JP6364404B2 - ペリクル、及びこれらを含むeuv露光装置 - Google Patents

ペリクル、及びこれらを含むeuv露光装置 Download PDF

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Description

本発明は、ペリクル、およびこれを含むEUV露光装置に関する。
半導体デバイスの高集積化及び微細化は、年々加速している。現在では、エキシマ露光にて線幅45nm程度のパターンが形成されている。しかし近年、半導体のさらなる微細化に伴い、線幅32nm以下のパターンの形成が求められている。このような微細加工は、従来のエキシマ露光では対応が難しい。そこで、露光光をより短波長のEUV(極端紫外光:Extreme Ultra Violet)に替えることが検討されている。
EUVは、あらゆる物質に吸収されやすい特性を有する。そこで、EUVリソグラフィー法では、反射光学系で露光を行う。具体的には、露光パターンが反映された原版にてEUVを反射させ、レジストを露光する。この際、原版に異物が付着していると、EUVが異物に吸収されたり、EUVが散乱するため、所望のパターンに露光されない。そこで、原版のEUV照射面をペリクルで保護することが検討されている。
一方、EUVリソグラフィーでは、EUV光源で発生する飛散粒子(デブリ)が、露光装置を汚染することが知られている。飛散粒子(デブリ)が光学系に付着したり、EUV反射面を削ったりすると、EUVの照射効率が低下する。また、飛散粒子(デブリ)が原版に付着すると、前述のように、レジストが所望のパターンに露光されない。そこで、EUV照射装置内に、飛散粒子(デブリ)を捕捉するためのフィルター・ウィンドウを設置することも検討されている。
前述のペリクル膜やフィルター・ウィンドウには、(1)EUVに対して高い透過性を有すること、(2)EUV照射によって分解・変形しないことが求められる。このような要求を満たすペリクル膜やフィルターとして、単結晶シリコンからなる膜(特許文献1及び2)、金属メッシュ上に積層された窒化アルミニウム膜(特許文献3)、グラフェン膜(特許文献4)等が提案されている。
特開2010−256434号公報 特開2009−116284号公報 特開2005−43895号公報 国際公開第2011/160861号公報
ペリクル膜にEUVが照射されると、そのエネルギーの一部がペリクル膜に吸収される。そして、膜に吸収されたEUVのエネルギーは、様々な緩和過程を経て熱に変換される。したがって、EUV露光時には、ペリクル膜の温度が上昇する。そこで、ペリクル膜には高い放熱性や耐熱性も求められる。しかし、前述の単結晶シリコン膜は放熱性が低く、さらに融点も低い。そのため、EUV照射時に膜がダメージを受け易いという問題があった。さらに、単結晶シリコン膜は、製造工程が煩雑であり、高価であるという難点もあった。
また、特許文献3の窒化アルミニウム膜はEUV透過率が低いため、高いEUV透過率を要求されるリソグラフィー用途には適していなかった。また、特許文献4のグラフェン膜は、サイズの小さい(通常100〜1000nm程度)結晶の集合体である。そのため、膜が脆く、膜の耐久性が不十分であった。また、このようなグラフェンを多数積層しても、十分な強度が得られ難かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、EUV透過性及び耐熱性が高く、さらに耐久性にも優れる膜を有するペリクルを提供することを目的とする。
即ち、本発明の第一は、以下のペリクルに関する。
[1]波長550nmの光の屈折率nが1.9〜5.0であるペリクル膜と、前記ペリクル膜が貼り付けられたペリクル枠と、を有するペリクルであって、前記ペリクル膜は、組成中に炭素を30〜100モル%、水素を0〜30モル%含み、前記ペリクル膜のラマンスペクトルにおける、2DバンドとGバンドとの強度比(2Dバンドの強度/Gバンドの強度)が1以下であるか、あるいは、2DバンドとGバンドの強度がそれぞれ0である、ペリクル。
[2]前記ペリクル膜が、さらにSi、B、N、O、Y、Zr、Nb、及びMoからなる群から選択される第3成分を0〜70モル%含み、かつ、前記炭素、前記水素、及び前記第3成分の合計は98モル%以上である[1]に記載のペリクル。
[3]前記第3成分としてSiを40〜60%含む[2]に記載のペリクル。
[4]前記ペリクル膜は多結晶炭化ケイ素膜を含み、かつ前記ペリクル膜の密度が3.0〜5.0g/cmの範囲にある、[2]または[3]に記載のペリクル。
[5]前記ペリクル膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、及び炭化ケイ素膜からなる群から選ばれる一種以上の膜を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のペリクル。
[6]前記ペリクル膜の厚さが、10〜120nmである、[1]〜[5]のいずれかに記載のペリクル。
[7]前記ペリクル膜が、高分子フィルムに高いエネルギーを与えて得られたものである、[1]〜[6]のいずれかに記載のペリクル。
[8]前記高分子フィルムが、ポリイミドフィルムである、[7]に記載のペリクル。
本発明の第二は、以下のEUV露光装置などに関する。
[9]EUV光源と、光学系と、原版とを有するEUV露光装置であって、前記原版に、前記EUV光源からの光が光学系を介して導かれ、前記原版の光入射面に、[1]〜[8]のいずれかに記載のペリクルが設置されている、EUV露光装置。
[10]原版と、前記原版に装着された[1]〜[8]のいずれかに記載のペリクルとを含む露光原版。
[11]EUV光源から、[10]に記載の露光原版の前記ペリクル膜を通過させて、前記原版にEUVを照射するステップと、前記原版が反射したEUVを、前記ペリクル膜を通過させて感応基板に照射し、感応基板をパターン状に露光するステップと、を含む露光方法。
本発明のペリクルによれば、EUV照射時に異物が原版に付着することを確実に抑制できる。
本発明のペリクルの一例を示す概略断面図である。 グラファイトの結晶構造を示す説明図である。 ペリクル膜の温度Tとペリクル膜の放射率εの関係を示すグラフである。 ペリクル膜の温度Tとペリクル膜のEUV透過率Trとの関係を示すグラフである。 本発明のEUV露光装置の一例を示す概略断面図である。 実施例1のペリクル膜のEUV照射前後のXPSスペクトルを示すグラフである。 実施例2のペリクル膜のEUV照射前後のラマンスペクトルを示すグラフである。 実施例3のペリクル膜のEUV透過率安定性を示すグラフである。 実施例4のペリクル膜のEUV照射前後のXPSスペクトルを示すグラフである。
1.ペリクル
本発明において、EUVとは、波長5nm〜30nmの光をいう。つまりEUVリソグラフィーの露光光は、波長5nm〜30nmの光であり、より好ましくは波長5nm〜13.5nmの光である。
図1に示されるように、本発明のペリクル(以下、「ペリクル」と称する場合がある)10には、ペリクル膜12と、当該ペリクル膜12が貼り付けられたペリクル枠14とが含まれる。ペリクル膜12は、膜接着材層13等を介してペリクル枠14に張設される。本発明のペリクル10では、ペリクル膜12が酸化防止層(図示せず)等と積層されていてもよい。また、ペリクル10には、ペリクル枠14と原版(図示せず)とを貼り合わせるための原版用接着剤層15が含まれてもよい。
1−1.ペリクル膜
上記ペリクル膜は、単一の膜からなるものであってもよく、二層以上の膜が積層されたものであってもよい。また、ペリクル膜は、全面が支持材によって支持された膜であってもよいが、単独で膜形状を保持できる膜(自立膜)であることが好ましい。
ペリクル膜の波長550nmの光の屈折率nは1.9〜5.0である。当該ペリクル膜は、ペリクル膜の全組成中に炭素が30〜100モル%、水素が0〜30モル%が含まれればよく、さらに第3成分(Si、B、N、O、Y、Zr、Nb、Moからなる群から選ばれる元素)が0〜70モル%含まれてもよく、ペリクル膜の組成中の炭素、水素、及び第3成分の合計は、98%以上であることが好ましい。つまり、組成中に、炭素、水素、及び第3成分以外の成分が微量含まれてもよいが、炭素、水素、及び第3成分の合計は100%であることが好ましい。上記屈折率は、エリプソメーターで測定される。また、ペリクル膜の組成は、ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectrometry : RBS)、X線光電子分光法(XPS)で測定される。
また、当該ペリクル膜のラマンスペクトルにおけるGバンド(I(G))の強度と、2Dバンド(I(2D))の強度との比(I(2D)/I(G))は、1以下であるか、あるいは2DバンドとGバンドの強度がそれぞれ0である。シリコンカーバイド膜のラマンスペクトルでは、2DバンドとGバンドの強度が測定できない場合がある。つまり、2Dバンド及びGバンドのいずれの強度も0であることがある。そして、2Dバンド(I(2D))の強度との比(I(2D)/I(G))が1以下であるとは、ペリクル膜には、グラフェン膜が含まれないことを意味する。前述のように、グラフェン膜は脆く、積層しても膜の強度が高まり難い。
ここで、ラマンスペクトルは、ラマン顕微鏡を用いて観察することが好ましい。ラマン顕微鏡による観察は、以下のように行われる。レーザー光をビームスプリッターに入射させ、当該ビームスプリッターで反射されたレーザー光を光学顕微鏡用の対物レンズで1μm程度のビーム径に絞る。そして、ビーム径が調整されたレーザー光をサンプルに対して垂直方向に照射する。サンプルへのレーザー光照射によって生じたラマン散乱光を、前述の対物レンズによって集光し、ビームスプリッターやアパーチャを介して分光器に入射させる。ラマンスペクトルの測定位置は特に制限されないが、膜の平滑性が高く、かつ膜厚みやレーザー照射側の表面状態が均一である部分を測定することが望ましい。ラマン顕微鏡では一般的にX−Y電動ステージが用いられるため、マッピング測定や多点測定が可能である。したがって、ペリクル膜の炭素構造に分布がある場合には多点測定を行ってもよく、分布が無い場合には一点のみ測定してもよい。ラマン分光法に用いられるレーザー光の波長は特に制限されない。一般的なレーザー光の波長として、1064nm、633nm、532nm、515nm、502nm、496nm、488nm、477nm、473nm、466nm、458nm、364nm、または351nmが挙げられる。
単層のグラフェンは一般的にサイズの小さい(通常100〜1000nm程度)結晶の集合体で構成されており、1590cm−1付近と、2800〜2600cm−1にラマンスペクトルが観察される。1590cm−1付近のスペクトルは、Gバンドと呼ばれ、sp2混成軌道に共通に観察されるスペクトルである。一方、2800〜2600cm−1に観察されるスペクトルは、2Dバンドと呼ばれる。そして、単層グラフェンでは2Dバンドの強度I(2D)とGバンドの強度I(G)との比I(2D)/I(G)>1であり、このような膜は膜の強度が得られず耐久性が不十分であるためにペリクル膜として使用することができない。また、このようなグラフェンを多数積層しても、後述のグラファイト膜のようなc軸方向の規則性を有さない。したがって、積層グラフェンでは十分な膜強度が得られず、ペリクル膜として使用することができない。
一方、十分に膜が厚く強度を有するダイヤモンドライクカーボン膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、及び炭化ケイ素膜などの材料では2Dバンド強度に比べて相対的にGバンドの強度が大きくなることから、I(2D)/I(G)<1となり、これらの膜はペリクル膜として使用することができる。
上記屈折率及び組成、さらにラマンスペクトルの強度比を満たす膜の例には、ダイヤモンドライクカーボン膜(以下「DLC膜」とも称する)、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜等が含まれる。
1−1−1.ダイヤモンドライクカーボン膜
ダイヤモンドライクカーボンは、ダイヤモンドとグラファイトの中間的な結晶構造を有し;sp3結合とsp2結合とが混在するアモルファス構造を有する。つまり、DLC膜には、明確な結晶粒界がないため、強靭な膜となりやすい。DLC膜は、(i)構造中に水素が含まれない膜(ta−C(Tetrahedral amorphous carbon))であってもよく、(ii)構造中に水素が含まれる膜(a−C:H(Hydrogenated amorphous carbon))であってもよく、(iii)前述の第3成分がドープされた膜であってもよい。
(i)構造中に水素が含まれないDLC(ta−C)膜は、炭素のみからなり、波長550nmの光の屈折率が2.4〜2.6である膜でありうる。
DLC(ta−C)膜は、公知の成膜法で成膜された膜でありうる。DLC膜の作製方法の例には、熱CVD法、プラズマCVD法、プラズマイオン注入成膜法(PBIID)等のCVD法;スパッタリング法、イオンプレーティング法、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法等のPVD法;プラズマイオン注入成膜法などが含まれる。
(ii)水素が含まれるDLC(a−C:H)膜の組成中には、炭素が70〜90モル%、水素が10〜30モル%含まれる。当該組成における、炭素及び水素の合計は98モル%以上である。また、DLC(a−C:H)膜には、通常、第3成分が含まれない。DLC(a−C:H)膜の波長550nmの光の屈折率は通常1.9〜2.5である。
DLC(a−C:H)膜の組成や屈折率は、水素の含有量によって調整され;当該水素の含有量によって、膜の硬さや耐久性等が変化する。水素含有量が少ないDLC(a−C:H)膜は強度が高く、かつEUVに対して、安定な膜となる。一方、水素含有量が多いDLC(a−C:H)膜は柔軟性を有し、クラックが生じ難い膜となる。ダイヤモンドライクカーボン膜中に含まれる水素の量は、前述のように、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)と水素前方散乱分析(HFS)や、フーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)法で求められる。
DLC(a−C:H)膜は、公知の成膜法で成膜された膜でありうる。DLC(a−C:H)膜の作製方法の例には、熱CVD法、プラズマCVD法、プラズマイオン注入成膜法(PBIID)等のCVD法;スパッタリング法、イオンプレーティング法、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法等のPVD法;プラズマイオン注入成膜法などが含まれる。
(iii)第3成分(Si,B,N,O,Y,Zr,Nb,及びMoから選ばれる一種または二種以上の元素)がドープされたDLC膜(以下、「第3成分ドープDLC膜」とも称する)の組成中には、第3成分が0.1〜70モル%含まれることが望ましい。
DLC膜に第3成分がドープされると、DLC膜の耐熱性が高まったり、膜と支持材との密着性が高まったり、DLC膜の作製時に、膜にかかる応力が緩和される。特に、第3成分がY、Zr、Nb、またはMoであると、ペリクル膜の13.5nmのEUVに対する透過性が高まりやすい。
SiがドープされたDLC膜は、CVD法の製膜室に有機シリコン系ガスと炭化水素ガスとを導入して成膜される。有機シリコン系ガスの例には、トリメチルシランガス(TMS)等が含まれる。ドープされるシリコンの量は、有機シリコン系ガスと炭化水素ガスとの流量比等で制御される。
BがドープされたDLC膜は、CVD法の製膜室に有機ホウ素系ガスと炭化水素ガスとを導入して成膜される。有機ホウ素系ガスの例には、トリメチルボロンガス等が含まれる。ドープされるホウ素の量は、有機ボロン系ガスと炭化水素ガスとの流量比等で制御される。
NおよびOがドープされたDLC膜は、CVD法の製膜室に窒素ガス、酸素ガス、及び炭化水素ガスを導入して成膜される。ドープされるN及びOの量は、窒素ガスおよび酸素ガスと、炭化水素ガスとの流量比等で制御される。
Y、Zr、Nb、またはMoがドープされたDLC膜は、黒鉛及び当該金属をターゲット材料とする、スパッタリング法、イオンプレーティング法、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法等のPVD法で成膜される。
1−1−2.アモルファスカーボン膜
アモルファスカーボン膜は、炭素のみからなり、かつ波長550nmの光の屈折率が1.9〜2.1である膜でありうる。アモルファスカーボン膜は、主にsp2結合で構成されるアモルファス構造からなる。
アモルファスカーボン膜は真空蒸着法で成膜された膜でありうる。具体的には、10−2〜10−4Pa程度の圧力下、蒸発源から気化した材料(炭素)を支持材に堆積させた膜でありうる。一般的に真空蒸着法では、蒸発粒子のエネルキーが0.1〜1eVと比較的小さいため、膜がポーラスになりやすい。したがって、真空蒸着法で成膜されたアモルファスカーボン膜は密度が低く、厚みが厚くとも、EUV透過性が高い。
1−1−3.グラファイト膜
グラファイト膜は、炭素のみからなり、かつ波長550nmの光の屈折率が2.0〜3.0である膜でありうる。
図2は、グラファイトの結晶構造の模式図である。図2に示されるように、グラファイトの結晶は、sp2炭素原子の六員環の連結体が、c軸方向に多数積層された構造を有する。本発明では、六員環の連結体がc軸方向に規則的に配列した化合物のみをグラファイトとし;グラフェンの積層物等、連結体がc軸方向に規則的に配列しないものは、グラファイトに含まない。グラファイトの一部には、N、Si、sp3炭素原子等が含まれてもよい。
グラファイト膜は、単結晶構造の膜であってもよく、多結晶構造の膜であってもよい。単結晶構造のグラファイト膜は、膜強度が高く、熱伝導性が高い点で好ましい。一方、多結晶構造のグラファイト膜は、製造しやすく、コストの面で好ましい。
また、グラファイト膜のモザイクスプレッドは、5.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.1以上3.0以下であり、さらに好ましくは0.1以上1.0以下である。モザイクスプレッドが5.0以下であると、膜の強度及び放熱性が優れる。モザイクスプレッドは、グラファイト膜中の結晶子のc軸方向の配向性を示す指標である。モザイクスプレッドの値が小さいほど、c軸方向の配向性が高いことを示す。モザイクスプレッドの値が大きい;つまりグラファイト膜中の結晶子のc軸方向の配向性が低いと、六員環の連結体がc軸方向に規則的に配列し難くなり、グラファイト膜が脆くなりやすい。
例えば、モザイクスプレッドが0.3°であるとは、六員環の連結体(プレート面)に垂直な方向からのc軸のずれがほぼ±0.6°以内であることを示す(カーボン用語事典,炭素材料学会カーボン用語事典編集委員会,安田螢一,小林和夫編,アグネ承風社,2000)。モザイクスプレッドは、グラファイト膜作製時の焼成過程の温度や圧力で調整される。
モザイクスプレッドは、X線回折装置にて以下の手順で測定される。プレート状のグラファイト膜の(002)面のX線回折線がピークを示す位置にX線回折装置のカウンター(2θ軸)を固定する。そして、試料(θ軸)のみを回転させて、強度関数((002)面回折線ピーク強度の試料方位角依存曲線)を測定する。得られた強度関数からピーク強度の半減値を求め、これをモザイクスプレッドとする。
前述のグラファイト膜は、公知の方法で成膜された膜でありうる。グラファイト膜の成膜方法の例には、ポリオキサジアゾール、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、ポリアクリロニトリル、またはポリパラフェニレンビニレン等の高分子フィルムに高いエネルギーを与え、これらをグラファイトに転化する方法がある。高いエネルギーを与える方法は、高熱で焼成する方法、もしくは放射線を照射する方法であることが望ましい。照射する放射線は、X線、γ線、電子線、中性子線、イオンビーム(重荷電粒子線)等でありうる。放射線を高分子フィルムに放射すると、放射線がフィルムを構成する物質と相互作用し、フィルム中の原子にエネルギーが付与される。このエネルギーによって原子が励起されたり、イオン化されたり、2次電子が放出されたり、様々な化学反応が生じる。その結果、高分子フィルムが炭化して、グラファイト膜が得られる。また、グラファイト膜の作製方法の例には、炭素固体を原料とするアーク放電法や、炭化水素系ガスを原料とするプラズマCVD(化学気相成長:Chemical vapor deposition)法、メタンガスを原料とする真空中のプラズマジェット法等もある。
グラファイト膜は、前述の方法で成膜後、さらに圧力をかけつつ高温で長時間再焼鈍した高配向熱分解グラファイト(Highly oriented pyrolytic graphite:HOPG)であることが好ましい。長時間再焼鈍して得られる高配向熱分解グラファイトは、モザイクスプレッドが非常に小さくなる。
ここで、グラファイト膜をペリクル膜とする場合、前述の方法で得られるグラファイト膜の薄層化が必要な場合がある。グラファイト膜を薄層化する方法としては、グラファイト膜に物理的な力を加えて劈開する方法がある。
1−1−4.炭化ケイ素膜
炭化ケイ素膜は、炭素及びケイ素が含まれる膜であり、アモルファス膜であってもよく、結晶性の膜であってもよい。
アモルファスの炭化ケイ素膜は、構造中に、Si−C、C−H、Si−Hなどの異種原子間での結合だけでなく、C−CやSi−Siなどの同種原子間の結合が含まれる膜でありうる。当該アモルファスの炭化ケイ素膜の組成中には、炭素が30〜99モル%、水素が0〜30モル%、ケイ素が1〜70モル%含まれ;水素が含まれなくともよい。より好ましい炭化ケイ素膜の組成は、炭素が40〜60モル%、水素が0〜30モル%、ケイ素が40〜60モル%である。第3成分として、B、N、O、Y、Zr、Nb、及びMoなどの原子を含んでいても良い。第3成分の組成は、Siと含めて1〜70モル%であることが望ましく、より望ましくは40〜60モル%である。また、当該組成における、炭素、水素、及び前記第3成分の合計は98モル%以上である。
EUVに対する透過性が高まり、かつEUVに対する安定性と耐熱性が高まるとの観点から、アモルファスの炭化ケイ素膜の組成中に、炭素が80〜85モル%、ケイ素が15〜20モル%含まれる(炭素及びケイ素の合計は100モル%である)ことが特に好ましい。
アモルファスの炭化ケイ素膜は、イオンプレーティング法で成膜された膜でありうる。イオンプレーティング法による成膜時の電圧、被成膜体の加熱温度、ガス圧等によって、得られる膜と支持材との密着性等が調整される。
一方、結晶性の炭化ケイ素膜は、Si−Cの異種原子間結合から構成される結晶構造を含む膜である。当該炭化ケイ素膜は、単結晶構造であってもよく、多結晶構造であってもよい。結晶性の炭化ケイ素膜の組成中には、炭素が30〜99モル%、水素が0〜30モル%、ケイ素が1〜70モル%含まれ;水素が含まれなくともよい。より好ましい炭化ケイ素膜の組成は、炭素が40〜60モル%、水素が0〜30モル%、ケイ素が40〜60モル%である。第3成分として、B、N、O、Y、Zr、Nb、及びMoなどの原子を含んでいてもよい。第3成分の組成は、Siと含めて1〜70モル%であることが望ましく、より望ましくは40〜60モル%である。また、当該組成における、炭素、水素、及び前記第3成分の合計は98モル%以上である。
多結晶炭化ケイ素膜を含むペリクル膜の密度は3.0〜5.0g/cmの範囲にあることが好ましい。多結晶炭化ケイ素膜自体の密度は約3.3g/cmであるが、ペリクル膜が多結晶炭化ケイ素膜と他の層との積層体である場合には、上述の範囲にあることが好ましい。
結晶性の炭化ケイ素膜は公知の方法で成膜された膜でありうる。結晶性の炭化ケイ素膜の成膜方法の例には、大気圧プラズマCVD法、減圧CVD(LPCVD)法やACプラズマアシストCVD法等が含まれる。CVD法の製膜室に有機シリコン系ガスと炭化水素ガスとを導入して成膜される。有機シリコン系ガスの例には、モノシランガス、ジクロロシランガスなどが含まれる。基板温度、ガス流量、圧力、プラズマパワーなどの条件を変えることで、結晶性や膜厚みなどを制御することができる。例えば、基板温度を高めることにより結晶性を高めることができ、減圧によりガス圧を低くすることにより原子、分子の平均自由工程を下げて成膜時の被覆性や膜厚みの均一性を高めることができる。
1−1−5.ペリクル膜の支持材
前述の通り、ペリクル膜は支持材を有していてもよい。ペリクル膜を支持する支持材は、ペリクル膜の原版側に配設されてもよく、EUV入射面側に配設されてもよい。また、ペリクル膜が、メッシュ状の支持材の隙間に埋め込まれてもよい。支持材の例には、シリコン、金属等からなるメッシュ状の基板、金属ワイヤ等が含まれる。
ペリクル枠の内側領域の面積に対する、支持材の面積は20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。支持材の面積が20%を超えると、EUV透過率が低くなり、EUVの照射効率が低下する。
支持材の形状は特に問わない。ハニカム形状、四角形状、三角形状や、多角形を組み合わせた形状でもよい。露光時に影ができないように、支持材の繰り返し単位のサイズができる限り小さいことが好ましい。また、開口率を高めるために、支持材の幅は機械強度が維持される範囲で小さくすることが好ましい。支持材の多角形の繰り返し単位のサイズは10〜500μm、支持材の幅は0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは支持材の多角形の繰り返し単位のサイズは10〜200μm、支持材の幅は0.1〜20μmであり、さらに望ましくは、支持材の多角形の繰り返し単位のサイズは10〜50μm、支持材の幅は0.1〜1μmである。
支持材の厚みは、機械強度が維持される範囲で小さくすることが望ましい。EUV光は、約6°の傾斜角でEUVペリクル膜に照射されて、EUVペリクル膜を透過する。透過した光は、EUVマスクで照射され、約6°の傾斜角で再びEUVペリクルを反射する。したがって、EUV光が支持材に遮られる面積を小さくするために、支持材の厚みは薄いことが望ましい。支持材の厚みは0.1〜500μmであることが望ましく、より望ましくは0.1〜200μmであり、さらに望ましくは0.1〜20μmである。
ペリクル膜の支持材の作製方法は特に問わない。金属ワイヤを編み合わせてメッシュ支持材を作製する方法や、基板をエッチングにより削って支持材を作製する方法、または支持材の鋳型をリソグラフィやインプリントで作製し、鋳型に鍍金などの方法で金属などを埋め込むことで支持材を作製する方法がある。
基板をエッチングにより削って支持材を作製する例として、アルミやステンレスなどの金属製の基板をエッチングする場合がある。エッチングは、機械的に基板を削ってもよく、レーザーなどを照射して基板を削ってもよい。シリコン基板をエッチングして支持材を作製する場合には、フォトレジストに支持材の形状をパターニングした後に、ドライエッチングやウェットエッチング等の異方性エッチングをしてもよい。パターニングに用いる光源は、支持材の多角形の繰り返し単位のサイズや幅に合わせて任意に選定することができる。例えば、D線、I線などの可視光や、KrF、ArFエキシマーレーザーなどの紫外線や、X線や電子線などを用いてもよい。
ペリクル膜をのせた状態で支持材を作成してもよいし、作製した支持材を膜と接着させてもよい。
1−1−6.自立膜であるペリクル膜の製造方法
支持材を有さないペリクル膜(自立膜)を作製する方法は特に問わないが、以下に製造例を示す。
1−1−6−1.基板上に犠牲層を積層して後に除去する方法
基板上に犠牲層を積層し、その上にペリクル膜を製膜して、後で犠牲層を除去することで自立膜を得ることができる。犠牲層は、金属、酸化膜、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できるものとすることができる。例えば、犠牲層は、酸性溶液に溶けるアルミニウムなどの金属でありうる。具体的には、蒸着やスパッタなどでガラス基板やシリコンウェハの表面に金属層を積層し、さらに金属層の上にペリクル膜を積層した後に、酸性溶液など金属層を溶かすことができる溶液に浸漬することによって、基板からペリクル膜を剥離することができる。
基板として自然酸化膜や酸化ケイ素層を有するシリコンウェハを用いた場合には、シリコンウェハ上にペリクル膜をコーティングした後に、フッ酸水溶液に浸漬することによって自然酸化膜や酸化ケイ素層を除去し、基板からペリクル膜を剥離することもできる。
基板に積層する犠牲層を、部分けん化ポリビニルアルコール樹脂や塩化ナトリウムなどの塩のような水溶性材料としてもよい。犠牲層の上にペリクル膜を積層した後に、積層体を水に浸漬することによって、基板からペリクル膜を剥離することができる。
基板上に積層した犠牲層を除去する方法を選定する上で、ペリクル膜のプロセス耐性、膜強度、犠牲層の除去速度、犠牲層の膜厚み均一性や表面粗さなどの特徴に応じて、もっとも適切な任意の手法を選定することができる。
1−1−6−2.基板をエッチングまたは溶解させる方法
基板の材質を、金属、酸化膜、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できるものとした場合には、基板の上にペリクル膜を積層したのちに、基板をエッチングまたは溶解させることで、ペリクル膜を得ることができる。
例えば、基板として銅箔を用いた場合、銅箔表面にペリクル膜を積層した後に、塩化第二銅エッチング液に浸漬することで、銅箔基板をエッチングし、ペリクル膜を基板から剥離することができる。
基板をガラス基板とした場合、ガラス基板にペリクル膜を積層した後に、フッ化水素酸を用いてガラスをエッチングし、ガラス基板からペリクル膜を剥離することができる。
基板をシリコンウェハとした場合、シリコンウェハにペリクル膜を積層した後に、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより、シリコンウェハをエッチングして、シリコンウェハからペリクル膜を剥離することができる。ウェットエッチングは、KOHやTMAH、ヒドラジンなどのエッチング液を用いることができる。ドライエッチングは、フッ素系(SF、CF、NF、PF、BF、CHF)、塩素系(Cl、SiCl)、臭素系(IBr)などのエッチングガスを用いることができる。ウェットエッチング速度は温度によって変化するため、シリコンウェハ上の薄いペリクル膜に損傷を与えないようにエッチングするためには、液温を下げエッチングレートを下げることが好ましい。
シリコンウェハをドライエッチングする場合には、シリコン基板表面に事前にエッチングストップ層などの層を設けてもよい。エッチングストップ層とは、SiOやSiNなどが挙げられる。エッチングストップ層はペリクル膜に引張応力をもたらす膜であることが好ましい。基板および薄膜の表面に対して平行方向に働く残留応力には引張応力と圧縮応力とがある。薄膜内部に薄膜を拡げようとする力は引張応力となり、薄膜内部に薄膜を収縮させようとする力は圧縮応力となる。これらの応力は主に薄膜の製膜過程において生じる。残留応力をもたらす要因の一つとして、基板と薄膜との熱膨張率の違いがある。室温に戻すとき基板も薄膜も収縮するがその割合は熱膨張率により異なっており、薄膜の熱膨張率が基板の熱膨張率より大きければ引張応力、逆のときは圧縮応力となる。引張応力が薄膜にもたらされると、薄膜に張力が加わり、皺のない膜ができる。一方で圧縮応力が薄膜にもたらされると、膜にたわみや皺が生じやすくなる。SiN膜は引張応力をもたらす膜であるため、当該SiN層がエッチングストップ層であると、シリコンウェハをドライエッチングして得られるペリクル膜を、皺のない膜とすることができる。エッチングストップ層は、シリコンウェハのドライエッチングが終わった後に除去されるため、目的とするペリクル膜のみからなる自立膜が得られる。
基板を塩化ナトリウムなどの塩からなる基板とした場合、基板表面にペリクル膜を積層した後に、水に浸漬して基板をエッチングし、基板からペリクル膜を剥離することができる。基板をプラスチック基板とした場合、プラスチック基板表面にペリクル膜を積層した後に、プラスチック基板を可溶な溶媒に浸漬することでプラスチック基板をエッチングし、プラスチック基板からペリクル膜を剥離することができる。
1−1−6−3.基板の表面上を剥離しやすいように前処理を施す方法
基板に表面処理を施すことで、ペリクル膜と基板面との相互作用を制御し、溶媒への浸漬や機械的な剥離プロセスにより、基板からペリクル膜を容易に剥離することができる。ペリクル膜と基板面との相互作用を制御する方法として、例えばシランカップリング剤による表面処理方法が挙げられる。そのほかには、水や有機溶媒、ピラニア水、硫酸、UVオゾン処理、などにより基板表面を洗浄する方法が挙げられる。基板をシリコンウェハとする場合には、過酸化水素水と水酸化アンモニウムの混合液や、塩酸と過酸化水素水の混合液など、RCA洗浄法で用いられる溶液などを使用することができる。
犠牲層の製膜、基板上の表面処理は、基板をエッチングまたは溶解させる方法を、それぞれ組み合わせて用いてもよい。犠牲層や表面処理に用いられる物質は、ペリクル膜の表面や内部に残りにくく、また残っても容易な方法で除去できるものが望ましい。例えば、ガスによるエッチング、熱による蒸発、溶媒による洗浄、光による分解除去などがあり、それらを組み合わせて除去を実施してもよい。
1−1−7.ペリクル膜の物性
1−1−7−1.放熱性及び耐熱性について
前述のように、EUV照射時には、EUVのエネルギーが様々な緩和過程を経て熱に変わる。そのため、ペリクル膜には放熱性及び耐熱性が求められるが、従来の単結晶シリコン膜は放熱性が低く、EUV照射中に熱的ダメージを受けて変形したり、破損しやすいという問題があった。
これに対し、前述のDLC膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、炭化ケイ素膜は、いずれも放熱性及び耐熱性を兼ね備え、EUVリソグラフィー中に、ペリクル膜が破損するおそれが少ない。したがって、ペリクル膜によって原版を確実に保護することができる。以下に、前述のDLC膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、及び炭化ケイ素膜が放熱性及び耐熱性を兼ね備える理由を説明する。
ペリクル膜の放熱性は主に、(i)ペリクル膜の輻射性(赤外線によるエネルギーの放出)及び(ii)ペリクル膜の熱伝導性によって定まる。
(i)ペリクル膜の輻射率ε(輻射性)と、EUV照射中のペリクル膜の温度T、EUV照射強度P、ペリクル膜のEUV透過率Tr、シュテファン・ボルツマン定数σ、及び壁温度(EUV照射装置内部の温度)Twとの間には、以下の関係式(1)が成り立つ。なお、関係式(1)では、ペリクル膜の熱伝導性を0とする。
Figure 0006364404
図3は、上記式(1)から求められる「ペリクル膜温度T」と「ペリクル膜の輻射率ε」との関係を示すグラフであり;当該グラフでは、ペリクル膜のEUV透過率Trは80%、EUV照射強度Pは100W/cmとしている。図3に示されるように、ペリクル膜の輻射率εが大きくなればなるほど、ペリクル膜の温度Tが低くなることがわかる。
一方、図4は、前述の式(1)から求められる「ペリクル膜温度T」と「ペリクル膜のEUV透過率Tr」との関係を示すグラフであり;当該グラフでは、ペリクル膜の輻射率εを0.01、EUV照射強度Pを100W/cmとしている。図4に示されるように、ペリクル膜のEUV透過率Trが変化すると、ペリクル膜の温度Tは多少変化するものの、その変化量が小さい。つまり、ペリクル膜の温度Tは、ペリクル膜のEUV透過率Trには殆ど依存せず、ペリクル膜の輻射率εに大きく依存する。
ここで、ペリクル膜の輻射率εを実験的に求めることは困難である。ただし、キルヒホッフの法則に従えば、赤外線吸収率の高い膜ほど、輻射率εが高くなる。したがって、ペリクル膜の遠赤外線吸収スペクトルから、ペリクル膜の輻射性がある程度予測される。
従来のペリクル膜である単結晶シリコンの赤外線吸収は、Si−Si結合の伸縮振動モードに起因する吸収のみであり、赤外線吸収率が低い。したがって、単結晶シリコン膜は、輻射性が低い。
これに対し、アモルファスカーボンやグラファイト、アモルファス炭化ケイ素は、sp2炭素結合由来の強い吸収を有し、赤外線吸収率が高い。また、DLCや第3成分ドープDLCは、C−H結合由来の吸収や、sp2炭素結合由来の強い吸収を有し、赤外線吸収率が高い。したがって、DLC膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、アモルファス炭化ケイ素膜は、いずれも輻射性が高い。
(ii)ペリクル膜の熱伝導性は、膜を構成する材料の熱伝導度によって定まる。単結晶シリコンの熱伝導度は150〜170W/mKである。これに対しグラファイト膜の熱伝導度は1000〜5000W/mKであり、DLC膜の熱伝導度は0.2〜30W/mK、結晶性の炭化ケイ素膜の熱伝導度は100〜350W/mKである。つまり、シリコン膜やDLC膜、炭化ケイ素膜は熱伝導性が低いのに対し、グラファイト膜は熱伝導性が高い。
以上のことから、従来のペリクル膜である単結晶シリコン膜は(i)輻射性及び(ii)熱伝導性のいずれも劣るため、放熱性が不十分であることがわかる。これに対し、前述のDLC膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、及び炭化ケイ素膜は、(i)輻射性及び(ii)熱伝導性のうち、いずれか一方、もしくは両方が優れる。したがって、放熱性が高いといえる。また特に、グラファイト膜は、(i)輻射性及び(ii)熱伝導性の両方が優れており、放熱性が非常に高い。
一方、ペリクル膜の耐熱性は、ペリクル膜を構成する材料の融点によって定まる。グラファイトの融点が3600℃、結晶性の炭化ケイ素の融点は2600℃である。また、DLC及び第3成分ドープDLCの耐熱性も非常に高い。これに対し、単結晶シリコンの融点は1410℃である。
つまり、前述のDLC膜、アモルファスカーボン膜、グラファイト膜、炭化ケイ素膜は、従来の単結晶シリコン膜と比較して、格段に耐熱性が優れる。
1−1−7−2.ペリクル膜のEUV透過性と厚さ
前述のペリクル膜は、リソグラフィーに用いる光の透過率が高いことが好ましい。ペリクルをEUVリソグラフィーに用いる場合、EUVの透過率が高いことが好ましく;EUVリソグラフィーに用いる光(例えば、波長13.5nmの光や波長6.75nmの光)の透過率が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ペリクル膜が支持材によって支持される場合や、ペリクル膜が後述の酸化防止層と積層される場合には、これらを含む膜の光の透過率が50%以上であることが好ましい。
ペリクル膜の光の透過率Trはフォトダイオードで測定される。具体的には、ペリクル膜を設置しない状態で検出される電流値(入射光強度I)、及びペリクル膜を設置した状態で検出される電流値(透過光強度I)から、下記の式(2)に基づいて求められる。
Figure 0006364404
ペリクル膜の厚さは、ペリクル膜の光の透過率、ペリクル膜の赤外線吸収率、ペリクル膜の強度、及び自立性を勘案して設定されることが好ましい。ペリクル膜の好ましい厚さは、10〜120nm程度であり、支持材を備える場合は9〜110nm程度である。
ペリクル膜の厚み均一性や表面粗さも特に問わない。例えばEUV露光のパターニング工程のときに、膜厚みの不均一性や表面粗さに由来した透過率の不均一性やEUV光の散乱による支障が生じなければ、膜厚みが不均一であっても表面粗さがあってもよい。ペリクル膜に生じる皺の有無も特に問わない。EUV露光のパターニング工程のときに、皺に由来した透過率の低下および不均一性や、散乱による支障が生じなければ、ペリクル膜に皺があってもよい。
ペリクル膜のEUV透過率Trと、ペリクル膜の厚さdとの間には、下記の式(3)の関係が成り立つ。
Figure 0006364404
式(3)における密度ρはペリクル膜を構成する物質固有の密度である。また、上記式(3)における質量吸光係数μは、以下のように求められる。光子のエネルギーがおよそ30eVより大きく、なおかつ光子のエネルギーが原子の吸収端から十分に離れている場合、質量吸光係数μは原子どうしの結合状態等に依存しない。例えば波長13.5nmの光子エネルギーは、92.5eV付近であり、原子の吸収端からも十分に離れている。よって、上記質量吸光係数μは、ペリクル膜を構成する化合物の原子同士の結合状態に依存しない。そのため、ペリクル膜の質量吸収係数μは、ペリクル膜を構成する各元素(1,2,・・・,i)の質量吸収係数μと、各元素の質量分率Wとから、以下の式(4)で求められる。
Figure 0006364404
上記式(4)における各元素の質量吸収係数μは、Henkeらによってまとめられている以下の参考文献の値を適用できる(B. L. Henke, E. M. Gullikson, and J. C. Davis, “X-Ray Interactions:Photoabsorption, Scattering, Transmission, and Reflection at E = 50-30,000 eV, Z = 1-92,” At. Data Nucl. Data Tables 54, 181 (1993) これらの数値の最新版はhttp:// wwwcxro.lbl.gov/optical_constants/に掲載されている。)。
つまり、ペリクル膜の質量吸収係数μ、フィルムの密度ρが特定できれば、所望のEUV透過率Trに基づいて、好ましいペリクル膜の厚さdを設定できる。
1−1−7−3.ペリクル膜の応力について
シリコンウェハなどの基板上に、薄膜を製膜して得たペリクル膜には応力が残留することがある。ペリクル膜の残留応力が大きいと、クラックが生じたり、自立膜としたときに破れの原因となったりするため、ペリクル膜の残留応力は小さいほうが好ましい。ペリクル膜の残留応力の向きと大きさは、製膜した基板の反りの向きと大きさを測定することによって測定することができる。製膜した基板の反りの向きと大きさは、例えばレーザー光を利用した変位計測装置を用いて測定することができ、具体的には三次元形状測定装置(NH−3SP 三鷹光器株式会社)などを用いて測定することができる。ペリクル膜の残留応力の大きさは1GPa以下であることが望ましく、より望ましくは0.5GPa、さらに望ましくは0.2GPa以下である。
残留応力は、引張方向の応力であることが望ましい。残留応力の方向が引張方向である場合には、膜に張力が加わるために、皺の無い自立膜を得ることができる。一方、残留応力の方向が圧縮方向である場合には、膜に圧縮力が加わるため皺が生じる。膜に皺が生じると、EUV光が膜を通過するときの膜の厚みは皺の角度によって変化するため、EUVの透過率に不均一性が生じやすい。また、膜に皺が生じると、振動などの外力に対して破れが生じやすくなることからも望ましくない。
1−1−7−4.ペリクル膜のEUV耐性評価
ペリクル膜にEUVを照射し、照射部分と未照射部分について、各種の分析を行うことでEUV耐性を評価することができる。例えば、XPS測定、EDS分析、RBSなどの組成分析の手法、XPS、EELS、IR測定やラマン分光などの構造解析の手法、エリプソメトリーや干渉分光法、X線反射法等などの膜厚み評価法、顕微鏡観察、SEM観察やAFM観察などの外観や表面形状評価方法などを用いることができる。放熱性は、コンピューターシミュレーションによる解析結果を組み合わせることで、より詳細に検討されうる。
ペリクル膜は、EUV光に限らず評価項目に応じて、真空紫外線照射、紫外−可視光線照射、赤外線照射、電子線照射、プラズマ照射、加熱処理などの方法を適宜選択し、ペリクル膜の耐性評価を実施してもよい。
<ペリクル膜の膜強度の評価について>
基板上のペリクル膜の強度の評価方法としては、ナノインデンターによる評価方法が挙げられる。自立膜の膜強度の評価方法としては、共鳴法やバルジ試験法、エアブローによる膜の破れの有無の評価法、振動試験による膜の破れの有無の評価法等の手法を用いることができる。
1−2.酸化防止層
前述のペリクル膜の表面には、酸化防止層が積層されてもよい。ペリクル膜の表面に酸化防止層が積層されると、EUV照射時やペリクル保管時のペリクル膜の酸化が抑制される。酸化防止層は、前述のペリクル膜の一方の面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
酸化防止層は、EUVに対して安定な材料からなる膜であれば、その種類は特に制限されない。例えば、SiOx(x≦2)、SixNy(x/yは0.7〜1.5)、SiON、Y、YN、Mo、Ru、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、またはRhからなる膜等でありうる。
EUVの透過を阻害しないためには、酸化防止層の厚みは1〜10nm程度であることが望ましく、2〜5nm程度がさらに望ましい。酸化防止膜の厚みが厚くなると、酸化防止膜にEUV光が吸収されることで透過率が低下する場合があるため、望ましくない。ペリクル膜の厚みは、10〜120nmの範囲であることが望ましく、10〜30nmがより好ましい。ペリクル膜の厚みに対する酸化防止層の厚みの割合は、0.03〜1.0の範囲にあることが望ましい。ペリクル膜の厚みに対する酸化防止膜の厚みの比が大きくなると、EUV透過率が低下する場合があるため望ましくない。
また、酸化防止層を積層すると、新たに生成した層界面、すなわち酸化防止層と空気との界面、および酸化防止層とペリクル膜との界面で、EUV光の反射が生じる。そのため、透過率の低下が生じる。これらの層界面でのEUV光の反射率は、ペリクル膜と酸化防止層の厚み、およびペリクル膜と酸化防止層を構成する元素の種類に応じて、計算により算出することができる。そして、反射防止膜の原理と同様に膜厚みを最適化することによって、反射率を低下させることができる。
酸化防止膜の厚みは、吸収によるEUV光の透過率低下と反射によるEUV光の透過率低下を抑制しつつ、かつ酸化防止の性能を有する範囲で、最適な厚みとすることが望ましい。
酸化防止層の厚み均一性や表面粗さも特に制限されない。EUV露光のパターニング工程のときに、膜厚みの不均一性や表面粗さに由来した透過率の不均一性やEUV光の散乱による支障が生じなければ、酸化防止膜が連続層あるいは海島状のどちらであってもかまわず、また、膜厚みが不均一であっても表面粗さがあってもよい。
ペリクル膜と酸化防止層とを併せたペリクル膜の平均屈折率は1.9〜5.0の範囲であることが望ましい。屈折率は分光エリプソメトリーなどの手法で測定することができる。また、ペリクル膜と酸化防止層とを併せたペリクル膜の平均密度は1.5〜5.0g/cmの範囲であることが望ましい。密度はX線反射法などの手法で測定することができる。
1−3.ペリクル枠
ペリクル枠は、前述のペリクル膜を、膜接着剤層等を介して張設可能な枠であれば特に制限されず、例えばアルミニウム、ステンレス、ポリエチレン、セラミックス製の枠でありうる。例えば図1に示されるように、ペリクル枠14は、ペリクル10及び原版(不図示)に囲まれた領域と、EUV露光装置内との気圧を一定とするための通気孔16を有してもよい。EUV露光は、真空環境下で行われるため、これらの気圧が不均一であると、ペリクル膜12が、圧力差によって伸縮したり、破損するおそれがある。通気孔16には、ペリクル及び原版に囲まれた領域に異物が入らないよう、フィルターが配設されることが好ましい。フィルターは、ULPA(Ultra Low Penatration Air)フィルターや、金属メッシュでありうる。また、ペリクル枠は検査しやすいように露光に支障が無い範囲で着色されていてもよい。
ペリクル膜をペリクル枠へ固定する手順や方法は特に制限されない。また、エッチングされた基板をペリクル枠の一部として使用してもよい。例えば、金属、シリコンウェハ、ガラス、樹脂、塩など、特定の処理方法で除去できる基板の上にペリクル膜を積層する。その後、ペリクル膜の配置面と反対面の基板表面に、枠のサイズに合わせてマスクを施し、マスク形状を残してエッチングまたは溶解させる。それにより、基板の一部をペリクル枠として使用したペリクルを得ることができる。
基板の形状を枠形状と合わせるためのトリミング方法は特に制限されない。基板としてシリコンウェハを用いる場合には、機械的にウェハを割る方法や、レーザートリミングの方法を用いることができる。
1−4.膜接着剤層
ペリクル膜12をペリクル枠14に張設する方法は特に制限されず、ペリクル膜12をペリクル枠14へ直接貼り付けてもよく、ペリクル枠14の一方の端面にある膜接着剤層13を介してもよく、機械的に固定する方法や磁石などの引力を利用してペリクル膜12とペリクル枠14を固定してもよい。
膜接着剤層13は、ペリクル枠とペリクル膜とを接着する層である。膜接着剤層13は、例えばアクリル樹脂接着剤;エポキシ樹脂接着剤;ポリイミド樹脂接着剤;シリコーン樹脂接着剤からなる層でありうる。EUV露光時の真空度を保持する観点から、膜接着剤層は、アウトガスが少ないものが好ましい。アウトガスの評価方法として、例えば昇温脱離ガス分析装置を用いることができる。
ペリクル膜とペリクル枠が接着性を有する場合には、膜接着剤層13を用いなくてもよい。ペリクル膜とペリクル枠の接着性の評価方法としては、例えば圧力、面積、距離、角度を変えてエアブローにより膜の破れや剥離の有無を評価する手法や、加速度、振幅を変えて振動試験により膜の破れや剥離の有無を評価する手法などを用いることができる。
1−5.原版用接着材層
原版用接着剤層15は、ペリクル枠14と原版とを接着する。図1に示されるように、原版用接着剤層15は、ペリクル枠14のペリクル膜12が張設されていない側の端部に設けられる。原版用接着剤層15は、例えば、両面粘着テープ、シリコーン樹脂粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤等である。例えばEUV露光時の真空度を保持するとの観点では、原版用接着剤層は、アウトガスが少ないものが好ましい。アウトガスの評価方法として、例えば昇温脱離ガス分析装置を用いることができる。
ペリクルをEUV露光に用いる場合、膜接着剤層13及び原版用接着剤層15は、EUV露光装置内で散乱したEUV光に曝されるため、EUV耐性を有することが望ましい。EUV耐性が低いと、EUV露光中に接着剤の接着性や強度が低下して、露光装置内部で接着剤の剥離や異物発生などの不具合が生じる。EUV照射による耐性評価は、例えば、XPS測定、EDS分析、RBSなどの組成分析の手法、XPS、EELS、IR測定やラマン分光などの構造解析の手法、エリプソメトリーや干渉分光法、X線反射法等などの膜厚み評価法、顕微鏡観察、SEM観察やAFM観察などの外観や表面形状評価方法、ナノインデンターや剥離試験による強度および接着性評価方法などを用いることができる。
原版をペリクル枠14に張設する方法は特に制限されず、原版をペリクル枠14へ直接貼り付けてもよく、ペリクル枠14の一方の端面にある原版用接着剤層15を介してもよく、機械的に固定する方法や磁石などの引力を利用して原版とペリクル枠14を固定してもよい。
1−6.ペリクルの用途
本発明のペリクルは、各種露光装置内で原版に異物が付着することを抑制する保護部材として使用可能である。特に、EUV露光装置内で、原版に異物が付着することを抑制するための部材として有用である。また、各種露光装置内で、原版に異物が付着することを抑制するための保護部材としてだけでなく、原版の保管時や、原版の運搬時に原版を保護するための保護部材としてもよい。例えば、原版にペリクルを装着した状態(露光原版)にしておけば、露光装置から取り外した後、そのまま保管すること等が可能となる。ペリクルを原版に装着する方法には、接着剤で貼り付ける方法、静電吸着法、機械的に固定する方法等がある。
リソグラフィーでは、回路パターンが正確に転写されることが必要である。従って、露光範囲において露光光の透過率がほぼ均一であることが必要である。本発明のペリクル膜を用いることで、露光範囲において一定の光線透過率を有するペリクルが得られる。
2.EUV露光装置
本発明のペリクルを、EUV露光装置で使用する例を示す。EUV露光装置の概略断面図を図5に示す。EUV露光装置には、EUVを出射するEUV光源31と、EUV光源31からの光を原版33に導く照明光学系37と、パターン状にEUVを反射する原版33と、原版33が反射した光を感応基板34へ導く投影光学系38とが含まれる。上記ペリクル10は、原版33のEUV照射面側に貼付する。また、上記フィルター・ウィンドウ20,25は、EUV光源31と照明光学系37との間、及び照明光学系37と原版33の間にそれぞれ設置される。EUV露光装置では、原版33により反射された光が、投影光学系38を通じて感応基板34上に導かれ、感応基板34がパターン状に露光される。なお、EUVによる露光は、減圧条件下で行われる。
EUV光源31は、照明光学系37に向けて、EUVを出射する。EUV光源31には、ターゲット材と、パルスレーザー照射部等が含まれる。このターゲット材にパルスレーザーを照射し、プラズマを発生させることで、EUVが得られる。ターゲット材をXeとすると、波長13〜14nmのEUVが得られる。EUV光源が発する光の波長は、13〜14nmに限られず、波長5〜30nmの範囲内の、目的に適した波長の光であればよい。
照明光学系37は、EUV光源31から照射された光を集光し、照度を均一化して原版33に照射する。照明光学系37には、EUVの光路を調整するための複数枚の多層膜ミラー32と、光結合器(オプティカルインテグレーター)等が含まれる。多層膜ミラーは、モリブデン(Mo)、シリコン(Si)が交互に積層された多層膜等である。
フィルター・ウィンドウ20,25の装着方法は特に制限されず、接着剤等を介して貼り付ける方法や、機械的にEUV露光装置内に固定する方法等が挙げられる。EUV光源31と照明光学系37との間に配置されるフィルター・ウィンドウ20は、光源から発生する飛散粒子(デブリ)を捕捉し、飛散粒子(デブリ)が照明光学系37内部の素子(例えば多層ミラー32)に付着しないようにする。一方、照明光学系37と原版33との間に配置されるフィルター・ウィンドウ25は、EUV光源31側から飛散する粒子(デブリ)を捕捉し、飛散粒子(デブリ)が原版33に付着しないようにする。
原版33は、支持基板と、この支持基板上に積層された反射層と、反射層上に形成された吸収体層とを含む構造とできる。吸収体層がEUVを一部吸収することで、感応基板34上に所望の像が形成される。反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との多層膜でありうる。吸収体層は、クロム(Cr)や窒化タンタル等、EUV吸収性の高い材料でありうる。
また、ペリクル10は、原版用接着剤層等を介して原版33に装着される。原版に付着した異物は、EUVを吸収、もしくは散乱させるため、ウエハへの解像不良を引き起こす。したがって、ペリクル10は原版33のEUV照射エリアを覆うように装着され、EUVはペリクル膜12を通過して、原版33に照射される。
ペリクル10の原版33への装着方法としては、原版表面に異物が付着しないように原版に設置できる方法であればよく、ペリクル枠14と原版33とを接着剤で貼り付ける方法や、静電吸着法、機械的に固定する方法などが挙げられるが特に限定されない。好ましくは、接着剤で貼り付ける方法が用いられる。
原版33で反射されたEUVは、ペリクル膜12を通過し、投影光学系38を通じて感応基板34に照射される。投影光学系38は、原版33で反射された光を集光し、感応基板34に照射する。投影光学系38には、EUVの光路を調製するための複数枚の多層膜ミラー35、36等が含まれる。
感応基板34は、半導体ウエハ上にレジストが塗布された基板等であり、原版33によって反射されたEUVにより、レジストがパターン状に硬化する。このレジストを現像し、半導体ウエハのエッチングを行うことで、半導体ウエハに所望のパターンを形成する。
[実施例1]
(1)ペリクル膜の作製
直径4インチの円形シリコンウエハ上に、プラズマイオン注入・成膜法(PBIID法)にて、厚さ90nmのペリクル膜(DLC(a−C:H)膜)を成膜した。なお、ペリクル膜及びシリコンウエハの積層体(サンプル)は、2つ準備した。得られたペリクル膜について、以下の方法で、組成の特定、屈折率測定、ラマンススペクトル測定を行った。
(1−1)組成の特定
得られたペリクル膜に含まれる各元素の量を、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)/水素前方散乱分析法(HFS)、及びXPS測定法で特定した。
RBS/HFS測定は、加速器(National Electrostatics Corporation社製 Pelletron3SDH)を用いた。測定条件は、入射イオン:4He++、入射エネルギー:2300keV、入射角:75°、散乱角:160°、反跳角:30°、ビーム径:2mmとした。一方、XPS測定は、X線光電子分光装置(KRATOS社製 AXIS−ULTRAシリーズ)を用いた。X線源はAlKα、分析面積は120×120μmとした。算出された組成比を表1に示す。
(1−2)屈折率測定
得られたペリクル膜について、分光エリプソメトリ(堀場製作所社製 Auto−SE)にて、Ψ(s偏光とp偏光との擬幅比)及びΔ(s偏光とp偏光との位相差)のスペクトルを検出した。測定条件は、測定波長:400〜1000nm、入射角:70°、集光ビーム径:100μmとした。
そして、上記スペクトルを、支持材(ここではシリコンウエハ(Si))の分散式(文献値)、及び膜の誘電関数モデル(Tauc−Lorentz式)に基づいて解析した。解析は、基板/薄膜/表面粗さ層からなる2層モデルを用いて行った。そして、ペリクル膜の各波長における屈折率n、及び消衰係数kを算出した。算出された波長550nmの光の屈折率nを表1に示す。
(1−3)ラマンスペクトル測定
得られたペリクル膜について、ラマン顕微鏡(堀場製作所製社製 XploRA)にて、ラマンスペクトルを測定した。測定条件は、環境雰囲気:大気中、励起光:532nm、グレーティング:600T、測定領域:400〜3200cm−1とした。測定されたラマンスペクトルについて、約900〜1800cm−1に現れるブロードなピークを、ガウス関数にて1590cm−1付近のGバンド、及び1350cm−1付近のDバンドの2つに分離して、Gバンドの強度(I(G))を算出した。一方、2800〜2600cm−1に現れる2Dバンドの強度(I(2D))を特定し、Gバンドの強度(I(G))と2Dバンドの強度(I(2D))との比(I(2D)/I(G))を求めた。算出された強度比(2D/G)を表1に示す。
(2)シリコンウエハ(支持材)の加工
前述の2つのサンプルのうち、一方のサンプルのシリコンウエハ(支持材)を加工した。具体的には、シリコンウエハを研磨し、シリコンウエハの厚さを200μmとした。さらに、シリコンウエハ側から、シリコンウエハを、メッシュ状にドライエッチングした。メッシュを構成するラインの幅は10μm、ライン同士の間隔は200μmとした。また、シリコンウエハの周縁部(幅10mm)はエッチングしなかった。得られたシリコンメッシュ上のペリクル膜を反射型光学顕微鏡および透過型光学顕微鏡にて観察したところ、シリコンメッシュと接触していない部分のペリクル膜に破れは見られなかった。
(3)EUV照射
支持材未加工のサンプル(サンプル1−A)、及び支持材をメッシュ加工したサンプル(サンプル1−B)のペリクル膜に、それぞれ以下の条件でEUVを照射した。
ペリクル膜側から、EUV照射装置(ニュースバル(施設名) BL−10、兵庫県立大)にて、波長13.5nmの光(EUV)を照射した。照度は150mW/cm、照射時間は30分とし、EUVの照射方向は膜面に対して垂直方向とした。入射光強度の半値全幅から求めたビームサイズは0.15mm×0.8mmであった。
EUV照射後のサンプル1−Aについて、以下の方法で、EUV照射部の変色の確認、EUV照射後のラマンスペクトルの変化、XPS測定値の変化を確認した。結果を表1に示す。また、図6に、XPSで測定されたスペクトル(EUV照射前及びEUV照射後)を示す。
一方、EUV照射後のサンプル1−Bについて、以下の方法でEUV照射部の変色の確認、EUV透過率の測定、EUV透過率安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
(3−1)外観観察(変色の評価)
サンプル1−A及びサンプル1−Bについて、EUV照射前後で、ペリクル膜に変色が生じているかを、反射型光学顕微鏡にて観察した。評価は以下のように行った。
EUVを照射した領域に、変色が一切見られなかった:○
EUVを照射した領域に、変色が見られた:×
(3−2)ラマンスペクトルの変化
サンプル1−AのEUVが照射された領域について、ラマンスペクトル測定し、2Dバンドの強度(I(2D))とGバンドの強度(I(G))の比(I(2D)/I(G))を求めた。ラマンスペクトルの測定方法、及び強度比の算出方法は、前述の方法と同様とした。そして、下記の基準で、EUV照射前後におけるDLC膜のEUVに対する安定性を評価した。当該変化が大きいことは、膜の組成、または膜を構成する炭素原子の結合状態が変化したことを示す。
EUVを照射後と照射前で、Gバンドと2Dバンドとの強度比の変化が5%以下:○
EUVを照射後と照射前で、Gバンドと2Dバンドとの強度比の変化が5%を超えた:×
(3−3)XPS測定値の変化
炭素を含む膜では、XPSスペクトルのC1sピークの中に、sp2結合由来のピーク(284eV)、とsp3結合由来のピーク(285eV)とが観察される。
そこで、サンプル1−Aについて、EUV照射前のDLC膜のC1sピーク(284eVのピーク強度と285eVのピーク強度との比)と、EUV照射後のDLC膜のC1sピークとを比較し;膜を構成する炭素原子の結合状態が変化したかを確認した。
XPSスペクトルは、X線光電子分光装置(KRATOS社製 AXIS−Ultraシリーズ 分析面積 120μm)にて取得した。そして、下記の基準で、ペリクル膜のEUVに対する安定性を評価した。
EUVの照射前後で、C1sスペクトルの変化が5%以下:○
EUVの照射前後で、C1sスペクトルの変化が5%を超えた:×
(3−4)EUV透過率の測定
サンプル1−Bのペリクル膜を透過するEUVを、フォトダイオードで検出し;このときの電流値からEUV透過率を求めた。具体的には、サンプルを設置していない状態で検出された電流値(入射光強度I)と、サンプルを設置した状態で検出された電流値(透過光強度I)から、下記式(2)に従ってEUV透過率Trを求めた。サンプル設置後の電流値の検出は、EUV照射開始直後に行った。
Tr≡I/I・・・(2)
(3−5)EUV透過率の安定性評価
サンプル1−Bについて、EUV照射中のEUV透過率を、前述の方法で算出した。そして、EUV照射時間tにおける透過率Tr(t)を照射開始直後の透過率Tr(0)で除した規格化透過率(下記式(5)にて求められる値)と定義し、当該規格化透過率の変動を計測した。
規格化透過率 ≡Tr(t)/Tr(0) ・・・(5)
下記基準で、膜のEUV透過率安定性を評価した。
30分間にわたって、規格化透過率の変動が3%未満:○
30分間にわたって、規格化透過率の変動が3%以上:×
[実施例2]
(1)ペリクル膜の作製
直径4インチのシリコンウエハ上に、FCVA法(Filtered Cathodic Vacuum Arc法)にて、厚さ100nmのペリクル膜(DLC(ta−C)膜)を成膜した。得られたペリクル膜について、実施例1と同様の方法で、組成の特定、屈折率測定、ラマンススペクトル測定を行った。結果を表1に示す。
(2)EUV照射
支持材未加工のサンプル(サンプル2)に、実施例1と同様の条件で、EUVを照射した。当該サンプル2について、EUV照射部の変色の確認、EUV照射後のラマンスペクトルの変化、XPS測定値の変化を確認した。結果を表1に示す。また、図7に、EUV照射前後のラマンスペクトルを示す。
[実施例3]
(1)ペリクル膜の作製
幅5cm、長さ5cmのスライドガラス上に真空蒸着法により厚さ120nmのアモルファスカーボン膜を成膜した。当該スライドガラスを水に浸漬してアモルファスカーボン膜をスライドガラスから剥離した。そして、アモルファスカーボン膜を樹脂製の円形の枠(直径10mm)で掬い取った。アモルファスカーボン膜に破れは見られなかった。得られたペリクル膜について、実施例1と同様の方法で、組成の特定、屈折率測定、ラマンススペクトル測定を行った。結果を表1に示す。
(2)EUV照射
樹脂製の枠で支持されたペリクル膜(サンプル3)に、実施例1と同様の条件で、EUVを照射した。そして、EUV照射部の変色の確認、EUV透過率の測定、EUV透過率安定性、EUV照射後のラマンスペクトルの変化、XPS測定値の変化を確認した。結果を表1に示す。また、図8に、EUV規格透過率の変動を示すグラフを示す。
[実施例4]
(1)ペリクル膜の作製
直径4インチのシリコンウエハ上に、イオンプレーティング法により厚さ100nmのペリクル膜(アモルファス炭化ケイ素膜)を成膜した。ペリクル膜及びシリコンウエハからなる積層体は、2つ準備した。得られたペリクル膜について、実施例1と同様の方法で、組成の特定、屈折率測定、ラマンススペクトル測定を行った。結果を表1に示す。
(2)シリコンウエハ(支持材)の加工
2つのサンプルのうち、一方のサンプルのみ、シリコンウエハ(支持材)をメッシュ状に加工した。シリコンウエハの加工方法は、実施例1と同様である。得られたシリコンメッシュ上のペリクル膜を反射型光学顕微鏡および透過型光学顕微鏡にて観察したところ、シリコンメッシュと接触していない部分のペリクル膜に破れは見られなかった。
(3)EUV照射
支持材未加工のサンプル(サンプル4−A)、及び支持材をメッシュ加工したサンプル(サンプル4−B)のペリクル膜に、実施例1と同様の条件で、それぞれEUVを照射した。サンプル4−Aについて、EUV照射部の変色の確認、EUV照射後のラマンスペクトルの変化、XPS測定値の変化を確認した。結果を表1に示す。一方、サンプル4−Bについて、EUV照射部の変色の確認を行った。結果を表1に示す。また、図9に、XPSで測定されたスペクトル(EUV照射前及びEUV照射後)を示す。
[実施例5]
(1)ペリクル膜の作製
MIKROMASCH社製 高配向熱分解グラファイト(HOPG)膜(グレード:ZYA、Double Side、厚さ2mm)を準備した。当該グラファイト膜のモザイクスプレッドは0.4±0.1であり、密度は2.27g/cmであった。当該グラファイト膜(12mm×12mm×2mm)に、枠形状に切り抜いた粘着テープ(外寸:12mm×12mm、枠の幅:1mm)を貼り付けた。そして、当該粘着テープを当該グラファイト膜から機械的に剥離することによってグラファイト膜を劈開し、厚さ0.24mmのグラファイト膜を得た。グラファイト膜に破れは見られなかった。得られたグラファイト膜をアルミニウム合金A7075製のペリクル枠(外寸:12mm×12mm、枠の幅:1mm)に貼付け、ペリクルを得た。
得られたペリクル膜について、実施例1と同様に組成の特定、及びラマンスペクトル測定を行った。結果を表1に示す。
(2)EUV照射
上記ペリクル膜に、実施例1と同様の条件で、EUVを照射した。そして、EUV照射部の変色の確認、EUV透過率の測定、EUV透過率安定性、EUV照射後のラマンスペクトルの変化、XPS測定値の変化を確認した。結果を表1に示す。
[実施例6]
(1)ペリクル膜の作製
直径4インチのシリコンウエハ上に、SiHClとCとの混合ガスを用いたLPCVD法により、厚さ300nmの多結晶炭化ケイ素膜を成膜した。多結晶炭化ケイ素膜及びシリコンウエハからなる積層体を2つ準備した。得られた多結晶炭化ケイ素膜をCMP法で研磨することで厚さ150nmのペリクル膜とした。得られたペリクル膜について、実施例1と同様の方法で、組成の特定、屈折率測定、ラマンススペクトル測定を行った。結果を表1に示す。
(2)シリコンウエハ(支持材)の加工
2つのサンプルのうち、一方のサンプルについて、KOH水溶液(濃度17%)のエッチング液を用いて80℃でウエットエッチングを行い、500μm×1000μmのペリクル膜を得た。得られたペリクル膜を反射型光学顕微鏡および透過型光学顕微鏡にて観察したところ、シリコンメッシュと接触していない部分のペリクル膜に破れは見られなかった。
(3)EUV照射
上記ペリクル膜に、実施例1と同様の条件で、EUVを照射した。また、実施例1と同様の手法で、上記ペリクル膜についてのEUV照射部の変色の確認、EUV透過率、EUV透過率の安定性の評価を行った。
[比較例1]
銅箔を準備し、当該銅箔上にCH、H、Arの混合ガスを用いてCVD法でグラフェン膜を作製した。得られたグラフェン膜上にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを積層した。当該積層体を希塩酸に浸し、銅箔を溶解除去した。その後、PETフィルムとグラフェンとの積層体を、ヘキサフルオロイソプロパノールに浸漬させて、PETフィルムを溶解除去した。しかし、PETフィルム溶解中にグラフェン膜が破れてしまい、ペリクル膜が得られなかった。
Figure 0006364404
表1に示されるように、実施例1〜6では、EUV照射後のペリクル膜に、変色が見られなかった。また、ラマンスペクトル測定、XPS測定による評価結果も良好であり、EUV照射によって膜が殆ど変質しなかった。さらに、30分間のEUV連続照射を行っても、EUV透過率が殆ど変化しなかった。これらの結果から、DLC膜、アモルファス炭素膜、アモルファス炭化ケイ素膜、グラファイト、多結晶炭化ケイ素は、EUV照射時のエネルギー(光や熱)によって殆ど劣化しなかったと推察される。
なおペリクル照射装置内において、ペリクル膜は、長時間のEUV照射によって高温になる。一方、装置停止後には、室温まで冷却される。したがって、ペリクル膜には、このような温度変化にも耐えうることが要求されるが;DLC膜、アモルファス炭素膜、アモルファス炭化ケイ素膜、グラファイト膜は、前述のように耐熱性や放熱性に優れるため、温度変化によっても劣化し難いと推察される。
ここで、実施例5のグラファイト膜の、波長135nmの光の透過率Trの理論値を、以下の (3)に基づいて算出したところ;透過率Trの理論値は20%であり、上記測定結果とほぼ一致した。
Figure 0006364404
(式(3)中、Iは透過光強度、Iは入射光強度I、dは膜の厚さ(ここでは0.24μm)、ρは密度、μはペリクル膜の質量吸光係数を表す)
つまり、上記式(3)に基づけば、ペリクル膜の厚さを変化させたときの光の透過率Trを予測できる。そこで、上記式(3)に基づいて、厚さ100nmのグラファイト膜及びシリコン膜の波長13.5nmの光の透過率を算出した。算出された透過率は、グラファイト膜が52%であり、シリコン膜が86%であった。同様に、厚さ100nmのグラファイト膜及びシリコン膜の波長6.75nmの光の透過率を算出した。算出された透過率は、グラファイト膜が84%であり、シリコン膜が17%であった。
この結果に基づけば、グラファイト膜からなるペリクル膜は、厚さを100nmとすれば、波長13.5nmの光、及び波長6.75nmの光のいずれの透過率も50%以上となり、EUVの照射効率が良好になることがわかる。
本発明のペリクルは、EUV透過性が高く、また、EUV照射時にペリクル膜が熱的ダメージを受けにくく、さらにEUV照射に対して化学的に安定である。したがって、EUVリソグラフィー用の原版や、光学系を確実に保護するためのペリクルとして、非常に有用である。
10 ペリクル
12 ペリクル膜
13 膜接着剤層
14 ペリクル枠
15 原版用接着剤層
16 通気孔
20、25 フィルター・ウィンドウ
31 EUV光源
32、35、36 多層膜ミラー
33 原版
34 感応基板
37 照明光学系
38 投影光学系

Claims (7)

  1. 波長550nmの光の屈折率nが1.9〜5.0であるペリクル膜と、前記ペリクル膜が貼り付けられたペリクル枠と、を有するペリクルであって、
    前記ペリクル膜は、組成中に炭素を30〜100モル%、水素を0〜30モル%含み、
    前記ペリクル膜のラマンスペクトルにおける、2DバンドとGバンドとの強度比(2Dバンドの強度/Gバンドの強度)が1以下であるか、あるいは、2DバンドとGバンドの強度がそれぞれ0であり、
    前記ペリクル膜は、モザイクスプレッドが5.0以下であるグラファイト膜を含む、ペリクル。
  2. 前記ペリクル膜の厚さが、10〜120nmである、請求項1に記載のペリクル。
  3. 請求項1または2に記載のペリクルの製造方法であって、
    ポリオキサジアゾール、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、ポリアクリロニトリル、およびポリパラフェニレンビニレンからなる群から選ばれる一種以上の樹脂を含む高分子フィルムを焼成、もしくは前記高分子フィルムにX線、γ線、電子線、中性子線、およびイオンビームからなる群から選ばれる一種以上の放射線を照射し、前記ペリクル膜を形成する工程を含む、
    ペリクルの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムが、芳香族ポリイミドを含む、請求項3に記載のペリクルの製造方法
  5. EUV光源と、光学系と、原版とを有するEUV露光装置であって、
    前記原版に、前記EUV光源からの光が前記光学系を介して導かれ、
    前記原版の光入射面に、請求項1または2に記載のペリクルが設置されている、EUV露光装置。
  6. 原版と、前記原版に装着された請求項1または2に記載のペリクルとを含む露光原版。
  7. EUV光源から、請求項に記載の露光原版の前記ペリクル膜を通過させて、前記原版にEUVを照射するステップと、
    前記原版が反射したEUVを、前記ペリクル膜を通過させて感応基板に照射し、感応基板をパターン状に露光するステップと、
    を含む露光方法。
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