JP6481376B2 - 偏光子保護フィルム用ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Description
さらに熱可塑性を損なわない程度であれば三官能以上の多官能性化合物を共重合したポリエステルであってもよい。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩が挙げられるが、樹脂組成物の溶融時の分解反応抑制の点から水酸化物が好ましい。
本発明においては、カリウムを含有する水酸化化合物と特定量のアンチモン化合物を併用することが好ましい。
例えば、テレフタル酸75mol%、イソフタル酸25mol%とエチレングリコールとの反応物であるビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(以下、BHTという)を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸とエチレングリコールからなるスラリーおよびイソフタル酸とエチレングリコールからなるスラリーをそれぞれ別に設けた混合槽に準備しておき、反応槽の温度を保ち定量供給しながら、水を留出させ、エステル化反応させる。反応を開始してから4〜5時間後にエステル化を終了し、この反応生成物であるBHTを重縮合反応槽に移し、水酸化カリウムと三酸化アンチモンおよびその他の添加物を添加する。その後、高真空になるまで減圧するとともに290℃程度まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、目標固有粘度に到達まで重縮合反応する。
またアンチモン化合物はエチレングリコール溶液として添加することが、重縮合反応系におけるアンチモン化合物の凝集による粗大物の生成防止、その結果透明性(ヘイズ)が良好となる点から好ましい。
反応終了後、重縮合反応槽の底部に設けたポリマー吐出口金より冷水中にストランド状に吐出・冷却し、カッターによってペレット化を行なう。
本発明方法で得られたポリエステル樹脂組成物は非晶性、透明性、低へイズ、耐熱性の特性に優れており、フィルムにすると、透明光学分野に有用である。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ(SM−T))を用い、反射法にて測
定した。得られた色調のb値(黄味)は、7.0未満が好ましく、6.0未満がさらに好
ましい。
ポリエステル0.5gを、フェノール/四塩化エタン(6/4重量比)の混合溶媒20mlに100℃で60分攪拌して溶解させ、室温まで冷却後、その溶液を20mmのガラスセルに入れ、スガ試験機製へイズコンピューター(HGM−2DP)で測定した。得られたポリエステルの透明性は、3.0%未満のものは極めて良好とし、3.0%以上3.5%未満のものを良好とし、3.5%以上4.0%未満のものを合格とし、4.0%以上のものを不合格とした。
Mauliceの方法によって測定した(文献 M.J.Maulice,F.Hui
zinga.Anal.Chim.Acta,22 363(1960))。エステル化
反応物2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mlに溶解し、N/2
0−水酸化ナトリウムメタノール溶液によって滴定し、エステル化反応物のカルボキシル
末端基量を測定し、eq/ポリエステル1tonの値で示した。得られたカルボキシル末端基は、40eq/ton未満が好ましく、35eq/ton未満がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂組成物8gを試験管に入れ、窒素ガス雰囲気下、300℃にて、10分
間(t0)、6時間(t)の熱処理を行い、その時のηを測定し、以下の式により算出し
た。この値が低い方が熱安定性が高く、製膜時の熱分解によるCOOH末端基量の増加が
低減できることを示す。
%BB=(1/[η]t (1/0.75)−1/[η]t0 (1/0.75))×0.27
ただし、[η]は極限粘度であり、25℃でオルトクロロフェノール中、0.1g/cc
濃度で測定した値である。また、[η]tは6時間熱処理時の値、[η]t0は10分間
熱処理時の値である。得られた%BBは、1.000%未満が好ましく、0.980未満がさらに好ましい。
王子計測(株)社製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)を用い、低位相差モー
ドで測定した。測定は10回行い、それらの平均値を用いた。
<判断基準>
○:測定値が100nm未満
×:測定値が100nm以上
(6)ポリエステルフィルムの耐カール性
フィルムの85℃×24時間の環境下でのカール・波打ち凹凸皺発生状態を評価した。
<判断基準>
○:カール具合が小さく、波打ち凹凸皺の発生がない
△:カール具合が大きく、波打ち凹凸皺の発生がない
×:カール具合が大きく、波打ち凹凸皺が発生
(7)ポリエステル樹脂組成物のアルカリ金属元素の含有量
原子吸光分析法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)用いて測定した。
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
テレフタル酸30.8重量部とイソフタル酸10.8重量部からなるテレフタル酸とエチレングリコールの反応物であるビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(以下、BHTという)46.4重量部を予め255℃の溶融状態で貯留させ、さらにテレフタル酸35.1重量部とイソフタル酸11.3重量部とエチレングリコール19.5重量部からなるスラリーを別に設けた混合槽に用意し、反応槽の温度を保ち定量供給しながら、水を留出させ、エステル化反応させた。反応を開始してから4時間40分後にエステル化を終了し、この反応生成物であるBHTを重縮合反応槽に移し、トリエチルフォスフォノアセテート0.0211重量部添加した。次いで、酢酸マグネシウム0.06重量部、水酸化カリウム0.0004重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を添加して、40分で高真空になるまで減圧するとともに290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、目標固有粘度に到達まで実施した。反応終了後、重縮合反応槽底部にある口金より冷水中にストランド状に吐出し、押し出しカッターによって円柱状のペレットとした。得られたポリエステル樹脂組成物Aの品質は、固有粘度が0.7dl/g、イソフタル酸成分が25mol%、カリウム元素含有量が3ppm、アンチモン元素含有量が325ppm、色調b値が5.5、ヘイズが2.5%、カルボキシル末端基が31eq/ton、%BBが0.925%であり良好だった。結果を表1に示す。
得られたポリエステル組成物Bは固有粘度0.80dl/g、カルボキシル末端基20eq/tonであった。
イソフタル酸の含有率を表1に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が5.0、ヘイズが2.6%、カルボキシル末端基30eq/ton、%BBが0.920%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性も良好であった。結果を表1に示す。
イソフタル酸の含有率を表1とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が6.0、ヘイズが2.6%、カルボキシル末端基35eq/ton、%BBが0.955%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性ともに良好であった。結果を表1に示す。
カリウム元素の含有量を表1とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が5.5、ヘイズが2.0%、カルボキシル末端基が36eq/ton、%BBが0.977%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性ともに良好であった。結果を表1に示す。
カリウム元素の含有量を表1とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が5.6、ヘイズが3.5%、カルボキシル末端基が30eq/ton、%BBが0.923%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性ともに良好であった。結果を表1に示す。
アンチモン元素の含有量を表1とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が6.0、ヘイズが2.3%、カルボキシル末端基が32eq/ton、%BBが0.927%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性ともに良好であった。結果を表1に示す。
アンチモン元素の含有量を表1とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が5.0、ヘイズが3.1%、カルボキシル末端基が30eq/ton、%BBが0.928%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性が良好であった。結果を表1に示す。
アルカリ金属をナトリウムに変更する以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調b値が5.5、ヘイズが3.0%、カルボキシル末端基が32eq/ton、%BBが0.928%であり良好だった。また、フィルムでのレタデーション、耐カール性ともに良好であった。結果を表1に示す。
表層に積層するポリエステル樹脂組成物として、実施例1のイソフタル酸を含まないポリエステル樹脂組成物Cを積層する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。積層フィルムのカール具合が大きかったが、波打ち凹凸皺の発生がなく良好であった。結果を表1に示す。
イソフタル酸の含有量を表1に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は色調が7.5、カルボキシル末端基42eq/ton、%BBが1.005であり不良であった。また、フィルムでの耐カール性が不良であった。結果を表1に示す。
イソフタル酸の含有量を表1に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質は良好であったが、フィルムでのレタデーションが不良であった。結果を表1に示す。
カリウム元素の含有量を表1に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質はカルボキシル末端基70eq/ton、%BBが1.050%であり不良であった。結果を表1に示す。
カリウム元素の含有量を表1に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質はヘイズが4.5%であり不良であった。結果を表1に示す。
凝集シリカを粒子として直接添加した以外は実施例1と実施例1と同様の方法で実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の品質はヘイズが5.0%であり不良であった。結果を表1に示す。
Claims (2)
- テレフタル酸を主体とするジカルボン酸成分とエチレングリコール又はこれを主体とするジオール成分とからなるポリエステルであって、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を10〜40mol%、カリウム金属元素を0.7〜139ppm含有し、かつヘイズが1.0〜4.0%であることを特徴とする偏光子保護フィルム用ポリエステル樹脂組成物。
- アンチモン金属元素を300〜350ppm含有していることを特徴とする請求項1に記載の偏光子保護フィルム用ポリエステル樹脂組成物。
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