JP5110844B2 - 塗装金属材料および塗膜の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚膜タイプの塗膜の形成に適したポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を用いた塗膜の製法、およびその塗膜を形成した塗装金属材料に関する。
厚膜タイプの塗料としては、塩化ビニル樹脂を主成分とした塗料があり、種々の分野で使用されている。例えば、この塩化ビニル樹脂を塗装した塩化ビニル樹脂塗装金属板は、耐久性、加工性、耐疵付き性、防火性等に優れ、10〜30年の長期にわたって優れた特性が持続されることから、内装材、外装材、表装材、電気製品用筐体等に多用されている。しかしながら、塩化ビニル樹脂塗装金属板は、塩化ビニル樹脂がダイオキシン発生源の一つに挙げられていることから廃材処理に工夫を要する。
そこで塩化ビニル樹脂に替わり、厚膜の塗装が可能な塗料の開発が望まれていた。そのような塗料として、未重合の(メタ)アクリル系単量体に(メタ)アクリル系重合体を溶解させた(メタ)アクリル系混合物に、熱ラジカル重合開始剤、架橋剤、可塑剤、顔料を添加してなる塗料組成物(熱ラジカル重合型アクリル塗料)が開発され、それを金属板に塗布し、未重合の(メタ)アクリル系単量体を重合硬化させて造膜する技術が提案されている(特許文献1)。
特開2003−171579号公報
特許文献1の塗料は、膜厚の厚い塗膜を形成することには優れている。しかし、形成された塗膜は硬く、伸びが少ないという問題が残されている。塗膜の厚みを厚くし、顔料の添加量を増やしたときは、高度な加工を必要とする用途に適用できないのが現状である。
本発明は、柔軟で加工性の良い厚膜タイプの塗膜(例えば乾燥膜厚で100〜300μm)が形成可能な、塩化ビニル系塗料に替わる塗料を用いた塗膜の製法、およびその塗膜を形成した塗装金属材料を提供しようというものである。
上記目的は、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化して得られる非結晶性ポリエステル系重合体Aと、1種以上の(メタ)アクリル系単量体Bが、A:B=10:90〜90:10の質量割合で配合され、さらに重合開始剤および架橋剤が添加された塗料であって、前記(メタ)アクリル系単量体のうち10質量%以上が下記化学式1〜3のいずれかで表される化合物で構成されているポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を重合硬化させることによって達成される。
〔化学式1〕 H2C=CHCOO−R1−OCOHC=CH2
ただし、R1は炭素数12以下の炭化水素化合物
〔化学式2〕 H2C=CHCO−R2−OCOHC=CH2
ただし、R2は(CH2CH2O)n2≦n≦4で示されるポリエチレングリコール系化合物
〔化学式3〕 H2C=CHCOO−R3
ただし、R3は炭素数12以下の水酸基含有炭化水素系化合物
この塗料の粘度は例えば0.1〜10Pa・sに調整されている。(メタ)アクリル系単量体は、分子内にアクリロイル基をもつ「アクリル系単量体」と、分子内にメタクリロイル基をもつ「メタクリル系単量体」の両方を意味する。
前記の非結晶性ポリエステル系重合体は、重量平均分子量が1000〜40000、ガラス転位温度Tgが−20〜60℃、30℃における比重が1.23以下の化合物からなるものである。重合開始剤として過酸化物系熱ラジカル重合開始剤が、また架橋剤としてポリイソシアネートがそれぞれ好適に使用できる。もちろん顔料が配合されていて構わない。それらの配合量は、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、過酸化物系熱ラジカル重合開始剤を例えば0.1〜5質量部、ポリイソシアネート系架橋剤を例えば0.1〜20質量部、顔料を例えば0.1〜100質量部の範囲とすることができる。さらに可塑剤を配合させることができる。
本発明では、このポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を基体表面に塗布し、未重合(メタ)アクリル系単量体の2質量%以上、好ましくは2〜10質量%を揮発させながら重合硬化させて造膜する塗膜の製法が提供される。また、金属材料の表面に、上記のポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を重合硬化させた塗膜を有する塗装金属材料が提供される。金属材料は「板」や「箔」など、種々の形態のものが対象となる。そのポリエステル変性熱重合型アクリル塗膜の下地にはめっき層やプライマー塗膜層が形成されていて構わない。ポリエステル変性熱重合型アクリル塗膜の上にはクリア塗膜等の上層が形成されていても構わない。
本発明に従えば、柔軟で加工性が良好な厚膜タイプの塗膜を形成させることができる。また、厚膜塗膜を形成する際に問題となりやすい有機溶剤揮発に起因した気泡(いわゆる「ワキ」)の発生が顕著に抑止され、表面外観の良好な厚膜タイプの塗膜が構築される。したがって本発明は、従来多用されてきた塩化ビニル系塗料の代替に適したものである。
発明者らは、特許文献1に開示のアクリル系塗料について、塗膜の硬質化を改善する手法を種々検討してきた。その検討の中で、厚膜塗膜を形成させる上で欠くことのできない重合体として、(メタ)アクリル重合体の替わりにポリエステル系重合体を使用することが有効であると考えられた。しかしながら、ポリエステル系重合体と、溶剤の機能を担う(メタ)アクリル系単量体とは一般に相溶性が悪く、これらを混合して塗料化することは容易ではなかった。そこでさらに詳細に研究を進めた結果、ポリエステル系重合体と、(メタ)アクリル系単量体が類似構造の官能基を有しているとき、両者の相溶性が顕著に改善され、塗料化が可能になることを見出した。具体的には、使用する非結晶性ポリエステル系重合体の種類に対応して、(メタ)アクリル系単量体の一部または全部を、当該非結晶性ポリエステル系重合体の重合に使用される多価アルコールから誘導される種類の化合物で構成すればよいことを突き止めた。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
本発明に使用する塗料は、既重合の非結晶性ポリエステル系重合体と未重合の(メタ)アクリル系単量体を混合したアクリル・ポリエステル系混合物をベース樹脂とするものである。以下、本発明を特定するための事項について説明する。
〔非結晶性ポリエステル系重合体〕
非結晶性ポリエステル系重合体は、厚膜タイプの塗膜に柔軟性を付与するために重要な構成要素である。非結晶性ポリエステル系重合体は、多塩基酸と多価アルコールを減圧状態で、水分を取り除きながらエステル化反応して得られる。エステル化反応の方法としては、直接エステル化法またはエステル交換法がある。
結晶性の高いポリエステル系重合体は溶解性が低いため、本発明では溶解性の高い非結晶性ポリエステル系重合体を使用する必要がある。(メタ)アクリル系単量体との相溶性を上げる対策として、非結晶性ポリエステル系重合体に使用される多塩基酸は芳香族成分の含有率を下げる必要がある。芳香族成分の含有率を下げると、必然的にポリエステル系重合体のガラス転移温度Tgが下がり、ガラス転移温度Tgが60℃以下になると、他の条件との関係もあるが、(メタ)アクリル系単量体混合物への溶解性が向上する。ただし、ガラス転移温度Tgが−20℃より低い場合は芳香族成分が少なすぎ、ポリエステル系重合体は加水分解しやすくなり、耐候性が低下する上、塗装硬化後の塗膜でもベタツキが残る恐れがある。ポリエステル系重合体のTgは−20〜30℃であることがより好ましい。
また、(メタ)アクリル単量体混合物との相溶性を向上させるために、非結晶性ポリエステル系重合体に使用される多価アルコールの炭素鎖部に分岐をつけ、立体障害を持たせ、密度を下げることが有効である。
上記非結晶性ポリエステル系重合体は水酸基を含有しており、水酸基価は2〜200mgKOH/g程度、好ましくは4〜80mgKOH/g程度の範囲であり、酸価は2〜40mgKOH/g程度、好ましくは5〜50mgKOH/g程度の範囲である。
本発明に適用される非結晶性ポリエステル重合体に使用される多塩基酸としては、2価カルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの、芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、ダイマー酸などの、脂肪族カルボン酸、3価以上のカルボン酸としてトリメリット酸、ピロメリット酸などの、香族カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸として、ε−カプロラクトン、ラクチドがある。
本発明に適用される非結晶性ポリエステル重合体に使用される多価アルコールとしては、2価のアルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール類、これらのグリコール類にε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのポリエステルジオール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカン等の脂環式2価アルコールなどが挙げられる。1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2、6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
非結晶性ポリエステル系重合体は、通常、1種類の重合体を使用すればよいが、2種類以上の重合体からなる非結晶性ポリエステル混合物を使用することもできる。混合物の場合は非結晶性ポリエステルを構成する多価アルコールは、共通していることが好ましい。
〔(メタ)アクリル系単量体〕
(メタ)アクリル系単量体は、塗料において上記の非結晶性ポリエステル系重合体の溶剤として機能させるものであり、1種を単独で用いることもできるが、2種以上の化合物からなる(メタ)アクリル系単量体の混合物を使用することが望ましい。ただし、本発明ではポリエステル系重合体との溶解性を得るために、(メタ)アクリル系単量体混合物の10質量%以上を下記化学式1〜3のいずれかで表される化合物で構成させる。(メタ)アクリル系単量体として1種類の化合物を使用する場合は、その化合物が下記化学式1〜3のいずれかで表される化合物とする。
〔化学式1〕 H2C=CHCOO−R1−OCOHC=CH2
ただし、R1は炭素数12以下の炭化水素化合物
〔化学式2〕 H2C=CHCO−R2−OCOHC=CH2
ただし、R2は(CH2CH2O)n、n≦4で示されるポリエチレングリコール系化合物
〔化学式3〕 H2C=CHCOO−R3
ただし、R3は炭素数12以下の水酸基含有炭化水素系化合物
発明者らの研究によれば、化学式1〜3のいずれかに属する(メタ)アクリル系単量体は、上述の非結晶性ポリエステル系重合体との溶解性が良好であることがわかった。また、塗料に配合させる(メタ)アクリル系単量体混合物の一部をこの種の(メタ)アクリル系単量体化合物で構成すれば、上述の非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体混合物全体との相溶性を改善することが可能である。詳細な検討の結果、相溶性を十分に確保するためには、塗料に配合させる(メタ)アクリル系単量体のうち10質量%以上を上記化学式1〜3のいずれかで表される化合物で構成する必要がある。30質量%以上とすることがより好ましい。
(メタ)アクリル系単量体には、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体(上記化学式3に相当するもの)を混ぜて使用することが好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、重合硬化時に架橋剤と反応して架橋点になり、塗膜の性質を改善する。この水酸基を有する単量体の、(メタ)アクリル系単量体全部に占める割合は、1〜30質量%とすることが効果的である。
これらの単量体から得られた共重合体のガラス転移温度Tgが−30〜50℃であることが望ましく、特に−10〜40℃がより好ましい。ただしこのガラス転移温度Tgは、Foxの式により算出される。
本発明で使用できる(メタ)アクリル系単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアクリル酸アリールエステル、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキジエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、エトキ−シジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のグリコール系(メタ)アクリル酸エステル、グリシジルエーテル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基含有単量体等を例示することができる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する。
これらの(メタ)アクリル系単量体は、2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの(メタ)アクリル系単量体と共重合可能なその他の重合性不飽和基を有する化合物を混合してもよい。共重合可能なその他の重合性不飽和基を有する化合物としては、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸(ただし、(メタ)アクリル酸を除く)、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの有機ケイ素基含有ビニル単量体、スチレン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリル、等を挙げることができる。
上記化学式1に該当する(メタ)アクリル系単量体として以下のものが例示できる。
ポリテトラメテレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチルー1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレートなど。
上記化学式2に該当する(メタ)アクリル系単量体として以下のものが例示できる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど。
上記化学式3に該当する(メタ)アクリル系単量体として以下のものが例示できる。
2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなど。
〔非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の配合〕
非結晶性ポリエステル系重合体と1種以上の(メタ)アクリル系単量体の配合割合は、質量割合で、[非結晶性ポリエステル系重合体]:[1種以上の(メタ)アクリル系単量体]=10:90〜90:10の範囲で選定される。既重合の非結晶性ポリエステル系重合体の配合量が少なすぎると、硬化時に相対的に多くなった(メタ)アクリル系単量体の揮発量が多くなり、気泡が生じて塗膜の平滑性が劣化しやすい。逆に既重合の非結晶性ポリエステル系重合体の配合量が多すぎると塗料の粘度が上昇し、塗装工程で不具合が生じやすくなる。
〔重合開始剤〕
(メタ)アクリル系単量体の重合には、熱ラジカル重合開始剤が使われる。酸化物系、アゾ系等の熱ラジカル重合開始剤が使用可能であるが、過酸化物系熱重合開始剤の使用が好ましい。重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の分解促進剤の併用も可能である。重合開始剤は、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計量100質量部に対し、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜3質量部の割合で配合される。重合開始剤の配合量が少ないと硬化に時間がかかり、(メタ)アクリル系単量体の揮発分が多くなり効果的でない。逆に重合開始剤の配合量が過剰だと、反応時に多量の気泡が発生し、ワキ、肌荒れ等の塗膜欠陥が生じやすくなる。
過酸化物系熱重合開始剤として、イソブチルパーオキサイド,クミルパーオキシネオデカネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカネート、355−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、1133−テトラメチルブチルパーオキシ2エチルヘキサネート、t−へキシルパーオキシ2エチルヘキサネート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。なかでも、1分間半減期温度が100〜170℃の熱重合開始剤が好ましい。
〔架橋剤〕
架橋剤は、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計量100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の割合で配合される。架橋剤の配合量が少なすぎると塗膜の強度が低下し、逆に多すぎると塗膜の柔軟性が損なわれ、また発泡の原因にもなる。架橋剤には、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、金属キレート系、メラミン樹脂系、シランカップリング剤系等があり、単独あるいは2種類以上を組み合わせて添加される。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパン等と付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等が挙げられる。塗料化した場合の貯蔵安定性を必要とする場合、常温ではポリオールと反応しないブロック型イソシアネート架橋剤の使用が好ましい。ブロック型イソシアネートにはオキシム型、活性メチレン型があるが、本発明には活性メチレン型を使うことがより好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムイソプロピレートジイソプロポキシビスアセチルアセトンチタネート、アルミニウムトリエチルアセトアセテート等が挙げられる。
メラミン樹脂系架橋剤としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
シランカップリング剤系架橋剤としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン等がある。
〔可塑剤〕
加工時の衝撃付加で塗膜に生じる割れを防止するために、分子量500以上の可塑剤を塗料に配合してもよいが、本発明の対象であるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は既重合体として非結晶性ポリエステル重合体を使うことにより柔軟性が向上しているので、可塑剤を必ずしも配合させる必要はない。可塑剤を使用しない場合、可塑剤が表面にブリードすることはなく、ベタツキ性は生じない。
可塑剤を使用する場合は、1分子中に3個以上のエステル結合をもつ可塑剤が好適である。具体的には、トリメリット酸誘導体、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体、リン酸誘導体、ポリエステル系可塑剤、アクリル系単量体を主成分とするアクリル系低分子単量体等が挙げられる。可塑剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。可塑剤の配合量は、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計量100質量部に対し、20質量部以下の範囲とすることができる。塗膜の柔軟性に及ぼす可塑剤の影響は1質量部以上の配合量でみられるが、過剰量の可塑剤を配合すると塗膜にべタツキが発生しやすくなる。
〔顔料〕
顔料は必要に応じて塗料に配合される。顔料には、体質顔料、無機・有機の着色顔料、防錆顔料がある。体質顔料としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム等が例示される。無機着色顔料としては、チタン白、硫化亜鉛、鉛白、黄色酸化鉄、酸化クロム、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデン赤、パーマネントレッド、ベンガラ、黄土、クロムグリーン、紺青、群青、アルミ粉末、銅合金粉末等が例示される。有機着色顔料としては、ハンザエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、フラバンスロンイエロー、インダンスレンブルー等が例示される。必要に応じ防錆顔料を添加してもよい。個々の顔料は、必要とする肉持ち、防錆性能、色調に応じて単独で、あるいは2種以上を組み合わせて添加される。
顔料の配合量は、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計量100質量部に対し、0.1〜100質量部の範囲で選定される。必要とする色調や防錆作用は0.1質量部以上の顔料配合でみられるが、過剰に添加すると塗料自体が増粘し、美麗な膜面をもつ塗膜が得られにくくなる。
〔その他の添加材〕
充填材、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等の添加材も、必要に応じて塗料に配合される。
〔塗料の粘度〕
各成分を配合したポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、塗布段階における粘度が0.1〜10Pa・s、好ましくは0.2〜0.5Pa・sの範囲に粘度が調整される。粘度が低すぎる塗料では塗布後硬化までに流動して均−な塗膜が得られず、粘度が高すぎる塗料では塗布時に塗りすじ等が生じ、塗腹から気泡が抜け難くなる。粘度は非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の配合比により調整できる。
〔基体〕
上記の塗料は、種々の基体の上に塗布され、乾燥・焼付けの工程を経て厚膜タイプの塗膜となる。代表的な基体として金属板や金属箔が挙げられ、鋼板、鋼箔、アルミニウム(合金)板、アルミニウム(合金)箔、銅(合金)板、銅(合金)箔など種々のものが基体になりうる。鋼板の場合は、例えばZnめっき鋼板、Zn−Al系めっき鋼板、Zn−Al−Mg系めっき鋼板、Alめっき鋼板、ステンレス鋼板等が使用できる。これらの塗装原板は、下地金属に対する防食作用や塗膜密着性を向上させるため、適宜化成処理される。
〔下塗り塗装〕
また、上記のポリエステル変性熱重合型アクリル塗料の塗布に先立って、塗装原板を下塗り塗装してもよい。下塗り塗装では、例えば化成処理した塗装原板にアクリル変性エポキシ樹脂塗料を塗布・焼付けすることにより下塗り塗膜を形成することが好ましい。アクリル変性エポキシ樹脂塗膜は、エポキシ系やポリエステル系の下塗り塗膜に比較して良好な塗膜密着性を得る上で有利である。下塗り塗料には、必要に応じ防錆顔料を配合させたものを使用する。上記の各種めっき鋼板を塗装原板に使用し、アクリル変性エポキシ樹脂を下塗り塗装に使用する場合だと、その塗料に配合させる防錆顔料は樹脂100質量部に対し10〜30質量部とすることが効果的である。
〔塗膜の形成〕
所定組成に調整された上記のポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を被塗装物に塗布し、乾燥・焼付け工程を経ることにより厚膜タイプでありながら柔軟性のあるポリエステル変性熱重合型アクリル塗膜が構築される。塗料の塗布には、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコート等が採用でき、塩化ビニル塗膜の作製と同様な条件下で厚膜塗装が可能である。このため、新たな設備を必要とすることなく、経済的である。この塗料の塗布量は、乾燥膜厚が100μm以上になるように設定される。この塗料の場合、100μm未満の膜厚では、重合開始剤の分解により発生したラジカルが空気中の酸素と結合して消失し、重合硬化不足になりやすい。塗膜厚さの上限は特に規制されないが、乾燥膜厚で概ね400μm程度以下の範囲で良好な結果が得られる。
次いで、焼付け処理により重合硬化反応を生じさせ、ポリエステル変性熱重合型アクリル塗膜を形成する。塗料中にラジカル重合開始剤が含まれているので、未重合(メタ)アクリル系単量体のほぼ全量がラジカル重合する。その際、気泡の発生が抑えられ、塩化ビニル樹脂塗膜と同程度に厚膜化しても気泡のない耐久性に優れた塗膜が形成される。焼付け時に未重合(メタ)アクリル系単量体のうち、2質量%以上、好ましくは5〜10質量%を揮散させると、表面の塗膜強度および擦過性がより優れた塗膜が得られる。焼付け処理条件は、加熱温度:120〜250℃、加熱時間:30〜600秒の範囲で調整すればよい。この焼付け処理条件は、塩化ビニル樹脂塗膜の成膜条件とほぼ同等であり、塗装条件の大幅な変更を必要としない。また、この条件範囲で未重合(メタ)アクリル系単量体の適量揮散を実現できる。
種々のポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体混合物を用意し、種々の組み合わせについて、両者の溶解性(相溶性)を調べた。また、一部の組み合わせではポリエステル系重合体に替えてアクリル系重合体を使用し、比較した。
〔重合体〕
本発明対象の非結晶性ポリエステル系重合体として東洋紡製バイロンGK680、GK890、550、BX1001、630を、比較対象の非結晶性ポリエステル系重合体として東洋紡製バイロンGK360、GK130、GK640を、同じく比較対象の結晶性ポリエステル系重合体として東洋紡製バイロンGM−440、GA−6300をそれぞれ用意した。また、比較対象のアクリル系重合体として、三菱レイヨン製ダイヤナールBR101を用意した。表1に、これら11種類の重合体の特性を示す。
〔単量体〕
前記化学式1〜3のいずれかに属する(メタ)アクリル系単量体として、
・MPDA:3−メチル−1,5ペンタンジオールジアクリレート
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
を用意した。前記化学式1〜3のいずれにも属しない(メタ)アクリル系単量体として、
・LA:ラウリルアクリレート
・IBXA:イソボルニルアクリレート
・IOA:イソオクチルアクリレート
を用意した。
これらの(メタ)アクリル系単量体を組み合わせて、7種類の(メタ)アクリル系単量体混合物を調製した。表2に、各混合物における単量体の配合比を示す。
Figure 0005110844
Figure 0005110844
〔溶解性試験〕
上記7種類の(メタ)アクリル系単量体混合物から選択された1種類の混合物80gをビーカーにとり、これに上記11種類の重合体から選択された1種類の重合体20gを加え、50℃に加熱して24時間撹拌し、溶解性を調べた。両者が完全に溶解した組み合わせを○、完全には溶解しなかった組み合わせを×と表示した。全ての組み合わせについて結果を表3に示す。
Figure 0005110844
非結晶性ポリエステル系重合体の中でも、Tgが60℃を超えるものや比重が1.23を超えるものは、(メタ)アクリル系単量体との十分な溶解性が得られなかった。また結晶性ポリエステル系重合体は、本来溶剤に対して難溶であり、これらも(メタ)アクリル系単量体との十分な溶解性が得られなかった。
これに対し、Tgが−20〜60以下、比重が1.23以下であるの本発明対象の非結晶性ポリエステル系重合体は、前述の化学式1〜3のいずれかの化合物を適量含む(メタ)アクリル系単量体混合物との間で、良好な溶解性が認められた。
実施例1において重合体と(メタ)アクリル系単量体の溶解性が良好であった組み合わせの中から6通りのものを選択し、以下の手順で塗料1〜6を作成した。表3中にはどれが塗料1〜6および後述の塗料7に使用した組み合わせであるのかを併記してある。
〔塗料1〜6の調製〕
重合体と(メタ)アクリル系単量体との溶解混合物100質量部に対し、イソシアネート架橋剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、K6000)10質量部、熱ラジカル重合開始剤として有機過酸化物(日本油脂株式会社社製、パーオクタO)2.0質量部、酸化チタン顔料40質量部を添加し分散混合することにより、塗料1〜6を調製した。このうち塗料1〜5は本発明例に該当するポリエステル変性熱重合型アクリル塗料であり、塗料6は比較例の熱重合アクリル塗料である。
〔塗料7の調製〕
塗料1にさらに数平均分子量2000のポリエステル系可塑剤(W−2050:大日本インキ化学工業株式会社製、W−2050)5.0質量部を添加して本発明例に該当するポリエステル変性熱重合型アクリル塗料(塗料7)を調製した。
〔塗料8の調製〕
別途、以下の方法で比較例の熱重合アクリル塗料(塗料8)を調製した。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、冷却管を備えた0.2リットルの四ツ口フラスコに、(メタ)アクリル系単量体としてメタクリル酸メチル(MMA)70質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)20質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)10質量部、分子量調整剤としてn−ドデシルメルカプタン(NDM)1.2質量部を入れ、窒素ガス気流中で55℃になるまで昇温した後、加熱を停止した。次いで、重合開始剤として2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬株式会社製、V−70)0.06質量部を混合し、55〜110℃の温度域で温度制御をしながら部分重合させた。
13分間の部分重合で、重合率45%、粘度0.5Pa・s、アクリル重合体分の重量平均分子量2万、アクリル重合体分のガラス転移温度Tg=+37℃、アクリル単量体分の硬化時のガラス転移温度Tg=+37℃のアクリル系混合物が得られた。このアクリル系混合物100質量部に対し、イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル株式会社製、NP1200)15質量部、有機過酸化物(日本油脂株式会社社製、パーオクタO)1.0質量部、数平均分子量2000のポリエステル系可塑剤(大日本インキ化学工業株式会社製、W−2050)15質量部、酸化チタン顔料40質量部を配合させることにより塗料組成物を調製し、これを比較例の塗料8とした。
〔下塗り塗装〕
基材として5%Al−Znめっき鋼板を用意し、Ni置換処理後の塗布型クロメート処理で化成処理皮膜を形成した。化成処理された塗装原板にアクリル変性エポキシ樹脂をロールコートし、220℃×100秒の加熱で乾燥膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。
〔塗膜形成〕
上記の下塗り塗膜の上に、塗料1〜8をそれぞれナイフコートで塗布し、塗料1〜7については150℃×90秒の加熱により、また塗料8については200℃×120秒の加熱により、いずれも乾燥膜厚200μmの塗膜層(上層)を形成した。各塗料の粘度は0.5〜2.5Pa・sの範囲にあり、塗布および焼付けにおいて問題はなかった。
〔塗装鋼板の特性評価〕
得られた各塗装鋼板から試験片を切り出し、鉛筆硬度試験、ベタツキ試験、曲げ試験、表面外観試験に供した。
鉛筆硬度試験では、JIS K5600−5−4に規定されている引っかき硬度(鉛筆法)で塗膜の表面硬度を測定した。鉛筆硬度が4B以下を合格と判定した。
ベタツキ試験では、塗膜表面を指で触り、タックのある塗膜を×(不良)、タックのない塗膜を○(良好)、若干タックが感じられる塗膜を△(やや不良)と評価し、○評価を合格と判定した。
曲げ試験では、JIS K5600−5−1に準拠して直径2mmのマンドレルでT曲げを実施した(2R曲げ)。曲げ加工終了直後、および曲げ加工終了から1日後の時点において、曲げ部外側にある塗膜を観察し、塗膜に割れが認められるものを×(不良)、割れは無いが、深いしわが認められ用途によっては問題となりうるものを△(やや不良)、割れが無く、しわが生じていないか、問題にならない程度に軽微なしわが認められるものを○(良好)と評価し、○評価を合格と判定した。
表面外観は目視により気泡の内在等による表面肌荒れが生じていないものを○(良好)、それ以外を×(不良)と評価し、○評価を合格と判定した。
結果を表4に示す。
フッ素塗装鋼板を基材として、フッ素塗膜の上に前記の塗料1〜8をナイフコートし、実施例2と同様の条件で焼き付けて乾燥膜厚200μmの塗膜(上層)を形成させた。得られた上層の乾燥塗膜を基材のフッ素塗膜表面から剥がし取り、幅10mm、長さ70mm、厚さ200μmの引張試験用塗膜片を得た。この塗膜片について、島津製作所製、オートグラフAGS−100Bを用いて、チャック間距離50mm、クロスヘッドスピード50mm/minで引張試験を行い、塗膜が切断されるまでの伸び率を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0005110844
表4の評価結果にみられるように、熱重合型アクリル塗料から成膜された比較例の塗膜に対し、ポリエステル変性熱重合型アクリル塗料から成膜された本発明例の塗膜は、耐屈曲性および塗膜の伸びに優れ、加工性が大幅に改善されたことがわかる。また、表面硬度、ベタツキ性、塗膜外観についても良好であった。なお、ポリエステル変性熱重合型アクリル塗膜は、樹脂のガラス転移温度Tgが高くなるに応じて塗膜が硬質化して曲げ試験で微細な割れが生じやすくなり、またTgが低くなるに応じて塗膜にべタツキ感が生じる傾向が観測されたが、本発明例のものはいずれも実用への支障をきたさないことが確認された。可塑剤を配合した塗料7は、塗料1と比べ塗膜の伸びが若干向上した。ただし、可塑剤を添加すると、塗膜硬度は低下傾向を示し、ベタツキ性も大きくなる傾向が見られた(いずれも表4の評価では差は現れず、許容範囲)。

Claims (12)

  1. 金属材料の表面に、下記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を重合硬化させた塗膜を有する塗装金属材料。
    (X)重量平均分子量1000〜40000、ガラス転位温度Tgが−20〜60℃、30℃における比重1.23以下の化合物からなる非結晶性ポリエステル系重合体Aと、1種以上の(メタ)アクリル系単量体Bが、A:B=10:90〜90:10の質量割合で配合され、さらに過酸化物系熱ラジカル重合開始剤および架橋剤としてポリイソシアネートが添加された塗料であって、前記(メタ)アクリル系単量体のうち10質量%以上が下記化学式1〜3のいずれかで表される化合物で構成されている、ポリエステル変性熱重合型アクリル塗料。
    〔化学式1〕 H2C=CHCOO−R1−OCOHC=CH2
    ただし、R1は炭素数12以下の炭化水素化合物
    〔化学式2〕 H2C=CHCO−R2−OCOHC=CH2
    ただし、R2は(CH2CH2O)n、2≦n≦4で示されるポリエチレングリコール系化合物
    〔化学式3〕 H2C=CHCOO−R3
    ただし、R3は炭素数12以下の水酸基含有炭化水素系化合物
  2. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、過酸化物系熱ラジカル重合開始剤が、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部配合されているものである請求項1に記載の塗装金属材料。
  3. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、ポリイソシアネートが、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜20質量部配合されているものである請求項1または2に記載の塗装金属材料。
  4. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、さらに顔料が、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜100質量部配合されているものである請求項1〜3のいずれかに記載の塗装金属材料。
  5. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、さらに可塑剤が添加されているものである請求項1〜4のいずれかに記載の塗装金属材料。
  6. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、粘度が0.1〜10Pa・sに調整されているものである請求項1〜5のいずれかに記載の塗装金属材料。
  7. 下記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料を基体表面に塗布し、未重合(メタ)アクリル系単量体の2質量%以上を揮発させながら重合硬化させて造膜する塗膜の製法。
    (X)重量平均分子量1000〜40000、ガラス転位温度Tgが−20〜60℃、30℃における比重1.23以下の化合物からなる非結晶性ポリエステル系重合体Aと、1種以上の(メタ)アクリル系単量体Bが、A:B=10:90〜90:10の質量割合で配合され、さらに過酸化物系熱ラジカル重合開始剤および架橋剤としてポリイソシアネートが添加された塗料であって、前記(メタ)アクリル系単量体のうち10質量%以上が下記化学式1〜3のいずれかで表される化合物で構成されている、ポリエステル変性熱重合型アクリル塗料。
    〔化学式1〕 H2C=CHCOO−R1−OCOHC=CH2
    ただし、R1は炭素数12以下の炭化水素化合物
    〔化学式2〕 H2C=CHCO−R2−OCOHC=CH2
    ただし、R2は(CH2CH2O)n、2≦n≦4で示されるポリエチレングリコール系化合物
    〔化学式3〕 H2C=CHCOO−R3
    ただし、R3は炭素数12以下の水酸基含有炭化水素系化合物
  8. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、過酸化物系熱ラジカル重合開始剤が、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部配合されているものである請求項7に記載の塗膜の製法。
  9. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、ポリイソシアネートが、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜20質量部配合されているものである請求項7または8に記載の塗膜の製法。
  10. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、さらに顔料が、非結晶性ポリエステル系重合体と(メタ)アクリル系単量体の合計100質量部に対し、0.1〜100質量部配合されているものである請求項7〜9のいずれかに記載の塗膜の製法。
  11. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、さらに可塑剤が添加されているものである請求項7〜10のいずれかに記載の塗膜の製法。
  12. 前記Xで示されるポリエステル変性熱重合型アクリル塗料は、粘度が0.1〜10Pa・sに調整されているものである請求項7〜11のいずれかに記載の塗膜の製法。
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