JP2016079203A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルボキシル末端基量が少なく、耐加水分解性と伸度保持率に優れ、かつ伸度保持率ムラの少ない太陽電池フィルム用ポリエステル樹脂組成物の製造方法の提供。【解決手段】多価カルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応し、次いで重縮合反応及び固相重合反応を行うポリエステル樹脂組成物の製造方法において、重縮合反応前までに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、かつ固相重合前の固有粘度(IV)が0.40〜0.50であるポリエステル樹脂組成物の製造方法。3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、その後0.1〜7.0mol/tのリン酸アルカリ塩を添加するポリエステル樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステルに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加してポリエステル樹脂組成物の分子量分布の広がりを抑制することにより、耐加水分解性、伸度保持率に優れた太陽電池用途に適したフィルムを提供できる、品質の安定したポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れており、様々な用途に用いられている。
しかしながらポリエステルは、加水分解により機械的物性が低下するため、長期にわたって使用する場合、或いは湿気のある状態で使用する場合においては、加水分解を抑制すべく、様々な検討がなされてきた。特に太陽電池用フィルムにおいては、屋外にて20年以上の耐用年数が要求されることから、高い耐加水分解性が要求される。
しかしながらポリエステルは、加水分解により機械的物性が低下するため、長期にわたって使用する場合、或いは湿気のある状態で使用する場合においては、加水分解を抑制すべく、様々な検討がなされてきた。特に太陽電池用フィルムにおいては、屋外にて20年以上の耐用年数が要求されることから、高い耐加水分解性が要求される。
例えば、特許文献1には重合反応開始前までに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、その後固相重合を行うことで、耐加水分解性を向上させる技術が記載されている。
また、特許文献2では、ポリエステル樹脂組成物内に含まれる金属量およびリン量を規定し、さらに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加することで耐加水分解性と伸度保持率に優れたポリエステル樹脂組成物の製造方法が記載されている。
また、特許文献2では、ポリエステル樹脂組成物内に含まれる金属量およびリン量を規定し、さらに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加することで耐加水分解性と伸度保持率に優れたポリエステル樹脂組成物の製造方法が記載されている。
しかしながら特許文献1の技術は、耐加水分解性には優れるが、固相重合前の固有粘度(IV)が高いため、重合反応容器内で粘度ムラが生じて、分子量分布の広いポリマーとなってしまい、安定した品質のポリマーが得られない。
また、引用文献2の技術はトリメリット酸により耐加水分解性は向上するものの、固相重合を行っていないため、カルボキシル末端基量が多く、そのカルボキシル末端基が自己触媒として働くのでポリエステル樹脂組成物の加水分解を促進してしまい、太陽電池用途のフィルムなどに必要とされる長期にわたる耐加水分解性が不十分となる。
また、引用文献2の技術はトリメリット酸により耐加水分解性は向上するものの、固相重合を行っていないため、カルボキシル末端基量が多く、そのカルボキシル末端基が自己触媒として働くのでポリエステル樹脂組成物の加水分解を促進してしまい、太陽電池用途のフィルムなどに必要とされる長期にわたる耐加水分解性が不十分となる。
本発明の目的は、これらの課題を解決せしめ、3官能以上の多価カルボン酸成分を用いることにより、ポリエステルの分子量分布の広がりを抑制し、カルボキシル末端基量が少なく、耐加水分解性と伸度保持率に優れた太陽電池フィルム用途として好適なポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明の目的は、多価カルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応し、次いで重縮合反応及び固相重合反応を行うポリエステル樹脂組成物の製造方法において、重縮合反応開始前までに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、固相重合前の固有粘度(IV)が0.40以上0.50以下であるポリエステル樹脂組成物の製造方法により達成される。
本発明によれば、カルボキシル末端基量が少なく、耐加水分解性と伸度保持率に優れ、かつ伸度保持率ムラの少ない太陽電池フィルム用途として好適なポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明におけるジオール成分としては、各種ジオールを用いることができる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。この中で、反応系外に留出させやすいことから、沸点230℃以下のジオールであることが好ましく、低コストであり、反応性が高いことから、脂肪族ジオールがより好ましい。さらに、機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、多価カルボン酸成分と、ジオール成分とからエステル化反応を経て重縮合反応および固相重合を実施するポリエステル組成物の製造方法であって、エステル化反応を実施する第一工程、3官能以上の多価カルボン酸成分およびリン酸アルカリ金属塩などを添加する第二工程、重縮合反応を実施する第三工程および固相重合反応を行う第四工程を有する。第一工程では、触媒としてアルカリ金属、チタン化合物およびそれらのアンモニウム塩などを用いても構わない。しかしながら、重縮合反応段階で熱分解や異物発生などが問題となる可能性があるため、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。エステル化反応は、無触媒においても、カルボキシル末端基の自己触媒作用によって反応は十分に進行する。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、第二工程では、第一成分として3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、次いで第二成分として、リン酸アルカリ金属塩を添加することが好ましい。リン酸アルカリ金属塩を3官能以上の多価カルボン酸成分の後で添加することで、リン酸アルカリ金属塩の異物化を防ぐことができる。
リン酸アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウムおよびリン酸三リチウムが挙げられる。それらの中でも、耐加水分解性の点から、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸二水素カリウムが好ましく用いられる。
上記リン酸アルカリ金属塩の添加量としてはポリエステル樹脂組成物に対し、0.1mol/t以上7.0mol/t以下であることが、耐加水分解性および異物抑制の点から好ましい。さらに好ましくは1.0mol/t以上5.0mol/t以下である。この範囲の量でリン酸アルカリ金属塩を添加することで、リン酸アルカリ金属塩による白色異物の発生を抑えることもでき、耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
3官能以上の多価カルボン酸成分は、エステル化反応後が実質的に終了し、重縮合反応を開始するまでの時期に添加することが必要である。この時期に添加することで、3官能以上のカルボン酸成分が均一に分散し、分子量分布の狭いポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
3官能以上の多価カルボン酸成分としては、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、長鎖脂肪族カルボン酸を3量体化したトリマー酸などの多価カルボン酸及びその無水物やエステル等を挙げることができる。特に伸度保持率の観点および生産安定性の観点から重合時に水の発生のない無水トリメリット酸が好ましい
また、3官能以上の多価カルボン酸成分の添加量は全カルボン酸成分に対して0.01mol%以上1.00mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.03mol%以上0.70mol%以下、さらに好ましくは0.05mol%以上0.60mol%以下である。この範囲で3官能以上の多価カルボン酸成分を添加することでポリマー鎖間架橋によるゲル化を抑制し、かつ耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
また、3官能以上の多価カルボン酸成分の添加量は全カルボン酸成分に対して0.01mol%以上1.00mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.03mol%以上0.70mol%以下、さらに好ましくは0.05mol%以上0.60mol%以下である。この範囲で3官能以上の多価カルボン酸成分を添加することでポリマー鎖間架橋によるゲル化を抑制し、かつ耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
さらに、3官能以上の多価カルボン酸成分の添加方法は粉体での添加方法、水溶液での添加方法などいくつかの方法が考えられるが、0.5質量%以上5質量%以下のエチレングリコール(以下EGと表記)溶液として添加することが、3官能以上の多価カルボン酸成分の分散性、および生産性および得られるポリエステル樹脂組成物の耐加水分解性の観点から好ましい。より好ましくは1.0質量%から3.0質量%である。この範囲の濃度のEG溶液で添加することで生産性と品質の均一性を両立して生産することができる。
ポリエステル樹脂組成物の製造工程において、3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、共重合を行うことで、この共重合成分がポリマー鎖同士をつなぐ架橋剤として作用する。よって、加水分解反応によりポリエステル樹脂組成物の直鎖成分が切れた場合にも架橋部分が残るので、ポリエステル樹脂組成物自体の急激な分子量の低下を抑えることができる。その結果として、フィルムに成形したときの伸度保持率の急激な低下を抑制することかできるのである。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、第三工程では重縮合触媒としては、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド若しくはゲルマニウムテトラ−n−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化二アンチモンなどのアンチモン化合物又はチタニウムテトラブトキシド、酢酸チタン若しくはトリメリット酸チタンなどのチタン化合物を用いることができる。その中でも耐加水分解性の観点から三酸化二アンチモンを用いるのが好ましい。
上記の重縮合反応触媒の量としては、ポリエステル樹脂組成物に対し、0.20mol/t以上0.62mol/t以下であることが好ましい。この範囲で重縮合反応触媒を添加することで、重合活性の低下による生産性の低下を防止し、かつ触媒活性の増加による溶融製膜時の熱分解に起因するカルボキシル末端基の増加を抑制することができ、結果として耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
所定の撹拌トルクに到達した段階で重縮合反応を終了とし、反応系内を窒素にて常圧にし、冷水にストランド状に吐出し、カッティングし、ペレット状のポリエステル組成物を得る。このとき、ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)は0.40〜0.50とすることが必要である。より好ましくは0.42以上0.48以下、さらに好ましくは0.44以上0.46以下である。
重縮合反応終了後、所定のトルクに到達した段階で反応を終了とし、反応系内を窒素にて常圧にし、冷水にストランド状で吐出し、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得る。
重縮合反応終了後、すなわち固相重合前のポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)を0.40以上0.50以下であれば、系内のポリエステル樹脂組成物の粘度が上がり過ぎない状態で吐出できることになり、3官能以上の多価カルボン酸成分がポリエステル樹脂組成物内で均一に分散した状態でカッティングできる。その結果、架橋成分が入ることによる分子量分布の広がりを抑制したポリエステル樹脂組成物を得ることができる。さらに3官能以上の多価カルボン酸成分は反応槽内で均一に分散していることから、吐出の前期と後期でも品質の差が小さいペレットを得ることができる。
固相重合前の固有粘度(IV)を0.40未満とするとポリエステル樹脂組成物の固有粘度が低いため、安定的にストランド状に吐出できず、カッティングが不良となる。一方0.50より高い固有粘度(IV)で吐出を行うと、反応槽内でポリエステル樹脂組成物の粘度が上昇することで、攪拌機周辺とそれ以外の場所においてポリエステル樹脂組成物の粘度に差が生じてしまい、結果として安定した吐出およびカッティングが困難となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において、第三工程、すなわち重縮合反応工程で得られたポリマーペレットを、例えば150℃で4時間、真空度0.1Torrで乾燥し、結晶化した後、220℃で、真空度0.3Torrで6時間固相重合を行うことにより、本発明のポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
固相重合(第四工程)を行うことで固有粘度(IV)上昇およびカルボキシル末端基の低減を行うことができ、またカルボキシル末端基の自己触媒反応を抑制できることから、耐加水分解性を付与することができる。さらにはペレットの状態でポリエステル樹脂組成物の重縮合反応を行うことができるので、3官能以上の多価カルボン酸成分の架橋反応による粘度ムラも生じず、安定した品質のペレットを得ることができる。
本発明方法で得られたポリエステル樹脂組成物は、常法により乾燥後、通常の押し出し機、Tダイにて押し出し未延伸フィルムを得、次いで二軸延伸工程を経てフィルムにすることができる。
3官能以上の多価カルボン酸成分が各ペレットにおいて均一に共重合されているので、製膜後もフィルムのいずれの部位においても品質ムラの少ない、またどのような部位をカットしても安定した伸度保持率を有するフィルムを得ることができる。そこで幅方向に五箇所のフィルムをサンプリングし、伸度保持率を測定するとその伸度保持率の最大値と最小値の差が比較的小さいポリエステルフィルムを得ることができる。
このようにして得られたポリエステル樹脂組成物、またはこのポリエステル樹脂組成物からなる成形品はカルボキシル末端基量が低く、リン酸アルカリ金属塩による緩衝作用、さらに3官能以上の多価カルボン酸成分が均一に分散していることにより、耐加水分解性も良好、かつフィルムの幅方向の場所による品質の安定性も有しており、太陽電池用フィルムなどの用途に好適となる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
なお、物性の測定方法は次の方法に従って行った。
なお、物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(2)カルボキシル末端基量(COOH)
次の文献に記載されたMauliceの方法により測定した。
M. J.Maulice, F. Huizinga “Anal. Chim. Acta”Vol. 22, p−363(1960)。すなわち、ポリエステル組成物2gをo−クレゾール/クロロホルム(質量比7/3)50mlに溶解し、N/20−水酸化ナトリウムメタノール溶液により滴定して測定し、eq/ポリエステル1tonの値で表した。
次の文献に記載されたMauliceの方法により測定した。
M. J.Maulice, F. Huizinga “Anal. Chim. Acta”Vol. 22, p−363(1960)。すなわち、ポリエステル組成物2gをo−クレゾール/クロロホルム(質量比7/3)50mlに溶解し、N/20−水酸化ナトリウムメタノール溶液により滴定して測定し、eq/ポリエステル1tonの値で表した。
(3)ポリエステル樹脂組成物中の白色異物の定量
ポリエステル樹脂組成物のペレットを黒色台紙に5g計量し、オーツカ光学株式会社製ENV−Bを用いて白色異物をマーキングした。マーキングした白色異物について、SEM観察を行い、最大直径が5μm以上の白色異物について、SEM−EDXにて元素分析を行った。元素分析においてリン元素、及びアルカリ金属元素が検出された白色異物について個数をカウントした。5個/5g以下を合格とした。
ポリエステル樹脂組成物のペレットを黒色台紙に5g計量し、オーツカ光学株式会社製ENV−Bを用いて白色異物をマーキングした。マーキングした白色異物について、SEM観察を行い、最大直径が5μm以上の白色異物について、SEM−EDXにて元素分析を行った。元素分析においてリン元素、及びアルカリ金属元素が検出された白色異物について個数をカウントした。5個/5g以下を合格とした。
(4)耐加水分解性の評価(ΔCOOH)
ポリエステル樹脂組成物のペレットを155℃、水蒸気中で4時間処理した。
測定装置:PRESSURE COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製)カルボキシル末端基増加量(ΔCOOH)は処理前後のサンプルで評価を行った。太陽電池用途において適用可能と考えられるΔCOOHが35eq/t以下を合格とした。
ポリエステル樹脂組成物のペレットを155℃、水蒸気中で4時間処理した。
測定装置:PRESSURE COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製)カルボキシル末端基増加量(ΔCOOH)は処理前後のサンプルで評価を行った。太陽電池用途において適用可能と考えられるΔCOOHが35eq/t以下を合格とした。
(5)伸度保持率および伸度保持率差の算出
ポリエステルフィルムの破断伸度はASTM−D882(1999)に基づいて、サンプルを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間10cm、引張強度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、測定はフィルム幅方向に均等に5カ所から切り出した5サンプルについて実施し、その平均値でもって破断伸度E0とした。また、伸度保持率は、試料を測定片の形状(1cm×20cm)に切り出した後、ダバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、125℃、湿度100%RHの条件下、72時間処理を行った後、処理後のサンプルについてもASTM−D882(1999)に基づいて、チャック間5cm、引張強度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、測定はフィルム幅方向に均等に5カ所から切り出した5サンプルについて実施し、その平均値でもって破断伸度E1とした。得られた破断伸度E0、E1を用いて下記式より伸度保持率を計算した。
伸度保持率(%)=E1/E0×100
伸度保持率は太陽電池用途における耐用年数約30年以上に相当すると考えられる伸度保持率70%以上を合格とした。
また、伸度保持率差については上記のように72時間処理を行ったサンプルを測定した結果において5サンプルの測定結果の破断伸度の最大値と最小値の差を算出した。10%以下を合格とした。
ポリエステルフィルムの破断伸度はASTM−D882(1999)に基づいて、サンプルを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間10cm、引張強度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、測定はフィルム幅方向に均等に5カ所から切り出した5サンプルについて実施し、その平均値でもって破断伸度E0とした。また、伸度保持率は、試料を測定片の形状(1cm×20cm)に切り出した後、ダバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、125℃、湿度100%RHの条件下、72時間処理を行った後、処理後のサンプルについてもASTM−D882(1999)に基づいて、チャック間5cm、引張強度200mm/minにて引っ張ったときの破断伸度を測定した。なお、測定はフィルム幅方向に均等に5カ所から切り出した5サンプルについて実施し、その平均値でもって破断伸度E1とした。得られた破断伸度E0、E1を用いて下記式より伸度保持率を計算した。
伸度保持率(%)=E1/E0×100
伸度保持率は太陽電池用途における耐用年数約30年以上に相当すると考えられる伸度保持率70%以上を合格とした。
また、伸度保持率差については上記のように72時間処理を行ったサンプルを測定した結果において5サンプルの測定結果の破断伸度の最大値と最小値の差を算出した。10%以下を合格とした。
(6)吐出性
反応系の圧力、温度、口金のホール数等同じ条件で吐出を行った際の吐出性について3段階で判定し、◎および○を好適な吐出性とした。以下に判断基準を示す。
◎:吐出初期から吐出後期までストランドの乱れも無く、終始安定しているもの。
反応系の圧力、温度、口金のホール数等同じ条件で吐出を行った際の吐出性について3段階で判定し、◎および○を好適な吐出性とした。以下に判断基準を示す。
◎:吐出初期から吐出後期までストランドの乱れも無く、終始安定しているもの。
○:吐出後期または吐出初期でストランドに乱れはあるが、問題なくカッティングできているもの。
×:吐出初期または後期でストランドが乱れ、カッティングできなかったもの。
×:吐出初期または後期でストランドが乱れ、カッティングできなかったもの。
(7)ポリマーの分子量分布測定
検出器として昭和電工(株)製示差屈折率検出器RI(RI−71型、感度64)を、カラムとして東ソー(株)製TSKgel GMHHR−M(φ7.8mm×30cm、理論段数14,000段)を2本搭載した東ソー(株)製ゲル浸透クロマトグラフGPC(8)を用いてMw、Mnを求め、Mw/Mnから分子量分布を求めた。移動層にはクロロホルムを用いた。流速は1.0mL/min、カラム温度は23℃±2℃、注入量は0.200mLであった。標準試料には単分散ポリスチレン(東ソー(株)製TSK標準ポリスチレン)を用いた。
検出器として昭和電工(株)製示差屈折率検出器RI(RI−71型、感度64)を、カラムとして東ソー(株)製TSKgel GMHHR−M(φ7.8mm×30cm、理論段数14,000段)を2本搭載した東ソー(株)製ゲル浸透クロマトグラフGPC(8)を用いてMw、Mnを求め、Mw/Mnから分子量分布を求めた。移動層にはクロロホルムを用いた。流速は1.0mL/min、カラム温度は23℃±2℃、注入量は0.200mLであった。標準試料には単分散ポリスチレン(東ソー(株)製TSK標準ポリスチレン)を用いた。
(実施例1)
第一工程:予めエステル化反応装置にビスヒドロキシエチルテレフタレート52.4質量部(PET50質量部)を仕込んだ反応系内温度を245〜255℃に保ちつつ、テレフタル酸43.2質量部とEG18.6質量部からなるスラリーをスネークポンプによって反応系内に供給し、水を留出させながらエステル化反応を実施した。エステル化反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、移送装置を用いて重合装置へ移送した。
第二工程:重合装置へ移送した反応物に酢酸マンガン0.07質量部、三酸化二アンチモン0.03質量部を添加し、5分後、3官能以上の多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を0.05質量部(1.5質量%EG溶液)添加した。さらに5分後、リン酸二水素ナトリウム0.031質量部(2.0mol/t相当)/リン酸0.023質量部(2.4mol/t相当)/EG1.6質量部の混合物を添加した。
第三工程:重合装置内温度を90分かけて255℃から290℃の温度まで昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から真空へ減圧しEGを留出させた。固有粘度(IV)が0.44相当の粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部から溶融ポリマーをストランド状に吐出した。吐出されたポリエステル樹脂は水槽にて急冷後、カッターを用いてカッティングし、ペレット状のポリエステル組成物を得た。吐出性は問題なく、終始安定してペレットを得ることができた。得られたポリエステル樹脂の固有粘度(IV)を表1に示した。
第四工程:得られたポリエステル樹脂組成物を160℃で6時間で乾燥後、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torrの条件下8時間の固相重合を行い、固有粘度(IV)0.80、カルボキシル末端基8.0eq/tのポリエステル樹脂組成物を得た。その他の物性値については表1に示した。
第一工程:予めエステル化反応装置にビスヒドロキシエチルテレフタレート52.4質量部(PET50質量部)を仕込んだ反応系内温度を245〜255℃に保ちつつ、テレフタル酸43.2質量部とEG18.6質量部からなるスラリーをスネークポンプによって反応系内に供給し、水を留出させながらエステル化反応を実施した。エステル化反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了した。エステル化反応終了後、移送装置を用いて重合装置へ移送した。
第二工程:重合装置へ移送した反応物に酢酸マンガン0.07質量部、三酸化二アンチモン0.03質量部を添加し、5分後、3官能以上の多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を0.05質量部(1.5質量%EG溶液)添加した。さらに5分後、リン酸二水素ナトリウム0.031質量部(2.0mol/t相当)/リン酸0.023質量部(2.4mol/t相当)/EG1.6質量部の混合物を添加した。
第三工程:重合装置内温度を90分かけて255℃から290℃の温度まで昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から真空へ減圧しEGを留出させた。固有粘度(IV)が0.44相当の粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部から溶融ポリマーをストランド状に吐出した。吐出されたポリエステル樹脂は水槽にて急冷後、カッターを用いてカッティングし、ペレット状のポリエステル組成物を得た。吐出性は問題なく、終始安定してペレットを得ることができた。得られたポリエステル樹脂の固有粘度(IV)を表1に示した。
第四工程:得られたポリエステル樹脂組成物を160℃で6時間で乾燥後、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torrの条件下8時間の固相重合を行い、固有粘度(IV)0.80、カルボキシル末端基8.0eq/tのポリエステル樹脂組成物を得た。その他の物性値については表1に示した。
固相重合後のポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気下で押し出し機に供給し、押し出し温度280℃でTダイからキャスティングドラム(20℃)にて急冷、静電印加法にてシート化し、未延伸フィルムを得た後に、縦延伸温度90℃、縦延伸倍率3.8倍で縦延伸し、次いで横延伸温度110℃、横延伸倍率3.8倍で延伸し、熱処理温度を210℃として3秒行い、実行面倍率13.2倍として二軸延伸フィルムを得た。伸度保持率は87%、伸度保持率差は3%と品質が安定したフィルムが得られた。
(実施例2)
リン酸アルカリ金属塩をリン酸二水素カリウムとした以外は実施例1と同様の条件にて重合および製膜を行った。吐出は終始安定しており、分子量分布も6.0と比較的シャープなポリエステル樹脂組成物が得られた。リン酸二水素カリウムを用いたことで若干の品質低下(カルボキシル末端基の増加、ΔCOOHの増加等)が認められたが、フィルムの伸度保持率が83%、伸度保持率差が4%と安定した品質のフィルムが得られた。
リン酸アルカリ金属塩をリン酸二水素カリウムとした以外は実施例1と同様の条件にて重合および製膜を行った。吐出は終始安定しており、分子量分布も6.0と比較的シャープなポリエステル樹脂組成物が得られた。リン酸二水素カリウムを用いたことで若干の品質低下(カルボキシル末端基の増加、ΔCOOHの増加等)が認められたが、フィルムの伸度保持率が83%、伸度保持率差が4%と安定した品質のフィルムが得られた。
(実施例3〜4)
固相重合前の固有粘度(IV)を0.40、0.50とした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。固相重合反応前の固有粘度(IV)を0.40とした結果(実施例3)、吐出初期に若干のストランドの乱れが見られたが、その後は安定したカッティングを行うことができた。固相重合前の固有粘度(IV)が低いので分子量分布は6.3と広く、固相重合後の固有粘度(IV)も0.77と低くなったが、最終的なフィルムの伸度保持率は85%、伸度保持率差は6%であった。また、実施例4では固相重合前の固有粘度(IV)を0.50とした結果、吐出後期に太いストランドが発生したが、最後まで問題なくカッティングできた。固相重合後の固有粘度(IV)は0.82と高く、分子量分布は7.5と広くなったが、伸度保持率は86%と高く、伸度保持率差は9%となった。いずれも太陽電池用途に使用しても問題ないレベルであった。
固相重合前の固有粘度(IV)を0.40、0.50とした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。固相重合反応前の固有粘度(IV)を0.40とした結果(実施例3)、吐出初期に若干のストランドの乱れが見られたが、その後は安定したカッティングを行うことができた。固相重合前の固有粘度(IV)が低いので分子量分布は6.3と広く、固相重合後の固有粘度(IV)も0.77と低くなったが、最終的なフィルムの伸度保持率は85%、伸度保持率差は6%であった。また、実施例4では固相重合前の固有粘度(IV)を0.50とした結果、吐出後期に太いストランドが発生したが、最後まで問題なくカッティングできた。固相重合後の固有粘度(IV)は0.82と高く、分子量分布は7.5と広くなったが、伸度保持率は86%と高く、伸度保持率差は9%となった。いずれも太陽電池用途に使用しても問題ないレベルであった。
(実施例5)
第二工程において、リン酸二水素ナトリウムの添加5分後に無水トリメリット酸を添加した以外は実施例1と同様の条件にて重合および製膜を行った。分子量分布は7.3、伸度保持率は78%、伸度保持率差は6%であった。
第二工程において、リン酸二水素ナトリウムの添加5分後に無水トリメリット酸を添加した以外は実施例1と同様の条件にて重合および製膜を行った。分子量分布は7.3、伸度保持率は78%、伸度保持率差は6%であった。
(実施例6〜9)
リン酸二水素ナトリウムの添加量をそれぞれ0.1mol/t、0.05mol/t、7.0mol/t、10mol/tとした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。リン酸二水素ナトリウムの量を減らした実施例6と実施例7は伸度保持率がやや低下し、それぞれ78%、75%となったが、品質としては問題ないレベルであった。また、リン酸二水素ナトリウムの添加量を増やした実施例8と実施例9の5g中の異物の個数はそれぞれ1個と3個となった。さらに、リン酸二水素ナトリウムを増やしたことによりカルボキシル末端基量も増加し、それぞれ8.7eq/t、9.0eq/tフィルムの伸度保持率はそれぞれ78%と76%であったが太陽電池用途としては問題ないレベルであった。
リン酸二水素ナトリウムの添加量をそれぞれ0.1mol/t、0.05mol/t、7.0mol/t、10mol/tとした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。リン酸二水素ナトリウムの量を減らした実施例6と実施例7は伸度保持率がやや低下し、それぞれ78%、75%となったが、品質としては問題ないレベルであった。また、リン酸二水素ナトリウムの添加量を増やした実施例8と実施例9の5g中の異物の個数はそれぞれ1個と3個となった。さらに、リン酸二水素ナトリウムを増やしたことによりカルボキシル末端基量も増加し、それぞれ8.7eq/t、9.0eq/tフィルムの伸度保持率はそれぞれ78%と76%であったが太陽電池用途としては問題ないレベルであった。
(実施例10)
3官能以上の多価カルボン酸成分としてトリメリット酸を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。吐出性も問題なく、分子量分布も6.0であり、フィルムの伸度保持率としては80%、トリメリット酸を用いることで伸度保持率差は若干悪化し、7%となったが、問題ないレベルであった。
3官能以上の多価カルボン酸成分としてトリメリット酸を用いたこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。吐出性も問題なく、分子量分布も6.0であり、フィルムの伸度保持率としては80%、トリメリット酸を用いることで伸度保持率差は若干悪化し、7%となったが、問題ないレベルであった。
(実施例11〜13)
無水トリメリット酸の添加量をそれぞれ0.01mol%、1.00mol%、1.50mol%とした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。無水トリメリット酸の添加量を減らした実施例11については、フィルムの伸度保持率が76%とやや低下したが、伸度保持率差は3%であり、問題ないレベルであった。無水トリメリット酸の添加量を増やした実施例12、13については、吐出後期に太いストランドが発生したが、最後まで問題なく、カッティングはできた。フィルムの伸度保持率としてはそれぞれ84%、85%と高い品質のものが得られたが、無水トリメリット酸の添加量の増加によりカルボキシル末端基量がそれぞれ8.6eq/t、8.9eq/tと増加し、伸度保持率差が、それぞれ8%、9%となったが、問題ないレベルであった。
無水トリメリット酸の添加量をそれぞれ0.01mol%、1.00mol%、1.50mol%とした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。無水トリメリット酸の添加量を減らした実施例11については、フィルムの伸度保持率が76%とやや低下したが、伸度保持率差は3%であり、問題ないレベルであった。無水トリメリット酸の添加量を増やした実施例12、13については、吐出後期に太いストランドが発生したが、最後まで問題なく、カッティングはできた。フィルムの伸度保持率としてはそれぞれ84%、85%と高い品質のものが得られたが、無水トリメリット酸の添加量の増加によりカルボキシル末端基量がそれぞれ8.6eq/t、8.9eq/tと増加し、伸度保持率差が、それぞれ8%、9%となったが、問題ないレベルであった。
(実施例14〜19)
無水トリメリット酸の添加方法を0.5質量%EG溶液、5.0質量%EG溶液、0.1質量%EG溶液、10質量%EG溶液、1.5質量%水溶液、粉体とした以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。EG溶液濃度を下げた実施例14、16について分子量分布は6.0および5.8であり、伸度保持率は共に83%と、良好な品質のフィルムが得られた。ただ、EG量を増やしたことにより重合時間の延長が見られた。EG溶液濃度を上げた実施例15、17についてはフィルムの伸度保持率は82%、85%と良好な結果となった。ただ、濃度をあげたことにより、添加時の分散性が下がり、分子量分布がそれぞれ6.5、6.8と広がり、フィルムの伸度保持率差は8%、9%となったが、問題ないレベルとなった。また、同濃度の水溶液として添加した実施例18は水を添加したことによりフィルムの伸度保持率が78%と低下したが、問題ないレベルであった。さらに無水トリメリット酸を粉体で添加した実施例19は無水トリメリット酸の分散性が低下し、吐出の中盤に太いストランドの発生が見られた。固相重合後に得られたポリエステル樹脂組成物の分子量分布は7.5と広く、カルボキシル末端基量は8.5と高くなったが、フィルムの伸度保持率は80%であり、問題ないレベルであった。
無水トリメリット酸の添加方法を0.5質量%EG溶液、5.0質量%EG溶液、0.1質量%EG溶液、10質量%EG溶液、1.5質量%水溶液、粉体とした以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。EG溶液濃度を下げた実施例14、16について分子量分布は6.0および5.8であり、伸度保持率は共に83%と、良好な品質のフィルムが得られた。ただ、EG量を増やしたことにより重合時間の延長が見られた。EG溶液濃度を上げた実施例15、17についてはフィルムの伸度保持率は82%、85%と良好な結果となった。ただ、濃度をあげたことにより、添加時の分散性が下がり、分子量分布がそれぞれ6.5、6.8と広がり、フィルムの伸度保持率差は8%、9%となったが、問題ないレベルとなった。また、同濃度の水溶液として添加した実施例18は水を添加したことによりフィルムの伸度保持率が78%と低下したが、問題ないレベルであった。さらに無水トリメリット酸を粉体で添加した実施例19は無水トリメリット酸の分散性が低下し、吐出の中盤に太いストランドの発生が見られた。固相重合後に得られたポリエステル樹脂組成物の分子量分布は7.5と広く、カルボキシル末端基量は8.5と高くなったが、フィルムの伸度保持率は80%であり、問題ないレベルであった。
(実施例20)
重縮合触媒を三酸化二アンチモンではなく、二酸化ゲルマニウムとした以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。二酸化ゲルマニウムを用いることでフィルムの伸度保持率が75%と低下したが、問題ないレベルであった。
重縮合触媒を三酸化二アンチモンではなく、二酸化ゲルマニウムとした以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。二酸化ゲルマニウムを用いることでフィルムの伸度保持率が75%と低下したが、問題ないレベルであった。
(実施例21〜24)
三酸化二アンチモンの添加量をそれぞれポリエステル樹脂組成物に対して、0.20mol/t、0.62mol/t、0.10mol/t、0.90mol/tとした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。三酸化二アンチモンの添加量を減らした実施例21、23は他の実施例と同様の固重条件では固有粘度(IV)が0.76および0.73までしか上がらず、フィルムの伸度保持率もそれぞれ79%、78%となったが、問題ないレベルであった。また、三酸化二アンチモンの添加量を増加させた実施例22、24については触媒活性が上がったことにより、固相重合後のIVが増加し、さらにΔCOOHがそれぞれ26eq/t、29eq/tと増加したことから、伸度保持率はそれぞれ78%、75%となったが、問題ないレベルであった。
三酸化二アンチモンの添加量をそれぞれポリエステル樹脂組成物に対して、0.20mol/t、0.62mol/t、0.10mol/t、0.90mol/tとした以外は実施例1と同様の方法で重合および製膜を行った。三酸化二アンチモンの添加量を減らした実施例21、23は他の実施例と同様の固重条件では固有粘度(IV)が0.76および0.73までしか上がらず、フィルムの伸度保持率もそれぞれ79%、78%となったが、問題ないレベルであった。また、三酸化二アンチモンの添加量を増加させた実施例22、24については触媒活性が上がったことにより、固相重合後のIVが増加し、さらにΔCOOHがそれぞれ26eq/t、29eq/tと増加したことから、伸度保持率はそれぞれ78%、75%となったが、問題ないレベルであった。
(比較例1)
3官能以上の多価カルボン酸成分を添加しないこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。3官能以上の多価カルボン酸成分を添加しないことにより吐出性は安定しているものの、フィルムの伸度保持率は65%と低く、太陽電池用途には不十分な品質となった。
3官能以上の多価カルボン酸成分を添加しないこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。3官能以上の多価カルボン酸成分を添加しないことにより吐出性は安定しているものの、フィルムの伸度保持率は65%と低く、太陽電池用途には不十分な品質となった。
(比較例2)
実施例1と同様の製造方法において重縮合反応を行い、固相重合前の固有粘度(IV)を0.55として吐出を行ったが、ストランドが乱れて、ポリエステル樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
実施例1と同様の製造方法において重縮合反応を行い、固相重合前の固有粘度(IV)を0.55として吐出を行ったが、ストランドが乱れて、ポリエステル樹脂組成物のペレットを得ることができなかった。
(比較例3)
実施例1と同様の製造方法において重縮合反応を行い、固相重合前の固有粘度(IV)を0.39として吐出を行ったが、粘度不足でペレット化できなかった。
実施例1と同様の製造方法において重縮合反応を行い、固相重合前の固有粘度(IV)を0.39として吐出を行ったが、粘度不足でペレット化できなかった。
(比較例4)
溶液重合後の固有粘度(IV)を0.50とし、固相重合を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。固相重合をしていないことでカルボキシル末端基量は11(eq/ton)と高く、伸度保持率も50%となり、太陽電池用途として使用するには不十分な品質となった。
溶液重合後の固有粘度(IV)を0.50とし、固相重合を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法にて重合および製膜を行った。固相重合をしていないことでカルボキシル末端基量は11(eq/ton)と高く、伸度保持率も50%となり、太陽電池用途として使用するには不十分な品質となった。
Claims (9)
- 多価カルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応し、次いで重縮合反応及び固相重合反応を行うポリエステル樹脂組成物の製造方法において、重縮合反応前までに3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、かつ固相重合前の固有粘度(IV)が0.40以上0.50以下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 3官能以上の多価カルボン酸成分を添加し、その後リン酸アルカリ金属塩を添加することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- リン酸アルカリ金属塩の添加量が0.1mol/t以上7.0mol/t以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 3官能以上の多価カルボン酸成分が無水トリメリット酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 3官能以上の多価カルボン酸成分が全カルボン酸成分に対して0.01mol%以上1.00mol%未満含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 3官能以上の多価カルボン酸成分を0.5質量%以上5質量%以下のエチレングリコール溶液として添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 重縮合反応触媒が三酸化二アンチモンであり、その添加量が0.20mol/t以上0.62mol/t以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法で得られたポリエステル樹脂組成物を成形してなる太陽電池用フィルム。
- フィルムの伸度保持率が70%以上であり、フィルムの幅方向に取った5サンプルの伸度保持率の最大値と最小値の差が10%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法によって製造される太陽電池用フィルム。
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US11110629B2 (en) | 2017-05-26 | 2021-09-07 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Method for producing resin pellets |
-
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- 2014-10-10 JP JP2014208687A patent/JP2016079203A/ja active Pending
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