JP4537870B2 - アルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。 - Google Patents
アルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。 Download PDFInfo
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Description
しかし、特に柔軟性を必要とする分野においては、樹脂のガラス転移温度(TG)を低くするとベタつき、このベタつきを抑えようとワックスなどを添加すると、動的接着力が損なわれる。そのため、柔軟性を必要とする樹脂としては、SBRラテックス、天然ラテックスやウレタン樹脂等が使用されてきた。(特許文献1、2)
しかし、SBRラテックス、天然ラテックスは耐候性が悪く多量の酸化防止剤を添加しても屋外での長期使用で、硬化、劣化が生ずる。またウレタン樹脂は高価であり、又時間の経過と共に黄変する。
アクリル系樹脂系組成物としては、内層にゴム状重合体、最外層に熱可塑性樹脂を有する多層構造の粒子が知られている(特許文献4〜6)が、製造法が煩雑で、コスト高なものになる。
〔1〕
アルキル(メタ)アクリレート(a)及び共重合性不飽和カルボン酸(b)の合計量が80重量%以上を占める共重合性不飽和単量体混合物を、共重合性不飽和単量体混合物に対して
(1)硫酸第一鉄0.1〜100ppm、
(2)過硫酸塩10〜500ppm
(3)重亜硫酸塩10〜300ppm及び
(4)亜硫酸塩200〜5000ppm
を含んで成る触媒(c)の存在下に乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物を加え混合するガラス移転温度が−40〜0℃で永久伸び率が10%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
〔2〕
アルキル(メタ)アクリレート(a)と共重合性不飽和カルボン酸(b)の重量比が1:1〜30:1である〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
〔3〕
金属酸化物が2価の金属である〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
〔4〕
共重合性不飽和カルボン酸(b)の酸価が1〜20mgKOH/gである〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、及び
〔5〕
共重合性不飽和カルボン酸(b)の当量あたり0.05〜1.0当量の2価の金属酸化物を用いる〔3〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
である。
共重合性不飽和カルボン酸の酸価は、通常1〜20mgKOH/g、好ましくは7〜15mgKOH/gである。
(a)と(b)の使用重量割合は、(a):(b)=1〜30:1、好ましくは、1〜5:1である。又(a)と(b)の合計量は、単量体混合物全体中80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
この共重合不飽和性単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジンなどのエチレン系不飽和アミンなどを挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノニオン性のものとして、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートもしくはスルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、オレフィンスルフォネート等の単独又は併用、更にこれと、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等との併用が挙げられる。
カチオン性のもとしては、例えばステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクラデシルアンモニウムコロライド等が挙げられる。
また両イオン性のものとしては、例えばラウリルベタイン、ラウリルヂメチル等が挙げられる。
更にこの単量体エマルジョンを単量体に対して50〜200重量部望ましくは80〜120重量部の水と混合する。
(1)硫酸第一鉄を0.1〜100ppm、望ましくは1〜10ppm、
(2)過硫酸塩を10〜500ppm、望ましくは100〜300ppm
(3)重亜硫酸塩を10〜300ppm、望ましくは50〜200ppm及び
(4)亜硫酸塩を200〜5000ppm、望ましくは300〜2000ppm用いる。
これらの触媒の添加順序は、通常記載の順序で行うのがよいが、必ずしもその順序に従う必要は無い。特に(3)の重亜硫酸ナトリウムと亜硫酸ナトリウムの両者を用いるときは、同時または、逆でもよい。
これらの使用量は、単量体混合物に対して、10〜500ppm、好ましくは、100〜300ppmである。
又反応終了後のエマルジョン中に残存する単量体を高分子化するために、t−ブチルハイドロパーオキサイドを好ましくは0.01〜0.5%、更に好ましくは0.1〜0.3%加えた後、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレートを好ましくは0.01〜0.5%、更に好ましくは0.1〜0.3%を添加することができる。
(1)硫酸第一鉄1〜10ppm、
(2)過硫酸アンモニウム150〜300ppm、
(3)重亜硫酸アルカリ金属塩10〜300ppm及び
(4)亜硫酸アルカリ金属塩300〜2000ppm
を加えて乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物の錯体を加え混合する操作を続けることにより、固形分が50重量%以上、好ましくは、50〜60重量%の高固形分のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンが得られる。この高固形分のエマルジョンは、そのまま皮革や繊維に塗布、浸漬して所期の物性を有する被膜を形成させることができるし、脱水して、樹脂組成物を得るにも省エネルギー的に行うことができる。
脱水してアクリル樹脂組成物、たとえば、皮革用コーティング剤、繊維加工用バインダー、塗料用ベースなどとする場合に極めて短時間且つ廉価に行うことができる。
撹拌機、温度調節器、還流冷却器、温度計並びに窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水490gを入れ30℃に調整しながら窒素置換を行った。反応容器に上記プレエマルジョン90gを加え30℃に調整しながら窒素置換を行った。
(1)硫酸鉄七水和物0.0024g(対単量体 6.7ppm)を脱イオン水12gに溶かしたもの、
(2)過硫酸アンモニウム0.09g(対単量体 250ppm)を脱イオン水8gに溶かしたもの、
(3)重亜硫酸ナトリウム0.063(対単量体 175ppm)と亜硫酸ナトリウム0.3g(対単量体 830ppm)を水15gに溶かしたもの、
をそれぞれ調整し、(1)(2)(3)の順で添加した。反応液の発熱が確認され、内温の上昇の停止を確認の上、残りのプレエマルジョンを100分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。
滴下終了後反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃に冷却しt−ブチルハイドロパーオキサイド0.7g(対単量体 0.19重量部)に脱イオン水10gを加えたものと、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.6g(対単量体 0.17重量部)に脱イオン水10gを加えたものを加え、暫く60℃に保ち40℃まで冷却した。
酸価亜鉛1.8g(対単量体 0.5重量部)に脱イオン水10gを加えた分散液を加え暫く撹拌した。
更に重炭酸アンモニウム0.06g(対単量体 167ppm)を脱イオン水5gを加えた液を加え、暫く撹拌し、12.5%アンモニア水7.6g(対単量体 2.1重量部)を加えた。
この操作により、不揮発分は35.0%、pH8.0、粘度100mP・sのポリマーラテックスが得られた。
得られたラテックスを用いて定法により形成した被膜を、チャック間距離20mm、引っ張り速度50mm/分、温度23℃、湿度50%の条件下で機械的物性を評価した。また、皮膜を100%伸長させた状態で10分間保持後応力を開放し10分後の永久伸びを測定した。結果は表1の通りである。
脱イオン水157gにラウリル硫酸ナトリウム8gを溶解した。
更にエチルアクリレート480gとアクリル酸12gを加え撹拌し単量体プレエマルジョンを調整した。
攪拌機、温度調節器、還流冷却器、温度計並びに窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水230gを入れ30℃に調整しながら窒素置換を行った。
反応容器に上記プレエマルジョンの57gを投入し30℃に調整しながら窒素置換を行った。
(1)硫酸鉄七水和物0.0006g(対単量体 1.2ppm)を脱イオン水3gに溶かしたもの、
(2)過硫酸アンモニウム0.125g(対単量体 254ppm)を脱イオン水10gに溶かしたもの、
(3)重亜硫酸ナトリウム0.087g(対単量体 177ppm)と亜硫酸ナトリウム0.42g(対単量体 853ppm)を水20gに溶かしたもの
をそれぞれ調整し、(1)と(2)の1/3と(3)の1/3の順で添加した。数分後反応が開始し、液温が上昇し、内温の上昇の停止を確認した後、プレエマルジョン200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。
滴下終了後反応液を暫く70℃に維持し、60℃まで冷却した。
第2段反応
触媒(2)及び(3)のそれぞれ1/3をその順序で加え、数分後プレエマルジョンの200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。滴下終了後も反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃に冷却した。
第3段反応
触媒(2)及び(3)のそれぞれ1/3をその順序で加え、数分後プレエマルジョン200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。滴下終了後反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃まで冷却した。t−ブチルハイドロパーオキサイド1.0g(対単量体 0.2重量部)に脱イオン水10gを加えた物と、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.8g(対単量体 0.16重量部)に脱イオン水10gを加えたものを加え、暫く60℃に保ち、40℃以下まで冷却した。
酸化亜鉛2.5g(対単量体 0.51重量部)に脱イオン水10gを加え分散した液を加え暫く撹拌した。更に重炭酸アンモニウム0.07g(対単量体 142ppm)を脱イオン水5gに加えた液を加え、暫く撹拌し、12.5%アンモニア水10g(対単量体 2.03重量部)を加えた。
この操作により、不揮発分51.2%、pH8.0、粘度500mP・sのポリマーラテックスが得られた。
得られたラテックスを用いて定法により形成した被膜を、チャック間距離20mm、引っ張り速度50mm/分、温度23℃、湿度50%の条件下で機械的物性を評価した。また、皮膜を100%伸長させた状態で10分間保持後応力を開放し10分後の永久伸びを測定した。結果は表1の通りである。
Claims (5)
- アルキル(メタ)アクリレート(a)及び共重合性不飽和カルボン酸(b)の合計量が80重量%以上を占める共重合性不飽和単量体混合物を、共重合性不飽和単量体混合物に対して
(1)硫酸第一鉄0.1〜100ppm、
(2)過硫酸塩10〜500ppm
(3)重亜硫酸塩10〜300ppm及び
(4)亜硫酸塩200〜5000ppm
を含んで成る触媒(c)の存在下に乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物を加え反応させるガラス移転温度が−40〜0℃で永久伸び率が10%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。 - アルキル(メタ)アクリレート(a)と共重合性不飽和カルボン酸(b)の重量比が1:1〜30:1である請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
- 金属酸化物が2価の金属である請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
- 共重合性不飽和カルボン酸(b)の酸価が1〜20mgKOH/gである請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
- 共重合性不飽和カルボン酸(b)の当量あたり0.05〜1.0当量の2価金属の酸化物を用いる請求項3記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
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