JP2008208155A - ポリエステルの製造方法およびポリエステル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、アルミニウム系重合触媒の存在下で重合反応して得られるポリエステルを製造する方法において、R1O(R2O)P・C6H4・C6H5またはR3O(R4O)P・C6H4・C6H4・P(OR3)OR4で表されるリン化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。ここで、R1〜R4は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表している。
【選択図】なし
Description
上記式3にて表されるリン化合物としては、例えばa=2、b=0、c=0、R5=tert−ブチル基、R5=2,4位の化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトがあり、この化合物はIRGAFOS P−EPQ(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)またはSandostab P−EPQ(クラリアント・ジャパン社製)として入手可能である。
上記式4にて表されるリン化合物としては、R8=tert−ブチル基、R9=tert−ブチル基、R10=メチル基の化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトがあり、この化合物はGSY−P101(大崎工業社製)として入手可能である。これらの化合物は単独で用いてもまたは併用して用いてもよい。
本発明のポリエステルの製造方法により得られるポリエステルは、オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定したときの固有粘度(IV)が、0.4〜1.0dlg−1であるのが好ましい。0.5〜0.8dlg−1であるのがさらに好ましく、0.6〜0.7dlg−1であるのが特に好ましい。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーのカルボキシル末端基量
オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)ポリマーのジエチレングリコール(DEG)含有量
モノエタノールアミンを溶媒として、1,6−ヘキサンジオール/メタノール混合溶液を加えて冷却し、中和した後遠心分離した後に、上澄み液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)にて測定した。
(5)ポリマーのアセトアルデヒド含有量
ポリエステルと純水を窒素シール下で160℃2時間の加熱抽出を行い、その抽出液中のアセトアルデヒド量を、イソブチルアルコールを内部標準としてガスクロマトグラフィー(島津製作所製「GC−14A」)を用いて定量した。
(6)Δカルボキシル末端基290、Δb値290
ポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間加熱溶融させた後、(2)および(3)の方法にてカルボキシル末端基量および色調を測定し、加熱溶融前後の差をそれぞれΔカルボキシル末端基290、Δb値290として測定した。
(7)口金の堆積物の観察
繊維の紡出から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重合槽に移送した。
マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、色調調整剤(Solvent Blue 104)の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例9ではやや色調b値が悪かったが、それ以外では得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
アルミニウム化合物とマグネシウム化合物の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例15では、やや色調が悪く、実施例12,13,15ではやや耐熱性が悪かったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇は、実施例13においてやや汚れ及び糸切れが見られたが、操業上全く差し支えないレベルであった。それ以外の実施例では、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
リン化合物の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例16では、やや色調、耐熱性が悪かったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
アルミニウム化合物、コバルト化合物、マグネシウム化合物の混合時間を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
アルミニウム化合物、コバルト化合物、マグネシウム化合物の事前混合を行わないようにした以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。なお、アルミニウム化合物、リン化合物、コバルト化合物、マグネシウム化合物の反応系への添加は、エステル化反応生成物が移送された後の重合反応槽へまずコバルト化合物とマグネシウム化合物を添加し、その5分後にアルミニウム化合物を添加した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例22では、アルミニウム化合物、コバルト化合物、マグネシウム化合物の事前混合にリン化合物の一部(ポリマーに対してリン原子換算で5ppmに相当する量)を加えた以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。なお、残りのリン化合物(ポリマーに対してリン原子換算で10ppmに相当する量)の反応系への添加は、実施例1と同様に、所定の攪拌トルクの85%となった時点(減圧を開始してから2時間35分の時点)で添加した。また、実施例23では、重合反応を開始する前に全てのリン化合物(ポリマーに対してリン原子換算で15ppmに相当する量)をアルミニウム化合物、コバルト化合物、マグネシウム化合物と事前混合させてから添加し、反応器内を減圧にして重合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間に、リン化合物を添加しなかった以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。
得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトの代わりに、実施例24では、リン化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IRGAFOS P−EPQ)を用い、実施例25では、リン化合物としてビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−イルホスホナイトを用いた点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトに加えて、リン化合物として、ポリマーに対してリン原子換算で15ppm相当の(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチルホスホン酸ジエチルエステル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX 1222)を用いた点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
アルミニウム化合物を水酸化アルミニウムの代わりにアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、乳酸アルミニウムを用いる点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例29では、やや耐熱性が悪かったが、製品上全く問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
所定の攪拌トルクの設定を変更した(実施例30では得られるポリエステルの固有粘度が低くなるよう、実施例31では得られるポリエステルの固有粘度が高くなるよう設定した)点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリエステルは、色調、耐熱性ともに良好であり、また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
リン化合物を添加しない以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。色調は黄色味が強く、また、DEG、アセトアルデヒドを多く含有しており、また耐熱性の劣ったポリマーであった。
添加するリン化合物を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。
重合触媒として、アルミニウム化合物の代わりにアンチモン化合物の3酸化アンチモンを添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。所定の撹拌トルクに到達するまでの時間やポリマー色調および耐熱性は良好なポリマーであったが、溶融紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ濾圧上昇および糸切れが発生した。
Claims (8)
- アルミニウム系重合触媒中のアルミニウム原子と式1または式2で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率Al/Pが0.1〜30であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を添加し、マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物中の原子換算の合計と式1または式2で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率(Mg+Mn+Ca+Co)/Pが0.1〜5であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
- アルミニウム系重合触媒が、無機アルミニウム化合物、アルミニウムアルコレート、アルミニウムキレート、カルボン酸アルミニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重合触媒の存在下で重合反応して得られるポリエステルを製造する方法において、重合反応器内の減圧を開始する前に式1または式2のリン化合物を、得られるポリエステルに対してリン原子換算で0〜50ppm添加し、かつ重合反応器内の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に式1または式2のリン化合物を、得られるポリエステルに対して10〜500ppm添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- 150℃、12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後のポリマー色調b値の変化が−5〜5であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステル。
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