JP2007154106A - アクリル系樹脂水分散体およびその製造方法 - Google Patents

アクリル系樹脂水分散体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒の含有量を極めて少なくすることができ、かつ、低温で造膜した場合の耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性に優れた膜を形成することができるアクリル系樹脂水分散体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が70〜140℃、固形分酸価が10〜30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が30000〜100000であり、樹脂固形分に対して有機溶媒の含有量が10質量%以下であるアクリル系樹脂水分散体であり、上記アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中に脂環式(メタ)アクリルモノマーを10〜70質量%含んでいることを特徴とするアクリル系樹脂水分散体であり、アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中、スチレンの含有量が10質量%以下であることが好ましい。

Description

本発明は、アクリル系樹脂水分散体およびその製造方法に関する。
比較的熱に弱いプラスチック材等に対する被覆材料としては、比較的低温で造膜可能な有機溶剤型のラッカー材が使用されている。上記ラッカー材に含まれるバインダー成分として、例えば、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルおよび特定構造を有する重合性紫外線安定性単量体を含んだメタクリル系ラッカー用樹脂が開示されている。(例えば、特許文献1参照のこと。)
しかしながら、近年の環境への配慮から、その水性化が進められているものの、水性ラッカー材にはまだ多量の有機溶媒が含まれる場合がある。これは、バインダー成分である樹脂を製造する際に用いられる有機溶媒を除去することが困難であるために、そのまま持ち込まれてラッカー材に含まれてしまったり、塗布時の作業性を改善するために、シンナーの一部として有機溶媒を用いることがあるためである。上記バインダー成分が水性であるため、特に、これらの有機溶媒は極性が高く、高沸点である場合も多い。
水性ラッカー材にこのような有機溶媒が含まれる場合、被覆する材料がプラスチック材等の比較的熱に弱い材質のものであると、高温で加熱することができないため、有機溶媒の揮発が不充分となり、膜中に有機溶媒が残存し、得られる膜の性能に悪影響を及ぼす。
特開2001−172551号公報
本発明は、有機溶媒の含有量を極めて少なくすることができ、かつ、低温で造膜した場合の耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性に優れた膜を形成することができるアクリル系樹脂水分散体およびその製造方法を提供することである。
本発明は、ガラス転移温度が70〜140℃、固形分酸価が10〜30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が30000〜100000であり、樹脂固形分に対する有機溶媒の含有量が10質量%以下であるアクリル系樹脂水分散体であり、上記アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中に脂環式(メタ)アクリルモノマーを10〜70質量%含んでいることを特徴とするアクリル系樹脂水分散体であり、アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中、スチレンの含有量が10質量%以下であることが好ましく、例えば、脂環式(メタ)アクリルモノマーおよびカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだ共重合成分を60〜90℃の有機溶媒中で溶液重合して有機溶剤型樹脂溶液を得る工程(1)、上記工程(1)で得られた有機溶剤型樹脂を中和した後、水を加えて分散液を得る工程(2)、上記工程(2)によって得られた分散液を脱溶剤して、樹脂固形分に対して有機溶媒の含有量が10質量%以下である水分散体を得る工程(3)を含む工程によって得られるものである。ここで、溶液重合は、用いられる有機溶媒が、酢酸ブチルの蒸発速度が100とした際の比蒸発速度が100以上であり、かつ、標準状態の沸点が60℃以上であることが好ましく、また、用いられる重合開始剤の半減期温度が低温であることが好ましい。
また、本発明は、アクリル系樹脂水分散体の製造方法であって、脂環式(メタ)アクリルモノマーを10〜70質量%、および、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだ共重合成分を60〜90℃の有機溶媒中で溶液重合して有機溶剤型樹脂溶液を得る工程(1)、上記工程(1)で得られた有機溶剤型樹脂を中和した後、水を加えて分散液を得る工程(2)、上記工程(2)によって得られた分散液を脱溶剤して、有機溶媒の含有量が樹脂固形分に対して10質量%以下である水分散体を得る工程(3)を含むことを特徴とする、ガラス転移温度が70〜140℃、固形分酸価が10〜30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が30000〜100000であるアクリル系樹脂水分散体の製造方法である。
本発明のアクリル系樹脂水分散体は、所定の特数値と所定の有機溶媒の含有量であり、かつ、共重合成分として脂環式(メタ)アクリルモノマーを含んでいるので、得られる樹脂膜の耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性が極めて高い。これは、得られたアクリル系樹脂水分散体のガラス転移温度(Tg)および重量平均分子量による樹脂膜の物性と、共重合成分として脂環式(メタ)アクリルモノマーを含有することによって、堅く強固な膜を得ることができることによると考えられる。
従って、本発明のアクリル系樹脂水分散体は、プラスチック材等、熱に比較的弱い被塗装物に対しても適用することができる。
本発明のアクリル系樹脂水分散体は、Tgが下限70℃、上限140℃、固形分酸価が下限10mgKOH/g、上限30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が下限30000、上限100000である。
上記Tgは、耐溶剤性および耐アルカリ性の向上に寄与する。上記Tgが70℃未満であると耐溶剤性および耐アルカリ性が低下し、140℃を超えると造膜性が低下する。好ましくは下限90℃、上限120℃である。上記Tgの決定方法としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂水分散体を示差走査型熱量計や熱機械分析計を用いて測定する等、当業者によってよく知られている方法を挙げることができるが、例えば、アクリル系樹脂水分散体の共重合成分である(メタ)アクリルモノマーのホモポリマーの既知のTgと、共重合成分の配合組成とから計算によって求める方法であってもよい。
また、上記固形分酸価は、耐水性および耐アルカリ性の向上に寄与する。上記固形分酸価が10mgKOH/g未満であると、アクリル系樹脂水分散体の安定性が低下し、30mgKOH/gを超えると、耐水性および耐アルカリ性が低下する。好ましくは下限15mgKOH/g、上限25mgKOH/gである。上記固形分酸価の決定方法としては、特に限定されず、当業者によってよく知られたものを挙げることができるが、上記Tgと同様に、例えば、アクリル系樹脂水分散体の共重合成分である(メタ)アクリルモノマーの配合組成から計算によって求める方法であってもよい。
さらに、上記重量平均分子量は、耐溶剤性および耐アルカリ性の向上に寄与する。上記重量平均分子量が30000未満であると、耐溶剤性および耐アルカリ性が低下し、100000を超えるとアクリル系樹脂の水分散性が低下し、水分散体の製造が困難となる。好ましくは下限40000、上限60000である。上記重量平均分子量の決定方法としては、特に限定されず、例えば、GPC等による当業者によってよく知られたものを挙げることができる。
また、本発明のアクリル系樹脂水分散体に含まれる有機溶媒は10質量%以下である。10質量%を超えると低温での造膜時の耐溶剤性および耐アルカリ性が低下する。好ましくは5質量%以下である。
ここで、本発明のアクリル系樹脂水分散体の共重合成分として、脂環式(メタ)アクリルモノマーを用いる必要がある。上記共重合成分として、上記脂環式(メタ)アクリルモノマーを含むことで、得られる樹脂膜の耐溶剤性および耐アルカリ性が向上する。上記共重合成分中の上記脂環式(メタ)アクリルモノマーの含有量が、下限10質量%かつ上限70質量%であることが好ましく、さらに好ましくは下限20質量%かつ上限50質量%である。
このような脂環式(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、上記その他の(メタ)アクリルモノマーの中の、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル等を挙げることができる。
上記アクリル系樹脂水分散体の共重合成分は、上記脂環式(メタ)アクリルモノマーの他に、種々の(メタ)アクリルモノマーを挙げることができる。上記種々の(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーの他、その他の(メタ)アクリルモノマーを挙げることができる。
上記カルボン酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]ポリ[オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等を挙げることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物等を挙げることができる。
上記その他の(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステル〔(メタ)アクリル酸メチルまたは(メタ)アクリル酸エチル〕;エステル部の炭素数3以上の(メタ)アクリル酸エステル〔例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル〕、重合性アミド化合物〔例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4′−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等〕等を挙げることができる。これら(メタ)アクリルモノマーは1種または複数種であってよい。 上記共重合成分としては、上記(メタ)アクリルモノマー以外に、スチレン、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(ブタジエン、イソプレン等)等を挙げることができる。
耐アルカリ性の点から、上記共重合成分中のスチレンの含有量が10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明のアクリル系樹脂水分散体を得る方法としては、以下の3つの工程を含んだ方法であることが好ましい。
まず、工程(1)は、共重合成分を60〜90℃の有機溶媒中で溶液重合して有機溶剤型樹脂溶液を得るものである。上記共重合成分は、上述のアクリル系樹脂水分散体の共重合成分を挙げることができる。また、上記溶液重合は、当業者によってよく知られているアクリル重合方法である。なお、上記工程(1)において、上記有機溶媒としては、後述の脱溶剤工程で樹脂固形分に対する有機溶媒の含有量を10質量%以下にするため、溶液重合が可能であり、かつ、蒸発速度の比較的早い有機溶媒であることが好ましく、例えば、標準状態における沸点が60℃以上であり、かつ、質量法において、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際の比蒸発速度が100以上であるものが好ましい。具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。
また、上記重合開始剤としては、有機溶媒の沸点以下で効率的に重合反応を進行させるため、半減期温度が低温であるものを挙げることができ、発火の危険性および重合効率の観点から、半減期温度が70〜110℃であることが好ましく、80〜90℃であることがさらに好ましい。具体的には、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等を挙げることができる。
次に、工程(2)は、上記工程(1)で得られた有機溶剤型樹脂溶液を中和した後、水を加えて分散液を得るものである。上記中和する方法としては、例えば、塩基による中和を挙げることができ、具体的には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミン等を塩基として、中和率60〜100%とすることができる。また、水を加える場合、不揮発分が15〜25%となるようにすることが好ましい。ここで、得られる樹脂膜の耐水性および耐アルカリ性の観点から、乳化剤を用いないことがより好ましい。
さらに、工程(3)は、上記工程(2)によって得られた分散液を脱溶剤することによって水分散体を得るものである。上記脱溶剤の方法としては特に限定されず、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。なお、この工程によって、上記水分散液の中に含まれている有機溶媒を留去し、所定の含有量とする。
このようにして得られるアクリル系樹脂水分散体溶液の不揮発分は20〜35%であることが好ましい。20%未満であるとアクリル系樹脂水分散体を塗布する場合、作業性面の不具合が生じる恐れがあり、35%を超えるとアクリル系樹脂水分散体の安定性が低下する恐れがある。また、得られるアクリル系樹脂水分散体は、体積平均粒子径が20〜500nmであることが好ましい。20nm未満であると被覆材料を調整した際、不揮発分が小さくなり、アクリル系樹脂水分散体を塗布する場合、作業性面の不具合が生じる恐れがあり、500nmを超えるとアクリル系樹脂水分散体の安定性が低下する恐れがある。
本発明のアクリル系樹脂水分散体を被覆材料として用いる場合は、被覆のための作業性を向上させたり、得られる樹脂膜の性質を調整したりするために、バインダー成分としてその他の種々の樹脂を併用することができる。上記その他の樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂等を挙げることができる。また、さらに、樹脂膜の物理特性を調整するために、硬化剤を併用してもよい。上記硬化剤としては特に限定されず、カルボジイミド系化合物およびメラミン樹脂等を挙げることができる。
本発明のアクリル系樹脂水分散体の製造方法としては、具体的には、上述の共重合成分を用い、上記工程(1)〜(3)を含むものである。
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがなければ、部数は質量部を示すものとする。
製造例1
反応容器にイソプロピルアルコール82.7部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら73℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル37.1部、アクリル酸イソボロニル32.9部、メタクリル酸3.1部およびアクリル酸n−ブチル26.9部からなる、計算によって求めたTgが60℃である共重合成分と、メチルイソブチルケトン10.0部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行なった。
次に、メチルイソブチルケトン5.0部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行うことにより不揮発分50%、固形分酸価20mgKOH/g、重量平均分子量45000のアクリル系樹脂溶液を得た。その後、ジメチルエタノールアミンを3.2部加えて均一に分散し、60℃まで冷却した後、イオン交換水325.0部を1時間で滴下した。更に、脱溶剤装置を用いて、減圧下(70Torr)50℃で有機溶媒を190.0部留去することによりアクリル系樹脂水分散体1を得た。この水分散体の不揮発分は30%であった。
得られたアクリル系樹脂水分散体1に含まれる有機溶媒を6890N(AgilentTechnologies社製ガスクロマトグラフィ、検出器:FID(250℃))を用いて測定したところ、樹脂固形分に対して3.9質量%であった。
実施例1
反応容器にイソプロピルアルコール82.7部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら73℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル40.0部、メタクリル酸イソブチル25.3部、メタクリル酸イソボロニル31.7部、メタクリル酸3.1部からなる、計算によって求めたTgが110℃である共重合成分と、メチルイソブチルケトン10.0部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行なった。
次に、メチルイソブチルケトン5.0部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行うことにより不揮発分50%、固形分酸価20mgKOH/g、重量平均分子量45000のアクリル系樹脂溶液を得た。その後、ジメチルエタノールアミンを3.2部加えて均一に分散し、60℃まで冷却した後、イオン交換水325.0部を1時間で滴下した。更に、脱溶剤装置を用いて、減圧下(70Torr)50℃で有機溶媒を190.0部留去することによりアクリル系樹脂水分散体2を得た。この水分散体の不揮発分は30%であった。
得られたアクリル系樹脂水分散体2に含まれる有機溶媒を製造例1と同様にして測定したところ、樹脂固形分に対して4.2質量%であった。
実施例2〜7および比較例1〜3
表1に従って配合したこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系樹脂水分散体2〜11を得た。得られた各水分散体の各特数値および有機溶媒含有量は表1に示した。
比較例4
反応容器にブチルセロソルブ35.0部及びメチルイソブチルケトン47.7部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら100℃に昇温した。次いで、メタクリル酸メチル40.0部、メタクリル酸イソブチル25.3部、メタクリル酸イソボロニル31.7部、メタクリル酸3.1部からなる、計算によって求めたTgが110℃である共重合成分と、ブチルセロソルブ10.0部及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.8部からなる開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行なった。
次に、ブチルセロソルブ5.0部及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行うことにより不揮発分50%、固形分酸価20mgKOH/g、重量平均分子量45000のアクリル系樹脂溶液を得た。その後、ジメチルエタノールアミンを3.2部加えて均一に分散し、60℃まで冷却した後、イオン交換水325.0部を1時間で滴下した。更に、脱溶剤装置を用いて、減圧下(70Torr)50℃で溶剤を190.0部留去することによりアクリル系樹脂水分散体12を得た。この水分散体の不揮発分は30%であった。
得られたアクリル系樹脂水分散体12に含まれる有機溶媒を製造例1と同様にして測定したところ、樹脂固形分に対して43.5質量%であった。
Figure 2007154106
<評価>
被覆材料として製造例1のアクリル系樹脂水分散体1 33.3部と、アデカノールUH−752(旭電化工業社製増粘剤)0.3部を仕込み、30分攪拌して樹脂溶液を得た後、これをガラス板に20ミルのドクターブレードで塗布した後、80℃で25分間乾燥させて樹脂膜を形成した試験板を得た。
評価試験
得られた試験板について、以下のとおり、評価試験を行った。得られた評価結果は表2に示した。
(1)耐溶剤性試験
得られた試験板上の樹脂膜を、キシレンを浸したガーゼによって10往復ラビングした。ラビング後の樹脂膜を目視にて観察した。
(2)耐水性
得られた試験板を40℃に設定された恒温水槽に24時間浸漬した後、引き上げて、表面の水分を軽く拭き取り、樹脂膜の状態を目視にて観察した。
(3)耐アルカリ性
得られた試験板上に0.1NのNaOHを2ml滴下して、55℃に設定された乾燥機に4時間静置した後取り出して水洗して風乾させた後、樹脂膜を目視にて観察した。
なお、上記耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性の評価基準は以下のとおりとした。
◎ :樹脂膜に全く異常はない
○ :樹脂膜にかすかに変色、ふくれ等の異常が見られる
○△:樹脂膜に変色、ふくれ等の異常が見られる
× :樹脂膜に変色、ふくれ等の異常がはっきりと見られる
次に、製造例1のアクリル系樹脂水分散体1の23.3部に代えて、実施例1〜7および比較例1〜4のアクリル系樹脂水分散体2〜12を各々23.3部として樹脂材料を得た以外は、同様にして、試験板を得た。
さらに、得られた試験板について上記評価試験を実施した。得られた結果は表2に示した。
Figure 2007154106
表2から明らかなように、Tg、固形分酸価、重量平均分子量、有機溶媒の含有量および脂環式(メタ)アクリルモノマーの含有量の各条件を満たす樹脂から得られる樹脂膜は、低温で造膜した場合の耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性に優れていることがわかった。
しかしながら、上記各条件を満たさない樹脂から得られる樹脂膜は、低温で造膜した場合の耐溶剤性、耐水性および耐アルカリ性が低下することがわかった。
本発明は、プラスチック材等に対する被覆材料として用いることができる。

Claims (6)

  1. ガラス転移温度が70〜140℃、固形分酸価が10〜30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が30000〜100000であり、樹脂固形分に対して有機溶媒の含有量が10質量%以下であるアクリル系樹脂水分散体であり、
    前記アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中に脂環式(メタ)アクリルモノマーを10〜70質量%含んでいることを特徴とするアクリル系樹脂水分散体。
  2. 前記アクリル系樹脂共重合体の共重合成分中、スチレンの含有量が10質量%以下である請求項1に記載のアクリル系樹脂水分散体。
  3. 脂環式(メタ)アクリルモノマーおよびカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだ共重合成分を60〜90℃の有機溶媒中で溶液重合して有機溶剤型樹脂溶液を得る工程(1)、前記工程(1)で得られた有機溶剤型樹脂を中和した後、水を加えて分散液を得る工程(2)、前記工程(2)によって得られた分散液を脱溶剤して、樹脂固形分に対して有機溶媒の含有量が10質量%以下である水分散体を得る工程(3)を含む工程によって得られる、請求項1または2に記載のアクリル系樹脂水分散体。
  4. 前記溶液重合は、用いられる有機溶媒が、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際の比蒸発速度が100以上であり、かつ、標準状態における沸点が60℃以上である請求項3に記載のアクリル系樹脂水分散体。
  5. 前記溶液重合は、用いられる重合開始剤の半減期温度が70〜110℃である請求項3に記載のアクリル系樹脂水分散体。
  6. アクリル系樹脂水分散体の製造方法であって、
    脂環式(メタ)アクリルモノマーを10〜70質量%、および、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーを含んだ共重合成分を60〜90℃の有機溶媒中で溶液重合して有機溶剤型樹脂溶液を得る工程(1)、前記工程(1)で得られた有機溶剤型樹脂を中和した後、水を加えて分散液を得る工程(2)、前記工程(2)によって得られた分散液を脱溶剤して、有機溶媒の含有量が樹脂固形分に対して10質量%以下である水分散体を得る工程(3)を含むことを特徴とする、ガラス転移温度が70〜140℃、固形分酸価が10〜30mgKOH/g、かつ、重量平均分子量が30000〜100000であるアクリル系樹脂水分散体の製造方法。
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