JP2003306537A - ポリエステル、それからなるポリエステル成形物およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル、それからなるポリエステル成形物およびその製造方法

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JP2003306537A
JP2003306537A JP2002112429A JP2002112429A JP2003306537A JP 2003306537 A JP2003306537 A JP 2003306537A JP 2002112429 A JP2002112429 A JP 2002112429A JP 2002112429 A JP2002112429 A JP 2002112429A JP 2003306537 A JP2003306537 A JP 2003306537A
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acid
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Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Yoshinao Matsui
義直 松井
Naoki Watanabe
直樹 渡辺
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】触媒金属成分としてアルミニウム化合物を用い
た場合、成型物が透明性および耐熱性に優れ、アルデヒ
ド類の含有率の低いポリエステル成形物を与えるポリエ
ステルおよびその製造方法を提供すること。 【解決手段】アルミニウムおよびその化合物からなる群
より選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選ばれ
る少なくとも1種を含む重縮合触媒の存在下で、ポリエ
ステルを重縮合させる液相重縮合工程(1)と、工程
(1)で得られたポリエステルを粒状化する工程(2)
と、工程(2)で得られたポリエステルを水等に接触さ
せる処理工程からなるポリエステルの製造方法、あるい
は工程(2)で得られたポリエステルを特定条件下で予
備結晶化させる工程(3)と、工程(3)で得られるポ
リエステルを特定条件下で加熱処理する固相重合工程
(4)と、工程(4)で得られたポリエステルを水等に
接触させる処理工程(5)からなるポリエステルの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル、そ
れからなるポリエステル成形物およびその製造方法に関
し、さらに詳しくは、耐熱老化性に優れ、異物発生が少
なく透明性にも優れ、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒドなどアルデヒド類の含有率が極めて低いポリエステ
ル成形物を与えるポリエステル、それからなるポリエス
テル成形物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエス
テルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、そ
れぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や
産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィル
ムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品
のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成
形品等の広範な分野において使用されている。特に、ポ
リエチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステルから
なるボトルは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガス
バリヤー性に優れるため、ジュース、炭酸飲料、清涼飲
料などの飲料充填用容器および目薬、化粧品などの容器
として広く使用されている。
【0003】代表的なポリエステルである芳香族ジカル
ボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリ
エステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジ
メチルとエチレングリコールとのエステル化反応もしく
はエステル交換反応によってビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートなどのオリゴマー混合物を製造し、
これを高温、真空下で触媒を用いて液相重縮合させ、粒
状化後、固相重縮合し成形用ペレットが製造される。こ
うして製造されたポリエステルペレットは射出成形して
プリフォームを製造し、次いでこのプリフォームをブロ
ー成形するなどして二軸延伸し、ボトル状に成形される
ことで製造されている。
【0004】このポリエステルボトルには、一般にホル
ムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどのアルデヒド
類が含まれている。このアルデヒド類は、成形前のポリ
エステルペレット中に含有されていることはもとより、
さらに成形時にも新たに生成することが知られている。
このアルデヒド類は、ボトルに充填される内容物の味、
香りや皮膚刺激性物質の混入など品質を低下させるた
め、特に飲料および目薬充填用ボトルではこれらアルデ
ヒド類は可能な限り低くすることが望まれる。
【0005】従来から、このようなポリエステルの重縮
合時に用いられるポリエステル重縮合触媒としては、ア
ンチモンあるいはゲルマニウム化合物が広く用いられて
いる。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活
性をもつ触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な
重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重
縮合時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステル
に黒ずみや異物が発生し、フィルムの表面欠点の原因に
もなる。また、中空の成形品等の原料とした場合には、
透明性の優れた中空成形品を得ることが困難である。こ
のような経緯で、アンチモンを全く含まないか或いはア
ンチモンを触媒主成分として含まないポリエステルが望
まれている。
【0006】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有し、かつ上記の問題を有しないポリエステルを与える
触媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化され
ているが、この触媒は非常に高価であるという問題点
や、重合中に反応系から系外へ留出しやすいため反応系
の触媒濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題
を有しており、触媒主成分として使用することには問題
がある。
【0007】アンチモン系あるいはゲルマニウム系触媒
に代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアル
コキシチタネートに代表されるチタン化合物がすでに提
案されているが、これらを用いて製造されたポリエステ
ルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステ
ルが著しく着色するという問題点を有する。
【0008】一方、アルミニウム化合物は一般に触媒活
性に劣ることが知られている。本発明者らは、鋭意研究
の結果、アルミニウム化合物にリン化合物を併用するこ
とでアルミニウム化合物の触媒活性を著しく向上させる
ことを見出した。しかも、該触媒系は、従来触媒である
アンチモン、ゲルマニウムおよびチタン系触媒に比べて
成形物の透明性および耐熱性にも優れるものであるが、
溶融成形時、ポリエステル中のアルデヒド類の含有率抑
制効果は不十分であるという問題点が依然として残るも
のであった。
【0009】以上のような経緯で、アンチモン、ゲルマ
ニウムおよびチタン系以外の金属成分を触媒の主たる金
属成分とする重合触媒であり、触媒活性に優れ、透明性
に優れ、かつ溶融成形時にアルデヒド類の含有率を抑制
可能なポリエステルおよびその製造方法が望まれてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した、欠点を有するアンチモン化合物、ゲルマニウム化
合物およびチタン化合物を触媒主成分として含まず、触
媒金属成分としてアルミニウム化合物を用いることで、
耐熱老化性に優れ、異物発生が少なく透明性にも優れ、
しかもホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどアルデ
ヒド類の含有率の低いポリエステル成形品を与えるポリ
エステルおよびその製造方法を提供することを目的にし
たものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリエステ
ルの製造方法は、アルミニウムおよびその化合物からな
る群より選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選
ばれる少なくとも1種を含み、また必要に応じて、第2
金属含有成分としてSb,Ge,Ti,CoおよびMgなどの第2金
属含有化合物から選ばれる少なくとも1種を含む重縮合
触媒の存在下で、ポリエステルを重縮合させる液相重縮
合工程(1)と、工程(1)で得られたポリエステルを
粒状化する工程(2)と、工程(2)で得られたポリエ
ステルを水、リン含有水溶液、有機溶剤およびリン含有
有機溶剤溶液のいずれかに接触させる処理工程からなる
ポリエステルの製造方法、あるいは、該工程(2)で得
られたポリエステルを不活性ガス雰囲気下、ガラス転移
点(Tg)以上でかつ融点以下の温度で予備結晶化させる
予備結晶化工程(3)と、工程(3)で得られるポリエ
ステルを不活性カガス雰囲気下、融点以下の温度で加熱
処理する固相重合工程(4)と、工程(4)で得られた
ポリエステルを水、リン含有水溶液、有機溶剤およびリ
ン含有有機溶剤溶液のいずれかに接触させる処理工程
(5)からなることを特徴とするものである。
【0012】また、上記ポリエステルは、芳香族ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオール
またはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応ま
たはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合し
たものをポリエステルレジンとして用いることができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用できるポリエステル
重縮合触媒は、主としてアルミニウムおよびその化合
物、リン系化合物および必要に応じて用いられるSb,Ge,
Ti,CoおよびMgなどの第2金属化合物から選ばれた少な
くとも1種で構成される。
【0014】本発明の重縮合触媒を構成するアルミニウ
ムないしアルミニウム化合物としては、金属アルミニウ
ムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用で
きる。アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸
アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニ
ウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、
アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ス
テアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリ
クロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸
アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン
酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化
塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニ
ウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩。
【0015】アルミニウムメトキサイド、アルミニウム
エトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミ
ニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイ
ド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムア
ルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、ア
ルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルア
セトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート
ジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合
物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水
分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0016】これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およ
びキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢
酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、ポリ塩化ア
ルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが
とくに好ましい。
【0017】本発明のアルミニウムないしアルミニウム
化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカ
ルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構
成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル
%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.0
2モル%である。使用量が0.001モル%未満である
と触媒活性が十分に発揮されない場合があり、使用量が
0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性
の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増
加が問題になる場合が発生する。この様にアルミニウム
成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触
媒活性を示す点に大きな特徴を有する。その結果、熱安
定性や熱酸化安定性が優れ、アルミニウムに起因する異
物や着色が低減される。
【0018】本発明のリン化合物としては、特に限定は
されないが、リン酸ならびにトリメチルリン酸、トリエ
チルリン酸、フェニルリン酸、トリフェニルリン酸等の
リン酸エステル、亜リン酸ならびにトリメチルホスファ
イト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファ
イト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファ
イト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4'
-ビフェニレンジホスファイト等の亜リン酸エステルな
どが挙げられる。
【0019】本発明のより好ましいリン化合物は、ホス
ホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオ
キサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィ
ン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ば
れる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン
化合物を含有することでポリエステルの熱安定性等の物
性が改善する効果に加えて、ポリエステルの重合時に、
これらのリン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共
存して用いることで触媒活性の向上効果が見られる。こ
れらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善
効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記した
リン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用い
ると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好まし
い。
【0020】本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフ
ィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホ
スホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィ
ン系化合物とは、それぞれ下記式(化1)〜(化6)で
表される構造を有する化合物のことを言う。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】本発明のホスホン酸系化合物としては、例
えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジ
フェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホス
ホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベン
ジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル
などが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物とし
ては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、
フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、
フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発
明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、
ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホ
スフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイ
ドなどが挙げられる。
【0028】ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサ
イド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸
系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン
化合物としては、下記式(化7)〜(化12)で表され
る化合物が好ましい。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。
【0036】また、本発明のリン化合物としては、下記
一般式(化13)〜(化15)で表される化合物を用い
ると物性改善効果や触媒活性の向上効果が特に大きく好
ましい。
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】
【化15】
【0040】(式(化13)〜(化15)中、R1
4、R5、R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50
の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキ
シル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜
50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む
炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素
基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル
等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0041】本発明のリン化合物としては、上記式(化
13)〜(化15)中、R1、R4、R5、R6が芳香環構
造を有する基である化合物がとくに好ましい。
【0042】本発明のリン化合物としては、例えば、メ
チルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニ
ル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸
ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホ
スホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフ
ェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、
ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン
酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン
酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチル
ジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフ
ィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フ
ェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチ
ルがとくに好ましい。
【0043】上述したリン化合物の中でも、本発明で
は、リン化合物としてリンの金属塩化合物がとくに好ま
しい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩で
あれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金
属塩を用いると本発明の課題であるポリエステルの物性
改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン
化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ
金属塩などが含まれる。
【0044】また、上記したリン化合物の中でも、金属
塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、
Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用
いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの
うち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0045】本発明のリンの金属塩化合物としては、下
記一般式(化16)で表される化合物から選択される少
なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上
効果が大きく好ましい。
【0046】
【化16】
【0047】(式(化16)中、R1は水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはア
ルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭
化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化
水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜5
0の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカ
ルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。l
は1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+m
は4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。n
は1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等
の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環
構造を含んでいてもよい。)
【0048】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3
-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイ
オン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなど
が挙げられる。
【0049】上記一般式(化16)で表される化合物の
中でも、下記一般式(化17)で表される化合物から選
択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0050】
【化17】
【0051】(式(化17)中、R1は水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはア
ルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭
化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化
水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニル
を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上
の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下
である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素
基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニル
やナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0052】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-
しては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、
アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げ
られる。
【0053】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。
【0054】上記式(化17)の中でも、Mが、Li,
Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、C
u、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上
効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、M
gがとくに好ましい。
【0055】本発明のリンの金属塩化合物としては、リ
チウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、
ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホ
スホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エ
チル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチ
ル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、
ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マ
ンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホ
スホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホス
ホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホス
ホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒド
ロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス
[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリ
ウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグ
ネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチ
ル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン
酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシ
ウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フ
ェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの
中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エ
チル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン
酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチ
ルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸
エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、
マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベン
ジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジ
ルホスホン酸]がとくに好ましい。
【0056】上述したリン化合物の中でも、本発明で
は、リン化合物としてP-OH結合を少なくとも一つ有する
リン化合物がとくに好ましい。これらのリン化合物を含
有することでポリエステルの物性改善効果がとくに高ま
ることに加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリ
ン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共存して用い
ることで触媒活性の向上効果が大きく見られる。P-OH結
合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP-
OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定
はされない。これらのリン化合物の中でも、P-OH結合を
少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとポ
リエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大き
く好ましい。
【0057】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。
【0058】本発明のP-OH結合を少なくとも一つ有する
リン化合物としては、下記一般式(化18)で表される
化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改
善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0059】
【化18】
【0060】(式(化18)中、R1は水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはア
ルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭
化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化
水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭
化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフ
ェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよ
い。)
【0061】上記のR1としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
【0062】上記したリン化合物の中でも、芳香環構造
を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。
【0063】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、
(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホ
スホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチ
ル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミ
ノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホ
スホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1
−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホ
ン酸エチルがとくに好ましい。
【0064】本発明の好ましいリン化合物としては、化
学式(化19)であらわされるリン化合物が挙げられ
る。
【0065】
【化19】
【0066】(式(化19)中、R1は炭素数1〜49の
炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアル
コキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化
水素基を表し、R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂
環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0067】また、更に好ましくは、化学式(化19)
中のR1,R2,R3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合
物である。
【0068】これらのリン化合物の具体例を以下に示
す。
【0069】
【化20】
【0070】
【化21】
【0071】
【化22】
【0072】
【化23】
【0073】
【化24】
【0074】
【化25】
【0075】また、本発明のリン化合物は、分子量が大
きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大き
く好ましい。
【0076】本発明のリン化合物は、フェノール部を同
一分子内に有するリン化合物であることが好ましい。フ
ェノール部を同一分子内に有するリン化合物を含有する
ことでポリエステルの物性改善効果が高まることに加え
て、ポリエステルの重合時にフェノール部を同一分子内
に有するリン化合物を用いることで触媒活性を高める効
果がより大きく、従ってポリエステルの生産性に優れ
る。
【0077】フェノール部を同一分子内に有するリン化
合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であ
れば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内
に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合
物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化
合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物か
らなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用
いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効
果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種
以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系
化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活
性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0078】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物としては、下記一般式(化26)〜(化2
8)で表される化合物が好ましい。
【0079】
【化26】
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】(式(化26)〜(化28)中、R1はフェ
ノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基な
どの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の
炭化水素基を表す。R4,R5,R6はそれぞれ独立に水素、炭
素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基ま
たはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む
炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2,R3はそれぞれ
独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基また
はアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の
炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシ
クロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳
香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結
合していてもよい。)
【0083】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニ
ルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメ
チル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p
−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p
−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキ
シフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェ
ニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフ
ェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィ
ン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェ
ニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキ
サイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン
オキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホ
スフィンオキサイド、および下記式(化29)〜(化3
2)で表される化合物などが挙げられる。これらのうち
で、下記式(化31)で表される化合物およびp−ヒド
ロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
【0084】
【化29】
【0085】
【化30】
【0086】
【化31】
【0087】
【化32】
【0088】上記の式(化31)にて示される化合物と
しては、SANKO-220(三光株式会社製)があり、使用可
能である。
【0089】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物の中でも、下記一般式(化33)で表され
る特定のリンの金属塩化合物から選択される少なくとも
一種がとくに好ましい。
【0090】
【化33】
【0091】((式(化33)中、R1、R2はそれぞれ
独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3
は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基または
アルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸
基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数
1〜50の炭化水素基を表す。R4-としては例えば、
水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオ
ンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1
以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4
以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1
以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂
環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造
を含んでいてもよい。)
【0092】これらの中でも、下記一般式(化34)で
表される化合物から選択される少なくとも一種が好まし
い。
【0093】
【化34】
【0094】(式(化34)中、Mn+はn価の金属カチ
オンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
【0095】上記式(化33)または(化34)の中で
も、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、
Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると
触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、
Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0096】本発明の特定のリンの金属塩化合物として
は、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウム
ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、スト
ロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸
フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビ
ス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス
[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホス
ホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチ
ウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マ
グネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
【0097】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物の中でも、下記一般式(化35)で表され
るP-OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物か
ら選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
【0098】
【化35】
【0099】((式(化35)中、R1、R2はそれぞれ
独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3
は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基または
アルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキ
シル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の
芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0100】これらの中でも、下記一般式(化36)で
表される化合物から選択される少なくとも一種が好まし
い。
【0101】
【化36】
【0102】(式(化36)中、R3は、水素、炭素数
1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を
含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は
シキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナ
フチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0103】上記のR3としては例えば、水素、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の
脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニ
ル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基など
が挙げられる。
【0104】本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有
する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メ
チル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデ
シル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エ
チル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸メチルがとくに好ましい。
【0105】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物の中でも、下記一般式(化37)で表され
る特定のリン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン
化合物が好ましい。
【0106】
【化37】
【0107】(上記式(化37)中、R1、R2はそれぞ
れ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R
3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水
素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜5
0の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化
水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェ
ニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0108】上記一般式(化37)の中でも、下記一般
式(化38)で表される化合物から選択される少なくと
も一種を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活
性の向上効果が高く好ましい。
【0109】
【化38】
【0110】(上記式(化38)中、R3、R4はそれぞ
れ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分
岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでい
てもよい。)
【0111】上記のR3、R4としては例えば、水素、メ
チル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等
の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換され
たフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2
OHで表される基などが挙げられる。
【0112】本発明の特定のリン化合物としては、3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン
酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタ
デシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中
で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ま
しい。
【0113】本発明のフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物の中でも、本発明でとくに望ましい化合物
は、化学式(化39)、(化40)で表される化合物か
ら選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0114】
【化39】
【0115】
【化40】
【0116】上記の化学式(化39)にて示される化合
物としては、Irganox1222(チバ・スペシャ
ルティーケミカルズ社製)が市販されており、また化学
式(化40)にて示される化合物としてはIrgano
x1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)
が市販されており、使用可能である。
【0117】リン化合物は、ポリエステルの熱安定剤と
しては知られていたが、これらの化合物を従来の金属含
有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶
融重合を大きく促進することはこれまで知られていなか
った。実際に、ポリエステル重合の代表的な触媒である
アンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物あるいは
ゲルマニウム化合物を重合触媒としてポリエステルを溶
融重合する際に、本発明のリン化合物を添加しても、実
質的に有用なレベルまで重合が促進されることは認めら
れない。
【0118】本発明の方法に従ってポリエステルを製造
する際のリン化合物の使用量としては、得られるポリエ
ステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数
に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、0.
005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。
【0119】本発明のリン化合物を併用することによ
り、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとしての添
加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られ
る。リン化合物の添加量が0.0001モル%未満の場
合には添加効果が発揮されない場合があり、また0.1
モル%を超えて添加すると逆にポリエステル重合触媒と
しての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向
は、アルミニウムの使用量等により変化する。
【0120】本発明で使用できる第2金属元素には、リ
チウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アン
チモン、ゲルマニウム、チタン、スズ、コバルト、マン
ガン、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジ
ウム、ジルコニウム、ハフニウム、珪素、鉄、ニッケ
ル、ガリウムおよびそれらの化合物などがある。好まし
くは、アンチモン、ゲルマニウム、チタン、マグネシウ
ム、コバルト化合物である。
【0121】これらの成分の添加が前述のようなポリエ
ステルの特性、加工性、色調など製品に問題を生じない
添加量の範囲内において共存させて用いることは、重縮
合時間の短縮による生産性を向上させる際に有効であ
り、好ましい。ただし、アンチモン化合物は、重合して
得られるポリエステル中に残存するアンチモン原子の残
存量として150ppm以下になることが好ましい。より
好ましくは100ppm以下で、さらに好ましくは50
ppm以下である。 アンチモン原子の残存量が150ppm
より多くなると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリ
エステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。
添加可能なアンチモン化合物としては、三酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモング
リオキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アンチモンが
好ましい。
【0122】ゲルマニウム化合物は、重合して得られる
ポリエステル中に残存するゲルマニウム原子の残存量と
して30ppm以下になることが好ましい。より好ましく
は20ppm以下であり、さらに好ましくは10ppm以下
である。ゲルマニウム原子の残存量として30ppmより
多くなるとコスト的に不利になるため好ましくない。ま
た、ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウ
ム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸化ゲ
ルマニウムが好ましい。
【0123】チタン化合物は、重合して得られるポリエ
ステル中に残存するチタン原子の残存量として5ppm以
下になることが好ましい。より好ましくは3ppm以下で
ある。チタン原子の残存量として5ppmを超えると重合
活性は十分発揮するが、耐熱性および色調の面で問題が
生じるため好ましくない。また、チタン化合物として
は、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピ
ルチタネート、テトラ-n−ブチルチタネート、テトラ
イソブチルチタネート、テトラ-tert-ブチルチタネー
ト、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニル
チタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げら
れ、特にテトラブチルチタネートが好ましい。
【0124】マグネシウム化合物は、重合して得られる
ポリエステル中に残存するマグネシウム原子の残存量と
して30 ppm以下になることが好ましい。より好ましくは
20ppm以下である。マグネシウム原子の残存量として30
ppmを超えると重合活性は十分発揮するが、異物の問題
が発生し好ましくない。
【0125】コバルト化合物は、重合して得られるポリ
エステル中に残存するコバルト原子の残存量として10
ppm以下になることが好ましい。より好ましくは5ppm以
下であり、さらに好ましくは3ppm以下である。10pp
mを超えると触媒活性は向上するが、得られたポリエス
テルの耐熱性が低下するため好ましくない。
【0126】本発明に言うポリエステルとは、ジカルボ
ン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成
性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコール
を含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上
とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこ
れらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状
エステルから成るものをいう。
【0127】ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン
酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタン
ジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、
1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン
酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸な
どに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらの
エステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸または
これらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホ
イソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカ
ルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナ
フタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン
酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4'ービフェ
ニルジカルボン酸、4、4'ービフェニルスルホンジカ
ルボン酸、4、4'ービフェニルエーテルジカルボン
酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p'ージカ
ルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸など
に例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステ
ル形成性誘導体が挙げられる。
【0128】これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸
およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレ
ンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点
で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分
とする。
【0129】これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸
として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン
酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、3、4、3'、4'ービフェニ
ルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘
導体などが挙げられる。
【0130】グリコールとしてはエチレングリコール、
1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレング
リコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリ
コール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレ
ングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ー
ブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,
2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサン
ジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシ
クロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジ
メタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,
4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチ
レングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエ
チレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリ
コール、ヒドロキノン、4, 4'ージヒドロキシビスフ
ェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベ
ン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニ
ル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p
−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビ
スフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これら
のグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコー
ル、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0131】これらのグリコールのうちエチレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが
好ましい。
【0132】これらグリコール以外の多価アルコールと
して、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリ
セロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0133】ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒド
ロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒ
ドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘ
キサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導
体などが挙げられる。
【0134】環状エステルとしては、ε-カプロラクト
ン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラク
トン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなど
が挙げられる。
【0135】多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボ
ン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキ
ルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられ
る。
【0136】本発明で用いられるポリエステルは主たる
酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレン
グリコールであるポリエステルが好ましい。
【0137】主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエ
ステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルと
は、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル
形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエス
テル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリ
エステルであることが好ましく、より好ましくは80モル
%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは
90モル%以上含有するポリエステルである。
【0138】主たるグリコール成分がアルキレングリコ
ールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対し
てアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有す
るポリエステルであることが好ましく、より好ましくは
80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ま
しくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここ
で言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂
環構造を含んでいても良い。
【0139】本発明で用いられるナフタレンジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ー
ナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボ
ン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタ
レンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、
またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0140】本発明で用いられるアルキレングリコール
としては、エチレングリコール、1、2ープロピレング
リコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブ
チレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、
3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコー
ル、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサ
ンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ー
シクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメ
タノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4
ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサ
ンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、
1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは
同時に2種以上を使用しても良い。
【0141】本発明のポリエステルとしてはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレ
ート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフ
タレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらの
うちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が
特に好ましい。
【0142】本発明の方法に従ってポリエステル重合を
した後に、このポリエステルから触媒を除去するか、ま
たはリン系化合物などの添加によって触媒を失活させる
ことによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高める
ことができる。
【0143】本発明のポリエステル中には、有機系、無
機系、及び有機金属系のトナー、ならびに蛍光増白剤な
どを含むことができ、これらを一種もしくは二種以上含
有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさ
らに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の
任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、
顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その
他の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤として
は、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が使
用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステ
ル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使用可
能である。これらの添加剤は、ポリエステルの重合時も
しくは重合後、あるいはポリエステルの成形時の任意の
段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは
化合物の特性やポリエステル成形体の要求性能に応じて
それぞれ異なる。
【0144】本発明の液相重縮合工程(1)は、従来公
知の液相重合工程である。すなわち、PETの場合は、テ
レフタル酸とエチレングリコールおよび必要に応じて他
の共重合成分を直接反応させて水を留出しエステル化し
た後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、また
は、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールおよび
必要に応じて他の共重合成分を反応させてメチルアルコ
ールを留出しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を
行うエステル交換法により製造される。
【0145】本発明の重縮合触媒は、重合反応の任意の
段階で反応系に添加することができる。例えばエステル
化反応もしくはエステル交換反応の開始前及び反応途中
の任意の段階もしくは重縮合反応の開始直前あるいは反
応途中に反応系へ添加することができる。特に、アルミ
ニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に添加
することが好ましい。本発明の重縮合触媒の添加方法
は、粉末状ないしはニート状での添加であってもよい
し、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしく
は溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。
また、アルミニウム金属もしくはその化合物と他の成
分、例えば本発明のリン化合物とを予め混合した混合物
として添加してもよいし、これらを別々に添加してもよ
い。またアルミニウム金属もしくはその化合物と他の成
分、例えばリン化合物とを同じ添加時期に重合系に添加
してもよく、それぞれの成分を別々の添加時期に添加し
てもよい。また、触媒の全量を一度に添加しても、複数
回に分けて添加してもよい。
【0146】上記の重縮合工程(1)は、バッチ方式、
半連続方式、連続方式何れかの方法でもよく。得られた
ポリエステルレジンは、工程(2)で粒状(ペレット)
化される。
【0147】本発明の工程(2)で得られるポリエステ
ルペレットの形状は、シリンダー型、角型、球状または
扁平な板状などの何れでもよく、その平均粒子径は、通
常1.5〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ましくは
1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合
は、長さ1.5〜4.0mm程度であるのが実用的である。球状
粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、
最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的
である。また、ペレットの重量は10〜40mg/粒の範囲が
実用的である。
【0148】上記の工程(2)で得られるポリエステル
ペレットのIVは0.3〜0.9 dl/gであることが好ましく、
より好ましくは0.4〜0.85 dl/g、さらに好ましくは0.5
〜0.65 dl/gである。0.3 dl/g未満では、例えば繊維、
シート、フィルムなどの成形品の力学特性が不足し好ま
しくない態様である。0.9 dl/gを超えると溶融重縮合の
生産性が極端に悪化したり、AA含有量が急増したりす
るので、好ましくない。
【0149】次いで、本発明のポリエステルペレットは
予備結晶化工程(3)を経て固相重合工程(4)へ輸送
される。本発明の予備結晶化工程での結晶化は、不活性
ガス下または減圧下あるいは水蒸気または水蒸気含有不
活性ガス雰囲気下において、ガラス転移点(Tg)以上で
かつ融点以下の温度、具体的にはPETの場合は、100
〜210℃の温度で1〜5時間加熱して行われる。
【0150】本発明の固相重合工程(4)での固相重合
は不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下、融点以下の温
度、具体的にはPETの場合は190〜235℃の温度範囲で
1〜30時間行われる。
【0151】本発明に用いられるポリエステル、特に、
繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成される
ポリエステルの固相重合後の固有粘度(IV)は0.55〜1.
5 dl/g、好ましくは0.58〜1.30 dl/g、さらに好ましく
は0.6〜1.00 dl/gの範囲である。IVが0.55 dl/g未満で
は、得られた成形体などの機械的特性が悪い。また、1.
5 dl/gを超える場合は、成形機などによる溶融時の樹脂
温度を高くする必要が生じるため熱分解を伴うようにな
り、例えば中空成形体などの保香性に影響を及ぼす遊離
の低分子化合物の増加、成形体が黄色に着色するなどの
問題点が起こる。
【0152】また、本発明に用いられるポリエステル、
特に、繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタレートか
ら構成されるポリエステルの固有粘度(IV)は0.40〜1.
00 dl/g、好ましくは0.42〜0.90 dl/g、さらに好ましく
は0.45〜0.80 dl/gの範囲である。IVが0.40 dl/g未満で
は、得られた成形体などの機械的特性が悪い。また、1.
00 dl/gを超える場合は、成形機などによる溶融時の樹
脂温度を高くする必要が生じるため熱分解を伴うように
なり、例えば中空成形体などの保香性に影響を及ぼす遊
離の低分子化合物の増加、成形体が黄色に着色するなど
の問題点が起こる。
【0153】本発明に用いられるポリエステルには、そ
の他の熱可塑性樹脂、例えばガスバリヤー性のポリエス
テル、紫外線吸収性ポリエステル、キシリレン基含有ポ
リアミドなどのガスバリヤー性のポリアミド樹脂、結晶
性を促進させるポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂
等の適当量をブレンドすることができる。
【0154】固相重合工程(4)で得られたポリエステ
ルは、溶融成形でのアルデヒド類の発生を抑制するため
水、リン含有水溶液、有機溶剤、あるいはリン含有有機
溶剤溶液で処理される。
【0155】本発明の水処理は、ポリエステルペレット
を水と接触させることで実施される。処理温度は、50
〜130℃の熱水に5分〜72時間浸漬することにより
実施される。好ましくは、処理温度70〜98℃の熱水
中に10分〜16時間浸漬することにより実施される。
本発明の水処理は、ポリエステルペレットを水蒸気また
は水蒸気含有不活性ガスと接触させることで実施しても
よい。
【0156】ポリエステルペレットの水処理は、バッチ
方式、連続方式のいずれでも可能である。バッチ方式で
は、回転式ドラム方式やサイロ方式などが一般に使用さ
れ、効率的な水との接触が計られる。連続方式は、塔型
の処理装置が用いられ上部よりポリエステルペレットが
供給され、水は並流および向流で連続的に供給される。
水処理されたポリエステルペレットは振動篩機やシモン
カーターなどの水切り機を用い水切りした後、ホッパー
型や回転ディスク型の乾燥機などで乾燥される。
【0157】本発明のリン含有水溶液処理は、ポリエス
テルペレットと次亜リン酸水溶液、亜リン酸水溶液、次
亜リン酸エステル水溶液、亜リン酸エステル水溶液、リ
ン酸エステル水溶液とを接触させることで行われる。こ
こでいう次亜リン酸エステルとしては、例えば次亜リン
酸メチル、次亜リン酸ジメチル、次亜リン酸トリメチル
などが挙げられる。
【0158】亜リン酸エステルとしては、例えばメチル
ホスファイト、ジメチルホスファイト、トリメチルホス
ファイト、エチルホスファイト、ジエチルホスファイ
ト、トリエチルホスファイト、ブチルホスファイト、ジ
ブチルホスファイト、トリブチルホスファイト、フェニ
ルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリフェニ
ルホスファイト、ドデシルホスファイト、ビスドデシル
ホスファイト、トリスドデシルホスファイト、ノニルフ
ェニルホスファイト、ビスノニルフェニルホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイト、などが挙げら
れる。
【0159】リン酸エステルとしては、例えばモノメチ
ルホスフェート、ジメチルホスフェート、トリメチルホ
スフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフ
ェート、トリスエチルホスフェート、モノ(ノルマルま
たはイソ)プロピルホスフェート、ジ(ノルマルまたは
イソ)プロピルホスフェート、トリ(ノルマルまたはイ
ソ)プロピルホスフェート、モノ(ノルマルまたはイ
ソ)ブチルホスフェート、ジ(ノルマルまたはイソ)ブ
チルホスフェート、トリ(ノルマルまたはイソ)ブチル
ホスフェート、モノオクチルホスフェート、ジオクチル
ホスフェート、トリオクチルホスフェート、モノフェニ
ルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、モノクレジルホスフェート、ジクレジ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げ
られる。リン酸エステル類が好ましい態様である。
【0160】本発明のポリエステルペレットと接触させ
るリン含有水溶液は、リン原子換算濃度が5ppm以上
で、好ましくは10〜100,000ppmであり、より
好ましくは100〜80,000ppm、特に好ましくは
1,000〜10,000ppmである。
【0161】リン含有水溶液での処理温度は、20〜1
20℃で、好ましくは30〜100℃の範囲にあり、接
触時間は5分〜16時間、好ましくは15分〜8時間で
ある。リン含有水溶液処理されたポリエステルペレット
は、脱液・水洗・水切りした後、乾燥される。
【0162】本発明のポリエステルペレットと接触させ
る有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアル
コール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペ
ンタノール、2−メチル-1-ブタノール、イソペンチル
アルコール、tert-ペンチルアルコール、3−メチル-2
-ブタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘキサノー
ル、2-メチル-1-ペンタノール、4−メチル-2-ペン
タノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノー
ル、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノ
ール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、
1-ノナノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノー
ル、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノ
ール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベ
ンジルアルコール、シクロヘキサノール、1-メチルシ
クロヘキサノール、2-メチルシクロヘキサノール、3-
メチルシクロヘキサノール、4-メチルシクロヘキサノ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ト
リメチレングリコール、1,2-ブタンジオール、グリセ
リンなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、
メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4−ヘプタ
ノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、シク
ロヘキサノン、などのケトン類、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ナノン、デカン、ヘキサ
デカンなどの炭素数4〜16の飽和炭化水素類などが挙
げられる。有機溶剤としては、効果、コストおよび作業
性の点でアセトンおよび2-プロパノールが好ましい態
様である。
【0163】本発明の有機溶剤での処理温度は、溶剤の
沸点にも影響されるが、20〜120℃で、好ましくは
30〜100℃の範囲であり、接触時間は5分〜8時
間、好ましくは30分〜5時間である。有機溶剤処理後
は、脱液・水洗・水切りした後、乾燥される。
【0164】本発明のリン含有有機溶剤溶液処理は、ポ
リエステルペレットと次亜リン酸有機溶剤溶液、亜リン
酸有機溶剤溶液、次亜リン酸エステル有機溶剤溶液、亜
リン酸エステル有機溶剤溶液、リン酸エステル有機溶剤
溶液とを接触させることで行われる。好ましくは、リン
酸エステル類のアセトンあるいは2−プロパノール溶液
が好ましい態様である。 本発明のリン含有有機溶剤溶
液での処理温度は、溶剤の沸点にも影響されるが、20
〜120℃で、好ましくは30〜100℃の範囲であ
り、接触時間は5分〜8時間、好ましくは30分〜5時
間である。リン含有有機溶剤溶液処理後は、脱液・水洗
・水切りした後、乾燥される。
【0165】上記の水、リン含有水溶液、有機溶剤、リ
ン含有有機溶剤溶液処理は、固相重縮合上がりのポリエ
ステルペレット中の触媒活性を失活させ、溶融成形時の
ポリエステルの熱分解を抑制させる効果があるのではな
いかと推定しているが十分確認されているわけではな
い。
【0166】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらの実施例に制限されるものではない。な
お、評価法は以下の方法で実施した。
【0167】固有粘度(IV:dl/g) 溶融重縮合および固相重縮合で得られたそれぞれのポリ
エステルペレット(長さ約3mm、直径約2mm、シリ
ンダー状)を、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタ
ンの6/4(重量比)混合溶媒に80〜100℃で数時
間かけ溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃
で測定した。濃度は、4g/lを中心にして何点か測定
し、常法に従ってIVを決定した。 アセトアルデヒド含量(AA含有量) 試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスア
ンプルに入れ、上部を溶封し、160℃で2時間抽出処
理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度
ガスクロマトグラフィーで測定し、濃度をppmで表示
した。 ペレットの密度 硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管を用い、3
0℃で測定した。 中空成形体の成形 ポリエステルを除湿空気を用いた乾燥機で140℃、5
時間乾燥し、名機製作所製M−150C(DM)射出成
型機により樹脂温度290℃、金型温度20℃でプリフ
ォームを成形した。このプリフォームをコーポプラスト
社製LB−01E延伸ブロー成型機を用いて、ブロー圧
32kg/cm2で20℃の金型内で二軸延伸ブロー成形
し、2000ccの中空成形体(胴部は円形)を得た。
【0168】味覚および臭覚評価 上記(4)で得られた中空成形体(2000ccのボト
ル)の容量の約90%に相当する量の蒸留水を常温でボ
トルに注入・密栓した後、30℃にコントロールしてあ
る乾燥機内にこのボトルを1カ月放置した。処理後25
℃に冷却し、5人の被検者が内容物を試飲し、匂いおよ
び味について下記の基準で評価した。 ○:5人全員が「未処理蒸留水と変わらず」と評価した
時。 ○〜△:3人が「未処理蒸留水と変わらず」、2人が若
干不快あるいは不快と評価した時。 △:2人が「未処理蒸留水と変わらず」、3人が「若干
不快あるいは不快」と評価した時。 △〜×:1人が「未処理蒸留水と変わらず」、4人が
「若干不快あるいは不快」と評価した時。 ×:5人全員が「若干不快あるいは不快」と評価した
時。 アルデヒド臭の評価 上記(4)で得られた中空成形体(2000ccのボト
ル)をキャップで密栓した後、40℃にコントロールし
てある乾燥機内で2時間加熱し、その後オーブンから取
り出してキャップを開けた時のアルデヒド臭を官能評価
した。 ○:5人全員が無臭と評価した時。 ○〜△:3人が無臭、2人が若干アルデヒド臭ありと評
価した時。 △:2人が無臭、3人がアルデヒド臭ありと評価した
時。 △〜×:1人が無臭、4人がアルデヒド臭ありと評価し
た時。 ×:5人全員がアルデヒド臭ありと評価した時。
【0169】(成型用ポリエステルペレットの調製): (1)攪拌機付き熱媒循環式2リッターステンレス製オ
ートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量の
エチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成
分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下2
45℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を1
20分行いエステル化率が95%のビス(2-ヒドロキシ
エチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以
下BHET混合物という)を得た。このBHET混合物
に重縮合触媒として塩基性酢酸アルミニウム(Aldrich
製)水溶液にエチレングリコールを加え環留し、結果と
して15g/l塩基性酢酸アルミニウムのエチレングリコ
ール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウ
ム原子として0.014モル%とリン化合物としてIrga
nox 1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ製)の1
0g/lエチレングリコール溶液を酸成分に対してIrgan
ox 1425として0.02モル%を加え、次いで、窒素雰
囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌した。その
後、60分間かけて275℃まで昇温しつつ反応系の圧
力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さ
らに275℃、13.3PaでIVが約0.6dl/g
になるまで重縮合反応を実施した。放圧に続き、微加圧
下のレジンを冷水にストランド状に吐出して急冷し、そ
の後20秒間冷水中で保持した後、カティングして長さ
約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のペレットを
得た。上記溶融重縮合で得られたポリエステルペレット
を160℃で加熱処理してポリエステルペレットの表面
を結晶化させた後、静置固相重縮合塔で窒素気流下、約
165℃で乾燥後、205℃で固相重合しIVが0.8
0dl/g、AA含有量1.9ppm、密度1.4g/c
3の固相重縮合ポリエステルペレットを得た。
【0170】(2)攪拌機付き熱媒循環式2リッタース
テンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその
2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチル
アミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MP
aの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステ
ル化反応を120分行いエステル化率が95%のビス
(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマ
ーの混合物(以下BHET混合物という)を得た。この
BHET混合物に重縮合触媒として塩基性酢酸アルミニ
ウム(Aldrich製)水溶液にエチレングリコールを加え
環留し、結果として15g/l塩基性酢酸アルミニウムの
エチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対
してアルミニウム原子として0.007モル%とリン化
合物としてIrganox 1425(チバ・スペシャルティーケミ
カルズ製)の10g/lエチレングリコール溶液を酸成
分に対してIrganox 1425として0.01モル%、さらに
ゲルマニウム原子換算で最終ポリエステル中の残存量が
15ppmになるよう二酸化ゲルマニウムを加え、次い
で、窒素雰囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌し
た。その後、60分間かけて275℃まで昇温しつつ反
応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)
として、さらに275℃、13.3PaでIVが約0.
6dl/gになるまで重縮合反応を実施した。放圧に続
き、微加圧下のレジンを冷水にストランド状に吐出して
急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カティン
グして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状の
ペレットを得た。上記溶融重縮合で得られたポリエステ
ルペレットを160℃で加熱処理してポリエステルペレ
ットの表面を結晶化させた後、静置固相重縮合塔で窒素
気流下、約165℃で乾燥後、205℃で固相重合しI
Vが0.82dl/g、AA含有量2.5ppm、密度
1.4g/cm3の固相重縮合ポリエステルペレットを得
た。
【0171】(実施例1)上記成型用ポリエステルペレ
ット(1)3kgおよび10kgの蒸留水を攪拌機付き
ステンレススチール製容器に入れ、加熱により液温を9
5℃に制御し、その状態で6時間、攪拌しながら水処理
を実施した。その後、脱水し、窒素雰囲気中、135℃
で16時間乾燥した。このポリエステルペレットを用
い、上述の方法で中空成形体であるボトルを成形した。
得られたボトルのアルデヒド臭は比較例のものに比べて
少なかった。該ボトルにボトル容量の約90%になるま
で蒸留水を注入し、密栓したものを30℃の乾燥機中に
1ヶ月間放置した。ボトル内蒸留水の試飲の結果を表1
に示す。
【0172】(実施例2)上記成型用ポリエステルペレ
ット(1)3kgおよび10kgの0.05重量%のジ
メチルホスフェート水溶液を攪拌機付きステンレススチ
ール製容器に入れ、約25℃で6時間、攪拌しながらリ
ン含有水溶液処理を実施した。その後、脱液・水洗・脱
水し、窒素雰囲気中、135℃で16時間乾燥した。こ
のポリエステルペレットを用い、上述の方法で中空成形
体であるボトルを成型した。得られたボトルのアルデヒ
ド臭は比較例のものに比べて少なかった。該ボトルにボ
トル容量の約90%になるまで蒸留水を注入し、密栓し
たものを30℃の乾燥機中に1ヶ月間放置した。ボトル
内蒸留水の試飲の結果を表1に示す。
【0173】(実施例3)上記成型用ポリエステルペレ
ット(1)3kgおよび8kgのイソプロパノールを攪
拌機付きステンレススチール製容器に入れ、約25℃で
6時間、攪拌しながら有機溶剤処理を実施した。その
後、脱液・水洗・脱水し、窒素雰囲気中、135℃で1
6時間乾燥した。このポリエステルペレットを用い、上
述の方法で中空成形体であるボトルを成型した。得られ
たボトルのアルデヒド臭は比較例のものに比べて少なか
った。該ボトルにボトル容量の約90%になるまで蒸留
水を注入し、密栓したものを30℃の乾燥機中に1ヶ月
間放置した。ボトル内蒸留水の試飲の結果を表1に示
す。
【0174】(実施例4)上記成型用ポリエステルペレ
ット(1)3kgおよび8kgの0.05重量%トリメ
チルホスフェートのイソプロパノール溶液を攪拌機付き
ステンレススチール製容器に入れ、約25℃で6時間、
攪拌しながらリン含有有機溶剤処理を実施した。その
後、脱液・水洗・脱水し、窒素雰囲気中、135℃で1
6時間乾燥した。このポリエステルペレットを用い、上
述の方法で中空成形体であるボトルを成型した。得られ
たボトルのアルデヒド臭は比較例のものに比べて少なか
った。該ボトルにボトル容量の約90%になるまで蒸留
水を注入し、密栓したものを30℃の乾燥機中に1ヶ月
間放置した。ボトル内蒸留水の試飲の結果を表1に示
す。
【0175】(実施例5)上記成型用ポリエステルペレ
ット(2)を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行
った。得られたボトルのアルデヒド臭は比較例のものに
比べて少なかった。ボトル内蒸留水の試飲の結果を表1
に示す。
【0176】(比較例1)実施例1において、水処理工
程を削除する以外はすべて実施例1と同様にしてボトル
を成型した。得られたボトルのアルデヒド臭およびこの
ボトルを用いたボトル内蒸留水の試飲の結果を表1に示
す。
【0177】(比較例2)実施例5において、水処理工
程を削除する以外はすべて実施例5と同様にしてボトル
を成型した。得られたボトルのアルデヒド臭およびこの
ボトルを用いたボトル内蒸留水の試飲の結果を表1に示
す。
【0178】
【表1】
【0179】
【発明の効果】本発明に係るポリエステルの製造方法、
すなわち、アルミニウムおよびその化合物からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選ばれる
少なくとも1種を含み、かつ必要に応じて、第2金属含
有成分としてSb,Ge,Ti,CoおよびMgなどの第2金属含有
化合物から選ばれる少なくとも1種を含む重縮合触媒の
存在下で、ポリエステルを液相重縮合、粒状化、予備結
晶化および固相重合して得られたポリエステルペレット
を水、リン含有水溶液、有機溶剤およびリン含有有機溶
剤溶液のいずれかに接触させることで、該ポリエステル
を成形して得られる中空成形体、シート、フィルムなど
のポリエステル成形物は透明性に優れ、かつ内容物の匂
い、味などの品質不良の原因となる溶融成形時のアルデ
ヒド類の発生を抑制することが可能になる。
フロントページの続き (72)発明者 形舞 祥一 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA02 AA03 AA05 AB04 AE01 BA03 BA08 BA09 BA10 BC05A BF09 BF10 BF17 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CB04A CB05B CC05A CC09 CD03 EA01 EB04A EG01 GA13 GA14 GA17 JA061 JA091 JA121 JA251 JA261 JB131 JB171 JC471 JC481 JC551 JC581 JC751 JF021 JF031 JF131 JF141 JF181 JF251 JF261 JF321 JF331 JF341 JF351 JF361 JF371 JF431 JF471 JF511 JF561 JF571 KE05 KE12 KF03 KF04

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選ば
    れる少なくとも1種を含み、また必要に応じて、Sb,Ge,
    Ti,CoおよびMgなどの第2金属含有化合物より選ばれる
    少なくとも1種を含む重縮合触媒の存在下で、ポリエス
    テルを重縮合させる液相重縮合工程(2)と、工程
    (1)で得られたポリエステルを粒状化する工程(2)
    と、工程(2)で得られたポリエステルを不活性ガス雰
    囲気下、ガラス転移点(Tg)以上でかつ融点以下の温度
    で予備結晶化させる予備結晶化工程(3)と、工程
    (3)で得られるポリエステルを不活性ガス雰囲気下、
    融点以下の温度で加熱処理する固相重合工程(4)と、
    工程(4)で得られたポリエステルを水に接触させる水
    処理工程(5)からなるポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記工程(4)で得られるポリエステル
    の固有粘度(IV)が0.55〜1.50 dl/gであることを特徴
    とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウムおよびその化合物からなる
    群より選ばれる少なくとも1種と、リン化合物から選ば
    れる少なくとも1種を含み、また必要に応じて、Sb,Ge,
    Ti,CoおよびMgなどの第2金属含有化合物より選ばれる
    少なくとも1種を含む重縮合触媒の存在下で、ポリエス
    テルを重縮合させる液相重縮合工程(1)と、工程
    (1)で得られたポリエステルを粒状化する工程(2)
    と、工程(2)で得られるポリエステルを水に接触させ
    る水処理工程とからなるポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】上記水処理工程の替わりにリン含有水溶
    液、有機溶剤溶液あるいはリン含有有機溶剤溶液で処理
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記アルミニウム化合物が酢酸アルミニ
    ウム、塩基性酢酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム
    およびアルミニウムアセチルアセトネートから選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記リン化合物がホスホン酸系化合物、
    ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合
    物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、
    ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載のポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリエステルが芳香族ジカルボン酸また
    はそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはその
    エステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステ
    ル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られた
    ものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載のポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ジカルボン酸がテレフタル酸を主た
    る成分として含むことを特徴とする請求項1〜7のいず
    れかに記載のポリエステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記ジカルボン酸がイソフタル酸および
    /またはナフタレンジカルボン酸を0〜15モル%含有する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリ
    エステルの製造方法。
  10. 【請求項10】前記第2金属元素であるアンチモン化合
    物のポリエステル中の残存量がアンチモン原子として1
    50ppm以下の量であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  11. 【請求項11】前記第2金属元素であるゲルマニウム化
    合物のポリエステル中の残存量がゲルマニウム原子とし
    て30ppm以下の量であることを特徴とする請求項1〜
    10のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  12. 【請求項12】前記第2金属元素であるチタン化合物の
    ポリエステル中の残存量がチタン原子として5ppm以下
    の量であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか
    に記載のポリエステルの製造方法。
  13. 【請求項13】前記第2金属元素であるマグネシウム化
    合物のポリエステル中の残存量がマグネシウム原子とし
    て30ppm以下の量であることを特徴とする請求項1〜
    12のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  14. 【請求項14】前記第2金属元素であるコバルト化合物
    のポリエステル中の残存量がコバルト原子として10pp
    m以下の量であることを特徴とする請求項1〜13のい
    ずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれかに記載の方法
    で製造されたポリエステル。
  16. 【請求項16】請求項15に記載のポリエステルを射出
    成形あるいは押し出し成形することを特徴とするポリエ
    ステル成形物の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載のポリエステルから
    なる中空成形体。
  18. 【請求項18】 請求項15に記載のポリエステルから
    なるシート。
  19. 【請求項19】 請求項15に記載のポリエステルから
    なるフィルム。
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