JP2021024941A - 高品質ポリエステル樹脂、およびその製造方法 - Google Patents

高品質ポリエステル樹脂、およびその製造方法 Download PDF

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Keiko Ikeyama
敬子 池山
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Abstract

【課題】フイルムや糸に加工した際、異物を抑制したポリエステル樹脂を得ることにより、高品質なフイルムや糸を得る。【解決手段】芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを原料スラリーとしてエステル化反応装置に供給してエステル化反応を行い、得られたポリエステル低重合体を重縮合反応装置に供給して重縮合することにより得られたポリエステル樹脂において、芳香族ジカルボン酸とグリコールスラリー中に含まれるナトリウムの含有量(原料スラリ−中ナトリウム含有量)が下記式(1)を満足する原料を用いて製造したポリエステル樹脂および、その製造方法。0.5 ppm ≦ 原料スラリー中ナトリウム含有量 ≦ 1 .3ppm (1)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂に関する。
ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタラートの場合、テレフタル酸(以下、TPA)とエチレングリコール(以下、EG)がエステル化反応装置に送られてエステル化反応させた後、生成したポリエステル低重合体を続いて重縮合反応装置に送り、重縮合反応することにより製造される。
このエステル化反応の過程や、重縮合反応の過程にアルカリ金属化合物を添加することで、ジエチレングリコール量が少ないポリエステル樹脂を製造できる技術などが知られている。(例えば、特許文献1や、特許文献2)
しかしながら、この技術ではアルカリ金属の添加量が多く、またアルカリ金属が触媒残渣としてポリエステル樹脂中に残留し、フイルムや糸に加工した場合、異物起因の欠点が増加してしまう。
また、ポリエステル樹脂ペレット内部のナトリウム含有量が下記式(2)を満足することによりジエチレングリコールの量を低減できるという技術などが知られている。(例えば、特許文献3)
50質量ppb ≦ PET−Na < 260質量ppb (2)
しかし、上述の技術では、ペレット内部のナトリウム量を規定している為、ナトリウム添加量を変更したりする際、ペレット内部のナトリウム量を確認し、条件の合わせ込みに時間を要する。その上、ペレット中のナトリウム量を測定するに際して、ペレットの冷却等の外乱が生じ、正確なナトリウム量を測定することが難しい。ペレット中のナトリウム量の測定正確性を向上させるには、ペレット表面の付着物を除去する必要があるため、酸洗浄等が必要となり、手間となる。更に、ペレット内部のナトリウム量の規定範囲が最大でも260質量ppbという小さい値であり、測定誤差の影響が大きく測定の正確性を向上させることが困難である。
特開昭55-84322号公報 特開2004-231831 特開2016-132733
そこで、本発明の目的は、上述の課題を解決し、ポリエステル製造における原料である芳香族ジカルボン酸とEGのスラリー中に含まれるナトリウム含有量を規定することにより、ジエチレングリコールとカルボン酸末端基を低減したポリエステル樹脂を得ることができ、更に原料スラリー中ナトリウム含有量が少量にてジエチレングリコールとカルボン酸末端基を低減することができる為、フイルムや糸に加工した際、異物を抑制したポリエステル樹脂を得ることにより、高品質なフイルムや糸を得ることができる。本発明の方法は、原料スラリー中のナトリウム量を規定することで製品品質に優れている効果を与えるものである。
本発明者らは、以上述べたような従来方法の問題点を解決するために鋭意検討を続けてきた結果、原料スラリー中のナトリウム量を規定することで、ジエチレングリコールとカルボン酸末端基を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の構成を有する。
芳香族ジカルボン酸、ならびにEGを原料スラリーとしてエステル化反応装置に供給してエステル化反応を行い、得られたエステル低重合体を重縮合反応装置に供給して重縮合することによりポリエステルを製造する方法において、芳香族ジカルボン酸とEGスラリー中に含まれるナトリウムの含有量(原料スラリ−中ナトリウム含有量)が下記式(1)を満足する原料を用いて製造したポリエステル樹脂、およびその製造方法。
0.5 ppm ≦ 原料スラリー中ナトリウム含有量 ≦ 1 .3ppm (1)
本発明のポリエステルの製造方法の好ましい態様によれば、重縮合反応の際に、アンチモン系化合物を0.02〜0.05質量%対ポリエステル樹脂、マグネシウム系化合物を0.02〜0.08質量%対ポリエステル樹脂、リン系化合物を0.01〜0.02質量%対ポリエステル樹脂を添加して製造するポリエステル樹脂、およびその製造方法である。
本発明のポリエステル樹脂は、フイルムや糸に加工した際、異物を抑制した上で、副生ジエチレングリコール量を低減できる。また、カルボン酸末端基も低減することができるため、耐加水分解性、耐熱性が向上する。品質が安定し、生産性に優れたポリエステル樹脂となる。
次に本発明を詳術する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「ppb」や「ppm」、「%」を用いて表される数値は、「mol」等を特記しない場合はすべて「質量ppb」や「質量ppm」、「質量%」を意味する。
本発明のポリエステル樹脂は、TPAまたはそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸とし、EGをグリコール成分とするポリエステルを対象とし、好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
なお、TPA成分の一部を、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ドデカンジオン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸で置き換えるか、またはグリコール成分の一部をポリテトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、p-キシレングリコール、1,4−シクロヘキサジメタノール、ビスフェノールなどの脂肪族、脂環族、芳香族のシオキシ化合物で置き換えでもよい。
さらに熱可塑性を損なわない程度であれば、三官能以上の多官能性化合物を共重合してもよい。また、ポリエステル樹脂には、顔料、耐熱材および蛍光増白剤などの添加物を含んでもよい。
前記の原料は、化石燃料由来であってもよいが、植物を由来とし、発酵法等を通じて得られたものであってもよい。植物由来の原料としては、EGやTPAが知られているが、特に植物由来のEGは入手しやすく、好適に用いることができる。なお、蒸留や活性炭ろ過等を経て、不純物を十分に除いたEGを用いることが好ましく、純度としては90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であると、ポリエステル樹脂の色調や重合活性が良好となる。
また、本発明のポリエステルの製造方法は連続式であっても回分式であってもよい。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂、およびその製造方法は、芳香族ジカルボン酸とEGを原料スラリーとして用い、原料スラリーに含まれるナトリウムの含有量(原料スラリ−中ナトリウム含有量)が下記式(1)を満足する必要がある。
0.5ppm ≦ 原料スラリー中ナトリウム含有量 ≦ 1 .3ppm (1)
前期範囲下限未満では、得られるポリエステル樹脂において、重縮合反応にて副生するジエチレングリコール量を抑制することができず、結果として融点が低くなり、強度が劣り、寸法安定性が悪化する。また、得られるポリエステル樹脂において、カルボン酸末端基を抑制することができず、耐加水分解性、耐熱性が悪化する。
前期範囲上限超過では、フイルムや糸に加工した際、異物起因の欠点が発生し、収率が悪化する。
前記ポリエステル樹脂は、前記芳香族ジカルボン酸成分とEGを原料スラリーとして用いて重縮合させるものである。この際の原料スラリー中に含まれるナトリウムとしては、ナトリウム含有量を上記の範囲内に調節した芳香族ジカルボン酸を用いても良いが、原料スラリー中にナトリウム化合物を添加してナトリウム含有量を上記の範囲内に調節してもよい。添加するナトリウム化合物としては、特に制限はないが、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、重硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化ナトリウム、シアン化ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、亜鉛酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、クロム酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、及び、水酸化ナトリウム等が例示できる。 これらの中でも、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムが好ましく例示できる。
本発明におけるポリエステル樹脂の製造工程は、前記の通り調製した原料スラリーを、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとする原料混合工程、エステル化反応槽で常圧から加圧下、加熱下で、エステル化反応させ、或いは、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物或いはエステル交換反応生成物を得るエステル化工程としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合させポリエステル樹脂を得る重縮合工程からなる。
以下に、本発明のポリエステル樹脂の製造方法の具体例について述べる。例えば、TPAとEGとの反応生成物であるエステル化反応物をエステル化反応槽に予め溶融状態で貯留しておき、TPAとEGとをTPAに対するEGのモル比が1.05〜1.5モルになるようにスラリー状にして一定流量で連続的にエステル化反応槽へ供給する。エステル化反応は、少なくとも2槽のエステル化反応槽を直列に連結した装置を用いて、反応によって生成した水を留出させながら行う。例えば、3槽を連続槽でエステル化反応を行う場合は、第1エステル化反応槽では、温度245〜265℃、圧力0.05〜0.15MPaでエステル化反応を行い、次いで第2エステル化反応槽では、温度250〜270℃、圧力0〜0.10MPaでエステル化反応を行い、更に最終エステル化反応槽では、温度255〜275℃、真空度0.101〜0.009MPaでエステル化反応を行う。4槽以上でエステル化反応を行う場合は、上記第1エステル化反応槽と最終エステル化反応槽との中間槽の反応温度及び圧力の条件はその間の条件で順次行うことが、エステル化反応を効率的、かつ円滑に進行できる点で好ましい。
次に得られたエステル化反応物を重縮合反応槽に移送し重縮合反応を行う。重縮合反応は、少なくとも2槽の重縮合反応槽を直列に連結した装置を用いて、反応によって生成したEGを留出しながら行う。第1重縮合反応槽では、温度260〜290℃、真空度0.005〜0.001MPaで重縮合反応を行い、最終重縮合反応槽では、温度270〜300℃、真空度0.0005〜0.00005MPaで重縮合反応を行う。3槽以上で重縮合反応を行う場合は、上記第1重縮合反応槽と最終重縮合反応槽との中間槽の反応温度及び真空度の条件はその間の条件で順次行うことが、重縮合反応を効率的、かつ円滑に進行できる点で好ましい。
その後、得られた溶融ポリエステルは口金よりストランド状に吐出・冷却し、カッターによってペレット化する方法によりポリエステル樹脂を製造できる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法に用いる触媒は、特に限定されるものではなく、
種々の触媒を用いることができる。例えば、エステル交換反応に有効な触媒としては、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物などを用いることができる。また、重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の他、アルミニウムやシリカの複合酸化物などを用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、更なる色調の改善、重合反応時の副反応の抑制によるジエチレングリコール量増加の抑制効果を発揮すべく、アルカリ金属化合物を添加しても良い。本発明におけるアルカリ金属化合物の添加時期は、エステル化反応開始前、エステル化反応中、エステル化反応後、および/ 又は重縮合開始前等であるが、特に限定されるものではなく、エステル化反応前と重縮合前に分割添加してもよい。アルカリ金属化合物の添加量としては、ポリエステル樹脂におけるアルカリ金属化合物の含有量が20ppm以下の範囲が好ましい。この範囲を超えてアルカリ金属化合物を添加してもジエチレングリコール抑制効果は鈍り飽和状態に達してしまう上、フイルムや糸に加工した際、異物発生を引き起こす。
アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのカルボン酸塩やヨウ化物、水酸化物などが挙げられるが、得られるポリエステル樹脂の耐熱性が向上し色調が良好となることからリチウム化合物、カリウム化合物が好ましく用いられる。
本発明のポリエステル樹脂において、アンチモン元素を触媒として添加する場合、ポリエステル樹脂中のアンチモン元素の含有量が0.02〜0.08%の範囲にあり、さらには0.02〜0.05%の範囲が好ましい。アンチモン元素の含有量が0.02%以上であると、環状三量体の低減を円滑に進めることができ、0.08%以下であると、成形加工時の口金汚れの発生を抑制し、色調及び透明性(ヘイズ)も良好となり好ましい。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、脂肪族カルボン酸のアンチモン塩などが挙げられるが、これらの中でも重縮合反応性、得られるポリエステル樹脂の色調、および安価に入手できる点から三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
アンチモン化合物の添加方法としては、粉体又はEGスラリー、EG溶液などが挙げられるが、アンチモンの凝集による粗大化を防止でき、その結果透明性(ヘイズ)が良好となることから、EG溶液として添加する方法が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂において、アルカリ土類金属化合物を触媒として添加する場合、ポリエステル樹脂中のアルカリ土類金属の含有量が0.02〜0.08%の範囲にあり、さらには0.02〜0.05%の範囲が好ましい。アルカリ土類金属化合物の含有量が0.02%以上であると、ポリエステル樹脂の溶融時の体積比抵抗が低くなり、フイルム成形時に静電印加キャスト法を好適に用いることができ、0.08%以下であると、溶融時の環状三量体の再生を抑制するのに好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのカルボン酸塩やヨウ化物、酸化物、塩化物などが挙げられるが、これらの中でも溶融重合時に析出粒子を生成しにくく、得られるポリエステル樹脂の透明性(ヘイズ)が良好となることからマグネシウム化合物が好ましく用いられる。
本発明のポリエステル樹脂において、リン元素化合物を触媒として添加する場合、ポリエステル樹脂中のリン元素化合物の含有量が0.01〜0.05%の範囲にあり、さらには0.01〜0.02%の範囲が好ましい。リン元素化合物の含有量が0.05%以上であると、透明性が悪化し、0.01%以下であると、熱安定性が悪化する。
リン元素化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸もしくはこれらのエステル化合物などが挙げられるが、特にリン酸、リン酸エチルエステルが好ましく用いられる。リン化合物の添加方法としては、特に限定されない。水溶液、EG溶液など種々の方法で添加することができる。該リン化合物の添加時期は、エステル交換反応後、あるいはエステル交換反応後から重縮合反応の初期に添加することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂において、チタン化合物を触媒として添加する場合、ポリエステル樹脂中のチタン化合物の含有量がチタン原子換算で0.5〜20ppmとなるように添加することが好ましい。1〜15ppmであるとポリエステル樹脂の熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは1〜10ppmである。上記範囲に添加することで、重合反応性が良好となり、またポリエステル樹脂への分散性も良好となるため、透明性が高まる。
チタン化合物としては、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタンなどのアルコキシチタン化合物が挙げられるがこれに限定されない。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。該チタン化合物の添加時期は、ポリエステル樹脂のIV(固有粘度)が0.4以下の段階で添加することが好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は以下の方法で行った。
(1)金属の含有量
原子吸光分析法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80形、フレーム:アセチレン空気)にて定量を行った。
(2)ジチレングリコール(DEG)含有量
PETペレットを液体窒素にて凍結粉砕し、2gを秤量した。秤量した粉砕物に、0.
75NのNaOH/メタノール溶液50mlを加え、80℃の湯浴中で還流しながら粉砕
物を溶解(加水分解)させて反応溶液を得た。この反応溶液を、テレフタル酸を加えて中
和した後、該反応溶液からテレフタル酸をろ別し、その濾液をガスクロマトグラフィー(
GC)に注入してジエチレングリコール含有量を測定した。
(3)カルボキシル酸末端基量
試料を粉砕した後、真空乾燥機にて100℃で1時間乾燥させ、デシケーター内で室温
まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール5ml
を加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロ
ホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1
〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込ながら攪拌下に、0.01N 水酸化カリウムのベン
ジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクと
して試料を使用せずに同様の操作を実施し、以下の式(2)によってカルボキシル酸末端基量AVを算出した。
カルボキシル酸末端基量AV(当量/樹脂トン) = (A−B)×0.1×f/W(2)
A:滴定に要した、0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)
B:ブランクでの滴定に要した、0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液
の量(μl)
W:試料の量(g)
f:0.01N 水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液の力価
力価(f)=0.01Nの塩酸水溶液の力価×0.01Nの塩酸水溶液の採取量(μl
)/0.01Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
(4)ポリエステル樹脂の色調(b値)
二軸延伸ポリエステルフィルム試料のb値を色差計(日本電色工業社製「SE2000
」)を用いて透過法を用いて計測した。b値は、試料の黄色さの程度を示す値であり、b
値が高い程加水分解が進行していることを意味する。
(5)ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(6)耐熱性
フイルムサンプルを熱風オーブン中、160℃の温度で熱処理し、サンプリングして破断伸度を測定し、未処理のフイルムの破断伸度に対する比が50%となる時間を破断伸度保持率半減期とし、耐熱性の指標とした。評価結果を、以下の基準で示した。
◎:破断伸度保持率半減期が200時間以上
○:破断伸度保持率半減期が100〜200時間
×:破断伸度保持率半減期が100時間以下。
(7)耐加水分解性
試験管中にポリエステル樹脂5g を水3gとともに入れ、これを水50gを入れた耐圧性ポット中に入れて密閉し、ポリエチレングリコール浴中、150℃で1時間加熱した場合のカルボキシル末端基の増加量を定量して、耐加水分解性の指標とした。評価結果を、以下の基準で示した。
◎:増加量が0〜50当量/樹脂トン
○:増加量が50〜100当量/樹脂トン
×:増加量が100当量/樹脂トン以上。
(8)異物数
2枚の偏光板を直交に配置した直交偏光板の間にフイルムサンプルを置き、一方向から白色光を照射して、反対側で拡大鏡(2倍)を用いて1m×1mの中の異物の個数をカウントし、異物数とした。
◎:1m×1mの中の異物が2個以下
○:1m×1mの中の異物が2〜5個
×:1m×1mの中の異物が5個以上。
[実施例1]
予めビス( ヒドロキシエチル) テレフタレート約150kg が仕込まれ、温度255℃ 、圧力常圧に保持されたエステル化反応槽に、エチレングリコールと高純度TPA130kgとEG52.3kg のスラリーを3 時間40分かけて順次供給し、供給終了後もさらに1 時間かけてエステル化反応を行った。この際原料として用いた高純度TPA中のナトリウム含有量につき原子吸光を用いて測定したところ、0.8ppmであった。この為、原料スラリー中のナトリウム含有量は、0.56ppmであった。この後エステル化反応生成物の150kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、リン元素化合物をポリエステル樹脂に対してリン原子換算で43ppm 、アンチモン化合物をポリエステル樹脂に対してアンチモン原子換算で220ppm 、およびマグネシウム化合物をポリエステル樹脂に対して70ppm添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を255 ℃ から290℃ まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度到達までの時間は90分、最終圧力到達までの時間は60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして樹脂ペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間30分であった。
得られた樹脂のIVは0.648、DEG量は2.4mol%、カルボン酸末端基量は28.9当量/樹脂トンと少なく、特に色調b値は良好であった。
このポリエステル樹脂を乾燥後、押出機に供し溶融した後、ギヤーポンプおよびフィルターを介した後、ダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフイルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フイルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方に3.3倍に延伸した。延伸されたフイルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフイルムを得ることができた。このフイルムは、耐加水分解性と耐熱性に優れ、1m×1m中の異物の個数は2個であり異物数も少なかった。
[実施例2]
エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、触媒として、リン元素化合物をポリエステル樹脂に対してリン原子換算で43ppm 、アンチモン化合物をポリエステル樹脂に対してアンチモン原子換算で220ppm 、およびマグネシウム化合物をポリエステル樹脂に対して70ppm添加する際、更に、0.216%EG溶液に調製した水酸化カリウムもポリエステル樹脂に対してカリウム原子換算で3.4ppmも順次添加することに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を製造した。
得られた樹脂のIVは0.642、DEG量は1.9mol%、カルボン酸末端基量は23.1当量/樹脂トンと少なかったが、色調b値は実施例1に比べ0.4高かった。
このポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様に作製したフイルムは、耐加水分解性と耐熱性に優れ、異物の増加も見られなかった。
[実施例3]
0.216%EG溶液に調製した水酸化カリウムもポリエステル樹脂に対してカリウム原子換算で12.3ppm添加することに変更した以外は実施例2と同様にして、ポリエステル樹脂を製造した。
得られた樹脂のIVは0.641、DEG量は1.8mol%、カルボン酸末端基量は18.8当量/樹脂トンと少なかったが、色調b値は実施例1に比べ0.6高かった。
[比較例1]
原料として用いた高純度TPAを、TPA中ナトリウム含有量0.3ppm、原料スラリー中のナトリウム含有量0.21ppmに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を製造した。
得られたポリエステル樹脂のIVは0.640、ポリエステル樹脂のDEG量は3.1mol%、カルボン酸末端基量は41.5当量/樹脂トンと多かったが、色調b値は実施例1と同様に良好であった。
[比較例2]
エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、触媒として、リン元素化合物をポリエステル樹脂に対してリン原子換算で43ppm 、アンチモン化合物をポリエステル樹脂に対してアンチモン原子換算で220ppm 、およびマグネシウム化合物をポリエステル樹脂に対して70ppm添加する際、更に、0.216%EG溶液に調製した水酸化カリウムもポリエステル樹脂に対してカリウム原子換算で2.6ppmも順次添加することに変更した以外は比較例1と同様にして、ポリエステル樹脂を製造した。
得られた樹脂のIVは0.646、DEG量は2.3mol%、カルボン酸末端基量は27.8当量/樹脂トンと少なかったが、色調b値は実施例1に比べ0.4高かった。
実施例1〜3,比較例1〜2について、評価した結果を下記表1に記載した。
Figure 2021024941
上記表1に示すように、実施例1〜3のポリエステル樹脂は、いずれも、副生ジエチレングリコール量を低減できる。また、カルボン酸末端基も低減することができるため、耐加水分解性、耐熱性が向上する。さらに、比較例1に示す原料スラリー中のナトリウム含有量に比べ、実施例1では原料スラリー中のナトリウム含有量を0.35ppm多くするだけで、副生ジエチレングリコール量低減効果とカルボン酸末端基低減効果が得られるため、フイルムや糸に加工した際、異物を抑制することが可能となる。

Claims (2)

  1. 芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを原料スラリーとしてエステル化反応装置に供給してエステル化反応を行い、得られたポリエステル低重合体を重縮合反応装置に供給して重縮合することにより得られたポリエステル樹脂において、芳香族ジカルボン酸とグリコールスラリー中に含まれるナトリウムの含有量(原料スラリ−中ナトリウム含有量)が下記式(1)を満足する原料を用いて製造したポリエステル樹脂および、その製造方法。
    0.5 ppm ≦ 原料スラリー中ナトリウム含有量 ≦ 1 .3ppm (1)
  2. 重縮合反応の際に、アンチモン系化合物を0.02〜0.08質量%対ポリエステル樹脂、アルカリ土類金属化合物を0.02〜0.08質量%対ポリエステル樹脂、リン元素化合物を0.01〜0.02質量%対ポリエステル樹脂を添加して製造することを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂、およびその製造方法。
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