JP6443605B1 - 樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
造粒工程において二連ペレット、多連ペレット、異形ペレット等の不良ペレットが発生すると、結果として熱可塑性樹脂ペレットの歩留まりが悪化するという問題があった。
本発明は、二連ペレット、並びに多連ペレット及び異形ペレット等のその他の不良ペレットの発生が抑制された樹脂ペレットの製造方法を提供することを目的とする。
工程1:溶融状態の熱可塑性樹脂を、ダイからストランド状に抜き出す工程
工程2:抜き出されたストランド状の樹脂を冷媒を用いて冷却する工程
工程3:冷却されたストランド状の樹脂を裁断して樹脂ペレットを得る工程
ストランド状の樹脂の直径が1.5〜4.5mmであり、ストランド状に抜き出す引取り速度が1.5m/s〜10m/sであり、前記ダイが、10以上のダイホールを有し、下記式2で定義されるストランド間隔Xが下記式1を満たすことを特徴とする樹脂ペレットの製造方法。
1.73×a≦Xb≦2.81×a 式1
ここで、a、b、及びXは、以下の通りである。
a=0.524
b=0.367
X(cm)={(有効ダイプレート幅)(cm)−(ストランド径)(cm)×(ストランド数−1)}/{(ストランド数)−1} 式2
有効ダイプレート幅は、ダイの両端のダイホールの外側の穴中心から外側の穴中心までの最大距離である。
〔2〕 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である、〔1〕に記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔3〕 前記ダイホールの穴径が0.2〜1.5cmである、〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂の工程1における抜き出し時の樹脂温度における溶融粘度が、せん断速度122sec−1の条件で、50〜3,000Pa・sである、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔5〕 前記工程2が、スライダー冷却方式にて行われる、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔6〕 前記工程2における冷媒の温度が10〜70℃である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔7〕 前記工程2における冷媒が水である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔8〕 ストランド状の樹脂と冷媒との接触時間が、0.1〜6.7秒である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔9〕 前記熱可塑性樹脂が、炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を30モル%以上含むジカルボン酸成分と、キシリレンジアミン及びビス(アミノメチル)シクロヘキサンを合計して70モル%以上含むジアミン成分とを溶融重合して得られたポリアミド樹脂である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
〔10〕 前記工程1が、反応槽から熱可塑性樹脂を加圧下に抜き出す工程であり、該圧力が0.1〜1MPaGである、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
工程1:溶融状態の熱可塑性樹脂を、ダイからストランド状に抜き出す工程
工程2:抜き出されたストランド状の樹脂を冷媒を用いて冷却する工程
工程3:冷却されたストランド状の樹脂を裁断して樹脂ペレットを得る工程
また、ストランド状の樹脂の直径(以下、「ストランド径」ともいう。)が1.5〜4.5mmであり、ストランド状に抜き出す引取り速度が1.5m/s〜10m/sであり、前記ダイが、10以上のダイホールを有し、下記式2で定義されるストランド間隔Xが下記式1を満たすことを特徴とする。
1.73×a≦Xb≦2.81×a 式1
ここで、a、b、及びXは、以下の通りである。
a=0.524
b=0.367
X(cm)={(有効ダイプレート幅)(cm)−(ストランド径)(cm)×(ストランド数−1)}/{(ストランド数)−1} 式2
有効ダイプレート幅は、ダイの両端のダイホールの外側の穴中心から外側の穴中心までの最大距離である。
そこで、発明者等は、特定のストランド径及び特定の引取り速度において、不良ペレットの発生を抑制しつつ、生産性に優れた樹脂ペレットの製造方法を得ることを目的として、鋭意検討した結果、ストランド同士の接着の発生が、冷却中のストランドの揺らぎに起因するものであり、ストランド間隔Xを用いると、特定の数式によく合致し、その発生確率が正規分布的挙動を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
不良ペレットの発生においては、特に二連ペレットの発生が多く、また、二連ペレットの発生を抑制することで、多連ペレットを含むその他の不良ペレットの発生も抑制されることを見出した。
図1は、本発明に使用されるダイプレートからストランドを抜き出している際の平面模式図の一例である。図1は、排出される側、すなわち反応槽の外側から、ダイプレートを観察しており、ストランドの流れ方向を矢印にて表している。
ダイプレート10には、ダイホール12が設けられており、その数は、合計して10以上である。ダイホール12の数は、使用する反応槽の大きさにも依存するが、好ましくは20以上、より好ましくは32以上、更に好ましくは42以上であり、そして、好ましくは120以下、より好ましくは108以下、更に好ましくは98以下である。
X(cm)={(有効ダイプレート幅)(cm)−(ストランド径)(cm)×(ストランド数−1)}/{(ストランド数)−1} 式2
ここで、有効ダイプレート幅とは、ダイの両端のダイホールの一方の外側の穴中心から他方の外側の穴中心までの最大距離である。図1中、有効ダイプレート幅は、Dmaxで表されている。有効ダイプレート幅は、両端のストランドのダイホールの外側の穴中心から外側の穴中心までの最大距離であり、後述する工程2がスライダー冷却方式で行われる場合には、スライダー上の両端のストランドのダイホールの外側の穴中心から外側の穴中心までの距離である。図1中、ストランド径はStにて示されている。
ストランド径は、好ましくは1.8mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは2.2mm以上であり、そして、好ましくは4.2mm以下、より好ましくは3.8mm以下、更に好ましくは3.5mm以下である。
なお、ストランド径(St(cm))は、ダイホール1穴当たりのポリマー流量(B(cm3/s))及び引取り速度(C(cm/s))を用いて、以下の式3で表される。
St=2×{(B/C)÷π}0.5 式3
引取り速度は、好ましくは1.8m/s以上、より好ましくは2.1m/s以上、更に好ましくは2.3m/s以上であり、そして、好ましくは7m/s以下、より好ましくは5m/s以下、更に好ましくは4.4m/s以下、より更に好ましくは4.0m/s以下、より更に好ましくは3.8m/s以下である。
なお、本発明において、引取り速度(m/s)とは、工程3における裁断直前のストランドの引取り速度を意味し、実質的には、裁断用のカッターへストランドを送る、導入用の引取りロールの回転速度で近似される。
そこで、鋭意検討した結果、ストランド間隔Xのb乗と、二連ペレットの発生確率は正規分布とよく一致し、また、そのときに標準偏差として特定の値(a)を採用することで、実際の二連ペレットの発生確率とよく一致することを見出した。
二連ペレットの発生を8.5%未満に抑制することで、不良ペレット全体の発生が10%以下に抑制されると考え、Xbの下限として、正規分布から外れる面積が8.5%未満となる、1.73×a(標準偏差)を選択した。
更に、ストランド間隔Xを大きくすれば、二連ペレットの発生確率は減少するものの、二連ペレットの発生が0.5%未満であると、歩留まりは良好であるが、樹脂ペレットの生産性が低下し、経済的効果は低いと考え、正規分布から外れる面積が0.5%以上となる、2.81×a(標準偏差)をXbの上限として選択した。
これにより、Xbは、以下の式1を満たす必要がある。
1.73×a≦Xb≦2.81×a 式1
式1中のa及びbが、a=0.524、b=0.367、を採用することによって、実測した二連ペレットの発生確率と、式1から算出される発生確率がよく一致することを見出した。
また、二連ペレットの発生を1%以上5%以下とするためには、上記式1から、(1.96×a≦Xb≦2.58×a)を満たすようにXを選択すればよいことが導かれる。
なお、ダイホールの穴径とは、ダイホールが円形である場合には、ダイホールの直径を意味し、図3に示すように、円形ではない場合には、ストランドの抜き出し方向に垂直な方向での最大径を意味する。また、ダイホールの穴径は、ストランド出口での穴径を意味する。
ダイホールの穴径は、より好ましくは0.42cm以上、更に好ましくは0.62cm以上であり、そして、より好ましくは1.18cm以下、更に好ましくは0.98cm以下である。
なお、複数存在するダイホールの穴径は、ダイの全体において同じである必要はなく、例えば、排出圧力が付加されやすいコートハンガーダイにおいて、ダイの中央部ではダイホールを小さくし、排出圧力が付加されにくいダイの両端付近ではダイホールを大きくする等を行ってもよい。
また、ダイホールの樹脂の入口(反応槽内部側)から出口までの形状は、公知の形状であれば特に限定されない。図4は、好ましいダイプレート10の樹脂の流れ方向における断面図を示す。図4に示すように、樹脂の滞留を抑制する観点から、ダイプレート10のダイホール12の穴径が、入口側で広く、徐々に狭くなると共に、出口に近い部分では一定距離、出口部のダイホールと同じ形状であることが好ましい。なお、図4中、樹脂の流れを矢印で示している。
抜き出し時の樹脂温度における溶融粘度が、せん断速度122sec−1の条件で、50Pa・s以上であると、溶融樹脂が柔らかすぎることなく、ストランド状態を維持し、破断が抑制され、更に、一定径のストランドを得やすいので好ましい。また、3,000Pa・s以下であると、溶融状態の熱可塑性樹脂をダイからストランド状に抜き出すことができ、また、過剰な圧力なしに、抜き出すことができるので好ましい。
上記溶融粘度は、より好ましくは90Pa・s以上、更に好ましくは160Pa・s以上であり、より好ましくは1,800Pa・s以下、更に好ましくは780Pa・s以下である。
上記溶融粘度は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の樹脂ペレットの製造方法は、上記工程1〜工程3を有する。以下、それぞれの工程について説明する。
〔工程1〕
工程1は、溶融状態の熱可塑性樹脂を、ダイからストランド状に抜き出す工程である。なお、工程1は、溶融状態の熱可塑性樹脂を、該熱可塑性樹脂を重合した反応槽から、ダイを通じてストランド状に抜き出す工程であることが好ましい。
溶融状態の熱可塑性樹脂をダイからストランド状に抜き出す方法としては、押出機、ギヤポンプ、加圧された溶融重合反応槽に接続された配管などを通じて、溶融状態の熱可塑性樹脂をダイに導き、ダイの先端に設けられたダイホールからストランド状に吐出することが好ましい。
工程1は、反応槽(好ましくは重合反応槽)から、熱可塑性樹脂を加圧下に抜き出す工程であることが好ましく、該圧力が0.1〜1MPaGであることが好ましい。本発明では、反応槽からの押し出し圧力が小さく、冷却中のストランドの揺らぎが大きい場合であっても、不良ペレットの発生が抑制され、樹脂ペレットの生産性に優れる。
上記圧力は、より好ましくは0.2〜0.8MPaG、更に好ましくは0.25〜0.55MPaGである。
工程2は、抜き出されたストランド状の樹脂を冷媒を用いて冷却する工程である。
工程2では、ストランド状の熱可塑性樹脂を、冷媒と接触させ、ストランド状の樹脂を冷媒と共に裁断機(ペレタイザー)に導く。
工程2で使用される冷媒は、液状流体であり、ストランド状の樹脂を冷却する能力があり、ストランドを溶解又は劣化させるものでなければ特に限定されないが、取扱いのし易さ、及びコストの観点から、水が特に好ましい。
冷媒の温度は特に限定されないが、冷媒として水を使用する場合、好ましくは10〜70℃、より好ましくは15〜60℃、更に好ましくは20〜50℃である。
なお、冷媒は、静電気防止剤、殺菌剤、スケール防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、循環させて使用する場合には、フィルター等により、ストランド切断によって生じる切粉を取り除くことが好ましい。
すなわち、工程2は、スライダー冷却方式で行われることが好ましく、スライダー冷却方式とは、ストランド状の樹脂を冷媒が流れるスライダーに沿わせながら該冷媒に接触させることにより行う冷却方式である。
また、冷媒との接触時間は、引取り速度とスライダーの長さにより決定されるが、好ましくは0.1〜6.7秒、より好ましくは0.2〜4.3秒、更に好ましくは0.4〜3.3秒、より更に好ましくは0.5〜2.2秒である。
なお、冷媒との接触時間は、反応槽からストランド状に抜き出され、冷媒と接触してから、ペレタイザーにて裁断される直前までの時間を意味する。
工程3は、冷却されたストランド状の樹脂を裁断して樹脂ペレットを得る工程である。工程3では、冷却されたストランド状の樹脂が、上述した引取り速度でペレタイザー(裁断機)に送られ、裁断される。なお、ストランド状の樹脂は、裁断可能な程度に冷却されていればよい。
裁断されて得られた樹脂ペレットの長さは、好ましくは0.3〜9mm、より好ましくは1.2〜4.8mm、更に好ましくは2.2〜3.8mmである。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)等のビニル系ポリマー;(メタ)アクリル酸及びそのエステルに由来する構成単位を有するアクリルポリマー;ポリオールとポリイソシアネートとの重付加により得られるポリウレタン;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド;ポリアミドイミド等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のような比較的ガラス転移温度の低い樹脂では、ストランドが接触すると融着しやすい上に、剛性や靱性に優れるため、ストランドを切る際に影響を受けやすく、本発明において好適に使用することができる。
特に、メタキシリレンアジパミド(メタキシリレンジアミンと、アジピン酸との重縮合により得られるポリアミド)のようなポリマー主鎖にメタキシレン基を含有するポリアミドは高弾性率のポリマーであり、ストランドの硬度が高いために比較的造粒工程の条件変化の影響を受けやすい傾向にあり、本発明において好適に使用することができる。
以下、本発明において熱可塑性樹脂として好適に使用されるポリアミド樹脂について説明する。
ポリアミド樹脂は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の重縮合により得られたポリアミドであることが好ましく、溶融重縮合法により行うことが好ましい。
溶融重縮合法の好適な例としては、ジアミンを溶融したジカルボン酸に直接加えて重縮合する、いわゆる直接重合法が挙げられる。より具体的には、反応槽中で溶融状態にあるジカルボン酸を撹拌しながら、ジアミンを連続的又は間欠的に添加し、縮合水を除去しながら重縮合すると共に、ジアミンを添加する間、生成するポリマーの融点よりも下回らないように反応温度を上昇させる。ここで、ジアミンを添加する間、反応系を加圧することが好ましい。また、ジアミン添加が終了した後も、好ましくは加圧を継続しつつ、生成するポリアミドの融点より下回らないように温度を制御しつつ更に反応を継続してもよい。ただし、以上の反応については、常圧で実施してもよい。その後、漸次減圧して常圧未満の圧力にして更に一定時間反応を継続してもよい。なお、本製造方法における反応温度の上限値は、通常、得られるポリアミドの融点+30℃程度以下に制御される。
本製造方法において使用されるジアミン及びジカルボン酸については後述するが、使用される全ジアミンにおける各ジアミン(メタキシリレンジアミン等)の種類ごとの含有割合(モル%)は、上記したポリアミド中のジアミン単位における各ジアミン由来の種類ごとの構成単位の割合(モル%)と同様である。ジカルボン酸についても同様である。
更には、重縮合反応は、ジアミン及びジカルボン酸からなるポリアミドのオリゴマーを押出機で溶融混練して反応させる反応押出法で行ってもよい。反応押出法は、十分に反応させるためには、反応押出に適したスクリューを用い、L/Dの比較的大きい2軸押出機を用いるのが好ましい。
本発明に好適なポリアミド中のジカルボン酸単位は、炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を30モル%以上含むことが好ましい。炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸(別名:ノナメチレンジカルボン酸)、1,10−デカンジカルボン酸(別名:デカメチレンジカルボン酸)等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸及びセバシン酸がより好ましい。
炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸単位としては、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、キシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド中のジアミン成分としては、キシリレンジアミン及びビス(アミノメチル)シクロヘキサンから選ばれるジアミンを合計して70モル%以上含むジアミン成分であることが好ましい。
キシリレンジアミンとしては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンのいずれでもよく、また、複数の種類を混合して使用してもよいが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、又はその混合物が好ましく、メタキシリレンジアミン単独、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物がより好ましい。
また、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであることが好ましい。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンには、シス体とトランス体が存在するが、耐熱性等の観点から、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンでは、シス体/トランス体比は、好ましくは50/50〜100/0、より好ましくは55/45〜100/0、更に好ましくは65/35〜100/0である。1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンでは、シス体/トランス体比は、好ましくは60/40〜0/100、より好ましくは40/60〜0/100、更に好ましくは25/75〜0/100である。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、重縮合反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
アルカリ金属化合物及び前述したリン原子含有化合物は、通常、ジカルボン酸成分とジアミン成分が反応する前に反応系に添加される。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、ポリアミドペレットにおけるリン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率(モル比)は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
また、反応系には、ジアミン、ジカルボン酸、リン原子含有化合物、アルカリ金属化合物以外にも、分子量調整剤等のその他の添加剤や後述するその他のモノマー等が更に添加されていてもよい。
また、本発明のポリアミドペレットには、その性能を損なわない範囲で、ポリアミド以外の他の任意成分が適宜含有されてもよい。ただし、ポリアミドは、ペレットにおける主成分となり、その含有量は、ペレット全体に対して、特に限定されないが、通常、80質量%以上程度、好ましくは90質量%以上である。
また、本発明の樹脂ペレットは、更に固相重合することで、高分子量化及び結晶化したペレットとしてもよい。高分子量化及び結晶化したペレットも、上記と同様に、各成形方法で各種成形品に成形可能である。
溶融粘度は得られたペレットを以下の条件で測定することで、計測した。
(株)東洋精機(Toyoseiki Seisaku−sho,Ltd.)製のキャピログラフ(Capillograph)D−1を使用し、ダイ:1mmφ×10mm長さ、見かけのせん断速度122sec−1、測定温度を抜出す際の樹脂温度、樹脂の予熱時間6分、樹脂の水分率0.06質量%以下の条件で測定した。
<ポリアミドの製造>
温調されたオイルが流通する分縮器、全縮器、窒素ガス導入管、反応槽全面をオイルが流通するジャケットで覆われ、ジアミン滴下用のタンク及びポンプを備えた500リットルステンレス製回分式反応装置を用いて、次のようにポリアミドを合成した。
アジピン酸(純度99.85質量%)150.0kg(1024.9mol)を仕込み、十分窒素置換した後、圧力0.3MPaGで撹拌しながらアジピン酸を190℃まで加熱した。温度到達後、メタキシリレンジアミン(純度99.99質量%)138.8kg(1018.8mol)を、反応装置内の圧力を0.3MPaGに維持しながら80分かけて滴下した。ジアミンの滴下終了時の温度が240℃になるように加熱を調整し、分縮器出口側蒸気温度を143〜147℃に制御し、留出する蒸気は全縮器を通して凝縮させ、系外に放出した。ジアミン滴下終了後、撹拌しながら圧力0.3MPaGで20分間保持した後、0.01MPa/分の速度で30分かけて常圧まで落圧し、更に80kPaまで減圧して更に20分間撹拌保持した。ジアミン滴下終了から減圧終了までに反応液温を256℃まで昇温した。
〔工程1〕
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を0.37MPaGに加圧して溶融ポリマーを装置ボトムのダイバルブを通して、有効ダイプレート幅27.55cm、ダイ穴直径0.74cmのストランドダイから、256℃でダイホール当たり、21.63cm3/sの流量で、20本のストランドとして抜き出した。このストランドの溶融粘度は、せん断速度122sec−1の条件で、246Pa・sであった。
〔工程2〕
抜き出したストランドは、30℃の冷却水を30m3/hで流している2.3mのウォータースライダー型冷却水槽で冷却しつつ、ペレタイザーによって引取りながら切断してペレット化した。この時のストランド径は0.29cmで、ストランド間隔は1.16cmであった。ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度は3.3m/sであり、この時の冷却水との接触時間は0.7秒であった。
〔工程3〕
冷却されたストランドは、ロータリーカッターで切断され、得られたペレットは、長さ3.0mm、長径3.1mm、短径2.6mmのペレットが得られた。
結果を以下の表2に示す。
使用したダイ及び製造条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを製造した。二連ペレット及びその他の不良ペレットの評価結果を以下の表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3において使用したダイプレート、ポリマー、ペレタイジング条件、及び得られたペレットについて以下の表1(a)〜表1(d)に示した。
一方、式1を満たさない比較例1では、二連ペレットの発生が10.4%であり、また、全体としての不良ペレットの発生も12.7%であった。同様に、式1を満たさない比較例2では、二連ペレットの発生が12.2%であり、また、全体としての不良ペレットの発生が15.2%であった。更に、比較例3では、二連ペレットの発生が20.1%であり、全体としての不良ペレットの発生が27.4%であった。
ここで、実施例1のストランド間隔Xは、1.16cmであり、下記表3に示すように、正規分布表から求めた二連ペレットの発生確率と、実測値はよく一致した。実施例2及び3についても、正規分布表から求めた二連ペレットの発生確率と、実測値はよく一致した。また、比較例1のストランド間隔Xは0.65cmであり、比較例1についても、正規分布表から求めた二連ペレットの発生確率と実測値はよく一致した。比較例2及び3についても、正規分布表から求めた二連ペレットの発生確率と、実測値はよく一致した。
12 ダイホール
Dh 穴径
St ストランド径
Dmax 有効ダイプレート幅
Claims (10)
- 下記工程1〜工程3を有し、
工程1:溶融状態の熱可塑性樹脂を、ダイからストランド状に抜き出す工程
工程2:抜き出されたストランド状の樹脂を冷媒を用いて冷却する工程
工程3:冷却されたストランド状の樹脂を裁断して樹脂ペレットを得る工程
ストランド状の樹脂の直径が1.5〜4.5mmであり、
ストランド状に抜き出す引取り速度が1.5m/s〜10m/sであり、
前記ダイが、10以上のダイホールを有し、
下記式2で定義されるストランド間隔Xが下記式1を満たすことを特徴とする
樹脂ペレットの製造方法。
1.73×a≦Xb≦2.81×a 式1
ここで、a、b、及びXは、以下の通りである。
a=0.524
b=0.367
X(cm)={(有効ダイプレート幅)(cm)−(ストランド径)(cm)×(ストランド数−1)}/{(ストランド数)−1} 式2
有効ダイプレート幅は、ダイの両端のダイホールの外側の穴中心から外側の穴中心までの最大距離である。 - 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である、請求項1に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記ダイホールの穴径が0.2〜1.5cmである、請求項1又は2に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂の工程1における抜き出し時の樹脂温度における溶融粘度が、せん断速度122sec−1の条件で、50〜3,000Pa・sである、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記工程2が、スライダー冷却方式にて行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記工程2における冷媒の温度が10〜70℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記工程2における冷媒が水である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- ストランド状の樹脂と冷媒との接触時間が、0.1〜6.7秒である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、炭素数4〜20のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を30モル%以上含むジカルボン酸成分と、キシリレンジアミン及びビス(アミノメチル)シクロヘキサンから選ばれるジアミンを合計して70モル%以上含むジアミン成分とを溶融重合して得られたポリアミド樹脂である、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記工程1が、反応槽から熱可塑性樹脂を加圧下に抜き出す工程であり、該圧力が0.1〜1MPaGである、請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂ペレットの製造方法。
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