JP6365074B2 - ポリアミドペレット及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ジアミンとジカルボン酸を重縮合して得られたポリアミドペレットに関する。
メタキシリレンジアミンとセバシン酸から得られるポリアミド(以下、ナイロンMXD10ともいう)は、吸水性が低く、かつ寸法安定性やガスバリア性に優れることから、各種包装材料、成形材料、モノフィラメントなどの幅広い用途で使用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
ナイロンMXD10は、通常、溶融重縮合により合成されるとともに、ペレットの形態で広く流通されている。ナイロンMXD10のペレット化は、例えば、溶融重縮合により得たナイロンMXD10をストランド状に抜き出して水冷し、次いで、ペレタイザーにより切断して行うことが知られている。このようにして得られたナイロンMXD10からなるポリアミドペレットは、抜き出し時に比較的早く冷却され、通常、非晶状態となる。ポリアミドペレットは、そのまま溶融混練して各種製品に成形加工され、あるいは、高分子量のものが必要とされる場合には、ペレットのままさらに固相重合されることがある。
特開2012−136579号公報
ポリアミドペレットは、その後の成形加工における熱履歴により黄変が生じ、色相が悪化することがある。また、非晶状態のポリアミドペレットは、減圧、加熱下で固相重合反応して結晶化すると透明から白色になることで、見かけ上色相が良化する。しかし、再加熱による熱履歴でも黄色化は進行することから、色相が更に良化することが望まれる。すなわち、非晶状態のポリアミドペレットから得られる成形品や結晶化したペレットの色相を、さらに良化することが望まれている。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、成形加工あるいは固相重合等することで得られる成形品や結晶化したペレットの色相がさらに良好になる非晶状態のポリアミドペレットを得ることを課題とする。
本発明者らは、まず、上記課題を解決するために、非晶状態にあるナイロンMXD10からなるポリアミドペレットの表層部分(スキン部分)の状態に着目した。そして、鋭意検討の結果、表層部分の局所熱分析で測定する針降下始温度を高くすることで、その表層部分があたかも保護層として機能し、ペレット内部に酸素が侵入するのを抑制すると推定され、それにより、そのペレットから得られる成形品あるいは結晶化したペレットの色相を良好にできることを見出し、以下の発明を完成させた。
[1]ジアミン単位とジカルボン酸単位からなるポリアミドであって、ジアミン単位の50モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸単位の70モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミドからなり、かつ
サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定するペレットのスキン部分の針降下温度が58〜70℃であるポリアミドペレット。
[2]0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液により染色したペレットを観察したとき、G≦90(sRGB値)に染色されたペレットの割合が50%未満である上記[1]に記載のポリアミドペレット。
[3]前記ペレットのスキン部分の針降下温度が58〜68℃である上記[1]又は[2]に記載のポリアミドペレット。
[4]前記スキン部分の針降下温度は、ペレットのコア部分の針降下温度よりも高く、その温度差が0.1〜2℃である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミドペレット。
[5]リン原子濃度1〜100ppmでリン原子含有化合物を含む上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアミドペレット。
[6]以下の式(1)の条件を満たす上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアミドペレット。
−110μeq/g≦([COOH]−[NH2])≦110μeq/g (1)
(なお、式(1)中、[COOH]は前記ポリアミドの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)、[NH2]は前記ポリアミドの末端アミノ基濃度(μeq/g)を表す。)
[7]相対粘度が、1.8〜2.4である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアミドペレット。
[8]溶融重縮合により得られたポリアミドから成形された上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリアミドペレット。
[9]メタキシリレンジアミン50モル%以上を含むジアミンと、セバシン酸70モル%以上を含むジカルボン酸を重縮合して得た、溶融状態にあるポリアミドをストランド状に送り出す工程と、
ストランド状に送り出されたポリアミドを水冷しつつ切断してペレット化し、その後、ペレット化したポリアミドを4秒以上さらに水冷する工程と
を備えるポリアミドペレットの製造方法。
[10]水冷終了後のポリアミドペレットの温度が、65℃以下である上記[9]に記載のポリアミドペレットの製造方法。
[11]前記ストランド状に送り出されたポリアミドを、着水後2秒以内に切断してペレット化する上記[9]又は[10]に記載のポリアミドペレットの製造方法。
本発明では、成形品や固相重合ペレットの色相が良好になる非晶状態のポリアミドペレットを提供することができる。
ポリアミドペレットから試料を採取する方法を示す模式図である。 針降下温度の測定方法を示す模式図である。
以下、本発明について実施形態を用いて説明する。
<ポリアミドペレット>
本発明のポリアミドペレットは、ジアミン単位とジカルボン酸単位とからなるポリアミドであって、ジアミン単位の50モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸単位の70モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミドからなるポリアミドペレットである。本発明のポリアミドペレットは、通常、非晶状態にあるものである。なお、本明細書において非晶状態にあるポリアミドペレットとは、結晶化度が25%未満のものをいう。結晶化度は、後述する実施例における測定方法に従って測定されたものである。
また、非晶状態にある本発明のポリアミドは、例えば固相重合することで結晶化するものであり、固相重合することで結晶化度は通常25%よりも大きくなる。
[ジアミン単位]
ポリアミド中のジアミン単位は、メタキシリレンジアミン由来の構成単位を50モル%以上含み、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有する。本発明では、メタキシリレンジアミン由来の構成単位が50モル%未満であると、ポリアミドペレットから得られる成形品のバリア性能を高めにくくなり、また、本発明のポリアミドに求める各種物性を得にくくなる。
ポリアミドにおいて、メタキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;パラキシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
メタキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、これらの中では、パラキシリレンジアミンを使用することが好ましい。パラキシリレンジアミンを使用する場合、ポリアミド中のジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来の構成単位を50モル%以下含み、好ましくは30モル%以下含有し、さらに好ましくは10モル%以下含有する。
[ジカルボン酸単位]
本発明のポリアミド中のジカルボン酸単位は、セバシン酸由来の構成単位を70モル%以上含むものであり、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有する。
本発明では、セバシン酸由来の構成単位が70モル%未満であると、吸水性が高くなったり、寸法安定性が悪くなったりするおそれがあり、本発明のポリアミドに求める各種物性を得にくくなる。
ポリアミドにおけるジカルボン酸単位は、セバシン酸由来の構成単位のみからなってもよいが、セバシン酸以外のジカルボン酸由来の構成単位を含有してもよい。
ポリアミドにおいて、セバシン酸以外のジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、ポリアミドとしては、全てのジアミン単位がメタキシリレンジアミン由来の構成単位からなり、全てのジカルボン酸単位がセバシン酸由来の構成単位からなるポリメタキシリレンセバカミドが最も好ましい。
[針降下温度]
本発明のポリアミドペレットは、ペレットのスキン部分の針降下温度が58〜70℃となるものである。
本発明のポリアミドペレットは、針降下温度が通常のナイロンXD10より高くされたものであり、針降下温度を上記のように高い温度範囲とすることで、ポリアミドペレットがスキン部分で保護されて、酸素吸収が抑制されると推定され、成形品の色相の悪化を防ぐことができる。また、例えば、本発明のポリアミドペレットを、減圧、加熱下で固相重合することで結晶化したポリアミドペレットは、ペレット内部に吸着した酸素による酸化劣化が防げると推定され、色相を良好に保つことが可能である。
なお、スキン部分とは、ペレットの軸方向に垂直な断面において、ペレット外周からペレット径の2%までの部分のことをいい、コア部分とはペレット中心からペレット半径の70%以内の部分をいう。なお、ペレット径とは、ペレットの上記断面において最も長い径を意味し、ペレット半径とはペレット径の1/2の長さを意味する。
なお、針降下温度は、図1に示すように、支持体10に接着剤により固定したペレット12を、ミクロトームによって、軸方向(ペレット化前のストランドの流れ方向に等しい)に垂直に平滑に切り出し、露出したペレット12の断面の平滑面12Aに対して、サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定して得たものである。針降下温度は、具体的には、図2に示すように、試料12の平滑面12Aに接触したプローブ14が、試料12が加熱膨張することにより上昇し、軟化により下降に転じる温度をいう。なお、針降下温度の詳細な測定方法は後述するとおりである。
本発明のポリアミドペレットは、スキン部分の針降下温度が58℃未満であると、ペレットへの酸素吸収をスキン部分により十分に防止することができず、成形品、固相重合ペレットの色相を十分に良好にできないおそれがある。また、上記したポリアミドの組成では、針降下温度を70℃より高くすることは難しい。
スキン部分の針降下温度は、成形品、結晶化したペレットの色相をより良好にする観点から、58〜68℃であることが好ましく、58〜66℃であることがより好ましい。
針降下温度が58℃以上であるポリアミドペレットのスキン部分は、そのモルホロジーが従来のものとは異なり特異な状態となり、その特異なモルホロジーを有するスキン部分がペレットを保護すると推定される。具体的には、ミクロトームによりペレットを軸方向に垂直に切り出し、ペレット内部の断面を露出させて得たサンプルの露出断面を所定条件でイオンミリング処理すると、モルホロジーに基づき凹凸が形成されるが、スキン部分の凹凸は、コア部分の凹凸よりも密に形成される。このように特異なモルホロジーは結晶状態となっても維持され、例えばポリアミドペレットを固相重合することで結晶化して得たペレットでは、スキン部分の球晶密度が、コア部分の球晶密度より大きくなる。
また、スキン部分の上記特徴により、ポリアミドペレットの表面は削れにくくなる。そのため、ペレット移送中にペレット表面が削れて、配管に付着するフロス・スネークスキンなどが形成されにくくなり、製品へのスネークスキンに由来するコンタミを低減できるため、工業的に有利である。
スキン部分の針降下温度は、通常、コア部分の針降下温度よりも高くなる。また、ポリアミドペレットにおいて、コア部分の針降下温度と、スキン部分の針降下温度の温度差は、0.1〜2℃であることが好ましく、0.2〜2℃であることがより好ましく、0.2〜1.5℃であることがさらに好ましい。このように針降下温度の温度差が小さくなると、コア部分とスキン部分の熱的性質の差を小さくすることができ、ポリアミドペレットから得られる成形品の物性を安定させることが可能になる。
[ペレットの染色度]
本発明のポリアミドペレットは、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液により染色したペレットを観察したとき、G≦90(sRGB値)に染色されたペレットの割合(染色度)が50%未満となることが好ましい。上記したように、本発明のポリアミドペレットのスキン部分は、モルホロジーが従来のものとは異なり、あたかも保護層のような状態となるものであるが、その保護効果は染色度により規定することが可能である。染色度は、小さいほどペレット表面の保護効果が大きいことを示す。
ポリアミドペレットの染色度が50%未満となることで、スキン部分が保護層として十分に機能し、ペレットの酸素吸収を適切に防ぐことが可能になる。そのため、本発明の非晶状態のポリアミドペレットから得られる成形品、固相重合等により結晶化したペレット等の色相をより良好なものとすることが可能になる。また、これら観点から、染色度は、20%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることが最も好ましい。なお、染色度の具体的な測定方法は、後述するとおりである。
ポリアミドの重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度が一般的に使われるものである。本発明のポリアミドペレットは、その相対粘度が、1.8〜2.4であることが好ましい。相対粘度がこのような範囲のポリアミドは、後述する溶融重縮合法により容易に製造可能である。また、ポリアミドペレットをそのまま成形品の製造に使用しても、その機械強度及び成形性が比較的良好となる。これら観点から相対粘度は、1.9〜2.3がより好ましい。
また、ポリアミドペレットは、以下の式(1)の条件を満たすことが好ましい。
−110μeq/g≦([COOH]−[NH2])≦110μeq/g (1)
(なお、式(1)中、[COOH]はポリアミドの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)、[NH2]はポリアミドの末端アミノ基濃度(μeq/g)を表す。)
このように、末端カルボキシル基濃度と、末端アミノ基濃度の差が小さいと、耐熱性が良好となり、色劣化が生じにくくなる。また、色劣化をより抑えるためには、([COOH]−[NH2])は、−80〜80μeq/gであることがより好ましい。
本発明のポリアミドペレットは、通常、非晶状態にある一方で、融点を測定すると融点ピークを有し、結晶性を有するものである。そのため、例えば後述するように固相重合すると結晶状態となる。本発明のポリアミドペレットは、融点ピークを1つのみ有するものであって、その融点は、特に限定されないが、好ましくは170〜300℃であり、より好ましくは180〜290℃である。
ポリアミドペレットは、特に限定されないが、通常、そのストランド方向(軸方向)に沿う長さが1.0〜4.0mm程度であり、好ましくは2.0〜3.5mmである。また、ポリアミドペレットのペレット径は、通常1.0〜4.0mm程度となり、好ましくは2.0〜3.5mmである。ペレットの形状は、特に限定されないが、通常、後述するようにストランドを横断するように切断したものであり、円柱状、楕円柱状であることが好ましい。
<ポリアミドペレットの製造方法>
次に、本発明におけるポリアミドペレットの製造方法について説明する。本発明におけるポリアミドペレットの製造方法は、上記したポリアミドペレットを得ることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
本発明の一実施形態におけるポリアミドペレットの製造方法は、上記ジアミンとジカルボン酸を重縮合して得た、溶融状態にあるポリアミドをストランド状に送り出す工程と、ストランド状に送り出されたポリアミドを水冷しつつ切断してペレット化し、その後、ペレット化したポリアミドを4秒以上さらに水冷する工程とを備えるものである。
従来、MXD10ナイロンの製造においては、溶融重縮合後の温度がそれほど高くない点、さらには装置的制約から、水冷時間は可能な限り短縮するのが一般的である。また、重縮合により得られたポリアミドは、ストランド状に抜き出して、ストランドのまま水冷する手法が知られている。
それに対して、本製造方法では、ポリアミドを、ペレット状に小片化した状態で水冷し、かつその水冷時間を上記のように4秒以上と長くすることで、ペレット表面を急激に低温にし、それにより、スキン部分のモルホロジーを上記のように特異なものとして、スキン部分における針降下温度を高くし、かつ染色度を低くしたものである。
また、ポリアミドペレットのコア部分は、スキン部分に比べると冷却速度が若干遅くなるものの急冷されることに変わりはなく、スキン部分とモルホルジーに多少の差がありつつも、針降下温度がスキン部分と近接した値になる。そのため、コア部分の針降下温度は、スキン部分の針降下温度よりも低くなるが、その温度差は小さくしやすくなる。
以下、本製造方法についてより詳細に説明する。
ポリアミドペレットの製造方法において、ジアミンとジカルボン酸の重縮合は、溶融重縮合法により行うことが好ましい。
溶融重縮合法の好適な例としては、ジアミンを溶融したジカルボン酸に直接加えて、重縮合するいわゆる直接重合法が挙げられる。より具体的には、反応槽中で溶融状態にあるジカルボン酸を攪拌しながら、ジアミンを連続的もしくは間欠的に添加し、縮合水を除去しながら重縮合するとともに、ジアミンを添加する間、生成するポリマーの融点よりも下回らないように反応温度を上昇させる。ここで、ジアミンを添加する間、反応系を加圧することが好ましい。また、ジアミン添加が終了した後も、好ましくは加圧を継続しつつ、生成するポリアミドの融点より下回らないように温度を制御しつつさらに反応を継続してもよい。ただし、以上の反応については、常圧で実施してもよい。その後、漸次減圧して常圧未満の圧力にしてさらに一定時間反応を継続してもよい。なお、本製造方法における反応温度の上限値は、通常、得られるポリアミドの融点+70℃程度以下に制御される。
本製造方法において使用されるジアミン及びジカルボン酸は、上記したポリアミドを得られるものであればよく、例えば、使用される全ジアミンにおける各ジアミン(メタキシリレンジアミン等)の種類ごとの含有割合(モル%)は、上記したポリアミド中のジアミン単位における各ジアミン由来の種類ごとの構成単位の割合(モル%)と同様である。ジカルボン酸についても同様である。
また、溶融重縮合法は、直接重合法に限定されず、ジカルボン酸と、ジアミンとからなるナイロン塩を、水の存在下、加圧下で加熱して行うナイロン塩法で行ってもよい。
さらには、重縮合反応は、ジアミン及びジカルボン酸からなるポリアミドのオリゴマーを押出機で溶融混練して反応させる反応押出法で行ってもよい。反応押出法は、十分に反応させるためには、反応押出に適したスクリューを用い、L/Dの比較的大きい2軸押出機を用いるのが好ましい。
重縮合が終了して得られた溶融状態にあるポリアミドは、例えば反応槽の底部に備えられたストランドダイからストランド状に抜き出す。ここで、ストランドダイのダイ径は、上記したペレット径に応じて設定される。また、ストランドを抜き出すときのポリアミドの温度は、ポリアミドが溶融状態に保たれるように、ポリアミドの融点以上であればよいが、融点以上、(融点+70℃)以下の温度であることが好ましい。
ストランド状に抜き出された溶融状態のポリアミドは、水冷されつつペレット化される。より具体的には、ストランド状に抜き出されたポリアミドは、水槽に浸漬され水中で冷却されながら、所定の引き取り速度で引き取られつつペレダイザーにおけるカッターにより、ストランドを横断するように切断される。ここで、ペレダイザーにおけるカッター引き取り速度は、特に限定されないが、例えば100〜300m/分、好ましくは120〜280m/分である。
ストランド状に抜き出された溶融状態のポリアミドは、着水してから直ちに切断されることが好ましく、具体的には好ましくは着水後2秒以内、より好ましくは着水後1秒以内に切断されてペレット化される。ポリアミドは、着水後直ちに切断されペレット化されると、小片化された状態で直ちに冷却されることとなり、急冷されやすくなる。
ポリアミドペレットは、ペレット化された後、引き続き、水槽内を送られつつ水冷されてから離水され、水槽から取り出される。ここで、ペレット化された後、離水までの時間(以下、「ペレット水冷時間」ともいう)は、4秒以上であるが、5秒以上であることが好ましい。ペレット水冷時間が4秒未満となると、ポリアミドペレットが十分に冷却されず、スキン部分の針降下温度を58℃以上にできないおそれがある。
また、ペレット水冷時間の上限は特に限定されないが、ポリアミドペレットを効率よく製造する観点から、通常30秒以下であり、10秒以下であることが好ましい。
また、水冷終了時(すなわち、離水した際)のポリアミドペレットの温度は、65℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。また、水冷終了時のペレットの温度の下限値は、特に限定されないが、工程を効率化させるために、20℃以上が好ましく、30℃以上がさらに好ましく、35℃以上がさらに好ましい。
水槽から取り出されたポリアミドペレットは、自然乾燥されてもよいが、ドライヤーによる送風により、ペレット表面の水を強制的に除去してもよい。
また、水槽の温度は、例えば0〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃である。
上記重縮合反応においては、ジカルボン酸成分とジアミン成分は、リン原子含有化合物存在下重縮合されてもよい。このように、リン原子含有化合物が存在することで、ポリアミドの重合性を良好にできるとともに、ポリアミドの着色を防止することができる。
リン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のホスフィン酸化合物;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル等のジ亜リン酸化合物;ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等のホスホン酸化合物;亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル等の亜ホスホン酸化合物;亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が、重縮合反応を促進する効果が高くかつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。なお、本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
リン原子含有化合物は、ポリアミドペレット中に含有されるリン原子濃度換算で1〜100ppmとなるように配合されることが好ましく、より好ましくは1〜60ppmである。1ppm以上であれば、適切な速度で重縮合反応が進むとともに、重縮合反応中に着色が生じにくい。100ppm以下であれば、得られるポリアミドがゲル化しにくく、また、リン原子含有化合物に起因すると考えられるフィッシュアイの成形品中への混入も低減でき、成形品の外観が良好となる。
重縮合反応は、リン原子含有化合物に加えてアルカリ金属化合物存在下で、行なわれてもよい。アルカリ金属化合物を配合することで、アミド化反応速度が調整され、リン原子含有化合物を加えたことによって発生するおそれがあるゲル化を防ぐことができる。
アルカリ金属化合物及び前述したリン原子含有化合物は、通常、ジカルボン酸成分とジアミン成分が反応する前に反応系に添加される。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。なお、ポリアミドペレットにおけるリン原子含有化合物とアルカリ金属化合物の比率(モル比)は、重合速度制御の観点や、黄色度を低減する観点から、リン原子含有化合物/アルカリ金属化合物=1.0/0.05〜1.0/1.5の範囲が好ましく、より好ましくは、1.0/0.1〜1.0/1.2、更に好ましくは、1.0/0.2〜1.0/1.1である。
また、反応系には、ジアミン、ジカルボン酸、リン原子含有化合物、アルカリ金属化合物以外にも、分子量調整剤等のその他の添加剤や後述するその他のモノマー等がさらに添加されていてもよい。
本発明のポリアミドは、ジアミン単位及びジカルボン酸単位以外にも、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−エナントラクタム等のラクタム類、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、9−アミノノナン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸等のその他のモノマー成分由来の単位を、性能を損なわない範囲で含有していてもよい。ただし、ジアミン単位及びジカルボン酸単位は、ポリアミドにおいて主成分となり、これらの合計量は、特に限定されないが、通常、全構成単位の80モル%以上程度、好ましくは90モル%以上である。
また、本発明のポリアミドペレットには、その性能を損なわない範囲で、ポリアミド以外の他の任意成分が適宜含有されてもよい。ただし、ポリアミドは、ペレットにおける主成分となり、その含有量は、ペレット全体に対して、特に限定されないが、通常、80質量%以上程度、好ましくは90質量%以上である。
本発明のポリアミドペレットは、必要に応じて他の任意成分を混合したうえで、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、延伸、真空成形等の公知の成形方法により、所望の形状の成形品に成形することが可能である。成形品としては、特に限定されないが、フィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、中空容器、ボトル、繊維、各種形状の部品等種々のものが挙げられる。
また、本発明のポリアミドペレットは、さらに固相重合することで、高分子量化及び結晶化したペレットとしてもよい。高分子量化及び結晶化したペレットも、上記と同様に、各成形方法で各種成形品に成形可能である。
以上のように、本発明では、スキン部分における針降下温度を高くし、モルホロジーを特異な形態とすることで、ペレット内部への酸素の吸収を抑制し、熱履歴を加えても色相が悪化しない、非晶状態のポリアミドペレットを提供する。そのため、そのポリアミドペレットから得られる固相重合ペレットや成形品の色相を良好なものとすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。また、以下に示す圧力は特に断りがない限り絶対圧力を意味する。
(1)針降下温度
測定装置としてアナシス社製のVESTA Nano−TA、プローブとしてプローブ先端径が30nmのものを用いて、サーマルプローブ式nano−TAにより針降下温度の測定を以下のようにして行った。
得られたポリアミドペレットをエポキシブロックに固定し、ミクロトームにより切り出し、ペレットの軸方向における中心において、軸方向(ペレット化前のストランドの流れ方向と同じ)に対して垂直な断面を平滑面として露出させ測定試料とした。測定は、100℃/minで昇温し、試料の平滑面に接触させたプローブの変位が上昇から下降に向かう温度を針降下温度とした。コア部分の針降下温度の測定はペレットの平滑面の中心からペレット半径の70%以内の範囲で、スキン部分の針降下温度の測定はペレット外周からペレット径の2%以内の範囲で、任意に6点行い、その相加平均値をそれぞれの針降下温度とした。
(2)ペレットの染色度
得られたポリアミドペレット5gを0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液(ヨウ素:0.5g、ヨウ化カリウム:1.0g、水:100mlで調整)に浸し、23℃で12時間静置して、ポリアミドペレットを染色し、染色したポリアミドペレットを水で洗浄した後、室温(23℃)にて乾燥させた。得られた染色ペレットを白色板(XYZ表色系でX=90、Y=94、Z=111)の上に並べ、LED光源(CCS製 PTU-3024)の下,CCDカメラ(Sony製 XCL−U1000C)でペレットを撮影した。このとき、ペレットが光源を反射せず、さらには、白色板単体を撮影した場合のsRGB値が140≦R≦150、175≦G≦190、135≦B≦150となるようにカメラの感度を調節する。以上の条件で染色ペレットを撮影し、G≦90となるペレットの割合を求めた。
(3)[COOH]−[NH2]
ポリアミドペレット0.3〜0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mlに窒素気流下、160〜180℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、窒素気流下で50℃まで冷却し、撹拌しつつメタノールを10ml加え、0.01モル/l水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して末端カルボキシル基濃度([COOH])を測定した。
ポリアミドペレット0.3〜0.5gを精秤し、フェノール/エタノール混合溶液(混合容積比4:1)30mlに室温で撹拌溶解した。完全に溶解したあと撹拌しつつ0.01モル/l塩酸水溶液で中和滴定して、末端アミノ基濃度([NH2])を求めた。測定したこれら末端カルボキシル基濃度及び末端アミノ基濃度から[COOH]−[NH2]を算出した。
(4)相対粘度
試料0.2gを精秤し、96質量%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌し、完全に溶解させ、溶液を調製した。その後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に当該溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(5)融点(Tm)
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、融点(Tm)を求めた。
(6)結晶化度
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)により、窒素雰囲気、昇温速度10℃/分の条件にて測定して、測定融解熱量ΔHとポリマーの完全結晶体の融解熱量ΔHmの比率から以下の式により算出した。
結晶化度 = ΔH/ΔHm ×100 [%]
(7)黄色度YI
日本電色工業(株)製ZE−2000を用いて、JIS K7373に基づいてペレットの状態で測定した。
(8)熱履歴評価試験
得られた非晶状態のポリアミドペレットを常温(23℃)空気中で6時間放置した後、固相重合を実施した。固相重合を実施することで熱履歴を加え、熱履歴後のポリアミドペレットの黄色度YIを確認して、熱履歴による黄色度変化を確認した。
固相重合は、250Lのステンレス製タンブラーにペレットを150kg投入し、3時間で130℃まで昇温し、更に3時間を要して170℃まで昇温した後冷却することで行った。なお、ペレット投入後、タンブラー内を十分に窒素で置換し、その後タンブラー内を1.0kPa以下に保持した。得られた固相重合後のポリアミドペレットの黄色度YIを測定して評価した。
(9)イオンミリング及び観察条件
得られたポリアミドペレットをミクロトームにて軸方向に垂直に切り出し、ペレット内部の断面を平滑面として露出させたブロック状の試料を、10wt%リン・タングステン酸水溶液に入れて80℃、8時間染色した。その後、加速電圧2.5kV、放電電圧1.5kV、加工時間6min、照射角度30度、偏心量1.5mmの条件でイオンビーム(商品名.IM4000、日立ハイテク製)を平滑面に照射して試料表面にモルホロジー由来のダメージ模様を形成させ、走査型電子顕微鏡(商品名.SU8020、日立ハイテク製)を用いて倍率1000倍で表面観察を行った。
実施例1
温調されたオイルが流通する分縮器、全縮器、窒素ガス導入管、反応槽全面をオイルが流通するジャケットで覆われ、ジアミン滴下用のタンク及びポンプを備えた500リットルステンレス製回分式反応装置を用いて、次のようにポリアミドを合成した。
セバシン酸(純度99.75wt%)150.0kg(739.8mol)を仕込み、十分窒素置換した後、圧力0.4MPaで撹拌しながらセバシン酸を190℃まで加熱した。温度到達後、次亜リン酸ナトリウム一水和物7.6g(ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)を添加し、メタキシリレンジアミン(純度99.99wt%)100.2kg(735.4mol)を、反応装置内の圧力を0.4MPaに維持しながら110分かけて滴下した。ジアミンの滴下終了時の温度が240℃になるように加熱を調整し、分縮器出口側蒸気温度を101〜104℃に制御し、留出する蒸気は全縮器を通して凝縮させ、系外に放出した。ジアミン滴下終了後、撹拌しながら0.4MPaで20分間保持した後、0.01MPa/分の速度で30分かけて常圧まで落圧し、さらに80kPaまで減圧してさらに20分間撹拌保持した。ジアミン滴下終了から減圧終了までに反応液温を253℃まで昇温した。
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を加圧してポリマーを装置ボトムのストランドダイから253℃でストランド状に抜出した。抜き出したストランドは、水温25℃の水槽に着水させ、着水から0.8秒後に、水槽中でウォータースライダー型のペレタイザーによって切断してペレット化した。その後、ペレット化したポリアミドを、水槽中で引き続き冷却しながら水槽中を送り、切断から5.9秒後に離水させ、非晶状態のポリアミドペレットを得た。得られたペレットは長さ3mm、ペレット径3mm、冷却終了後のペレットの温度は40℃であった。また、ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度は200m/minであった。
なお、水槽から取り出されたペレットは、直ちに一時保管容器に保管されるが、その保管容器内の多数のペレットにシース熱電対を差込んで測定した温度を、水冷終了後のペレット温度とした。冷却終了後のペレット温度の測定方法は、以下の実施例2、3、比較例1、2でも同様である。
得られた非晶状態のポリアミドペレットは、結晶化度17%、YI=−1、([COOH]−[NH2])=44μeq/g、相対粘度2.1、融点(Tm)190℃、スキン部分の針降下温度58.4℃、コア部分の針降下温度57.6℃であり、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液で染色した際にG≦90に染色されたペレットの割合(染色度)は5%であった。
また、得られたポリアミドペレットに対してイオンミリングして観察を行うと、ペレット外周表面から約30μmの位置まで凹凸が密に形成されるとともに、その位置より中心側(コア部分)では凹凸が疎に形成されており、ポリアミドペレットのスキン部分のモルホロジーは特異な状態となっていた。
実施例2
実施例1と同様の条件で反応させてポリアミドを合成した。
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を加圧してポリマーを装置ボトムのストランドダイから253℃でストランド状に抜き出した。抜き出したストランドは、水温25℃の水槽に着水させ、着水から0.7秒後に、水槽中でウォータースライダー型のペレタイザーによって切断してペレット化した。その後、ペレット化したポリアミドは、水槽中で引き続き冷却しながら水槽中を送り、切断から5.0秒後に離水させ、非晶状態のポリアミドペレットを得た。得られたペレットは長さ3mm、ペレット径3mm、水冷終了後のペレットの温度は45℃であった。また、ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度を200m/minであった。
得られた非晶状態のポリアミドペレットは、結晶化度16%、YI=−1、([COOH]−[NH2])=45μeq/g、相対粘度2.1、融点(Tm)190℃、スキン部分の針降下温度58.7℃、コア部分の針降下温度58.1℃であり、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液で染色した際にG≦90に染色されたペレットの割合(染色度)は10%であった。
また、得られたポリアミドペレットに対してイオンミリングして観察を行うと、ペレット表面から約30μmの位置まで凹凸が密に形成されるとともに、その位置より中心側(コア部分)では凹凸が疎に形成されており、ポリアミドペレットのスキン部分のモルホロジーは特異な状態となっていた。
実施例3
温調されたオイルが流通する分縮器、全縮器、窒素ガス導入管、反応槽全面をオイルが流通するジャケットで覆われ、ジアミン滴下用のタンク及びポンプを備えた500リットルステンレス製回分式反応装置を用いて、次のようにポリアミドを合成した。
セバシン酸(純度99.75wt%)150.0kg (739.8mol)を仕込み、十分窒素置換した後、圧力0.4MPaで撹拌しながらセバシン酸を190℃まで加熱した。温度到達後、次亜リン酸ナトリウム一水和物7.6g(ポリアミド中のリン原子濃度として5ppm)を添加し、メタキシリレンジアミン/パラキシリレンジアミン(モル比:50/50)(純度99.99wt%)100.2kg(735.4mol)を、反応装置内の圧力を0.4MPaに維持しながら110分かけて滴下した。ジアミンの滴下終了時の温度が240℃になるように加熱を調整し、分縮器出口側蒸気温度を143〜147℃に制御し、留出する蒸気は全縮器を通して凝縮させ、系外に放出した。ジアミン滴下終了後、撹拌しながら0.4MPaで20分間保持した後、0.01MPa/分の速度で30分かけて常圧まで落圧し、さらに80kPaまで減圧してさらに20分間撹拌保持した。ジアミン滴下終了から減圧終了までに反応液温を253℃まで昇温した。
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を加圧してポリマーを装置ボトムのストランドダイから253℃でストランド状に抜き出した。抜き出したストランドは、水温25℃の水槽に着水させ、着水から0.7秒後に、水槽中でウォータースライダー型のペレタイザーによって切断してペレット化した。その後、ペレット化したポリアミドは、水槽中で引き続き冷却しながら水槽中を送り、切断から5.0秒後に離水させ、非晶状態のポリアミドペレットを得た。得られたペレットは長さ3mm、ペレット径3mm、水冷終了後のペレットの温度は45℃であった。また、ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度を200m/minであった。
得られた非晶状態のポリアミドペレットは、結晶化度19%、YI=0、([COOH]−[NH2])=46μeq/g、相対粘度2.1、融点(Tm)233℃、スキン部分の針降下温度63.1℃、コア部分の針降下温度62.5℃であり、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液で染色した際にG≦90に染色されたペレットの割合(染色度)は3%であった。
また、得られたポリアミドペレットに対してイオンミリング観察を行うと、ペレット表面から30μmの位置まで凹凸が密に形成されるとともに、その位置より中心側では凹凸が疎に形成されており、ポリアミドペレットのスキン部分のモルホロジーは特異な状態となっていた。
比較例1
実施例1と同様の条件で反応させてポリアミドを合成した。
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を加圧してポリマーを装置ボトムのストランドダイから253℃でストランド状に抜き出した。抜き出したストランドは、水温25℃の水槽に着水させ、着水から0.8秒後に、水槽中でウォータースライダー型のペレタイザーによって切断してペレット化した。その後、ペレット化したポリアミドを、水槽中で引き続き冷却しながら水槽中を送り、切断から2.8秒後に離水させ、非晶状態のポリアミドペレットを得た。得られたペレットは長さ3mm、ペレット径3mm、水冷終了後のペレットの温度は70℃であった。また、ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度は200m/minであった。
得られた非晶状態のポリアミドペレットはYI=−1、結晶化度16%、([COOH]−[NH2])=46μeq/g、相対粘度2.1、融点(Tm)190℃、スキン部分の針降下温度56.8℃、コア部分の針降下温度55.8℃であり、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液で染色した際にG≦90に染色されたペレットの割合(染色度)は65%であった。
また、得られたポリアミドペレットに対してイオンミリング観察を行うと、ペレット表面付近では凹凸が僅かに密に形成されていたが、凹凸の密となる部分は表面から10μm程度であり、その他部分では凹凸が疎に形成されていた。
比較例2
実施例3と同様の条件で反応させてポリアミドを合成した。
反応終了後、撹拌を停止し、窒素で反応装置内を加圧してポリマーを装置ボトムのストランドダイから253℃でストランド状に抜き出した。抜き出したストランドは、水温25℃の水槽に着水させた、着水から0.7秒後に、水槽中でウォータースライダー型のペレタイザーによって切断してペレット化した。その後、ペレット化したポリアミドを、水槽中で引き続き冷却しながら水槽中を送り、切断から2.8秒後に離水させ、非晶状態のポリアミドペレットを得た。得られたペレットは長さ3mm、ペレット径3mm、水冷終了後のペレットの温度は70℃であった。ペレタイザーにおけるカッターの引き取り速度は200m/minであった。
得られた非晶状態のポリアミドペレットはYI=0、結晶化度20%、([COOH]−[NH2])=46μeq/g、相対粘度2.1、融点(Tm)233℃、スキン部分の針降下温度57.1℃、コア部分の針降下温度56.4℃であり、0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液で染色した際にG≦90に染色されたペレットの割合(染色度)は60%であった。
また、得られたポリアミドペレットに対してイオンミリング観察を行うと、ペレット表面付近では凹凸が僅かに密に形成されていたが、凹凸の密となる部分は表面から10μm程度であり、その他部分では凹凸が疎に形成されていた
各実施例、比較例のポリアミドペレットについて、上記した固相重合反応による熱履歴評価試験を行った。各実施例、比較例の固相重合反応前、固相重合反応後のポリアミドペレットの黄色度を表1に示す。
Figure 0006365074
熱履歴評価試験の結果から明らかなように、実施例1〜3では、ペレットのスキン部分の針降下温度を高くすることで、固相重合後のポリアミドペレットの黄色度YIが良好になり、本実施例のポリアミドペレットから良好な色相を有する結晶化したペレットが得られた。一方、比較例では、ペレットのスキン部分の針降下温度が低かったため、固相重合後のペレットの黄色度YIは実施例ほど良好にならなかった。

Claims (8)

  1. ジアミン単位とジカルボン酸単位からなるポリアミドであって、ジアミン単位の50モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸単位の70モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミドからなり、かつ
    サーマルプローブを用いた局所熱分析で測定するペレットのスキン部分の針降下温度が58〜70℃であるポリアミドペレット。
  2. 0.1mol/Lヨウ素ヨウ化カリウム溶液により染色したペレットを観察したとき、G≦90(sRGB値)に染色されたペレットの割合が50%未満である請求項1に記載のポリアミドペレット。
  3. 前記ペレットのスキン部分の針降下温度が58〜68℃である請求項1又は2に記載のポリアミドペレット。
  4. 前記スキン部分の針降下温度は、ペレットのコア部分の針降下温度よりも高く、その温度差が0.1〜2℃である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドペレット。
  5. リン原子濃度1〜100ppmでリン原子含有化合物を含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドペレット。
  6. 以下の式(1)の条件を満たす請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミドペレット。
    −110μeq/g≦([COOH]−[NH2])≦110μeq/g (1)
    (なお、式(1)中、[COOH]は前記ポリアミドの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)、[NH2]は前記ポリアミドの末端アミノ基濃度(μeq/g)を表す。)
  7. 相対粘度が、1.8〜2.4である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドペレット。
  8. 溶融重縮合により得られたポリアミドから成形された請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドペレット。
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