JP2005126450A - ポリエステルの重合触媒、それを用いて製造されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法。 - Google Patents

ポリエステルの重合触媒、それを用いて製造されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、チタン化合物の長所である重合活性を生かし、かつ、欠点である熱劣化に伴う着色の問題を抑えたポリエステルを得るためのポリエステル重合触媒を提供することにある。
【解決手段】 チタン化合物、スルホン酸類、および有機溶媒、必要に応じてリン化合物および/またはコンプレックス剤で調製された重合触媒(A)とアルミニウム化合物およびリン化合物からなる重合触媒(B)を別々に調製した後、これらを同時あるいは別々に使用することで重合活性および熱劣化に伴う着色の問題が改善されることを見出し本発明に到達した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル重合触媒に関する。さらには、触媒活性に優れ、透明性に優れ、着色が少なく、異物発生が少ないポリエステル成形物を与えるポリエステル重合触媒に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化反応もしくはエステル交換反応によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのオリゴマー混合物を製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて液相重縮合させ、粒状化する。その後、例えばボトルの場合などは、固相重縮合し成形用ペレットが製造される。こうして製造されたポリエステルペレットは射出成形してプリフォームを製造し、次いでこのプリフォームをブロー成形するなどして二軸延伸し、ボトル状に成形される。
従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重縮合触媒としては、アンチモンあるいはゲルマニウム化合物が広く用いられている。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステルに黒ずみや異物が発生し、フィルムの表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得ることが困難である。このような経緯で、アンチモンを全く含まないか或いはアンチモンを触媒主成分として含まないポリエステルが望まれている。
アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有し、かつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されているが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、重合中に反応系から系外へ留出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有しており、触媒主成分として使用することには問題がある。
アンチモン系あるいはゲルマニウム系触媒に代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物がすでに提案されている。しかしながら、チタン化合物は重合活性は高い一方で、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
上記、着色の問題を解決すべく、重合触媒として二酸化チタンおよび二酸化珪素の共沈物あるいは、二酸化チタンおよび二酸化ジルコニウムの共沈物を用いる方法(例えば特許文献1参照)、シュウ酸チタニルリチウムと助触媒としてアンチモン化合物を用いる方法(例えば特許文献2参照)、三価および四価の酸化チタンからなる複合酸化物のアルカリ金属塩を用いる方法(例えば特許文献3参照)、チタン酸アルキルとアルコール、2−ヒドロキシカルボン酸および塩基を反応させて得られた重合触媒を用いる方法(例えば特許文献4参照)、有機チタン化合物、特定のリン化合物、アミンおよび溶媒などからなる重合触媒組成物(例えば特許文献5参照)、有機チタン化合物、特定のリン化合物、コンプレックス剤および溶媒などからなる重合触媒組成物(例えば特許文献6参照)、など多くの提案がみられる。しかしながら、いずれの方法も上記の問題が依然として解決されていないのが現状である。
したがって、チタン化合物は、ポリエステルの重合触媒としての活性度は高く、熱劣化に伴う着色の問題が解決さえできれば、有効な触媒として復活する可能性があり期待する向きが多い。
以上のような経緯で、チタン系重合触媒であり、ポリエステルの重合触媒としての活性度が高く、透明性に優れ、異物が少なく、従来のチタン触媒とは異なり、熱劣化に伴う着色の問題の抑制されたポリエステル重縮合触媒が望まれている。
WO95/18839([特許請求の範囲]など) 特開2003−26789([特許請求の範囲]など) 特表2002−542323([特許請求の範囲]など) 特表2001−510493([特許請求の範囲]など) 特表2002−512267([特許請求の範囲]など) WO00/62927([特許請求の範囲]など)
本発明の目的は、チタン化合物の長所である重合活性を生かし、かつ、欠点である熱劣化に伴う着色の問題を抑えたポリエステルを得るためのポリエステル重合触媒を提供することにある。
本発明者らは、前記チタン系重合触媒のもつ欠点である熱劣化に伴う着色の問題を改善すべく鋭意研究した結果、驚くべきことには、チタン化合物、スルホン酸化合物、有機溶媒および必要に応じてリン化合物および/またはコンプレックス剤を用いる系で調製された重合触媒(A)とアルミニウム化合物およびリン化合物からなる重合触媒(B)を別々に調製した後、これらを同時あるいは別々に使用することで重合活性および熱劣化に伴う着色の問題が改善されることを見出し本発明に到達した。
本発明の重合触媒(A)および(B)で用いるリン化合物は、それぞれの目的に適合するものを選ぶことが重要である。
本発明に係るポリエステル重縮合触媒は、チタン化合物、スルホン酸化合物、有機溶媒および必要に応じてリン化合物および/またはコンプレックス剤を用いて調製された重合触媒(A)とアルミニウム化合物およびリン化合物からなる重合触媒(B)を別々に調製した後、これらを同時あるいは別々に使用することで重合活性に優れ、しかも熱劣化に伴う着色を改善するものである。
本発明に係るポリエステル重縮合触媒は、下記一般式(化2)で表される有機チタン化合物、スルホン酸化合物、有機溶剤および必要に応じてリン化合物および/またはコンプレックス剤を用いて調製された重合触媒(A)とアルミニウム化合物およびリン化合物からなる重合触媒(B)とからなることを特徴とするものである。
Figure 2005126450
(式(化2)中、Rは炭素数1〜30で独立したアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基を示す)
本発明で使用できる有機チタン化合物は、式(化2)で表されるものが挙げられる。 式(化2)中、Rは炭素数1〜30で独立したアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基であり、好ましくは炭素数2〜18であり、さらに好ましくは炭素数2〜12である。これらの有機チタン化合物は、単独あるいは2つ以上を組み合わせて用いられる。
本発明のチタン化合物は、溶媒に可溶であることが好ましい態様である。具体的にはチタンテトラハイドロカルビルオキシド類であり、特に制限はない。
例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラヘキソキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンテトラオクトキシドおよびこれらのいずれか2種以上の組み合わせが挙げられる。
好ましい有機チタン化合物は、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシドおよびこれら2種の組み合わせが挙げられる。
本発明で使用できる重合触媒(A)の構成成分の1つであるスルホン酸化合物類は、アルキル基、アリール基で置換されてもかまわない。有機溶剤に可溶なものが好ましい。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸およびこれらの塩が挙げられる。これらは、2つ以上の組み合わせからなる群から選ぶことも可能である。
本発明の重合触媒(A)で使用できるコンプレックス剤としては、ヒドロキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類およびこれらの混合物が挙げられる。これら化合物のアルキル基は、炭素数1〜15が使用可能であり、好ましくは1〜10である。例えば、乳酸、グリコール酸、クエン酸、イソ-クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリシン、ヒドロキシエチルグリシンなどのアミノカルボン酸類が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上の混合物として用いることも可能である。
本発明で使用できる前記した重合触媒(A)で用いられるリン化合物は、ホスホン酸、ホスフィン酸類、ホスフィン類およびこれらの混合物が挙げられる。特に限定されない。例えば、アルキル基、アルケニル基、アルカリール基、アリール基などがリン原子に直接結合した物などが挙げられる。これら置換基の炭素数は1〜25であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15である。具体的には、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸類、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類、3−(ヒドロキシフェニルホスフィニル)プロピオン酸、1,2−ビス-ジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビス−ジフェニルホスフィノプロパン、1,4−ビス−ジフェニルホスフィノブタン、ビス−4−トリホスフィンオキサイド、ビス−3,5−キシリルホスフィンオキサイドなどのホスフィンおよびホスフィンオキサイド類などが挙げられる。好ましいリン化合物は、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、3−(ヒドロキシフェニルホスフィニル)プロピオン酸、1,2−ビス-ジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビス−ジフェニルホスフィノプロパン、1,4−ビス−ジフェニルホスフィノブタン、ビス−4−トリホスフィンオキサイド、ビス−3,5−キシリルホスフィンオキサイドおよびこれらの混合物などが挙げられる。
本発明で使用できる重合触媒(A)の構成成分の1つである前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリコール、1−メチルプロピレングリコール、ペンテングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。これら有機溶剤は単独あるいはこれらの2つ以上からなる組み合わせで用いることが可能である。特に好適な溶媒はエチレングリコールである。
本発明で使用できる前記した重合触媒(B)で用いるアルミニウム化合物は、特に限定されないが、酢酸アルムニウム、塩基性酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートから選ばれた少なくとも1種であり、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウムなどが好適である。
本発明で使用する前記した重合触媒(B)で用いるリン化合物は、重合触媒活性および着色の抑制の点で重要である。
本発明で使用できる前記した重合触媒(B)で用いるリン化合物は、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。これらのリン化合物を含有することでポリエステルの熱安定性等の物性が改善する効果に加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が見られる。これらの中でも、ホスホン酸系化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記式(化3)〜(化8)で表される構造を有する化合物のことを言う。
Figure 2005126450
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本発明のホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン化合物としては、下記式(化9)〜(化14)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005126450
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上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
また、本発明の重合触媒(B)におけるリン化合物としては、下記一般式(化15)〜(化17)で表される化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が特に大きく好ましい。
Figure 2005126450
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(式(化15)〜(化17)中、R1、R4、R5、R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
本発明の重合触媒(B)で用いられるリン化合物としては、上記式(化15)〜(化17)中、R1、R4、R5、R6が芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられるリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物がとくに好ましい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると本発明の課題であるポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられるリンの金属塩化合物としては、下記一般式(化18)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2005126450
(式(化18)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記一般式(化18)で表される化合物の中でも、下記一般式(化19)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
Figure 2005126450
(式(化19)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記式(化19)の中でも、Mが、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられるリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。
上述したリン化合物の中でも、本発明では、リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物がとくに好ましい。これらのリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果がとくに高まることに加えて、ポリエステルの重合時に、これらのリン化合物を本発明のアルミニウム化合物と共存して用いることで触媒活性の向上効果が大きく見られる。
P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物としては、下記一般式(化20)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
Figure 2005126450
(式(化20)中、R1は水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR1としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられるP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられる好ましいリン化合物としては、化学式(化21)であらわされるリン化合物が挙げられる。
Figure 2005126450
(式(化21)中、R1は炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
また、更に好ましくは、化学式(化21)中のR1,R2,R3の少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
これらの重合触媒(B)で用いられるリン化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
また、本発明の重合触媒(B)で用いられるリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられるリン化合物は、フェノール部を同一分子内に有するリン化合物であることが好ましい。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物を含有することでポリエステルの物性改善効果が高まることに加えて、ポリエステルの重合時にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を用いることで触媒活性を高める効果がより大きく、従ってポリエステルの生産性に優れる。
フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物としては、下記一般式(化28)〜(化30)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
(式(化28)〜(化30)中、R1はフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4,R5,R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2,R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。R2とR4の末端どうしは結合していてもよい。)
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記式(化31)〜(化34)で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式(化33)で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
Figure 2005126450
上記の式(化33)にて示される化合物としては、SANKO−220(三光株式会社製)があり、使用可能である。
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物の中でも、下記一般式(化35)で表される特定のリンの金属塩化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
Figure 2005126450
(式(化35)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4-としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(化36)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
Figure 2005126450
(式(化36)中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
上記式(化35)または(化36)の中でも、Mが、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
本発明の重合触媒(B)で用いられる特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物の中でも、下記一般式(化37)で表されるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物から選択される少なくとも一種がとくに好ましい。
Figure 2005126450
(式(化37)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
これらの中でも、下記一般式(化38)で表される化合物から選択される少なくとも一種が好ましい。
Figure 2005126450
(式(化38)中、R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有する重合触媒(B)で用いられる特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物の中でも、下記一般式(化39)で表される特定のリン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物が好ましい。
Figure 2005126450
(上記式(化39)中、R1、R2はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記一般式(化39)の中でも、下記一般式(化40)で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いるとポリエステルの物性改善効果や触媒活性の向上効果が高く好ましい。
Figure 2005126450
(上記式(化40)中、R3、R4はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
上記のR3、R4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2CH2OHで表される基などが挙げられる。
本発明の重合触媒(B)で用いられる特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。
本発明のフェノール部を同一分子内に有する重合触媒(B)で用いられるリン化合物の中でも、本発明でとくに望ましい化合物は、化学式(化41)、(化42)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
Figure 2005126450
Figure 2005126450
上記の化学式(化41)にて示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)、化学式(化42)にて示される化合物としてのIrganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)は、市販されており使用することが可能である。
重合触媒(B)でアルミニウム化合物と同時に用いられるリン化合物は、ポリエステルの熱安定剤としては知られていたが、これらの化合物を従来の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合を大きく促進することはこれまで知られていなかった。実際に、ポリエステル重合の代表的な触媒であるアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物あるいはゲルマニウム化合物を重合触媒としてポリエステルを溶融重合する際に、本発明の重合触媒(B)で用いられるリン化合物を添加しても、実質的に有用なレベルまで重合が促進されることは認められない。
本発明の方法に従ってポリエステルを製造する際の重合触媒(A)および(B)を合わせたリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。本発明の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合があり、また0.1モル%を超えて添加すると逆にポリエステル用重合触媒としての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向は、チタンおよびアルミニウム化合物の使用量等により変化する。
前記重合触媒(A)および(B)のアルミニウム(Al)/チタン(Ti)の構成モル比が金属原子換算で式(1)であることが好ましい。
0.1≦Al/Ti(モル比)≦100 (1)
Al/Tiモル比が0.1未満では、重合活性は十分でありが着色の点で不具合である。一方、Al/Tiモル比が100を超えると、着色の点では満足できるが重合活性の点で劣ってくる。また、Tiは、ポリエステルオリゴマーの酸成分に対し、原子換算で0.0003〜0.03モル%が好ましい。0.0003モル%未満では着色の点では満足できるが重合活性の点で劣り、0.03モル%を超えると重合活性は十分であるが着色の点で不具合が生じ好ましくない態様である。
本発明では、基本的には金属触媒としてチタンおよびアルミニウム化合物を使用するが、第3金属元素として、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、マンガン、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ジルコニウム、ハフニウム、珪素、鉄、ニッケル、ガリウムおよびそれらの化合物などを使用してもかまわない。この際、好ましい触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、マグネシウム化合物などがある。
これらの成分の添加が前述のようなポリエステルの特性、加工性、色調など製品に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。
本発明に言うポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状エステルから成るものをいう。
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
グリコールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコールが挙げられる。
また、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのグリコールのうちエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー(2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
本発明で用いられるポリエステルは主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良い。
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
本発明で用いられるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは同時に2種以上を使用しても良い。
本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらのうちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が特に好ましい。
本発明のポリエステル中には、有機系、無機系、及び有機金属系のトナー、ならびに蛍光増白剤などを含むことができ、これらを一種もしくは二種以上含有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されていてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が使用可能である。
これらの添加剤は、ポリエステルの重縮合時もしくは重縮合後、あるいはポリエステルの成形時の任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは化合物の特性やポリエステル成形体の要求性能に応じてそれぞれ異なる。
本発明の液相重合工程は、従来公知の液相重合工程である。すなわち、PETの場合は、テレフタル酸とエチレングリコールおよび必要に応じて他の共重合成分を直接反応させて水を留出しエステル化した後、減圧下に重合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールおよび必要に応じて他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留出しエステル交換させた後、減圧下に重合を行うエステル交換法により製造される。
本発明の重合触媒(A)および(B)は、重合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前及び反応途中の任意の段階もしくは重合反応の開始直前あるいは反応途中に反応系へ添加することができる。
本発明の重合触媒(A)の添加方法は、溶液状であるが、重合触媒(B)の添加方法は、粉末状ないしはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。また、重合触媒(B)においては、アルミニウム化合物と他の成分、例えば本発明のリン化合物とを予め混合した混合物として添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。また重合触媒(A)および(B)は、同じ添加時期に重縮合系に添加してもよく、重合触媒(A)および(B)それぞれを別々の添加時期に添加してもよい。また、触媒の全量を一度に添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
上記の液相重合工程は、バッチ方式、半連続方式、連続方式何れかの方法でもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、評価法は以下の方法で実施した。
(1)固有粘度(IV:dl/g)
溶融重縮合および固相重縮合で得られたそれぞれのポリエステルペレット(長さ約3mm、直径約2mm、シリンダー状)を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に80〜100℃で数時間かけ溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃で測定した。濃度は、4g/lを中心にして何点か測定し、常法に従ってIVを決定した。
(2)ポリマー中および溶液中の金属およびリンの含有量
リンは蛍光X線法により求めた。その他の金属は、ポリマーを灰化/酸溶解後、高周波プラズマ発光分析および原子吸光分析により求めた。
(3)色相
溶融重合で所定の攪拌トルクに到達した時点でオートクレーブに窒素を導入し常圧に戻し重縮合反応を停止した。その後、微加圧下ポリマーを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後約20秒間冷水中で保持した後カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のレジンチップを得た。このようにして得られたレジンチップを、約一昼夜室温にて濾紙の上で風乾した後、レジンカラーを下記の判定基準で目視判定した。
○:ほとんど着色なし
△:若干着色有り
×:着色有り
(4)異物
異物の判定手段として紡糸時の濾圧上昇の程度を用いた。
○:濾圧上昇ほとんどなし。
△:やや濾圧上昇あり。
×:濾圧上昇あり。
重合触媒(A)の調製例1
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ロートおよび窒素ガスの導入部を設けた500mlの四つ口フラスコに、エチレングリコールを186g(3.00モル)、p−トルエンスルホン酸1水和物を28.5g(0.15モル)、フェニルホスフィン酸を42.6g(0.30モル)を仕込み、攪拌しながらテトライソプロピルチタネートを42.6g(0.15モル)を35分かけて滴下し、40℃で2.5時間攪拌後、冷却した。淡い黄色の液体299gを得た。フラスコから淡黄色の液体を取り出した。Ti含有量は2.37質量%であった。
重合触媒(A)の調製例2
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ロートおよび窒素ガスの導入部を設けた500mlの四つ口フラスコに、エチレングリコールを186g(3.00モル)、p−トルエンスルホン酸1水和物を57.0g(0.30モル)、リンゴ酸を20.1g(0.15モル)を仕込み、攪拌しながらテトライソプロピルチタネートを42.6g(0.15モル)を35分かけて滴下し、40℃で2.5時間攪拌後、冷却した。淡い黄色の液体303gを得た。フラスコから淡黄色の液体を取り出した。Ti含有量は2.34質量%であった。
重合触媒(B)のリン化合物の調製例1
リン化合物として(化45)で表されるIrganox1222(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)をエチレングリコールと共にフラスコに仕込み、窒素置換下攪拌しながら液温160℃で25時間加熱し、50g/lのリン化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
重合触媒(B)のアルミニウム化合物の調製例1
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロキシアルミニウムジアセテート;Aldrich社製)の20g/l水溶液に対して等量(容量比)のエチレングリコールを添加して、室温で6時間攪拌した後、90〜110℃で数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を調製した。
実施例1
攪拌機付き熱媒循環式50リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3モル%加え、0.25MPaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分行いエステル化率が95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびオリゴマーの混合物(以下BHET混合物という)を得た。得られるオリゴマーのポリエステル中の酸成分に対して、調製例1の重合触媒(A)をTi原子として0.001モル%とアルミニウム化合物の調製例1の重合触媒(B)をアルミニウム原子として0.010モル%およびリン化合物の調製例1の重合触媒(B)をリン原子としてアルミニウム原子に対して2倍量の添加量すなわち、0.020モル%になるように上記オリゴマーの混合物にそれぞれ加えた。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて245℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)として、さらに275℃、13.3PaでIVが0.6dl/gになるまで溶融重合反応を実施した。触媒活性の目安として、目標IV値=0.6dl/gへ到達するのに必要な重縮合時間、レジンの色相および紡糸時の濾圧上昇の程度を表1に合わせて示す。
実施例2、3、4、5、6
実施例1において、重合触媒(B)の内、リン化合物種およびAl/Tiモル比を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に実施した。触媒活性の目安として、目標IV値=0.6dl/gへ到達するのに必要な重縮合時間、レジンの色相および紡糸時の濾圧上昇の程度を表1に合わせて示す。
実施例7、8、9、10
実施例1において、調製例2の重合触媒(A)を用いること、および重合触媒(B)の内、リン化合物種およびAl/Tiモル比を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に実施した。触媒活性の目安として、目標IV値=0.6dl/gへ到達するのに必要な重合時間、レジンの色相および紡糸時の濾圧上昇の程度を表1に合わせて示す。
比較例1、2
実施例1において、重合触媒(B)を用いないで重合触媒(A)の調製例1および2の単独触媒系へ、それぞれ表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に実施した。触媒活性の目安として、目標IV値=0.6dl/gへ到達するのに必要な重合時間、レジンの色相および紡糸時の濾圧上昇の程度を表1に合わせて示す。
Figure 2005126450
本発明の重合触媒を用いたポリエステルは、透明性にも優れ、着色が少なく、異物発生が少なく、本来の機械的特性、及び化学的特性を有するポリエステル成形物を与えるため、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野における用途拡大が期待される。

Claims (18)

  1. 下記一般式(化1)で表される有機チタン化合物、スルホン酸化合物、
    Figure 2005126450
    (式(化1)中、Rは炭素数1〜30で独立したアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基を示す)
    有機溶剤および必要に応じてリン化合物および/またはコンプレックス剤を用いて調製された重合触媒(A)とアルミニウム化合物およびリン化合物からなる重合触媒(B)からなるポリエステル重合触媒。
  2. 上記重合触媒(A)において、有機チタン化合物が、テトライソプロピルチタネートまたはテトラn−ブチルチタネート、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル重合触媒。
  3. 上記重合触媒(A)において、スルホン酸化合物がp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル重合触媒。
  4. 上記重合触媒(A)において、コンプレックス剤が乳酸、グリコール酸、クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、グリシンおよびヒドロキシエチルグリシンからなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  5. 前記重合触媒(A)において、リン化合物がフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、3−(ヒドロキシフェニルホスフィニル)プロピオン酸、1,2−ビス−ジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビス−ジフェニルホスフィノプロパン、1,4−ビス−ジフェニルホスフィノブタン、ビス−4−トリホスフィンオキサイドおよびビス−3,5−キシリルホスフィンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  6. 前記重合触媒(A)において、有機溶剤がエタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリコール、1−メチルプロピレングリコール、ペンテングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよび2−エチルヘキサノールからなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  7. 上記重合触媒(A)において、有機溶剤がエチレングリコールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  8. 上記重合触媒(B)において、アルミニウム化合物と併用されるリン化合物がホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選択されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  9. 上記重合触媒(B)において、アルミニウム化合物と併用されるリン化合物が、ホスホン酸系化合物から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  10. 上記重合触媒(B)において、アルミニウム化合物と併用されるリン化合物が、芳香環構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  11. 上記重合触媒(B)で用いられるアルミニウム化合物が、酢酸アルムニウム、塩基性酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
  12. 上記重合触媒(A)および(B)のアルミニウム(Al)/チタン(Ti)の構成モル比が金属原子換算で式(1)であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル重合触媒。
    0.1≦Al/Ti(モル比)≦100 (1)
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の重合触媒を用いることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の重合触媒組成物を用いて製造されたポリエステル。
  15. 請求項14に記載のポリエステルからなる中空成形体。
  16. 請求項14に記載のポリエステルからなるフィルム。
  17. 請求項14に記載のポリエステルからなるシート。
  18. 請求項14に記載のポリエステルからなる繊維。
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