JP5030778B2 - 制振材用エマルション - Google Patents
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Description
なお、本発明の制振材用エマルションは、特に水系塗布型制振材に好適に用いることができるものである。
本発明はまた、上記制振材用エマルションを製造する方法であって、上記製造方法は、ガラス転移温度が異なる単量体成分を用いてなる乳化重合工程を多段階に分別して行う制振材用エマルションの製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
上記制振材用エマルションにおいて、コア−シェル型粒子の含有割合としては、制振材用エマルションの総量100質量%に対し、70質量%以下であることが好適である。70質量%を超えると、制振材用エマルションの粘度が高くなり過ぎて充分な分散安定性を保持することができないおそれがあり、凝集するおそれがある。より好ましくは60質量%以下である。
なお、上記コア−シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
なお、平均粒径(平均粒子径)としては、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散乱光度計DLS−700(大塚電子社製)で測定することにより求めることができる。
なお、本発明においては、アクリル共重合体(A)と、該アクリル共重合体(A)とは異なるアクリル共重合体(B)との2種のアクリル共重合体を使用することになるが、これらは、例えば、重量平均分子量やガラス転移温度、SP値(溶解度係数)、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいて異なるものであればよい。中でも、後述するように、重量平均分子量、ガラス転移温度及びSP値のうちいずれか1以上の点で差を有するものであることが好適である。
上記アクリル共重合体(A)の重量平均分子量としてはまた、シェル部を構成するアクリル共重合体(B)の重量平均分子量との差が4000以上であることが好ましい。すなわち、上記アクリル共重合体(A)の重量平均分子量が、アクリル共重合体(B)の重量平均分子量よりも4000以上大きい又は小さいことが好ましい。このように重量平均分子量に差を設けることにより、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となる。より好ましくは1万以上である。また、20万以下であることが好適である。
なお、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記コア部を構成するアクリル共重合体(A)としてはまた、ガラス転移温度(TgA)が、上記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度(TgB)と差を有するものであることが好適である。このようにガラス転移温度(Tg)に差を設けることにより、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となる。より好ましくは、TgAとTgBとの差が15℃以上であることであり、これにより、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性が効率的に発現することとなるが、差が15℃未満であると、20℃か60℃のいずれかで制振性をより充分に発現できないおそれがある。更に好ましくは20℃以上であり、特に好ましくは25℃以上である。また、温度差が大き過ぎると、実用的範囲での制振性がより充分なものとはならないおそれがあることから、TgAとTgBとの差は100℃以下とすることが好ましい。より好ましくは90℃以下であり、更に好ましくは80℃以下である。最も好ましくは、50℃以下である。また、TgAが、TgBよりも高いことが特に好適である。
このように、上記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度(TgA)、又は、上記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度(TgB)が、0℃以上であって、かつTgAとTgBとの差が15℃以上である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
なお、アクリル共重合体のSP値(δ)は、例えば、以下のSmallの式により求めることができる。
ブチルアクリレート:9.77
2−エチルヘキシルアクリレート:9.22
メタクリル酸メチル:9.93
スチレン:8.6
エチルアクリレート:10.2
メタクリル酸:12.54
メタクリロニトリル:12.7
ヒドロキシエチルメタクリレート:13.47
アクリル酸:14.04
アクリルアミド:19.19
メタクリルアミド:16.25
アクリロニトリル:14.39
酢酸ビニル:10.56
上記アクリル共重合体(A)及びアクリル共重合体(B)を得るのに使用される単量体成分としては、それぞれ、その少なくとも1種が、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体である限り、特に限定されるものではない。また、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の1種又は2種以上と、その他の単量体の1種又は2種以上とを使用してもよい。
なお、その他の単量体成分として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の1種又は2種以上を使用してもよい。
また上記アクリル共重合体(B)を得るのに使用される単量体成分において、上記(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の質量割合としては、例えば、全単量体成分100質量%に対し、30〜90質量%であることが好適である。より好ましくは、40〜70質量%である。
上記極性官能基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシ(メタ)アクリレート等が好適である。
なお、この質量割合は、上述した(メタ)アクリル酸(塩)系単量体が極性官能基を有する場合、当該(メタ)アクリル酸(塩)系単量体の質量割合も含むものである。
上記連鎖移動剤としては、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルへキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルへキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステル;α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等の1種又は2種以上が好適である。中でも、へキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−へキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。
本発明はまた、上記制振材用エマルションを製造する方法であって、ガラス転移温度が異なる単量体成分を用いてなる乳化重合工程を多段階に分別して行う制振材用エマルションの製造方法でもある。
上記制振材用エマルションの製造方法は、アクリル共重合体(A)からなるコア部を構成する単量体成分を用いて乳化重合を行う工程を、アクリル共重合体(B)からなるシェル部を構成する単量体成分を用いて乳化重合を行う工程より早い段階で行うことが好ましい。
例えば、上記制振材用エマルションを製造する方法であって、該製造方法は、ガラス転移温度が異なる単量体成分を用いてなる乳化重合工程を多段行うものであり、第1段目の乳化重合工程が、アクリル共重合体(A)を構成する単量体成分を用いて重合を行う工程であり、最終段目の乳化重合工程が、アクリル共重合体(B)を構成する単量体成分を用いて重合を行う工程である制振材用エマルションの製造方法が好ましい。
上記製造方法として、具体的には、(1)界面活性剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてアクリル共重合体(A)からなるコア部を形成する工程(工程(1))と、(2)該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてアクリル共重合体(B)からなるシェル部を形成する工程(工程(2))とを含んでなる方法であることが好ましい。このような製造方法により、コア−シェル複合構造を有する粒子を含む制振材用エマルションを好適に得ることができるが、中でも、上記製造方法において、コア部を構成するアクリル共重合体(A)とシェル部を構成するアクリル共重合体(B)との相溶性、これらのアクリル共重合体の親水性レベル(SP値)、両者の重量平均分子量等を調整することが好ましく、これにより、理想的なコア−シェル複合構造の粒子を含む本発明の制振材用エマルションを得ることが可能となる。
ここで、上記「ガラス転移温度が異なる単量体成分」とは、当該単量体成分を用いてホモポリマー(単独重合体)を製造した場合に、当該ホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)が異なる単量体成分を意味する。
また上記製造方法において、界面活性剤としては、乳化重合に通常使用されるものを用いればよく、特に限定されないが、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、これらの反応性界面活性剤等の1種又は2種以上を使用することが好適である。
上記界面活性剤の使用量としては、用いる界面活性剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.3〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜5重量部である。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1重量部である。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量としては特に限定されず、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、2重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.0重量部以下である。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記他のエマルション樹脂の使用割合としては、例えば、本発明の制振材用エマルションと該エマルション樹脂との質量比(本発明の制振材用エマルション/他のエマルション樹脂)が、50〜100/0〜50となるように設定することが好ましい。
本発明の制振材用エマルションとしてはまた、必要に応じて他成分とともに、制振材配合物を構成することができるものである。このような本発明の制振材用エマルションを必須とする制振材配合物は、本発明の好ましい実施形態の1つであり、優れた加熱乾燥性と制振性とを発揮し得る水系制振材を形成することができるものである。上記制振材配合物を水系制振材として使用する制振材用エマルションの使用方法もまた、本発明の好ましい形態のひとつである。
上記制振材配合物としては、例えば、制振材配合物の総量100質量%に対し、固形分を40〜90質量%含有してなることが好適であり、より好ましくは、50〜83質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。また、制振材配合物のpHは、7〜11とすることが好ましく、より好ましくは、7〜9である。
上記制振材配合物における制振材用エマルションの配合量としては、例えば、制振材配合物の固形分100質量%に対し、制振材用エマルションの固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは、15〜55質量%である。
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、例えば、制振材配合物中の制振材用エマルションの固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
上記制振材用エマルション又は配合物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域で充分な高制振性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質の充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。無機質充填剤の配合量としては、例えば、制振材用エマルションの固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましく、より好ましくは、100〜550重量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤及びポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
なお、このような制振材配合物は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
上記発泡剤の配合量としては、例えば、制振材用エマルション100重量部に対し、0.5〜5.0重量部とすることが好ましく、より好ましくは、1.0〜3.0重量部である。
上記無機顔料としては特に限定されず、例えば、上述した無機の着色剤や無機の防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記無機顔料の配合量としては、例えば、制振材用エマルション100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましく、より好ましくは、100〜550重量部である。
上記多価金属化合物の形態は特に限定されず、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材配合物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。また、多価金属化合物の使用量は、制振材配合物中の固形分100重量部に対して、好ましくは0.05〜5.0重量部であり、より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
上記制振材配合物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、例えば、乾燥時(後)の塗膜の面重量が1.0〜7.0kg/m2となるようにすることが好ましく、より好ましくは、2.0〜6.0kg/m2である。なお、本発明の制振材配合物を使用することにより、乾燥時に膨張やクラックが生じにくく、しかも垂直面のタレも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。乾燥後の塗膜の面重量が2.0〜6.0kg/m2となるように塗工し、乾燥する制振材配合物の塗工方法もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。また、上記制振材配合物の塗工方法によって得られた制振材もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
下記の実施例等において、重量平均分子量(Mw)、SP値、ガラス転移温度(Tg)及び粘度は、上述したようにして求めた。また、フィルム白濁性は、得られたエマルションを100.0mm(長さ)×50.0mm(幅)×2.00mm(高さ)の型枠に流し込み、室温で10分放置後、140℃で焼き付けをして得られた樹脂フィルムの透明度について、目視にて確認した。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水(76部)を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら、内温を70℃まで昇温させた。一方、滴下ロートに、メチルメタクリレート(54.4部)、2−エチルヘキシルアクリレート(44.6部)、アクリル酸(1.0部)、t−ドデシルメルカプタン(0.4部)、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩(第一工業製薬社製、「ハイテノールNF−08」、15部)、及び、脱イオン水(10部)からなる単量体エマルション1を仕込んだ。
70℃に調整した重合器に、単量体エマルション1を滴下することで反応を開始させ、80℃まで温度を上げた後、内温を80℃に維持しながら単量体エマルション1を2時間かけて均一に滴下した。同時に、5%過硫酸カリウム水溶液(7部)、及び、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(17.5部)を2時間かけて均一に滴下した。これらの滴下により、コア部のエマルションを形成した。滴下終了後、75℃で1時間反応を続け、各単量体成分を完全に消費させた。
このようにして得られたコア部のエマルションについて、重量平均分子量及びSP値を求めた。また、コア部を構成する単量体組成から、ガラス転移温度を求めた。これらの結果を表1に示す。
コア部のエマルションに、調製した単量体エマルション2を滴下することで反応を開始させ、内温を80℃に維持しながら単量体エマルション2を2時間かけて滴下した。同時に、5%過硫酸カリウム水溶液(7部)、及び、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(17.5部)を2時間かけて均一に滴下した。これらの滴下により、シェル部を形成し、コア−シェル型の粒子を得た。滴下終了後、75℃で1時間反応を続け、各モノマーを完全に消費させた。その後、反応溶液を25℃まで冷却して25%のアンモニア水を適量添加し、水性の制振材用エマルションを得た。
得られた制振材用エマルションについて、重量平均分子量(全体の分子量)、固形分濃度、pH及び粘度を求め、目視にてフィルム白濁性を評価した。また、シェル部のSP値を求め、シェル部を構成する単量体組成から、ガラス転移温度を求めた。これらの結果を表1に示す。
コア部及びシェル部の形成に用いられる単量体成分の組成を表1又は2に示す組成にした以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表1及び2に示す。また、実施例11をベースに面重量を測定した。結果を表5に示す。
コア部及びシェル部の形成に用いられる単量体成分の組成を表2に示す組成にしたこと、並びに、得られたコア−シェル型の粒子を含有するエマルション100部に対して更に発泡剤(「エクスパンセルWU642」、日本フィライト社製)1.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表2に示す。
コア部及びシェル部の形成に用いられる単量体成分の組成を表2に示す組成にしたこと、得られたコア−シェル型の粒子を含有するエマルション100部に対して更に発泡剤(「エクスパンセルWU642」、日本フィライト社製)1.5部を添加したこと、並びに、得られたコア−シェル型の粒子を含有するエマルション100部に対して更に架橋剤を添加したこと以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。なお、架橋剤の種類及び使用量については、表2に示した。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表2に示す。
コア部及びシェル部の形成に用いられる単量体成分の組成を表3に示す組成にした以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表3に示す。
コア部の形成に用いられる単量体成分の組成を表3に示す組成にしたこと、及び、シェル部を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表3に示す。
コア部の形成に用いられる単量体成分の組成を表3に示す組成にしたこと、シェル部を形成しなかったこと、及び、コア−シェル型の粒子を含有するエマルション100部に対して更に発泡剤(「エクスパンセルWU642」、日本フィライト社製)1.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、制振材用エマルションを得た。
この制振材用エマルションについて、実施例1と同様に各種物性等を評価した。結果を表3に示す。
MMA:メチルメタクリレート
St:スチレン
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
AA:アクリル酸
t−DM:t−ドデシルメルカプタン
AN:アクリロニトリル
M−AN:メタクリロニトリル
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
架橋剤A:エポクロスWS−700(商品名、日本触媒社製)
架橋剤B:エポクロスK−2030(商品名、日本触媒社製)
TgA/TgB(℃):コア部(A)のガラス転移温度(℃)/シェル部(B)のガラス転移温度(℃)
WA/WBの比率:コア部(A)とシェル部(B)との質量比率(%/%)
ΔSP(B−A):シェル部(B)のSP値からコア部(A)のSP値を差し引いた値
なお、ΔSP(B−A)が小さいほど、相溶性が比較的良好であることを示し、逆にΔSP(B−A)が大きいほど、相溶性が比較的不良であることを示す。
実施例1〜19及び比較例1〜5で得られた制振材用エマルションを下記のとおり配合し、制振材配合物として制振性、造膜性及び貯蔵安定性を評価した。
・実施例1〜19及び比較例1〜5で得られた制振材用エマルション:100部
・炭酸カルシウム(「NN#200」、日東粉化工業社製、充填剤):250部
・分散剤(「デモールEP」、花王社製、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤):1部
・増粘剤(「アクリセットAT−2」、日本触媒社製、アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤):2部
・消泡剤(「ノプコ8034L」、サンノプコ社製、消泡剤、主成分:疎水性シリコーン+鉱油):0.3部
上記制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC:10×245×1.6mm)上に、塗膜乾燥後の面重量が4.0kg/m2になるように塗布し、150℃×30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に制振材被膜を形成した。制振性の測定は、片持ち梁法(小野測機社製、損失係数測定システム)を用いて、20℃、40℃、60℃における損失係数(%)を共振法(3dB法)により測定した。結果を表4に示す。
また、実施例11をベースに塗膜乾燥後の面重量が1.0〜7.5Kg/m2になるように塗布し、同様にして損失係数を測定した。結果を表5に示す。
上記水性制振材配合物をSPCC−SD(ダル鋼板、日本テストパネル社製)の基材(70×150×0.8mm)上に、WET4.0mm厚で塗布し、5℃に放置し、剥がれ又はひび割れの状態を以下のように評価した。結果を表4に示す。
また、実施例11をベースに塗膜乾燥後の面重量が1.0〜7.5Kg/m2になるように塗布し、同様にして剥がれ又はひび割れの状態を以下のように評価した。結果を表5に示す。
〇:特に異常なし
△:剥がれ、ひび割れ多少あり
×:剥がれ、ひび割れ多量あり
実施例11をベースに上記水性制振材配合物をSPCC−SD(ダル鋼板、日本テストパネル社製)の基材(70×150×0.8mm)上に、塗膜乾燥後の面重量が1.0〜7.5Kg/m2になるように塗布後、直ぐに150℃×30分間加熱乾燥した。乾燥後の塗膜の状態を以下の基準で判断した。その結果を表5に示す。
〇:塗膜が充分硬化している(充分乾燥している)
△:塗膜を指で強く押すと、微かに沈む(揮発分が僅かに残存している感じ)
×:塗膜が軟らかい(乾燥不十分)
上記水性制振材配合物を容器(ポリプロピレン容器)に詰めた後、密閉状態で40℃×2週間貯蔵した。2週間後、室温に戻し、配合物の状態を以下のように評価した。結果を表4に示す。
〇:流動性あり(増粘傾向は確認されず)
×:ゲル化した(流動性なし)
Claims (13)
- アクリル共重合体(A)からなるコア部と、アクリル共重合体(B)からなるシェル部とを有する粒子を含有する制振材用エマルションであって、
該アクリル共重合体(A)の重量平均分子量、及び/又は、該コア部とシェル部とを有する粒子の重量平均分子量は、2万〜25万であり、
アクリル共重合体(A)の重量平均分子量とアクリル共重合体(B)の重量平均分子量との差が4000以上であり、
アクリル共重合体(A)のガラス転移温度(TgA)がアクリル共重合体(B)のガラス転移温度(TgB)よりも高く、かつ、TgAとTgBとの差が15〜50℃である
ことを特徴とする制振材用エマルション。 - 前記アクリル共重合体(A)のガラス転移温度(TgA)、又は、前記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度(TgB)は、0℃以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の制振材用エマルション。 - 前記アクリル共重合体(A)とアクリル共重合体(B)との質量比は、10〜70/30〜90である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用エマルション。 - 前記アクリル共重合体(A)及びアクリル共重合体(B)は、極性官能基を有する単量体を含む単量体成分を共重合してなるものである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材用エマルション。 - 前記極性官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基及びアミド基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振材用エマルション。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の制振材用エマルションを製造する方法であって、
該製造方法は、ガラス転移温度が異なる単量体成分を用いてなる乳化重合工程を多段階に分別して行う
ことを特徴とする制振材用エマルションの製造方法。 - 前記制振材用エマルションの製造方法は、アクリル共重合体(A)からなるコア部を構成する単量体成分を用いて乳化重合を行う工程を、アクリル共重合体(B)からなるシェル部を構成する単量体成分を用いて乳化重合を行う工程より早い段階で行う
ことを特徴とする請求項6記載の制振材用エマルションの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の制振材用エマルションを含んでなることを特徴とする制振材配合物。
- 前記制振材配合物は、制振材配合物が含む制振材用エマルション100重量部に対して発泡剤を0.5〜5.0重量部含むことを特徴とする請求項8に記載の制振材配合物。
- 前記制振材配合物は、水系架橋剤を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の制振材配合物。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の制振材配合物を水系制振材として使用することを特徴とする制振材用エマルションの使用方法。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の制振材配合物の塗工方法であって、
該塗工方法は、乾燥後の塗膜の面重量が2.0〜6.0kg/m2となるように塗工し、乾燥することを特徴とする制振材配合物の塗工方法。 - 請求項12記載の制振材配合物の塗工方法によって得られたものである
ことを特徴とする制振材。
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