JP3484209B2 - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents

塗料用樹脂組成物

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JP3484209B2
JP3484209B2 JP27819493A JP27819493A JP3484209B2 JP 3484209 B2 JP3484209 B2 JP 3484209B2 JP 27819493 A JP27819493 A JP 27819493A JP 27819493 A JP27819493 A JP 27819493A JP 3484209 B2 JP3484209 B2 JP 3484209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料用樹脂組成物に関す
る。さらに詳しくは、すぐれた光沢、耐水性、耐酸性、
耐薬品性などを呈するだけでなく、長期間にわたって光
沢保持性、耐変色性、耐ブリスター性、耐クラック性な
どのきわめてすぐれた耐候性をも呈する塗膜を形成する
ことができ、たとえば建築物の内外壁材、自動車、大型
構造物、鋼製機器、家電製品、木工などの塗装などに好
適に使用しうる塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たとえば建築物の内外壁材の塗装
用などの塗料としては、湿潤面に直接塗布することがで
き、取扱いが容易であり、溶剤臭を発生せず、引火して
爆発を起こす危険性が少なく、比較的安価であるといっ
た利点を有することから、水性(メタ)アクリル系樹脂
エマルジョン型塗料が汎用されている。
【0003】しかしながら、前記水性(メタ)アクリル
系樹脂エマルジョン型塗料には、形成された塗膜の耐候
性が不充分で、溶剤型塗料と比べて光沢に劣り、さらに
乾燥に比較的長時間を要するなどの問題がある。
【0004】また前記水性(メタ)アクリル系樹脂エマ
ルジョン型塗料のほかにも、ビニル共重合体、ポリイソ
シアネートおよび有機溶剤からなる塗料用樹脂組成物
(特公平2−107680号公報)や、耐候性を向上さ
せる目的で紫外線吸収剤が添加された溶剤型塗料や、溶
剤型シリコーンアクリル系塗料、溶剤型フッ素アクリル
系塗料などが用いられている。
【0005】しかしながら、前記塗料用樹脂組成物を用
いて形成された塗膜は、長期間経過したときに、変色し
たり、クラックやブリスターを起こすおそれがあるほ
か、前記紫外線吸収剤が添加された溶剤型塗料には、か
かる紫外線吸収剤が変色を起こし、形成された塗膜の耐
候性や光沢が劣るといった問題があり、また前記溶剤型
シリコーンアクリル系塗料や溶剤型フッ素アクリル系塗
料には、顔料を添加したときにその分散性が劣り、コス
トが高く、形成された塗膜の光沢が劣るといった問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
前記従来技術に鑑みて比較的短時間で乾燥させることが
できるとともに、すぐれた光沢、耐水性、耐酸性、耐薬
品性などを呈するだけでなく、長期間にわたってきわめ
てすぐれた耐候性をも呈する塗膜を形成しうる塗料用樹
脂組成物をうるべく鋭意研究を重ねた結果、イソボルニ
ル基含有(メタ)アクリレートと、これと共重合可能な
ビニル系モノマーとを含有する共重合成分を乳化重合さ
せてえられるエマルジョンを用いたばあいには、かかる
特性をすべて同時に満足しうる樹脂組成物がえられるこ
とを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、イ
ソボルニルアクリレートおよびイソボルニルメタクリレ
ートから選ばれたイソボルニル基含有(メタ)アクリレ
ート(A)5075重量%およびその他のビニル系モ
ノマー(B)2550重量%を含有してなる共重合成
分を乳化重合させてえられたガラス転移温度が20〜4
0℃で、ケイ素原子に、ハロゲン原子、アルコキシ基、
ヒドロキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキ
シ基、チオアルコキシ基、アミノ基より選ばれた基が結
合した基を含まない合成樹脂エマルジョンをバインダ
ー成分として配合したことを特徴とする塗料用樹脂組成
物に関する。
【0008】
【作用および実施例】本発明の塗料用樹脂組成物は、前
記したように、イソボルニルアクリレートおよびイソボ
ルニルメタクリレートから選ばれたイソボルニル基含有
(メタ)アクリレート(A)5075重量%およびそ
の他のビニル系モノマー(B)2550重量%を含有
してなる共重合成分を乳化重合させてえられたガラス転
移温度が20〜40℃で、ケイ素原子に、ハロゲン原
子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロキシ基、アミ
ノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基
より選ばれた基が結合した基を含まない合成樹脂エマ
ルジョンをバインダー成分として配合したことを特徴と
するものである。
【0009】前記イソボルニルアクリレートおよびイソ
ボルニルメタクリレートから選ばれたイソボルニル基含
有(メタ)アクリレート(A)(以下、モノマー(A)
という)は、塗料用樹脂組成物に用いられる合成樹脂エ
マルジョンをうる際の共重合体のガラス転移温度を上昇
させ、えられる塗料用樹脂組成物を用いて形成された塗
膜の耐候性、光沢、耐水性および耐酸性を向上せしめる
成分である。
【0010】塗膜の劣化は、水による酸化劣化が大きな
原因の1つであり、さらに水が介在することによってた
とえば酸化チタンなどの顔料が用いられているばあいに
は、かかる顔料が光酸化触媒として作用して耐水性の低
下を招くので、塗膜の耐水性を向上せしめるためには、
塗料用組成物に疎水性モノマーを用いて吸水率を低下さ
せるといった方法が用いられている。しかしながら、か
かる疎水性モノマーのエステル部の側鎖が長いことか
ら、塗料用組成物を構成する重合体のガラス転移温度が
低下し、その結果、えられる塗料を用いて形成された塗
膜の耐汚染性が低下し、硬度が不充分となり、ブロッキ
ングを起こすといった問題が生じる。
【0011】このように、従来用いられている塗料用組
成物を構成するモノマーにはさまざまな欠点があり、各
種物性を同時に満足しうる塗膜をうることが困難である
のに対し、本発明に用いられる前記モノマー(A)は、
吸水性がきわめて小さく、共重合体のガラス転移温度を
上昇させ、えられる塗料用樹脂組成物を用いて形成され
た塗膜の硬度や耐汚染性を低下させることなく、吸水率
の上昇を抑制し、劣化を防止する作用を呈するものであ
る。
【0012】前記その他のビニル系モノマー(B)(以
下、モノマー(B)という)は、えられる塗料用樹脂組
成物にバインダー成分として塗膜の形成に必要な造膜
性、耐水性などの性質を付与したり、塗料に安定性を付
与する成分である。
【0013】前記モノマー(B)としては、前記モノマ
ー(A)および後述するように必要に応じて用いられる
光安定性付与モノマー(C)と共重合可能な、たとえば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
トなどのアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アク
リル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル
酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸;(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの
アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基などの官能基を
有するモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、クロ
ロスチレンなどのスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニル
エステル;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニト
リル類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ
エチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル
(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート、
トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼ
ン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
などの架橋性モノマーなどがあげられ、これらは単独で
または2種以上を混合して用いることができるが、これ
らのなかでは、重合安定性、合成樹脂エマルジョンの安
定性や、塗料用樹脂組成物の造膜性、形成された塗膜の
耐候性、耐水性がすぐれるという点からアルキル(メ
タ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸が好まし
く、とくに2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを
共重合成分全量の20重量%以上用いることがさらに好
ましい。
【0014】前記モノマー(A)およびモノマー(B)
の配合量は、モノマー(A)が共重合成分全量の50〜
75重量%、すなわちモノマー(B)が共重合成分全量
の25〜50重量%である。かかるモノマー(A)の配
合量が50重量%未満、すなわちモノマー(B)の配合
量が50重量%をこえるばあいには、えられる塗料用樹
脂組成物を用いて形成された塗膜が耐候性に劣るように
なり、またモノマー(A)の配合量が75重量%をこえ
る、すなわちモノマー(B)の配合量が25重量%未満
であるばあいには、共重合体のガラス転移温度が上昇し
すぎて塗膜を形成する際の造膜性が低下し、また基材に
対する塗膜の密着性が低下するようになる。
【0015】本発明においては、前記したように、共重
合成分としてモノマー(A)およびモノマー(B)が用
いられるが、これらのほかにも、光安定性付与モノマー
(C)(以下、モノマー(C)という)を用いることが
できる。
【0016】前記モノマー(C)には、えられる塗料用
樹脂組成物を用いて形成された塗膜において、紫外線照
射による劣化に起因して発生するラジカルを捕捉し、塗
膜を構成するポリマー鎖が連鎖反応によって切断される
のを停止する作用があり、かかるモノマー(C)の作用
によって塗膜の光沢保持性および耐クラック性などの耐
候性がさらに向上する。
【0017】前記モノマー(C)としては、たとえば4
−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ
−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどの
(メタ)アクリロイルオキシピペリジン;4−(メタ)
アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,
2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(メタ)ア
クリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの(メタ)ア
クリロイルアミノピペリジンなどがあげられ、これらは
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】前記モノマー(C)の配合量は、共重合成
分全量の5重量%以下、なかんづく0.1〜5重量%、
とくに0.2〜3重量%であることが好ましい。かかる
モノマー(C)の配合量が5重量%をこえるばあいに
は、共重合体をうる際に重合安定性が低下し、合成樹脂
エマルジョンが不安定となって凝集物が発生しやすくな
る傾向がある。
【0019】本発明の塗料用樹脂組成物にバインダー成
分として配合される合成樹脂エマルジョンは、前記モノ
マー(A)およびモノマー(B)、ならびに必要に応じ
てモノマー(C)からなる共重合成分を乳化重合するこ
とによってえられる。
【0020】乳化重合法にはとくに限定がなく、通常の
水媒体を用いて行なわれる、たとえばバッチ重合法、モ
ノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種
乳化重合法のなかから適宜選択して採用することができ
るが、本発明においては、とくに製造時にエマルジョン
の安定性を確保するうえで、モノマー滴下重合法および
乳化モノマー滴下重合法が好ましい。
【0021】前記乳化重合の際には、エマルジョンの安
定性を向上させるために、乳化剤を用いることができ
る。
【0022】前記乳化剤としては、通常乳化重合に用い
られるものであればとくに限定がなく、たとえばイオン
性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などがあげられ
る。
【0023】前記イオン性界面活性剤としては、たとえ
ばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキル
スルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナト
リウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アン
モニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面
活性剤;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、
トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライドなどの
カチオン性界面活性剤;ラウリルベタイン、ラウリルジ
メチルアミンオキサイドなどの両性界面活性剤などがあ
げられ、また前記ノニオン性界面活性剤としては、たと
えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン
オキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリ
コール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステルなどがあげられ、これらは単独でまたは
2種以上を混合して用いることができるが、これらのな
かでは、重合時のエマルジョンの安定性や、えられる塗
料用樹脂組成物の造膜性、該塗料用樹脂組成物を用いて
形成された塗膜の光沢、耐変色性、耐候性、耐水性およ
び耐湿性がすぐれるという点からポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩などのアニ
オン性界面活性剤が好ましい。
【0024】前記乳化剤の使用量は、あまりにも少ない
ばあいには、重合時のエマルジョンの安定性がわるくな
って凝集物が生じたり、エマルジョンの粒子径が大きく
なって造膜性が低下することにより、えられる塗料用樹
脂組成物を用いて形成された塗膜の光沢、耐水性、耐ク
ラック性などが低下するようになる傾向があり、またあ
まりにも多いばあいには、えられる塗料用樹脂組成物を
用いて形成された塗膜の表面に乳化剤が移行したり、乳
化剤による可塑化効果によって塗膜が軟化してべたつき
や汚染が生じやすく、塗膜の耐水性が低下するようにな
る傾向があるので、共重合成分全量100部(重量部、
以下同様)に対して0.05〜10部、なかんづく0.
1〜5部であることが好ましい。
【0025】また前記乳化重合の際には、共重合成分の
重合をより安定に行なうために、重合開始剤を用いるこ
とができる。
【0026】前記重合開始剤としては、通常乳化重合に
用いられるものであればとくに限定がなく、たとえば過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム
などの過硫酸塩;2,2´−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)などのアゾ化合物;過酸化水素、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド
などの過酸化物などのラジカル重合開始剤があげられ、
これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることが
できるが、これらのなかでは、過硫酸アンモニウム、過
硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩が好ま
しい。また、これらラジカル重合開始剤と、たとえば次
亜硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、酒石酸、L−
アスコルビン酸などの還元剤とを併用してレドックス系
重合開始剤として用いることもできる。
【0027】前記重合開始剤の使用量は、通常共重合成
分全量100部に対して0.05〜2部、なかんづく
0.1〜1部であることが好ましい。
【0028】乳化重合時の反応液は、重合の安定性の面
から、たとえばアンモニア水などのpH調整剤を乳化重
合時に使用することによってpHを調整することができ
る。
【0029】なお、前記反応液の反応温度は、通常50
〜100℃程度、反応時間は、通常2〜16時間程度で
あることが好ましい。
【0030】なお、本発明においては、前記乳化重合に
よってえられる共重合体は、そのガラス転移温度が2
40℃であることが好ましく、共重合体がかかる範囲
内のガラス転移温度を呈するように、用いるモノマー
(A)とモノマー(B)との配合割合やモノマー(B)
の種類を調整することが好ましい。かかる共重合体のガ
ラス転移温度が20℃よりも低いばあいには、えられる
塗料用樹脂組成物を用いて形成された塗膜にべたつきが
発生して汚れの原因となったり、ブロッキングを起こし
やすくなるようになる傾向があり、また40℃よりも高
いばあいには、塗膜の造膜性が不充分となり、基材に対
する塗膜の密着性が低下したり、クラックが発生するよ
うになる傾向がある。
【0031】かくしてえられる合成樹脂エマルジョン
は、樹脂濃度が25〜65重量%程度のものであり、ま
たかかる合成樹脂エマルジョンの粘度は、えられる塗料
用樹脂組成物の塗膜形成性および塗工性を考慮すると2
5℃で500〜10000cP程度であることが好まし
い。
【0032】本発明においては、前記合成樹脂エマルジ
ョンをそのまま塗料用樹脂組成物として用いることがで
きるが、本発明の塗料用樹脂組成物には、バインダー成
分としての該合成樹脂エマルジョンのほかにも、通常塗
料に用いられている、たとえば酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、カオリン、カーボンブラック、ベ
ンガラ、シアニンブルーなどの顔料、ハロゲン含有リン
酸エステル、ハロゲン含有有機イオウリン化合物、水酸
化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン
などの難燃化剤、消泡剤、防腐・防カビ剤、粘性調整
剤、pH調整剤、造膜助剤、湿潤剤、凍結防止剤などの
添加剤や、アクリル系塗料、アクリルウレタン系塗料な
どの水性塗料などを、使用量を調整して適宜配合するこ
とができる。
【0033】本発明の塗料用樹脂組成物は、配合量を調
整した合成樹脂エマルジョンや、添加剤、水性塗料など
をたとえばミキサーなどで撹拌、混合することによって
えられるものであり、該塗料用樹脂組成物は、たとえば
建築物の内外壁材、大型構造物、鋼製機器、家電製品、
木工などの塗装用や、自動車の塗装の際の上塗り用、下
塗り用の塗料などに好適に使用することができる。な
お、かかる塗料用樹脂組成物は、たとえばスプレーなど
による吹付け、ローラー、刷毛などによる塗布、浸漬な
どの通常の方法によって被塗物に塗布し、常温でそのま
ま硬化させて塗膜をうることができ、またこのときの塗
布量は、通常100〜150g/m2 程度、塗布回数
は、通常1〜2回程度であることが好ましい。
【0034】つぎに本発明の塗料用樹脂組成物を実施例
に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実
施例のみに限定されるものではない。
【0035】実施例1〜および比較例1〜 撹拌機、温度調節器、温度計、還流冷却器、滴下ロート
およびチッ素ガス導入管を備えた反応容器内に、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウ
ム塩0.3部および脱イオン水55.1部を仕込み、チ
ッ素ガスを導入しつつ65℃に昇温し、過硫酸アンモニ
ウム0.35部および次亜硫酸ナトリウム0.05部を
添加したのち、表1に示す組成の共重合成分100部、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アン
モニウム塩3.1部および脱イオン水42.7部からな
る混合物145.8部を滴下ロートより3時間かけて滴
下し、65〜70℃で重合を行なった。滴下終了後、7
0〜75℃で2.5時間熟成したのち冷却し、25%ア
ンモニア水1.55部を添加して合成樹脂エマルジョン
をえた。
【0036】なお、用いた共重合成分からえられる共重
合体のガラス転移温度(ホモポリマーのガラス転移温度
および重量分率から求めた計算値)(℃)ならびにえら
れた合成樹脂エマルジョンのpH、不揮発分濃度(重量
%)およびBM型粘度計を用いて12rpmで測定した
25℃での粘度(cP)を表1に示す。
【0037】つぎに、えられた合成樹脂エマルジョン1
00部に酸化チタンの含有量が約69重量%のチタンペ
ースト33.2部および造膜助剤としてジエチレングリ
コールモノブチルエーテルアセテートを添加し、最低造
膜温度を0℃に調整して塗料を調製した。なお、かかる
チタンペーストの組成は、ルチル型酸化チタン(白色顔
料)100部、エチレングリコール(凍結防止剤)5
部、メチルセルロース2%水溶液(増粘剤)35部、ノ
ニオン性界面活性剤(湿潤剤)2部、アミノメチルプロ
パノール(pH調整剤)2部、消泡剤0.5部およびク
ロロアセトアミド(防腐・防カビ剤)0.2部である。
えられた塗料を用い、以下のようにして試験片を作製し
た。
【0038】(試験片)ガラス板上に乾燥膜厚が約
0.08mmとなるようにアプリケータを用いて塗料を
塗布し、温度20℃、相対湿度65%の条件下で7日間
乾燥、養生して塗膜を形成した。
【0039】(試験片)溶剤系塩化ゴムプライマーが
塗布されたスレート板上に刷毛を用いて塗料を約100
g/m2 塗布し、温度20℃、相対湿度65%の条件下
で約2時間乾燥したのち、さらに塗料を約100g/m
2 重ねて塗布し、温度20℃、相対湿度65%の条件下
で7日間乾燥、養生して塗膜を形成した。
【0040】前記試験片および試験片を用い、塗膜
の物性として初期光沢度、光沢度保持率、色差、耐ブリ
スター性および耐クラック性をそれぞれ以下の方法にし
たがって調べた。その結果を表2に示す。
【0041】(イ)初期光沢度 JIS K 5400に規定の方法に準拠し、試験片
およびの塗膜について、グロスメータ(VG−1型、
日本電色工業(株)製)を用い、60度鏡面の初期光沢
度(%)を測定した。
【0042】(ロ)光沢度保持率 JIS K 5400に規定の方法に準拠し、促進耐候
性試験機(ウェザオメータ、Ci35型、アトラス社
製)を用い、3.5kWキセノンアーク、ブラックパネ
ル温度60℃および水の噴射条件120分間照射中に1
8分間で試験片に3000時間光の照射および水の噴
射を行なって促進耐候性試験を実施したのち、この試験
片の塗膜の光沢度(G1 )(%)を前記(イ)初期光
沢度と同様にして測定し、このG1 と前記初期光沢度
(G0 )(%)とから以下の式に基づいて光沢度保持率
(%)を求めた。
【0043】 光沢度保持率(%)=(G1 /G0 )×100 (ハ)色差 JIS Z 8722に規定の方法に準拠し、試験片
の塗膜の色彩(L* 0、a* 0 、b* 0 )および前記促
進耐候性試験を行なったのちの試験片の塗膜の色彩
(L* 1 、a* 1 、b* 1 )を色彩色差計(CR−30
0型、ミノルタカメラ(株)製)を用いて測定し、以下
の式に基づいて色差(ΔE* ab)を求めた。なお、か
かる色差は、JIS Z 8730に規定の方法に準拠
して表示した。
【0044】ΔE* ab={(L* 1 −L* 0 2 +(a
* 1 −a* 0 2 +(b* 1 −b* 0 2 1/2 (ニ)耐ブリスター性 JIS K 5400に規定の方法に準拠して前記促進
耐候性試験を行なったのちの試験片の塗膜の表面を目
視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0045】(評価基準) A:ブリスターがまったく発生していない。 B:部分的にブリスターがわずかに発生している。 C:全体的にブリスターが発生している。 D:全体的にブリスターの発生がいちじるしい。
【0046】(ホ)耐クラック性 前記(ニ)耐ブリスター性の試験と同様にして試験片
の塗膜の表面を目視にて観察し、以下の評価基準に基づ
いて評価した。
【0047】(評価基準) A:クラックがまったく発生していない。 B:部分的にクラックがわずかに発生している。 C:全体的にクラックが発生している。 D:全体的にクラックの発生がいちじるしい。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】なお、表1中の略号は以下のことを示す。
【0051】IBA :イソボルニルアクリレート IBMA:イソボルニルメタクリレート EHA :2−エチルヘキシルアクリレート MAA :メタクリル酸 MMA :メチルメタクリレート ST :スチレン PD :4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン また、表2中の、は試験片、試験片を示す。
【0052】表2に示された結果から、実施例1〜
えられた塗料用樹脂組成物を用いたばあいには、初期光
沢度にすぐれるだけでなく、3000時間耐候性試験を
行なったのちであっても、光沢度保持率がきわめて高
く、色差が小さく、耐ブリスター性および耐クラック性
にすぐれ、長時間にわたってすぐれた耐候性を呈する塗
膜を形成することができるが、一方、比較例1〜5でえ
られた塗料用樹脂組成物を用いて形成された塗膜は、初
期光沢度にはすぐれるものの、光沢度保持率がきわめて
低く、色差が大きく、耐ブリスター性および耐クラック
性に劣り、長時間経過後の耐候性に劣るものであること
がわかる。
【0053】また、実施例2およびでえられた塗料用
樹脂組成物には、光安定性付与モノマー(C)が配合さ
れているので、それぞれ実施例1およびよりも光沢度
保持率がより高く、さらにすぐれた耐候性を呈する塗膜
を形成することができることがわかる。
【0054】
【発明の効果】本発明の塗料用樹脂組成物は、すぐれた
光沢、耐水性、耐酸性、耐薬品性などを呈するだけでな
く、長期間にわたってきわめてすぐれた耐候性をも呈す
る塗膜を形成することができるので、たとえば建築物の
内外壁材、大型構造物、鋼製機器、家電製品、木工など
の塗装用や、自動車の塗装などの上塗り用、下塗り用の
塗料などに好適に使用しうるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 101/00 - 201/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソボルニルアクリレートおよびイソボ
    ルニルメタクリレートから選ばれたイソボルニル基含有
    (メタ)アクリレート(A)5075重量%およびそ
    の他のビニル系モノマー(B)2550重量%を含有
    してなる共重合成分を乳化重合させてえられたガラス転
    移温度が20〜40℃で、ケイ素原子に、ハロゲン原
    子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロキシ基、アミ
    ノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基
    より選ばれた基が結合した基を含まない合成樹脂エマ
    ルジョンをバインダー成分として配合したことを特徴と
    する塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 共重合成分が光安定性付与モノマー
    (C)を含有したものである請求項1記載の塗料用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 光安定性付与モノマー(C)の配合量が
    共重合成分全量の5重量%以下である請求項2記載の塗
    料用樹脂組成物。
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