JP5172458B2 - 制振材用エマルション組成物 - Google Patents
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Description
また、重量平均分子量が3,000〜10,000のポリアクリル酸アルカリ金属塩を水分散体樹脂組成物に対して0.5〜8質量%含有してなる水分散体樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この組成物は、ポリアクリル酸アルカリ金属塩のようなアニオン型水溶性ポリマーを添加することで組成物の塗布時に表面に乾燥膜を形成しないようにして塗布層中の水分の蒸発を容易にして加熱乾燥性を高めようとするものである。しかしながら、これらの組成物よりも更に高い加熱乾燥性を有するとともに、制振性にも優れた制振材用組成物を開発する工夫の余地があった。
以下に本発明を詳述する。
なお、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、優れた加熱乾燥性を発揮するものとなる。
エマルション粒子の平均粒子径は、120〜400nmであることが好ましい。より好ましくは、150〜350nmである。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、本発明の制振材用エマルション組成物の作用効果がより効果的に発揮されることになる。
平均粒子径は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOM P Model 380」)で測定することにより求めることができる。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
なお、本発明のエマルションの粒子が、後述するコア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
これらの中でも、(メタ)アクリル系単量体が好ましい。(メタ)アクリル系単量体とは、(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸の塩や(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体を意味する。
すなわち、本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルションは、アクリル共重合であることが好ましい。
より好ましくは、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0.5〜3質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を99.5〜97質量%含んでなることである。
その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体には、後述する(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和化合物、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。
また、(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等の他、これらの塩やエステル化物等の1種又は2種以上を使用することが好適である。
また、上記他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体のうち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の窒素原子を有する不飽和化合物の単量体成分中における含有割合は、全単量体成分100質量%に対して、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下である。
すなわち、本発明の制振材用エマルション組成物が含むエマルションの粒子を形成する単量体成分は、ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートを含んでなるものであることが好ましい。単量体成分がブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートを含んでなるものであると、幅広い温度領域での制振性が向上する。
より好ましくは、単量体成分がブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを含むことである。
上記単量体成分が2−エチルヘキシルアクリレートを含むものである場合、2−エチルヘキシルアクリレートの含有量は、アクリル共重合体を形成する単量体成分100質量%に対して、5〜55質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。
また、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの両方を含むものである場合、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート合計の含有量は、アクリル共重合体を形成する単量体成分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは、30〜60質量%である。
なお上記質量割合は、全単量体成分100質量%に対する質量割合である。
なお、エマルションのTgとしては、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式より算出され得る。
また、上記アクリル共重合体(B)のガラス転移温度(TgB)としては、−50℃以上、10℃以下が好ましい。より好ましくは、−20℃以上、0℃以下である。
なお、重量平均分子量は、上述した方法により測定することができる。
エマルションがこのようなものである場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよい。
これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
その他のエマルション樹脂としては、ウレタン樹脂、SBR樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−エチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂等のエマルション樹脂が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含むものであってもよい。
この場合、アクリル共重合体のエマルションと他のエマルション樹脂との質量比(アクリル共重合体のエマルション/他のエマルション樹脂)が、100〜50/0〜50となるように設定することが好ましい。
乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
シード粒子を形成させるため重合器に直接仕込む水・乳化剤・重合性単量体からなる単量体乳化物は、フィードするトータル量の0.5〜10質量%である。また、乳化剤水溶液のみを直接重合器に仕込む手法も好ましい手法の1つであり、トータルの重合性単量体に対し、乳化剤固形分に換算して0.1〜1.5質量%の量が好ましい。
また、シード粒子の生成後、新たな粒子が生成しないようコントロールすることが重要である。本発明の制振材用エマルション組成物を構成するエマルションとして、上述した粒度分布が5〜40%であるものを製造するためには、常に一定値以上の反応率を確保することが必要で、具体的には、単量体乳化物の一部を重合釜に仕込み、初期重合反応を行ってシード粒子を形成させることであり、初期反応終了時に測定した重合率は、好ましくは、80%以上、より好ましくは、90%以上である。反応率は、反応工程終了30分後にサンプリングをおこない、工程に使用した原料の仕込み量から計算した理論固形分に対する実測固形分の比率として測定することができる。
このようにして得られたエマルションは、本発明の好ましい実施形態の1つである。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤。
上記界面活性剤の使用量としては、用いる界面活性剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜5重量部である。更に好ましくは、1〜3重量部である。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1重量部である。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、アクリル共重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
なお、この制振材用エマルション組成物は、エマルションを合成した後、上述した中和剤の添加によって、全単量体のモル数に対し、中和カルボキシル基含有単量体が上記範囲内となるように中和されて製造されるものであってもよく、中和カルボキシル基含有単量体の割合が上記範囲となるように予め計算された単量体成分を用いてエマルションを合成することによって製造されるものであってもよい。
上記制振材配合物としては、例えば、制振材配合物の総量100質量%に対し、固形分を40〜90質量%含有してなることが好適であり、より好ましくは、50〜83質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。また、制振材配合物のpHは、7〜11とすることが好ましく、より好ましくは、7〜9である。
上記制振材配合物における制振材用エマルション組成物の配合量としては、例えば、制振材配合物の固形分100質量%に対し、制振材用エマルション組成物の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは、15〜55質量%である。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記制振材用エマルション組成物等と混合され得る。
更に、制振材配合物を調製する際には、エマルションの添加直前又は直後にノニオン系水溶性化合物を添加することが好ましい。これにより、エマルション粒子周辺にノニオン系水溶性化合物が存在し、効果的に性能を発現する。
すなわち、単量体成分を乳化重合してなるエマルションを必須成分として含む制振材用エマルション組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分とする制振剤配合物であって、該制振剤配合物は、エマルションの添加直前又は直後にノニオン系水溶性化合物を添加して配合されてなる制振材配合物もまた、本発明の1つである。
上記発泡剤の配合量としては、制振材用エマルション組成物100重量部に対し、0.5〜5.0重量部とすることが好ましい。より好ましくは、1.0〜3.0重量部である。
上記顔料としては、例えば、後述する着色剤や防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。上記顔料の配合量としては、制振材用エマルション組成物100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましい。より好ましくは、100〜550重量部である。
上記制振材用エマルション組成物又は配合物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域で充分な高制振性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤及びポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材配合物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。また、多価金属化合物の使用量は、制振材配合物中の固形分100重量部に対して、0.05〜5.0重量部とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
上記制振材配合物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、乾燥時の塗膜の膜厚が、0.5〜8.0mmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、3.0〜6.0mmである。
また、乾燥時(後)の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/m2となるように塗布することも好ましい。より好ましくは、2.0〜6.0kg/m2である。なお、本発明の制振材配合物を使用することにより、乾燥時に膨張やクラックが生じにくく、しかも傾斜面の塗料のずり落ちも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。
このように、乾燥時の塗膜の膜厚が、0.5〜8.0mmとなるように塗工し、乾燥する制振材配合物の塗工方法や、乾燥後の塗膜の面密度が2.0〜6.0kg/m2となるように塗工し、乾燥する制振材配合物の塗工方法もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。また、上記制振材配合物の塗工方法によって得られた制振材もまた、本発明の好ましい実施形態のひとつである。
<Tg>
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
Foxの式により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
スチレン(St):100℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
アクリル酸(AA):95℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
得られた水性樹脂分散体約1gを秤量、熱風乾燥機で110℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に0.2mmのアプリケーターで、得られた水性樹脂分散体を塗工、乾燥し、その塗膜にクラックの生じた温度を最低成膜温度(MFT)とした。
動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOM P Model 380」)を用い、体積平均粒子径を測定した。
また、標準偏差をその体積平均粒子径で割った値(標準偏差/体積平均粒子径×100)を粒度分布として算出した。
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
制振材配合物100gに純水30gを添加し、充分に攪拌・混合し、100メッシュ金網でろ過した後、その70gを用い、マーロン試験安定性試験機(熊谷理機工業社製)にて、機械安定性試験をおこなった。(JIS K6828:1996に準じる、台ばかり目盛り10Kg,円盤回転数1000min−1、回転時間5分、試験温度25℃)試験終了後、その制振材配合物を直ちに100メッシュ金網でろ過し、110℃オーブンで1時間乾燥させた。以下の式にて凝集率を算出し、評価を行った。
凝集率(%)=(乾燥後の金網の質量(g)−乾燥前の金網の質量(g))/70(g)×100
評価基準
◎:0.0001%未満
○:0.0001%以上0.001%未満
△:0.001%以上0.01%未満
×:0.01%以上0.1%未満
鋼板(商品名 SPCC−SD 75mm幅×150mm長さ×厚み0.8mm:日本テストパネル社製)の上に作製した制振材配合物を配合物の塗布厚みが3mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で30分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を以下の基準で評価した。
評価基準
○:異常なし
△:表面や界面に亀裂あり
×:塗膜形状を維持できない
上記制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・15幅×250長さ×厚み1.5mm)上に3mmの厚みで塗布して150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0kg/m2の制振材被膜を形成した。制振性の測定は、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)をもちいて、それぞれの温度(20℃、40℃、60℃)における損失係数を共振法(3dB法)により測定した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、40℃、60℃の損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水300部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルヘキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン1部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの4部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に、滴下ロートにスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン1部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン10部添加し、不揮発分55%、pH8.0、粘度200mPa・s、粒子径320nm、粒度分布22%、重量平均分子量92,000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃の制振材用エマルション1を得た。
制振材用エマルション1にノニオン系水溶性化合物を添加し、制振性用エマルション組成物1〜14を調製した。調製した制振性用エマルション組成物を表1に示す。
制振材エマルション組成物1〜14を下記の通り配合し、制振材配合物(実施例1〜8、参考例1〜3、比較例1〜3)として、機械安定性、乾燥塗膜表面状態、及び、制振性を評価した。結果を表2に示す。なお、参考例3の制振材配合物は、配合物調製中に増粘・ゲル化したため制振性の評価ができなかった。
アクリル共重合エマルション組成物 359部
炭酸カルシウム NN#200*1 620部
分散剤アクアリックDL−40S*2 6部
増粘剤アクリセットWR−650*3 4部
消泡剤 ノプコ8034L*4 1部
発泡剤 F−30*5 6部
* 1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
* 2:株式会社日本触媒製 特殊ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
* 3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
* 4:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
* 5:松本油脂社製 発泡剤
Claims (3)
- 単量体成分を乳化重合してなるエマルションを必須成分として含む制振材用エマルション組成物であって、
該制振材用エマルション組成物は、重量平均分子量400〜10000のノニオン系水溶性重合体を制振材用エマルション組成物100質量%に対して1〜20質量%含む
ことを特徴とする制振材用エマルション組成物。 - 前記ノニオン系水溶性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1記載の制振材用エマルション組成物。 - 単量体成分を乳化重合してなるエマルションを必須成分として含む制振材用エマルション組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分とする制振剤配合物であって、
該制振剤配合物は、エマルションの添加直前又は直後に重量平均分子量400〜10000のノニオン系水溶性重合体を添加して配合されてなる
ことを特徴とする制振材配合物。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
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