JP4537870B2 - アルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。 - Google Patents

アルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。 Download PDF

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Description

本発明は、強靱性と柔軟性及び動的接着性に富み、且つ永久伸び率が低いアクリレート共重合体エマルジョンの製造法に関し、詳しくはガラス転移温度が−40〜0℃、永久伸び率が10%未満であり、且つ強靱性、柔軟性、動的接着性と柔軟性に優れたアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法に関する。また、このアルキル(メタ)アクリレート共重合体を高濃度で含有するエマルジョンの製造法に関する
従来、アクリル酸エステル共重合体は皮革用コーティング剤、繊維加工用バインダー、塗料用ベースなどに広く使用されている。
しかし、特に柔軟性を必要とする分野においては、樹脂のガラス転移温度(TG)を低くするとベタつき、このベタつきを抑えようとワックスなどを添加すると、動的接着力が損なわれる。そのため、柔軟性を必要とする樹脂としては、SBRラテックス、天然ラテックスやウレタン樹脂等が使用されてきた。(特許文献1、2)
しかし、SBRラテックス、天然ラテックスは耐候性が悪く多量の酸化防止剤を添加しても屋外での長期使用で、硬化、劣化が生ずる。またウレタン樹脂は高価であり、又時間の経過と共に黄変する。
一方、改良されたアクリル系樹脂としては、アクリル単量体としてアセトアセテートまたはアセトアセトアミド単量体の一定量を配合したポリマーが提案されているが(特許文献3)、アセトアセテートまたはアセトアセトアミドといった特殊な単量体を調製する必要があり、樹脂の永久伸び率も比較的大なるものとなる。
アクリル系樹脂系組成物としては、内層にゴム状重合体、最外層に熱可塑性樹脂を有する多層構造の粒子が知られている(特許文献4〜6)が、製造法が煩雑で、コスト高なものになる。
特開平11−247071号公報 特願2004−161945号公報 特願2000−239604号公報 特願平11−292940号公報 特願2001−181357号公報 特願2002−302556号公報
このような状況に鑑み、本発明は従来のTgが−40〜0℃のアクリル酸エステル共重合体のべたつきを抑えつつ、永久伸び率が低く、動的接着と弾性に優れたアクリル酸エステル共重合体エマルジョンを廉価に提供せんとするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、種々検討を重ねた結果、Tgが−40〜0℃のアクリル酸エステルを特定のレドックス重合触媒を用い、通常よりも相当に少ない触媒の存在下に重合反応を行い、更に金属酸化物で金属架橋を施すことにより、得られる重合体の分子量を例えば100万から1000万程度の高分子量とすることにより、動的接着と弾性に優れ、永久伸び率の低い柔軟性アクリル系樹脂を容易且つ廉価に製造することが可能となることを知った。又少ない量の触媒の存在下に重合反応を行という方法を採用することにより、高固形分の重合樹脂エマルジョンを得ることができることが判明した。これらの知見を基に更に研究を重ねて本発明を完成した。
すなわち本発明は、
〔1〕
アルキル(メタ)アクリレート(a)及び共重合性不飽和カルボン酸(b)の合計量が80重量%以上を占める共重合性不飽和単量体混合物を、共重合性不飽和単量体混合物に対して
(1)硫酸第一鉄0.1〜100ppm、
(2)過硫酸塩10〜500ppm
(3)重亜硫酸塩10〜300ppm及び
(4)亜硫酸塩200〜5000ppm
を含んで成る触媒(c)の存在下に乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物を加え混合するガラス移転温度が−40〜0℃で永久伸び率が10%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
〔2〕
アルキル(メタ)アクリレート(a)と共重合性不飽和カルボン酸(b)の重量比が1:1〜30:1である〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
〔3〕
金属酸化物が2価の金属である〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
〔4〕
共重合性不飽和カルボン酸(b)の酸価が1〜20mgKOH/gである〔1〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、及び
〔5〕
共重合性不飽和カルボン酸(b)の当量あたり0.05〜1.0当量の2価の金属酸化物を用いる〔3〕記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法、
である。
本発明に使用されるアルキル(メタ)アクリレート単量体(a)としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ウラリル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルのほか、例えば、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するアルキル基の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。好ましいものは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルであり、アクリル酸エチルが特に好ましい。また、Tgの調整のため、アクリル酸エチルの50%未満を上記の他の(メタ)アクリレート単量体と置換えたものでも良い。
本発明において用いる共重合性不飽和カルボン酸単量体(b)としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等のアクリル単量体と共重合可能なエチレン性カルボン酸単量体が挙げられる。好ましいものは、(メタ)アクリル酸で、アクリル酸が特に好ましい。
共重合性不飽和カルボン酸の酸価は、通常1〜20mgKOH/g、好ましくは7〜15mgKOH/gである。
(a)と(b)の使用重量割合は、(a):(b)=1〜30:1、好ましくは、1〜5:1である。又(a)と(b)の合計量は、単量体混合物全体中80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
上記(a)及び(b)以外に、ガラス転移温度が−40〜0℃、永久伸び率が10%未満の共重合体が得られると言う条件を満たす範囲内において、他の共重合性不飽和単量体を混合物全体に対して20重量%未満、好ましくは10重量%未満使用することができる。
この共重合不飽和性単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、などの芳香族ビニル化合物、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミド、例えば、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、例えばメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジンなどのエチレン系不飽和アミンなどを挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
単量体混合物の乳化重合に際しては、乳化剤を用いるのがよく、その乳化剤としてはノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性のいずれもが使用できる。
ノニオン性のものとして、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートもしくはスルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、オレフィンスルフォネート等の単独又は併用、更にこれと、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等との併用が挙げられる。
アニオン性のものとしては、オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン性のもとしては、例えばステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクラデシルアンモニウムコロライド等が挙げられる。
また両イオン性のものとしては、例えばラウリルベタイン、ラウリルヂメチル等が挙げられる。
乳化剤の使用量は単量体の合計重量に対して1〜30%望ましくは1〜5%である。この水溶液を単量体混合物に添加して単量体エマルジョンを作る。
更にこの単量体エマルジョンを単量体に対して50〜200重量部望ましくは80〜120重量部の水と混合する。
本発明においては、乳化重合開始剤(触媒)として硫酸第一鉄、過硫酸塩、重亜硫酸塩、及び亜硫酸塩が用いられる。
過硫酸塩としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が用いられるが、アンモニウム塩を用いるのが一般的である。重亜硫酸塩及び亜硫酸塩としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の塩が用いられるが、ナトリウム塩が好ましく使用される。
これらの触媒は、通常この種の反応に用いられる量より少ない量が用いられる。すなわち、共重合性不飽和単量体混合物に対して、
(1)硫酸第一鉄を0.1〜100ppm、望ましくは1〜10ppm、
(2)過硫酸塩を10〜500ppm、望ましくは100〜300ppm
(3)重亜硫酸塩を10〜300ppm、望ましくは50〜200ppm及び
(4)亜硫酸塩を200〜5000ppm、望ましくは300〜2000ppm用いる。
これらの触媒の添加順序は、通常記載の順序で行うのがよいが、必ずしもその順序に従う必要は無い。特に(3)の重亜硫酸ナトリウムと亜硫酸ナトリウムの両者を用いるときは、同時または、逆でもよい。
必要な場合、過酸化物開始剤、アゾ開始剤等を追加的に用いることができる。
過酸化物開始剤としては、ベンゾイルペルオキサイド、ラウリルペルオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、ブチルヒドロペルオキサイド、過酸化水素等が挙げられる。
アゾ開始剤としては、アゾビスイロブチルニトリル、アゾビスシアノバレリアン酸アゾビスシアノペンタン酸等が挙げられる。)
これらの使用量は、単量体混合物に対して、10〜500ppm、好ましくは、100〜300ppmである。
この他重合調整剤として、例えばチオグリコール酸、ブチルメルカプタンドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等も適宜使用される。
重合反応は、無酸素状態で行うのがよく、通常窒素による置換を行い、液温50〜80℃、望ましくは60〜70℃に調整し、硫酸第一鉄、過硫酸塩、重亜硫酸塩及び亜硫酸ナトリウムの触媒を使用して、重合反応を実施する。
触媒量が上記より多い場合、得られる重合物の分子量が余り高分子量のものとは成らず、所期の物性を有する重合体が得られない。
反応混合物を20〜70℃望ましくは30〜50℃に冷却した後、金属酸化物、例えば亜鉛、アルミニウム、錫や鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属の酸化物、望ましくは二価金属酸化物、特に酸化亜鉛を単量体合計量に対して0.1〜3.0重量部、望ましくは0.2〜0.8重量部、更に必要により、金属炭酸塩、重炭酸塩、好ましくは重炭酸アンモニウムを10〜1000ppm望ましくは120〜180ppmを加え、10%から15%のアンモニア水0.1〜10重量%、望ましくは1.6〜2.5重量%を加えて架橋反応を完結させる。
又反応終了後のエマルジョン中に残存する単量体を高分子化するために、t−ブチルハイドロパーオキサイドを好ましくは0.01〜0.5%、更に好ましくは0.1〜0.3%加えた後、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレートを好ましくは0.01〜0.5%、更に好ましくは0.1〜0.3%を添加することができる。
本発明の乳化重合によって得られるアクリル樹脂エマルジョンは、その乾燥被膜のガラス転移温度が0℃以下、好ましくは、−40〜0℃、更に好ましくは、−25〜−10℃のものである。従って、ガラス転移温度がこの温度範囲になるようアクリル単量体を単独もしくは併用して選択するのが好ましい。ガラス転移温度が0℃より高くなると、乾燥被膜が硬くなりすぎ、弾性、動的接着力が失われる場合があり、−40℃より低くなると被膜表面にネバつきがでて好ましくない。
上記で得られたアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンに、アルキル(メタ)アクリレート(a)の合計量が80重量%以上を占める共重合性不飽和単量体混合物を、共重合性不飽和単量体混合物に対して
(1)硫酸第一鉄1〜10ppm、
(2)過硫酸アンモニウム150〜300ppm、
(3)重亜硫酸アルカリ金属塩10〜300ppm及び
(4)亜硫酸アルカリ金属塩300〜2000ppm
を加えて乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物の錯体を加え混合する操作を続けることにより、固形分が50重量%以上、好ましくは、50〜60重量%の高固形分のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンが得られる。この高固形分のエマルジョンは、そのまま皮革や繊維に塗布、浸漬して所期の物性を有する被膜を形成させることができるし、脱水して、樹脂組成物を得るにも省エネルギー的に行うことができる。
なお、本発明のいずれの重合反応においても、重合開始前のエマルジョン中の単量体混合物の濃度は、通常10〜40%、好ましくは25〜35%である。単量体濃度がそれより高いと、反応が一挙に進行し、反応温度が急激に上昇して突沸した状態になり、目的の重合物は得られない。
得られたエマルジョンのBM粘度計による粘度は、10〜10,000mP・s程度であり、平均分子量は、50万〜1000万程度、好ましくは、100万〜500万程度である。
脱水してアクリル樹脂組成物、たとえば、皮革用コーティング剤、繊維加工用バインダー、塗料用ベースなどとする場合に極めて短時間且つ廉価に行うことができる。
得られたアクリレート樹脂組成物の乾燥被膜の物性は、弾性率は通常3〜15%、好ましくは5〜10%、分子量は通常100万〜1000万、好ましくは、150万〜600万、Tgは通常−40〜0℃、好ましくは−25〜−10℃、最低増膜温度は通常10℃以下、好ましくは、0℃以下、永久伸び率は通常10%未満、好ましくは6%未満、破断時伸び率は通常700〜1500%、破断強度は通常50〜100kg/cm2、100%モジュラスは通常3〜10kg/cm2である。
本発明は強靱性、耐候性、動的接着性と柔軟性に優れ、且つ永久伸び率の低いアクリル系樹脂を容易且つ廉価に製造することができる。又使用触媒濃度が低いため重合時の急激な発熱が抑えられるため、固形分が例えば50重量%以上、具体的には50〜60重量%と言った高濃度のアクリレートエマルジョンの製造が可能である。従って、濃縮すること無くそのまま皮革や織物等の被塗物に塗布することができ、又エマルジョンからアクリレート樹脂成型物を得る場合も濃縮乾燥に極めて好都合である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
脱イオン水117gにラウリル硫酸ナトリウム7gを溶解した。更にエチルアクリレート345gとアクリル酸15gを加えて撹拌し、単量体プレエマルジョンを調製した。
撹拌機、温度調節器、還流冷却器、温度計並びに窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水490gを入れ30℃に調整しながら窒素置換を行った。反応容器に上記プレエマルジョン90gを加え30℃に調整しながら窒素置換を行った。
(1)硫酸鉄七水和物0.0024g(対単量体 6.7ppm)を脱イオン水12gに溶かしたもの、
(2)過硫酸アンモニウム0.09g(対単量体 250ppm)を脱イオン水8gに溶かしたもの、
(3)重亜硫酸ナトリウム0.063(対単量体 175ppm)と亜硫酸ナトリウム0.3g(対単量体 830ppm)を水15gに溶かしたもの、
をそれぞれ調整し、(1)(2)(3)の順で添加した。反応液の発熱が確認され、内温の上昇の停止を確認の上、残りのプレエマルジョンを100分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。
滴下終了後反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃に冷却しt−ブチルハイドロパーオキサイド0.7g(対単量体 0.19重量部)に脱イオン水10gを加えたものと、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.6g(対単量体 0.17重量部)に脱イオン水10gを加えたものを加え、暫く60℃に保ち40℃まで冷却した。
酸価亜鉛1.8g(対単量体 0.5重量部)に脱イオン水10gを加えた分散液を加え暫く撹拌した。
更に重炭酸アンモニウム0.06g(対単量体 167ppm)を脱イオン水5gを加えた液を加え、暫く撹拌し、12.5%アンモニア水7.6g(対単量体 2.1重量部)を加えた。
この操作により、不揮発分は35.0%、pH8.0、粘度100mP・sのポリマーラテックスが得られた。
得られたラテックスを用いて定法により形成した被膜を、チャック間距離20mm、引っ張り速度50mm/分、温度23℃、湿度50%の条件下で機械的物性を評価した。また、皮膜を100%伸長させた状態で10分間保持後応力を開放し10分後の永久伸びを測定した。結果は表1の通りである。
第1段反応
脱イオン水157gにラウリル硫酸ナトリウム8gを溶解した。
更にエチルアクリレート480gとアクリル酸12gを加え撹拌し単量体プレエマルジョンを調整した。
攪拌機、温度調節器、還流冷却器、温度計並びに窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水230gを入れ30℃に調整しながら窒素置換を行った。
反応容器に上記プレエマルジョンの57gを投入し30℃に調整しながら窒素置換を行った。
(1)硫酸鉄七水和物0.0006g(対単量体 1.2ppm)を脱イオン水3gに溶かしたもの、
(2)過硫酸アンモニウム0.125g(対単量体 254ppm)を脱イオン水10gに溶かしたもの、
(3)重亜硫酸ナトリウム0.087g(対単量体 177ppm)と亜硫酸ナトリウム0.42g(対単量体 853ppm)を水20gに溶かしたもの
をそれぞれ調整し、(1)と(2)の1/3と(3)の1/3の順で添加した。数分後反応が開始し、液温が上昇し、内温の上昇の停止を確認した後、プレエマルジョン200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。
滴下終了後反応液を暫く70℃に維持し、60℃まで冷却した。
第2段反応
触媒(2)及び(3)のそれぞれ1/3をその順序で加え、数分後プレエマルジョンの200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。滴下終了後も反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃に冷却した。
第3段反応
触媒(2)及び(3)のそれぞれ1/3をその順序で加え、数分後プレエマルジョン200gを60分で滴下した。その間液温を60〜70℃に保った。滴下終了後反応液を暫く60〜70℃に維持し、60℃まで冷却した。t−ブチルハイドロパーオキサイド1.0g(対単量体 0.2重量部)に脱イオン水10gを加えた物と、ナトリウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート0.8g(対単量体 0.16重量部)に脱イオン水10gを加えたものを加え、暫く60℃に保ち、40℃以下まで冷却した。
酸化亜鉛2.5g(対単量体 0.51重量部)に脱イオン水10gを加え分散した液を加え暫く撹拌した。更に重炭酸アンモニウム0.07g(対単量体 142ppm)を脱イオン水5gに加えた液を加え、暫く撹拌し、12.5%アンモニア水10g(対単量体 2.03重量部)を加えた。
この操作により、不揮発分51.2%、pH8.0、粘度500mP・sのポリマーラテックスが得られた。
得られたラテックスを用いて定法により形成した被膜を、チャック間距離20mm、引っ張り速度50mm/分、温度23℃、湿度50%の条件下で機械的物性を評価した。また、皮膜を100%伸長させた状態で10分間保持後応力を開放し10分後の永久伸びを測定した。結果は表1の通りである。
Figure 0004537870
本発明の方法で得られた樹脂は動的接着力と弾性に優れ、永久伸び率が低いので、皮革用コーティング剤、繊維加工用バインダー、塗料用ベースとして極めて有用である。

Claims (5)

  1. アルキル(メタ)アクリレート(a)及び共重合性不飽和カルボン酸(b)の合計量が80重量%以上を占める共重合性不飽和単量体混合物を、共重合性不飽和単量体混合物に対して
    (1)硫酸第一鉄0.1〜100ppm、
    (2)過硫酸塩10〜500ppm
    (3)重亜硫酸塩10〜300ppm及び
    (4)亜硫酸塩200〜5000ppm
    を含んで成る触媒(c)の存在下に乳化重合させ、得られた乳化重合物に金属酸化物を加え反応させるガラス移転温度が−40〜0℃で永久伸び率が10%未満であるアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
  2. アルキル(メタ)アクリレート(a)と共重合性不飽和カルボン酸(b)の重量比が1:1〜30:1である請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
  3. 金属酸化物が2価の金属である請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
  4. 共重合性不飽和カルボン酸(b)の酸価が1〜20mgKOH/gである請求項1記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
  5. 共重合性不飽和カルボン酸(b)の当量あたり0.05〜1.0当量の2価金属の酸化物を用いる請求項3記載のアルキル(メタ)アクリレート共重合体エマルジョンの製造法。
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