JP2007224138A - 水分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファインフロックの副生を大幅に抑制し、厚膜の均一性や密着性、耐水性等良好であり、スプレー塗布時のスプレー適性等が良好で樹脂水分散体中の夾雑ファインフロックの混在量が極めて少ない水分散体とその製造方法を提供する。
【解決手段】ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法であって、使用前熱処理、好ましくは、40〜100℃で1時間以上で行った陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)を使用する水分散体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法であって、使用前熱処理、好ましくは、40〜100℃で1時間以上で行った陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)を使用する水分散体の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、重合安定性、保存安定性、成膜性の良好な粒子径の細かい水分散体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、紙、フィルム、金属、ガラス、木材、皮革などの各種基材に使用することのできるコーティング用、インキ用水分散体であり、コート適性に優れ、光沢、耐水性、耐溶剤性、耐ブロッキング性、密着性等の良好な塗膜を形成する水分散体に関する。
従来、ラジカル重合可能な不飽和単量体を重合してなる水分散体の重合方法として、乳化重合法は多岐にわたり利用されている。一般的な乳化重合法としては、水媒体中で乳化剤を使用し、そのミセル中でラジカル重合を行う方法がある。この方法で作られた水分散体は分子量が高く、コーティング用樹脂として使用した場合には優れた物性をもつ塗膜が得られる。反面、例えば、高分子量であるため成膜性が悪く光沢のよい塗膜を得るのが難しい、という欠点になることもある。また、塗膜性能を向上させるための共重合体の設計によっては、製造時には重合安定性が不良となることで凝集物が副生し、水分散体中にはファインフロックに分類できる2μm以上の大粒子径夾雑物が残り、塗膜の平滑性を損なう原因となっている。
一方、上記に示した乳化重合法に対して、水溶性の樹脂を高分子乳化剤として使用する乳化重合法が知られている。この方法で作られた水分散体は、水溶性樹脂が比較的多く存在するために成膜性がよく、ある程度の高光沢な塗膜が得られる。また、粘性もニュートニアンに近く、特にロールコートに適しているという特徴がある。しかし、インキに対する密着性、光沢、耐ブロッキング性などのバランスがとれにくく、光沢は良好であるが耐ブロッキング性が悪い。また、耐ブロッキング性は良好であるが光沢が不十分であるといった問題をかかえている。その理由として必ずしも明確ではないが、高酸価の樹脂はインキ面への密着性、乾燥工程における塗膜からの水の離脱性が悪く、塗膜中に残存する水分による可塑効果などが考えられる。この問題を解決するために酸含有モノマーの使用量を減らすことが考えられるが、重合安定性、得られた水分散体の経時安定性が悪くなる。
また、ロジン等を併用して塗工物性を改良するような手法も考えられている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この場合、ロジンのような添加物を加える必要があり、添加剤の存在が障害となるような塗工用途には、適しておらず、重合も2段階が必要となるなど、工業化の面でも欠点が多い。
そこで、本発明は、最も一般的に使用されるスルホン酸塩系乳化剤を使用した乳化重合体でありながら、重合時に凝集物の発生しない安定な水分散体であり、さらに、コート後の表面平滑性を損なうファインフロックの混在量が極めて少なく、コーティング剤に使用した場合に、コート適性に優れ、光沢、耐ブロッキング性、密着性等の良好な塗膜を形成することのできる水分散体の製造方法を提供することを目的とする。
また、特開平7−216261や特開2004−67967に、金属厚膜被覆材用水分散体について、厚膜被覆性や塗膜の密着性、防食性、耐水性、耐油性等に関する改良が検討されている。このような用途においても、水分散体中の夾雑ファインフロックの混在量が極めて少ない、本発明の水分散体を使用することで、厚膜の均一性や密着性、耐水性等の向上が期待でき、さらには、スプレー塗布時のスプレー適性等も改良でき、損失の削減も可能となる。
本発明者は、ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法において、スルホン酸塩系乳化剤を重合反応前に加熱処理を行うことで、重合安定性を著しく向上させ、ファインフロックの副生も大幅に抑制することを見出し、発明を完成させた。
即ち、本発明は、ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法であって、使用前熱処理を行った陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)を使用する水分散体の製造方法を提供する。
本発明によれば、高純度でコーティング適性の優れた水分散体の製造方法を提供できる。
以下に、本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明でいう、ラジカル重合可能な不飽和単量体は、カルボキシル基含有単量体、及びエチレン性不飽和短量体からなる。
本発明でいうカルボキシル基含有単量体としては、分子内にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β−(メタ)ヒドロキシエチルハイドロゲンフタレートおよびこれらの塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
本発明に使用するエチレン性不飽和単量体として、官能基を含有しないものは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物;イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
官能基を有するエチレン性不飽和単量体も用いることが可能で、例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のメチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基含有重合性単量体;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基含有重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソシアナート基及び/またはブロック化イソシアナート基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性単量体;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロペンテニル基含有重合性単量体;アリル(メタ)アクリレート等のアリル基含有重合性単量体;アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有重合性単量体;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセチル基含有重合性単量体等が挙げられる。
その他のエチレン性不飽和単量体として、乳化重合時の安定性、エマルジョンの貯蔵安定性を向上させることを目的として、得られるエマルジョン被膜の耐水性を低下しない範囲で、スルホン酸基および/またはサルフェート基(および/またはその塩)、リン酸基および/またはリン酸エステル基(および/またはその塩)を含有するエチレン性不飽和単量体を併用することができる。そのようなその他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のビニルスルホン酸類またはその塩、アリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸等のアリル基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸2−スルホプロピル等の(メタ)アクリレート基含有スルホン酸類またはその塩、(メタ)アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド基含有スルホン酸類またはその塩、リン酸基を有する「アデカリアソープPP−70、PPE−710」(旭電化工業(株)製)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、乳化剤は加熱処理を施した陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤を必須成分とする。スルホン酸塩系であれば特に限定されるものではなく、スルホン酸塩のpHが7付近である必要はない。従って、中和の程度は特に制限はなく、乳化剤として機能する範囲で行うことができる。またこれらの1種または2種以上を混合して用いても良い。
本発明は、ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法であって、使用前熱処理を行った陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)を使用する水分散体の製造方法であり、前記加熱処理は、40〜100℃で1時間以上であれば特に限定されないが、例えば、50〜90℃で、5〜30時間程度行うことが好ましい。
前記陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤としてはむ、例えば、高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩等が挙げられる。
乳化剤は、前述の陰イオン性スルホン酸塩系以外と併用が可能であり、他の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤等が挙げられ、例えば、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレンジオール系界面活性剤等が挙げられ、陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム塩等が挙げられ、両性イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル(アミド)ベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
また、上記の界面活性剤の他に、特殊界面活性剤として、フッ素系界面活性剤や、シリコーン系界面活性剤を使用することもできる。
更に、一般的に「反応性乳化剤」と称される重合性不飽和基を分子内に有する乳化剤を使用することも出来る。本発明で使用出来る反応性乳化剤としては、例えば、スルホン酸基及びその塩を有する「ラテムルS−180」(花王(株)製)、「エレミノールJS−2、RS−30」(三洋化成工業(株)製)等;硫酸基及びその塩を有する「アクアロンHS−10、HS−20」(第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープSE−10、SE−20」(旭電化工業(株)製)等;リン酸基を有する「ニューフロンティアA−229E」(第一工業製薬(株)製)等;非イオン性親水基を有する「アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50」(第一工業製薬(株)製)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
また、本発明で使用することのできる乳化剤以外のその他の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、繊維素エーテル、澱粉、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化アルキッド樹脂、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリルアミド、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性ポリウレタン樹脂等の合成或いは天然の水溶性高分子物質が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
本発明において、重合体を重合する際の水性媒体としては、特に限定されるものではないが、水のみを使用してもよいし、或いは、水と水溶性溶剤の混合溶液を使用してもよい。ここで用いる水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
重合体の重合の際に用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類、過酸化水素等があり、これら過酸化物のみを用いてラジカル重合するか、或いは前記過酸化物と、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等のような還元剤とを併用したレドックス重合開始剤系によっても重合でき、また、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を使用することも可能であり、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
上記の重合体の重合の際に用いる重合開始剤の内、有機過酸化物類としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
また、重合の際に用いる重合開始剤の内、還元性有機化合物としては、例えば、アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、クエン酸およびその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩等が挙げられ、上記有機過酸化物類と併用して、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
また、重合の際に用いる重合開始剤の内、還元性有機化合物としては、例えば、アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、クエン酸およびその塩、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩等が挙げられ、上記有機過酸化物類と併用して、これらの1種または2種以上の混合物が使用できる。
本発明において、重合体の分子量を調整する必要がある場合は、分子量調整剤として連鎖移動能を有する化合物、例えば、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリセリン等のメルカプタン類、またはα−メチルスチレン・ダイマー等を添加してもよい。
中和剤として使用する塩基性物質としては、通常のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。特に、得られる被膜の耐水性をより向上させたい場合は、常温或いは加熱により飛散するアンモニアを使用することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、以下に示す実施例及び比較例において、部または%は、特に断りのない限り重量基準である。
比較に用いたラテックスの重合は以下に述べる手順で実験を行い、その際に用いる撹拌装置・設定回転数を変えることで、本発明の装置と比較を行った。
実験1:乳化剤ニューコール271S(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)[日本乳化剤(株)製]を、攪拌装置(l/d=1.6)を備えた容器に入れ、60℃に加温して外気を導入しながら9時間撹拌して、加温処理した乳化剤[A―1]を得た。
実験2:乳化剤ニューコール271S(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)[日本乳化剤(株)製]を、攪拌装置(l/d=1.6)を備えた容器に入れ、還留管を装着し、還留条件下、加熱しながら24時間撹拌して、加温処理した乳化剤[A−2]を得た。
実験3:乳化剤ネオペレックスG−20(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)[(株)花王製]を、攪拌装置(l/d=1.6)を備えた容器に入れ、60℃に加温して外気を導入しながら9時間撹拌して、加温処理した乳化剤[B―1]を得た。
実験4:乳化剤ネオペレックスG−20(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)[(株)花王製]を、攪拌装置(l/d=1.6)を備えた容器に入れ、還留管を装着し、還留条件下、加熱しながら24時間撹拌して、加温処理した乳化剤[B―2]を得た。
実施例1
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[A―1](実験1にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[A―1](実験1にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
実施例2
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[A―2](実験2にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[A―2](実験2にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
比較例1
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ニューコール271S(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)[日本乳化剤(株)製]を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ニューコール271S(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)[日本乳化剤(株)製]を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
実施例3
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[B―1](実験3にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[B―1](実験3にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
実施例4
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[B―2](実験4にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤[B―2](実験4にて加温処理を施したもの)を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
比較例2
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ネオペレックスG−20(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)[(株)花王製]を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
攪拌装置(l/d=1.6)を備えた耐圧重合容器に水120部、水酸化ナトリウム0.1部、乳化剤ネオペレックスG−20(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)[(株)花王製]を1.8部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、スチレン69部、アクリル酸3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.7部を仕込み窒素置換した後、ブタジエン28部を圧入し、攪拌を開始し、昇温し、重合容器内温度が60℃に達したとき、過硫酸アンモニウム0.4部を添加し、反応を開始させた。重合率が98%に達したときに80℃に昇温し、8時間反応し、重合率99.5%で冷却を行なった。次いで、25%アンモニア水でラテックスのpHを8.5に調整し、固形分45.2%のSBRラテックスを得た。
ファインフロック数の測定は、重合終了後のラテックス(i)を325メッシュの金網を通して、コールター社の粒径測定装置(COULTER MULTISIZER)を使用して、2μm以上の粒子の重量%を求めた。結果を表2に示す。実施例1〜4が粗大粒子量が少なく、CGも少ないことが確認された。
Claims (3)
- ラジカル重合可能な不飽和単量体を乳化重合させる水分散体の製造方法であって、使用前熱処理を行った陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)を使用する水分散体の製造方法。
- 陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)の使用前熱処理の条件が40〜100℃で1時間以上である請求項1記載の水分散体製造方法
- 前記陰イオン性スルホン酸塩系乳化剤(X)が高級アルコールの硫酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、及びコハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩からなる群から選ばれる1種以上の乳化剤である請求項1又は2記載の水分散体製造方法
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JP2006046605A JP2007224138A (ja) | 2006-02-23 | 2006-02-23 | 水分散体の製造方法 |
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2006
- 2006-02-23 JP JP2006046605A patent/JP2007224138A/ja active Pending
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KR102246637B1 (ko) * | 2017-07-25 | 2021-04-30 | 주식회사 엘지화학 | 염화비닐계 중합체의 제조방법 |
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