、これらの中でも、スチレンが好ましい。このような重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量としては、重合体における芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して上述のような範囲となるように用いることとなる。すなわち、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、下限値が15質量%であることが好ましい。より好ましくは、18質量%であり、更に好ましくは、20質量%である。上限値としては、40質量%であることが好ましい。より好ましくは、35質量%であり、更に好ましくは、30質量%である。
また、本発明における重合体としては、(メタ)アクリロイル基含有化合物を必須とする単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
上記単量体成分としては、紫外線吸収性重合性単量体や紫外線安定性重合性単量体を含有していてもよく、紫外線吸収性重合性単量体としては、2−〔2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−(メタ)アクロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等が好適であり、紫外線安定性重合性単量体としては、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等が好適である。
上記紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、耐候性向上の効果を充分に発揮できないおそれがある。10質量%を超えると、コストを低減できないおそれがあり、また、重合安定性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.2〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
また上記水性樹脂分散体においては、上述のような重合性を有する紫外線吸収性単量体や紫外線安定性単量体を単量体成分とする重合体を含有していてもよいが、重合性不飽和結合基を有しない添加型の化合物である紫外線吸収剤や紫外線安定剤(光安定剤)を含有していてもよい。
上記添加型の化合物において、紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−ト、4−t−ブチルフェニルサリシレ−ト等のサリチル酸誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレ−ト、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−ト、2,4−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、4,6−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル等のベンゾトリアゾ−ル系及びその他(シュウ酸アニリド等)の化合物等が好適であり、光安定剤としては、例えば、ヒンダ−ドアミン誘導体であるビス−(2,2′,6,6′−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバテ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2′,6,6′−テトラメチルピペリジン等が好適である。
上記添加型の化合物の使用量としては、本発明における重合体100質量%に対して、該添加型の化合物を0.1〜10質量%含有することが好ましい。より好ましくは、0.2〜5質量%であり、更に好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記単量体成分としてはまた、カルボキシル基を有する重合性単量体を含有していてもよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等が好適である。
上記カルボキシル基を有する重合性単量体の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.5〜4質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、機械安定性を充分に向上できないおそれがある。4質量%を超えると、耐水性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.7〜3質量%であり、更に好ましくは、1.0〜2.5質量%である。
上記単量体成分としては更に、その他の単量体を含有していてもよく、例えば以下のような化合物等が好適である。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール等のオキソ基を有する重合性単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有重合性単量体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の窒素原子含有重合性単量体類。
上記重合体は、重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体、及び/又は、重合体Aと重合体Bとを含有する混合物であることが好ましい。より好ましくは、多段重合体である。また、上記重合体Aは、芳香族系単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して30〜70質量%であることが好ましく、重合体Bは、芳香族系単量体単位が、重合体Bの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して0〜20質量%であることが好ましい。
上記重合体Aにおいては、芳香族系単量体単位の下限値が40質量%であることがより好ましく、上限値が60質量%であることがより好ましい。
上記重合体Bにおいては、芳香族系単量体単位の下限値が5質量%であることがより好ましく、上限値が15質量%であることがより好ましい。
上記多段重合体としては、乳化重合による多段重合形態により得られる重合体であることが好ましく、2段重合を行うことにより得られる重合体であることがより好ましい。このような多段重合体を調製する場合においては、重合体Aとしては重合前半に重合することが好ましい。より好ましくは、1段目の重合反応である。また、混合物としては、例えば、異なる重合器内で重合体A及び重合体Bをそれぞれ重合し、別々に得られた重合体A及び重合体Bを混合して得られるものであっても、1つの重合器内で一方の重合体(例えば重合体A)を重合した後に、他方の(例えば重合体B)を重合することにより混合物として得られるものであってもよい。
このようにすることにより、重合体A及び重合体Bにおいて芳香族系単量体単位が多く含まれる部分が内側に存在する形態とすることができることから、水の侵入による塗膜劣化を抑制することが可能となる。
上記重合体Aは、カルボキシル基含有単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して3質量%以下であることが好ましい。3質量%を超えると、重合部の親水性が上がり、耐侯性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
上記重合体Aの重合においては、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物、カルボキシル基含有重合性不飽和結合基含有化合物以外の重合性不飽和結合基含有化合物は任意であるが、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の重合性不飽和結合基含有化合物を使用する場合は、SP値(Solubility Parameter)が9.5以下の重合性不飽和結合基含有化合物を使用することが好ましく、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート等が好適である。
上記重合体Aはまた、架橋構造を有するものであることが好ましい。このような形態とすることにより、重合体の強度を向上させることができ、耐候性が更に優れたものとすることができることになる。
上記重合体Aに架橋構造を形成する方法としては、どのような方法でもよいが、(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤等を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法等が好適であり、これらの中でも、(1)の方法が好ましい。
上記(1)の方法においては、重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を上記重合体の重合時に用いることにより架橋構造を形成することになる。
上記重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以下である。
上記重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸とアリルエステル等が好適である。
上記(2)の方法においては、単量体成分としてエポキシ基を有する重合性単量体とカルボキシル基を有する重合性単量体とを用いて重合し、重合体に導入されたエポキシ基とカルボキシル基とを反応させることにより架橋構造を形成することになる。
上記エポキシ基を有する重合性単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が好適であり、その使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物総量に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以下である。
上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、上述のカルボキシル基を有する重合性単量体等が好適あり、その使用量としては、上述したような範囲で用いることが好ましい。
上記(3)の方法においては、例えば、単量体成分中にシランカップリング剤等を含有させて反応させることにより架橋構造を形成することになる。
上記シランカップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の重合性不飽和結合基を有することが好ましい。このような重合性不飽和結合基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が好適である。
また重合性不飽和結合基を有しないシランカップリング剤を用いることもでき、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、β−(2,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が好適である。
上記シランカップリング剤の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して3質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以下ある。
上記重合体の重合方法としては、芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して15〜40質量%となるように、単量体成分を重合して重合体を得る方法等を挙げることができる。好ましい重合形態としては、1段重合形態であっても多段重合形態であってもよいが、重合体が上述のような多段重合体である場合には、上述のような多段重合形態とすることが好ましく、混合物である場合には、上述のように重合することが好ましい。
上記重合工程において、多段重合形態の第1段目の重合反応では、水性媒体、乳化剤及び単量体成分の一部に、重合開始剤を添加して重合を開始する初期重合反応を行った後、第1段目の本重合反応を行う形態としてもよく、1段目の本重合反応のみの形態としてもよい。
上記初期重合反応は、樹脂粒子の核、すなわち樹脂粒子の中心部分を形成させるものであり、投入した単量体成分の80質量%以上を重合させることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上である。第2段目以降の反応においては、初期重合反応を行う必要はなく、直ちに本重合反応を行えばよい。
上記初期重合反応における単量体成分の使用量は、全単量体成分の合計使用量に対して、2.5〜20質量%であることが好ましい。2.5質量%未満であると、粒子径が大きくなりやすく、20質量%を超えると、発熱の制御を充分に行うことができなくなるおそれがある。より好ましくは、5〜10質量%である。
上記初期重合反応においては、原料(水性媒体、乳化剤及び単量体成分)を単に混合したものから重合を始めてもよいし、原料を機械撹拌により乳化させ、プレエマルションとしておいて重合を始めてもよいし、原料のうちの一部(例えば、水性媒体、単量体成分のうちの1種又は2種以上等)を単に混合したものを仕込んでおき、残りをプレエマルションとして添加しながら重合を始めてもよい。
また各段の本重合反応で用いる単量体成分は、単独で添加してもよいし、水性媒体や乳化剤とともにプレエマルションとして添加してもよいし、一部をプレエマルションとし残部とともに混合したものを添加してもよい。また、初期重合反応及び各段の本重合反応における添加方法としては、一括添加、分割添加、連続滴下等のいずれでもよく、各段階で添加方法が同じであっても異なっていてもよい。
上記乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等を挙げることができる。
上記アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルスルフォネート、ナトリウムドデシルスルフォネート等のアルキルスルフォネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルフォネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルフォネート等のアルキルアリールスルフォネート塩;ポリオキシエチレンアルキルスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「ハイテノール18E」等);ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「ハイテノールN−08」等);ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレート等の脂肪酸塩等が好適である。
上記ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、三洋化成工業社製「ナロアクティーN−200」等);ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(例えば、三洋化成工業社製「ノニポール−200」等);ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの縮合物;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリアミド;エチレンオキサイドと脂肪族アミンの縮合生成物等が好適である。
上記カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウム塩等が好適である。
上記両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤等が好適である。
上記高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレート等のポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;又はこれらの重合体を構成する重合性単量体のうちの1種以上を共重合成分とする共重合体等が好適である。
また、特に、耐水性を重視する場合には、乳化剤として、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基のような重合性不飽和結合基を有する乳化剤を使用するのが好ましい。重合性不飽和結合基を有するアニオン性乳化剤としては、例えば、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルフォネート塩(例えば、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」等)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンHS−10」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)やアリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルフォネート塩(例えば、旭電化工業社製「アデカリーソープSE−10」等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープSR−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)等が好適ある。
上記重合性基を有するノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンRN−20」等)、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープNE−20」等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープER−20」等)等が好適である。
また特に、環境面を重視する場合には、乳化剤として、非ノニルフェニル型の乳化剤を用いるのが好ましく、例えば、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープER−20」等)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば、旭電化工業社製「アデカリアソープSR−10」等)、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルフォネート塩(例えば、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネート塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等が好適である。ここで、ノニルフェニル型乳化剤とは、(1)ノニルフェニル基を有する乳化剤、(2)分解してノニルフェノールを放出する可能性のある乳化剤のことであり、非ノニルフェニル型乳化剤としては、それ以外の乳化剤を指す。
上記乳化剤の使用量は、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、重合安定性が充分に向上しないおそれがあり、10質量%を超えると、塗膜の耐水性を充分に向上できないおそれがある。より好ましくは、0.5〜5質量%である。より好ましくは、1〜3質量%である。
上記水性媒体としては、通常、水が使用されるが、必要に応じて、例えばメタノールのような低級アルコール等の親水性溶媒を併用することもできる。水性媒体の使用量は、得ようとするエマルションの所望の樹脂固形分を考慮して適宜設定すればよい。水性媒体の添加時期については、初期重合反応のために予め反応釜に仕込んでおいてもよいし、本重合反応の際にプレエマルションとして投入してもよい。また、水性媒体は、必要に応じて、冷却、洗浄、固形分調整、粘度調整等の工程で用いてもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の過酸化物等が挙げられる。
上記重合開始剤の使用量としては、全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.01〜1質量%とするのが好ましい。0.01質量%未満であると、重合速度が遅くなって未反応の単量体成分が残存するおそれがあり、1質量%を超えると、形成される塗膜の耐水性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.05〜0.8質量%とすることであり、更に好ましくは、0.1〜0.5質量%とすることである。
また添加方法は、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下等のいずれの方法であってもよい。更に、重合の完了を速めるためには、最終段の単量体成分の滴下終了前後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
上記重合工程においては、重合開始剤の分解を促進する目的で、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤や硫酸第一鉄等の遷移金属塩を添加してもよい。また、必要に応じて、pH緩衝剤、キレート剤、連鎖移動剤、成膜助剤等の添加剤を添加してもよい。
上記連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン等のチオール基を有する化合物等が挙げられる。連鎖移動剤や調節剤の使用量は、例えば、単量体成分の合計使用量に対して0.01〜10質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.02〜5質量%とすることである。
上記重合温度としては、0〜100℃であることが好ましい。より好ましくは、40〜95℃である。重合温度は一定であってもよいし、重合途中で又は各段階によって変化させてもよい。重合時間についても、反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合開始から終了まで2〜8時間とするのが好ましい。重合時の雰囲気については、重合開始剤の効率を高めるため窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うのが一般的である。
上記重合工程においては、得られる重合体のもつ酸性基の一部又は全部を中和剤で中和してもよい。中和を行う時期としては、最終段の単量体成分の添加後に行ってもよいし、例えば2段重合形態の場合、1段目の重合反応と2段目の重合反応の間に行ってもよい。また、初期反応終了時に行うことも可能である。
上記中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸化物;アンモニア、モノメチルアミン等の有機アミン等のアルカリ性物質を用いることができる。これらの中でも、特に耐水性を重視する場合には、アンモニア等の揮発性をもつアルカリ性物質が好ましい。
本発明はまた、芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体を製造する方法であって、上記製造方法は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を必須とする単量体成分を重合して、重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体を得る工程を含んでなり、上記重合工程は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の全使用量が全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して15〜40質量%であり、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して30〜70質量%、カルボキシル基含有単量体の使用量を3質量%以下として重合体Aを重合し、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0〜20質量%として重合体Bを重合する水性樹脂分散体の製造方法でもある。
上記重合体Aを重合する際には、該重合体Aの重合で用いる重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を30〜70質量%とし、かつカルボキシル基含有単量体の使用量を3質量%以下とすることになる。また、重合体Bを重合する際には、該重合体Bで用いる重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を0〜20質量%とすることになる。このような製造方法は、上述したような本発明の水性樹脂分散体を製造する場合にも好適な方法である。
本発明における重合体のガラス転移温度としては、下限値が−20℃であることが好ましい。より好ましくは、−10℃であり、更に好ましくは、0℃である。上限値としては、50℃であることが好ましい。より好ましくは、40℃であり、更に好ましくは、30℃である。なお、多段重合により重合体を得る場合においては、重合段のTg差はつけてもつけなくてもよく、重合体全体のガラス転移温度が上記範囲内にあればよい。
上記ガラス転移温度は、次のFoxの式より計算して求めることができる。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)
ここで、Wnは単量体nの質量%、Tgnは単量体nからなるホモポリマーのTg(絶対温度)を示す。
本発明における水性樹脂分散体における平均粒子径としては、下限値が50nmであることが好ましい。50nm未満あると、重合上必要な固形分が得られにくくなるおそれがある。より好ましくは、70nmであり、更に好ましくは、90nmである。上限値としては、300nmが好ましい。300nmを越えると、耐水性、特に耐水白化性を充分に向上することができないおそれがある。より好ましくは、250nmであり、更に好ましくは、200nmである。
上記平均粒子径としては、例えば、動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizlng Systems社製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径として測定することができる。
本発明における水性樹脂分散体は、必要に応じて添加剤等を含有していてもよく、例えば、顔料、骨材等を挙げることができる。また、顔料や骨材以外に、更に、充填剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、安定剤、染料、酸化防止剤等を含有していてもよい。
上記顔料としては、例えば、無機顔料として酸化チタン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の白色顔料、カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、べんがラ等の着色顔料等を挙げることができ、また、有機顔料としてベンジジン、ハンザイエロー等のアゾ化合物やフタロシアニンブルー等のフタロシアニン類等を挙げることができる。本発明の水性樹脂分散体を例えば塗料として用いる場合には、塗膜の耐候性を低下させることのないように、耐候性の良好なものを選択することが好適であり、例えば、白色顔料である酸化チタンに関してはアナタース型の酸化チタンを用いるよりもルチル型の酸化チタンを用いる方が塗膜の耐候性の面で好ましい。また、ルチル型としては、硫酸法酸化チタンよりは塩素法酸化チタンのほうが長期に耐候性を維持発現させることができるので好ましい。
上記骨材としては、透明骨材であっても着色骨材であってもよく、透明骨材としては長石、硅砂、硅石、寒水砂、ガラスビーズ、合成樹脂ビーズ等を挙げることができ、また、着色骨材としては大理石粉、御影石粉、蛇紋岩、蛍石、着色硅砂粉、有色陶磁器粉等を挙げることができる。
上記顔料や骨材等の添加剤を含む場合、その効果を充分に発揮するためには、本発明の水性樹脂分散体中のその含有割合は、クリアー塗料等に用いる場合は40質量%未満が好ましい。また、エナメル塗料等に用いる場合は、好ましくは5〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは20〜60質量%である。
上記水性樹脂分散体は、塗料として用いられる場合、単独で一層に塗工される形態でもよいし、二層以上に重ね塗りする形態でもよい。また、二層以上に重ね塗りする場合には、その一部の層のみが本発明の水性樹脂分散体により形成される形態でもよいし、全部の層が本発明の水性樹脂分散体により形成される形態でもよい。
上記重ね塗りの方法は、例えば、プライマー処理やシーラー処理等を施した塗装対象物に、第1層(下塗り層)の塗料を塗布して乾燥させ、続いて第2層(上塗り層)の塗料を上塗りして乾燥させる方法等を挙げることができる。塗料を塗布する方法としては、スプレーやロールコーター、フローコーター等の塗布装置やローラー、ハケ、コテ等を用いることができる。
本発明における水性樹脂分散体は、種々の用途に用いることができ、例えば、プラスチック成形品用、家電製品用、鋼製品、大型構造物、車両用(例えば、自動車補修用のソリッドカラー用やメタリックベース用、クリヤートップ用)、建材用、建築内・外装用、瓦用、木工用等の各種下塗り、中塗り、上塗り等に利用できるものである。特に、建材用、建築内・外装用として好適に用いることができるものであり、更に好ましくは、建築建材用、建築外装用として用いることができる。特に建築外装用としては、単層弾性塗料用、複層トップコート用として有用である。
本発明の水性樹脂分散体を建築外装用として用いる場合、その基材としては、例えば、コンクリート、PCパネル、セメントモルタル、ALCパネル、コンクリートブロック、スレート板、石綿セメント系サイディング等を挙げることができ、これらの基材上に塗布することにより塗膜を形成することができる。
本発明の水性樹脂分散体は、上述の構成よりなり、水の侵入を防ぐことにより塗膜劣化を抑制して、優れる耐候性を発揮することができ、各種下塗り、中塗り、上塗り等の用途に要求される基本物性を充分に発揮することができるものであり、例えば、建築建材用、建築外装用塗料等の種々の用途において好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(製造例1)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水467.2g、乳化剤(「アデカリアソープSR−10」旭電化工業社製;以下「アデカリアソープSR−10」と称す)の25%水溶液36.0g、乳化剤(「アデカリアソープER−20」旭電化工業社製;以下「アデカリアソープER−20」と称す)の25%水溶液36.0g、ダイアセトンアクリルアミド1.0g、2−エチルヘキシルアクリレート38.6g、メチルメタクリレート53.4g、スチレン5.0g、アクリル酸2.0gを仕込んだ。ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。
昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、滴下ロートに仕込んだ脱イオン水126.4g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.8g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.8g、ダイアセトンアクリルアミド4g、2−エチルへキシルアクリレート152.0g、メチルメタクリレート56.0g、スチレン180.0g、アクリル酸8.0gからなる一段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液34.4g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム24.0gを、80分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、一段目の重合を終了した。
引き続いて脱イオン水157.9g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液13.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液13.2g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルへキシルアクリレート193.0g、メチルメタクリレート267.0g、スチレン25.0g、アクリル酸10.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液42.9g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム30.0gを、100分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水13.0gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
得られた水性樹脂分散体を、下記のような方法で固形分(不揮発分)、粘度、pH、最低造膜温度(MFT)及び平均粒子径を測定した。結果を表2に示す。以下、製造例2〜19についても同様に行い、結果を表2〜4に示した。
<不揮発分>
得られた水性樹脂分散体約1gを秤量、熱風乾燥機で105℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<粘度>
BM型粘度計(東京計器社製)により30min−1、25℃にて測定した。粘度測定時には、粘度に応じてローターを選定した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<最低造膜温度(MFT)>
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に0.2mmのアプリケーターで、得られた水性樹脂分散体を塗工、乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温度(MFT)とした。
<平均粒子径>
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizlng Systems社製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
(製造例2〜7)
表1に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例8)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水434.9g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液33.3g、アデカリアソープER−20の25%水溶液33.3gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水189.6g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液16.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液16.2g、ダイアセトンアクリルアミド7.6g、2−エチルへキシルアクリレート228.6g、メチルメタクリレート321.8g、スチレン30.0g、アクリル酸12.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの137.0gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2、5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、滴下ロートに仕込んだ残りのプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液42.9g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム30.0gを、100分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持し、一段目の重合を終了した。
引き続いて脱イオン水126.4g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.8g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.8g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルヘキシルアクリレート154.0g、メチルメタクリレート57.0g、スチレン180.0g、アクリル酸4.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液34.3g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム24.0gを、90分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水13.0gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
(製造例9)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水434.9、アデカリアソープSR−10の25%水溶液33.3g、アデカリアソープER−20の25%水溶液33.3gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水189.6g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液16.2g、アデカリアソープER−20の25%水溶液16.2g、ダイアセトンアクリルアミド7.6g、2−エチルヘキシルアクリレート228.6g、メチルメタクリレート321.8g、スチレン30.0g、アクリル酸12.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの137.0gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、滴下ロートに仕込んだ残りのプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液42.9g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム30.0gを、100分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で30分間維持した後、25%アンモニア水13.0gを添加し、同温度で10分間維持し一段目の重合を終了した。
引き続いて脱イオン水126.4g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.8g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.8g、ダイアセトンアクリルアミド5.0g、2−エチルへキシルアクリレート154.0g、メチルメタクリレート45.0g、スチレン180.0g、4−メタクリロイロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン10.0gからなる二段目のプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液34.3g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム24.0gを、90分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水20.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し、二段目の重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
(製造例10〜12)
表3に記載の組成とした以外は、製造例8と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例13)
表3に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例14)
滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに脱イオン水516.5g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液10.0g、アデカリアソープER−20の25%水溶液10.0gを仕込んだ。そして滴下ロートに脱イオン水245.0g、アデカリアソープSR−10の25%水溶液50.0g、アデカリアソープER−20の25%水溶液50.0g、2−エチルへキシルアクリレート328.0g、メチルメタクリレート162.0g、スチレン500.0g、アクリル酸10.0gからなるプレエマルションを仕込み、そのうちの134.5gをフラスコに添加した。次にゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら撹拌下70℃まで昇温した。昇温後、3.5%の過硫酸カリウム水溶液を8.6g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウムを6.0g添加し、重合を開始した。この時に反応系内を80℃まで15分かけて昇温した。ここまでを初期重合とした。
初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、滴下ロートに仕込んだ残りのプレエマルション、3.5%の過硫酸カリウム水溶液77.1g、2.5%の亜硫酸水素ナトリウム54.0gを、180分間にわたって均一滴下した。滴下後、脱イオン水30.0gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコに添加した。その後も同温度で60分間維持し重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水6.5gをフラスコに添加し、30分撹拌後、100メッシュの金網でろ過して、水性樹脂分散体を得た。
(製造例15〜18)
表4に記載の組成とした以外は、製造例14と同様の方法を用いて重合反応を行った。
(製造例19)
表4に記載の組成とした以外は、製造例1と同様の方法を用いて重合反応を行った。
Figure 0005258141
Figure 0005258141
Figure 0005258141
Figure 0005258141
表1、3及び4について以下に説明する。
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
St:スチレン
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
A−174:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
GMA:グリシジルメタクリレート
LA82:4−メタクリロイロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
25%SR−10:アデカリアソープSR−10(旭電化工業社製)の25%水溶液
25%BC−10:アクアロンBC−10(第一工業製薬社製)の25%水溶液
25%ラテムルE−118B:ラテムルE−118B(花王社製)の25%水溶液
25%ER−20:アデカリアソープER−20(旭電化工業社製)の25%水溶液
25%RN−20:アクアロンRN−20(第一工業製薬社製)の25%水溶液
3.5%KPS水溶液:過硫酸カリウムの3.5%水溶液
2.5%SMBS水溶液:亜硫酸水素ナトリウムの2.5%水溶液
25%アンモニア水:アンモニアの25%水溶液
(実施例2〜7、11〜13及び15参考例1、8、9、10及び14)
水性樹脂分散体を用いてなる塗料について、下記のようにして促進耐候性試験(S−WOM)を行うことにより評価した。
基本配合:上記組成からなる白塗料とした。
実施例2〜4及び15、参考例1、8、9、10の塗料配合:塗料化時に上記基本配合に10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を、各製造例に用いられているダイアセトンアクリルアミドに対して当量になるように添加して塗料とした。
実施例5〜7、11〜13、参考例14、比較例1及び2:基本配合をそのまま使用した。
参考例14:製造例14及び製造例15で得られた水性樹脂分散体を有姿で1:1にブレンドして使用した。
実施例15:製造例16及び製造例17で得られた水性樹脂分散体を有姿で1:1にブレンドして使用した。
<耐候性>
得られた塗料を、溶剤系シーラーを塗布したJIS A5430に準ずるスレート板(6mm×70mm×150mm、日本テストパネル社製)上に、乾燥塗膜が約100〜150μmとなるように塗布した。そして、塗料を25℃で7日間乾燥させ、これをテストピースAとした。このテストピースAを用いてサンシャインウェザオメーターにて下記のように促進耐候性試験を行い、促進耐候性試験2500時間経過後の60°鏡面光沢の値を下記のように測定し、下記式より光沢保持率GR(%)を算出した。結果を表5に示す。
GR=A/B×100
A:促進耐候性試験(S−WOM)2500時間終了後の60°鏡面光沢値
B:促進耐候性試験(S−WOM)開始前の60°鏡面光沢値
<促進耐候性試験>
1995年発行のJIS A1415の4.(促進曝露試験装置)に規定するサンシャインカーボンアーク灯(WS形)を用い、5.(試験方法)に規定する試験方法によって試験した。
<光沢値>
JIS K5400に準拠して、VZ−2000(商品名、日本電色社製)を用いて、光源の入射角を60°として光沢値を測定した。
<耐候性(HALS)>
塗料配合時に各実施例の塗料配合に、更に添加型HALS(添加型紫外線安定剤)であるTinuvin292(チバスペシャルティケミカルズ社製)を樹脂固形分に対して1%加えて塗料とし、上記耐候性と同様に試験した。結果を表5に示す。
Figure 0005258141
表5について以下に説明する。
使用樹脂A及び使用樹脂B:実施例、参考例で用いる各製造例で調製された水性樹脂分散体
A/B:使用樹脂A及び使用樹脂Bの有り姿での含有割合
*1:サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験において、2500時間経過後の60°鏡面光沢における光沢保持率
*2:添加型紫外線安定剤であるTinuvin292(チバスペシャルティケミカルズ社製)を樹脂固形分に対して1%添加してサンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験行った場合の2500時間経過後の60°鏡面光沢における光沢保持率

Claims (5)

  1. 芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体であって、
    該重合体は、芳香族系単量体単位が、重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して15〜40質量%であって、
    重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体、及び/又は、重合体Aと重合体Bとを含有する混合物であり、重合体Aは、芳香族系単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して30〜70質量%であって、カルボキシル基含有単量体単位が、重合体Aの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して3質量%以下であり、更に(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法、のいずれかを含む方法により架橋構造を形成したものであり、
    該重合体Bは、芳香族系単量体単位が、重合体Bの重合性不飽和結合基含有化合物より構成される全単量体単位に対して0〜20質量%であり、
    該水性樹脂分散体の塗膜は、サンシャインウェザオメーターによる促進耐候性試験2500時間経過後の60°鏡面光沢保持率GR(%)が下記式(1)を満たし、かつ、62以上である
    ことを特徴とする水性樹脂分散体。
    GR>(100−S)×(1+Y)+5 (1)
    式中、Sは、該重合体における単量体成分より構成される全単量体単位を100質量%とする場合の芳香族系単量体単位の含有率である。Yは、該重合体における紫外線吸収性重合性単量体及び紫外線安定性重合性単量体より構成される単量体単位の含有量Zが、単量体成分より構成される全単量体単位100質量%に対して、0質量%≦Z≦0.5質量%の場合には、Y=−0.25+0.5Zであり、Z>0.5質量%の場合には、Y=0である。
  2. 前記芳香族系単量体単位を必須とする重合体は、紫外線吸収性重合性単量体及び/又は紫外線安定性重合性単量体を全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0.1〜10質量%含むことを特徴とする請求項に記載の水性樹脂分散体。
  3. 前記芳香族系単量体単位を必須とする重合体は、重合性不飽和結合基を有する乳化剤を使用して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性樹脂分散体。
  4. 前記水性樹脂分散体は、平均粒子径が50nm〜300nmであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の水性樹脂分散体。
  5. 芳香族系単量体単位を必須とする重合体を含有してなる水性樹脂分散体を製造する方法であって、
    該製造方法は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物を必須とする単量体成分を重合して、重合体Aと重合体Bとから構成される多段重合体を得る工程を含んでなり、
    該重合工程は、重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の全使用量が全重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して15〜40質量%であり、
    重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して30〜70質量%、カルボキシル基含有単量体の使用量を3質量%以下として重合体Aを重合し、更に、(1)重合性不飽和結合基を2つ以上有する重合性不飽和結合基含有化合物を使用して架橋構造を形成する方法、(2)カルボキシル基とエポキシ基との反応により架橋構造を形成する方法、(3)シランカップリング剤を使用してシロキサン架橋構造を形成する方法、のいずれかを含む方法により重合体Aに架橋構造を形成し、
    重合性不飽和結合基含有芳香族化合物の使用量を重合性不飽和結合基含有化合物使用量に対して0〜20質量%として重合体Bを重合する
    ことを特徴とする水性樹脂分散体の製造方法。
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