JP2009262002A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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大介 瀬川
Norisato Nasu
礼学 那須
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Abstract

【課題】3コート1ベーク法において中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を防止した上で複層塗膜の外観の優れた複層塗膜形成方法の提供。
【解決手段】電着塗膜の上に水性中塗り塗料、水性ベース塗料、クリヤー塗料を塗装後、同時に焼付け硬化させる方法であって、ベース塗料は1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量300〜3000であり、水トレランス2.0以上であるポリエーテルポリオール、および酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽和モノマーから得られるアクリル樹脂エマルションを含有し、中塗り塗料は、固形分水酸基価が50〜120および固形分酸価が20〜60mgKOH/gであるアクリル樹脂エマルション、アルキル側鎖の炭素数が1〜4である完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、および特定のカルボジイミド化合物を含有し、中塗り塗料の単独塗膜での内部応力が特定範囲にある複層塗膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複層塗膜の形成方法に関し、特に3コート1ベーク法を用いて自動車車体に中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成する方法に関する。
自動車車体の塗装は、基本的には電着塗膜、中塗り塗膜、およびベース塗膜とクリヤー塗膜とからなる上塗り塗膜を被塗物である鋼板の上に順次積層して行われる。従来、これらの塗膜は、それぞれ塗膜の機能に応じて組成が調整された塗料組成物を塗布し、各塗膜毎に焼き付け硬化させて形成されてきた。複数の塗料を塗り重ねる場合、下地となる層を完全に製膜および平滑化しておかないと、隣接する塗膜層が相互に干渉し、下地層の凹凸が上層に反映されて、複層塗膜の外観が悪化するためである。
しかしながら、作業効率を上げ、特に近年要請が強い省エネルギーを実現するために、自動車車体塗装業界においても、複数の塗料を未硬化の状態で塗り重ね、その後、それらを同時に硬化させる複層塗膜形成方法、例えば、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程を包含する3コート1ベーク法などが次第に採用されるようになってきた。
特開2003−105257号公報(特許文献1)には、カルボキシル基含有水性ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを含む下地隠蔽性および平滑性が良好な水性中塗り塗料組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1には、水性中塗り塗料組成物を塗布し、焼き付け硬化させて中塗り塗膜を形成した後、その上に上塗り塗料を塗布した後、加熱硬化することによって複層塗膜を得ることが記載されており、水性中塗り塗料組成物の3コート1ベーク法への適用については全く開示されていない。従って、特許文献1においては、水性中塗り塗料の下地隠蔽性および平滑性については詳細に検討されているが、形成された未硬化の中塗り塗膜上にさらに上塗り塗料を塗布した場合の中塗り塗料と上塗り塗料との混層性については全く検討されていない。
特開2003−251264号公報(特許文献2)には、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程を包含する3コート1ベーク法において、中塗り塗膜の粘度を制御することによって、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を防止し、黄変することなく、優れた外観を有する塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法が開示されている。また、特許文献2では、中塗り塗膜を形成する中塗り塗料として、アクリルエマルション樹脂、メラミン樹脂、分散剤顔料分散ペースト及び増粘剤からなる水性中塗り塗料を使用しており、増粘剤を中塗り塗料に添加して粘度を高めることによって、形成される中塗り塗膜とその上に形成されるベース塗膜との間での混層をさらに防止している。
特開2003−251275号公報(特許文献3)には、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程を包含する3コート1ベーク法において、粘度を高めた水性中塗り塗料を用いることにより優れた外観を有する塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法が開示されている。なお、特許文献3では、中塗り塗膜を形成する中塗り塗料として、アクリルエマルション樹脂、メラミン樹脂、分散剤顔料分散ペースト及び増粘剤からなる水性中塗り塗料を使用しており、増粘剤として好ましくはウレタン会合型増粘剤を使用して塗料の粘度を高めることによって、塗装時におけるタレを抑制し、塗料のチクソ性をも向上させて、優れた外観を有する塗膜を形成している。また、特許文献3において、水性中塗り塗料に増粘剤を添加することによって、形成される中塗り塗膜とその上に形成されるベース塗膜との間での混層を抑制している。
特開2003−251276号公報(特許文献4)には、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程を包含する3コート1ベーク法において、水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜の応力歪特性(−20℃におけるヤング率および伸び率)を制御することによって、耐チッピング性や耐衝撃性に優れ、優れた外観を有する塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法が開示されている。なお、特許文献4では、水性中塗り塗料として、アクリルエマルション樹脂、メラミン樹脂、分散剤顔料分散ペースト及び増粘剤からなる水性中塗り塗料を使用しており、増粘剤を水性中塗り塗料に添加して塗料の粘度を高めることによって、形成される中塗り塗膜とその上に形成されるベース塗膜との間での混層をさらに抑制し、優れた仕上がり外観を有する複層塗膜を形成している。
中塗り塗料の粘度による制御は、混層防止のために重要であるが、粘度以外の他の要因の制御を考える必要がある。
特開2003−105257号公報 特開2003−251264号公報 特開2003−251275号公報 特開2003−251276号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、3コート1ベーク法において、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を防止した上で、中塗り塗膜の内部応力を所定範囲に制御することで、複層塗膜の外観をよりいっそう優れたものにすることを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程を包含する3コート1ベーク法において、中塗り塗膜形成に使用する水性中塗り塗料に特定のアルキル樹脂エマルション、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂およびカルボジイミド化合物を配合することによって、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を有意に防止し、かつ、中塗り塗膜の内部応力を適切に制御できることを見出した。従って、本発明は以下を提供する。
電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗装して中塗り塗膜を形成し、次に前記中塗り塗膜上に水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成し、さらに前記ベース塗膜上にクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成した後、前記中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼付け硬化させて、複層塗膜を形成する方法であって、
前記水性ベース塗料は、
1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量が300〜3000であり、水トレランスが2.0以上であるポリエーテルポリオール、および
エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以上含む、酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるアクリル樹脂エマルション
を含有し、
前記水性中塗り塗料は、
固形分水酸基価が50〜120および固形分酸価が20〜60mgKOH/gであるアクリル樹脂エマルション、
アルキル側鎖の炭素数が1〜4である完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、および
下記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物
を含有し、かつ、
前記水性中塗り塗料の単独塗膜での井上、小畠の方法によって測定した20℃における内部応力が0.9×10〜1.6×10Paであることを特徴とする、複層塗膜形成方法。
Figure 2009262002
(式中、
Xは、それぞれ独立して、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基を表す。
Yは、それぞれ独立して、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を表す。
は、水素または炭素数2以下のアルキル基を表す。
は、それぞれ独立して、炭素数4以下のアルキレン基を表す。
mは、それぞれ独立して、11以上の数を表す。
nは、0または1を表す。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は6〜40である。)
前記水性中塗り塗料に含まれる前記アクリル樹脂エマルションと前記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂との固形分質量比が7/3〜9/1である、上記の複層塗膜形成方法。
前記水性中塗り塗料を塗装して中塗り塗膜を形成した後、前記中塗り塗膜上に前記水性ベース塗料を塗装する前に、60〜100℃および2〜20分間の条件にて予備乾燥を行うことにより、前記中塗り塗膜の塗膜固形分率を70〜98質量%とする、上記の複層塗膜形成方法。
本発明によって、3コート1ベーク法において、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を有意に防止し、優れた塗膜外観を有する複層塗膜を提供することができる。また、3コート1ベーク法を使用することによって、塗装工程短縮、コスト削減および環境負荷低減が可能となった。
本発明を以下に詳細に説明するが、まず、本発明で使用する水性中塗り塗料、水性ベース塗料およびクリヤー塗料をそれぞれ説明し、その後、複層塗膜の形成方法を詳細に説明する。
水性中塗り塗料
本発明の方法で用いる水性中塗り塗料は、水性媒体中に分散または溶解された状態で、アクリル樹脂エマルション、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂およびカルボジイミド化合物を含有する。この水性中塗り塗料には更に顔料、及び粘性剤やフィラー等のような自動車車体用水性中塗り塗料に通常含まれる添加剤を含有させてよい。
アクリル樹脂エマルション
本発明において使用するアクリル樹脂エマルションは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)、及び水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)を含むモノマー混合物を乳化重合して得ることができる。尚、モノマー混合物の成分として以下に例示される化合物は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用してよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)は、アクリル樹脂エマルションの主骨格を構成するために使用する。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)は、得られるアクリル樹脂エマルションの保存安定性、機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性を向上させ、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応を促進するために使用する。酸基は、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基等から選ばれることが好ましい。特に好ましい酸基は上記諸安定性向上や硬化反応促進機能の観点から、カルボキシル基である。
上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸等が挙げられる。スルホン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−アクリルアミドプロパンスルホン酸、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートのリン酸モノエステル、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのリン酸モノエステル等のライトエステルPM(共栄社化学製)等が挙げられる。
上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)は、水酸基に基づく親水性をアクリル樹脂エマルションに付与し、これを塗料として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性を増すと共に、メラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応性を付与するために使用する。
上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等が挙げられる。
上記ε−カプロラクトン変性アクリルモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業(株)製の「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」及び「プラクセルFM−5」等が挙げられる。
モノマー混合物は、その他の成分として、スチレン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含んでよい。スチレン系モノマーとしては、スチレンのほかにα−メチルスチレン等が挙げられる。
また、モノマー混合物は、カルボニル基含有エチレン性不飽和モノマー、加水分解重合性シリル基含有モノマー、種々の多官能ビニルモノマー等の架橋性モノマーを含んでよい。その場合、得られるアクリル樹脂エマルションは自己架橋性となる。
乳化重合は、上記モノマー混合物を水性液中で、ラジカル重合開始剤及び乳化剤の存在下で、攪拌下加熱することによって実施することができる。反応温度は例えば30〜100℃程度として、反応時間は例えば1〜10時間程度が好ましく、水と乳化剤を仕込んだ反応容器にモノマー混合物又はモノマープレ乳化液の一括添加又は暫時滴下によって反応温度の調節を行うとよい。
上記ラジカル重合開始剤としては、通常アクリル樹脂の乳化重合で使用される公知の開始剤が使用できる。具体的には、水溶性のフリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩が水溶液の形で使用される。また、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤が水溶液の形で使用される。
上記乳化剤としては、炭素数が6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩部分エステルなどの親水性部分とを同一分子中に有するミセル化合物から選ばれるアニオン系又は非イオン系の乳化剤が用いられる。このうちアニオン乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルなどが挙げられる。またこれら一般汎用のアニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル系、メタクリル系、プロペニル系、アリル系、アリルエーテル系、マレイン酸系などの基を有する各種アニオン系、ノニオン系反応性乳化剤なども適宜、単独又は2種以上の組み合わせで使用される。
また乳化重合の際、メルカプタン系化合物や低級アルコールなどの分子量調節のための助剤(連鎖移動剤)の併用は、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進し基材への接着性を向上させる観点から、好ましい場合も多く、適宜状況に応じて行われる。
また乳化重合としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法、多段モノマーフィード法であるコア・シェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法など、いずれの重合法もとることができる。
このようにして本発明で用いられるアクリル樹脂エマルションが調製される。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に5万〜100万程度であり、例えば10万〜80万程度である。
上記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は−50℃〜20℃、好ましくは−40℃〜10℃、さらに好ましくは−30℃〜0℃の範囲とする。この範囲の樹脂のTgとすることにより、アクリル樹脂エマルションを含む水性中塗り塗料をウェットオンウェット方式において用いた場合に、下塗り塗料及び上塗り塗料との親和性や密着性が良好となり、ウェット状態の上側塗膜との界面でのなじみが良く反転が起こらない。また、最終的に得られる塗膜の適度な柔軟性が得られ、耐チッピング性が高められる。これらの結果、非常に高外観を有する複層塗膜が形成できる。樹脂のTgが−50℃未満では塗膜の機械的強度が不足し、耐チッピング性が弱い。一方、樹脂のTgが20℃を超えると、塗膜が硬くて脆くなるため、耐衝撃性に欠け、耐チッピング性が弱くなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂のTgが上記範囲となるように選択する。
上記アクリル樹脂エマルション中のアルリル樹脂の固形分酸価は20〜60mgKOH/g、好ましくは25〜60mgKOH/g、より好ましくは25〜35mgKOH/gの範囲とする。この範囲の固形分酸価とすることにより、樹脂エマルションやそれを用いた水性中塗り塗料の保存安定性、塗料を塗装設備内で循環させた際のサーキュレーション安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性が向上し、また、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応が十分起こり、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が向上する。固形分酸価が20mgKOH/g未満では、上記諸安定性が劣り、また、メラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応が十分行われず、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が劣る。一方、固形分酸価が60mgKOH/gを超えると、樹脂の重合安定性が悪くなったり、上記諸安定性が逆に悪くなったり、得られた塗膜の耐水性が劣るものとなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、固形分酸価が上記範囲となるように選択する。前述したように、酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)の内でもカルボキシル基含有モノマーを用いることが重要であり、モノマー(b)の内、カルボキシル基含有モノマーが好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含まれる。
上記アクリル樹脂エマルション中の上記アクリル樹脂の固形分水酸基価は50〜120、好ましくは50〜100の範囲とする。この範囲の水酸基価とすることにより、樹脂が適度な親水性を有し、樹脂エマルションを含む塗料組成物として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性が増すと共に、メラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応性も十分である。固形分水酸基価が50未満では、前記硬化剤との硬化反応が不十分で、塗膜の機械的性質が弱く、耐チッピング性に欠け、耐水性及び耐溶剤性にも劣る。一方、固形分水酸基価が120を超えると、逆に得られた塗膜の耐水性が低下したり、前記硬化剤との相溶性が悪く、塗膜にひずみが生じ硬化反応が不均一に起こり、その結果、塗膜の諸強度、特に耐チッピング性、耐溶剤性及び耐水性が劣る。前記各モノマー成分の種類や配合量を、水酸基価が上記範囲となるように選択する。
得られたアクリル樹脂エマルションに対し、カルボン酸の一部又は全量を中和してアクリル樹脂エマルションの安定性を保つため、塩基性化合物が添加される。これら塩基性化合物としては、通常アンモニア、各種アミン類、アルカリ金属などが用いられ、本発明においても適宜使用される。
完全アルキルエーテル化メラミン樹脂
完全アルキルエーテル化メラミン樹脂は、メラミン樹脂の有する官能基全てがアルキルエーテル化されているものである。完全アルキルエーテル化メラミン樹脂としては、エマルションとして含まれるアクリル樹脂と硬化反応を生じ、水性中塗り塗料中に配合することができる完全アルキルエーテル化メラミン樹脂であれば特に限定されないが、アルキル側鎖の炭素数が1〜4である完全アルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、具体的には、メラミンのイミノ基(−NH)をホルムアルデヒドで全てメチロール化した後(−N(CHOH))、炭素数が1〜4のアルコール:ROH(式中、RはC1−4アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル))でメチロールを完全にアルキルエーテル化した後(−N(CHOR))に必要に応じて縮合させることによって製造したものが挙げられる。完全アルキルエーテル化メラミン化樹脂としては、市販品を使用してもよく、例えば、サイメル300、303、306および350(商品名)(いずれも三井サイテック社製の完全メチルエーテル化メラミン樹脂)、サイメル235、267および285(商品名)(いずれも三井サイテック社製の完全メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂)、マイコート506(商品名)(三井サイテック社製の完全ブチルエーテル化メラミン樹脂)などが挙げられる。本発明において、2種以上の完全アルキルエーテル化メラミン樹脂を組み合わせて使用してもよい。
上記の完全アルキルエーテル化メラミン樹脂を水性中塗り塗料に配合することによって、硬化反応による塗膜収縮を制御することができ、優れた塗膜外観を得ることができる。このような効果は、メラミン樹脂が完全にアルキルエーテル化されているためにイミノ基を含まず、中塗り塗膜の硬化速度を適度に遅らせることができ、その結果、中塗り塗膜の内部応力および収縮を有意に制御することが可能となったために得られる。
アクリル樹脂エマルションと完全アルキルエーテル化メラミン樹脂との割合(アクリル樹脂エマルション/完全アルキルエーテル化メラミン樹脂)は、固形分質量比7/3〜9/1であることが好ましい。上記割合がこの範囲内であると、複層塗膜の諸性能を向上できる。
カルボジイミド化合物
カルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成して得られたものを挙げることができる。より具体的には、ポリカルボジイミド化合物の製造において、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物と、分子末端に水酸基を有するポリオールとを、上記ポリカルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させる工程と、上記工程で得られた反応生成物に、活性水素及び親水性部分を有する親水化剤を反応させる工程とにより得られた親水化変性カルボジイミド化合物が好ましいものとして挙げることができる。
1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するカルボジイミド化合物としては、特に限定されないが、反応性の観点から、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物であることが好ましい。両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の製造方法は当業者によってよく知られており、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応を利用することができる。
また、本発明で使用するカルボジイミド化合物としては、下記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物が特に好ましい。
Figure 2009262002
(式中、
Xは、それぞれ独立して、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基を表す。
Yは、それぞれ独立して、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を表す。
は、水素または炭素数2以下のアルキル基を表す。
は、それぞれ独立して、炭素数4以下のアルキレン基を表す。
mは、それぞれ独立して、11以上の数を表す。
nは、0または1を表す。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は6〜40である。)
カルボジイミド化合物が上に示す構造を有することによって、水性中塗り塗料の硬化剤として好適に使用することができることとなる。
上記アクリル樹脂エマルションと上記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂との固形分質量比(アクリル樹脂エマルション/完全アルキルエーテル化メラミン樹脂)は、7/3〜9/1である。7/3より上記メラミン樹脂が多いと、複層塗膜の外観が低下し、9/1より上記メラミン樹脂が少ないと硬化性が落ちて耐水性などが悪化する。
このとき、Rは、水素または炭素数2以下のアルキル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基が挙げられる。Rは、それぞれ独立して、炭素数4以下のアルキレン基を表わす。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。また、nは、0又は1を表わす。また、一般式(1)においては、OR基の個数はmで決定される。OR基が鎖中に存在することで鎖長が伸びて自由度が増すことにより、反応性の向上が期待できる。好ましいmの値は、それぞれ独立して、11以上である。また、水への分散が可能である限り、mは11以上の任意の値を取り得るが、好ましくは、mは60以下であるとよい。
OR基の炭素数が1又は2である場合、mが11を下回ると、水への分散が困難になる。一方、mが60を上回ると、親水性が高くなり、貯蔵安定性が低下するおそれがある。OR基の炭素数が3又は4である場合、mが11を下回ると、親水性が高くなり、貯蔵安定性が低下する。一方、mが60を上回る場合、水への分散が困難になるおそれがある。
なお、一般式(1)におけるmの値は、それぞれ鎖中のOR基の個数の平均値を意味するものである。
Yは、それぞれ独立して、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を表し、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は6〜40、好ましくは30〜9であり、オキシアルキレン基としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などが挙げられ、これらを2種以上含んでいてもよい。また、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノアルキルエーテル部分の炭素数は4〜20、好ましくは4〜12、より好ましくは8〜12である。
Yが有するオキシアルキレン基の炭素数が1又は2の場合、オキシアルキレン基の繰り返し数が40を上回ると、親水性が高くなり、貯蔵安定性が低下する。一方、オキシアルキレン基の繰り返し数が6を下回ると、水への分散が困難となる。Yが有するオキシアルキレン基の炭素数が3又は4の場合、オキシアルキレン基の繰り返し数が40を上回ると、水への分散が困難となる。一方、オキシアルキレン基の繰り返し数が6を下回ると、親水性が高くなり、貯蔵安定性が低下する。
また、一般式におけるXは、それぞれ独立して、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基である。本発明のカルボジイミド化合物は、このXを1分子中に3個有していることが望ましい。このような3鎖型の構造を有していることで、低温での硬化が可能となる。Xは、カルボジイミド基とジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた炭化水素基とが交互に存在し、その両末端は炭化水素基であることが好ましい。また、Xは、下記一般式(2)で表わすことができる。
Figure 2009262002
・・・(2)
一般式(2)において、Rは、それぞれ独立して、炭素数6〜15の2価の炭化水素基であることが好ましい。具体的なものとして、フェニレン基、ジフェニレンメチル基、ジフェニレン(ジメチル)メチル基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、テトラメチルキシリレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ジシクロヘキシレンメチル基等を挙げることができる。好ましいものは、ジシクロヘキシレンメチル基である。一方、一般式(2)におけるpは、1〜10である。pが大きくなれば、鎖中に存在するカルボジイミド基の個数が増加するので硬化性の向上が期待できるため、pは2以上であることが好ましいが、その上限値は8以下であることがさらに好ましい。
好ましくは、本発明に係るカルボジイミド化合物は、親水部と疎水部との割合(HLB)が2.0〜6.3であることが好ましい。HLB値は、質量分率に基づくグリフィン式(以下に示す数式(1))により求められる。
HLB=20×(MH/M)・・・(1)
数式(1)において、MHは親水部の分子量、Mはカルボジイミド化合物全体の分子量を示す。なお、Yが親水部に相当する場合、すなわち、Yが有するオキシアルキレン基の炭素数が1又は2である場合、Yについては、オキシアルキレン基のみの分子量を用いてHLBを算出する。
好ましくは、OR基、及びYが有するオキシアルキレン基のうち、一方の炭素数が1又は2であり、他方の炭素数が3又は4であるとよい。より好ましくは、OR基の炭素数が3又は4であり、Yが有するオキシアルキレン基の炭素数が1又は2であるとよい。さらに好ましくは、OR基の炭素数が3であり、Yが有するオキシアルキレン基の炭素数が2であるとよい。これにより、カルボジイミド化合物の水への分散性を向上させることができる。
このように、親水部と疎水部との割合(HLB)を適切に調整することにより、上記カルボジイミド化合物を水性中塗り塗料に適用した場合に、優れた耐水性を発揮すると共に、良好な貯蔵安定性を得ることができる。
本発明に係るカルボジイミド化合物は、例えば、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意する工程(A)、ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させる工程(B)及びジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応物と3官能ポリオールとを反応させる工程(C)からなる製造方法によって得ることができる。
工程(A)は、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意するものである。この分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物の縮合反応によって得ることができる他、日清紡績社からカルボジライトシリーズとして販売されている。カルボジライトシリーズの中で好ましいものは、V−01である。
ジイソシアネート化合物の縮合反応により、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を得る場合、用いるジイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート及びこれらの混合物等を挙げることができる。ジイソシアネート化合物は、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであることがより好ましい。
縮合反応は、カルボジイミド化触媒を用いて行うことができる。カルボジイミド化触媒としては特に限定されず、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を挙げることができる。カルボジイミド化触媒としては、反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドがより好ましい。
工程(B)は、先の工程(A)で得られた分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させるものである。反応で得られる化合物は、さらに次の工程(C)で3官能ポリオールと反応させる必要があるため、イソシアネート基が残存している必要がある。このため、反応においては、イソシアネート基の当量が水酸基の当量を上回っている必要があり、好ましくは、イソシアネート基と水酸基との当量比が2/1になる量であることが好ましい。反応は通常、当業者によく知られた条件で行うことができ、必要に応じてスズ系の触媒を使用することができる。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、繰り返し単位が6〜40のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリブチレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができる。
工程(C)は、工程(B)で得られた反応物と3官能ポリオールとを反応させるものである。3官能ポリオールは、反応物のイソシアネート当量以上の水酸基当量になる量を通常用いる。イソシアネート当量と水酸基当量とが等しいことが好ましい。なお、反応物のイソシアネート当量は、直接測定する以外に、先の工程におけるジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの配合比から計算によって求めることも可能である。反応は先の工程(B)と同様に行うことができる。このようにして、本発明に係るカルボジイミド化合物を得ることができる。
3官能ポリオールは、例えば、トリメチロールプロパンやグリセリン等のアルキレンオキサイド付加物であることが、入手が容易な点から好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。グリセリンのアルキレンオキサイド付加物は三洋化成社からGPシリーズとして市販されている。GPシリーズは、例えば、GP−250やGP−3000がある。
本発明において、上記のカルボジイミド化合物を含む水性中塗り塗料を用いて中塗り塗膜を形成し、未硬化のまま、その上に水性ベース塗料を塗布してベース塗膜を形成する場合、中塗り塗膜のベース塗膜に対するなじみ性が改善され、その結果、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を防止することができる。また、本発明で使用する水性中塗り塗料において、上記カルボジイミド化合物および上記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂の構造、ならびに、カルボジイミド化合物を上記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂と組み合わせて使用することによって、中塗り塗膜の内部応力および収縮を適度に制御することができ、その上に形成されるベース塗膜との混層をさらに防止することができる。また、中塗り塗膜の内部応力を制御することによって、優れた外観を有する複層塗膜を得ることができる。さらに、カルボジイミド化合物を上記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂と組み合わせて使用することによって、得られる複層塗膜の平滑性が向上し、優れた艶感を得ることができる。このような効果を得るためには、上記カルボジイミド化合物と上記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂との固形分質量比(カルボジイミド化合物/完全アルキルエーテル化メラミン樹脂)を1/6〜1/2の範囲に設定ことが望ましい。
その他の樹脂
本発明で用いる水性中塗り塗料は、さらに以下の成分を含むことができる。例えば、追加の樹脂成分、顔料分散ペースト、粘性剤、その他の添加剤成分等である。
上記追加の樹脂成分としては特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂及びエポキシ樹脂等を挙げることができる。
顔料分散ペースト
顔料分散ペーストは、顔料と顔料分散剤とを少量の水性媒体に予め分散して得られる。顔料分散剤の固形分中には、揮発性の塩基性物質が全く含まれていないか、又は3質量%以下の割合で含まれている。本発明で用いる水性中塗り塗料においては、このような顔料分散剤を用いることによって、水性中塗り塗料から形成される塗膜中の揮発性塩基性物質の量が少なくなり、得られる複層塗膜の黄変を抑えることができる。従って、顔料分散剤の固形分中に揮発性の塩基性物質が3質量%を超えて含まれていると、得られる複層塗膜が黄変し、仕上がり外観が悪くなる傾向にあるため好ましくない。
揮発性の塩基性物質とは、沸点が300℃以下の塩基性物質を意味するものであり、無機及び有機の窒素含有塩基性物質を挙げることができる。無機の塩基性物質としては、例えば、アンモニア等が挙げられる。有機の塩基性物質としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルドデシルアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基含有1〜3級アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状ヒドロキシアルキル基含有1〜3級アミン;ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基及び炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基を含有する1〜3級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数1〜20の置換又は非置換鎖状ポリアミン;モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状モノアミン;ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状ポリアミン等のアミン類を挙げることができる。
本発明で用いる水性中塗り塗料には、上記顔料分散剤以外の成分にも、揮発性の塩基性物質が含まれる場合がある。従って、上記顔料分散剤に含まれる揮発性の塩基性物質量は、より少なく抑える程、より好ましい。すなわち、揮発性の塩基性物質を実質的に含まない顔料分散剤を用いて分散することが好ましい。また、従来一般的に使用されているアミン中和型の顔料分散樹脂を使用しないことが更に好ましい。そして、複層塗膜形成時に、単位面積1mmあたりの揮発性の塩基性物質が7×10−6mmol以下になるように顔料分散剤を用いることが好ましい。
顔料分散剤は、顔料親和部分及び親水性部分を含む構造を有する樹脂である。顔料親和部分及び親水性部分としては、例えば、ノニオン性、カチオン性及びアニオン性の官能基を挙げることができる。顔料分散剤は、1分子中に上記官能基を2種類以上有していてもよい。
ノニオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基等が挙げられる。また、アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。このような顔料分散剤は、当業者にとってよく知られた方法によって製造することができる。
顔料分散剤としては、その固形分中に揮発性の塩基性物質を含まないか、又は3質量%以下の含有量であるものであれば特に限定されないが、少量の顔料分散剤によって効率的に顔料を分散することができるものが好ましい。例えば、市販されているもの(以下いずれも商品名)を使用することもでき、具体的には、ビックケミー社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるDisperbyk 190、Disperbyk 181、Disperbyk 182(高分子共重合物)、Disperbyk 184(高分子共重合物)、EFKA社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるEFKAPOLYMER4550、アビシア社製のノニオン系分散剤であるソルスパース27000、アニオン系分散剤であるソルスパース41000、ソルスパース53095等を挙げることができる。
顔料分散剤の数平均分子量は、下限1000、上限10万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではない場合があり、10万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、下限2000、上限5万であり、更に好ましくは、下限4000、上限5万である。
前記顔料分散ペーストは、顔料分散剤と顔料とを公知の方法に従って混合分散することにより得られる。顔料分散ペースト製造時の顔料分散剤の割合は、顔料分散ペーストの固形分に対して、下限1質量%、上限20質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、顔料を安定に分散しにくく、20質量%を超えると、塗膜の物性に劣る場合がある。好ましくは、下限5質量%、上限15質量%である。
顔料としては、通常の水性塗料に使用される顔料であれば特に限定されないが、耐候性を向上させ、かつ隠蔽性を確保する点から、着色顔料であることが好ましい。特に二酸化チタンは着色隠蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好ましい。
二酸化チタン以外の顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック等の無機着色顔料等が挙げられる。これら顔料に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の体質顔料を併用しても良い。
また顔料として、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料とした標準的なグレーの塗料を用いることもできる。他にも、上塗り塗料と明度又は色相等を合わせた塗料や各種の着色顔料を組み合わせた塗料を用いることもできる。
顔料は、水性中塗り塗料中に含まれる全ての樹脂の固形分及び顔料の合計質量に対する顔料の質量の比(PWC;pigment weight content)が、10〜60質量%であることが好ましい。10質量%未満では、隠蔽性が低下するおそれがある。60質量%を超えると、硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。
顔料分散剤の含有量は、顔料の質量に対して、下限0.5質量%、上限10質量%であることが好ましい。0.5質量%未満であると、顔料分散剤の配合量が少ないために顔料の分散安定性に劣る場合がある。10質量%を超えると、塗膜物性に劣る場合がある。好ましくは、下限1質量%、上限5質量%である。
会合型粘性剤
本発明で使用する水性中塗り塗料はさらに粘性剤を含んでいてもよい。粘性剤としては特に限定されないが、例えば、セルロース系のもの、アルカリ増粘型のもの、および会合型のものを挙げることができる。上記会合型のものとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、市販されているもの(以下いずれも商品名)としては、アデカノールUH−420、アデカノールUH−462、アデカノールUH−472、UH−540、アデカノールUH−814N(旭電化工業社製)、プライマルRH−1020(ローム&ハース社製)、クラレポバール(クラレ社製)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘性剤を含有することにより、水性中塗り塗料の粘度を高くすることができ、水性中塗り塗料を塗装する際に、タレが発生することを抑制することができる。また、中塗り塗膜とベース塗膜との間での混層をより抑制することができる。その結果、粘性剤を含まない場合に比べて、塗装時の塗装作業性が向上し、得られる塗膜の仕上がり外観を優れたものとすることができる。
粘性剤の含有量は、上記水性中塗り塗料の樹脂固形分(水性中塗り塗料に含まれる全ての樹脂の固形分)100質量部に対して、下限0.01質量部、上限20質量部であることが好ましく、下限0.1質量部、上限10質量部であることがより好ましい。0.01質量部未満であると、増粘効果が得られず、塗装時のタレが発生するおそれがあり、20質量部を超えると、外観及び得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
その他の添加剤としては、上記成分の他に通常添加される添加剤、例えば、フィラー;紫外線吸収剤;酸化防止剤;消泡剤;表面調整剤;ピンホール防止剤等が挙げられる。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
本発明で使用する水性中塗り塗料は、上述のアクリル樹脂エマルション、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂およびカルボジイミド化合物等を混合して調製される。
追加の樹脂成分、顔料分散ペーストやその他の添加剤は、適量混合すれば良い。但し、追加の樹脂成分は、水性中塗り塗料用組成物中に含まれる全ての樹脂の固形分を基準として、50質量%以下の割合で配合することが好ましい。50質量%を越えて配合した場合は、塗料中の固形分濃度を高くすることが困難になるため、好ましくない。
これら成分を加える順番は、エマルションに硬化剤を加える前でもよいし、後でも良い。水性中塗り塗料は、水性であれば形態は特に限定されず、例えば、水溶性、水分散型、水性エマルション等の形態であればよい。
内部応力
本発明において、上記の水性中塗り塗料から形成され得る単独塗膜の「井上、小畠の方法」(佐藤弘三;高分子加工、42(11)、557(1993))によって測定した20℃における内部応力は、0.9×10〜1.6×10Pa、好ましくは1.0×10〜1.5×10Paである。内部応力が、0.9×10Paより小さいと中塗り塗膜の膜強度が弱く、凝集破壊が起こり易くなる。また、内部応力が1.6×10Paより大きくなると、内部応力による塗膜収縮が起こり、外観が低下する。
井上、小畠の方法による20℃における中塗り塗膜の内部応力(S)は、図1に模式的に示すバイメタル法に従って、中塗り塗膜およびアルミニウム板の歪み量を測定することによって計算から求めることができる(佐藤弘三;高分子加工、42(11)、557(1993))。内部応力は、具体的には、水性中塗り塗料を100μm厚の短冊状アルミニウム板に塗膜の厚みがhとなるように塗布し、この塗装アルミニウム板を図1において△印で示した間隔70mmで配置したナイフエッジの上に設置した後、20℃から140℃まで60分かけて昇温し、さらに140℃で15分間保持して塗膜を硬化させた後、40分かけて−20℃まで冷却し、その時の20℃におけるアルミニウム板のたわみ量(δ)を測定し、各測定値から以下の式に従って計算することができる。
S=1/6h(h+h)×E /(1−ν )×1/ρ
式中、
S:内部応力
:塗膜の厚み
:アルミニウム板の厚み
:アルミニウム板の弾性率
ν:アルミニウム板のポアソン比
ρ:曲率半径[ρ=L/8δ(式中、L:ナイフエッジ間の距離(70mm)、δ:たわみ量)]
水性ベース塗料
本発明の複層塗膜形成方法において用いられる水性ベース塗料は、
1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量が300〜3000であり、水トレランスが2.0以上であるポリエーテルポリオール、および
エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以上含む、酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるアクリル樹脂エマルション
を含有することを特徴とする。
上記水性ベース塗料は、更に、硬化剤、その他の塗膜形成性樹脂、顔料(光輝性顔料、着色顔料など)等を必要に応じて含有することができる。
上記水性ベース塗料に含有されるポリエーテルポリオールは、1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量300〜3000であり、水トレランスが2.0以上である。このポリエーテルポリオールを含有することにより、塗膜のフリップフロップ性、耐水性、耐チッピング性を向上することができる。
上記ポリエーテルポリオール1分子中における一級水酸基が平均0.02個未満だと、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下する。また、1分子中に一級水酸基を0.04個以上有することが好ましい。特に、1分子中に一級水酸基を1つ以上有することが更に好ましい。この一級水酸基の他、二級および三級水酸基を含めた水酸基の個数は、1分子中に少なくとも3個以上であることが塗膜の耐水性、耐チッピング性の観点から好ましい。また、固形分水酸基価の観点から見た場合には、固形分水酸基価が30〜700であることが好ましい。固形分水酸基価が下限を下回ると硬化性が低下し、塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下する。上限を越えると塗料安定性、塗膜の耐水性が低下する。固形分水酸基価は特に好ましくは50〜500である。
また、上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量が300未満だと塗膜の耐水性が低下し、3000を越えると塗膜の硬化性、耐チッピング性が低下する。好ましくは400〜2000である。尚、本明細書では、分子量はスチレンポリマーを標準とするGPC法により決定される。
一方、上記ポリエーテルポリオールの水トレランスが2.0を下回ると、水分散性が低下し、塗膜外観が悪くなる。特に、3.0以上であることが好ましい。
ここで用いる水トレランスとは、親水性の度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。本明細書における水トレランス値の測定方法は、25℃の条件下で、100mlビーカー内に上記ポリエーテルポリオール0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、この混合物にビュレットを用い、脱イオン水を徐々に加え、この混合物が白濁を生じるまでに要する脱イオン水の量(ml)を測定する。この脱イオン水の量(ml)を水トレランス値とする。
この方法では、例えば、ポリエーテルポリオールが疎水性である場合、最初はポリエーテルポリオールとアセトンとが良相溶状態であったものが、少量の脱イオン水の添加により、不相溶状態となり、測定系に白濁を生じる。逆に、ポリエーテルポリオールが親水性である場合、ポリエーテルポリオールの親水性が高いものほど白濁を生じるまでに多くの脱イオン水を要する。従って、この方法によりポリエーテルポリオールの親水性/疎水性の度合を測定することができる。
上記ポリエーテルポリオールは、塗料樹脂固形分中で、1〜40質量%含有されることが好ましく、3〜30質量%が更に好ましい。上限を越えると塗膜の耐水性、耐チッピング性が低下し、下限を下回ると塗膜の外観が低下する。
上記ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸類などの活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドが付加した化合物が挙げられる。活性水素原子含有化合物としては、例えば、水、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキシレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール、蔗糖等の8価アルコール、ポリグリセリン等);多価フェノール類[多価フェノール(ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシン等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン等)];ポリカルボン酸[脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸等)、芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等)]等;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に一分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを形成するのに用いられる3価以上のアルコールとして好ましいものは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール等である。
上記ポリエーテルポリオールは、通常アルカリ触媒の存在下、前記活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを、常法により常圧又は加圧下、60〜160℃の温度で付加反応を行うことにより得られる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用することができる。2種以上を併用する場合の付加形式はブロックもしくはランダムのいずれでもよい。
尚、上記ポリエーテルポリオールは、市販されているものを使用することができ、例えば、プライムポールPX−1000、サンニックスSP−750、PP−400(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−650(三菱化学社製)等を挙げることができる。
本発明の複層塗膜形成方法に用いられる水性ベース塗料に含有されるもう一つの必須成分である上記アクリル樹脂エマルションは、エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以上含む、酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物に含まれる、エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルの量が65質量%未満であると、水性ベース塗膜とクリヤー塗膜との間での混層を起こしやすく、得られる塗膜の外観が低下する。上記エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが挙げられる。尚、本明細書において(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの両方を意味するものとする。
また、このα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は酸価が3〜50mgKOH/gであり、好ましくは7〜40mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/g未満では、作業性を向上させることができず、50mgKOH/gを上回ると、塗膜の耐水性が低下する。一方、上記水性ベース塗料が硬化性を有する必要がある場合には、このα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は水酸基価が10〜150であり、好ましくは20〜100である。10未満では、充分な硬化性が得られず、150を上回ると、塗膜の耐水性が低下する。また、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を重合して得られるエマルション樹脂のガラス転移温度は、−20〜80℃の間であることが、塗膜物性の点から好ましい。なお、上記酸価、水酸基価およびガラス転移温度は、上記モノマー混合物に含まれるモノマー組成および配合から算出して決定することができる。
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物は、酸基または水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーをその中に含むことにより、上記酸価および水酸基価を有することができる。
また、上記酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル))、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体である。
一方、水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物である。
更に、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物はさらにその他のα,β−エチレン性不飽和モノマーを含んでいてもよい。上記その他のα,β−エチレン性不飽和モノマーとしては、エステル部の炭素数3以上の(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4’−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)を挙げることができる。これらは目的により選択することができるが、親水性を容易に付与する場合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。
尚、これらのエステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステル以外の上記α,β−エチレン性不飽和モノマーは、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物中の含有量が35質量%未満に設定されなければならない。
上記水性ベース塗料に含まれるアクリル樹脂エマルションは、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるものである。ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水、または必要に応じてアルコールなどのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物および重合開始剤を滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を同様に滴下してもよい。
好適に用いうる重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、および水性化合物(例えば、アニオン系の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)およびカチオン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−ブチルパーベンゾエートなど)、および水性過酸化物(例えば、過硫酸カリおよび過酸化アンモニウムなど)が挙げられる。
乳化剤には、当業者に通常使用されているものを用いうるが、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)およびアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)などが特に好ましい。
また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチルスチレンダイマーなどのような連鎖移動剤を必要に応じて用いうる。
反応温度は開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の総量に対する開始剤の量は、一般に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。
上記乳化重合は二段階で行うことができる。すなわち、まず上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物のうちの一部(α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1)を乳化重合し、ここに上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の残り(α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2)をさらに加えて乳化重合を行うものである。
高外観な複層塗膜を形成する為に、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1はアミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していることが好ましい。またこの時、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物2は、アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和モノマーを含有していないことがさらに好ましい。尚、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1および2を一緒にしたものが、上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物であるため、先に示した上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の要件は、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物1および2を一緒にしたものが満たすことになる。
このようにして得られる上記エマルション樹脂の粒子径は0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。粒子径が0.01μm未満であると作業性の改善の効果が小さく、1.0μmを上回ると得られる塗膜の外観が悪化する恐れがある。この粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
上記エマルション樹脂は、必要に応じて塩基で中和することにより、pH5〜10で用いることができる。これは、このpH領域における安定性が高いからである。この中和は、乳化重合の前または後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法に用いる水性ベース塗料には、硬化剤を含むことができる。硬化剤としては、塗料一般に用いられているものを使用することができ、このようなものとしては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオン等が挙げられる。得られた塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネートが一般的に用いられる。
上記硬化剤としてのアミノ樹脂は、特に限定されるものではなく、水溶性メラミン樹脂あるいは非水溶性メラミン樹脂を用いることができる。更に、メラミン樹脂のなかでも水トレランスが3.0以上のものを用いることが、水性ベース塗料の安定性上好ましい。尚、上記水トレランスは、先のポリエーテルポリオールと同様にして測定することができる。
また、上記ブロックイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであって、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能基と反応し硬化するものが挙げられる。
これらの硬化剤が含まれる場合、その含有量は水性ベース塗料中の樹脂固形分100質量部に対し、20〜100質量部であることが好ましい。上記範囲外では、硬化性が不足する。
本発明の複層塗膜形成方法に用いる水性ベース塗料には、必要によりその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。このようなものとしては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂が利用できる。
また、上記その他の塗膜形成性樹脂は、数平均分子量3000〜50000、好ましくは6000〜30000である。3000より小さいと塗装作業性及び硬化性が十分でなく、50000を越えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって塗装作業性が悪くなる。
上記その他の塗膜形成性樹脂は10〜100mgKOH/g、更に20〜80mgKOH/gの固形分酸価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると樹脂の水分散性が低下する。また、20〜180、更に30〜160の固形分水酸基価を有することが好ましく、上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。
なお、上記塗膜形成性樹脂としては、得られる塗膜のフリップフロップ性および耐チッピング性の観点から、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂であることが好ましい。
上記水性ベース塗料における樹脂成分の内、上記エマルション樹脂とその他の塗膜形成性樹脂との配合割合は、その樹脂固形分総量を基準にして、エマルション樹脂が5〜95質量%、更に好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは20〜70質量%であり、その他の塗膜形成性樹脂が95〜5質量%、更に好ましくは90〜15質量%、特に好ましくは80〜30質量%である。エマルション樹脂の割合が5質量%を下回るとタレの抑制及び塗膜外観が低下し、95質量%より多いと塗膜外観が悪くなる恐れがある。
本発明で用いられる水性ベース塗料に含まれる顔料としては、光輝性顔料および着色顔料が挙げられる。光輝性顔料としては、形状は特に限定されず、また着色されていてもよいが、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、且つ厚さが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、さらに好適に用いられる。具体的には、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属または合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝剤およびその混合物が挙げられる。この他に干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料なども含むことができる。
一方、着色顔料としては、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等が挙げられる。
上記水性ベース塗料中の全顔料濃度(PWC)としては、0.1〜50%であることが好ましい。更に好ましくは、0.5〜40%であり、特に好ましくは、1.0〜30%である。上限を越えると塗膜外観が低下する。また、光輝性顔料が含まれる場合、その顔料濃度(PWC)としては、一般的に18.0%以下であることが好ましい。上限を越えると塗膜外観が低下する。更に好ましくは、0.01〜15.0%であり、特に好ましくは、0.01〜13.0%である。
また更に、本発明の複層塗膜形成方法で用いられる水性ベース塗料は、鱗片状光輝性顔料を含有する場合は、リン酸基含有アクリル樹脂を含有することが好ましい。このリン酸基含有アクリル樹脂は、下記の一般式(I)で表されるモノマーとその他のエチレン性モノマーとを共重合して得られるアクリル樹脂である。
CH=CXCO(OY)OPO(OH)・・・(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、nは3〜30の整数を表す。)
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、上記鱗片状光輝性顔料を良好に分散するために使用される。この樹脂は、固形分酸価15〜200mgKOH/gで、且つリン酸基による固形分酸価が10〜150mgKOH/gであり、数平均分子量1000〜50000であることが好ましい。固形分酸価が15mgKOH/g未満であると、鱗片状光輝性顔料の分散を十分に図ることができない場合がある。また、固形分酸価が200mgKOH/gを超えると、水性ベース塗料の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。固形分酸価15〜200mgKOH/gのうち、リン酸基による固形分酸価が、15〜100mgKOH/gであることが更に好ましい。
一方、数平均分子量が1000未満であると、本発明の分散効果を十分に図ることができない場合があり、数平均分子量が50000を超えると、塗膜外観が悪化する場合がある。また、上記リン酸基含有アクリル樹脂は、硬化のための水酸基を有していてもよく、その固形分水酸基価は20〜200であることが好ましい。
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、塗料樹脂固形分100質量部に対し、0.01〜5質量部含有されていることが好ましく、更に好ましくは0.1〜4質量部、特に好ましくは0.2〜3質量部含有される。リン酸基含有アクリル樹脂の含有量が少なすぎると、塗膜の耐水性が低下する場合がある。またリン酸基含有アクリル樹脂の含有量が多すぎると、塗料の貯蔵安定性が悪くなる。
上記一般式(I)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、アシッドホスホオキシヘキサオキシプロピレン)モノメタクリレート、アシッドホスホオキシドデカ(オキシプロピレン)モノメタクリレート等が挙げられる。
上記その他のエチレン性モノマーは、上記一般式(I)で表されるモノマーと共重合し得るエチレン性モノマーであり、複数種のモノマー混合物であってよい。また、得られた共重合体、すなわちアクリル樹脂が硬化剤により硬化し得るためものである。具体的には、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基又は水酸基を有するモノマーが挙げられる。
また更に、上記水性ベース塗料には、上塗り塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保するために、その他の粘性制御剤を添加することができる。粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料等を粘性制御剤として挙げることができる。
本発明に用いられる水性ベース塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
本発明の複層塗膜形成方法に用いられる水性ベース塗料の製造方法は、特に限定されず、各樹脂及び顔料等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知の全ての方法を用い得る。
また、本発明で使用する水性ベース塗料組成物としては、自動車車体用クリヤー塗料として市販されているものを使用することができる。例えば、日本ペイント社製水性ベース塗料、アクアレックスAR−2000(商品名)シリーズなどが挙げられる。
クリヤー塗料
本発明の方法で用いるクリヤー塗料は自動車車体用クリヤー塗料として通常使用される塗料組成物であればよい。例えば、媒体中に分散または溶解された状態で、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤を含むものを挙げることができる。塗膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらはアミノ樹脂及び/又はイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いると良い。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
クリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含有させても良い。
複層塗膜形成方法
本発明の複層塗膜の形成方法では、まず、電着塗膜が形成された被塗物を提供する。電着塗膜は被塗物に対して電着塗料を塗装し、焼き付け硬化して形成する。被塗物は、カチオン電着塗装可能な金属製品であれば特に制限されない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらの金属を含む合金等を挙げることができる。
電着塗料は、特に限定されるものではなく公知のカチオン電着塗料やアニオン電着塗料を使用することができる。また、電着塗装及び焼き付けは、自動車車体を電着塗装するのに通常用いられる方法及び条件で行なえばよい。
次いで、電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する。中塗り塗料は、例えば、通称「リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用い、スプレーして塗布することができる。
塗布量は、硬化塗膜の膜厚が10〜40μm、好ましくは15〜30μmになるように調節する。膜厚が10μm未満であると得られる塗膜の外観及び耐チッピング性が低下するおそれがあり、40μmを越えると塗装時のタレや焼付け硬化時のピンホール等の不具合が起こることがある。
この中塗り塗膜は、水性ベース塗料を塗布する前に、加熱または送風することによって予備乾燥(プレヒート)させることが好ましい。その理由は、乾燥が不充分な場合、塗膜中に残存した水が複層塗膜を焼き付ける工程で突沸を起こし、ワキを発生しやすくなるからである。また中塗り上にベースを塗装した際にベースと混ざりやすくなり外観が低下する可能性があるからである。予備乾燥温度は、塗膜を完全に硬化する温度よりも低い温度であればよく、例えば60〜100℃、好ましくは70〜90である。また、予備乾燥時間は特に制限されず、例えば2〜20分、好ましくは1〜10分、より好ましくは1〜5 分である。
さらに、予備乾燥によって中塗り塗膜の塗膜固形分率を70〜98質量%、好ましくは75〜98質量%、より好ましくは80〜98質量%とすることが望ましい。中塗り塗膜の塗膜固形分率を上記範囲内とすることで、中塗り塗膜と、次いで形成されるベース塗膜との混層を防止することができ、得られる複層塗膜の外観が向上するなどの利点が得られる。
ついで、中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベース塗料及びクリヤー塗料を、ウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する。ここで、ウェットオンウェット塗布とは、複数の塗膜を硬化させることなく、予備乾燥程度で塗り重ねることをいう。ここで予備乾燥温度は、通常、塗膜を完全に硬化する温度よりも低い温度であればよく、例えば60〜100℃、好ましくは70〜90℃である。また、予備乾燥時間は特に制限されず、例えば2〜20分、好ましくは2〜15分、より好ましくは2〜10分である。
水性ベース塗料は、通常、塗膜の硬化後の膜厚が10〜30μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満である場合、下地の隠蔽が不充分になったり、色ムラが発生するおそれがあり、また、30μmを超える場合、塗装時にタレや、加熱硬化時にピンホールが発生したりするおそれがある。
クリヤー塗料は、通常、塗膜の乾燥硬化後の膜厚が10〜70μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満であると複層塗膜のつや感などの外観が低下し、70μmを越えると鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こったりする。
次いで、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる。焼き付けは、通常110〜180℃、好ましくは120〜160℃の温度に加熱して行われる。これにより、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる。加熱温度が110℃未満であると、硬化が不充分になる傾向があり、180℃を超えると、得られる塗膜が固く脆くなるおそれがある。加熱する時間は、上記温度に応じて適宜設定することができるが、例えば、温度が120〜160℃である場合、10〜60分間である。
実施例1:水性中塗り塗料の調整
(顔料分散ペーストの調製)
Disperbyk 190(ビックケミー社製ノニオン・アニオン系分散剤、商品名)4.5部、BYK−011(ビックケミー社製消泡剤、商品名)0.5部、イオン交換水22.9部、ルチル型二酸化チタン72.1部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、顔料分散ペーストを得た。
(アクリル樹脂エマルションの調製)
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器及び窒素導入管などを備えた通常のアクリル系樹脂エマルション製造用の反応容器に、水445部及びニューコール293(日本乳化剤社製乳化剤、商品名)5部を仕込み、攪拌しながら75℃に昇温した。表1のモノマー混合物、水240部及びニューコール293 30部の混合物を、ホモジナイザーを用いて乳化し、そのモノマープレ乳化液を上記反応容器中に3時間にわたって攪拌しながら滴下した。モノマープレ乳化液の滴下と併行して、重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)1部を水50部に溶解した水溶液を、上記反応容器中に上記モノマープレ乳化液の滴下終了時まで均等に滴下した。モノマープレ乳化液の滴下終了後、さらに80℃で1時間反応を継続し、その後、冷却した。冷却後、ジメチルアミノエタノール2部を水20部に溶解した水溶液を投入し、不揮発分40.6質量%の水性アクリル樹脂エマルションを得た(固形分水酸基価80;固形分酸価25mgKOH/g)。得られたアクリル樹脂エマルションは、30%ジメチルアミノエタノール水溶液を用いてpHを7.2に調整した。
Figure 2009262002
(カルボジイミド化合物の製造)
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3,930部を、カルボジイミド化触媒である3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド79部と共に、180℃で16時間反応させ、1分子にカルボジイミド基を4個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。ここに、オキシエチレン基の繰り返し単位が平均9個であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル1,296部及びジブチル錫ジラウレート2部を加え、90℃で2時間加熱して、末端がイソシアネート基及び親水性基であるカルボジイミド化合物を得た。次に、グリセリンの3つの水酸基に、OR基に相当するプロピレンオキサイドを平均で16.7モルずつ付加した構造を有するGP−3000(三洋化成社製)3000部を加え、90℃で、6時間反応させた。反応物は、IRによってイソシアネート基が消失していることが確認された。ここに脱イオン水18,800部を加えて撹拌し、樹脂固形分30質量%のカルボジイミド化合物の水分散体を得た。
(水性中塗り塗料の調製)
上述のようにして得られた顔料分散ペースト138.7部、上記で調製したアクリル樹脂エマルション147.8部、硬化剤としてサイメル303(三井サイテック社製完全メチルエーテル化メラミン樹脂、商品名、不揮発分100%)30部および上記で調製したカルボジイミド化合物25部を混合した後、アデカノールUH−814N(ウレタン会合型増粘剤、有効成分30%、旭電化工業社製、商品名)1.0部を混合攪拌し、水性中塗り塗料を得た。
実施例1に従って、表2に示す通り、実施例1と同様にして水性中塗り塗料(実施例2および3)を調製した。
比較例
表3に示す通り、実施例1と同様にして比較水性中塗り塗料(比較例1〜2)を調製した。
複層塗膜の形成
リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、パワーニクス110(日本ペイント社製カチオン電着塗料、商品名)を、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間の加熱硬化後冷却して、鋼板基板を準備した。得られた基板に、上記実施例または製造例で調製した水性中塗り塗料をエアースプレー塗装にて20μm塗装し、80℃で5分プレヒートを行った後、アクアレックスAR−2000シルバーメタリック(商品名)(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料;1分子中に一級水酸基を平均0.04個以上有し、数平均分子量が400であり、水トレランスが3.0以上であるポリエーテルポリオール、およびアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルの含有量が90質量%であるモノマー混合物から得られた固形分酸価20mgKOH/gを有するアクリル樹脂エマルションを含む)をエアースプレー塗装にて10μm塗装し、80℃で3分プレヒートを行った。更に、その塗板にクリヤー塗料として、マックフローO−1800W−2クリヤー(日本ペイント社製酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて35μm塗装した後、140℃で30分間の加熱硬化を行い、試験片を得た。加熱硬化後に得られた複層塗膜の仕上がり外観をWave Scan(BYK Gardner社製表面粗度測定器、商品名)にて評価した。W2値は塗膜の比較的大きな凹凸、W3値は塗膜の微小な凹凸の評価と近似しており、それぞれの値は小さいものほど良好である。
なお、上記水性中塗り塗料、水性ベース塗料及びクリヤー塗料は、下記条件で希釈し、塗装に用いた。
(水性中塗り塗料)
シンナー:イオン交換水
40秒/NO.4フォードカップ/20℃
塗料固形分は、54質量%であった。
(水性ベース塗料)
シンナー:イオン交換水
45秒/NO.4フォードカップ/20℃
(クリヤー塗料)
シンナー:EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S−150(エクソン社製芳 香族系炭化水素溶剤、商品名)=1/1(質量比)の混合溶剤
30秒/NO.4フォードカップ/20℃
内部応力の測定
水性中塗り塗料の単独塗膜の20℃における内部応力(S)を井上、小畠の方法(佐藤弘三;高分子加工、42(11)、557(1993))に従って測定した。
上記実施例または比較例で調製した水性中塗り塗料を100μm厚の短冊状アルミニウム板に塗膜の厚みが20μmとなるように塗布し、70mmの間隔で置いたナイフエッジの上に設置した後、20℃から140℃まで60分かけて昇温し、さらに140℃で15分間保持して塗膜を硬化させた後、40分かけて−20℃まで冷却し、その時の20℃におけるアルミニウム板のたわみ量(δ)を測定した。各測定値から以下の式に従って中塗り塗膜の内部応力(S)を計算した。結果を表2および3に示す。
S=1/6h(h+h)×E /(1−ν )×1/ρ
S:内部応力[Pa]
:塗膜の厚み(20μm)
:アルミニウム板の厚み(100μm)
:アルミニウム板の弾性率(7.05×1011[Pa])
ν:アルミニウム板のポアソン比(0.34)
ρ:曲率半径[ρ=L/8δ]
(式中、L:ナイフエッジ間の距離(70mm)、δ:たわみ量)
Figure 2009262002
Figure 2009262002
サイメル303(商品名):三井サイテック社製の完全メチルエーテル化メラミン樹脂、不揮発分100%
サイメル235(商品名):三井サイテック社製の完全メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、不揮発分100%
マイコート506(商品名):三井サイテック社製の完全ブチルエーテル化メラミン樹脂、不揮発分100%
サイメル211(商品名):三井サイテック社製のイミノ型メラミン樹脂、不揮発分100%
アデカノールUH−814N(商品名):旭電化工業社製のウレタン会合型増粘剤、有効成分30%
実施例1〜3で調製した水性中塗り塗料は、アクリル樹脂エマルション(固形分水酸基価80;固形分酸価25mgKOH/g)、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂および一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物を配合したことによって、内部応力を0.9×10〜1.6×10Paの範囲に調整することができ、複層塗膜を形成した場合、ベース塗膜との混層を防止するとともに、優れた仕上がり外観を提供することができた。
比較例1および2で調製した水性中塗り塗料は、実施例1〜3で調製した水性中塗り塗料と比較すると、実施例1〜3では完全アルキルエーテル化メラミン樹脂を用いているが、比較例1および2ではイミノ型メラミン樹脂を用いているので、内部応力が上記範囲から逸脱し、複層塗膜を形成した場合、ベース塗膜との混層を防止することもできず、さらに、仕上がり外観も低下した。
本発明によると、3コート1ベーク法において、中塗り塗膜の内部応力を制御することによって、中塗り塗膜とベース塗膜との間の混層を防止し、なおかつ、優れた塗膜外観を有する複層塗膜を提供することから、本発明は自動車車体の塗装に特に適している。また、本発明では3コート1ベーク法を使用するので塗装工程短縮、コスト削減および環境負荷低減が可能となった。
バイメタル法の模式図を示す。

Claims (3)

  1. 電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗装して中塗り塗膜を形成し、次に前記中塗り塗膜上に水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成し、さらに前記ベース塗膜上にクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成した後、前記中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を同時に焼付け硬化させて、複層塗膜を形成する方法であって、
    前記水性ベース塗料は、
    1分子中に一級水酸基を平均0.02個以上有し、数平均分子量が300〜3000であり、水トレランスが2.0以上であるポリエーテルポリオール、および
    エステル部の炭素数が1または2の(メタ)アクリル酸エステルを65質量%以上含む、酸価3〜50mgKOH/gのα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるアクリル樹脂エマルション
    を含有し、
    前記水性中塗り塗料は、
    固形分水酸基価が50〜120および固形分酸価が20〜60mgKOH/gであるアクリル樹脂エマルション、
    アルキル側鎖の炭素数が1〜4である完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、および
    下記一般式(1)で表されるカルボジイミド化合物
    を含有し、かつ、
    前記水性中塗り塗料の単独塗膜での井上、小畠の方法によって測定した20℃における内部応力が0.9×10〜1.6×10Paであることを特徴とする、複層塗膜形成方法。
    Figure 2009262002
    (式中、
    Xは、それぞれ独立して、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能性有機基を表す。
    Yは、それぞれ独立して、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を表す。
    は、水素または炭素数2以下のアルキル基を表す。
    は、それぞれ独立して、炭素数4以下のアルキレン基を表す。
    mは、それぞれ独立して、11以上の数を表す。
    nは、0または1を表す。
    前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は6〜40である。)
  2. 前記水性中塗り塗料に含まれる前記アクリル樹脂エマルションと前記完全アルキルエーテル化メラミン樹脂との固形分質量比が7/3〜9/1である、請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記水性中塗り塗料を塗装して中塗り塗膜を形成した後、前記中塗り塗膜上に前記水性ベース塗料を塗装する前に、60〜100℃および2〜20分間の条件にて予備乾燥を行うことにより、前記中塗り塗膜の塗膜固形分率を70〜98質量%とする、請求項1または2記載の複層塗膜形成方法。
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