JP2002322247A - 改質されたポリエステル樹脂 - Google Patents

改質されたポリエステル樹脂

Info

Publication number
JP2002322247A
JP2002322247A JP2001127663A JP2001127663A JP2002322247A JP 2002322247 A JP2002322247 A JP 2002322247A JP 2001127663 A JP2001127663 A JP 2001127663A JP 2001127663 A JP2001127663 A JP 2001127663A JP 2002322247 A JP2002322247 A JP 2002322247A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
polyester resin
amount
polyester
modified polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001127663A
Other languages
English (en)
Inventor
Sachiko Okochi
幸子 大河内
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP2001127663A priority Critical patent/JP2002322247A/ja
Publication of JP2002322247A publication Critical patent/JP2002322247A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スルホン酸塩基含有成分が共重合されていな
がら加熱溶融時の熱劣化が少なく、溶融紡糸に用いて塩
基性染料に可染性の高品質なポリエステル繊維を安定し
て生産できるポリエステル樹脂を提供する。 【解決手段】 ポリエステルを構成する繰り返し単位
の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、
スルホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸成分1モ
ルに対して0.5×10-2〜8.0×10-2モル共重合されて
おり、かつ、リチウム原子が下記数式を満たす量含有
されていることを特徴とする改質されたポリエステル樹
脂。 【数1】 数式中、Xはスルホン酸塩基含有成分の物質量(モル)
を、Yはリチウム原子の物質量(モル)を表わす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱溶融時の熱劣
化が少ない、改質されたポリエステル樹脂に関するもの
であり、さらに詳しくは、繊維原料として溶融紡糸時に
おける熱劣化が少なく、塩基性染料に可染性の高品質な
ポリエステル繊維を安定して製造することができるポリ
エステル樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテ
レフタレート(以下、PETと略記する)樹脂はその優れ
た機械的特性及び化学的特性のため、 衣料用、産業用
等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフ
ィルムあるいはボトル等の成形物用樹脂として広く用い
られている。しかしながら、PET繊維は衣料用繊維とし
ては染色性が良好とは言えず、また、分散染料による染
色が一般的であるため、染色した繊維の色の鮮明さが劣
るという欠点を有している。従来、このような染色性に
ついての欠点を補うものとして、PETに5-ナトリウムス
ルホイソフタル酸等に代表されるスルホン酸塩基含有成
分を共重合した、塩基性染料に可染性のポリエステル
(以下、スルホン酸塩基共重合ポリエステルと略記す
る)が公知である(特公昭34-10497号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなスルホン酸塩基共重合ポリエステルを原料として
溶融紡糸を行うと、溶融ポリマーを濾過するフィルター
内に異物が詰まり、経時的にパック部の圧力(以下、パ
ック圧と略記する)が上昇するという現象が発生する。
その理由としては、一般にスルホン酸塩基含有成分が共
重合されたポリエステルは耐熱性が良好でないため、溶
融紡糸等の加熱溶融時に熱分解が起こり、その結果とし
てスルホン酸塩基含有成分由来の異物が発生し、この異
物が溶融ポリマーを濾過するためのフィルター内に詰ま
り、経時的なパック圧の上昇を引き起こすものと考えら
れる。このようなパック圧が高い状態で紡糸した糸は繊
度などの均質性を欠き、極端な場合には毛羽や糸切れな
どが発生するため、パックの交換を頻繁に行わなければ
ならないという問題があった。また、上記のような異物
の発生を抑制する対策として、特開平10-226923号公報
には、ヒンダードフェノール系化合物を含有させる方法
が提案されているが、含有量が少量では十分な効果が得
られず、一方、含有量を多くすると、重合速度が低下し
たり、樹脂の色調が悪化するという問題があった。
【0004】本発明は、上記のような問題点を解決する
ものであって、スルホン酸塩基含有成分が共重合されて
いながら加熱溶融時の熱劣化が少なく、溶融紡糸に用い
て塩基性染料に可染性の高品質なポリエステル繊維を安
定して生産できるポリエステル樹脂を提供することを課
題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を解決すべく、スルホン酸塩基共重合ポリエステルの耐
熱分解性を向上させるべく検討を重ねた結果、リチウム
原子を特定量含有させることが有効であり、熱劣化に伴
う異物の発生量を大幅に低減させ得ることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ
る。 1.ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%以
上がエチレンテレフタレート単位であり、スルホン酸塩
基含有成分がポリエステルの全酸成分1モルに対して0.
5×10-2〜8.0×10-2モル共重合されており、かつ、
リチウム原子が下記数式を満たす量含有されているこ
とを特徴とする改質されたポリエステル樹脂。
【0007】
【数2】 数式中、Xはスルホン酸塩基含有成分の物質量(モル)
を、Yはリチウム原子の物質量(モル)を表わす。
【0008】2.窒素雰囲気下、290℃の温度で10
0時間の熱処理を行った後のポリエステル樹脂0.5g
を、フェノールとテトラクロロエタンとを質量比1/1
で混合した溶媒50gに溶解させて溶液とし、この溶液
を孔径1μmのフィルターで濾過したときに、フィルタ
ー上に残存する粒径10μm以上の不溶解物粒子の個数
が100個未満であることを特徴とする上記1の改質さ
れたポリエステル樹脂。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の改質されたポリエステル樹脂(以下、改
質ポリエステル樹脂と略記する)は、エチレンテレフタ
レート単位を主体とし、スルホン酸塩基含有成分が共重
合された共重合ポリエステルであり、かつリチウム原子
が含有されていることを特徴とする。
【0010】本発明の改質ポリエステル樹脂において
は、ポリエステルを構成する繰り返し単位の80モル%以
上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート
単位である。エチレンテレフタレート単位が80モル%未
満であると、ポリエステルが本来有するはずの良好な物
性が低下する。
【0011】また、本発明の改質ポリエステル樹脂にお
いては、スルホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸
成分に対して0.5×10-2〜8×10-2モル共重合されて
いることが必要である。ポリエステルの全酸成分1モル
に対するスルホン酸塩基含有成分の共重合量が0.5×1
-2モル未満であると、染色性を向上させる効果が十分
でなく、繊維としたときの塩基性染料に対する可染性が
不十分なものとなる。一方、8×10-2モルを超える
と、ポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるため、ポリ
マー重合時に重合度を十分に上げることが困難となり、
その結果、材料強度、例えば繊維としたときの糸強度等
が低下する。
【0012】上記のスルホン酸塩基含有成分としては、
ポリエステルと反応する官能基を有するスルホン酸塩基
含有成分であれば特に限定されるものではないが、例と
しては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-カリウム
スルホイソフタル酸、5-リチウムスルホイソフタル酸、
ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウ
ムスルホテレフタル酸等が挙げられる。このうち、5-ナ
トリウムスルホイソフタル酸および5-リチウムスルホイ
ソフタル酸は、改質ポリエステル樹脂の紡糸性及び得ら
れた繊維の塩基性染料で染色したときの発色性を特に向
上させるので、本発明に好ましく使用される。
【0013】なお、本発明の改質ポリエステル樹脂に
は、本発明の目的が損なわれない範囲において、上記以
外に他の共重合成分が含まれていてもよい。このような
他の共重合成分の例としては、イソフタル酸、無水フタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸
成分、1,3-プロピレングリコール、1,4ーシクロヘキサン
ジメタノール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリ
コール等のグリコール成分、4-ヒドロキシ安息香酸、ε
-カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分等が挙
げられる。さらに、本発明の目的が損なわれない範囲に
おいて、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改
良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのよう
な耐光剤等の添加物が本発明の改質ポリエステル樹脂に
含有されていてもよい。
【0014】また、本発明の改質ポリエステル樹脂に含
有されるリチウム原子の量としては、下記数式を満た
す範囲にあり、好ましくは下記式を満たす範囲にあ
る。
【0015】
【数3】 数式中、Xはスルホン酸塩基含有成分の物質量(モル)
を、Yはリチウム原子の物質量(モル)を表わす。
【0016】上記数式中のY/Xの値が0.02未満であ
ると、リチウム原子の量が不足して、ポリエステル樹脂
の熱劣化を抑制する効果が不十分となり、溶融紡糸に用
いたときのパック圧の上昇や糸切れの原因となる。一
方、Y/Xの値が1.5を超えると、過剰のリチウム原子
に由来するポリエステルに不溶な成分が発生しやすくな
り、同じく溶融紡糸に用いたときのパック圧の上昇や糸
切れの原因となり、また、場合によっては、ポリマー製
造時の重縮合反応速度の低下やポリエステル樹脂の着色
が生じることもある。
【0017】本発明の改質ポリエステル樹脂に所定量の
リチウム原子を含有させるための好ましい方法として
は、酢酸リチウム等ののリチウム化合物をポリエステル
の重縮合反応中に添加する方法と、共重合成分であるス
ルホン酸塩基含有成分として金属部分がリチウムである
もの、例えば5−リチウムスルホフタル酸等を用いると
いう方法が挙げられる。
【0018】本発明の改質ポリエステル樹脂は、上記し
た構成により、溶融紡糸時等に熱劣化が生じにくい優れ
た耐熱分解性を有している。本発明においては、改質ポ
リエステル樹脂を熱処理した後、所定の溶媒に溶解させ
たときに溶解せずに残存する不溶解物(この不溶解物
は、熱処理時の熱劣化により生じた異物に由来するもの
である。)の量をもって、上記の耐熱分解性の指標とす
ることができる。具体的には、窒素雰囲気下、290℃の
温度で100時間の熱処理を行った後の当該樹脂0.5gを、
フェノールとテトラクロロエタンとを質量比1/1で混
合した溶媒50gに溶解させて溶液とし、この溶液を孔径
1μmのフィルターで濾過したときに、フィルター上に
残存する不溶解物の量を測定するという方法により評価
することができる。この方法により評価した場合に、本
発明の改質ポリエステル樹脂の耐熱分解性としては、フ
ィルター上の残存する粒径10μm以上の不溶解物粒子の
個数が100個未満であることが好ましい。この不溶解
物粒子の個数が100個以上であると、改質ポリエステル
樹脂の耐熱分解性が不足する場合があり、例えば溶融紡
糸時に異物の発生に由来すると思われるパック圧の上昇
や糸切れが生じやすくなる傾向にあるので好ましくな
い。
【0019】本発明の改質ポリエステル樹脂は、例えば
次のような好ましい方法により製造することができる。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス-(β-ヒ
ドロキシエチル)テレフタレート又はその低重合体(以
下、PETオリゴマーと略記する)の存在するエステル化反
応槽に、エチレングリコール(以下、EGと略記する)とテ
レフタル酸(以下、TPAと略記する)とを物質量比(EG
/TPA)で1.1/1.0〜2.0/1.0の割合に
混合させたスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエス
テル化反応物を連続的に得る。次に、このエステル化反
応物を重合反応缶に移送し、必要に応じて5〜15質量%の
EGを加えて解重合を行う。次いで、これにスルホン酸塩
基含有成分を所定量添加し、その後、重合反応缶の温度
を260〜280℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、
所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行う。このとき
の重縮合反応は、通常は触媒の存在下に行われ、その触
媒としては、従来一般に用いられているアンチモン、ゲ
ルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグ
ネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等の金属化
合物が好ましく用いられる。
【0020】また、上記の好ましい方法においては、ス
ルホン酸塩基含有成分の添加と同時もしくはそれ以前に
アルカリ金属化合物を添加すると、耐熱性を低下させる
因子であるジエチレングリコール(以下、DEGと略記す
る)等のジアルキレングリコール類の副生を抑制するこ
とが可能になり、より高品質の改質ポリエステル樹脂が
得られるので好ましい。そのようなアルカリ金属化合物
の例としては、アルカリ金属の水酸化物、有機カルボン
酸塩、アルコラート、無機弱酸塩等があり、具体的には
ナトリウム、カリウム、リチウム等をアルカリ金属とす
る水酸化物、蟻酸塩、酢酸塩等の脂肪族カルボン酸塩、
メチラート、エチラート、ブチラート、炭酸塩、重炭酸
塩、ホウ酸塩等を挙げることができる。中でも、リチウ
ムをアルカリ金属とする塩類(リチウム塩)が、ジアル
キレングリコール類の副生を抑制すると同時に、本発明
の改質ポリエステル樹脂の耐熱分解性を向上させる効果
を有しているので、アルカリ金属化合物として特に好ま
しい。このとき、所定量のリチウム塩類の添加により、
本発明の改質ポリエステル樹脂に必要なリチウム原子を
供給することができる。なお、上記したようなアルカリ
金属化合物を添加する場合には、アルカリ金属に由来す
るポリエステルに不溶な成分を生じさせないという観点
から、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対して、
アルカリ金属化合物の添加量を5×10-3モル以下にする
のが好ましい。
【0021】上記のようにして、所定の極限粘度となる
まで重縮合反応を行った後は、常法により払い出してペ
レット化等することにより、本発明の改質ポリエステル
樹脂を得ることができる。
【0022】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例及び比較例中の特性値の測定法は、以
下の通りに行った。 (a)極限粘度[η] フェノールとテトラクロロエタンとを質量比1/1で混
合したものを測定用溶媒として、温度20℃で測定した。 (b)色調 日本電色工業社製ND-Σ80型色差計を用いて、色調
の指標となるb値を測定した。なお、b値は黄−青系の
色相(+側は黄味、−側は青味)を示し、極端に小さくな
らない限り(少なくとも実施例に示した範囲では)、小さ
い方が良いとされる。
【0023】(c)耐熱分解性(不溶解物粒子の個数) ポリエステル樹脂のペレット8.0gを130℃で24時間
乾燥処理した後、試験管に入れ、窒素雰囲気下、290℃
の温度で100時間の熱処理を行った。この熱処理後の樹
脂0.5gをサンプリングし、フェノールとテトラクロ
ロエタンとを質量比1/1で混合した溶媒50gをこれ
に加え、80℃の温浴中で90分間震とうすることによ
り溶解させた。この溶液を孔径1μmのフィルター(AD
VANTEC社製、PTFEメンブランフィルター、47mmΦ、
孔径1.0μm)を用いて吸引濾過し、フィルター上に
残存した粒径10μm以上の不溶解物粒子の個数を顕微鏡
観察により測定した。この不溶解物粒子の個数を耐熱分
解性の指標とした。なお、不溶解物粒子の個数が少ない
ほど耐熱分解性に優れていることを示し、100個未満
が好ましい。
【0024】(d)パック圧の上昇速度 常法によりポリエステル樹脂をペレット化して乾燥した
後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸した。このとき、
紡糸温度を300℃、吐出量を39.6g/分として、
ノズルパック内に装着された直径100mmΦ、目開き
2000#のフィルターで濾過し、直径が0.25mmΦで
L/D比が2である孔を36個有するノズルから紡出し
て3300m/分の速度で部分未延伸糸を捲き取った。
この条件で7日間の連続操業を行い、パック圧が上昇す
る様子を観察し、7日間を通したパック圧の上昇速度の
平均値が200kPa/日以下である場合を合格とした。
【0025】(e)染色性 上記(d)で得た部分未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で
予熱した後、温度150℃のヒートプレートに接触させな
がら1.5倍に延伸、熱処理して捲き取ることにより、83d
tex/36Fのフィラメントヤーンを得る。そして、このフ
ィラメントヤーンを筒編みし、60℃で20分の精錬を行っ
た後、下記の条件下で130℃で60分染色して風乾した。
次に小型ピンテンターを用いて150℃で1分の熱セットを
行った後、編地が4枚重ねとなるように折り畳んだもの
をサンプルとし、そのサンプルの色調L値をミノルタ社
製色彩色差計CR-100型で測定し、染色性の指標とした。
L値が低いほど繊維が濃色に染色されていることを示
し、40以下を合格とした。
【0026】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にEGとT
PAとの物質量比(TPA/EG)が1.6/1.0で
あるスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MP
a、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、
反応率95%のエステル化反応物を連続的に得た。得られ
たエステル化反応物48.0kgを重縮合反応缶に移送し、続
けて、二酸化チタン(艶消し剤)を30質量%含むEGスラ
リー0.6kg(ポリエステルに対する二酸化チタンの添加量
が0.4質量%となる)、触媒としての三酸化アンチモンを
2質量%含むEG溶液0.7kg(ポリエステルの全酸成分1モ
ルに対する三酸化アンチモンの添加量が2×10-4モルと
なる)、アルカリ金属化合物としての酢酸リチウムを5
質量%含むEG溶液0.7kg(ポリエステルの全酸成分1モル
に対する酢酸リチウムの添加量が15×10-4モルとな
る)、及びスルホン酸塩基含有成分としての5-ナトリウ
ムスルホイソフタル酸のEGエステル(以下、SIPG-Naと
略記する)を30質量%含むEG溶液4.3kg(ポリエステルの
全酸成分1モルに対してスルホン酸塩基含有成分が1.5
×10-2モルとなる)をそれぞれ添加し、次いで重縮合
反応缶内の温度を30分間で275℃にまで昇温し、圧力を
徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で攪
拌しながら、重縮合反応を4時間行った後、常法により
払い出してペレット化することにより、本発明の改質ポ
リエステル樹脂をペレット状で得た。なお、ペレットの
形状としては、長径3mm、短径2mmの楕円形断面を
有する長さ4mmの柱状とした。
【0027】実施例2、3 SIPG-Na及び酢酸リチウムの使用量を変更し、下記表1
に示す条件となるようにした以外は、実施例1と同様に
して行ない、本発明の改質ポリエステル樹脂をペレット
状で得た。
【0028】実施例4 SIPG-Naの代わりに5-リチウムスルホイソフタル酸(以
下、SIPG-Liと略記する)を用いる以外は、実施例1と同
様にして行ない、本発明の改質ポリエステル樹脂をペレ
ット状で得た。
【0029】実施例5 SIPG-Naの代わりにSIPG-Liを用い、また、酢酸リチウム
の代わりに酢酸ナトリウムを用いる以外は、実施例1と
同様にして行ない、本発明の改質ポリエステル樹脂をペ
レット状で得た。
【0030】実施例6 実施例1と同様にして得たエステル化反応物48.0kgを重
縮合反応缶に移送し、EGを5.5kg添加して1時間解重合
を行った。次に、二酸化チタンを30質量%含むEGスラリ
ー0.6kg、三酸化アンチモンを2質量%含む0.7kg、酢酸
リチウムを5質量%含むEG溶液0.7kg及び5-ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチルエステル(以下、SIPMと略
記する)を30質量%含むEGスラリー3.6kgをそれぞれ添
加した後、重縮合反応缶内の温度を30分間で275℃にま
で昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とし
た。この条件で攪拌しながら、重縮合反応を4時間行っ
た後、常法により払い出してペレット化することによ
り、本発明の改質ポリエステル樹脂をペレット状で得
た。
【0031】比較例1〜3 SIPG-Na及び酢酸リチウムの使用量を変更し、下記表1
に示す条件となるようにした以外は、実施例1と同様に
行うことにより、比較用のポリエステル樹脂をペレット
状で得た。
【0032】比較例4 SIPG-Li及び酢酸リチウムの使用量を変更し、下記表1
に示す条件となるようにした以外は、実施例4と同様に
行うことにより、比較用のポリエステル樹脂をペレット
状で得た。なお、上記の実施例及び比較例の実施条件並
びに得られたポリエステル樹脂の特性を評価した結果
を、下記表1にまとめて示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、実施例1〜6で
は、耐熱分解性に優れ、繊維化するのに適した極限粘度
と色調を有する改質ポリエステル樹脂が得られた。ま
た、パック圧試験の結果も良好で、紡糸時において毛羽
や糸切れの発生もなく、高品質なポリエステル繊維を操
業性良く得ることができ、当該繊維の染色性も良好であ
った。これに対して、比較例1では、スルホン酸塩基含
有成分の共重合量が少なすぎたために、ポリエステル樹
脂の耐熱分解性には優れているが、染色性で劣る結果と
なった。一方、比較例2では、スルホン酸塩基含有成分
の共重合量が多すぎたために、極限粘度を繊維化するの
に十分な値とすることができず、紡糸を行うことができ
なかった。また、比較例3では、リチウム原子の量が不
足したため、得られたポリエステル樹脂の耐熱性に劣る
結果となり、紡糸時のパック圧の上昇速度も速くなっ
た。さらに比較例4では、リチウム原子の量が過剰であ
ったため、得られたポリエステル樹脂はポリエステルに
不溶な異物を多く含んだものとなり、紡糸時のパック圧
の上昇速度が速くなった。
【0035】
【発明の効果】本発明の改質ポリエステル樹脂は、染色
性を向上させるのに十分な量のスルホン酸塩基含有成分
が共重合されていながら、加熱溶融時の熱劣化が少ない
耐熱分解性を備えているので、各種成形用ポリエステル
樹脂として、特に溶融紡糸用として好適に用いることが
でき、塩基性染料に可染性のポリエステル繊維を優れた
品質で安定に生産することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルを構成する繰り返し単位の80
    モル%以上がエチレンテレフタレート単位であり、スル
    ホン酸塩基含有成分がポリエステルの全酸成分1モルに
    対して0.5×10-2〜8.0×10-2モル共重合されてお
    り、かつ、リチウム原子が下記数式を満たす量含有さ
    れていることを特徴とする改質されたポリエステル樹
    脂。 【数1】 数式中、Xはスルホン酸塩基含有成分の物質量(モル)
    を、Yはリチウム原子の物質量(モル)を表わす。
  2. 【請求項2】窒素雰囲気下、290℃の温度で100時
    間の熱処理を行った後のポリエステル樹脂0.5gを、
    フェノールとテトラクロロエタンとを質量比1/1で混
    合した溶媒50gに溶解させて溶液とし、この溶液を孔
    径1μmのフィルターで濾過したときに、フィルター上
    に残存する粒径10μm以上の不溶解物粒子の個数が1
    00個未満であることを特徴とする請求項1に記載の改
    質されたポリエステル樹脂。
JP2001127663A 2001-04-25 2001-04-25 改質されたポリエステル樹脂 Pending JP2002322247A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001127663A JP2002322247A (ja) 2001-04-25 2001-04-25 改質されたポリエステル樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001127663A JP2002322247A (ja) 2001-04-25 2001-04-25 改質されたポリエステル樹脂

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002322247A true JP2002322247A (ja) 2002-11-08

Family

ID=18976490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001127663A Pending JP2002322247A (ja) 2001-04-25 2001-04-25 改質されたポリエステル樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002322247A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58138731A (ja) * 1982-02-15 1983-08-17 Toray Ind Inc 改質ポリエステルの製造法
JPS5998130A (ja) * 1982-11-29 1984-06-06 Toray Ind Inc 改質ポリエステルの製造方法
JPH0312420A (ja) * 1989-06-09 1991-01-21 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法
JPH0312419A (ja) * 1989-06-09 1991-01-21 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法
JP2000281768A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58138731A (ja) * 1982-02-15 1983-08-17 Toray Ind Inc 改質ポリエステルの製造法
JPS5998130A (ja) * 1982-11-29 1984-06-06 Toray Ind Inc 改質ポリエステルの製造方法
JPH0312420A (ja) * 1989-06-09 1991-01-21 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法
JPH0312419A (ja) * 1989-06-09 1991-01-21 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法
JP2000281768A (ja) * 1999-04-01 2000-10-10 Nippon Ester Co Ltd 改質ポリエステルの製造法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3461175B2 (ja) ポリエステル重合触媒及びこれを用いて製造されたポリエステル並びにポリエステルの製造方法
JP2003238673A (ja) ポリエステルの製造方法
JP4817654B2 (ja) カチオン可染性ポリエステル及び高強力カチオン可染性ポリエステル繊維
JP7251260B2 (ja) カチオン可染性ポリエステルおよびその製造方法
JP4342211B2 (ja) ポリエステル及びその製造方法
JP5001838B2 (ja) 酸化チタンゾルおよびそれを用いたポリアルキレンテレフタレートの製造方法
JP2010059572A (ja) 常圧カチオン可染性ポリエステル複合繊維
JP2007284599A (ja) 共重合ポリエステル組成物及び繊維
KR100866822B1 (ko) 폴리트리메틸렌테레프탈레이트계 폴리에스테르
JP2002322247A (ja) 改質されたポリエステル樹脂
JP4361387B2 (ja) 分割型ポリエステル複合繊維
JP4634082B2 (ja) ポリエステル組成物、その製造方法および繊維
JP2002179893A (ja) 改質されたポリエステル樹脂
JP2005206760A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP2005336385A (ja) 共重合ポリエステル及びそれを用いてなる繊維並びに共重合ポリエステルの製造方法
JP5216971B2 (ja) カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法
JP4700336B2 (ja) 共重合ポリエステル組成物、その製造方法及び繊維
JP4076413B2 (ja) ポリエステル樹脂及びポリエステル繊維
JP4673054B2 (ja) ポリエステル組成物及びその製造方法
JP2004238553A (ja) 常圧染色用ポリエステル及び繊維
JP2005162817A (ja) ポリエステル樹脂及びそれよりなるポリエステル繊維
JPWO2005054334A1 (ja) ポリエステル、その製造方法、繊維およびポリエステル重合用触媒
JP2005273043A (ja) 難燃性カチオン可染ポリエステル繊維
WO2022075110A1 (ja) ポリエステル製造用触媒粒子およびそれを用いるポリエステルの製造方法
JP2007284598A (ja) 共重合ポリエステル組成物及び繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080411

A977 Report on retrieval

Effective date: 20110119

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A02 Decision of refusal

Effective date: 20110913

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02