JPH10316866A - 重合体粒子 - Google Patents

重合体粒子

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JPH10316866A
JPH10316866A JP13234697A JP13234697A JPH10316866A JP H10316866 A JPH10316866 A JP H10316866A JP 13234697 A JP13234697 A JP 13234697A JP 13234697 A JP13234697 A JP 13234697A JP H10316866 A JPH10316866 A JP H10316866A
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JP
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phase
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value
resin
core
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JP13234697A
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English (en)
Inventor
Yuugo Hasegawa
裕吾 長谷川
Yoshio Kikuta
佳男 菊田
Futoshi Hoshino
太 星野
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 各々の共重合成分としてのTgが異なる
成分を2段もしくは多段的に共重合されたEm樹脂
(A)、(B)樹脂と架橋反応可能な水性硬化剤(C)
とからなる水性塗料用樹脂組成物に応用することができ
る多相構造重合体粒子。 【効果】 本発明に係る多相構造重合体粒子を応用した
水性樹脂系塗料組成物は、自動車内外装、自動車部品、
家電、機械等の金属素材又はその電着塗装膜に対して
0.5〜5mmの1コート厚膜塗装を行い130〜14
0℃×30分程度の焼付時においても、フクレ、クラッ
クを生ずる事なく厚膜化が可能であり、かつ厚膜化され
た塗膜が耐水性、チッピング性、制振性といった性能を
併せて発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明に係る重合体粒子は、
例えば、水性塗料用樹脂組成物等に応用することができ
る。本発明に係る重合体粒子を応用した水性塗料用樹脂
組成物は、車両、自動車部品、家電、機器他等の金属素
材又はその電着塗装膜に対し利用され、0.5〜5mm
の1コート厚膜塗装を行った場合においても140℃×
30分程度の焼付時にフクレ、クラックを生ずる事な
く、厚膜化が可能であり、制振性が良好でかつ耐水性、
チッピング性等の性能を合わせ持つ事ができるため、特
に自動車のタイヤハウス、床裏、フロントエプロン等の
アンダーコート材に利用できる水性塗料用樹脂組成物。
【0002】
【従来の技術】
[特開平02−208379号]特開平02−2083
79号には、塗膜に、優れた外観と、高い耐衝撃性を付
与する塗料組成物に関する技術が開示されている。すな
わち、特定の性状を有する重合体粒子の溶解性パラメ−
タSP値と塗膜マトリックスのSP値と特定の関係にし
て、塗膜中に多重ドメイン構造を形成させることによ
り、外観に優れ、高い耐衝撃性を有する塗膜が得られる
ようにすることができる。その構成は、(A) α,β
−エチレン性不飽和単量体と多官能α,β−エチレン性
不飽和単量体との共重体粒子(ガラス転移温度:−30
〜+60℃、平均粒径:0.02μm〜20μm、溶剤
膨潤度:1.0〜6.0):1〜40重量%、(B)
ポリオ−ル樹脂を主体とする樹脂連続相(水酸基と反応
し得る硬化剤を含み、ポリオ−ル樹脂/硬化剤の重量
比:95/5〜50/50):99〜60重量%で構成
され、Aの溶解性パラメ−タ(SPA)と樹脂連続相中
のポリオ−ル樹脂の溶解性パラメ−タ−(SPB)と
が、0.30≦|SPA−SPB|≦2.50の関係を有
し、造膜に際して多重ドメイン構造を内包する高分子膜
を形成し得るようにする。しかるに、本願発明は、塗料
組成物を構成する重合体粒子は、コア/シェル構造のよ
うな多相構造を有しておらず、塗料組成物の開示されて
いる態様は、溶剤型である。
【0003】[特公平1−53310号]特公平1−5
3310号には、厚塗り性およびレベリング性の良好な
エマルジョン塗料組成物に関する技術が開示されてい
る。すなわち、このエマルジョン塗料組成物は、エマル
ジョン塗料に特定の水溶性樹脂を含有させてなる、相溶
性と乾燥性に優れ、厚塗り性とレベリング性の良好なエ
マルジョン塗料組成物である。その構成は、 (A)エマルジヨン塗料(例:アクリル樹脂系、酢酸ビ
ニル樹脂系等の合成樹脂エマルジヨン)を樹脂固形分と
して100重量部に、 (B) 水溶性溶剤の存在下でα,β−モノエチレン
性不飽和カルボン酸アルキルエステル及びアルケニルベ
ンゼンから選ばれる1種以上の単量体70〜90重量
%、 α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸0.5〜1
5重量%、及び、 親水性の非イオン性α,β−モノエチレン性不飽和単
量体0.5〜15重量%を重合させ、さらに、アミン又
はアンモニアで水溶性化した水溶性樹脂を樹脂固形分と
して2〜65重量部、添加してなる塗料である。この塗
料は、厚塗り性とレベリング性に優れ、従来溶剤系塗料
を使用してきたマスチック基材のトツプコ−ト、金属の
トツプコ−ト等にも使用できる。しかるに、本願発明
は、塗料組成物を構成する重合体粒子は、コア/シェル
構造のような多相構造を有しておらず、塗料組成物の開
示されている態様は、硬化剤が必須構成要素ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、環境保護対策の
観点から、ドイツ等の動向に倣い、自動車等の車輌を廃
車とした際に廃材として廃出される種々の車輌部品をリ
サイクルや再利用しようとする努力がなされている。し
かしながら、再利用率は、漸増してはいるものの、依然
として低迷しており、車輌廃材処理の問題は、年を追う
ごとに大きなものとなっている。車輌廃材のうち、塩素
等のハロゲンを含有する樹脂は、焼却炉の炉材を傷めた
り、ダイオキシン発生の原因となるので、特に問題とな
っている。塩素等のハロゲンを含有する樹脂の車輌廃材
の具体例としては、例えば、塩ビゾル(ポリ塩化ビニル
のゾル)を挙げることができる。塩ビゾルは、通常、耐
チッピング性塗料として、車輌の床裏、ボディーやシャ
ーシに塗装される。ここで、耐チッピング性とは、小石
が等が車輌のボディーやシャーシに衝突(チッピング)
した際に、傷を負うことを免れる性質をいう。このよう
な背景から、耐チッピング性塗料として、非塩ビ系の樹
脂開発が求められている。
【0005】一方、自動車のエンジンやタイヤからの振
動やは雑音の室内への伝搬を抑制する目的により室内側
にアスファルトシート等の制振材を用いている。しかし
シート等の貼り付けに工数がかかる等、組立ラインにお
ける生産性に問題がある。さらに作業環境及び安全性か
ら塗料も有機溶剤系から水系への転換が要望されてい
る。
【0006】従来から自動車のチッピング材としての塩
ビゾルは、アンダーコート材といわれ、タイヤハウス、
床裏、フロントエプロン等に厚膜塗装された後、予備乾
燥され中塗り塗装及び焼付さらに上塗り塗装及び焼付と
いった工程がなされる。
【0007】これまでアンダーコート材として、チッピ
ング性及び制振性を合わせ持つ非塩ビ系の水性樹脂が提
案されているものの、水系のために耐水性が劣ったり、
熱可塑性のために使用温度範囲での強度等が充分ではな
い等の問題が一般的に指摘される。
【0008】本発明では、従来のチッピング材及び制振
材としての問題点である廃材処理及び生産性が同時に改
善できる水性樹脂であり、更に具体的に言えば、自動車
のチッピングが用いられている塩ビゾル代替として用い
た場合、耐水性、チッピング性が充分で、かつ室内側に
用いられるアスファルトシート代替としての制振性を合
わせ持つことができる水性塗料用樹脂組成物に応用し得
る重合体粒子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本出願に係る発明は、以
下の[1]〜[4]に記載した事項により特定される。
【0010】[1] 少なくとも一つの20〜150℃
のガラス転移温度(Tg)と9.0〜11.0のSP値
を有する重合体成分を含有する相と、少なくとも一つの
−60〜20℃のガラス転移温度(Tg)と8.0〜1
0.0のSP値を有する重合体成分を有する相とを含ん
で構成される重合体粒子であって、該重合体粒子を構成
する全ての相が、他の任意の相との対比において、ガラ
ス転移温度(Tg)が10〜200℃の範囲の温度差を
もって相異なり、かつ、該重合体粒子を構成する全ての
相が、隣接する相との対比において、SP値が0.5以
上をもって相異なることにより、隣接する相相互間の相
溶性が抑制されていることを特徴とする、多相構造重合
体粒子。
【0011】[2] 少なくとも一つの20〜150℃
のガラス転移温度(Tg)と9.0〜11.0のSP値
を有する重合体成分を含有するシェル相と、−60〜2
0℃のガラス転移温度(Tg)と8.0〜10.0のS
P値を有する重合体成分を有するコア相とを含んで構成
されるコア/シェル構造重合体粒子であって、該コア/
シェル構造重合体粒子を構成する全ての相が、他の任意
の相との対比において、ガラス転移温度(Tg)が10
〜200℃の範囲の温度差をもって相異なり、かつ、該
コア/シェル構造重合体粒子を構成する全ての相が、隣
接する相との対比において、SP値が0.5以上をもっ
て相異なることにより、隣接する相相互間の相溶性が抑
制されていることを特徴とする、コア/シェル構造重合
体粒子。
【0012】[3] 平均粒子直径が、50nm〜10
0μmである[1]又は[2]に記載した重合体粒子。
【0013】[4] 平均粒子直径が、50nm〜1μ
mである[1]又は[2]に記載した重合体粒子。
【0014】本発明者らは前記の問題点を解決するため
塩ビゾル代替として用いる、水性塗料用樹脂で制振性を
有するアンダーコート材に必要とされる性能としては、
制振性、チッピング性をはじめ、耐水性、素材密着性等
が主に上げられるが、制振性としては−20℃から+6
0℃程度の温度、あるいは0〜1000Hz程度の周波
数領域でも、温度、周波数に依存性が少なく有効に制振
性能を保持しなければならない。又、制振性、いわゆる
振動を減衰するためには振動エネルギーを熱エネルギー
に変換させ振動を減衰させる事が考えられる。このた
め、樹脂的な粘弾性でいえば粘性の要素で有る損失弾性
率あるいはtanδが振動の減衰に有効な考えから、温
度、周波数に依存性の少ない制振性を得るためには、例
えばtanδいわゆるTgを多く又は幅広く(以下「ブ
ロード化」と表す)持たせた塗膜構成になる様に樹脂を
構成するといった事が大切であり、又制振性が質量にも
依存するするため、厚膜化することも有効である。
【0015】チッピング性としても−30℃程度の低温
領域から飛石による衝撃に耐えうる様にするため、低い
Tgを有する軟質成分等を導入し応力緩和するといった
手法が考えられる。
【0016】こういった考え方に基づき、鋭意検討した
結果、本発明のポリマー粒子成分(A)と水溶性アクリ
ル樹脂成分(B)及び水性硬化剤成分(C)により構成
される水性塗料用樹脂組成物は、ハイソリッド化が出来
ていわゆる揮発成分が少ないこと、高Tg成分等により
造膜を遅らせることができるため等によりフクレがなく
厚膜化が良好であり、又、特に(A)中の各相及び
(B)とのSP値及びTgが離れて設定させることによ
り、各成分が相溶化の抑制ができ独自のTg点を塗膜中
に持たせることができるため、制振性、チッピング性と
しての幅広い温度、周波数領域で良好な塗膜性能が得ら
れる。さらに水性硬化剤を含んだ(A)/(B)/
(C)との構成とした場合、架橋構造が塗膜中により多
く持たせることが可能であり、耐水性等をより向上させ
ることができる。
【0017】この結果、車両、自動車部品、家電、機器
等の金属素材又はその電着塗装膜等に対し、1コート厚
膜塗装を行ない130〜140℃×30分程度の焼付工
程においても、フクレ、クラックを生ずることなく厚膜
化が可能であり、かつ厚膜化された塗膜が制振性、チッ
ピング性、耐水性といった性能を合わせ持つことができ
ることを見い出し本発明に至った。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る重合体粒子は、例えば、水性塗料用樹脂組
成物等に応用することができる。以下、本出願の明細書
においては、本発明に係る重合体粒子を水性塗料用樹脂
組成物に応用した形態を中心に記載する。水性塗料用樹
脂組成物の形態としては、例えば、以下の[1]〜
[6]に記載したものが挙げられる。
【0019】[1] 重合体粒子成分(A)固形分重量
と水溶性アクリル樹脂成分(B)固形分重量を基準とし
て、重合体粒子成分(A)40〜90重量%(固形分)
と水溶性アクリル樹脂成分(B)10〜60重量%(固
形分)を含有する水性塗料用樹脂組成物。
【0020】[2] 水溶性アクリル樹脂成分(B)
が、−50〜+50℃のガラス転移温度を有し、重合体
粒子成分(A)を構成する各相が有する各SP値におけ
る最大SP値よりも0.5以上高いSP値を有すること
を特徴する、[1]に記載した水性塗料用樹脂組成物。
【0021】[3] 水溶性アクリル樹脂成分(B)
が、水酸基とカルボキシル基を有し、水酸基価が10〜
100KOHmg/gであり、酸価が10〜100KO
Hmg/gであり、3,000〜100,000の重量
平均分子量を有する水溶性アクリル樹脂から構成される
ことを特徴する、[1]又は[2]に記載した水性塗料
用樹脂組成物。
【0022】[4] [2]に記載した水性塗料用樹脂
組成物に、重合体粒子成分(A)及び水溶性アクリル樹
脂成分(B)に含有される重合体が有する官能基と、架
橋反応が可能な官能基を有する水性硬化剤成分(C)
を、重合体粒子成分(A)固形分重量と水溶性アクリル
樹脂成分(B)固形分重量を基準として、1〜30重量
%(固形分)添加したことを特徴とする、水性塗料用樹
脂組成物。
【0023】[5] 多相構造重合体粒子が、コア/シ
ェル構造重合体粒子であり、このコア/シェル構造重合
体粒子が、コア相とシェル相の重量比が、(80〜2
0):(20〜80)であり、該重合体粒子を構成する
全ての重合体を合計した、ガラス転移温度が−30〜+
30℃であることを特徴とする、[1]に記載した水性
塗料用樹脂組成物。
【0024】[6] 重合体粒子成分(A)及び/又は
水溶性アクリル樹脂成分(B)が、補助架橋成分及び/
又は自己架橋性成分を含有するものであることを特徴と
する、[1]乃至[5]の何れかに記載した水性塗料用
樹脂組成物。
【0025】本発明で用いる「多相構造重合体粒子」な
る語の「多相構造」の概念は、特に限定されないが、具
体例としては、例えば、コア/シェル構造、サラミ状構
造、海島構造、積層構造等が挙げられる。本出願の明細
書では、「多相構造」については、多相構造の典型的な
例である「コア/シェル構造」を中心に説明するが、本
発明において、多相構造は、コア/シェル構造に限定さ
れるものではない。
【0026】本出願の明細書において用いる「粒子」な
る語の概念には、これらの語が高分子化学において一般
的に有する概念を完全に包含するが、必ずしも等価なも
のではない。本出願の特許請求の範囲及び明細書におい
て用いる「粒子」の走査電子顕微鏡的形態の態様に関し
ては、例えば、ラズベリー状又は金米糖(こんぺいと
う、ポルトガル語のconfeito)状の多くの突起
を有するような態様、赤血球状の偏平な態様、ラグビー
ボール状の回転楕円体様の態様、大腸菌状の紡錘形様の
態様等をも包含する。本出願の明細書において用いる
「粒子」なる語の概念には、例えば、ポリマーエマルジ
ョン、ラテックス、ポリマーサスペンジョンを構成する
マイクロスフィアをも包含し、本出願に係る発明におい
ては、これらの例が一般的な態様である。このように、
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「粒
子」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的
に有する概念と、必ずしも等価なものではないのではあ
るが、本発明に係るヘテロポリマー系の本質的「態様」
について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとす
る。
【0027】本出願の明細書において用いる「コア」、
「シェル」及び「コア/シェル」なる語は、これらの語
が高分子化学において一般的に有する概念を完全に包含
するが、必ずしも等価なものではない。例えば、本発明
に係る「コア/シェル」粒子に関しては、「コア」が少
なくとも部分的に「シェル」に包まれている態様を包含
する。このように、本出願の特許請求の範囲及び明細書
において用いる「コア」、「シェル」及び「コア/シェ
ル」なる語は、これらの語が高分子化学において一般的
に有する概念と、必ずしも等価なものではないのではあ
るが、本発明に係るヘテロポリマー系の本質的「態様」
について屡々言及するに当たり便宜的に用いるものとす
る。なお、高分子化学においては、一般的に、「コア」
なる語は、「核(core,center,nucle
us)」、「芯(core,center)」及び「種
(seed)」なる語と等価に用いられ、「シェル(s
hell)」なる語は、「殻(shell,skin,
husk)」、「鞘(sheath)」及び「おおい
(robe)」なる語と等価に用いられる。したがっ
て、本出願の明細書において用いる「コア」なる語につ
いては、「核(core,center,nucleu
s)」、「芯(core,center)」及び「種
(seed)」なる語と同等に用いることもできる。同
様に、「シェル」なる語については、「殻(shel
l,skin,husk)」、「鞘(sheath)」
及び「おおい(robe)」なる語と同等に用いること
もできる。本発明に係るポリマー粒子(A)は、各種ビ
ニル性単量体あるいは官能基成分等を多段的に乳化重合
あるいは反応して得られる水分散性共重合体であって、
ポリマー粒子(A)中には、水性硬化剤(C)との架橋
反応が可能なビニル基以外に官能基を含有する単量体を
有し、補助架橋性又は自己架橋性を有するビニル性単量
体あるいは官能基成分を含有させることができる。ポリ
マー粒子成分(A)のコア/シェル構造とは、コア相の
少なくとも一部がシェル相により被覆されてなる事であ
り、一般的には、多段的な乳化重合で1段目にコア相成
分としてのビニル性単量体と開始剤により共重合しその
後2段目としてシェル相成分としてのビニル性単量体を
共重合して製造される。
【0028】本発明において、(A)及び(B)に用い
られるビニル系単量体としては特に限定されるものでは
ないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステ
ル又は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニ
トリル、等の窒素含有ビニル性単量体が挙げられ、官能
基含有ビニル性単量体としては、ヒドロキシル基含有ビ
ニル性単量体の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクト
ンとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物
(プラクセルFシリーズ:商品名、ダイセル化学工業社
製)ポリエチレングリコールとメタクリル酸との付加物
(ブレンマーPEシリーズ:商品名、日本油脂社製)、
ポリプロピレングリコールとメタクリル酸との付加物
(ブレンマーPPシリーズ:商品名、日本油脂社製)等
のヒドロキシ基含有ビニル性単量体、又、カルボキシル
基含有ビニル性単量体としては(メタ)アクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸及びそれらのモ
ノエステル化物、又、グリシジル基含有ビニル性単量体
としてはグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリ
シジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メ
タ)アクリレート、アリルグリシジル(メタ)アクリレ
ート等があり、(メタ)アクリル酸エステル単量体以外
で、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、プロピレ
ン、等が挙げられる。
【0029】さらに、自己架橋性を有するビニル性単量
体の具体例としては、例えば、N−メトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アク
リルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げら
れ、これらのビニル性単量体を1種以上用いて共重合さ
れる。
【0030】補助架橋性を有するビニル性単量体の具体
例としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタ
レート、ジアリルテレフタレート、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、等が挙げられる。ここで更に(A)
及び(B)に用いるビニル性単量体以外の官能基成分と
しては、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ブロックイソシアネート樹脂等が挙げられる。
【0031】本発明の(A)は、以上のビニル性単量体
等を用いて、乳化重合により共重合するが、乳化重合す
る際に以下の様な界面活性剤を用いることができる。ア
ニオン系としては、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、
ラウリル硫酸Na、ジオクチルスルホコハク酸Na、ジ
オクチルコハク酸K、ラウリルメチルタウリン酸Na、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸Na、ラウリ
ルリン酸K。カチオン系としてはオクタデシルアミン酢
酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、ドデシルトリメチル
アンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルア
ンモニウムクロライド、オキシエチレンドデシルアミ
ン、ノニオン系としてはポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレントリデ
シルエーテル、界面活性剤の使用量は、界面活性剤の乳
化能力又は乳化するビニル性単量体に関係するため、適
宜選択する必要性があるが、通常、ビニル性単量体10
0重量%に対し0.05〜5重量%程度使用する。
【0032】(A)の乳化重合に際し用いる重合開始剤
としては以下の様な開始剤を用いることができる。例え
ば有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキシド、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキ
シド等が挙げられ、無機過酸化物としては、過硫酸N
a、過硫酸K、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙
げられ、アゾ系としては、N,N−アゾビスイソブチロ
ニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタ酸)
等が挙げられ、レドックス開始剤としては過酸化水素−
第1鉄塩、過硫酸塩−酸性亜硫酸Na等を用いることが
できる。又、必要に応じて連鎖移動剤として、ドデシル
メルカプタン、メルカプトエタノール、α−メチルスチ
レンダイマー等を用いることができる。この様なビニル
性単量体等を選択し乳化重合されてなるポリマー粒子
(A)であり、シェル相成分のTgが20℃以上150
℃以下、SP値が9.0以上11.0以下の範囲でコア
相成分のTgが−60℃以上20℃以下、SP値が8.
0以上10.0以下の範囲であり、又、コア相及びシェ
ル相のTgが10℃以上200℃以下の範囲の温度差を
有し、更にコア相よりもシェル相成分のSP値が少なく
とも0.5以上大きく設定される。ここで用いているT
gは、公知の方法フォックス(Fox)の式により求め
ることができる。フォックスの式とは、共重合体を形成
する個々の単量体について、その単量体の単独重合体の
Tgに基ずいて、共重合体のTgを算出するためのもの
であり、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン
・フィジカル・ソサエティー、シリーズ2(Bulle
tin of the American Physi
cal Society、Series 2)1巻・3
号・123項(1956年)に記載されている。フォッ
クスの式による共重合体のTgを算出するための基礎と
なる各種ビニル性単量体についてのTgは、例えば、新
高分子文庫・第7巻・塗料用合成樹脂入門(北岡協三
著、高分子刊行会、京都、1974年)168〜169
項の表10−2(塗料用アクリル樹脂の主な原料単量
体)に記載されている数値を用いることができる。さら
に、ここで用いられているSP値は、公知の方法(
R.F.Fedors, polym. Eng. S
ci., 14,(2),147〜154頁(1974
年) に記載)により求めることができる。すなわち式
(1)〔数式1〕により(A)、(B)成分中の各単量
体等のSP値(δj)を、更に式(2)〔数式2〕によ
り樹脂のSP値(δp)を計算する。この際に必要なΔ
eiとΔυiは、上記の文献中に表示されている。
【0033】
【数式1】 ここで δj (cal/cm31/2 :単量体(j)のSP値 ΔE (cal/mol) :単量体(j)の凝集エネルギー密度 V (cm3 /mol) :単量体(j)のモル体積 Δei(cal/mol) :原子又は原子団の(i)の蒸発エネルギー Δυi(cm3 /mol) :原子又は原子団の(i)のモル体積
【0034】
【数式2】 ここで δp(cal/cm31/2 :単量体(j)からなる樹
脂のSP値 δj(cal/cm31/2 :単量体(j)のSP値 Xj :単量体(j)のモル分率
【0035】通常、ここでコア相のTgが+20を超え
るとTgすなわちtanδのブロード化が充分でなくな
り、延いては低温又は低周波数領域の制振性が不足する
傾向となる。
【0036】通常、シェル相のTgが+150を超える
と塗膜として硬すぎるため、焼付時のクラックが生じ易
く、制振性も不足する。又、+20℃未満では焼付時の
造膜性が速くなり、フクレが不良となる。コア/シェル
成分としての合計のTgも、シェル相Tgと同様な傾向
が見られ+30℃を超えると、硬成分が多すぎてしまう
ため、応力緩和が不充分でクラックを生じ易く、又、−
30℃未満では、軟質成分が多すぎてしまうため、焼付
時の熱での造膜が速くなりフクレ性が不良となり厚膜化
不充分となる。
【0037】通常、コア相のSP値が10.0を超える
とポリマー粒子としての安定性が不足しフクレ性が不良
となる。
【0038】通常、シェル相のSP値が11.0を超え
ると、水溶性樹脂(B)との融着等で増粘が起きやすく
塗料安定性が不良となる。コア相/シェル相の比におい
て、コア相が80重量%を超えると低Tg化により造膜
しやすくフクレが生じやすく、20重量%未満では高T
g化によるクラックが生じやすくなることから、好まし
くはコア相メシェル相の重量比で70/30以上30/
70以下であり、更に好ましくは60/40以上40/
60以下である。又、コア相よりもシェル相成分のSP
値が少なくとも0.5以上大きくする意味としては、コ
ア/シェル各相の相溶化の抑制が目的であり、Tgもふ
まえてさらに言えばコア相として、低Tg、低SPと
し、シェル相を高Tg、中SPとすることにより、粒子
の全体としてコア相には疎水成分が多く、シェル相の特
に表層部にはコアの疎水成分等の影響により親水成分が
存在し易くなり、結果として粒子が安定化し又、Tgの
効果により焼付時の造膜を遅らせることができ揮発成分
が揮発しやすくなるため、フクレがなく厚膜化も良好と
なると考えられる。(A)/(B)の樹脂比率でいえ
ば、(A)が40重量%未満であると(B)成分が増え
すぎるため、多成分によるTgのブロード化が不充分に
なったり、有機溶剤量が多くなり、乾燥時の臭気問題が
生ずる場合があり、又(A)が90重量%を超える場
合、(B)成分が少なすぎるため、充分な高固型分化が
出来ず、揮発成分が増えフクレが生じやすくなったり、
(B)成分に依存性のあるフィラー、顔料等の分散性が
不充分となる、このため好ましくは(A)/(B)の比
の重量%でいえば80/20以上50/50以下であり
さらに好ましくは80/20以上60/40以下であ
る。
【0039】本発明において、水溶性樹脂(B)は、水
溶性有機溶剤の存在下にビニル性単量体を共重合させて
得られる樹脂であり、Tgが−50℃以上+50℃以
下、SP値が10.0以上で、少なくともコア/シェル
構造ポリマー粒子(A)中のシェル相のSP値よりも
0.5以上の値で、水酸基価10〜100KOHmg/
gで酸価が10〜100KOHmg/gで又、重量平均
分子量が3,000以上100,000以下からなり、
さらに水性化のため、樹脂中の酸基が塩基成分により
0.5以上1.5以下の当量で添加れて成る水溶性樹脂
である。ここで重量平均分子量は、ポリスチレンを標準
としたゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)により求められる。使用するビニル性単量体は特
に限定されるものではなく、前記(A)に用いるビニル
性単量体例として記載したものが選択的に用いることが
できる。共重合に必要な開始剤としては、前記(A)に
用いる開始剤例として記載した中で有機過酸化物又はア
ゾ系が好適に用いることができる。又、必要に応じ、連
鎖移動剤を使用するがこれも前記(A)に用いる連鎖移
動剤例として記載したものが使用できる。又、水溶性有
機溶剤としては、親水性であれば使用が可能であり、例
えばアルコール系、エチレングリコール系、プロピレン
グリコール系を用いることができる。
【0040】ここで水溶性樹脂(B)のTgが−50℃
未満とした場合、造膜しやすくなり、フクレが起きやす
く厚膜化が不充分となり、又、+50を超えると硬質成
分が増えるために、クラックが起きやすくなり厚膜化と
して不充分となったり、低温時の物性が不充分となる。
【0041】SP値が少なくとも(A)成分中のシェル
相SP値の0.5以上としないと(A)成分中シェル相
と(B)成分との相溶化抑制が不充分となり、多成分に
よるTgのブロード化も不充分で、かつ塗料安定性が確
保出来ない。樹脂(B)中の水酸基価が10KOHmg/g未
満では水性硬化剤(C)との架橋性が不充分となり耐水
性等の物性が劣り、100KOHmg/gを超えると親水成分
として塗膜中に存在しやすく耐水性が劣る。
【0042】(B)の重量平均分子量が3,000未満
では、耐水性、チッピング性等の物性が低下し、又10
0,000を超えると、塗料化時のハイソリッド化が出
来なかったり、造膜しやすいため、フクレが起き厚膜化
が不充分となる。主に(B)の水性化に必要な樹脂中の
酸価が10KOHmg/g未満では水性化が不充分で100KO
Hmg/gを超えると塗膜の耐水性が劣る。ここで(B)を
水性化するために、樹脂中の酸価いわゆる酸基に対し、
塩基性成分により0.5以上1.5以下の当量比で添加
されるが、塩基性成分としては、例えば三級アミン、ア
ンモニア水、NaOH等用いることができるが、塗膜の
耐水性等を考慮し、塗膜の加熱時に揮散が可能な、揮発
性塩基成分としてトリエタノールアミン、ジメチルエタ
ノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン
等の三級アミン又はアンモニア水が好適に用いられる。
又、さらには(B)の水性化に用いる塩基成分量では、
(A)及び(B)と(C)の架橋反応性から言えば、塩
基成分量が多い程架橋反応が進みにくくなることから
(B)の水性化が確保される範囲で塩基成分量を少なく
する方が良く、好ましくは0.5以上1.0以下の当量
比である。
【0043】上記(B)は塗料に際しフィラー分散用樹
脂として有効である。水性硬化剤(C)は、(A)及び
(B)樹脂中の主に水酸基との架橋成分として用いる
が、例えばメラミン化合物等が挙げられ、中でも水性化
のために1部又は全て、メチロール化又はアルキルエー
テル化されたメラミン樹脂であり、アルキル化ではメチ
ルエーテル化が好適に用いることができるが水性化が可
能であればプロピレンエーテル化、ブチルエーテル化等
又は混合アルキルエーテル化されたメラミン樹脂も使用
できる。ここで(C)が固型分として(A)と(B)の
固型分に対し30重量%を超えると架橋度が高すぎるた
めに塗膜が硬くなり、クラックが生じたり、低温時のチ
ッピング性が低下し、1%未満では、(A)、(B)成
分中に補助架橋性成分又は自己架橋性成分等をあらかじ
め含有しない場合においては、架橋が不充分で塗膜強度
が不足しチッピング性が低下したり、耐水性も低下す
る。
【0044】又、(A)及び(B)と(C)の架橋反応
において架橋性を促進させる意味で、酸触媒を必要に応
じ用いるが、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸
等あるいは酸触媒のアミンブロック体等を添加すること
ができる。
【0045】本発明に係る重合体粒子を応用した水性塗
料用樹脂組成物を用い塗料化する場合、必要に応じてフ
ィラー、チクソ剤、消泡剤などを配合することができ
る。フィラーは塗膜としての硬質あるいは軟質成分の1
つとして又は、コスト低減として用いられるが、フィラ
ーとしては例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
マイカ、タルク、シリカ、ゴム粉等が挙げられ、これら
を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
フィラーの配合量としては、樹脂固型分100重量部に
対し100から400重量部であり、100重量部より
少ないとフクレが生じやすく、400重量部を超えると
塗膜が硬くなりすぎたり、クラックが生じやすくなる。
【0046】チクソ剤はフィラーの沈降性防止又は、塗
装時、加熱焼付時の塗膜のタレを防止する目的で用いる
もので、例えば水分散可能なセルロース系ポリビニルア
ルコール、ポリカルボン酸Na等が使用できる。消泡剤
は塗料化のフィラー分散時ディスパー等により発生する
泡の消泡に用いることができる。
【0047】本発明に係る重合体粒子を応用した水性塗
料用樹脂組成物は以上の成分を塗料化に際し混合、分散
することにより調製できる。例えば、(A)及び塩基成
分を含んだ(B)と(C)の樹脂成分を混合し炭酸カル
シウム等のフィラーを入れディスパー等の分散機により
分散後、チクソ剤等を加えさらに混合、分散を行い調製
することができる。さらに粘度調製はエアレススプレー
塗装が可能な粘度とするが、ディスパー分散時に発生す
る気泡の多少により粘性が変化するため、粘度を安定化
させる目的で消泡剤の添加あるいは機器を用いて脱泡す
ることが好ましい。又、塗料化時に(C)は分散による
発熱が高くなる場合、分散後に添加し発熱が少ない(4
0℃以下)様にして混合させることが好ましい。この様
にして、水性塗料用樹脂組成物を塗料化調製した塗料は
自動車のチッピング等に用いられている塩ビゾル代替と
して、又タイヤハウス、床裏ネフロントエプロン等のア
ンダーコート用塗料としてスプレー塗装が可能であり、
130℃から140℃で30分程度の加熱乾燥後におい
て0.5mmから5mm程度のフクレ、クラックが生じ
ることがない塗膜が形成できる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するために
製造例、実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、例中
の%とは重量%を、部とは重量部を表わす。
【0049】製造例1 ((A)製造実施例 (A)−
1〜5) 撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたセパラブルフラ
スコに脱イオン水、ドデシルベンゼンスルホン酸Naを
仕込み、72℃に昇温した。次に重合開始剤として過硫
酸カリウム30%水溶液を加えた後、表−1に記載した
コア相成分としてのビニル性単量体と脱イオン水とドデ
シルベンゼンスルホン酸Naで水分散された水分散液を
定量ポンプにより2時間かけて連続滴下し共重合した。
次いで1時間後シェル相成分としてのビニル性単量体と
脱イオン水とドデシルベンゼンスルホン酸Naで水分散
された分散液を同様にして連続滴下し共重合を行なった
後冷却し8%アンモニア水でpHを8に調製し、表−1
に記載した組成、Tg及び恒数を有するコア/シェル構
造ポリマー粒子成分(A)の水分散液を得た。 (製造比較例 (A)−6〜7)また、同様な方法で
(A)の製造例に比較させるため、組成変更等をして製
造した比較製造例を併せて表−1−〜[表1、表
2]に記載した。
【0050】
【表1】 [凡例] *1 9EG−A:ポリエチレングリコールジアクリレートのエチレングリコー ル9モル添加物(共栄社化学(株)社製) 略号の意味は、以下の通りである(以下同様)。 MMA;メチルメタアクリレート、BA;ブチルアクリレート、2EHA;2エ チルヘキシルアクリレート、GMA;グリシジルメタアクリレート、HEMA; ヒドロキシエチルメタアクリレート、MAc;メタアクリル酸 尚、表中「OHV」とは、水酸基価(KOHmg/g)の略である。
【0051】
【表2】 *1 9EGA:ポリエチレングリコールジアクリレートのエチレングリコール9 モル添加物(共栄社化学(株)社製)
【0052】製造例2 ((B)製造実施例 (B)−
1〜3) 撹拌機、温度計、窒素導入管、還流コンデンサーを備え
た4ツ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピ
ルエーテル42.9部仕込み、窒素パージを行ないなが
ら120℃まで昇温した。次に昇温後ただちに表−2に
記載したビニル性単量体100部及び重合開始剤を定量
ポンプにて5時間かけて連続滴下し、その後95℃にて
重合開始剤を更に加え3時間保ち、表−2に示す組成、
Tg、SP値、OHV、AV、MW等を有する水溶性ア
クリル樹脂(B)を得た。又、その製造例を表−2[表
3]中に記載した。
【0053】
【表3】 *2 NBM:N−ブトキシメチルアクリルアマイド(笠
野興産(株)社製) 尚、表中「Mw」とは、重量平均分子量の略である。
【0054】実施例1(塗料調製例) 製造例1、及び製造例2において合成され、表−1及び
表−2に記載した水性塗料用樹脂と水性硬化剤、フィラ
ー、及びチクソ剤、酸触媒等の助剤を用いて塗料化を行
なった。塗料化の方法としては、まず、塩基成分を加え
た水溶性樹脂(B)と(C)と(A)及びフィラーを加
え、ディスパーを用いて分散し、さらにチクソ剤、酸触
媒を加え再分散後、粘度安定化のため、遠心型脱泡器に
より脱泡を行ないながら粘度調整を行ない、塗料を調製
した。尚、脱泡工程は消泡剤を用いてもよいが、影響を
鑑み、遠心型脱泡器を使用した。調整する粘度として
は、現実的にはエアレススプレー塗装等が考えられるた
め、その塗装可能な粘度として400ポイズ程度に調整
した。ここで塗料化時の成分量及び性状を表−3−〜
−[表4、表5、表6]に示した。
【0055】
【表4】 *1 サイメル 350:メチル化メラミン(固型分98%以上) 三井サイテック(株)社製*2 R重炭:丸尾カルシウム(株)社製*3 アロン B300:東亜合成(株)社製 尚、表中「DBS」とは、ト゛テ゛シルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸の略である。
【0056】
【表5】 *1 サイメル 350:メチル化メラミン(固型分98%以上) 三井サイテック(株)社製*2 R重炭:丸尾カルシウム(株)社製*3 アロン B300:東亜合成(株)社製
【0057】
【表6】 *1 サイメル 350:メチル化メラミン(固型分98%以
上) 三井サイテック(株)社製*2 R重炭:丸尾カルシウム(株)社製*3 アロン B300:東亜合成(株)社製
【0058】実施例2 (塗膜評価例) (塗装板の作成)表−3に記載した塗料を用いて、調製
から1日後市販されている厚さ0.8mmの電着塗装鋼
板に、5mmスペーサーを用いて塗装し、10〜30分
セッティング後135℃で30分加熱乾燥し塗装板を作
成した。又、作成した塗装板の塗膜を観察、及び評価を
行ない結果を表−4−〜[表7、表8、表9]に示
す。さらに用いた塗料安定性として、40℃×10日後
に粘度を測定、初期からの粘度に比較し下記判断方法に
より評価し、合わせて表−4に結果を記載した。ここで
塗膜の評価項目及び方法は次の通りである。 (塗料安定性) ○・・・・・初期の1.5倍以下 △・・・・・初期の2倍未満 ×・・・・・初期の2倍以上
【0059】(塗膜状態) (1) フクレ性 フクレ性は、前記に記載した方法により作成した、乾燥
後塗膜のフクレを、又、塗膜断面で気泡の連続層がない
かを目視観察し、下記の判定方法により評価した。 塗膜フクレ;乾燥後膜厚をノギスによりフクレの発生
しにくいエッジ部と塗膜最大膜厚部を測定し、エッジ部
膜厚を1として最大膜厚の倍率により判定した。 ◎・・・・・1.04倍以内 ○・・・・・1.1倍以内 △・・・・・1.2倍以内 ×・・・・・1.2を超える 塗膜断面の気泡連続層;塗膜をカッター等で切断し、
断面をルーペ又は顕微鏡により大きな気泡の連続層の有
無により判定した。 ◎・・・・・φ1mm以上の気泡がない ○・・・・・φ1mm程度の気泡が1ケ/cm2 以内 △・・・・・φ1mm程度の気泡が1ケ/cm2 以上 ×・・・・・φ2mm程度の気泡の気泡あるいは気泡連
続層がある。 (2) クラック性 クラック性は、乾燥後塗膜のクラック性を目視により観
察し、下記の方法により評価した。 ○・・・・・クラックなし △・・・・・若干のクラック ×・・・・・クラック多い (3) 硬さ 硬さは、塗装板の塗膜をJIS A硬度計により測定し
た。
【0060】(塗膜物性) (1) 耐水性 耐水性は、塗膜を60℃の温水に10日間浸漬し、膜の
膨潤性を膜厚にて、下記判定方法により評価した。 ○・・・・・塗膜膨潤ほとんどなし △・・・・・塗膜膨潤若干有り ×・・・・・塗膜膨潤かなり有り (2) 制振性 制振性は、前記塗装板を幅×長さ各々15×120mm
の大きさに切断し、エッジ部を処理したサンプルを25
℃において損失係数測定システム機器により中央加振法
で損失係数(η)を求め制振性を測定した。また、自動
車制振材として、0〜1000Hz程度の低周波数領域
の必要性が高く、0〜1000Hz周辺の共振周波数で
の損失係数(η)を記載した。 (3) チッピング性 チッピング性は、前記塗装板の塗膜に素材まで達する様
にカッターでクロスカットを入れ、ナット落下法(ナッ
トの落下方向に対し角度30で塗装板を固定した後、素
材が露出するまでナット落下させ、その落下量により塗
膜を判定する方法)にてテストを行い、塗膜の1mm当
たりの落下量として求めチッピング性の初期性能を評価
した。又、上記塗装板の様にクロスカットし、今度は4
0℃×7日間温水に浸漬した塗装板を引き上げ4時間後
にナット落下法にてテストを行い、同様にして素材が露
出するまでのナット落下量を塗膜の1mm当たりの落下
量として求めチッピング性の耐水後性能を評価した。 (4) 塗膜Tg 塗膜Tgは、前記(塗装板の作成)と同様な方法で、膜
厚のみを測定の精度向上のために乾燥塗膜として200
μm程度とし、サンプルを作り剛体振子型粘弾性測定器
により、硬化塗膜としてのTgを測定した。
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】 尚、表中の結果で、「−」印又は、「 」記載のないも
のは、塗装板の状態不良により評価が不可、又は未評価
である。
【0064】以上、表−4−〜に記載した結果によ
れば、実施例においては、塗料安定性をはじめ塗膜状態
としてのフクレが無く良好な塗膜が得られ、かつ物性と
して制振性、チッピング性が良好であり、低温から高温
にわたりTgを有している。一方、比較例においては、
塗膜状態のクラックあるいはフクレのため物性評価が出
来なかったり、低温領域のTgがない影響で制振性が劣
っている。
【0065】
【発明の効果】水性樹脂系で、車両、自動車部品、家
電、機械等の金属素材又はその電着塗装膜に対して0.
5〜5mmの1コート厚膜塗装を行い130〜140℃
×30分程度の焼付時においても、フクレ、クラックを
生ずる事なく厚膜化が可能であり、かつ厚膜化された塗
膜が耐水性、チッピング性、制振性といった性能を合わ
せ持つことをできる水性塗料用樹脂組成物に関する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの20〜150℃のガラ
    ス転移温度(Tg)と9.0〜11.0のSP値を有す
    る重合体成分を含有する相と、少なくとも一つの−60
    〜20℃のガラス転移温度(Tg)と8.0〜10.0
    のSP値を有する重合体成分を有する相とを含んで構成
    される重合体粒子であって、該重合体粒子を構成する全
    ての相が、他の任意の相との対比において、ガラス転移
    温度(Tg)が10〜200℃の範囲の温度差をもって
    相異なり、かつ、該重合体粒子を構成する全ての相が、
    隣接する相との対比において、SP値が0.5以上をも
    って相異なることにより、隣接する相相互間の相溶性が
    抑制されていることを特徴とする、多相構造重合体粒
    子。
  2. 【請求項2】 少なくとも一つの20〜150℃のガラ
    ス転移温度(Tg)と9.0〜11.0のSP値を有す
    る重合体成分を含有するシェル相と、−60〜20℃の
    ガラス転移温度(Tg)と8.0〜10.0のSP値を
    有する重合体成分を有するコア相とを含んで構成される
    コア/シェル構造重合体粒子であって、該コア/シェル
    構造重合体粒子を構成する全ての相が、他の任意の相と
    の対比において、ガラス転移温度(Tg)が10〜20
    0℃の範囲の温度差をもって相異なり、かつ、該コア/
    シェル構造重合体粒子を構成する全ての相が、隣接する
    相との対比において、SP値が0.5以上をもって相異
    なることにより、隣接する相相互間の相溶性が抑制され
    ていることを特徴とする、コア/シェル構造重合体粒
    子。
  3. 【請求項3】 平均粒子直径が、50nm〜100μm
    である請求項1又は2に記載した重合体粒子。
  4. 【請求項4】 平均粒子直径が、50nm〜1μmであ
    る請求項1又は2に記載した重合体粒子。
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