JP2003171579A - 熱重合型アクリル塗料、その塗料による塗装金属板及び塗装金属板の製造方法 - Google Patents
熱重合型アクリル塗料、その塗料による塗装金属板及び塗装金属板の製造方法Info
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Abstract
料を塗装・焼き付けることによって、塩ビ塗料を用いた
同等の膜厚で、気泡発生がなく、加工性にも優れた塗膜
を得る。 【構成】 90〜10重量部の(メタ)アクリル系単量
体混合物と、10〜90重量部の、重量平均分子量が1
000〜1000000の(メタ)アクリル系重合体か
らなるアクリル系混合物100重量部に対して、0.1
〜5重量部の熱ラジカル重合開始剤,0.1〜20重量
部の架橋剤,及び0.1〜100重量部の顔料を含み、
粘度が1〜100Pa・sである塗料を金属板に塗布
後、重合硬化させる。熱ラジカル重合開始剤として、過
酸化物系のものを使用し、また、(メタ)アクリル系重
合体のガラス転移温度を−20〜30℃に調整したもの
を使用して、(メタ)アクリル系単量体混合物の5質量
%以上を揮散させながら重合硬化させるとよい。
Description
料、アクリル塗装金属板及び塗装金属板の製造方法に関
する。
略称する。)を主成分とした塗料は種々の分野に用いら
れている。例えば塩ビ樹脂を塗装した塩ビ樹脂塗装金属
板は、優れた耐久性、加工性、耐傷つき性、防火性等の
性質を有しており、その性質は10〜30年と長く安定
的に発揮されることから、電気製品用資材や建築用資材
等の多方面に用いられている。このような塩ビ樹脂塗装
金属板は、一般的に、液体の可塑剤に塩ビ樹脂等を加え
て分散させた塩ビゾル塗料を化成処理等の前処理の施さ
れた金属板に塗装、焼き付けをして、塩ビ樹脂層を形成
することによって、製造されている。
類,混合量を調節することによって優れた貯蔵安定性を
得ることができる。また、ロールコート、カーテンコー
トあるいはダイコート等の塗装方法を用いることにより
金属板の表面に容易に厚膜を形成することが可能であっ
たため、塩ビ樹脂塗装金属板は金属板に達する傷を防ぐ
耐傷つき性や耐久性に優れるものである。また、加工性
にも優れた加工部耐食性も良好であり、また、塩ビ塗膜
が自消性を示すことから、防火性が必要とされる建築資
材である屋根材等にも適用することが可能である。
うな耐久性、加工性等の諸特性に優れる塩ビ樹脂塗装金
属板は、前記のように塩ビ樹脂を金属板に塗装している
ものである。近年、この塩ビ樹脂はダイオキシンの発生
問題等に採り上げられているものである。この塩ビ樹脂
塗装金属板は、使用後に回収され、1500℃以上の温
度で溶融された後に再利用されている。塩ビ塗膜を有す
る塩ビ樹脂塗装金属板はこのような高温において溶融さ
れているため、この溶融の際に塩ビ樹脂からダイオキシ
ンが発生する可能性はほとんどないが、近年の環境に対
する意識の高まりから、より環境に対して安全なイメー
ジを有する塩ビ樹脂代替材料の要求が強まっている。
の代替として、耐候性に優れたフッ素樹脂塗装金属板、
あるいは、ウレタン樹脂塗装金属板が知られている。こ
れらの樹脂塗装金属板は樹脂の膜厚が20〜40μm程
度であり、塩ビ樹脂塗装金属板の塩ビ塗膜200μmに
比べて薄膜であり、屋根などの建材に利用すると、施工
時に塗膜下の金属板に至るような傷を付けないためには
細心の注意が必要である。また、これらの塗料で塗膜厚
の厚い塗装金属板を作成しようとすると、塗料を多量に
金属板に塗布し、熱風により乾燥しようとすると、始め
に塗料表面のみが乾燥し、塗料を構成する有機溶剤の一
部が後から気化して乾燥して塗膜表面の下に気泡を作っ
て、塗膜が荒れ均一にならなくなる。本発明は、このよ
うな問題を解消すべく案出されたものであり、塩ビを用
いずに、熱重合型アクリル塗料を用いて、塩ビ塗料を用
いた同等の膜厚で、気泡発生のない塗膜を得ることを目
的とする。
ル塗料は、その目的を達成するため、90〜10重量部
の(メタ)アクリル系単量体混合物と、10〜90重量
部の、重量平均分子量が1000〜1000000の
(メタ)アクリル系重合体からなるアクリル系混合物1
00重量部に対して、0.1〜5重量部の熱ラジカル重
合開始剤、0.1〜20重量部の架橋剤、及び0.1〜
100重量部の顔料を含み、粘度が1〜100Pa・s
であることを特徴とする。熱ラジカル重合開始剤とし
て、過酸化物系のものを使用することができ、また、
(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度Tgを、−
20〜30℃に調整したものを使用することができる。
板に塗布し、加熱して、好ましくは(メタ)アクリル系
単量体混合物の5質量%以上を揮散させながら重合硬化
させて塗装金属板を製造する。なお、本発明では、未だ
重合させていないアクリル系単量体と既に重合させたア
クリル系重合体とは別物とし、それらの混合物を「アク
リル系混合物」と称した。アクリル系混合物としては、
既に重合させた(メタ)アクリル系重合体と未だ重合さ
せていない(メタ)アクリル系単量体混合物との混合物
でも良いし、未だ重合させていない(メタ)アクリル系
単量体混合物に少量の重合開始剤等を添加して部分的に
重合させたものでも良い。
重合体と未だ重合させていない(メタ)アクリル系単量
体混合物とのアクリル系混合物に、熱ラジカル重合開始
剤と架橋剤を加え、粘度を1〜100Pa・sに調整す
ることにより、有機溶剤を排出することなく、塩ビゾル
塗料を用いたと同程度の塗膜厚を得ることができ、かつ
ラジカル重合開始剤の作用でアクリル単量体のほぼ全量
をラジカル重合させて気泡の発生を抑制し、塩ビ塗料を
用いた同等の膜厚で、気泡発生のない耐久性の高い塗膜
を得ることができるものである。
クリル系単量体は、分子内にアクリロイル基又はメタク
リロイル基のいずれかを1個有する化合物であり、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸
ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの脂環式アルコ
ールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル
酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等のアクリル
酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アク
リル酸プロポキジエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシ
エチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、
(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アク
リル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等
の官能基含有単量体等を例示することができる。ここ
で、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸
の両方を意味する。
合わせて使用することもできる。また、これらの(メ
タ)アクリル系単量体と共重合可能なその他の重合性不
飽和基を有する化合物を混合しても良い。共重合可能な
その他の重合性不飽和基を有する化合物としては、イタ
コン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽
和カルボン酸(但し、(メタ)アクリル酸を除く)、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N
−ブトキシ(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有
ビニル単量体、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランなどの有機ケイ素
基含有ビニル単量体、スチレン、メチルスチレンなどの
芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリル、等を
挙げることができる。
アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メ
タ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ
(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールの
ジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコー
ルのジ(メタ)アクリル酸エステル等のような(ポリ)
アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステ
ル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エ
ステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル
酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリル酸エステル等の多価(メタ)アクリル酸エステ
ル、ジビニルベンゼンなどのジビニル単量体、等の分子
内に重合性不飽和基を2個以上有する単量体を混合して
も良い。この分子内に重合性不飽和基を2個以上有する
単量体は、後述する架橋剤と同様の効果を有する。
にアクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれかを1
個有する化合物を主成分とするが、特に、(メタ)アク
リル酸アルキルエステル100重量部に対して、官能基
を有する単量体0.1〜30重量部、共重合可能な単量
体0〜30重量部を配合した物が好ましい。また、この
(メタ)アクリル系単量体は、その共重合体のガラス転
移温度(Tg)が、−30〜50℃が好ましく、特に−
20〜30℃が好ましい。但し、このガラス転移温度
は、分子内に重合性不飽和基を2個以上有する単量体を
除いてFoxの式により計算する。
体は、前記分子内にアクリロイル基又はメタクリロイル
基のいずれかを1個有する化合物を主成分とする単量体
を重合した物であり、ゲルパーミュエーションクロマト
グラフィー(GPC)による重量平均分子量が1000
〜1000000である。特に、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル100重量部に対して、官能基を有する
単量体0.1〜30重量部、共重合可能な単量体0〜3
0重量部を配合した物が好ましい。また、この(メタ)
アクリル系重合体のTgは−30〜50℃で有ることが
好ましく、特に−20〜30℃が好ましい。
しては、過酸化物系熱重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤
等を使用することができるが、過酸化物系熱重合開始剤
を使用することが好ましい。これらの開始剤は単独で用
いても良く、2種類以上を併用しても良く、また、ナフ
テン酸コバルトやジメチルアニリンなど分解促進剤の併
用も可能である。過酸化物系熱重合開始剤としては、イ
ソブチルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネ
ート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2
エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ターシャリ
ーブチルパーオキシネオデカネート、355−トリメチ
ルヘキサノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイ
ド、1133−テトラメチルブチルパーオキシ2エチル
ヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ2エチルヘキサ
ネート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシマレイン酸、t−ブチルパーオキシベンゾエート等
を挙げることができ、特に10時間半減期温度が35℃
から100℃の物が好ましい。
アネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、などを挙げるこ
とができる。これらの架橋剤は単独で用いても良く、2
種類以上を併用しても良い。イソシアネート化合物の例
としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレ
ンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタ
ンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及び
これらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパ
ンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレ
ート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエ
ーテルポリオールやポリエステルポリオ一ル、アクリル
ポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレ
ンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー
型のイソシアネートなどを挙げることができる。
コールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールシ
グリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテ
ル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス
(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサ
ン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレ
ンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノ
フェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m
−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエー
テル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグ
リシジルアニリンなどを挙げることができる。
ールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、
トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリ
ジン)プロピオネート、テトラメチロールメタントリ−
β−アジリジニルプロピオネートなどを挙げることがで
きる。金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムイ
ソプロピレート、ジイソプロポキシビスアセチルアセト
ンチタネート、アルミニウムトリエチルアセトアセテー
トなどを挙げることができる。メラミン樹脂系架橋剤と
しては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂などを挙げることができる。
シランカップリング剤としては、グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、クロロプロピルトリメトキシシランなどを挙げるこ
とができる。
添加する顔料は、一般に使用されている体質顔料、錆止
め顔料、無機、有機の着色顔料があげられる。体質顔料
は、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム等
である。錆止め顔料としては、亜鉛末、鉛丹、亜酸化
鉛、シアナミド鉛、鉛酸カルシウム、ジンククロメート
等である。無機の着色顔料としては、チタン白、硫化亜
鉛、鉛白、黄色酸化鉄、酸化クロム、亜鉛華、カーボン
ブラック、モリブデン赤、パーマネントレッド、べんが
ら、黄鉛、黄土、クロムグリーン、紺青、群青、アルミ
粉末、銅合金粉末等である。有機の着色顔料としては、
ハンザエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニ
ンブルー、フラバンスロンイエロー、インダンスレンブ
ルー等である。それぞれの顔料を、要求される、肉持
ち、防錆性能、色調に従って添加する。また使用される
顔料は、上記記載に限らない。
アクリル系単量体混合物とアクリル系重合体との混合割
合は、互いに10〜90重量部を配合したものとする。
既に重合させているアクリル系重合体の配合量が少ない
と、硬化時に揮発量が多くなって塗膜の平滑性が悪くな
り易く、逆にアクリル系重合体の配合量が多いと、塗膜
の粘度が上昇するために、塗工時に不具合を生じ易くな
る。重合開始剤は、アクリル系混合物100重量部に対
して0.1〜5重量部とする。0.3〜3重量部とする
ことが好ましい。その配合量が少ないと硬化に時間がか
かり、かつ揮発分が多くなり効果的なく、逆に多いと塗
膜の発泡の原因となる。架橋剤の配合量は、アクリル系
混合物100重量部に対して0.1〜20重量部とす
る。0.5〜10重量部とすることが好ましい。その配
合量が少ないと塗膜の強度が低下し、逆に多いと塗膜の
柔軟性が失われ、発泡の原因にもなる。顔料の配合量
は、アクリル系混合物100重量部に対して0.1〜1
00重量部とする。その配合量が少ないと塗膜に所望の
色調や防錆作用が得られず、逆に多いと塗料そのものの
粘度が大きくなって、美麗な塗膜が得難くなる。
各成分を配合した後の粘度を1〜100Pa・sにする
必要がある。2〜50Pa・sにすることが好ましい。
1Pa・s未満であると、塗工後硬化までに流動して均
一な塗膜が得られず、100Pa・sを超えると、塗工
時に塗りすじ等が生じ、かつ塗膜の泡も抜け難くなる。
合させていない(メタ)アクリル系単量体混合物成分に
(メタ)アクリル系重合体成分や重合開始剤成分,架橋
剤成分等を混合することにより調製できる。(メタ)ア
クリル系重合体は、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合
法、懸濁重合法など従来公知の重合法により調製できる
が、未だ重合させていない(メタ)アクリル系単量体混
合物成分との混合を考慮すると、塊状重合法及び溶液重
合法が好ましく、溶剤を揮散させる必要のない塊状重合
法がよる好ましい。特に、未だ重合させていない(メ
タ)アクリル系単量体混合物成分と既に重合させた(メ
タ)アクリル系重合体成分を構成する単量体の主成分が
同一の場合、塊状重合法の部分重合を利用することが好
ましい。この部分重合としては、特開2000−313
704号公報に記載された方法を使用することが好まし
い。この部分重合を利用すると、部分重合物に重合開始
剤成分,架橋剤成分等を混合し、必要によりさらに未だ
重合させていない(メタ)アクリル系単量体混合物成分
を添加すれば、本発明の熱重合型アクリル塗料が得られ
る。本発明の熱重合型アクリル塗料には、請求項に記載
した成分の他に、充填材、酸化防止剤、難燃剤、紫外線
吸収剤などを必要に応じて適宜配合できる。
おいて適用可能な金属板として、亜鉛めっき鋼板、亜鉛
−アルミニウムめっき鋼板−マグネシウムめっき鋼板、
アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム板及びステンレ
ス系金属板が挙げられる。これらの金属板は、通常の化
成処理が施された状態で用いられることが好ましい。化
成処理が施されることによって下地金属に対して防錆効
果等が得られる。
のに先立って、被塗装物の金属板は当該技術分野で公知
の方法で下塗り塗料により下塗り塗装するのが通常であ
る。例えば、前述の化成処理を施した後、下塗り塗料と
してアクリル変性エポキシ樹脂を介して塗装することが
好ましい。下塗り塗料として、アクリル変性エポキシ樹
脂を用いることにより、エポキシ系樹脂及びポリエステ
ル系樹脂の下塗りでは得られない、良好な塗膜密着性を
得ることができる。また、この下塗り塗料としてアクリ
ル変性エポキシ樹脂を用いる際には、アクリル変性エポ
キシ樹脂100重量部に対して、顔料として、ストロン
チウムクロメートを10〜30重量部添加することが好
ましい。このようなストロンチウムクロメートを添加す
ることにより防錆効果が得られる。なお、このストロン
チウムクロメートの添加量が10重量部に満たないと十
分な防錆効果が得られず、また、30重量部を超えると
溶出量が多くなるため環境面で好ましくない。
被塗装物である金属板に塗装する。塗装方法としては、
塩ビ樹脂の塗装方法と同様の方法が使用できる。すなわ
ち、塩ビ樹脂塗装金属板の製造時に一般に使用されるロ
ールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコー
ト等の方法を用いることができる。これらの塗布方法で
塗布することにより、塩ビ塗料を使用して塩ビ塗膜を作
製するときと同様の条件でアクリル塗料を膜厚に塗装す
ることが可能である。このため、新たな設備を必要とす
ることなく、経済的である。また、この際の金属板の表
面へのアクリル塗料の塗布は、焼き付け成膜後の膜厚が
100μm以上となるように塗布することが好ましい。
焼き付け後の膜厚が100μmに満たないほど薄いと、
重合開始剤の分解により発生したラジカルが空気中の酸
素と結合し、消失して重合硬化不足になる。
ル塗料が塗布された金属板は焼付け処理(重合硬化反
応)が施される。この際、塗料が成膜するのに十分な温
度、十分な時間、通常120〜250℃の範囲で、30
〜600秒間焼き付け処理することにより、塗膜が形成
される。この温度,時間の範囲は塩ビゾル塗料の成膜条
件とほぼ同等であり、塗装条件の大幅な変更を必要とし
ない。
程)において、未だ重合させていない(メタ)アクリル
系単量体を、5質量%以上、好ましくは8〜20質量%
揮散させることにより、表面の塗膜強度及び擦過性がよ
り優れた塗膜を得ることができる。このアクリル系単量
体成分を適量揮散させるためには、(メタ)アクリル系
単量体混合物成分の重合硬化反応工程温度における蒸気
圧を70kPa、好ましくは80kPa以上にする。
る。 [実施例1]攪拌機と温度計と窒素ガス導入管および冷
却管を備えた0.2リットルの四ツ口フラスコに、(メ
タ)アクリルモノマーとしてメチルメタクリレート40
重量部、2−エチルヘキシルアクリレート45重量部、
イソボルニルアクリレート10重量部、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート5重量部、分子量調整剤としてN−
ドデシルメルカプタン0.2重量部、を加えて窒素気流
中で55℃になるまで昇温し加熱を停止した。次いで重
合開始剤として2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,
4−ジメチルバレロニトリル)(製品名、V−70、和
光純薬社製)を0.3重量部を混合し、55℃から11
0℃まで13分間、温度制御をしながら部分重合を行な
った。この操作により重合率45%、粘度2.0Pa・
s、アクリル重合体分の重量平均分子量6万、アクリル
重合体分のガラス転移温度−6℃、アクリル単量体分の
硬化時のガラス転移温度−6℃のアクリル系混合物を作
製した。その後、このアクリル系混合物100重量部、
イソシアネート硬化剤(綜研化学社製、HDW−01)
2重量部、有機過酸化物としてパーオクタO(日本油脂
社製)2重量部、顔料として酸化チタン20重量部、を
混合して塗料を作製した。
してメチルメタクリレート40重量部、2−エチルヘキ
シルアクリレート55重量部、アクリル酸5重量部、分
子量調整剤としてN−ドデシルメルカプタン0.2重量
部、開始剤としてV−70(和光純薬社製)0.3重量
部を混合し、実施例1と同様の方法で55℃から110
℃まで温度制御をしながら部分重合を行ない、重合率4
5%、粘度3.0Pa・s、アクリル重合体分の重量平
均分子量5.6万、アクリル重合体分のガラス転移温度
−17℃、アクリル単量体分の硬化時のガラス転移温度
−17℃のアクリル系混合物を作製した。このアクリル
系混合物は実施例1よりガラス転移温度を低く設定し
た。その後、このアクリル系混合物100重量部、エポ
キシ系硬化剤(綜研化学社製、E−100X)2重量
部、ビニル系架橋剤トリメチロールプロパントリアクリ
レート0.5重量部、有機過酸化物としてパーベキシル
O(日本油脂社製)1.2重量部、顔料として酸化チタ
ン20重量部、を混合して塗料を作製した。
してイソボルニルアクリレート55重量部、2−エチル
ヘキシルアクリレート35重量部、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート5重量部、アクリル酸5重量部、分子量
調整剤としてN−ドデシルメルカプタン0.2重量部、
開始剤としてV−70(和光純薬社製)0.05重量部
を混合し、実施例1と同様の方法で55℃から120℃
まで温度制御をしながら部分重合を行ない、重合率40
%、粘度2.0Pa・s、アクリル重合体分の重量平均
分子量6万、アクリル重合体分のガラス転移温度9℃、
アクリル単量体分の硬化時のガラス転移温度9℃のアク
リル系混合物を作製した。このアクリル系混合物は実施
例1よりガラス転移温度を高く設定した。その後、この
アクリル系混合物100重量部、1,6ヘキサンジオー
ルジアクリレート2重量部、有機過酸化物としてパーブ
チルND(日本油脂社製)2重量部、顔料として酸化チ
タン20重量部、を混合して塗料を作製した。
してメチルメタクリレート50重量部、ブチルアクリレ
ート40重量部、メタアクリル酸10重量部、分子量調
整剤としてN−ドデシルメルカプタン0.2重量部、開
始剤としてラウリルパーオキサイド0.8重量部を混合
し、88%鹸化ポリビニルアルコール1%水溶液200
重量部中にて70℃で6時間重合せしめ、脱水、乾燥を
行ないガラス転移温度27℃、重量平均分子量11万の
アクリル系重合体を得た。得られたアクリル系重合体3
0重量部を、メチルメタクリレート35重量部、ブチル
アクリレート30重量部及びアクリル酸5重量部からな
る単量体混合物(この単量体混合物の共重合体のガラス
転移温度は19℃である)に混合溶解し、固形分30%
のアクリル系混合物を得た。このアクリル系混合物は上
記記載通り、重合反応を途中で終了させ、アクリル重合
体と単量体の混合物を作成したものではなく、アクリル
重合体を単量体の混合により混合物を得たものである。
その後、このアクリル系混合物100重量部、エポキシ
系硬化剤(綜研化学社製、E−100X)2重量部、有
機過酸化物としてパーベキシルO(日本油脂社製)1重
量部、顔料として酸化チタン20重量部、を混合して塗
料を作製した。
してメチルメタクリレート40重量部、ブチルアクリレ
ート55重量部、メタアクリル酸5重量部、分子量調整
剤としてN−ドデシルメルカプタン0.01重量部、開
始剤としてラウリルパーオキサイド0.5重量部を混合
し、88%鹸化ポリビニルアルコール1%水溶液200
重量部中にて70℃で6時間重合せしめ、脱水、乾燥を
行ないガラス転移温度0℃、重量平均分子量80万のア
クリル系重合体を得た。得られたアクリル系重合体15
重量部を、メチルメタクリレート50重量部、ブチルア
クリレート30重量部及びアクリル酸5重量部からなる
単量体混合物(この単量体混合物の共重合体のガラス転
移温度は30℃である)に混合溶解し、固形分15%の
アクリル系混合物を得た。このアクリル系混合物は実施
例4と同じ方法で作成し、アクリル重合体の重量平均分
子量を高くしたものである。その後、このアクリル系混
合物100重量部、エポキシ系硬化剤5重量部、有機過
酸化物としてパーロイル355(日本油脂社製)2重量
部、顔料として酸化チタン20重量部、を混合して塗料
を作製した。
して2−エチルヘキシルアクリレート45重量部、イソ
ボルニルアクリレート50重量部、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート5重量部、分子量調整剤としてN−ドデ
シルメルカプタン0.2重量部、開始剤としてV−70
(和光純薬社製)0.05重量部を混合し、実施例1と
同様の方法で55℃から120℃まで温度制御をしなが
ら部分重合を行ない、重合率38%、粘度2.5Pa・
s、アクリル重合体分の重量平均分子量6万、アクリル
重合体分のガラス転移温度−8℃、アクリル単量体分の
硬化時のガラス転移温度−8℃のアクリル系混合物を作
製した。その後、このアクリル系混合物100重量部、
イソシアネート硬化剤2重量部、有機過酸化物としてパ
ーオクタO(日本油脂社製)2重量部、顔料として酸化
チタン20重量部、を混合して塗料を作製した。
してメチルメタクリレート20重量部、2−エチルヘキ
シルアクリレート70重量部、アクリル酸10重量部、
分子量調整剤としてN−ドデシルメルカプタン0.2重
量部、開始剤としてV−70(和光純薬社製)0.03
重量部を混合し、実施例1と同様の方法で55℃から1
20℃まで温度制御をしながら部分重合を行ない、重合
率40%、粘度5.0Pa・s、アクリル重合体分の重
量平均分子量10.5万、アクリル重合体分のガラス転
移温度−37℃、アクリル単量体分の硬化時のガラス転
移温度−37℃のアクリルシロップを作製した。その
後、実施例1と同等にシロップ、架橋剤、顔料、有機過
酸化物を配合して塗料を作製した。
してメチルメタクリレート50重量部、2−エチルヘキ
シルアクリレート20重量部、イソボルニルアクリレー
ト25重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重
量部、分子量調整剤としてN−ドデシルメルカプタン
0.2重量部、開始剤としてV−70(和光純薬社製)
0.4重量部を混合し、前記述の方法で55℃から11
0℃まで温度制御をしながら部分重合を行ない、重合率
48%、粘度20Pa・s、アクリル重合体分の重量平
均分子量5万、アクリル重合体分のガラス転移温度41
℃、アクリル単量体分の硬化時のガラス転移温度41℃
のアクリル系混合物を作製した。その後、実施例1と同
等にアクリル系混合物に架橋剤、顔料、有機過酸化物を
配合して塗料を作製した。
してEO付加ノニルフェノールアクリレート50重量
部、2−エトキシエトキシエチルアクリレート50重量
部分子量調整剤としてN−ドデシルメルカプタン0.3
重量部、開始剤としてV−70(和光純薬社製)0.5
重量部を混合し、前記述の方法で55℃から105℃ま
で温度制御をしながら部分重合を行ない、重合率25
%、粘度1.8Pa・s、アクリル重合体分の重量平均
分子量4.8万、アクリル重合体分のガラス転移温度−
18℃、アクリル単量体分の硬化時のガラス転移温度−
18℃のアクリル系混合物を作製した。その後、このア
クリル系混合物100重量部、イソシアネート系硬化剤
2重量部、ビニル系架橋剤トリメチロールプロパントリ
アクリレート0.5重量部、有機過酸化物としてパーベ
キシルO(日本油脂社製)1.2重量部、顔料として酸
化チタン20重量部、を混合して塗料を作製した。
してメチルメタクリレート95重量部、メタアクリル酸
5重量部、開始剤としてラウリルパーオキサイド0.8
重量部を混合し、88%鹸化ポリビニルアルコール1%
水溶液200重量部と混合し、機械乳化後、70℃で6
時間重合せしめ、脱水、乾燥を行ないガラス転移温度1
10℃、重量平均分子量50万、体積基準平均粒子径2
5μmのアクリル系重合体の微粉体を得た。その後、こ
の微粉体50重量部に可塑剤としてブチルベンジルフタ
レートを40重量部、顔料として酸化チタン10重量部
を混合してアグリルゾル塗料を作製した。
00重量部、可塑剤としてDOPを65重量部及びイソ
ブチルテキサノールを35重量部、顔料として酸化チタ
ン10重量部、炭酸カルシウム5重量部を混合して塩ビ
ゾル塗料を作製した。
製した、アクリル塗料,アクリルゾル塗料及び塩ビゾル
塗料を被塗装物の金属板に塗装、焼き付けを行い、得ら
れた塗装金属板について、加工、皮膜べたつき、鉛筆硬
度試験、耐ガソリン性を下記の要領で評価した。使用し
た被塗装物の金属板は、5%アルミニウム−亜鉛めっき
鋼板に化成処理としてニッケル系処理と塗布型クロメー
ト処理を併用した処理を施し化成処理皮膜を形成した。
化成処理皮膜の上に下塗り塗料としてアクリル変性エポ
キシ樹脂をロールコートにより5μmに塗装した後22
0℃で100秒間焼き付け、その後、上記の実施例、比
較例の塗料をロールコータで200μm塗装した後、1
60℃で120秒間の焼き付けを行って、塗膜を成膜し
た樹脂塗装金属板を作製した。
耐屈曲性(円形マンドレル法)試験方法のマンドレル直
径2mmで曲げた後、曲げた部分を万力でさらに密着曲
げを行う方法で実施し、曲げ部の割れを観察した。塗膜
のべたつきは、指で触ったときにタックがあるものを、
べたつきありとした。鉛筆硬度試験は、JISK560
0−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)で実施し、表面の
硬度を測定した。耐ガソリン性は、市販のホワイトガソ
リンに塗装板を24時間浸漬した後引き上げて、目視で
初期に対して、光沢の低下しているものを×とした。
装した実施例1〜6のアクリル樹脂塗装金属板は、従来
の比較例2の塩ビゾル塗料で作製した塩ビ塗装金属板の
エンボスと遜色のない加工性,表面硬度が得られ、べた
つきもなく、耐ガソリン性にも優れていた。実施例7の
アクリル塗料で作製したアクリル樹脂塗装金属板は、樹
脂のガラス転移温度が低いために塗膜にわずかにべたつ
きが残っていた。実施例8のアクリル塗料で作製したア
クリル樹脂塗装金属板は、樹脂のガラス転移温度が高い
ため、塗膜が硬くなり、曲げ試験では曲げ部の塗膜に微
細な割れが認められ、耐屈曲性に若干の問題があった。
この2つの例から、樹脂のガラス転移温度は−20〜3
0℃の範囲で設定することが好ましいことがわかる。さ
らに、実施例9のアクリル塗料で作製したアクリル樹脂
塗装金属板は、表面から揮散する単量体成分が少なく、
塗膜にべたつきが残っていた。この例からわかるよう
に、単量体混合物を重合硬化させる場合、その一部、5
%以上を揮散させつつ硬化させることが好ましい。
クリル樹脂塗装金属板は、べたつき,耐屈曲性,鉛筆硬
度とも良好であるが、可塑剤が多量に入っているため耐
ガソリン性に劣る上、可塑剤との混合工程や重合した後
に、脱水,乾燥等の工程が余分に加わるため、コストの
点でも不利である。比較例2は、現行の一般的な塩ビゾ
ル塗料を用いた例である。
料として、(メタ)アクリル系重合体と未だ重合させて
いない(メタ)アクリル系単量体混合物とのアクリル系
混合物に、熱ラジカル重合開始剤と架橋剤を加え、粘度
を1〜100Pa・sに調整することにより、塩ビゾル
塗料を用いたと同程度の塗膜厚を得ることができ、かつ
ラジカル重合開始剤の作用でアクリル単量体のほぼ全量
をラジカル重合させて気泡の発生を抑制し、塩ビ塗料を
用いた同等の膜厚で、気泡発生のない塗膜を得ることが
できた。特に、(メタ)アクリル系重合体のガラス転移
温度を−20〜30℃に調整したアクリル系混合物に重
合開始剤,架橋剤,顔料を添加した熱重合型アクリル塗
料を金属板に塗布後、(メタ)アクリル系単量体混合物
の5%以上を揮散させつつ重合硬化させると、加工性、
耐べたつき性にも優れた樹脂塗装金属板を得ることがで
きた。しかも、従来の塩ビ樹脂に基づく塗料と同様な方
法及び装置の使用ができるので、既存の設備を用いて対
象とする金属板に塩ビ代替塗料を塗装することができる
と言う効果もある。
Claims (5)
- 【請求項1】 90〜10重量部の未だ重合させていな
い(メタ)アクリル系単量体混合物と、10〜90重量
部の、重量平均分子量が1000〜1000000の
(メタ)アクリル系重合体からなるアクリル系混合物1
00重量部に対して、0.1〜5重量部の熱ラジカル重
合開始剤、0.1〜20重量部の架橋剤、及び0.1〜
100重量部の顔料を含み、粘度が1〜100Pa・s
であることを特徴とする熱重合型アクリル塗料。 - 【請求項2】 熱ラジカル重合開始剤が、過酸化物系重
合開始剤である請求項1に記載の熱重合型アクリル塗
料。 - 【請求項3】 (メタ)アクリル系重合体のガラス転移
温度が、−20〜30℃である請求項1に記載の熱重合
型アクリル塗料。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1に記載の熱重
合型アクリル塗料を金属板に塗布し、重合硬化させたア
クリル塗装金属板。 - 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1に記載の熱重
合型アクリル塗料を金属板に塗布し、(メタ)アクリル
系単量体混合物の5質量%以上を揮散させながら重合硬
化させることを特徴とするアクリル塗装金属板の製造方
法。
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