JP2014001257A - バイオマス資源由来ポリエステルの製造方法およびバイオマス資源由来ポリエステル - Google Patents

バイオマス資源由来ポリエステルの製造方法およびバイオマス資源由来ポリエステル Download PDF

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Abstract

【課題】化石資源の使用量、二酸化炭素の増大を大幅に抑制可能で、バイオ化率が高く、実用化に耐えうるほど高粘度、色調良好で、かつアセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率が低いバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法およびバイオマス資源由来ポリエステルを提供する。
【解決手段】バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルの製造方法であり、重合反応時の最終到達温度が275〜300℃、最終重合撹拌速度が2〜30rpmの範囲であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はバイオマス資源由来の原料から得られるポリエステルの製造方法およびバイオマス資源由来ポリエステルに関する。
化石資源である石油は化学工業の重要な原料であるが、将来的には枯渇の懸念があるうえ、製造工程及び焼却廃棄時に大量の二酸化炭素を排出するため、地球規模での温暖化など一連の問題を招いている。このような状況の中、再生原材料や環境負荷の低い材料の使用に大きな注目が集まっている。
バイオマス資源は、植物が光合成により水と二酸化炭素を原料にして転化してなるものであり、でんぷん、炭水化物、セルロース、リグニンなどがある。バイオマス資源は生産過程の中で二酸化炭素を原料として用いているため、バイオマス資源を用いた材料は、使用後焼却処理して二酸化炭素と水に分解されたとしても、新たに二酸化炭素を発生することにはならず、場合によっては再び植物に取り込まれることになるため、再生可能資源であると言える。これらバイオマス資源を化石資源の代替として使用することができれば、化石資源の減少および二酸化炭素の増加が抑制されることとなる。
ポリエステルは、機械的強度、化学的安定性、透明性に優れ、かつ安価であるため、各種の繊維、フィルム、シート、容器等として世界中で最も多く使用されている合成樹脂のひとつである。このような使用量の多いポリエステルを再生可能なバイオマス資源から合成する試みが種々検討されている。例えばとうもろこしを発酵して、生物工学と化学工学の工程を通じて、1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)を得て、非石油由来のバイオ材料を含有するポリプロピレンテレフタレート(PPT)、バイオマス資源由来のエチレングリコールを原料としたポリエチレンテレフタレート(PET)などが報告されている(特許文献1〜4)。しかしながら、これらポリマーの14C濃度から求まるバイオ化率は理論上それぞれ27%(PPT)、20%(PET)にとどまる。一方、バイオマス資源由来のテレフタル酸成分を用いたバイオ化率が94%のポリブチレンテレフタレート(特許文献5)やポリエチレンテレフタレート(特許文献6)も報告されているが、バイオマス資源由来のポリエステル原料にはバイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質、金属カチオンなどに由来する種々の微量不純物が存在しているため、重合反応性が悪く実用化に耐えうるほどの粘度を有するポリマーを得ることは困難であり、また仮に得られたとしてもポリマーは著しく着色するため用途が極めて限定されるなどの課題を有していた。これらの課題に対して、本発明者らの研究グループはバイオマス資源由来ポリエステルにリン化合物を含有させることにより、重合反応性が良好で、かつポリマー色調の良好なバイオマス資源由来ポリエステルを得ることが出来ることを報告した(特許文献7)。しかしながら、バイオマス資源由来ポリエステルを、実用化に耐えうるほど高粘度、色調良好、かつアセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率が低下したものとするため、更なる向上が求められていた。
米国特許第6,428 ,767B1(実施例) 中国特許公開CN101046007(特許請求の範囲) 特開2009−91694号公報(特許請求の範囲) 国際特許WO2009/72462号公報(特許請求の範囲) 国際特許WO2010/78328号公報(特許請求の範囲) 国際特許WO2009/120457号公報(特許請求の範囲) 特開2011−219736号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、化石資源の減少および二酸化炭素の増大を大幅に抑制しうる、バイオ化率が高く、実用化に耐えうるほど高粘度、色調良好で、かつアセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率が低くなるようにしたバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法およびこの製造方法により得られるバイオマス資源由来ポリエステルを提供することにある。
上記の課題を解決する本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルの製造方法であり、重合反応時の最終到達温度が275〜300℃、最終重合撹拌速度が2〜30rpmの範囲であることを特徴とする。
本発明の製造方法により、バイオ化率が高く、かつ実用化に耐えうるほど高粘度であり、色調に優れ、アセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率が低い良好なバイオマス資源由来ポリエステルを再現性良く得ることができる。このようなポリエステルは広範な用途に利用され、使用量の多い従来の化石資源由来ポリエステル製品の代替となり、化石資源の減少および二酸化炭素の増大を大幅に抑制することが出来る。
本発明の製造方法は、エステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度が235〜265℃の範囲であるとよい。また重合反応を開始する時点の反応温度が225〜275℃の範囲であることが好ましい。
また重合反応を開始する時点から重合反応時の最終到達温度に到達するまでの時間が15〜360分の範囲であるとよく、重合反応時の最終到達圧力が0.1〜500Paの範囲であるとよい。更に重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間が10〜300分の範囲であるとよく、重合反応終了後のポリエステルを冷却するとき、電気伝導率が0.05〜2000μS/cm、TOCが0.01〜30mg/Lの冷却水を用いることが好ましい。またバイオマス資源由来ジオールとしてはバイオマス資源由来エチレングリコールを用いるとよい。
本発明の製造方法により得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、アセトアルデヒド含有量を50ppm以下、ゲル化率を15%以下にすることができ、またこのポリエステルのペレット1000粒あたりの重量を20〜60gにすることができる。このペレットは、連ペレット率が8%以下であるとよい。更にこのバイオマス資源由来ポリエステルを用いてなる繊維は、染料吸尽率を85%以上にすることができる。
バイオマス資源から一般的な方法によって得られるバイオマス資源由来テレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体は、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質に由来する塩基成分を初めとした種々の微量不純物が存在する。これらの不純物が存在すると、重合反応性を低下させたり、得られるポリエステルの着色を引き起こしたり、熱安定性が悪いため、アセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率などを増大させる要因となっていた。本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、実用化に耐えうるほど高粘度であり、優れたポリマー色調、そしてアセトアルデヒド含有量、ゲル化率および連ペレット率が低い良好なバイオマス資源由来ポリエステルを再現性良く得るためには、従来の化石資源由来ポリエステルとは異なり、種々の重合条件を詳細に設計する必要があることを明らかにした。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、バイオマス資源由来ジオールをジオール成分とし、バイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸成分として用いることが必須である。バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体とを用いることにより、バイオ化率を高め、化石資源の使用量抑制および二酸化炭素の増大の抑制という目的を達成できる。
全ジカルボン酸成分に対するバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体の割合は、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
本発明のバイオマス資源由来テレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体を得る方法としては特に限定されず、どのような方法が用いられてもよい。バイオマス資源由来テレフタル酸は、例えば、特許文献5や国際公開第2010/148070号公報に記載の方法などが挙げられる。また、特許文献6や特開2007−176873号公報、国際公開第2009/64515号公報、国際公開第2009/79213号公報、国際公開第2010/151346号公報、特開2011−168501号公報に記載の方法などが挙げられる。また、バイオマス資源由来テレフタル酸のエステル形成性誘導体は、上記の方法で得られるバイオマス資源由来テレフタル酸をメタノールやエタノール等のアルコールでエステル化して得る方法などが挙げられる。なかでも国際公開第2009/79213号公報に従って、バイオマス資源由来のイソブタノールを原料として、イソブテン、パラキシレンを経由してバイオマス資源由来テレフタル酸およびバイオマス資源由来テレフタル酸のエステル形成性誘導体を得る方法が特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、テレフタル酸ジプロピルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸メチル(2−ヒドロキシエチル)、テレフタル酸ジ(2−ヒドロキシエチル)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上併用して用いても良い。テレフタル酸ジメチルエステルであると、蒸留精製することが可能となり、高純度にすることが出来るため好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、バイオマス資源由来ジオールをジオール成分として用いることが必須である。バイオマス資源由来ジオールをジオール成分として用いることにより、バイオ化率を高め、化石資源の使用量抑制および二酸化炭素の増大の抑制という目的を達成できる。全ジオール成分に対するバイオマス資源由来ジオールの割合は、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ジオールは、バイオマス資源から得られるものであれば特に限定されないが、得られるポリエステルの物性が良好である観点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特にバイオマス資源由来エチレングリコールであると得られるポリマーの融点が高くなり好ましい。
バイオマス資源からこれらジオールを得る方法は特に限定されず、どのような方法が用いられてもよいが、例としてそれぞれ以下の方法が挙げられる。
バイオマス資源からエチレングリコールを得る方法としては、例えば、とうもろこし、さとうきび、小麦または農作物の茎などのバイオマス資源から得る方法がある。これらバイオマス資源はまずでんぷんに転化され、でんぷんは水と酵素でグルコースに転化され、続いて水素添加反応にてソルビトールに転化され、ソルビトールは引続き一定の温度と圧力で触媒存在下、水素添加反応にて各種のグリコールの混合物となり、これを精製してエチレングルコールを得る方法がある。別の方法として、さとうきび等の炭水化物系作物などから生物学的処理方法によりバイオエタノールを得た後、エチレンへ変換し、さらにエチレンオキサイドを経てエチレングリコールを得る方法がある。さらに別の方法として、バイオマス資源からグリセリンを得た後、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを得る方法がある。このようにして得られるエチレングリコールは種々の不純物を含んでいるが、不純物として1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールのそれぞれが1重量%以下であることが好ましく、得られるポリエステルの物性面から0.5重量%以下であることが更に好ましく、得られるポリエステルの色調の観点から0.1重量%以下であることがより好ましい。
バイオマス資源から1,3−プロパンジオールを得る方法としては特に限定されないが、例えばグルコース等の糖から発酵、それに続く精製により得ることが出来る。
バイオマス資源から1,4−ブタンジオールを得る方法としては特に限定されないが、例えば発酵法により得られたコハク酸、コハク酸無水物、コハク酸エステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン等から還元等の化学合成により1,4−ブタンジオールを得ることが出来る。
本発明の製造方法において、本発明の効果が実質的に損なわれない範囲内で、共重合成分を含有することができる。共重合成分として、例えばイソフタル酸、イソフタル酸−5−スルホン酸塩、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビスフェノールジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、琥珀酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体のようなジカルボン酸成分や、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が500〜20000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のようなジオール成分を例示することができる。これら共重合成分は単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明の最も好ましい態様は、ジカルボン酸成分としてバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはバイオマス資源由来テレフタル酸ジメチルエステルからなり、ジオール成分としてはバイオマス資源由来エチレングリコールからなるバイオマス資源由来ポリエチレンテレフタレートの製造方法である。
本発明により得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、後述する方法によって求められるバイオ化率が、60%以上であると化石資源の減少および二酸化炭素の増大をより抑制できるため好ましい。本発明でいうバイオ化率とは、ASTM D6866に基づき、ポリマー中の全炭素原子に対して、1950年代の循環炭素中の放射性炭素(14C)の濃度を基準として求まるバイオマス資源由来の炭素の割合を示す。バイオ化率は、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましく、100%であることが最も好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルの製造方法は、次の2段階の工程から成る。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、(C)重合反応からなる2段階目の工程である。
1段階目の工程のうち、(A)エステル化反応の工程は、バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸とを所定の温度でエステル化反応させ、所定量の水が留出するまで反応をおこない低重合体を得る工程である。また(B)エステル交換反応の工程は、バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸のエステル形成性誘導体とを所定の温度でエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応をおこない低重合体を得る工程である。
2段階目の工程である(C)重合反応は、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応で得られた低重合体が添加された反応器内を減圧にすることにより重合反応を開始し(以下「重合反応を開始する時点」という。)、反応器内の温度、圧力および攪拌速度を調節し重合反応を行い、攪拌トルクが所定の値に到達した時、すなわちポリエステルが所望の粘度に到達した時(以下「重合反応の最終到達の時点」という。)まで重合を行うことにより、高分子量ポリエステルを得る工程である。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応時の最終到達温度が275〜300℃の範囲にすることが必須である。ここで言う重合反応時の最終到達温度とは、本発明の(C)重合反応において、ポリエステルが所望の粘度に到達した時点の重合反応温度を示す。バイオマス資源由来テレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体には、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質、金属カチオンなどに由来する種々の微量不純物が存在しているため、化石資源由来テレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体を用いてなるポリエステルの製造方法とは異なり、より詳細な重合条件を選択して重合を行う必要がある。重合反応時の最終到達温度が275℃より低いと、重合反応性が悪化し、実用化に耐えうるほどの高粘度のバイオマス資源由来ポリエステルを得ることが出来ない。一方、重合反応時の最終到達温度が300℃より高くなると、熱安定性が悪いため、得られるポリエステルは着色し、副生物であるジエチレングリコール、アセトアルデヒドなどの増加やゲル化率の上昇および連ペレット率の上昇を引き起こすため、実用化に耐えうるバイオマス資源由来ポリエステルを得ることは出来ない。重合反応時の最終到達温度は、重合反応性およびポリマー色調、副生物であるジエチレングリコール、アセトアルデヒドなどの含有量やゲル化率、連ペレット率などのポリマー特性の観点から、275〜295℃の範囲であることが好ましく、280〜295℃の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応時の最終撹拌速度が2〜30rpmの範囲にすることが必須である。ここで言う重合反応時の最終撹拌速度とは、本発明の(C)重合反応において、ポリエステルが所望の粘度に到達した時点の重合撹拌速度を示す。重合反応時の最終撹拌速度が2rpmより遅いと、重合反応性が低下し、実用化に耐えうるほどの高粘度のバイオマス資源由来ポリエステルを得ることが出来ない。一方、重合反応時の最終撹拌速度が30rpmより速いと、せん断発熱による分解が起こり、副生物であるジエチレングリコール、アセトアルデヒド、環状3量体などの増加を引き起こしてしまう。バイオマス資源由来テレフタル酸およびそのエステル形成性誘導体には、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質、金属カチオンなどに由来する種々の微量不純物が存在しているため、重合反応時の最終撹拌速度による重合遅延やせん断発熱による分解の影響を大きく受けやすい。重合反応時の最終撹拌速度は、4〜20rpmの範囲であることが好ましく、7〜15rpmの範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、重合反応時の撹拌に用いられる撹拌翼は、通常ポリエステルの重合反応に用いられる撹拌翼のいずれも使用することが出来るが、ヘリカルリボン翼、シャフトレスリボン翼、二重らせん翼などが好ましく用いられる。ヘリカルリボン翼であると撹拌効率が良好となるためより好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、撹拌機の回転方向は特に限定されない。撹拌翼によって内容物が掻き上げ方向になる場合は、撹拌効率が高く反応性が向上する。一方、撹拌翼によって内容物が掻き下げ方向になる場合は、内容物が撹拌翼の上部や反応缶壁の上部に付着して高融点化した異物を発生するのを抑制できる。本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質、金属カチオンなどに由来する種々の微量不純物の影響によって異物が発生しやすいため、撹拌機の回転方向は、撹拌翼によって内容物が掻き下げ方向であることが好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、重合反応缶の缶壁面と撹拌翼との間隙は任意に選択することが出来る。重合反応缶の缶壁面と撹拌翼との間隙が小さいと撹拌効率が高くなり反応性を上げることが出来るが、一方でせん断発熱が大きくなるために熱分解が進行する場合がある。重合反応缶の缶壁面と撹拌翼との間隙は、重合反応缶の直径の0.01〜0.25の範囲であると重合反応性が良好で、かつせん断発熱による分解を少なくすることが出来る。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応を開始する時点の反応温度が220〜285℃の範囲であると、得られるポリエステルの色調が良好となり、アセトアルデヒド含有量、ゲル化率、連ペレット率を低下でき、またジエチレングリコールの含有量が適量となるため好ましい。ここで言う重合反応を開始する時点の反応温度とは、本発明の(C)重合反応において、低重合体が添加された重合反応器の減圧を開始する時点の反応温度のことを示す。重合反応を開始する時点の反応温度は、225〜275℃の範囲であることがより好ましく、230〜270℃の範囲であることがさらに好ましく、240〜260℃の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応を開始する時点から重合反応の最終到達温度に到達するまでの時間が15〜360分の範囲であると、得られるポリエステルの着色を抑制でき、また副生物であるジエチレングリコール、アセトアルデヒド、環状3量体の増加を抑制できるため好ましい。重合反応を開始する時点から重合反応の最終到達温度に到達するまでの時間が短すぎると、重合反応に伴う生成物である水の留出が十分で無くなり、副生物であるジエチレングリコールやアセトアルデヒド、環状3量体の含有量が増加する場合がある。また重合反応を開始する時点から重合反応の最終到達温度に到達するまでの時間が長すぎると、重合反応性が低下して重合時間が長くなり、得られるポリエステルが着色する場合がある。重合反応を開始する時点から重合反応の最終到達温度に到達するまでの時間は、30〜300分の範囲であることがより好ましく、45〜240分の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応時の最終到達圧力が0.1〜500Paの範囲であると、得られるポリエステルの着色を抑制でき、またアセトアルデヒド含有量やゲル化率、連ペレット率を低下出来るため好ましい。ここで言う重合反応時の最終到達圧力とは、本発明の(C)重合反応において、ポリエステルが所望の粘度に到達した時点の重合反応圧力を示す。重合反応時の最終到達圧力を低くすることによって、ポリエステルの着色抑制やアセトアルデヒド含有量やゲル化率、連ペレット率を低下できる理由は明らかになっていないが、現時点では重合反応時の最終到達圧力を低くするとポリエステル原料中に含まれるバイオマス資源由来の微量夾雑物が、重合反応系から留去されるために起こるものと推定している。重合反応時の最終到達圧力は、0.1〜300Paの範囲であることが好ましく、0.1〜133Paの範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間が10〜300分の範囲であると、得られるポリエステルの着色を抑制でき、また高重合度のポリエステルを得ることが出来るため好ましい。重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間が短すぎると、重合反応に伴う生成物である水やバイオマス資源由来の微量夾雑物だけでなく、ポリエステル原料であるジカルボン酸やジオール成分の留出が起こり、ポリエステルの重合度が上がらなくなる場合がある。重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間が長すぎると、重合反応性が低下して重合時間が長くなり、得られるポリエステルが着色する場合がある。重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間は、15〜250分の範囲であることがより好ましく、20〜200分の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、エステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度が225〜270℃の範囲であると、重合反応が良好となり、また得られるポリエステルの色調が優れ、アセトアルデヒド含有量やゲル化率、連ペレット率を低下させることができ好ましい。ここで言うエステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度とは、本発明の(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応中において、所定量の留出物が発生してエステル化反応またはエステル交換反応を終了する時点の反応温度を示す。エステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度は、235〜265℃の範囲であることがより好ましく、240〜260℃の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、重合反応時間が30分以上であると、ポリエステルの粘度上昇が緩やかになり、所望の粘度のポリエステルが得られるため好ましい。重合反応時間は、本発明の(C)重合反応において、重合反応器内の減圧を開始する時点からポリエステルが所望の粘度(撹拌トルク)に到達した時点までの時間をいう。重合反応時間が360分以下であると、ポリエステルの着色を抑制でき、また副生物であるジエチレングリコール、アセトアルデヒド、環状3量体の増加や異物の発生を抑制できるため好ましい。重合反応時の最終到達温度、重合反応を開始する時点の反応温度、エステル化反応またはエステル交換反応時の反応温度が高いと重合反応時間は短くなる傾向にあり、反応温度が低いと重合反応時間は長くなる傾向にある。重合反応時間は、60〜300分の範囲であることが好ましく、90〜240分の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、重合反応終了後、重合反応槽よりストランド状に吐出し、冷却した後、切断してペレット化すると、乾燥、保管、運搬、輸送、成形加工などのハンドリングが容易となるため好ましい。本発明のバイオマス資源由来ポリエステルをペレット化する方法は特に限定されないが、重合反応が所望の重合度に到達した後、得られたポリエステルを重合反応器よりストランド状に抜出し、冷却水により冷却した後カッティングする方法によって得られることが好ましい。ただし、本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、アミノ酸やたんぱく質に由来する塩基成分を初めとした種々の微量不純物が存在するため、従来化石資源由来のポリエステルに比べて結晶化特性や熱安定性が悪いため、種々の条件を詳細に設定しないと、ペレットの着色、切断不良、融着などの問題が発生する場合がある。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルを重合反応槽よりストランド状に吐出する場合は、ストランドの太さは直径1〜20mmの範囲にすることが好ましい。ストランドの太さが細すぎると、ポリエステルの吐出に時間がかかるため、重合反応槽での滞留時間が長くなる傾向がある。本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来の種々の微量夾雑物の存在により、熱分解による影響がより顕著に見られるため、重合反応槽での滞留時間が長くなるとポリエステルの着色や粘度低下が起こる場合がある。一方、ストランドの太さが太すぎると、ポリエステルの冷却が不十分となり、ストランドの表面が完全に固化せず切断不良となったり、切断後のペレット同士が融着して連ペレットとなる場合がある。本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来の種々の微量夾雑物の存在により、従来の化石資源由来のポリエステルに比べて結晶化特性が異なるため、ペレットの切断不良や融着などの問題が発生する場合がある。バイオマス資源由来ポリエステルのストランドの太さを上記の範囲にすることで、ストランド表面は完全に冷却固化しているが、内部はある程度柔軟性を保った冷却状態として切断することが出来るので、切断不良の少ない、安定した製造が可能となる。ストランドの太さは、直径1.5〜15mmであるとより好ましく、直径2〜10mmであることが特に好ましい。
ストランドを冷却する方法としては、特に限定されないが、例えばストランドを冷却媒体中に潜らせる方法や、ストランドに冷却媒体をシャワー状で降りかける等の方法が挙げられる。
ポリエステルを工業的に製造する場合に冷却媒体として用いる冷却水は、河川水、地下水などの天然水や工業排水を再利用して使用することが多い。これらの水には、自然界由来の、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等の粘土鉱物を代表とする無機化合物や、細菌、バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機化合物等を多く含有している。これらの無機化合物や有機化合物を多く含有した水をポリエステルの冷却水として用いると、ポリエステルの保管容器や移送配管の腐食が発生したり、ポリエステル再溶融時の着色が大きくなったり、ポリエステルを溶融紡糸する際の口金周りの堆積物が増加し紡糸安定性が低下する場合がある。バイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質に由来する塩基成分を初めとした種々の微量不純物が存在するため、冷却水中に含まれる微量の無機化合物や有機化合物などによる影響を受けやすい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、得られたポリエステルを重合反応器から吐出して冷却する際に、電気伝導率が0.05〜2000μS/cm、TOCが0.01〜30mg/Lである冷却水を用いることが好ましい。ここで言う電気伝導率とは、水中のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどの電解質の含有量を表す指標である。またここで言うTOCとは、冷却水中の全有機物含有量を炭素濃度として示した値である。バイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質に由来する塩基成分を初めとした種々の微量不純物が存在し、従来化石資源由来のポリエステルに比べて結晶化特性や熱安定性が悪いため、重合反応終了後のポリエステルを吐出・カッティングする工程において、切断不良や融着などの問題が発生する場合がある。冷却水の電気伝導率、TOCが高いと、ポリエステルをカッティングする際の切断不良が多くなったり、ポリエステルの溶融紡糸の際の口金周りの堆積物の発生が多くなる傾向が見られる。冷却水の電気伝導率、TOCは少ないほうが好ましいが、精製に必要なエネルギーが大きくなり、化石資源の減少および二酸化炭素の増大を抑制するという本発明の作用効果が小さくなる。冷却水の電気伝導率は、0.1〜1000μS/cmの範囲であることが好ましく、0.5〜500μS/cmであることが特に好ましい。また、冷却水のTOCは、0.05〜20mg/Lの範囲であることが好ましく、0.1〜15mg/Lであることが特に好ましい。
冷却水の電気伝導率、TOCを制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸留、活性炭吸着装置、脱気装置、イオン交換装置を用いる方法や、精密濾過膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜などによる濾過を用いる方法等が挙げられる。これらの中でも、イオン交換装置と膜による濾過を組み合わせて用いる方法が無機化合物、有機化合物の除去にかかるエネルギーが小さく、精製精度が高いため好ましい。
冷却媒体の温度は、バイオマス資源由来ポリエステルのガラス転移温度以下であり、かつ0〜40℃の範囲であることが好ましい。冷却媒体の温度が低いと、ストランドが硬くなりすぎて切断が困難になったり、切断時に粉末が発生したり、ペレット割れが発生する上、冷却装置に必要なエネルギーが多くなるため好ましくない。また、冷却媒体の温度が高いと、冷却が不十分となり、ストランドの表面が完全に固化せず切断不良となったり、切断後のペレット同士が融着して連ペレットとなる場合があるため好ましくない。本発明のバイオマス資源由来ポリエステルは、バイオマス資源由来の種々の微量夾雑物の存在により、従来の化石資源由来のポリエステルに比べて結晶化特性が異なるため、ペレットの切断不良や融着などの問題が発生する場合がある。冷却媒体の温度は、5〜30℃の範囲であることがより好ましい。
冷却時間は、ストランドの太さや冷却媒体の温度によって異なるが、0.1〜60秒の範囲であることが好ましい。冷却時間が短いと、冷却が不十分となり、ストランドの表面が完全に固化せず切断不良となったり、切断後のペレット同士が融着して連ペレットとなる場合があり、冷却時間が長いと、生産性が不利になったり、冷却装置が大型になるため好ましくない。冷却時間は、0.5〜30秒の範囲であることが好ましく、1〜15秒の範囲であることが特に好ましい。
本発明の製造方法により得られるバイオマス資源由来ポリエステルペレットは、ポリエステルペレット1000粒当たりの重量が20〜60gの範囲であることが好ましい。ポリエステルペレット1000粒当たりの重量が60gを超えると、吐出時の冷却が不十分となりペレット同士が融着する連ペレットの数が多くなったり、ポリエステルの固相重合時の重合反応性が低下する場合がある。一方、ポリエステルペレット1000粒当たりの重量が20gに満たない場合は、ポリエステル微粉末が発生しやすいため、溶融紡糸を行う際にポリエステル粉末に起因する糸切れが発生する場合がある。ポリエステルペレット1000粒当たりの重量は25〜55gの範囲であることが好ましく、30〜50gの範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルペレットは、連ペレット率が8%以下であることが好ましい。ここで言う連ペレットとは、二つ以上のペレットが融着して連なっているペレット、ペレットがカットされずに長紐形状となっているペレットのことを示し、連ペレット率は以下の式より求められる。
連ペレット率(%)=連ペレット重量/総ペレット重量×100
連ペレット率が高いと、ポリエステルペレットを成型加工装置へ供給する際に供給不良を起こしやすくなるため、溶融紡糸時に糸切れが発生したり、射出成型時にボトルやプリフォーム内への気泡が残存などの課題が発生したり、ポリエステルペレットの移送配管内での詰まりが発生する場合もある。連ペレット率は、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても良く、または無触媒であっても良い。また、エステル交換反応に用いられる触媒としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム、チタンなどの化合物が用いられる。また、重合反応に用いられる触媒としては、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが用いられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンの酸化物、アンチモンカルボン酸、アンチモンアルコキシドなどが挙げられ、具体的には、アンチモンの酸化物として、3酸化アンチモン、5酸化アンチモン等が挙げられ、アンチモンカルボン酸として、酢酸アンチモン、シュウ酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリウム等が挙げられ、アンチモンアルコキシドとして、アンチモントリ−n−ブトキシド、アンチモントリエトキシド等が挙げられる。
チタン化合物としては、チタン錯体、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマーなどのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。中でも多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または多価アルコールをキレート剤とするチタン錯体であることが、ポリマーの熱安定性、色調および口金まわりの堆積物の少なさの観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、乳酸、クエン酸、マンニトール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。特に特開2010−100806号公報に記載の方法で得られるチタンマンニトールキレート錯体は、ポリマーの異物粒子の発生を抑制することが出来るため好ましい。
アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられ、具体的には酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、塩基性酢酸アルミニウムなどが挙げられる。
スズ化合物としては、モノブチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズオキサイド、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイドなどが挙げられる。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられ、具体的には、ゲルマニウムの酸化物として、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムアルコキシドとして、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド等が挙げられる。
マグネシウム化合物としては、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
マンガン化合物としては、具体的には、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン等が挙げられる。
カルシウム化合物としては、具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
コバルト化合物としては、具体的には、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、具体的には、酸化亜鉛、亜鉛アルコキシド、酢酸亜鉛等が挙げられる。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、酸化防止剤を添加することが好ましい。バイオマス資源由来ポリエステル原料には、バイオマス資源由来のアミノ酸やたんぱく質に由来する塩基成分を初めとした種々の微量不純物が存在するため熱安定性が悪く、重合反応という高温条件下では異物を形成したり、得られるポリエステルの着色を引き起こす場合がある。酸化防止剤の添加によって、異物の形成を抑制し、熱安定性、ポリマー色調に優れたバイオマス資源由来ポリエステルを得ることが出来る。
酸化防止剤としては、特に限定はされないが、リン系、ヒンダードフェノール系、イオウ系、ヒドラジン系、トリアゾール系酸化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもまたは2種類以上併用して用いてもよい。
リン系の酸化防止剤としては、ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネート化合物、ホスフィナイト化合物、ホスフィネート化合物が挙げられる。中でも、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等は、異物粒子の発生を抑制する効果が高く、成形加工性が良好となるため好ましい。また、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(PEP−36:旭電化社製)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(GSY−P101:大崎工業社製)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(PEP−24G:旭電化社製またはIRGAFOS126:チバ・ジャパン社製)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(IRGAFOSP−EPQ:チバ・ジャパン社製またはSandostabP−EPQ:クラリアント社製)などのリン化合物は、色調や熱安定性改善の面から好ましい。これらのリン化合物は単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−0−クレゾール等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010:チバ・ジャパン社製)は、着色を抑制する効果が高いため好ましい。
イオウ系の酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)等が挙げられる。中でもペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(SumilizeTP−D:住友化学社製)は、熱安定性を向上させ、着色を抑制する効果が高いため好ましい。
ヒドラジン系の酸化防止剤としては、デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N’−サリシロイルヒドラジド)、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイルヒドラジン等が挙げられる。
トリアゾール系の酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール、3−(N−サリシロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法において、酸化防止剤の添加量は特に限定されないが、得られるポリエステルに対して0.1〜10000ppmの範囲であることが好ましい。添加量が上記範囲内であると、異物の発生を抑制でき、かつ色調、熱安定性に優れたポリエステルが得られる。より好ましくは1〜5000ppmの範囲であり、特に好ましくは10〜1000ppmの範囲である。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、後述する測定方法により求められる固有粘度([η])が0.4〜2.0dlg-1の範囲であることが好ましい。ここで、ポリエステルの固有粘度は、オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した値であり、ポリエステルの機械的特性を表す指標である。固有粘度が0.4dlg-1未満であると、機械特性が不十分となり、実用に耐えうる成形品を得ることが困難となる。本発明のポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合は、固有粘度が0.5〜1.0dlg-1であることがさらに好ましく、0.6〜0.9dlg-1であることが特に好ましい。本発明のポリエステルがポリプロピレンテレフタレートである場合は、固有粘度が0.6〜2.0dlg-1であることがさらに好ましく、0.7〜1.5dlg-1であることが特に好ましい。本発明のエステルがポリブチレンテレフタレートである場合は、固有粘度が0.6〜2.0dlg-1であることがさらに好ましく、0.8〜1.6dlg-1であることが特に好ましい。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、ペレット化されたチップ形状での色調がハンター値でb値が−10〜10の範囲にあることが、繊維やフィルムなどの成型品の色調の点から好ましい。重合反応時の最終到達温度、重合反応を開始する時点の反応温度、エステル化反応またはエステル交換反応時の反応温度が高いとb値は高くなる傾向がある。b値が−4〜8の範囲であることがより好ましく、−2〜5の範囲であることが特に好ましい。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、カルボキシル末端基濃度が1〜50当量/トンの範囲であることが好ましい。カルボキシル末端基濃度が低いほど熱安定性が良好となり、再溶融時のポリマーの着色が低減でき、溶融紡糸時の口金周りの堆積物が低減し紡糸安定性が向上するため好ましい。カルボキシル末端基濃度は好ましくは40当量/トン以下、特に好ましくは30当量/トン以下である。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、ジエチレングリコールの含有量が0.1〜5.0重量%の範囲にあると、ポリエステルの熱安定性、およびポリエステル繊維の発色性が良好となるため好ましい。ジエチレングリコールは、ポリエステルの熱安定性の観点からは少ないほうが好ましいが、ポリエステル繊維の染色性の観点からは多いほうが好ましい。化石資源由来ポリエステル原料から得られるポリエステルに比べて、バイオマス資源由来ポリエステル原料から得られるポリエステルはジエチレングリコールの含有量が多くなる傾向があるので、バイオマス資源由来ポリエステル繊維は染色性が良好であるが、熱安定性が悪く紡糸安定性が悪化する場合がある。そのため、重合反応時の最終到達温度や最終撹拌速度、重合反応を開始する時点の反応温度、エステル化反応またはエステル交換反応時の反応温度などの種々の条件を詳細に設計する必要がある。ジエチレングリコールの含有量は、0.3〜3.0重量%の範囲であることが好ましく、0.5〜2.0重量%の範囲であることが特に好ましい。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、アセトアルデヒドの含有量が好ましくは50ppm以下、より好ましくは0.1〜50ppmであるとよい。アセトアルデヒドの含有量が50ppm以下であると、例えばポリエステルを飲料容器に用いる時の風味、香りへの悪影響を抑制することが出来るため好ましい。より好ましくは30ppm以下で、特に好ましくは20ppm以下である。重合反応時の最終到達温度の反応温度が高いと、アセトアルデヒドの含有量は高くなる傾向がある。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、環状3量体の含有量が0.1〜3.0重量%であると、熱安定性が良好となり、また溶融紡糸時の口金周りの堆積物が低減し、紡糸安定性が向上するため好ましい。より好ましくは2.0重量%以下で、特に好ましくは1.5重量%以下である。重合反応時の最終到達温度の反応温度が高いと環状3量体の含有量は高くなる傾向がある。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルは、ゲル化率が好ましくは15%以下、より好ましくは0.01〜15%の範囲であるとよい。ゲル化率が15%以下であると、重合反応終了後に重合反応缶からストランド状に吐出する際の形状がフシ糸上となって発生する切断不良や、紡糸・製膜などの成形加工時のろ圧上昇、紡糸時の糸切れなどが抑制できるため好ましい。ここで言うゲル化率とは、ポリエステルを大気下、300℃×3hrの条件で加熱処理後、オルト―クロロフェノール不溶物重量の全体に対する割合のことを表す。溶融重合反応時の最終到達温度、重合反応を開始する時点の反応温度、エステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度が高いと、ゲル化率は高くなる傾向がある。ゲル化率は、0.01〜10%の範囲であることがより好ましく、0.01〜5%の範囲であることが特に好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、色調調整剤を用いてもよい。上述したように、バイオマス資源由来のポリエステル原料中に含まれる微量夾雑物は、ポリエステルの着色を引き起こす場合があるが、色調調整剤を用いると、色調を良好に出来る。色調調整剤としては、染料、顔料特に限定はされないが、成型加工性の面において染料を用いるのが好ましい。特にCOLOR INDEX GENERIC NAMEで具体的にあげると、SOLVENT BLUE 104やSOLVENT BLUE 45等の青系の色調調整剤、SOLVENT VIOLET 36、SOLVENT VIOLET 8等の紫系色調調整剤、SOLVENT RED 24、SOLVENT RED 25等の赤系色調調整剤、SOLVENT ORANGE 60等の橙系色調調整剤が挙げられる。中でも、SOLVENT BLUE 104やSOLVENT BLUE 45等の青系の色調調整剤、SOLVENT VIOLET 36等の紫系色調調整剤は装置腐食の要因となりやすいハロゲンを含有せず、高温での熱安定性が比較的良好で発色性に優れるため好ましい。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。添加する色調調整剤の量は特に限定されないが、得られるポリエステルに対して合計して0.1〜100ppmの範囲であると、明度が高いポリエステルが得られるため好ましい。より好ましくは0.5〜20ppmの範囲であり、特に好ましくは1〜5ppmの範囲である。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、必要に応じて紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤又はその他の添加剤等を配合してもよい。特にバイオマス資源由来ポリエステルを繊維用途として用いる場合には、酸化チタンを添加すると、衣料用繊維に好ましい明度と防透性を付与できるため好ましい。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、より高分子量のポリエステルを得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。不活性ガスはポリエステルに対して不活性なものであれば良く、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧下としては、装置内の圧力を133Pa以下の条件とすることが好ましく、より減圧条件にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利である。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルはリサイクルすることも出来る。具体的にはバイオマス資源由来ポリエステルの廃棄物を原料に用い、バイオマス資源由来または化石資源由来のジオール成分により解重合反応をおこない、まずビス(ヒドロキシアルキル)テレフタレートを得る。これを再度重合してもよいが、好ましくはメタノールやエタノールでさらにエステル交換をおこない、テレフタル酸ジメチルエステルまたはテレフタル酸ジエチルエステルとし、蒸留により高純度に精製することが可能となる。このテレフタル酸ジアルキルエステルを用いて再度重合すると、重合反応性が良好で、着色の少ないポリエステルを得ることが出来る。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法は、バッチ重合、半連続重合、連続重合いずれでも生産することができる。
本発明のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法により生産されるポリエステルは通常のポリエステルの加工方法で加工することができ。繊維、フィルム、ボトルなどの成形品に好適であり、各種の最終製品に製造することができる。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルを用いてなる繊維は、衣料用途、産業資材用途、医療用途に用いることが出来るが、ポリエステルの着色が少ないことから高い意匠性が求められる衣料用途や、アセトアルデヒド含有量が少なく、ゲル化率や連ペレット率が低いことから産業資材用途に好ましく用いられる。産業資材用途としては、自動車用途繊維、例えばカーシート、シートベルト、天井材等の内装材やタイヤのゴム補強用繊維に用いることが好ましい。
本発明で得られるバイオマス資源由来ポリエステルを用いてなる繊維は、染料吸尽率が85%以上であることが好ましい。ここで言う染料吸尽率とは、以下の条件にて染色を行った時の染料浴液の染色前後の吸光度を、分光光度計(HITACHI社製、U−3000)を用いて測定し、次式により求められる値であり、ポリエステル繊維の染色性、発色性を表す指標となる。
染色条件は、以下の通りである。
・染料:Sumikaron Blue S−3RF(A)(アゾ系分散染料、住友ケムテックス社製)
・濃度:3%owf
・浴比:1:20
・染色温度:110℃
・染色時間:60分
染料吸尽率(%)={(Abs0−Abs1)/Abs0}×100
(Abs0:染料浴液の染色前の最大吸光波長における吸光度、Abs1:染料浴液の染色後の最大吸光波長における吸光度)
染料吸尽率が85%以上であると、発色性、深色性が良好となり染色性に優れた繊維といえる。染料吸尽率は、90%以上であることがより好ましく、93%以上であることが特に好ましい。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度([η]、単位dlg-1
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリエステルの融点(Tm、単位℃)
DSC装置を用い、まず40℃から280℃まで16℃/分の昇温速度で昇温後、3分温度を維持して、熱履歴を取り除いた後、16℃/分の降温速度で40℃まで降温後3分温度を維持した。最後に16℃/分の昇温速度で280℃まで昇温し、第2回の昇温過程中に得られた融解温度をTmとした。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、JIS Z8730に記載の表色系に基づきハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)ポリマーのカルボキシル末端基濃度(単位;当量/トン)
ポリマーを、オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(5)ポリマーのジエチレングリコール(DEG)含有量(単位;重量%)
ポリマーを、モノエタノールアミンを溶媒として、1,6−ヘキサンジオール/メタノール混合溶液を加えて冷却し、中和した後遠心分離した後に、上澄み液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)にて測定した。
(6)ポリマーのアセトアルデヒド(AA)含有量(単位;ppm)
ポリエステルと純水を窒素シール下で160℃2時間の加熱抽出を行い、その抽出液中のアセトアルデヒド量を、イソブチルアルコールを内部標準としてガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)を用いて定量した。
(7)ゲル化率(単位;%)
バイオマス資源由来ポリエステル1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥する。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で3時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(8)バイオ化率測定方法
ASTM D6866に従いバイオ化率を求めた。
すなわち、サンプルをサンドペーパーおよび粉砕機にて粉砕した後、酸化銅とともに加熱し、完全に二酸化炭素まで酸化し、これを鉄粉でグラファイトまで還元することにより、炭素単一化合物に変換した。得られたグラファイトサンプルをAMS装置に導入し、14C濃度を測定した。なお、標準物質であるシュウ酸(米国基準・科学技術協会NIST供給)の14C濃度も同時に測定した。ここで、サンプルの炭素14と炭素12の比(14C/12C)を14As、標準物質の炭素14と炭素12の比(14C/12C)を14Arとし、次式からΔ14Cを求めた。
Δ14C={(14As−14Ar)/14Ar}×1000
このΔ14Cから次式により、percent Modern Carbon(pMC)を求めた。
pMC=Δ14C/10+100
米国材料試験規格(ASTM)のD6866に従って、このpMCに次式の通り0.95(=100/105)をかけることにより、バイオ化率を求めた。
バイオ化率(%)=0.95×pMC
(9)ペレット重量(単位;g/1000粒)
ポリエステルペレットを無作為に3回、1000粒抜出して重量測定を行い、その平均値をペレット重量(g/1000粒)とした。
(10)連ペレット率(単位;%)
ポリエステルペレットを無作為に3回、100g抜出し、その中に含まれる二つ以上のペレットが融着して連なっているペレット、およびペレットがカットされずに長紐形状となっているペレットを連ペレットとして重量測定を行い、次式より求めた。
連ペレット率(%)=連ペレット重量の平均値(g)/100×100
(11)紡糸安定性
ポリエステルペレットを使用して紡糸するにあたり、繊維の紡出開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められず、糸切れも発生しない状態を◎(合格・良好)、堆積物が多少認められるが糸切れは発生しない状態を○(合格)、堆積物が多少認められ糸切れは散発して発生する状態を△(合格・やや不良)、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生し紡糸が困難な状態を×(失格)として判定した。
(12)繊維の染料吸尽率(単位;%)
染料浴液の染色前後の吸光度を、分光光度計(HITACHI社製U−3000)を用いて測定し、次式により染料吸尽率を求めた。
染料吸尽率(%)={(Abs0−Abs1)/Abs0}×100
(Abs0:染料浴液の染色前の最大吸光波長における吸光度、Abs1:染料浴液の染色後の最大吸光波長における吸光度)
(13)冷却水の電気伝導率
電気伝導率計(東亜ディーケーケー社製CM−30R)を用いて測定した。
(14)冷却水のTOC
全有機炭素分析計(島津製作所社製TOC−5000A)を用いて測定した。
なお、実施例において用いた原料は以下のとおりである。
<バイオマス資源由来テレフタル酸>
1Lオートクレーブに酢酸600g(酢酸/水=90/10)、酢酸コバルト(II)四水和物0.76g、酢酸マンガン(II)四水和物0.60g、臭化水素酸(臭化水素含有量47重量%)0.66mLを仕込み、酸素-窒素ガス(酸素含有量10重量%)で0.8MPaに加圧した後、1,000rpmで攪拌しながらオイルバス中で加熱を行った。内温が180℃に達したところで、Gevo社製バイオマスパラキシレン(国際公開第2009/79213号公報に基づき、バイオマス原料から発酵法により得られたイソブタノールを脱水してイソブテンを合成し、得られたイソブテンから2量化、環化を経由して合成)を0.53mL/minの速度でオートクレーブ内に連続的に供給を始めた。パラキシレンの供給開始と同時に、空気にて内圧を1.6MPaに調整した上、排ガス流量2.2mL/minとなるよう連続的に空気を供給し、パラキシレンの空気酸化反応を開始した。反応中の内温が190±5℃程度になるように調整しながら、3時間反応を行い、反応生成物をろ別、酢酸洗浄し、バイオマス資源由来テレフタル酸を得た。以下、このバイオマス資源由来テレフタルを「バイオ系TPA」と記すことがある。
<バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチル>
1Lオートクレーブに上記で得られたバイオマス資源由来テレフタル酸210g、メタノール400g、98重量%硫酸30mL、硫酸銅(II)5水和物5.5gを仕込み、110℃、1.5MPaの下で一時間エステル化反応を行った。反応生成物をろ別後、再度同様の条件にてエステル化を行った。その後、反応生成物をろ別、メタノールで繰り返し洗浄した結果、86モル%の収率でテレフタル酸ジメチルを得た。このテレフタル酸ジメチルに対して0.018重量%の炭酸ナトリウムを添加した後、185℃、56hPaで単蒸留し、バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチルを得た。以下、このバイオマス資源由来テレフタル酸ジメチルを「バイオ系DMT」と記すことがある。
<バイオマス資源由来エチレングリコール>
・インディアグリコール社製バイオマス資源由来エチレングリコール(純度99.5%)、以下このバイオマス資源由来エチレングリコールを「バイオ系EG」と記すことがある。
<化石資源由来原料>
・化石資源由来テレフタル酸:三井化学社製テレフタル酸、以下この化石資源由来テレフタル酸を「石油系TPA」と記すことがある。
・化石資源由来テレフタル酸ジメチル:SKケミカル社製テレフタル酸ジメチル、以下この化石資源由来テレフタル酸ジメチルを「石油系DMT」と記すことがある。
実施例1
バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチル(バイオ系DMT)100重量部、バイオマス資源由来エチレングリコール(バイオ系EG)61重量部、得られるポリマーに対して250ppm相当の酢酸マグネシウムをエステル交換反応器にて、150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら250℃まで3時間かけて昇温し、さらに250℃で1時間維持しながらエステル交換反応をおこない、所定量のメタノールを留出した時点でエステル交換反応を終了し、ポリエステルの低重合体を得た。これを重合反応槽に移送した。
移送後、得られるポリマーに対して350ppm相当の三酸化アンチモン、200ppm相当のリン酸トリメチルを添加する30分前に別の混合槽にてバイオマス資源由来エチレングリコール(バイオ系EG)0.05重量部中で事前混合し、常温にて30分撹拌した後、その混合物を添加した。撹拌翼形状がヘリカルリボン型の撹拌機を用いて、撹拌方向を掻き下げ方向、撹拌速度100rpmにて撹拌しながら重合反応器温度を255℃に維持し、5分後に、反応系を減圧にして反応を開始した。反応器内を255℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Pa、撹拌速度を10rpmまで下げた。反応器内の圧力が1000Pa以下に到達するまでの時間は重合反応を開始する時点から40分、最終温度、最終圧力、最終撹拌速度到達までの時間はともに重合反応を開始する時点から90分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻して重合反応を停止させ、重合反応器下部の9mm口径の小孔よりポリエステルをストランド状に吐出し、ストランド状に吐出し、電気伝導率150μS/cm、TOC1mg/L、20℃の冷却水にて冷却後、カッティングしたところ、ペレット重量36g/1000粒のバイオマス資源由来ポリエステルのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は164分であり、重合反応性、カッティング性は良好であった。また得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、色調良好で、アセトアルデヒド含有量は少なく、ゲル化率、連ペレット率も低く、ポリマー特性はいずれも良好であった。ポリマー特性を表2にまとめた。得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、ジカルボン酸成分としてバイオ系DMTが100mol%であり、ジオール成分としてバイオ系EGが100mol%である。
得られたバイオマス資源由来ポリエステルペレットを150℃で12時間真空乾燥した後、紡糸温度285℃で溶融した後、孔径0.18mmφ、孔数24個の紡糸口金から吐出し、周速1500m/分の引き取りローラで引取って、未延伸糸を得た。この際、紡糸時の口金孔周辺の堆積物はほとんど見られず、糸切れも発生しなかった。得られた未延伸糸をホットロール延伸機にて延伸温度90℃、熱処理温度140℃とし、延伸倍率2.2倍として、延伸−熱処理を施し、80dtex−24フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸より筒編を作成し、95℃にて精練、160℃にて中間セットを行い、Sumikaron Blue S−3RF(A) 3%owf(アゾ系分散染料、住友ケムテックス社製)、酢酸/酢酸ナトリウムバッファーを添加し、浴比1:20にて110℃で60分染色処理を行ったところ、染料吸尽率は93%と染色性は良好であった。
実施例2〜5
重合最終到達温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例2では、重合反応時間の遅延が見られ、ポリマーの着色が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、染料吸尽率がやや低かったが、実用上問題の無いレベルであった。実施例5では、ポリマーの着色やゲルの発生が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。実施例3、4で得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、良好なポリマー特性、紡糸安定性、染料吸尽率を有していた。
実施例6、7
重合最終撹拌速度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例6では、重合反応時間の遅延、ポリマーの着色が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られた。実施例7では、カルボキシル基末端量、DEG含有量の増加が見られ、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。
実施例8〜11
エステル交換反応の最終反応温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例8では、ポリマーの着色、カルボキシル末端量の増加、連ペレット率の増大が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られた。実施例11では、ポリマーの着色やゲルの発生が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。実施例9、10で得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、良好なポリマー特性、紡糸安定性、染料吸尽率を有していた。
実施例12、13
重合反応の重合開始温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例12では、ポリマーの着色がわずかに見られたが、紡糸安定性、染料吸尽率の良好なポリエステルが得られた。実施例13では、ポリマーの着色、ゲルの発生が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。
実施例14
重合触媒として三酸化アンチモンの代わりに表1に示したチタン錯体を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppm、リン酸トリメチルを得られるポリマーに対して120ppm相当用い、重合時の最終撹拌速度を変更した以外は実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、紡糸安定性、染料吸尽率が良好であった。
実施例15、16
実施例15では、酸化防止剤としてリン酸トリメチルに加えてIRGANOX1010(チバ・ジャパン社製)を得られるポリマーに対して1000ppm添加した以外は実施例1と同様にし、実施例16では、酸化防止剤としてリン酸トリメチルの代わりにPEP−36(ADEKA社製)を得られるポリマーに対して500ppm添加した以外は実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例15、16で得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、特に色調をはじめ良好なポリマー特性を有しており、紡糸安定性、染料吸尽率も良好であった。
実施例17
リン酸トリメチルの添加後に、酸化チタン粒子のバイオマス資源由来エチレングリコールスラリーを、得られるポリマーに対して酸化チタン粒子換算で2000ppm添加した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、色調L値が高い高白度のポリマーが得られた。
Figure 2014001257
表1で用いた略号は以下の通りである。
・バイオ系DMT:バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチル、上記の通りGevo社製バイオパラキシレンより合成
・バイオ系EG:バイオマス資源由来エチレングリコール(インディアグリコール社製)
・MGA:酢酸マグネシウム(和光純薬社製)
・Sb23:三酸化アンチモン(和光純薬社製)
・マンニトールTi:チタンマンニトールキレート錯体、表中の添加量はチタン原子換算
・TMPA:リン酸トリメチル(和光純薬社製)
・IR1010:IRGANOX1010(チバ・ジャパン社製)
・PEP36:PEP-36(ADEKA社製)
Figure 2014001257
実施例18
実施例1で作成したポリエステルの低重合体100重量部をエステル化反応槽に移送し、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持しながら、バイオマス資源由来テレフタル酸(バイオ系TPA)84重量部とバイオマス資源由来エチレングリコール(バイオ系EG)36重量部からなるスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後さらに1時間かけてエステル化反応を行い、ポリエステルの低重合体を得た。得られたポリエステルの低重合体のうち100重量部をエステル化反応槽に残して抜出し、エステル化反応槽に残したポリエステルの低重合体に、同じ条件にてバイオマス資源由来テレフタル酸(バイオ系TPA)84重量部とバイオマス資源由来エチレングリコール36重量部(バイオ系EG)からなるスラリーを順次供給してエステル化反応を行い、ポリエステルの低重合体を得た。この工程を5回繰り返し、得られたポリエステルの低重合体を重合反応槽に移送した。
移送後、得られるポリマーに対して250ppm相当の酢酸マグネスウム、350ppm相当の三酸化アンチモン、200ppm相当のリン酸トリメチルを添加する30分前に別の混合槽にてバイオマス資源由来エチレングリコール(バイオ系EG)0.05重量部中で事前混合し、常温にて30分撹拌した後、その混合物を添加した。撹拌翼形状がヘリカルリボン型の撹拌機を用いて、撹拌方向を掻き下げ方向、撹拌速度を100rpmにて撹拌しながら重合反応器温度を255℃に維持し、5分後、反応系を減圧にして反応を開始した。反応器内を255℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Pa、撹拌速度を10rpmまで下げた。反応器内の圧力が1000Pa以下に到達するまでの時間は重合反応を開始する時点から40分、最終温度、最終圧力、最終撹拌速度到達までの時間はともに90分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻して重合反応を停止させ、ストランド状に吐出し、電気伝導率150μS/cm、TOC1mg/Lの冷却水にて冷却後、カッティングしてバイオマス資源由来ポリエステルのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は160分であり、重合反応性、カッティング性は良好であった。また得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、色調はじめポリマー特性は良好であった。ポリマー特性を表4にまとめた。得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、ジカルボン酸成分としてバイオ系TPAが100mol%であり、ジオール成分としてバイオ系EGが100mol%である。
紡糸および染色は実施例1と同様に実施した。紡糸時の口金孔周辺の堆積物はほとんどなく、糸切れの発生も見られず、紡糸安定性は良好であった。また、染料吸尽率も良好であった。
実施例19〜22
重合最終到達温度を表3に示すように変更した以外は、実施例18と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例19では、重合反応時間の遅延が見られ、ポリマーの着色が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、染色後の織物はやや染料吸尽率が低かった。実施例22では、ポリマーの着色およびゲルの発生が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。実施例20、21で得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、良好なポリマー特性、紡糸安定性、染料吸尽率を有していた。
実施例23、24
重合最終撹拌速度を表3に示すように変更した以外は、実施例18と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。実施例23では、重合反応時間の遅延、ポリマーの着色が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られた。実施例24では、カルボキシル基末端、DEG含有量の増加が見られ、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られ、糸切れが散発して見られた。
実施例25
重合触媒として三酸化アンチモンの代わりに表3に示したチタン錯体を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppm、リン酸トリメチルを得られるポリマーに対して120ppm相当用い、重合時の最終撹拌速度を変更した以外は実施例18と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。得られたバイオマス資源由来ポリエステルは、紡糸安定性、染料吸尽率も良好であった。
Figure 2014001257
表3で用いた略号は以下の通りである。
・バイオ系TPA:バイオマス資源由来テレフタル酸、上記の通りGevo社製バイオパラキシレンより合成
・バイオ系EG:バイオマス資源由来エチレングリコール(インディアグリコール社製)
・MGA:酢酸マグネシウム(和光純薬社製)
・Sb23:三酸化アンチモン(和光純薬社製)
・マンニトールTi:チタンマンニトールキレート錯体、表中の添加量はチタン原子換算
・TMPA:リン酸トリメチル(和光純薬社製)
Figure 2014001257
比較例1、2
重合最終到達温度を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。ポリマー特性を表6にまとめた。比較例1では、重合反応は目標のトルクまで到達せず、粘度の低いポリエステルしか得られなかった。比較例2では、ポリマーの著しい着色およびゲルの発生が見られ、連ペレット率も増大した。また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ、糸切れが多発し、紡糸困難であったため、染色評価は実施できなかった。
比較例3、4
重合最終撹拌速度を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。ポリマー特性を表6にまとめた。比較例3では、重合反応は目標のトルクまで到達せず、粘度の低いポリエステルしか得られなかった。比較例4では、カルボキシル基末端、DEG含有量の増加が見られた。また、紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ、糸切れが多発し、紡糸困難であったため、染色評価は実施できなかった。
比較例5、6
重合最終到達温度を表5に示すように変更した以外は、実施例18と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸を実施した。ポリマー特性を表6にまとめた。比較例5では、重合反応は目標のトルクまで到達せず、粘度の低いポリエステルしか得られなかった。比較例6では、ポリマーの著しい着色およびゲルの発生が見られた。また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ、糸切れが多発し、紡糸困難であったため、染色評価は実施できなかった。
比較例7、8
重合最終撹拌速度を表5に示すように変更した以外は、実施例18と同様にしてバイオマス資源由来ポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。ポリマー特性を表6にまとめた。比較例7では、重合反応は目標のトルクまで到達せず、粘度の低いポリエステルしか得られなかった。比較例8では、カルボキシル基末端、DEG含有量の増加が見られた。紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ、糸切れが多発し、紡糸困難であったため、染色評価は実施できなかった。
比較例9、10
バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチルの代わりに化石資源由来テレフタル酸ジメチル(石油系DMT)を用いた以外は、比較例1、2と同様にしてポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。ポリマー特性を表6にまとめた。比較例9では、重合反応時間の遅延、ポリマーの着色がわずかに見られ、また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られたが、操業上問題ないレベルであった。比較例10では、ポリマーの着色、ゲルの発生がわずかに見られ、また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られたが、操業上問題ないレベルであった。
比較例11、12
バイオマス資源由来テレフタル酸の代わりに化石資源由来テレフタル酸(石油系TPA)を用いた以外は、比較例7、8と同様にしてポリエステルの製造および紡糸、染色を実施した。比較例11では、重合反応時間の遅延、ポリマーの着色がわずかに見られ、また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られたが、操業上問題ないレベルであった。比較例12では、ポリマーの着色、ゲルの発生がわずかに見られ、また紡糸時の口金孔周辺に堆積物が多少見られたが、操業上問題ないレベルであった。
Figure 2014001257
表5で用いた略号は以下の通りである。
・バイオ系DMT:バイオマス資源由来テレフタル酸ジメチル、上記の通りGevo社製バイオパラキシレンより合成
・バイオ系TPA:バイオマス資源由来テレフタル酸、上記の通りGevo社製バイオパラキシレンより合成
・バイオ系EG:バイオマス資源由来エチレングリコール(インディアグリコール社製)
・石油系DMT:テレフタル酸ジメチルエステル(SKケミカル社製)
・石油系TPA:テレフタル酸(三井化学社製)
・MGA:酢酸マグネシウム(和光純薬社製)
・Sb23:三酸化アンチモン(和光純薬社製)
・TMPA:リン酸トリメチル(和光純薬社製)
Figure 2014001257

Claims (12)

  1. バイオマス資源由来ジオールとバイオマス資源由来テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体からなるポリエステルの製造方法であり、重合反応時の最終到達温度が275〜300℃、最終重合撹拌速度が2〜30rpmの範囲であることを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  2. エステル化反応またはエステル交換反応時の最終反応温度が235〜265℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  3. 重合反応を開始する時点の反応温度が225〜275℃の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  4. 重合反応を開始する時点から重合反応時の最終到達温度に到達するまでの時間が15〜360分の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  5. 重合反応時の最終到達圧力が0.1〜500Paの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  6. 重合反応を開始する時点から重合反応器内の圧力が1000Pa以下になるまでの時間が10〜300分の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  7. 重合反応終了後のポリエステルの冷却に、電気伝導率が0.05〜2000μS/cm、TOCが0.01〜30mg/Lの冷却水を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  8. バイオマス資源由来ジオールがバイオマス資源由来エチレングリコールであることを特徴とする請求項請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオマス資源由来ポリエステルの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られたバイオマス資源由来ポリエステルであって、アセトアルデヒド含有量が50ppm以下、ゲル化率が15%以下であることを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステル。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られたバイオマス資源由来ポリエステルペレットであって、ペレット1000粒あたりの重量が20〜60gであることを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステルペレット。
  11. 連ペレット率が8%以下であることを特徴とする請求項10に記載のバイオマス資源由来ポリエステルペレット。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られたバイオマス資源由来ポリエステルを用いてなる繊維であって、染料吸尽率が85%以上であることを特徴とするバイオマス資源由来ポリエステル繊維。
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