JP4294586B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう。)ペレットの製造方法に関する。また、EVOH樹脂の製造方法に関する。
EVOHは、酸素遮断性、保香性、耐油性、非帯電性、機械強度などに優れた有用な高分子材料であり、フィルム、シート、容器などに成形されて広く用いられている。EVOHの製造方法としては、エチレンと酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルとを共重合して得られるエチレン−ビニルエステル共重合体を、ケン化触媒の存在下にアルコールを含む有機溶媒中でケン化する方法が一般的である。
特開平11−90927号公報(欧州特許出願公開第937557号明細書)には、ケン化して得られたEVOHのアルコール溶液に水を加えて、ストランド製造用の溶液を調整することが好ましいことが記載されている。こうして得られるEVOH溶液中のEVOH濃度は15〜55重量%であることが好ましく、また当該溶液中のアルコールと水の重量混合比は9/1〜3/7であることが好ましいことが記載されている。例えばその実施例1には、樹脂分濃度が30重量%であるEVOHのメタノール溶液に、含水率62.5重量%のメタノール水溶液を、100〜110℃、圧力3kg/cmGの共沸条件下で供給して、樹脂分濃度が40重量%になるまでメタノールを留出させて、完全透明なメタノール/水均一溶液を得る方法が記載されている。
しかしながら、前記のようにメタノールを大量に含有するEVOH溶液を凝固浴で析出させる方法によりEVOHペレットを製造すると、析出作業時にアルコールが揮散することがあった。アルコールの揮散は、作業環境を悪化させて作業員の健康を損ねるのみならず、周辺環境へも悪影響を及ぼすものであり、改善が求められていた。
特開2002−121290号公報(欧州特許出願公開第1179546号明細書)には、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を容器に導入し、前記容器内で水蒸気と接触させて前記アルコールを水蒸気とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜500重量部含有するEVOH含水組成物を前記容器から導出することを特徴とするEVOH含水組成物の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、作業環境、周辺環境を悪化させることなく、効率的にアルコールを除去したEVOH含水組成物を得ることができる。
当該公報には、得られた含水組成物を切断してEVOH含水組成物ペレットを製造することが記載されており、切断方法として、ストランド状に押出して凝固させてから切断する方法や溶融状態で直接切断する方法が例示されている。得られたペレットは、安定生産可能で、洗浄速度が速く、乾燥速度も速いことが記載されている。乾燥に際しては、一般に、含水率が1重量%以下になるまで乾燥されることが記載されている。
また、特開2001−81197号公報(欧州特許出願公開第1085028号明細書)には、含水率5〜60重量%のEVOHを溶融混練して含水率を5重量%未満にすることを特徴とするEVOHの乾燥方法が記載されている。当該公報の実施例には、EVOHのアルコール含有溶液を凝固液中にストランド状に押出して析出させてから、切断、水洗して得られた、含水率60重量%の含水組成物ペレットを、乾燥機中で含水率25重量%に水分調整してから押出機に投入して、含水率0.15重量%まで乾燥するEVOHペレットの製造方法が記載されている。
しかしながら、特開平11−90927号公報に記載されているように、メタノールを大量に含有するEVOH溶液を凝固浴で析出させてから切断して得られたペレットを、洗浄してから乾燥させる場合には、乾燥時間が長くなり、生産性効率が低下するのみならず、乾燥中の樹脂が劣化するおそれもある。
特開2002−121290号公報に記載された方法では、乾燥時間が短縮されるが、当該公報実施例1に記載されているように、水分率0.2重量%まで乾燥するには100℃で3時間を要しており、生産効率、熱劣化の防止の両面からさらなる改善が望まれている。また、EVOH含水組成物を溶融状態で切断して得られたペレットの場合には形状が必ずしも一定になりにくく、乾燥後の製品ペレットを使用して成形する際の押出し安定性が十分に得られないおそれがあった。
また、特開2001−81197号公報に記載された方法のように、含水率の高いEVOH含水組成物ペレットを押出機内で乾燥させる場合には、押出機の全長(L/D)が長くなり、装置コストが上昇するとともに、混練時間の延長に由来して熱劣化が起こりやすい。また、高含水率のEVOH含水組成物を溶融混練する際にはEVOHから水分が分離しやすく、押出安定性が低下する。また、押出機に投入する前に予め乾燥機中で含水率を低下させるとしても、乾燥機中での乾燥速度は速くなく、生産効率の低下や、熱劣化の問題を生じやすい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、作業環境、周辺環境を悪化させることなく効率的にアルコールを除去することができ、そうして得られたEVOH含水組成物中の水分を効率よく除去でき、しかも水分の除去に際しての熱劣化が少なく、形状の整ったペレットを得ることができる、EVOHペレットの製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明の別の目的は、周辺環境に酢酸等のカルボン酸を排出することのない、環境に配慮したEVOH樹脂の製造方法を提供することである。
本件出願は、相互に関連の深い第1の発明、第2の発明及び第3の発明を包含するものである。
第1の発明は、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程(工程1);
工程1で前記装置から導出されたEVOH含水組成物を切断して、EVOH含水組成物ペレットを得る工程(工程2);
工程2で得られたEVOH含水組成物ペレットを乾燥機に導入して、該ペレットの含水率を低下させる工程(工程3);
工程3で含水率を低下させたペレットを押出機内で溶融混練する工程(工程4);及び
工程4で押出機から吐出されたEVOHを切断して、EVOHペレットを得る工程(工程5);
を有することを特徴とするEVOHペレットの製造方法である。
これにより、作業環境、周辺環境を悪化させることなく効率的にアルコールを除去することができ、そうして得られたEVOH含水組成物中の水分を効率よく除去でき、しかも水分の除去に際しての熱劣化が少なく、形状の整ったペレットを得ることができる。
このとき、前記EVOHのエチレン含有量が3〜70モル%、ケン化度が80モル%以上であることが好適である。また、前記アルコールがメタノールであることも好適である。
工程1において、前記EVOH溶液を容器に導入し、前記容器内で水蒸気と接触させて前記アルコールを水蒸気とともに導出し、EVOH含水組成物を前記容器から導出することが好ましく、その際、前記EVOH溶液を塔型容器内に連続的に導入し、容器内で水蒸気と接触させることがより好ましい。このとき、前記EVOH溶液を塔上部から導入し、水蒸気を塔下部から導入し、前記EVOH溶液と水蒸気とを向流接触させた後、前記EVOH含水組成物を塔下部から導出し、前記アルコールを水蒸気とともに塔上部から導出することが特に好ましい実施態様である。
工程2において、EVOH含水組成物を溶融状態で切断することが好ましい。また、工程2において切断して得られた前記ペレットを洗浄液に浸漬し、ケン化触媒残渣を除去してから工程3の前記乾燥機に供給することも好ましい。さらにまた、工程2において切断して得られた前記ペレットを、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、ペレットに前記添加剤を添加してから工程3の前記乾燥機に供給することも好ましい。
工程3において、前記乾燥機中のペレットの温度が40〜150℃であることが好ましく、ペレットの含水率を10重量%以下まで低下させることも好ましい。工程4において、溶融混練した後に押出機から吐出されたEVOHの含水率が1重量%以下であることが好ましく、前記押出機内で、溶融樹脂から水分を除去することも好ましい。工程4において、前記押出機内で、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することも好ましい。工程2において切断して得られた前記ペレットを、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、ペレットに前記添加剤を添加してから工程3の前記乾燥機に供給し、さらに、工程4において、前記押出機内で、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することも好ましい。また、工程5において、押出機から吐出されたEVOHを冷却してから切断することも好ましい。
第2の発明は、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程;及び
前記EVOH含水組成物を、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;
を有することを特徴とするEVOH樹脂の製造方法である。
これにより、作業環境、周辺環境を悪化させることなく効率的にアルコールを除去することができ、しかも周辺環境に酢酸等のカルボン酸を排出することのない、環境に配慮したEVOH樹脂の製造方法が提供される。また、カルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることによって、得られるEVOH樹脂の溶融安定性が向上し、ロングラン性が改善される。
このとき、前記装置から導出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を切断してエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを得てから、該エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることが好ましい。前記炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することも好ましい。また、前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を、押出機内で溶融混練する工程を有することも好ましい。
第3の発明は、EVOHを、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;及び
前記水溶液と接触させたEVOHを押出機内で溶融混練する工程;
を有することを特徴とするEVOH樹脂の製造方法である。
これにより、周辺環境に酢酸等のカルボン酸を排出することのない、環境に配慮したEVOH樹脂の製造方法が提供される。また、カルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることによって、得られるEVOH樹脂の溶融安定性が向上し、ロングラン性が改善される。
このとき、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるペレットを前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることが好適である。前記炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することも好適である。前記押出機内で、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することも好適である。また、前記押出機から吐出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体を切断して、エチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットを得ることも好適である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
第1の発明は、アルコールを含有するEVOH溶液を装置に導入し、装置内で水と接触させてアルコールを水とともに導出してEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程(工程1)、導出されたEVOH含水組成物を切断してEVOH含水組成物ペレットを得る工程(工程2)、得られたEVOH含水組成物ペレットを乾燥機に導入して含水率を低下させる工程(工程3)、含水率を低下させたペレットを押出機内で溶融混練する工程(工程4)、及び押出機から吐出されたEVOHを切断してEVOHペレットを得る工程(工程5)を有するEVOHペレットの製造方法に関する。
本発明に用いられるEVOHは、通常、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られる。エチレン含有量は通常3〜70モル%であり、ガスバリア性と溶融成形性に優れた成形物を得るという観点からは、好適には10〜60モル%、さらに好適には20〜55モル%、最適には25〜55モル%である。さらに、ビニルエステル成分のケン化度は通常80モル%以上であり、ガスバリア性に優れた成形物を得るという観点からは、好ましくは95モル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。特に溶融安定性に優れたロングラン性の良好なEVOHを製造する場合には、EVOHのケン化度が99.7モル%以上であることが好ましく、99.8モル%以上であることがより好ましく、99.9モル%以上であることがさらに好ましく、99.95モル%以上であることが特に好ましい。
一方、エチレン含有量3〜20モル%のEVOHは、水溶性が付与されたEVOHとして好適に用いられ、かかるEVOH水溶液はバリア性、塗膜成形性に優れ、優れたコート材料として用いられる。
また、ケン化度80〜95モル%のEVOHは、成形加工性を改善するために用いられる場合がある。かかるEVOHは単独で用いることも可能であるが、ケン化度が99モル%を超えるEVOHとブレンドして用いる実施態様も好適である。
EVOHのエチレン含有量が3モル%未満では一般に溶融成形性が悪く、耐水性、耐熱水性、高湿度下でのガスバリア性が低下するおそれがある。一方、70モル%を超える場合は、バリア性や印刷適性などが不足する場合が多い。また、ケン化度が80モル%未満では、バリア性、耐着色性、耐湿性が不満足なものとなることが多い。
また、エチレンと酢酸ビニルを共重合する際に、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も併用することもできる。また、EVOHは共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有することができる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
以下にEVOHの製造方法を具体的に説明する。エチレンと酢酸ビニルの重合は溶液重合に限るものではなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バルク重合のいずれであっても良く、また連続式、回分式のいずれであってもよく、溶液重合の場合の重合条件は次の通りである。
溶媒;アルコール類が好ましいが、その他エチレン、酢酸ビニル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチルアルコールが好ましい。
触媒;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤及びイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。
時間(連続式の場合は平均滞留時間);2〜15時間、好ましくは3〜11時間。
重合率;仕込みビニルエステルに対して10〜90%、好ましくは30〜80%。
重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは20〜70%。
共重合体中のエチレン含有率;通常3〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好適には20〜55モル%、最適には25〜55モル%。
なお、エチレンと酢酸ビニル以外にこれらと共重合し得る単量体、例えば、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、あるいはモノ又はジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を少量共存させることも可能である。
所定時間の重合後、所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出す。エチレンを蒸発除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体溶液から未反応の酢酸ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応酢酸ビニルの混合蒸気を留出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢酸ビニル成分をケン化する。ケン化方法は連続式、回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。また、ケン化に用いる溶媒としては、メタノールが好ましい。例えば、ケン化条件は次の通りである。
該共重合体溶液濃度;10〜50%。
反応温度;30〜150℃。
触媒使用量;0.005〜0.6当量(酢酸ビニル成分当り)。
時間(連続式の場合、平均滞留時間);10分〜6時間。
一般に、連続式でケン化する場合には、ケン化により生成する酢酸メチルをより効率的に除去できるので、回分式の場合に比べて少ない触媒量で高いケン化度の樹脂が得られる。また、連続式の場合にはケン化により生成するEVOHの析出を防ぐため、より高い温度でケン化する必要がある。したがって、連続式では下記の範囲の反応温度及び触媒量とすることが好ましい。
反応温度;70〜150℃。
触媒使用量;0.005〜0.1当量(酢酸ビニル成分当り)。
得られるEVOHのケン化度は目的により異なるが好ましくは酢酸ビニル成分の80モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。ケン化度は条件によって任意に調整できる。
前述のように、特に溶融安定性に優れたロングラン性の良好なEVOHペレットを製造する場合には、EVOHのケン化度が99.7モル%以上であることが好ましく、99.8モル%以上であることがより好ましく、99.9モル%以上であることがさらに好ましく、99.95モル%以上であることが特に好ましいが、このようなEVOHを得るためにはケン化条件をさらに以下のように調整することが好ましい。
ケン化度99.9モル%以上の高いケン化度のEVOHを得る方法としては、連続式が好ましい。連続式で高いケン化度を得る方法としては、例えば、ケン化反応塔の複数箇所から触媒を添加する方法、触媒使用量を多くする方法、ケン化反応塔の下部から吹き込むメタノールの量を多くする方法などが挙げられる。また、回分式でケン化度99.9モル%以上の高いケン化度のEVOHを得る方法としては、例えば、触媒を複数回に分けて添加する方法、触媒使用量を多くする方法、ケン化反応槽にメタノール蒸気あるいは窒素ガスを吹き込む量を多くする方法などが挙げられる。
こうして得られたEVOH溶液は通常EVOH100重量部に対して沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有する。アルコールの含有量は好適には70重量部以上であり、より好適には80重量部以上である。またアルコールの含有量は好適には1000重量部以下であり、より好適には500重量部以下である。アルコールの含有量をこの範囲とすることで、EVOH溶液の流動性が確保されるとともに、効率のよい樹脂製造が可能である。アルコールは好適にはメタノールである。
なお、上記ケン化後のEVOH溶液はアルコール溶液のみならず、必要に応じて水などの他の溶媒を添加した混合溶媒の溶液であっても構わない。水を加える方法としては、前述の特開平11−90927号に記載された方法などを挙げることができる。
本発明の工程1は、例えば上記のようにして得られた、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程である。
上記装置は特に限定されるものではなく、容器の中で水と接触させてもよいし、押出機のような混練装置の中で水と接触させてもよい。大量に処理するためには、容器の中で水と接触させることが好ましく、特に水蒸気と接触させることが好ましい。
すなわち、本発明における工程1の好適な実施態様は、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を容器に導入し、前記容器内で水蒸気と接触させて前記アルコールを水蒸気とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記容器から導出する工程である。
容器に導入したEVOH溶液を容器内で水蒸気と接触させる方法は特に限定されず、連続式、回分式のいずれの方法によってもよい。また、容器の形態についても特に限定されるものではないが、連続式の場合には塔型容器が、回分式の場合には槽型容器がそれぞれ好適である。生産効率を考えれば工業的には連続式の方が好ましい。塔型容器としては、多孔板塔、泡鐘塔などの棚段塔、リング型充填物などの入った充填塔を例示することができる。
容器に導入されたEVOH溶液と水蒸気とは、アルコール除去効率の観点から向流で接触させることが好ましい。例えば、塔型容器において、EVOH溶液を塔上部から導入し、水蒸気を塔下部から導入して前記溶液と向流接触させ、EVOH含水組成物を塔下部から導出し、アルコールを水蒸気とともに塔上部から導出する方法などを好適な実施態様として挙げることができる。塔上部から導出されたアルコール蒸気と水蒸気は凝縮器で凝縮し、アルコール水溶液として回収し、必要に応じ精製して再使用することができる。
水蒸気の導入量は、少なすぎるとアルコールの除去効率が悪く、逆に多すぎるとコスト面で不利となるので、EVOH溶液の導入量に対して重量比で表示して0.3〜30倍であることが好ましく、より好適には0.5〜10倍、さらに好適には0.7〜5倍である。EVOH溶液と接触させる水蒸気は、水蒸気100重量部に対して10重量部以下のアルコールを含んでいても構わないが、効率よくアルコールを除去するためには、水蒸気中にアルコールを含まないことが好ましい。
容器内の温度は100〜150℃であることが好ましい。容器内の温度が100℃未満の場合には、EVOH含水組成物の流動性が不十分となり、容器内でゲル化したり、閉塞を起こしたりするおそれがある。より好適には110℃以上であり、さらに好適には120℃以上である。一方、容器内の温度が150℃を超える場合には、EVOHが劣化する場合がある。より好適には140℃以下である。
また、容器内の圧力は、あまり低いとアルコールの除去効率が悪く、また、あまり高いと容器内のEVOH溶液の温度が上昇してEVOHの熱劣化が生じやすくなるため、好ましくは1〜6kg/cm、より好ましくは1.5〜5kg/cm、さらにより好ましくは2〜4kg/cmである。
この場合において、EVOH溶液は容器内で水蒸気と直接接触し、アルコールの含有量が徐々に減少するが、その間EVOHは膨潤したペースト状であり、流動性を保ったままゲル化することなく容器から導出することが可能である。
EVOHは、常圧下、例えば60〜70℃程度の温度のメタノール/水混合溶媒に溶解するが、溶媒が水のみの場合には常圧下では溶解しない。ところが、例えば100℃以上の温度の加圧水蒸気の存在下においては、EVOHが実質的に水だけを含んだ状態であっても、流動性を保つことができることが見出された。その結果、例えば塔型の容器などを用いて連続的に処理することも容易となった。
装置から導出されるEVOH含水組成物は、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するものであり、流動状態で当該容器から導出される。EVOH含水組成物中のアルコールの含有量は、好適には0〜5重量部、より好適には0〜1重量部、さらに好適には0〜0.1重量部である。アルコールの含有量が少ないことにより、析出などの後工程でメタノールの揮散を防止することができ、作業環境および周辺環境の保全が可能となる。またケン化触媒残渣などの洗浄時に、洗浄液の温度を上昇させてもペレットが相互に膠着しにくくなるので、洗浄温度を上げることができ、結果として洗浄速度を上げることも可能となる。
また、EVOH含水組成物中の水の含有量は10〜1000重量部である。水の含有量が10重量部未満では、容器内での流動性が不足する。好適には30重量部以上であり、さらに好適には50重量部以上である。一方、水の含有量が1000重量部を超えると、ストランド状に析出させる場合に安定に析出することが困難になり、また、溶融状態で切断する場合にも切断後のペレットが相互に融着したり形状が不均質になったりする問題が生じる。好適には500重量部以下であり、さらに好適には200重量部以下である。
こうして得られたEVOH含水組成物は、通常、金属換算で0.1〜5重量%のアルカリ金属塩の他、副生塩類、その他不純物などを含有する。
本発明では、工程1で前記装置から導出されたEVOH含水組成物を切断してEVOH含水組成物ペレットを得る工程(工程2)を有する。切断する方法は特に限定されず、例えば、溶融状態で直接切断する方法や、溶融状態のEVOH含水組成物を凝固液中にストランド状に押出して凝固させてから切断する方法などを挙げることができる。
上記EVOH含水組成物を溶融状態で直接切断する場合、容器から導出されたEVOH含水組成物を切断する方法としては、ホットカット方式または水中カット方式が好適なものとして例示される。ペレットの取扱いの容易性の観点から、ノズルの口径は2〜5mmφ(φは直径。以下同じ)が好適である。ホットカット方式で使用されるホットカッターの一例を第1図に示す。1はEVOH含水組成物の供給口、2はダイ、3は回転刃、4は回転軸、5はカッター箱、6は冷却水供給口、7は冷却水、8は水膜、9はペレット排出口、10は冷却水およびペレットである。
EVOH含水組成物中の水分が多いと、EVOH含水組成物から水分が分離し、かかる分離水がノズルから排出されるために、安定したカットが困難になることがある。従って、ストランドを切断する場合と同様、EVOH中の水分をあらかじめニーダなどで減少させた後に、ノズルから吐出して切断することが好ましい。ここで、ニーダとは、液の排出口を設けたシリンダーとそれに装着するスクリューから構成されたものをいう。
このように溶融状態で切断する方法は、ストランドを切断する方法と比べて、ストランドを安定的に形成できる引き取り速度を考慮する必要がないので、生産性に優れる。例えばエチレン含有量が低いEVOHのようにストランドの形成が容易ではない場合であっても、溶融状態で切断することによりEVOH含水組成物ペレットの製造が容易である。溶融状態で切断されたペレットは、形状が若干不揃いになる傾向があるが、本発明においては工程4及び5において、押出機内で溶融混練してから切断して再度ペレット化するので、この段階では不揃いであってもよく、むしろ生産性を優先して溶融状態で切断することが好ましい。
ストランド状に押出して凝固させてから切断する場合、容器から導出されたEVOH含水組成物は、ノズルから凝固液中に押出して、所望の径のストランドとする。このときEVOH含水組成物の含水率が高すぎると、EVOH含水組成物から水分が分離し、かかる分離水がノズルから排出されるために、連続したストランドを得ることが困難になることがある。従って、EVOH中の水分をあらかじめニーダなどで減少させた後にノズルから押出し、ストランド状に凝固させるのが好ましい。
上記凝固液には、水が用いられるが、少量のアルコールが含まれていても構わない。EVOHのメタノール溶液またはメタノール/水混合溶液を凝固液中に押出していた従来の方法では、吐出したストランドが析出する前に凝固浴中で浮き上がるのを防止するために、凝固液にメタノールを配合して凝固液の比重を小さくする必要があったが、本発明では凝固速度が速いためアルコールを含まない水を凝固浴に用いることができ、作業環境および周辺環境の保全の点で優れている。
凝固液の温度は0〜50℃であることが好ましく、押出す際の溶融状態のEVOH含水組成物の温度は100〜150℃であることが好ましい。この温度差によって、EVOH含水組成物を短時間で凝固させることができる。凝固液の温度はより好適には0〜30℃である。また、溶融状態のEVOH含水組成物の温度は、より好適には110〜140℃である。凝固したストランドは、カッターで切断してペレットにする。カッターとしてはストランドカッターが好適に用いられる。
得られたEVOH含水組成物ペレットの含水率は、20〜50重量%であることが好適である。ニーダなどを用いて含水率を減少させても、20重量%未満にまで減少させる事は困難であり、通常は25重量%以上である。また、50重量%を超える場合には乾燥の効率が低下するおそれがあり、より好適には45重量%以下である。
こうして得られたEVOH含水組成物ペレットは、通常ケン化触媒残渣であるアルカリ金属塩、例えば酢酸ナトリウムを含んでおり、そのために着色などの問題が生じるため、洗浄液に浸漬してケン化触媒残渣を除去することが好ましい。EVOH含水組成物ペレットは、多孔質の形状を有しているため、洗浄効率が良好であるので、工程2の後で洗浄操作を施してから、工程3以降の操作に供することが好ましい。工程3以降の操作の後で洗浄する場合には洗浄効率が低下する。通常、洗浄前の含水ペレットのアルカリ金属塩含有量はアルカリ金属換算で100〜10000μmol/g(EVOH重量当り)程度である。洗浄方法は特に限定されないが、水で洗浄する方法が好適である。このとき洗浄液として使用する水は、アルカリ金属イオンを効率的に除去するために、酢酸などの酸の水溶液であってもよい。また、水による洗浄と酸による洗浄を併用して、効率的にケン化触媒残渣の含有量を減少させることも好ましい。
洗浄温度は、通常0〜95℃の範囲が採用される。洗浄効率向上の観点からは洗浄温度は高い方が好ましいが、あまり温度が高すぎると含水ペレット同士の融着が発生するため好ましくない。洗浄温度の下限値は好適には20℃以上である。また、洗浄温度の上限値は好適には70℃以下である。
洗浄後の含水ペレットのアルカリ金属含有量をアルカリ金属換算で0〜50μmol/g(EVOH重量当り)まで減少させることが好適である。アルカリ金属含有量の上限は、より好ましくは40μmol/gであり、さらに好ましくは30μmol/gであり、特に好ましくは20μmol/gである。
含水ペレットを洗浄する方法は特に限定されるものではなく、回分式処理容器又は連続式処理容器のいずれも使用可能である。中でも、塔式容器内で連続的に含水ペレットを供給して処理する方法が、生産性の観点から好適である。
EVOHペレットには、熱安定性などの品質を向上させるために、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することが好ましい。
洗浄操作後に上記添加剤を含有させてから、工程3の乾燥機に導入することが好ましい。乾燥機に導入する前にこれらの添加剤を含有させておくことで、乾燥機中で加熱されたときの熱劣化を効果的に防止することができる。特に添加剤としてカリウム塩を添加する場合には、EVOHペレット中に残存するケン化触媒残渣であるナトリウム塩との間で金属イオンの交換が起こり、EVOHペレット中のナトリウム塩が効率的に除去されるので、乾燥操作や溶融混練操作における熱劣化をより効果的に防ぐことができる。また、工程2で得られたEVOH含水組成物ペレットは多孔質であるため、上記添加剤を効率よく含有させることができる。
上記添加剤の添加方法に特に制限はなく、公知の方法が採用できる。前記添加剤を含む水溶液にEVOH含水組成物ペレットを浸漬させて、これらを吸着させる方法が好適である。以下、これらの添加剤について、その種類、EVOH中の含有量及び添加剤を含む水溶液に含水ペレットを浸漬する場合の水溶液中の濃度について説明する。
カルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などが例示される。これらの中でも、コスト、入手の容易さなどの面から、酢酸が好ましい。本発明の乾燥後のEVOHペレット中のカルボン酸の含有量は、あまり少ないと溶融成形時に着色が発生することがあり、また、あまり多いと層間接着性が不十分となることがあるので、0.1〜50μmol/gが好ましい。カルボン酸の含有量の下限は好適には0.5μmol/g以上であり、より好適には0.8μmol/g以上である。また、カルボン酸の含有量の上限は好適には20μmol/g以下であり、より好適には10μmol/g以下である。
EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液中のカルボン酸の濃度が0.05〜50mmol/Lであることが、適当な量のカルボン酸を乾燥EVOHペレット中に含有させることができて好適である。カルボン酸の濃度の下限値は、より好適には0.1mmol/L以上であり、さらに好適には0.5mmol/L以上である。またその上限値は、より好適には30mmol/L以下であり、さらに好適には15mmol/L以下である。50mmol/Lを超えると、EVOHがゲル化しやすく、成形品の外観が悪化するおそれがある。
EVOH含水組成物ペレットを、上述のようにカルボン酸を含有する水溶液と接触させる代わりに、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることもできる。その場合には、接触させた後の含水ペレットを乾燥させる際に酢酸等のカルボン酸が大気中に放出されることがなく、周辺環境及び作業環境に悪影響を及ぼしにくい。また、本発明では、当該水溶液と接触させた後のEVOH含水組成物ペレットを、工程3において乾燥機中で乾燥させるが、その乾燥速度が早いことが特徴の一つである。水分が揮発しやすい本発明のEVOH含水組成物ペレットの水分を低下させる際には、同時に酢酸等のカルボン酸も揮発しやすい。このため、EVOH含水組成物ペレットにカルボン酸を含有させる場合には、最終的な含有量を制御しにくくなるおそれがある。環境保護の面からも、最終的な含有量の制御の面からも、本発明の製法においては、カルボン酸を含有する水溶液と接触させる代わりに、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることが好ましい。
炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる際の、前記水溶液の含有する炭酸ガスの量は特に限定されるものではなく、適宜調整されるものであるが、空気中に存在する炭酸ガスが自然に溶解するような程度の量よりも多い量を溶解させる必要がある。水溶液中の炭酸ガスの濃度(遊離の二酸化炭素と炭酸の合計)は好適には、0.5mmol/L以上で、より好適には2mmol/L以上、さらに好ましくは10mmol/L以上の範囲である。また炭酸ガスの溶解度を上げるために、1.5〜10気圧程度の加圧条件下で処理を行なっても良い。
前記添加剤及び炭酸ガスを含有する水溶液のpHは、3.5〜6.5であることが好適である。一定量以上の炭酸ガスを含有することで、このような酸性の水溶液にすることができる。pHの値はより好適には3.8以上であり、さらに好適には4以上である。またpHの値はより好適には6以下であり、さらに好適には5.7以下であり、最適には5.5以下である。
前記添加剤及び炭酸ガスを含有する水溶液の調整方法は特に限定されない。予め炭酸ガスを溶解させた水溶液の中に、前記添加剤を添加しても良い。逆に、前記添加剤を予め溶解させた水溶液の中に炭酸ガスを溶解させても良い。また、それぞれの水溶液を予め作成しておいて、それを混合しても構わない。また、上述のようにカルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液を使用する場合には、前記水溶液は、カルボン酸又はその塩を含有しないことが望ましい。
EVOH含水組成物ペレットを、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる場合、本発明の製造方法で得られる乾燥EVOHペレットが、95℃の水に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C1)を0〜2μmol/g含有することが好ましい。95℃の水で10時間浸漬処理することで、EVOH樹脂中に含まれているカルボン酸とカルボン酸塩の大部分が抽出されると想定されるので、カルボン酸根(C1)は、これらの合計含有量にほぼ対応する数値が示されているものである。すなわち、カルボン酸及びカルボン酸塩の含有量が極めて少ないEVOHペレットが好適である。カルボン酸根(C1)の含有量は好適には1.5μmol/g以下であり、より好適には1μmol/g以下であり、さらに好適には0.5μmol/gである。
またそのとき、本発明の製造方法で得られる乾燥EVOHペレットが、95℃の0.05規定水酸化ナトリウム水溶液に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C2)を0〜40μmol/g含有することが好ましい。95℃の0.05規定水酸化ナトリウム水溶液に10時間浸漬処理することにより、EVOH樹脂中に含まれているカルボン酸とカルボン酸塩の大部分が抽出されるのみならず、EVOH樹脂中に残存する未ケン化のカルボン酸エステル基の大部分においてケン化反応が進行し、加水分解生成物であるカルボン酸根が遊離、抽出されるものである。すなわち、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル基の合計含有量の少ないEVOHペレットが好適である。カルボン酸根(C2)の含有量は好適には20μmol/g以下であり、より好適には10μmol/g以下であり、さらに好適には5μmol/g以下であり、最適には2μmol/gである。
EVOH樹脂の溶融成形時においては、通常200℃以上の温度になることから、その温度においては多くの化学反応が進行し得る。EVOH樹脂に含有されるカルボン酸エステル基は、水と反応して加水分解されてカルボン酸を遊離したり、カルボン酸やカルボン酸塩とエステル交換反応を行ったりすることが考えられる。また、カルボン酸やカルボン酸塩がEVOHの水酸基と反応してカルボン酸エステル基を生成したり、カルボン酸エステル基とエステル交換反応を行ったりすることが考えられる。つまり、溶融成形、特に長時間の溶融成形においては、このような加熱溶融時における溶融樹脂内での化学反応を無視することができない。
カルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液を使用するのは、この点に着目したものであり、相互に変換しえるカルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸エステルの含有量の合計量をもって、EVOH樹脂の溶融安定性改善と臭気発生防止を図ろうとするものである。当初から遊離した形である95℃の水に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C1)の量を極めて少なくし、加熱溶融条件下で遊離しうるものも含めた量である95℃の0.05規定水酸化ナトリウム水溶液に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C2)の量を一定値以下にすることで、極めてロングラン性に優れたEVOHペレットを提供できるのである。
本発明の製造方法で得られるEVOHペレットが、アルカリ金属塩を含有することが、層間接着性及びロングラン性を確保する点から好ましい。アルカリ金属塩のカチオン種は特に限定されない。リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩及びセシウム塩から選択されるが、ナトリウム塩及びカリウム塩が好適であり、カリウム塩が特に好適である。カリウム塩を使用することで、層間接着性及びロングラン性がともに優れたEVOHペレットが得られる。アルカリ金属塩のアニオン種も特に限定されない。炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、水酸化物、カルボン酸塩等として添加することができ、中でも、炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物として添加することが好ましい。また、下記に示すように、ホウ酸塩として添加することも好ましい。
乾燥後のEVOHペレット中のアルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属換算で0.1〜20μmol/gであることが好ましい。アルカリ金属塩を含有することで、層間接着性、溶融時の耐着色性及びロングラン性が改善される。含有量が0.1μmol/g未満では層間接着性、溶融時の耐着色性あるいはロングラン性が不十分になることがあり、20μmol/gを超えると溶融時の耐着色性が不十分になることがある。0.1〜0.3μmol/gの範囲では溶融時の耐着色性及びロングラン性は比較的良好であるが、他の樹脂との多層構成で使用する場合、通常の酸無水物変性の接着性樹脂では接着強度は不十分となる場合がある。アルカリ金属塩の含有量の下限はより好適には0.3μmol/g以上であり、さらに好適には0.5μmol/g以上である。アルカリ金属塩の含有量の上限はより好適には15μmol/g以下であり、さらに好適には10μmol/g以下であり、特に好適には8μmol/g以下である。
EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液中のアルカリ金属塩の含有量の好適な範囲は含水ペレットの含水率の影響を受けるが、一般に0.05〜40mmol/Lであることが好ましい。前記水溶液のアルカリ金属塩の含有量のより好適な下限は0.1mmolである。また、より好適な上限は20mmol/Lである。
本発明の製造方法で得られるEVOHペレットが、ホウ素化合物を含有することが、溶融成形時のロングラン性をより改善できて好ましい。ホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物の中でもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。
乾燥後のEVOHペレット中のホウ素化合物の含有量は、あまり少ないと熱安定性の改善効果が少なく、また、あまり多いとゲル化して成形性不良となることがあるので、その含有量は、ホウ素元素換算値で1〜200μmol/gであることが好適である。2μmol/g以上であることがより好適であり、3μmol/g以上であることがさらに好適である。また150μmol/g以下であることがより好適であり、100μmol/g以下であることがさらに好適である。
EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液中のホウ素化合物の濃度がホウ素元素換算で0.1〜50mmol/Lであることが、適当な量のホウ素化合物を乾燥EVOHペレット中に含有させることができて好適である。ホウ素化合物の濃度の下限値は、より好適には0.5mmol/L以上であり、さらに好適には1mmol/L以上である。またその上限値は、より好適には40mmol/L以下であり、さらに好適には30mmol/L以下である。50mmol/Lを超えると、EVOHがゲル化しやすく、成形品の外観が悪化するおそれがある。
本発明の製造方法で得られるEVOHペレットが、リン酸化合物を含有していることも好ましい。適当な量を添加することで、得られるEVOHペレットを溶融成形した際の成形物の着色及びゲル・ブツの発生を抑制することが可能な場合がある。リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸などの各種の酸やその塩などが例示される。リン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよく、そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。中でもリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムの形でリン酸化合物を添加することが好ましい。
リン酸化合物の添加は任意であるが、乾燥後のEVOHペレット中のリン酸化合物の含有量は、リン酸根換算で0〜5μmol/gであることが好適である。すなわち、リン酸根含有量(D1)は、5μmol/g以下であることが好適であり、4μmol/g以下であることがより好適であり、3μmol/g以下であることがさらに好適であり、最適には1.5μmol/g以下である。一方、リン酸根含有量(D1)は、好適には0.05μmol/g以上であり、より好適には0.1μmol/g以上であり、さらに好適には0.15μmol/g以上であり、最適には0.2μmol/g以上である。添加する場合の含水ペレットを浸漬する水溶液中のリン酸化合物の濃度はリン酸根換算で0〜10mmol/Lの範囲が適当であり、より好ましくは0〜5mmol/Lの範囲である。
EVOH含水組成物ペレットを、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させて、しかもリン酸化合物を添加する場合には、本発明で製造されるEVOHペレットを溶融成形して得られる溶融成型品において、リン酸根換算でのリン酸根含有量(D1:μmol/g)と、リン元素含有量(D2:μmol/g)との比(D1/D2)が0.4以下であることが好ましい。
ここで、リン酸根含有量(D1)は、溶融成形品を水溶液中に浸漬し、抽出されるリン酸化合物の量である。すわわち、リン酸又はその塩として樹脂組成物中に含有されていて、水溶液によって抽出されることの可能なリン酸化合物の量を示すものである。一方、リン元素含有量(D2)は、例えば、溶融成形品を完全燃焼させた灰分を溶解させた水溶液中に含まれるリン元素の量を発光分析して得られる値である。すなわち、水溶液中の抽出操作によって抽出されるもののみならず、溶融成形品に含まれている全リン元素を定量するものである。したがって、比(D1/D2)が0.4以下であるということは、溶融成形品に含有される全リン元素のうちの半分以上が、抽出不能な形で含まれているということである。
従来、EVOHにリン酸化合物を含有させた場合においては、樹脂組成物中に含まれるリン酸化合物はほぼ全量が抽出可能であり、それを溶融成形した後においてもほとんどのリン酸化合物を抽出することが可能であった。したがって、溶融成形後においても、比(D1/D2)は1に近い値を示していた。これに対し、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させて、しかもリン酸化合物を添加して得られる樹脂組成物は、水溶液に浸漬してリン酸化合物を含有させて乾燥させただけであれば、そのほとんどは抽出可能であるにもかかわらず、溶融状態で加熱されることによって、抽出が不可能になるものである。
本発明の溶融成形品中に含まれるリン元素が、どのような化学構造で存在しているのかは必ずしも明らかではないが、リン酸化合物がEVOHの水酸基と反応してリン酸エステルを形成していることが推定される。このようにEVOHの分子鎖に固定されることによって、抽出が不可能になっているものと推定される。酢酸などのカルボン酸を含有する水溶液に浸漬する代わりに、炭酸ガスを含有する水溶液に浸漬することで、このような樹脂組成物が得られたのではないかと考えられる。
こうして得られた比(D1/D2)が0.4以下である溶融成形品は、ロングラン性に優れている。EVOHの分子鎖に固定されていると推定されているリン元素が熱安定性に寄与していることも考えられる。比(D1/D2)は、好適には0.35以下であり、より好適には0.3以下であり、さらに好適には0.25以下であり、最適には0.2以下である。
このときのリン元素含有量(D2)の好適な範囲は、溶融成形する前のリン酸根含有量(D1)の好適な範囲と同じである。リン元素含有量(D2)は、溶融成形の前後で実質的に変化しないからである。好適には5μmol/g以下であり、より好適には4μmol/g以下であり、さらに好適には3μmol/g以下であり、最適には1.5μmol/g以下である。一方、リン元素含有量(D2)は、好適には0.05μmol/g以上であり、より好適には0.1μmol/g以上であり、さらに好適には0.15μmol/g以上であり、最適には0.2μmol/g以上である。
本発明の製造方法で得られるEVOHペレットが、アルカリ土類金属塩を含有していても良い。用途によっては、適当な量を添加することで、得られるEVOHペレットを溶融成形した際のロングラン性を改善することが可能な場合がある。ただし、カルボン酸を含有する代わりに炭酸ガスを含有する水溶液にEVOH含水組成物ペレットを接触させる場合には、アルカリ土類金属塩は難溶性の炭酸塩を形成しやすいため、大量に添加するのは適当ではない。
アルカリ土類金属塩のカチオン種は特に限定されない。マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩などが挙げられるが、マグネシウム塩とカルシウム塩が好適である。アルカリ土類金属塩のアニオン種も特に限定されない。炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、水酸化物、カルボン酸塩等として添加することができる。水溶液がカルボン酸を含有する場合にはカルボン酸塩として添加することが望ましい。水溶液が炭酸ガスを含有する場合には、炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物として添加することが好ましい。
アルカリ土類金属塩の添加は任意であるが、乾燥後のEVOHペレット中のアルカリ土類金属塩の含有量は、アルカリ土類金属換算で0〜10μmol/gであることが好適である。5μmol/g以下であることがより好適であり、3μmol/g以下であることがさらに好適である。特に、溶融成形時の着色の抑制を重視する場合には、アルカリ土類金属塩の含有量は2μmol/g以下であることがより好適であり、1μmol/g以下であることがさらに好適であり、実質的に含有しないことが好ましい。
添加する場合の含水ペレットを浸漬する水溶液中のアルカリ土類金属塩の濃度はアルカリ土類金属換算で0〜10mmol/Lの範囲であり、アルカリ土類金属塩を乾燥EVOHペレット中に含有させることができて好適である。またその上限値は、より好適には5mmol/L以下であり、さらに好適には3mmol/L以下である。
EVOH含水組成物ペレットに接触させる前記水溶液の温度は特に限定されるものではないが、10〜90℃であることが好ましい。10℃未満では、添加剤を含水ペレット中に均一に含有させるのに時間がかかるおそれがあり、90℃を超えると、含水ペレット同士が融着するおそれがある。特に、炭酸ガスの含有する水溶液に浸漬する場合には、飽和溶解度が低下し、十分な量の炭酸ガスを前記溶液中に含有させることが困難な場合がある。前記水溶液の温度は、より好適には20℃以上であり、さらに好適には30℃以上である。また、より好適には85℃以下であり、さらに好適には80℃以下である。炭酸ガスの含有する水溶液に浸漬する場合で、70℃以上の高い温度で接触させる場合は炭酸の溶解度が少なくなるので、1.5〜10気圧程度の加圧下で接触させることが好適である。
EVOH含水組成物ペレットを前記水溶液に接触させる時間は、含水ペレットの形態によってその好適範囲が異なるが、1〜10mm程度の含水ペレットの場合には1時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましい。
EVOH含水組成物ペレットを前記水溶液に接触させる方法は特に限定されない。含水ペレットを予め水に接触させておいて、炭酸ガスや添加剤を後から水中に溶解させることもできるが、予めこれらを溶解させて調整した水溶液を含水ペレットと接触させる方法が、添加剤を均一に含有する安定した品質のEVOHペレットが得られて好ましい。
EVOH含水組成物ペレットを前記水溶液に接触させる方式は、バッチ方式、連続方式のいずれによる方式も採用可能である。連続方式においては、例えば塔型の容器の中で含水ペレットを徐々に下方に移動させながら、連続的に供給される水溶液と接触させる方法などが、好適なものとして挙げられる。また、複数の水溶液を調製して、複数回に分けて接触させても構わない。
なお、ここで前記添加剤を添加する操作を行わずに、別途工程4において押出機内で添加することも可能である。また、ここで特定の成分の添加操作を行った上で、さらに別途工程4において別の成分を押出機内で添加することも可能である。工程4において添加する方法については後述する。
こうして、必要に応じて洗浄操作および/または添加剤の添加操作を経て、得られたEVOH含水組成物ペレットは工程3の乾燥機に導入される。工程2で得られたEVOH含水組成物ペレットは、多孔質であり、乾燥速度が速いので、低い乾燥温度で、しかも短時間で乾燥することができる。
乾燥機に導入される際のEVOH含水組成物ペレットの含水率は20〜50重量%であることが好適である。ニーダなどを用いて含水率を減少させても、20重量%未満にまで減少させる事は困難であり、通常は25重量%以上である。また、50重量%を超える場合には乾燥の効率が低下するおそれがあり、好適には45重量%以下である。
工程3で含水率を低下させた後のペレットの含水率は、10重量%以下であることが好適である。含水率が10重量%を超える場合には工程4においてさらに含水率を低下させることになるが、その場合には押出機の滞留時間が長くなるとともに、押出機の長さ(L/D)も長くなって設備コストが増大することになる。工程3の後の含水率は7重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。一方、含水率が0.1重量%未満になるまで乾燥させた場合には、工程3の所要時間が長くなって生産速度が低下するとともに、高温で乾燥させる場合にはEVOHが熱劣化するおそれもある。工程3の後の含水率は0.3重量%以上であることがより好ましい。
工程3で含水率を低下させた後のペレットの含水率を1〜10重量%、好適には2〜10重量%とする場合には、通常工程4においてさらに含水率を低下させる必要があるが、工程3の所要時間が短時間になって生産効率が向上するとともに、工程3における熱劣化を防止できて好ましい。一方、工程3で含水率を低下させた後のペレットの含水率を0.1〜1重量%、好適には0.1〜0.8重量%とする場合には、工程3の所要時間が長くなる場合があるが、工程4においてさらに含水率を低下させる必要が小さいので、工程4で使用する押出機を安価なものにできて好ましい。これらの実施態様は状況に応じて、好適な方を適宜選択することができる。
工程3で使用される乾燥機は特に限定されず、熱風乾燥機などを使用することができる。乾燥機は流動式乾燥機であっても静置式乾燥機であっても良く、これらを組み合わせて使用してもよい。例えば、初めに流動乾燥法で乾燥し、引き続いて静置乾燥法で乾燥する方法を採用することもできる。
工程3における乾燥温度は特に限定されないが、40〜150℃で0.1〜15時間乾燥することが好ましい。工程2で得られるEVOH含水組成物ペレットは低温でも迅速な乾燥が可能であり、熱劣化を抑制することができる。乾燥温度はより好適には120℃以下であり、さらに好適には100℃以下であり、最適には90℃以下である。乾燥時間は乾燥温度や目的とする水分量によって異なるが、より好適には0.5時間以上であり、さらに好適には1時間以上である。またより好適には5時間以下であり、さらに好適には3時間以下である。空気中で乾燥しても良いし窒素等の不活性ガス中で乾燥しても良い。不活性ガス中で乾燥する場合には、乾燥温度を高めに設定しても熱劣化が生じにくい。
工程3で含水率を低下させたペレットは押出機に投入され、押出機内で溶融混練する工程(工程4)に供される。以下、工程4について説明する。使用される押出機の種類は特に限定されず、一軸押出機であっても二軸押出機であってもよい。工程4において一定量以上の水分、例えば1重量%以上の水分を除去する場合には、二軸押出機を使用することが好ましい。このとき、スクリューの回転方向が同方向の二軸押出機や、L/Dが15以上の二軸押出機を使用することがより好ましい。シリンダーとしてはブロックシリンダーが好ましい。スクリューとしては、セグメントタイプのものが好ましい。また、工程4においてカルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する場合にも、上記の二軸押出機を使用することが好ましい。逆に、工程4において水分量を減少させる必要性が小さいとき、例えば除去される水分量が1重量%未満の場合には、一軸押出機を使用することが好ましい。この場合には、設備コストの安い装置でペレット形状を整えることができる。
ペレットはホッパーなどから押出機内に導入することができるが、このときホッパーに不活性ガスを吹き込みながらペレットを投入することによって、押出機内を不活性ガス雰囲気に保つことが好ましい。これによって、溶融混練中のEVOHの劣化を抑制することができる。例えば、得られたEVOHのペレットを押出成形してフィルムを製造するときに、ダイへの樹脂の付着が少なく、押出安定性およびロングラン性に優れ、得られるフィルム中のゲル状ブツやフィッシュアイ等の欠点を少なくすることができ、フィルムの着色を抑制することができる。
工程4の押出機内に導入される前のEVOHペレットの含水率は、工程3のところで説明したように、0.1〜10重量%であることが好ましい。工程4で押出機から吐出されたEVOHペレットの含水率は1重量%以下であることが好ましく、より好適には0.5重量%以下であり、さらに好適には0.3重量%以下である。工程3と工程4の両方の工程によって効率的に乾燥するという点からは、工程4において溶融樹脂から水分を除去することが好ましい。工程4の前後において含水率が0.1重量%以上減少することが好ましく、0.3重量%以上減少することがより好ましく、1重量%以上減少することがさらに好ましい。
押出機に導入されるEVOHペレットの含水率が1〜10重量%である場合には、工程4において一定量の水分を除去する必要があり、押出機内にベントなどの脱水用の装置を付加する必要がある場合が多い。一方、押出機に導入されるEVOHペレットの含水率が0.1〜1重量%である場合には、工程4において水分を除去する必要がない場合もあり、そのような場合には押出機内にベント口などの脱水用の装置が不要な場合もある。また、ベント口としては減圧下に水蒸気を除去する真空ベントや、常圧下に水蒸気を除去するオープンベントが挙げられる。
工程4の押出機内における樹脂温度は、EVOHのエチレン含有量などによって異なるが、130〜270℃であることが好ましい。樹脂温度が130℃未満の場合は、EVOH樹脂が完全に溶融しないおそれがある。好適には160℃以上であり、より好適には180℃以上である。また、樹脂温度が270℃を超える場合は、EVOHが熱劣化を受けやすくなる。好適には250℃以下であり、より好適には240℃以下である。かかる樹脂温度の調整方法は特に限定されないが、押出機内シリンダーの温度を好適に設定する方法が特に好ましい。ここで、樹脂温度とは、押出機シリンダーに設置した温度センサーにより検出した温度を表わし、検出個所は押出機先端部吐出口付近である。
工程4の押出機内でカルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することも可能である。前記添加剤はそれぞれ単独で添加することも可能であるが、実施態様に応じて複数を同時に添加してもよい。これらの成分のそれぞれの添加効果、および好適な添加量は、既に工程2で得られたEVOH含水組成物ペレットを処理するところの記載で述べた通りである。
工程4において前記添加剤の添加形態は特に限定されない。押出機内に乾燥粉末として添加する方法、溶媒を含浸させたペースト状で添加する方法、液体に懸濁させた状態で添加する方法、溶媒に溶解させて溶液として添加する方法などが例示されるが、添加量の制御や、EVOH樹脂中に前記添加剤を均質に分散させる観点からは、前記添加剤を溶媒に溶解させて溶液として添加する方法が特に好適である。かかる溶媒は特に限定されないが、前記添加剤の溶解性、コスト的なメリット、取り扱いの容易性、作業環境の安全性などの観点から水が好適である。また、添加方法としては、前記添加剤を1箇所または2箇所以上から押出機に添加することが好ましい。
前記添加剤を添加する方法としては、前述のように工程2で得られた含水組成物ペレットを水溶液に接触させる方法でもよいし、工程4において押出機内で添加する方法でもよい。また、工程2で得られたペレットを水溶液に接触させて特定の添加剤を添加した後で、さらに工程4において押出機内で他の添加剤を添加することも好ましい。
工程2で得られたペレットを水溶液に接触させて添加剤を添加する方法は、ペレット中への添加剤の分散性に優れている。また、この方法によってカリウム塩を添加する場合にはケン化触媒残渣であるナトリウム塩をペレットから効率的に除去することもできる。しかしながら、この方法では添加量の制御が必ずしも容易ではなく、使用後の水溶液の廃水処理も必要となる。一方、工程4において押出機内で添加する方法は、水溶液槽が不要であるし、添加量を制御することも容易である。しかしながら、ホウ酸などを添加する場合においては分散性が悪くなることがある。従って、添加剤の性質や製造するEVOHペレットに要求される性能などに応じて適当な添加操作を選択する必要がある。
工程5において、押出機から吐出されたEVOH樹脂をペレット化する方法は特に限定されないが、前記樹脂をダイスからストランド状に押出し、冷却してから適切な長さにカットする方法が例示される。冷却方法は特に限定されないが、水などの低温の液体に短時間接触させる方法や冷風を吹付ける方法が採用される。水に接触させてから切断する場合には、切断後のペレットの表面に付着した水分を除去する操作を施した方がよい場合があり、エアブローによって付着水を除去したり、乾燥機中で短時間乾燥したりしてもよい。ペレットの取り扱いの容易性の観点から、ダイスの口径は2〜5mmφが好適であり、ストランドを1〜5mm程度の長さでカットすることが好ましい。こうして形状の整ったペレットを得ることができ、各種成形に供する際に押出し安定性に優れる。また、溶融状態で切断するホットカット方式または水中カット方式も採用することができる。
上記の方法で得られたEVOHペレットに、重合度、エチレン含有量およびケン化度の異なるEVOHをブレンドし溶融成形することも可能である。また、該ペレットに他の各種可塑剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補強剤などを適量添加することも可能である。
こうして得られたEVOHペレットは、溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維など、各種の成形体に成形され、各種包装用途に用いられる。本発明で得られるEVOHペレットは熱劣化を受けにくいので着色の少ない成形品を得ることができる。なかでもフィルムは、長時間の成形を行う場合が多く、しかもロングラン成形において問題となりやすいゲルやブツが外観上の問題として顕在化しやすいことから、本発明のEVOHペレットを使用するのに適した用途である。
第2の発明は、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程;及び
前記EVOH含水組成物を、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;
を有することを特徴とするEVOH樹脂の製造方法である。
このようなEVOH樹脂の製造方法においては、作業環境や周辺環境にアルコールを揮発させることなくEVOH溶液からアルコールを除去することができ、しかも、作業環境や周辺環境にカルボン酸を揮発させることなく、EVOHペレットを乾燥することができる。すなわち、環境付加の少ないEVOH樹脂の製造方法を提供することができる。また、カルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることによって、得られるEVOH樹脂の溶融安定性が向上し、ロングラン性が改善される。
第2の発明において、EVOHの組成やその製造方法などは第1の発明と同様である。また、EVOH100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するEVOH溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、EVOH100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するEVOH含水組成物を前記装置から導出する工程は、第1の発明における工程1と同じ方法を採用することができる。
こうして得られたEVOH含水組成物を、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる方法は特に限定されない。第1の発明と同様に、EVOH含水組成物を切断して、EVOHペレットを得てから炭酸ガスを含有する水溶液と接触させても構わないし、ペレット化することなく、溶融状態のままで、例えば押出機中で接触させても構わない。通常は、第1の発明の工程2と同様に、前記装置から導出されたEVOH含水組成物を切断してEVOH含水組成物ペレットを得てから、当該EVOH含水組成物ペレットを炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることが好ましい。
炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することも好ましい。これによって、これら各種の添加剤を添加する様々な効果を得ることができる。これらの添加剤の種類、添加方法あるいは添加量などは、第1の発明で説明したとおりである。ただし、作業環境や周辺環境にカルボン酸を揮発させることがない、という本発明の効果を奏するためには、カルボン酸を含まないほうが好ましく、この点については、第1の発明と相違する。
炭酸ガスを含有する水溶液に接触させた後は、第1の発明の工程3で説明したような方法によって、乾燥機中で乾燥しても構わない。ここで含水率が1%以下になるまで乾燥して乾燥EVOHペレットを得て、そのまま各種の成形操作に供しても構わないし、さらに溶融混練してからペレット化しても構わない。
また、前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させたEVOH含水組成物を、必要に応じて乾燥してから、押出機内で溶融混練することも好ましい。この場合の溶融混練の方法は、第1の発明の工程4において説明したのと同様である。したがって、押出機内でホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することもできるが、カルボン酸は添加しないほうが好ましい。
溶融混練した後で、押出機から吐出されたEVOHを切断して、EVOHペレットを得ることも好ましい。この場合のペレット化の方法は、第1の発明の工程5において説明したのと同様である。
得られたEVOHペレットの用途は第1の発明で説明したのと同様である。
また、第3の発明は、EVOHを、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;及び
前記水溶液と接触させたEVOHを押出機内で溶融混練する工程;
を有することを特徴とするEVOH樹脂の製造方法である。
このようなEVOH樹脂の製造方法においては、カルボン酸を含有する水溶液と接触させる代わりに炭酸ガスを含有する水溶液と接触させるので、その後に押出機内で溶融混練する際に、カルボン酸が揮発しない。これによって、カルボン酸含有量の変動に由来する樹脂品質の低下が防止でき、周辺環境に与える負荷も小さいEVOH樹脂の製造方法を提供することができる。また、カルボン酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることによって、得られるEVOH樹脂の溶融安定性が向上し、ロングラン性が改善される。
第3の発明において、EVOHは、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られるが、その組成や製造方法などは第1の発明で説明したのと同様である。ケン化後のEVOHは、そのアルコール溶液又は水/アルコール混合溶液を水又は水/アルコール溶液中に析出させて切断してペレット化しても構わないし、第1の発明の工程1及び工程2と同様の方法によってペレット化しても構わない。ペレット化を行わずに溶融状態のままで炭酸ガスを含有する水溶液と接触させることも可能であるが、EVOHペレットを炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる方が好適である。
前記炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することも好ましい。これによって、これら各種の添加剤を添加する様々な効果を得ることができる。これらの添加剤の種類、添加方法あるいは添加量などは、第1の発明で説明したとおりである。ただし、作業環境や周辺環境にカルボン酸を揮発させることがない、という本発明の効果を奏するためには、カルボン酸を含まないほうが好ましい点については、第1の発明と相違する。
炭酸ガスを含有する水溶液に接触させたEVOHを押出機内で溶融混練する。このとき、予め乾燥してから押出機に供給しても構わないし、乾燥することなく押出機に供給しても構わない。溶融混練する方法は、第1の発明の工程4において説明したのと同様である。このとき、押出機内でホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加することも好ましい。しかしながら、カルボン酸は添加しないほうが好ましい。
溶融混練した後で、押出機から吐出されたEVOHを切断して、EVOHペレットを得ることも好ましい。この場合のペレット化の方法は、第1の発明の工程5において説明したのと同様である。
得られたEVOHペレットの用途は第1の発明で説明したのと同様である。
第1図は、本発明で使用されるホットカッターの構成の例を示す図である。第2図は実施例1の工程の該略図である。第3図は実施例4の工程の該略図である。第4図は実施例1と比較例1のEVOH含水組成物ペレットの乾燥曲線である。
図中の番号の説明は以下のとおりである。
1 EVOH含水組成物の供給口
2 ダイ
3 回転刃
4 回転軸
5 カッター箱
6 冷却水供給口
7 冷却水
8 水膜
9 ペレット排出口
10 冷却水およびペレット
11 棚段塔
12 EVOH溶液供給用配管
13 水蒸気供給用配管
14 気体排出用配管
15 凝縮器
16 含水組成物排出用配管
17 ニーダ
18 液排出口
19 ホットカッター
20 洗浄容器
21 酸処理容器
22、23 熱風乾燥機
24 二軸押出機
25 ペレット仕込みホッパー
26 ベント口
27 ダイス
28 添加剤供給口
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下「%」、「部」とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。尚、水はすべてイオン交換水を使用した。
(1)固有粘度
試料とする乾燥EVOHペレット0.20gを精秤し、これを含水フェノール(水/フェノール=15/85重量%)40mLに60℃にて4時間加熱溶解させ、温度30℃にて、オストワルド型粘度計にて測定し(t0=90秒)、下式により固有(極限)粘度[η]を求めた。
[η]=(2×(ηsp−1nηrel))1/2/C (l/g)
ηsp=t/t0−1 (specific viscosity)
ηrel=t/t0 (relative viscosity)
C :EVOH濃度(g/l)
・t0:ブランク(含水フェノール)が粘度計を通過する時間
・t:サンプルを溶解させた含水フェノール溶液が粘度計を通過する時間
(2)EVOHペレットの含水率の測定
METTLER社製HR73ハロゲン水分率分析装置を用いて、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件でEVOHペレットの含水率を測定した。
(3)アルカリ金属塩の定量
凍結粉砕により粒径1mm以下に粉砕した、乾燥EVOHペレットの粉末10gと0.01規定の塩酸水溶液50mLを100mL共栓付き三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で10時間撹拌、加熱抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。前記の希釈された抽出液を、(株)横河電機製イオンクロマトグラフィーIC7000を用いて定量分析し、Na及びKイオンの量を定量した。なお、定量に際してはそれぞれ塩化ナトリウム水溶液及び塩化カリウム水溶液を用いて作成した検量線を用いた。こうして得られたNa及びKイオンの量から、乾燥EVOHペレットに含まれるアルカリ金属塩の量を金属元素換算値で得た。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :(株)横河電機製のICS−C25
溶離液 :5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液
測定温度 :40℃
溶離液流速 :1mL/min
サンプル打ち込み量:50μL
(4)95℃の水に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C1)の定量
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z−8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で10時間撹拌、抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。前記の希釈された抽出液を、(株)横河電機製イオンクロマトグラフィーIC7000を用いて定量分析し、カルボン酸(酢酸)イオンの量を定量し、カルボン酸根(C1)を得た。なお、定量に際しては酢酸水溶液を用いて作成した検量線を用いた。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :(株)横河電機製 SCS5−252
溶離液 :0.1%リン酸水溶液
測定温度 :40℃
溶離液流速 :1mL/min.
サンプル打ち込み量:50μL
(5)95℃の0.05規定の水酸化ナトリウム水溶液に10時間浸漬処理して抽出されるカルボン酸根(C2)の定量
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z−8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末10gと0.05規定の水酸化ナトリウム水溶液50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で10時間撹拌しながら加熱抽出した。得られた抽出液2mLにイオン交換水7mLを加えて希釈し、さらに、0.1規定のリン酸水溶液を1mL加えて分析用試料液を調整した。前記の希釈された抽出液に含まれるカルボン酸イオンの量を、(株)横河電機製イオンクロマトグラフィーIC7000を用いて定量分析し、カルボン酸(酢酸)イオンの量を定量し、カルボン酸根(C2)を得た。なお、定量に際しては酢酸を0.05規定の水酸化ナトリウム水溶液で希釈した溶液2mLに、イオン交換水7mLを加え、さらに0.1規定リン酸水溶液1mL加えて作製した検量線用試料液で作成した検量線を用いた。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :(株)横河電機製 SCS5−252
溶離液 :0.1%リン酸水溶液
測定温度 :40℃
溶離液流速 :1mL/min.
サンプル打ち込み量:50μL
(6)ホウ素化合物の定量
試料とする乾燥EVOHペレット50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ、得られた燃焼灰分を1mol/L硝酸水溶液10mLに溶解させた。前記溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分析装置IRIS AP)によりホウ素化合物の含有量をホウ素元素換算値で得た。
(7)リン酸根含有量(D1)
乾燥EVOHペレット又は単層フィルムを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z−8801準拠)でふるい分けした。上記のふるいを通過したEVOH粉末10gと0.01規定の塩酸水溶液50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で4時間撹拌、抽出した。得られた抽出液を、(株)横河電機製イオンクロマトグラフィーIC7000を用いて定量分析し、リン酸イオンの量を定量しリン酸根含有量(D1:μmol/g)を得た。なお、定量に際してはリン酸二水素ナトリウム水溶液を用いて作成した検量線を用いた。
イオンクロマトグラフィー測定条件:
カラム :(株)横河電機製 ICS−A23
溶離液 :2.5mM炭酸ナトリウムと1.0mM炭酸水素ナト
リウムを含む水溶液
測定温度 :40℃
サンプル打ち込み量:50μL
(8)リン元素含有量(D2)
溶融成形後の単層フィルム50mgを酸素フラスコ燃焼法により完全燃焼させ得られた燃焼灰分を1mol/Lの硝酸水溶液10mLに溶解させた。該溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分析装置「IRIS AP」)によりリン元素含有量(t:μmol/g)を得た。
(9)単層製膜試験
得られた乾燥EVOHペレットを(株)東洋精機製作所製20mm押出機D2020(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて単層製膜を以下の条件で行い、単層フィルムを得た。
押出温度:C1/C2/C3/Die=175/200/220/220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量 :1.3kg/hr
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/min
フィルム厚み :20μm
(9−a)耐着色性
上記方法で作製された単層フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で以下のように判定した。
判定:基準
A:着色なし
B:やや黄変
C:黄変
(9−b)72hr−ロングラン性
単層製膜開始から72時間後のフィルムをサンプリングし、フィルム中のゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数えた。
ブツの個数を、1.0mあたりの個数に換算し、以下のように判定した。
判定:基準
A:20個未満
B:20個以上40個未満
C:40個以上
(9−c)96hr−ロングラン性
単層製膜開始から96時間後のフィルムをサンプリングし、フィルム中のゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数えた。
ブツの個数を、1.0mあたりの個数に換算し、以下のように判定した。
判定:基準
A:20個未満
B:20個以上40個未満
C:40個以上
(9−d)120hr−ロングラン性
単層製膜開始から120時間後のフィルムをサンプリングし、フィルム中のゲル状ブツ(肉眼で確認できる約100μm以上のもの)を数えた。
ブツの個数を、1.0mあたりの個数に換算し、以下のように判定した。
判定:基準
A:20個未満
B:20個以上40個未満
C:40個以上
工程の概略を第2図に示す。エチレン含有量32モル%、ケン化度99.98モル%以上(NMR法により算出)のEVOH(固有粘度:0.111L/g)100重量部に対し、メタノール100重量部、水50重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で2重量部を含むEVOH溶液を、EVOH溶液供給用配管12から塔径0.3m、段数10段の棚段塔11の最上段に52kg/hrで連続的に供給し、水蒸気供給用配管13から該棚段塔の最下段に水蒸気を86kg/hrで吹き込んでEVOH溶液と水蒸気を該棚段塔内で向流で接触させた。塔内の温度は130℃、塔内の圧力は3kg/cmであった。該棚段塔の塔頂部から気体排出用配管14を通してメタノール蒸気と水蒸気を留去し、これらは凝縮器15で凝縮してメタノール水溶液として回収した。また該棚段塔の塔底部から含水組成物排出用配管16を通してEVOH含水組成物を連続的に抜き出した。このEVOH含水組成物は、EVOH100重量部に対し、メタノール0.05重量部、水105重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で2重量部を含むものであった。
次に、このEVOH含水組成物を、液排出口18を有する口径50mm、長さ660mm(L/D=13.2)のニーダ17へ41kg/hrで供給した。この時のスクリューの回転数は100rpmとした。吐出口から得られたEVOH含水組成物は、EVOH100重量部に対し、メタノール0.03重量部、水48重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で1.2重量部を含むものであり、温度は118℃であった。続いて、このEVOH含水組成物を孔径3mm、6個の孔を有するダイスから押出し、ダイスからの距離が0.05mmのところで、4枚の刃を有するホットカッター19で切断し、含水ペレットを得た。カッター刃の回転数は1200rpmであった。
このようにして得られた含水ペレット3kgおよびイオン交換水40Lを、高さ470mm、開径420mmのプラスチック製の洗浄容器20に入れ、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。次に、3kgの含水ペレットに対して40Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水ペレット3kgに対して40Lのイオン交換水を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を6回繰り返した。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度をMETER製CM−30ETで測定した結果、前記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られた含水ペレットの含水率は32重量%であった。
次に、イオン交換水40Lを高さ470mm開径420mmのプラスチック製の酸処理容器21に入れた。前記の容器中のイオン交換水中にシリコンチューブ(内径7mm、外径10mm)を投入し、0.5時間、8L/minの速度でバブリングして炭酸ガスを吹き込んだ。なお、炭酸ガスの供給は、炭酸ガスボンベ(日本炭酸株式会社製 液化炭酸ガス30kg)および流量計(KOFLOC製Model RK−1600R)を用いて行った。前記の炭酸ガスが吹き込まれた水に、炭酸カリウム8.0gを溶解させ、さらに1時間、8L/minの速度で炭酸ガスの吹込みを続けた。前記処理液の炭酸カリウム含有量は0.2g/Lであった。また、炭酸ガスを1時間吹き込んだ後の前記処理液のpHを、pHメーター(METTLER社製 MA235)を用いて測定したところ、前記処理液のpHは5.2であった。
次に、吹き込み速度8L/minで炭酸ガスの吹き込みを続けながら、前記処理液に上記含水ペレット3kgを投入し、25℃で4時間浸漬して攪拌を行った。また、処理開始から処理終了までの間、1時間ごとに前記処理液のpHの測定したところ、いずれの測定時においても前記処理液のpHは5.2のままであり、変動しなかった。このことから、炭酸ガスがほぼ飽和状態で溶解しているものと推定された。その後、得られたペレットを直ちに脱液し、65℃にて1時間、静置型熱風乾燥機22(ASAHI KAGAKU製 SP100型熱風乾燥機)で乾燥を行い、引き続き80℃にて40分間静置型熱風乾燥機23(TABAI ESPEC製SPHH−401型熱風乾燥機)で乾燥した。得られた含水ペレットの含水率は4.5%であった。
得られた含水ペレットを、ホッパー25から二軸押出機24に連続的に供給して溶融混練し、押出機の4番シリンダー(C4)の位置に設けたベント口26から真空ポンプにより脱気し、ダイス27から吐出した。二軸押出機24の運転中は、ホッパー25に窒素を連続的に供給し、ホッパー25内の雰囲気が常時窒素に満たされた状態になるようにした。溶融混練条件を以下に示す。
二軸押出機((株)東洋精機製作所製)の仕様
形式: 二軸押出機
L/D: 25
口径: 26mmφ
スクリュー: 同方向完全噛合型
ダイスホール数:2ホール(3mmφ)
混練条件
回転数: 150rpm
押出温度: C1/C2/C3/C4/C5/Die
=150/210/210/210/210/210℃
吐出量: 2.0kg/hr
ベント減圧力: −0.1MPa(ゲージ圧)
ダイス27から吐出されたストランド状のEVOHは、吐出直後に30℃の水が満たされた水浴中に導かれ、約1秒間だけ水に接触させて冷却した。その後ガイドローラーで導きながら空中を1m程度引き取り、ストランドカッターで切断した。得られたペレットの寸法は直径が約2mmで、長さが約3mmであった。水に接触させた時間が極めて短時間であったため、ペレットの表面には水分は付着しておらず、含水率は0.13重量%であった。したがって、乾燥処理を施す必要はなかった。得られたペレットに含まれるアルカリ金属塩はカリウム塩であり、アルカリ金属塩の含有量は金属元素換算で61ppm(1.6μmol/g)であった。また、カルボン酸根(C1)は0μmol/g、カルボン酸根(C2)は0.6μmol/gであった。
得られたペレットを用いて、上述の方法に従って単層フィルムを作製し、耐着色性およびロングラン性の試験を実施した。本実施例のEVOHの耐着色性、72時間ロングラン性および96時間のロングラン性の評価結果はいずれもA判定であった。EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液の処方を表1に、得られた乾燥EVOHペレットの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれまとめて示す。
また、本実施例1の工程2で切断して得られたEVOH含水組成物ペレットと、EVOH溶液をストランド状に析出させて切断して得たEVOH含水組成物ペレット(比較例1で使用)との乾燥曲線を第4図に示す。これは、横軸に乾燥時間、縦軸に含水率の対数をプロットしたものである。乾燥開始から1時間は65℃で静置型熱風乾燥機(ASAHI KAGAKU製 SP100型熱風乾燥機)で乾燥を行い、引き続き80℃にて静置型熱風乾燥機(TABAI ESPEC製 SPHH−401型熱風乾燥機)での乾燥を継続し、1時間ごとに含水率を測定したものである。本発明のEVOH含水組成物ペレットが、EVOH溶液をストランド状に析出させて切断して得たEVOH含水組成物ペレットに比べて乾燥速度が早く、低温での乾燥においても迅速に含水率を低下させることができることがわかる。
洗浄後の含水ペレットを浸漬する炭酸ガス含有処理液の組成を、表1に示すように変更することを除いては、実施例1と同様にして乾燥EVOHペレットを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。工程3で乾燥した後のペレットの含水率は4.5重量%であり、工程5で切断した後のペレットの含水率は0.12重量%であった。乾燥EVOHペレットの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
洗浄後の含水ペレットを浸漬する炭酸ガス含有処理液の組成を、表1に示すように変更することと、二軸ペレット化前乾燥条件を65℃にて1時間、静置型熱風乾燥機22(ASAHI KAGAKU製 SP100型熱風乾燥機)で乾燥を行い、引き続き80℃にて1時間40分間、静置型熱風乾燥機23(TABAI ESPEC製SPHH−401型熱風乾燥機)で乾燥したことを除いては、実施例1と同様にして乾燥EVOHペレットを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。工程3で乾燥した後のペレットの含水率は0.6重量%であり、工程5で切断した後のペレットの含水率は0.14重量%であった。乾燥EVOHペレットの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
工程の概略を第3図に示す。エチレン含有量32モル%、ケン化度99.98モル%以上(NMR法により算出)のEVOH(固有粘度:0.085L/g)100重量部に対し、メタノール100重量部、水50重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で2重量部を含むEVOH溶液を、EVOH溶液供給用配管12から塔径0.3m、段数10段の棚段塔11の最上段に52kg/hrで連続的に供給し、水蒸気供給用配管13から該棚段塔の最下段に水蒸気を86kg/hrで吹き込んでEVOH溶液と水蒸気を該棚段塔内で向流で接触させた。塔内の温度は130℃、塔内の圧力は3kg/cmであった。該棚段塔の塔頂部から気体排出用配管14を通してメタノール蒸気と水蒸気を留去し、これらは凝縮器15で凝縮してメタノール水溶液として回収した。また該棚段塔の塔底部から含水組成物排出用配管16を通してEVOH含水組成物を連続的に抜き出した。このEVOH含水組成物は、EVOH100重量部に対し、メタノール0.05重量部、水105重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で2重量部を含むものであった。
次に、このEVOH含水組成物を、液排出口18を有する口径50mm、長さ660mm(L/D=13.2)のニーダ17へ41kg/hrで供給した。この時のスクリューの回転数は100rpmとした。吐出口から得られたEVOH含水組成物は、EVOH100重量部に対し、メタノール0.03重量部、水48重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で1.2重量部を含むものであり、温度は104℃であった。続いて、このEVOH含水組成物を孔径3mm、6個の孔を有するダイスから押出し、ダイスからの距離が0.02mmのところで、4枚の刃を有するホットカッター19で切断し、含水ペレットを得た。カッター刃の回転数は1200rpmであった。
このようにして得られた含水ペレット15kgおよびイオン交換水140Lを、高さ880mm、開径590mmのステンレス製の洗浄容器20に入れ、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。次に、15kgの含水ペレットに対して140Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水ペレット15kgに対して140Lのイオン交換水を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を6回繰り返した。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度をMETER製CM−30ETで測定した結果、前記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られた含水ペレットの含水率は32重量%であった。
イオン交換水140Lを高さ880mm開径590mmのステンレス製の酸処理容器21に入れて、炭酸水素カリウム1.4gを溶解させた。処理液の炭酸水素カリウム含有量は0.01g/Lであった。次に、前記処理液にドライアイス2.5kgおよび上記含水ペレット15kgを投入し、4時間浸漬して攪拌を行った。また、処理開始から2時間後にドライアイス2.5kgを追加投入し、処理終了までの間、処理液のpHを4.5以下に保った。その後、得られたペレットを直ちに脱液し、65℃にて1時間、静置型熱風乾燥機22(ASAHI KAGAKU製 SP100型熱風乾燥機)で乾燥を行い、引き続き80℃にて25分間静置型熱風乾燥機23(TABAI ESPEC製 SPHH−401型熱風乾燥機)で乾燥した。得られた含水ペレットの含水率は9.9%であった。
得られた含水ペレットを、ホッパー25から二軸押出機24に連続的に供給した。EVOHの単位時間当たりの吐出量は10kg/hrであった。押出機の7番シリンダー(C7)の位置に設けた添加剤供給口28より、ホウ酸、炭酸水素カリウム及びリン酸水素二カリウムを含有する処理液を添加した。処理液は、ホウ酸を4.2g/L、炭酸水素カリウムを0.57g/L、及びリン酸水素二カリウムを0.81g/L含有する水溶液であり、単位時間当たりの投入量は2.5L/hrであった。押出機の11番シリンダー(C11)の位置に設けたベント口26から真空ポンプにより脱気し、ダイス27から吐出した。二軸押出機24の運転中は、ホッパー25に窒素を連続的に供給し、ホッパー25内の雰囲気が常時窒素に満たされた状態になるようにした。
二軸押出機((株)日本製鋼所製)の仕様及び溶融混練条件を以下に示す。
形式: 二軸押出機
L/D: 45.5
口径: 47mmφ
スクリュー: 同方向完全噛合型
回転数: 200rpm
押出温度: C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/Die
=80/80/80/160/160/160/160/200/200/200/220/220/220/220℃
吐出量: 10kg/hr
ベント減圧力: −0.1MPa(ゲージ圧)
ダイスホール数:5ホール(φ3mm)
ダイス27から吐出されたストランド状のEVOHは、吐出直後に30℃の水が満たされた水浴中に導かれ、約1秒間だけ水に接触させて冷却した。その後ガイドローラーで導きながら空中を5m程度引き取り、ストランドカッターで切断した。得られたペレットの寸法は直径が約2mmで、長さが約3mmであった。水に接触させた時間が極めて短時間であったため、ペレットの表面には水分は付着しておらず、含水率は0.2重量%であった。従って、乾燥処理を施す必要はなかった。
得られたペレットに含まれるアルカリ金属塩はカリウム塩であり、アルカリ金属塩の含有量は金属元素換算で131ppm(3.4μmol/g)であった。カルボン酸根(C1)は0μmol/g、カルボン酸根(C2)は0.6μmol/gであった。また、ホウ素化合物の含有量はホウ素元素換算値で150ppm(14μmol/g)であり、リン酸根含有量(D1)は102ppm(1.1μmol/g)であった。
得られたペレットを用いて、上述の方法に従って単層フィルムを作製し、耐着色性およびロングラン性の試験を実施した。本実施例のEVOHの耐着色性、72時間ロングラン性および96時間のロングラン性の評価結果はいずれもA判定であった。また、得られた単層フィルムのリン酸根含有量(D1)は0.1μmol/gであり、リン元素含有量(D2)は1.1μmol/gであった。得られた乾燥EVOHペレット及び単層フィルムの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれまとめて示す。
比較例1
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.98モル%(NMR法により算出)のEVOH(固有粘度:0.111L/g)100重量部に対し、メタノール100重量部、水50重量部および酢酸ナトリウムをナトリウム換算で2重量部を含むEVOH溶液に、さらに水20重量部を加えた後、80℃で溶解させた。得られたEVOH溶液を、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(重量比:水/メタノール=9/1)中に押し出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水ペレットを得た。
このようにして得られた含水ペレット3kgおよびイオン交換水40Lを、高さ470mm、開径420mmのプラスチック製容器に入れ、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。次に、3kgの含水ペレットに対して40Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水ペレット3kgに対して40Lのイオン交換水を加え、25℃で2時間攪拌しながら洗浄しては脱液する操作を6回繰り返した。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度をMETER製CM−30ETで測定した結果、前記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られたEVOHペレットの含水率は48重量%であった。
次に、イオン交換水40Lを高さ470mm開径420mmのプラスチック製の容器に入れた。前記の容器中のイオン交換水中にシリコンチューブ(内径7mm、外径10mm)を投入し、0.5時間、8L/minの速度でバブリングして炭酸ガスを吹き込んだ。なお、炭酸ガスの供給は、炭酸ガスボンベ(日本炭酸株式会社製 液化炭酸ガス30kg)および流量計(KOFLOC製 Model RK−1600R)を用いて行った。前記の炭酸ガスが吹き込まれた水に、炭酸カリウム2.4gを溶解させ、さらに1時間、8L/minの速度で炭酸ガスの吹込みを続けた。前記処理液の炭酸カリウム含有量0.06g/Lであった。
次に、吹き込み速度8L/minで炭酸ガスの吹き込みを続けながら、前記処理液に上記含水ペレット3kgを投入し、25℃で4時間浸漬して攪拌を行った後、得られた含水ペレットを直ちに脱液し、80℃にて3時間、引き続き107℃にて24時間熱風乾燥(TABAI ESPEC製 SPHH−401型熱風乾燥機)を行い、含水率が0.15%の乾燥ペレットを得た。得られた乾燥ペレットを用いて、実施例1と同様に各種の評価を行った。得られた乾燥EVOHペレット中のアルカリ金属塩はカリウムであり、アルカリ金属塩の含有量は金属元素換算で62ppm(1.6μmol/g)であった。EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液の処方を表1に、得られた乾燥EVOHペレットの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれまとめて示す。実施例1〜4と同程度の含水率まで乾燥させるのに、高温でしかも長時間を要していることがわかる。
比較例2
比較例1と同様にして得られた洗浄後の含水ペレット3kgを酢酸0.56g/L及び、酢酸ナトリウム0.6g/Lを含有する40Lの水溶液に、浸漬して攪拌した。なお容器は、実施例1と同様に、高さ470mm、開径420mmのプラスチック製の容器を用いた。その後脱液し、80℃にて3時間、引き続き107℃にて24時間熱風乾燥(TABAI ESPEC製 SPHH−401型熱風乾燥機)を行い、含水率が0.15%の乾燥EVOHペレットを得た。得られた乾燥ペレットを用いて、実施例1と同様に各種の評価を行った。EVOH含水組成物ペレットを浸漬する水溶液の処方を表1に、得られた乾燥EVOHペレットの組成を表2に、評価結果を表3にそれぞれまとめて示す。実施例1〜4と同程度の含水率まで乾燥させるのに、高温でしかも長時間を要していることがわかる。また、酢酸を含有する水溶液にペレットを浸漬した本比較例では、酢酸の代わりに炭酸ガスを含有する水溶液にペレットを浸漬した実施例1〜4及び比較例1に比べて、単層製膜試験におけるロングラン性が悪化していることがわかる。
Figure 0004294586
Figure 0004294586
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本発明のEVOHペレットの製造方法によれば、作業環境、周辺環境を悪化させることなく効率的にアルコールを除去することができ、そうして得られたEVOH含水組成物中の水分を効率よく除去でき、しかも水分の除去に際しての熱劣化が少なく、形状の整ったペレットを得ることができる。

Claims (25)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、エチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を前記装置から導出する工程(工程1);
    工程1で前記装置から導出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を切断して、エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを得る工程(工程2);
    工程2で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを乾燥機に導入して、該ペレットの含水率を低下させる工程(工程3);
    工程3で含水率を低下させたペレットを押出機内で溶融混練する工程(工程4);及び
    工程4で押出機から吐出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体を切断して、エチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットを得る工程(工程5);
    を有することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  2. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が3〜70モル%、ケン化度が80モル%以上である請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  3. 前記アルコールがメタノールである請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  4. 工程1において、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を容器に導入し、前記容器内で水蒸気と接触させて前記アルコールを水蒸気とともに導出し、エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を前記容器から導出する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  5. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を塔型容器内に連続的に導入し、容器内で水蒸気と接触させる請求項4記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  6. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を塔上部から導入し、水蒸気を塔下部から導入し、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体溶液と水蒸気とを向流接触させた後、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を塔下部から導出し、前記アルコールを水蒸気とともに塔上部から導出する請求項5記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  7. 工程2において、エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を溶融状態で切断する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  8. 工程2において切断して得られた前記ペレットを洗浄液に浸漬し、ケン化触媒残渣を除去してから工程3の前記乾燥機に供給する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  9. 工程2において切断して得られた前記ペレットを、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、ペレットに前記添加剤を添加してから工程3の前記乾燥機に供給する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  10. 工程3において、前記乾燥機中のペレットの温度が40〜150℃である請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  11. 工程3において、ペレットの含水率を10重量%以下まで低下させる請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  12. 工程4において、溶融混練した後に押出機から吐出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体の含水率が1重量%以下である請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  13. 工程4において、前記押出機内で、溶融樹脂から水分を除去する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  14. 工程4において、前記押出機内で、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  15. 工程2において切断して得られた前記ペレットを、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する水溶液に浸漬し、ペレットに前記添加剤を添加してから工程3の前記乾燥機に供給し、さらに、工程4において、前記押出機内で、カルボン酸、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  16. 工程5において、押出機から吐出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体を冷却してから切断する請求項1記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
  17. エチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、沸点が100℃以下のアルコールを50重量部以上含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液を装置に導入し、前記装置内で水と接触させて前記アルコールを水とともに導出し、エチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、前記アルコールを0〜10重量部、水を10〜1000重量部含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を前記装置から導出する工程;及び
    前記エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;
    を有することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  18. 前記装置から導出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を切断してエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを得てから、該エチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物ペレットを前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる請求項17記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  19. 前記炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する請求項17記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  20. 前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させたエチレン−ビニルアルコール共重合体含水組成物を、押出機内で溶融混練する工程を有する請求項17記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  21. エチレン−ビニルアルコール共重合体を、炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる工程;及び
    前記水溶液と接触させたエチレン−ビニルアルコール共重合体を押出機内で溶融混練する工程;
    を有することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  22. エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるペレットを前記炭酸ガスを含有する水溶液と接触させる請求項21記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  23. 前記炭酸ガスを含有する水溶液が、さらにホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有する請求項21記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  24. 前記押出機内で、ホウ素化合物、リン酸化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する請求項21記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂製造方法。
  25. 前記押出機から吐出されたエチレン−ビニルアルコール共重合体を切断して、エチレン−ビニルアルコール共重合体ペレットを得る請求項21記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
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