JP2004085713A - ペリクル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクルであり、ペリクル膜または接着剤(ペリクル膜とフレームを接着する接着剤)が含フッ素ポリマー(A)からなる。該含フッ素ポリマー(A)は、主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、かつ主鎖の炭素原子が水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなり、高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長100〜200nmの光を用いる露光処理に使用されるペリクルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペリクルとは、半導体装置または液晶表示板を製造する際の一工程であるフォトリソグラフィにおいて、フォトマスクやレチクル(以下これらをマスクという)上に異物が乗り、露光時にパターン欠陥となることを防ぐためにマスクのパターン上に装着される保護膜をいう。通常は接着剤を介してフレーム(枠体)に取り付けられた透明薄膜が、マスク上にマスク面からある距離離して設置される構造を有している。
【0003】
これらが使用される半導体装置や液晶表示板の製造分野では、配線や配線間隔の微細化進展にともない、フォトリソグラフィにおいても、用いられる光源の波長が急速に短波長化している。最小パターン寸法0.3μm以上の従来の露光技術では、i線光源(365nm)を用いたプロセスが主流であり、ペリクルの透明薄膜(以下ペリクル膜という)の材料としてはニトロセルロース系材料が使用されてきた。
【0004】
近年、最小パターン寸法0.3μm未満の配線加工のために、KrFエキシマレーザーが導入されつつあるが、その発振波長は248nmであり、ニトロセルロース系の膜材料では耐久性が不充分である。さらに、エキシマレーザーなどの短波長の光を用いる場合には非結晶性のペルフルオロポリマーが膜材料として有用であることが見い出されている(特許第2951337号明細書や特許第2952962号明細書参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年開発中の最小パターン寸法0.2μm以下の配線加工のためには、100〜200nmの短波長のレーザーとして、波長193nmのフッ化アルゴンエキシマレーザー(以下ArFエキシマレーザーという)、波長157nmのフッ素ガスエキシマレーザー(以下F2エキシマレーザーという)などの使用が提案されている。
【0006】
しかし、これらのレーザーからのレーザー光は非常に高いエネルギーを有するため、前記特許第2951337号明細書記載の非結晶性のペルフルオロポリマーでも充分な耐久性がない。例えば、そこに使用されているペルフルオロポリマーである「CYTOP」(商品名)は、193nmにおいて高い透明性を有するものの、このレーザー光に対する耐久性が実用的でないという問題があった。さらに、170nmより短い波長では光透過性や耐久性が急激に低下し、波長157nmのF2エキシマレーザー光に対する透過性は著しく低い。
【0007】
そのため、F2エキシマレーザー光に対応できるペリクル膜として、例えば特開2001−330943号公報に例示されるような含フッ素ポリマーや、WO200137044に例示されるようなパーフルオロ−1,3−ジオキソール等を含むポリマーがペリクル膜または該ペリクル膜と枠体との接着剤として提案されている。
【0008】
しかしながら、これら含フッ素ポリマーは157nmにて高い透明性を有するものの、耐久性が今一歩であった。また、ペリクル膜とフレームを固定する接着剤においても、レーザー光の迷光や反射光による同様な劣化問題があるため、耐久性の高い接着剤の開発が望まれてきた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本課題を解決するため鋭意検討した結果、ペリクル膜を構成する含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子のある特定の構造が耐久性に悪影響を及ぼすことを見出し本発明を完成させた。すなわち、核磁気共鳴スペクトルから確認される特定の炭素原子の連鎖が100〜200nm(特に150〜180nm)のレーザー光(以下、短波長レーザー光という)に対して耐久性を悪化させる原因であることを突き止めた。したがって、この炭素原子連鎖を実質的にもたない含フッ素ポリマーが短波長レーザー光に対して高い耐久性を有することを見出した。本発明はこの含フッ素ポリマーをペリクル膜または接着剤として用いたペリクルに関する下記発明である。
【0010】
下記含フッ素ポリマー(A)からなるペリクル膜を有することを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
【0011】
ペリクル膜と該ペリクル膜を支持するフレームと該ペリクル膜を該フレームに接着している接着剤からなり、該接着剤が下記含フッ素ポリマー(A)からなることを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
【0012】
ペリクル膜と該ペリクル膜を支持するフレームと該ペリクル膜を該フレームに接着している接着剤からなり、該ペリクル膜および該接着剤が下記含フッ素ポリマー(A)からなることを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
【0013】
含フッ素ポリマー(A):主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、かつ下記(1)および(2)の要件を満たす含フッ素ポリマー。
(1)含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子が、少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる。
(2)高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。
【0014】
本発明のペリクルは、特に波長150〜180nmのエキシマレーザー光による露光処理用のペリクルとして適している。具体的には、波長157nmのF2エキシマレーザー光による露光処理用のペリクルとして適している。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において、「線状の」ポリマーとは、繰り返し単位が線状に多数配列したポリマーであり、繰り返し単位が多数配列した分岐や、繰り返し単位が線状に多数配列した2以上のポリマー部分が末端以外の位置で結合した部分(架橋)を有しない、ポリマーをいう。また、このポリマーの「主鎖」とは、線状ポリマーの線を構成する部分をいう。さらに、このポリマーにおいて主鎖が「炭素原子の連鎖からなる」とは、主鎖が線状に多数配列した炭素原子からなっていることをいう。なお、「側鎖」とは主鎖の炭素原子に結合している原子または原子団(基)をいう。
【0016】
また本発明において、ポリマー中の「脂肪族環構造」とは、炭素原子のみまたは炭素原子と他の原子からなる環状構造を有し、非局在化した不飽和二重結合を有しない環構造をいう。他の原子としては酸素原子が好ましい。環を構成する原子の数は4〜8、特に5〜7、が好ましい。
【0017】
本発明において、炭素原子の連鎖からなる「主鎖に脂肪族環構造を有する」とは、脂肪族環を構成する炭素原子の1個以上が主鎖の炭素原子であることをいう。主鎖の炭素原子は側鎖と結合する結合手を2個有することより、脂肪族環を構成する炭素原子の1個が主鎖の炭素原子である場合はその1個の主鎖の炭素原子に2価の基が結合している(主鎖の炭素原子とこの2価の基より脂肪族環が構成される)。脂肪族環を構成する炭素原子の2個以上が主鎖の炭素原子である場合は、その2個以上の主鎖の炭素原子の内の異なる2個の炭素原子に2価の基が結合している(2価の基が結合している主鎖の2個の炭素原子が隣接している場合はその2個の炭素原子とこの2価の基より脂肪族環が構成され、2価の基が結合している主鎖の2個の炭素原子間にさらに主鎖の炭素原子が存在する場合はそれら3個以上の主鎖の炭素原子とこの2価の基より脂肪族環が構成される)。なお、本発明においてこの2価の基も側鎖という。
【0018】
本発明において、主鎖が炭素原子の連鎖からなる線状のポリマーは、付加重合性の炭素−炭素二重結合(以下重合性不飽和基という)を有するモノマーの付加重合により得られる。モノマーとしては、重合性不飽和基を1個有するモノマー(以下モノエン系モノマーともいう)または重合性不飽和基を2個以上有するモノマーが使用される。
【0019】
重合性不飽和基を2個以上有するモノマーとしては環化付加重合(以下環化重合という)しうるモノマーが使用されれる。重合性不飽和基を2個以上有するモノマーとしては、特に、重合性不飽和基を2個有する環化重合しうるモノマーが好ましい。重合性不飽和基を3個以上有する環化重合しうるモノマー(3個以上の重合性不飽和基の内通常は2個の重合性不飽和基が環化重合する)を使用することもできるが、通常重合性不飽和基を2個以上有する環化重合しうるモノマー以上の利点はなく、本発明において好ましいモノマーでもない。また、重合性不飽和基を2個以上有しかつ環化重合しないモノマーも使用できるが、本発明においてはこのようなモノマーは環化重合しうるモノマーやモノエン系モノマーに比較して特に有利な点はなく、好ましいモノマーでもない。以下、特に言及しない限り、環化重合しうる重合性不飽和基を2個有するモノマーを環化重合しうるジエン系モノマーまたは単にジエン系モノマーという。
【0020】
上記主鎖が炭素原子の連鎖からなる線状のポリマーにおいて、主鎖の炭素原子は重合性不飽和基を構成する炭素原子からなる。すなわち、モノエン系モノマーの重合性不飽和基の2個の炭素原子およびジエン系モノマーの2個の重合性不飽和基の4個の炭素原子が主鎖を構成する炭素原子となる。
【0021】
「主鎖に脂肪族環構造を有する」ポリマーは、繰り返し単位の少なくとも一部として脂肪族環構造を有する繰り返し単位を含み、かつその脂肪族環構造を有する繰り返し単位に含まれる2個または4個の主鎖の炭素原子(上記のようにモノマーにおいて重合性不飽和基を構成していた炭素原子)の1個以上は前記のように脂肪族環を構成する炭素原子である。脂肪族環構造を有する繰り返し単位となるモノエン系モノマーは、脂肪族環を有するモノエン系モノマーの1種からなり、脂肪族環を構成する炭素原子の隣接した2個の間に重合性不飽和基を有する環状脂肪族系化合物であるか、脂肪族環を構成する炭素原子と脂肪族環外の炭素原子との間に重合性不飽和基を有する環状脂肪族系化合物である。
【0022】
脂肪族環構造を有する繰り返し単位となるジエン系モノマーは、環化重合により脂肪族環を形成するジエン系モノマーであり、ジエン系モノマー自体としては脂肪族環構造を有しない化合物であってよい。このようなジエン系モノマーは2個の重合性不飽和基とそれらの重合性不飽和基の炭素原子を連結する連結基部分とからなる。重合性不飽和基の炭素原子をC1a、C1b、C2a、C2bとし、2個の重合性不飽和基をC1a=C1b、C2a=C2bで表すと(分子末端側の炭素原子をC1a、C2aとし、C1bとC2bが連結基を介して結合しているとする)、環化重合によりC1aとC2aの結合、C1aとC2bの結合、C1bとC2aの結合またはC1bとC2bの結合により脂肪族環が形成される(後記式(10−2)〜(10−4)参照)。この内C1aとC2aが結合する場合はC1a、C1b、C2a、C2bおよび連結基の原子により脂肪族環が形成され、他の繰り返し単位に結合する結合手はC1bとC2bに形成される。C1aとC2bが結合する場合はC1a、C1b、C2bおよび連結基の原子により脂肪族環が形成され、他の繰り返し単位に結合する結合手はC1bとC2aに形成される。C1bとC2aが結合する場合はC1b、C2a、C2bおよび連結基の原子により脂肪族環が形成され、他の繰り返し単位に結合する結合手はC1aとC2bに形成される。C1bとC2bが結合する場合はC1b、C2bおよび連結基の原子により脂肪族環が形成され、他の繰り返し単位に結合する結合手はC1aとC2aに形成される。
【0023】
ジエン系モノマーの環化重合において、これら4種の結合の内どの結合が起こりやすいかはジエン系モノマーの種類により変りうるが、通常のジエン系モノマーではC1aとC2aの結合は起こりにくい。他の3種の結合の起こりやすさもジエン系モノマーの種類により変化すると考えられる。したがって、1種のみのジエン系モノマーの環化重合によって生じる脂肪族環構造を有する繰り返し単位の構造は2種以上となり得る。なお、上記のように、繰り返し単位中のC1a、C1b、C2aおよびC2bは主鎖を構成する炭素原子であり、そのうち2〜4個の炭素原子が脂肪族環を構成する炭素原子となる。
【0024】
以上説明した主鎖となる炭素原子を脂肪族環の構成炭素原子とする脂肪族環を含有する繰り返し単位を以下、脂肪族環繰り返し単位という。
【0025】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は、主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーである。含フッ素ポリマーであることより、ポリマー中の繰り返し単位の少なくとも一部はフッ素原子を有する繰り返し単位である。フッ素原子は、主鎖の炭素原子または側鎖の炭素原子の少なくともいずれかに結合している。特に脂肪族環繰り返し単位がフッ素原子を含むことが好ましい。また、含フッ素ポリマー(A)は脂肪族環繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下非脂肪族環繰り返し単位という)を含んでいてもよい。非脂肪族環繰り返し単位はフッ素原子を有していてもよく、主鎖となる炭素原子を環の構成原子として含まない脂肪族環を有していてもよい。
【0026】
含フッ素ポリマー(A)中の非脂肪族環繰り返し単位は通常前記特定の脂肪族環含有モノエン系モノマー以外のモノエン系モノマーに由来する繰り返し単位である。このモノエン系モノマーは、前記特定の脂肪族環含有モノエン系モノマー以外の脂肪族環含有モノエン系モノマー(脂肪族環の構成原子として重合性不飽和基の炭素原子を含まないもの)であってもよいが、脂肪族環を有しないモノエン系モノマーが好ましい。以下、脂肪族環含有モノエン系モノマーとは、特に言及しない限り、前記特定の脂肪族環含有モノエン系モノマー(すなわち、脂肪族環を構成する炭素原子の隣接した2個の間に重合性不飽和基を有する環状脂肪族系化合物、および、脂肪族環を構成する炭素原子と脂肪族環外の炭素原子との間に重合性不飽和基を有する環状脂肪族系化合物)をいう。また、以下、コモノマーとは、この脂肪族環含有モノエン系モノマー以外のモノエン系モノマーをいう。
【0027】
環化重合しうるジエン系モノマーは、脂肪族環含有モノエン系モノマーや上記コモノマーと共重合することができ、それらモノマーと共重合した場合も環化重合しうるジエン系モノマーは環化重合して脂肪族環繰り返し単位となる。
【0028】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は、脂肪族環含有モノエン系モノマーおよび環化重合しうるジエン系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合して得られるポリマーであるか、これらモノマーの少なくとも1種とコモノマーの少なくとも1種を重合して得られるポリマーである。含フッ素ポリマー(A)はフッ素原子を有するポリマーであることより、原料モノマーの少なくとも1種はフッ素原子を有するモノマーである。特に脂肪族環含有モノエン系モノマーおよび環化重合しうるジエン系モノマーがフッ素原子を有するモノマーであることが好ましい。コモノマーはフッ素原子を有していてもよく、有していなくてもよい。一方、後述のように、含フッ素ポリマー(A)は主鎖の炭素原子に水素原子を有することも必要である。脂肪族環含有モノエン系モノマーや環化重合しうるジエン系モノマーが重合性不飽和基の炭素原子に水素原子を有していてもよく、これらモノマーが該水素原子を有しない化合物である場合は、重合性不飽和基の炭素原子に水素原子を有するコモノマーの使用が必要である。
【0029】
本発明における含フッ素ポリマー(A)はさらに下記(1)および(2)の要件を満たす含フッ素ポリマーである。
(1)含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子が、少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる。
(2)高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。
【0030】
本発明者らは、以前、波長200nm以下の光による露光処理用のペリクルにおけるペリクル膜用材料や接着剤用材料として、水素原子が結合した炭素原子およびフッ素原子等が結合した炭素原子を主鎖に有する含フッ素ポリマー(主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、特に主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマーが好ましい)が、波長200nm以下の光の透過性に優れていることを見い出した(特開2001−330943号公報参照)。
【0031】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は、波長100〜200nmの光の透過性が高いことが必要であることより、この公知の含フッ素ポリマーと同様に、主鎖の炭素原子が少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる必要がある((1)の要件)。この含フッ素ポリマー(A)はまた上記光の透過性を満たすために、側鎖の炭素原子に結合した水素原子が少ないことが好ましい。側鎖の炭素原子には水素原子の代りにフッ素原子が結合していることが好ましく、したがって、含フッ素ポリマー(A)はフッ素含量の高いポリマーであることが好ましい。含フッ素ポリマー(A)中の炭素原子に結合した全水素原子に対する主鎖の炭素原子に結合した水素原子の数の割合は25モル%以上が適当で、50モル%以上が好ましい。より好ましい割合は75モル%以上である。特に好ましい含フッ素ポリマー(A)は、炭素原子に結合した水素原子の実質的にすべてが主鎖の炭素原子に結合した水素原子であるポリマー、すなわち側鎖の炭素原子に結合した水素原子を実質的に含まないポリマーである。
【0032】
また、含フッ素ポリマー(A)における主鎖の炭素原子としては、水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子の合計数に対する水素原子が結合していない炭素原子の数は35〜85%が適当であり、45〜80%が好ましい。水素原子が結合していない炭素原子がこの割合よりも高すぎても低すぎても波長100〜200nmの光の透過性が不充分となり、またこの割合より低すぎる場合は下記のように耐久性が劣るポリマーとなりやすい。
【0033】
さらに、本発明者は、上記公知の含フッ素ポリマーは波長100〜200nmの光の透過性に優れているものの、波長100〜200nmの光に対する耐久性は今だ充分とはいえない状況にあることを見出した。この耐久性が充分ではない点については、波長100〜200nmの光により含フッ素ポリマーの主鎖の切断が起こることが原因であると予想される。主鎖の切断は主鎖の水素原子結合炭素原子の内特定の水素原子結合炭素原子の連鎖構造によって生じると考えられる。本発明者は、その連鎖構造は高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトル(以下、核磁気共鳴スペクトルともいう)で確認することができ、該核磁気共鳴スペクトルにおいて、2.8ppmより高磁場側(数値に小さい側)にシグナルが現れる含フッ素ポリマーは耐久性が充分ではないことを見出した。2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルにより、そのシグナルを現す水素原子(プロトン)の全水素原子の数に対する割合を定量することができる。本発明における含フッ素ポリマー(A)はこの特定の水素原子の割合が6モル%以下であることが必要である((2)の要件)。この割合が6モル%を超える含フッ素ポリマーは波長100〜200nmの光に対する耐久性が不充分である。
【0034】
より好ましい含フッ素ポリマー(A)は上記特定の水素原子の割合が5モル%以下、特に3モル%以下、である含フッ素ポリマーである。最も好ましい含フッ素ポリマー(A)は2.8ppmより高磁場側にシグナルが実質的に現れない含フッ素ポリマーである。
【0035】
核磁気共鳴スペクトルで検出される水素原子は主鎖の炭素原子に結合した水素原子と側鎖の炭素原子に結合した水素原子であり、両者の水素原子を区別することは困難である。したがって、上記特定の水素原子が主として側鎖に存在する場合は含フッ素ポリマーの主鎖の切断に直接影響しているとはいえないことも考えられる。しかし、本発明における含フッ素ポリマー(A)は前記のように側鎖の炭素原子に結合した水素原子の少ないポリマーであることが好ましい。したがって、側鎖の炭素原子に結合した水素原子が少ないポリマーにおいては、上記特定の水素原子が少ないことは主鎖の切断によると考えられるポリマーの耐久性と充分に関連していると考えられる。また、側鎖の切断も含フッ素ポリマーの耐久性低下の原因の1つとなると考えられることより、たとえ側鎖の炭素原子に結合した水素原子がある程度存在するポリマーにおいても上記特定の水素原子が少ないポリマーは耐久性が高くなると考えられる。
【0036】
核磁気共鳴スペクトルにおいて2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルは、水素原子が結合した炭素原子の特定の連鎖構造を表していると考えられる。その連鎖構造は以下のようなものであると考えられ、またこのような連鎖構造部分が波長100〜200nmの光により炭素原子間の切断を起こしやすいことも理論的に理解できる。
【0037】
上記特定の連鎖構造とは下記Ch炭素原子2個の連鎖(ただしその連鎖に隣接する炭素原子は特定の水素原子結合炭素原子である場合)および下記Ch炭素原子3個以上の連鎖である。Ch炭素原子とは、以下、−CH(R1)−(ただし、R1は水素原子、または、結合末端がメチレン基である有機基を表す)で表される水素原子とR1が結合した炭素原子をいう。特定の連鎖構造とはCh炭素原子の以下の式(1)、式(2)で表される構造をいう。なお、R2はR1以外の原子や有機基を表し、たとえばフッ素原子やペルフルオロアルキル基などがある。ただし、水素原子が結合していない炭素原子に結合した結合末端がメチレン基である有機基はR2である。また、ChはCh炭素原子を表し、mは3以上の整数を表す。
【0038】
【化1】
【0039】
R1は通常水素原子である。R1が有機基でかつ上記式(1)および(2)において炭素原子が主鎖の炭素原子である場合、R1は水素原子を有する側鎖であり、前記のように含フッ素ポリマー(A)では好ましい側鎖ではない。含フッ素ポリマー(A)において水素原子以外のR1は通常メチル基である。R2は、通常、フッ素原子、ペルフルオロアルキル基、または水素原子を有しない2価の有機基である。この水素原子を有しない2価の有機基としては、通常、片末端、両末端、または炭素原子間に酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基である。上記式(1)が示すように、Ch炭素原子2個の連鎖に隣接する片側または両側の炭素原子が水素原子が結合していない炭素原子である場合には、上記特定の連鎖構造ではない。なお、モノマーの重合性不飽和基の2個の炭素原子の内重合によりCh炭素原子となる炭素原子も以下Ch炭素原子という。また、上記式(1)や式(2)で表されるCh炭素原子の特定構造部分を以下Chブロックという。
【0040】
核磁気共鳴スペクトルにおける2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルは、水素原子結合炭素原子2個(ただし少なくとも一方はCh炭素原子)で挟まれたCh炭素原子に結合した水素原子の存在を表していると考えられる。したがって、2.8ppmより高磁場のシグナルを測定、定量することにより、Chブロックの存在やその量を検出できる。一方、含フッ素ポリマー(A)にChブロックが存在すると、波長100〜200nmの光によりその連鎖部分の炭素−水素結合が解離し易くなると考えられる。この解離の結果、その連鎖部分の水素原子が引き抜かれて主鎖の炭素原子間に不飽和基が生成し、この不飽和基が主鎖切断の原因になると予想される。
【0041】
上記式(1)や式(2)で表されるChブロックの炭素原子が主鎖の炭素原子を表す場合、mは3または4であり、それらのChブロックは2個の重合性不飽和基から形成される。重合性不飽和基にCh炭素原子を有するモノエン系モノマーとしては以下の式(3)〜式(5)の構造を有するモノマーがある。また、重合性不飽和基の炭素原子に水素原子を有しかつCh炭素原子を有しないモノエン系モノマーとしては以下の式(6)、式(7)の構造を有するモノマーがある。重合性不飽和基の炭素原子に水素原子を有しないモノエン系モノマーとしては以下の式(8)の構造を有するモノマーがある。以下、各式で表されるモノマーをモノマー(3)等という。なお、1分子中の2個のR1(または2〜4個のR2)は互いに異なっていてもよい。たとえば、R1がいずれも水素原子、R2がいずれもフッ素原子の場合、上記式(3)〜(8)で表されるモノマーの具体例としては、順に、エチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンがある。
【0042】
【化2】
【0043】
モノマー(3)〜(8)のホモポリマーの場合、モノマー(3)のホモポリマーは常にChブロックを有し、モノマー(4)のホモポリマーはChブロックを有することがあり、モノマー(5)〜(8)の各ホモポリマーはすべてChブロックを有しない。たとえば、モノマー(4)のホモポリマーにおいては、その2分子間の結合がCh炭素原子とCh炭素原子でない炭素原子との間で生じる頭−尾結合の場合とCh炭素原子の間で生じる頭−頭結合の場合があり、後者の場合にChブロックが生じる。
【0044】
モノマー(3)のコポリマーの場合(モノマー(3)と他のモノマーが交互に結合するとする)、モノマー(4)、(5)または(6)とのコポリマーでは常にChブロックが生じ、モノマー(7)とのコポリマーではChブロックが生じる可能性があり、モノマー(8)とのコポリマーではChブロックは生じない。ただし、モノマー(3)が2分子以上連結する可能性がある場合にはモノマー(3)とモノマー(8)とのコポリマーであってもChブロックを生じることがある。
【0045】
モノマー(4)のコポリマーの場合(モノマー(4)とモノマー(5)〜(8)のいずれかが交互に結合するとする)、モノマー(5)〜(8)とのいずれのコポリマーでもChブロックが生じることはない。ただし、モノマー(4)が2分子以上連結するとChブロックが生じる可能性があることより、これらコポリマーではChブロックが生じる可能性がある。
【0046】
モノマー(5)のコポリマーの場合(モノマー(5)とモノマー(6)〜(8)のいずれかが交互に結合するとする)はChブロックが生じることはなく、モノマー(5)が2分子以上連結してもChブロックが生じることはないことよりこれらコポリマーにおいてChブロックが生じることはない。なお、モノマー(6)とモノマー(7)またはモノマー(8)とのコポリマー、およびモノマー(7)とモノマー(8)とのコポリマーはCh炭素原子がないことよりChブロックは生じない。
【0047】
上記ホモポリマーやコポリマーにおいて、常にChブロックが生じるモノマーの組み合わせは不適当である。後述の後フッ素化法でポリマー中の水素原子の一部をフッ素原子に変換してChブロックの量を低減できるが、多量のChブロックを有するポリマーを後フッ素化法でChブロックの少ないポリマーとすることは困難である(含フッ素ポリマー(A)はある程度以上の水素原子の存在を必要とするから)。
【0048】
一方、含フッ素ポリマー(A)は主鎖の炭素原子として水素原子が結合していない炭素原子が必要であることより、モノマー(5)またはモノマー(7)のホモポリマーや他のモノマーとのコポリマー、またはモノマー(8)と他のモノマーとのコポリマーである必要がある。したがって、含フッ素ポリマー(A)としては、モノマー(5)のホモポリマーもしくはモノマー(5)とモノマー(6)〜(8)のいずれかとのコポリマー、モノマー(6)とモノマー(7)もしくは(8)とのコポリマー、または、モノマー(7)のホモポリマーもしくはモノマー(7)とモノマー(8)とのコポリマーがあり、これらの場合にはChブロックは生じない。また、モノマー(3)とモノマー(7)もしくは(8)とのコポリマー、または、モノマー(4)とモノマー(5)、(7)もしくは(8)とのコポリマーにおいてはChブロックを生じる可能性があるが、含フッ素ポリマー(A)が得られる。
【0049】
ジエン系モノマーの場合は、上記モノマー(3)〜(8)の2分子が結合したモノマーであるとみなすことができ、その重合はその2分子の交互共重合とみなすことができる。この2分子はR2同志で連結した構造が好ましい。水素原子ではないR1同志または水素原子ではないR1とR2が連結した構造の場合には側鎖に水素原子が存在する構造となることより好ましいジエン系モノマーとはならない。また、環化重合性の高いジエン系モノマーとしては少なくとも一方の重合性不飽和基は水素原子が結合していない炭素原子2個からなること、すなわちモノマー(8)の構造となること、が好ましい。
【0050】
ジエン系モノマーをモノマー(4)〜(8)の2分子がR2同志で連結した構造で表すと、ジエンモノマー(4)/(8)[モノマー(4)とモノマー(8)がR2で連結した構造のジエン系モノマーを表す、以下同様]、ジエンモノマー(5)/(8)、ジエンモノマー(6)/(8)、ジエンモノマー(7)/(8)、の4種類が好ましいジエン系モノマーである。ジエンモノマー(8)/(8)は水素原子を有しないことより、重合性不飽和基の炭素原子に水素原子が結合しているモノマーと共重合させる場合に使用される。
【0051】
上記4種類のジエン系モノマーのホモポリマーでは、ジエンモノマー(4)/(8)のホモポリマーの場合にChブロックが生じる可能性があり、他の3種類のジエン系モノマーのホモポリマーではChブロックは生じない。上記4種類のジエン系モノマーのうちの異なる2種のジエン系モノマーのコポリマーの場合は、ジエンモノマー(4)/(8)と他のジエン系モノマーのコポリマーにおいてChブロックが生じる可能性があるが、他のジエン系モノマー2種のコポリマーにおいてはChブロックは生じない。
【0052】
上記ジエン系モノマーと前記モノエン系モノマーであるモノマー(3)〜(8)とのコポリマーの場合には、ジエン系モノマーの少なくとも一方の不飽和基とモノエン系モノマーとの組み合わせについて前記したモノエン系モノマー2種の組み合わせと同様に考えることができる。たとえば、モノマー(3)とジエンモノマー(7)/(8)またはジエンモノマー(8)/(8)とのコポリマー、および、モノマー(4)と前記5種のジエンモノマーとのコポリマーではChブロックを生じる可能性がある。一方、たとえば、モノマー(6)とジエンモノマー(4)/(8)の組み合わせにより、ジエンモノマー(4)/(8)が水素原子が結合していない炭素原子を含むことより含フッ素ポリマー(A)を得ることができる。
【0053】
本発明における含フッ素ポリマー(A)はChブロックを生じる可能性のあるモノマーから得られるポリマーであり、しかも前記のように実質的にChブロックを有しないポリマーである。さらに、前記のようにその分子構造から常にChブロックを生じるモノマーから得られるポリマーは好ましくない。Chブロックを生じる可能性のあるモノマーとしては、前記のようにモノマー(3)、モノマー(4)およびジエンモノマー(4)/(8)がある。モノマー(3)はモノマー(7)、モノマー(8)、ジエンモノマー(7)/(8)およびジエンモノマー(8)/(8)と共重合させることにより含フッ素ポリマー(A)が得られ、かつChブロックを生じる可能性がある。モノマー(4)およびジエンモノマー(4)/(8)は、それらモノマーの単独重合やそれらモノマー同志の共重合、モノマー(5)またはジエンモノマー(5)/(8)との共重合、モノマー(7)またはジエンモノマー(7)/(8)との共重合、および、モノマー(8)またはジエンモノマー(8)/(8)との共重合、において含フッ素ポリマー(A)が得られ、かつChブロックを生じる可能性がある。
【0054】
含フッ素ポリマー(A)は、主鎖に脂肪族環を有するポリマーであることより、環化重合しうるジエン系モノマー(以下、ジエンモノマー(a)という)の少なくとも1種を環化重合して得られるホモポリマーまたはコポリマー、ジエンモノマー(a)とコモノマーとのコポリマー、前記特定の脂肪族環含有モノエン系モノマー(重合性不飽和基の少なくとも一方の炭素原子が脂肪族環を構成する炭素原子であるモノマー。以下、モノマー(b)という)の少なくとも1種のホモポリマーまたはコポリマー、モノマー(b)とコモノマーとのコポリマー、または、ジエンモノマー(a)とモノマー(b)と(さらに、コモノマーと)のコポリマーからなる。含フッ素ポリマー(A)中の全繰り返し単位に対する脂肪族環繰り返し単位(すなわち、ジエンモノマー(a)に由来する繰り返し単位とモノマー(b)に由来する繰り返し単位との合計)は、20モル%以上が好ましく、30モル%がより好ましい。最も好ましくは、50モル%以上である。なお、本発明におけるコポリマーとは、2種のモノマーを共重合させた2元系のポリマーばかりでなく、3種以上のモノマーを共重合させた3元系以上のポリマーをも意味する。
【0055】
ジエンモノマー(a)としては、下記式(10)で表されるモノマーが好ましい。
CR11R12=CR13−Q1−CR14=CF2 (10)
ただし、式(10)において、R11、R12、R13、R1 4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または1価の含フッ素有機基を表し、Q1は2価の含フッ素有機基を表す。1価の含フッ素有機基としては炭素数2以下のペルフルオロアルキル基が好ましい。R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であることが好ましい。R13としては、水素原子、フッ素原子または炭素数2以下のペルフルオロアルキル基が好ましく、特に水素原子またはフッ素原子が好ましい。R1 4としては、フッ素原子または炭素数2以下のペルフルオロアルキル基が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0056】
Q1としては、炭素数10以下のエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基が好ましい。エーテル性酸素原子はペルフルオロアルキレン基の一方の末端に存在していてもよく、両末端に存在していてもよく、炭素原子間に存在していてもよい。エーテル性酸素原子を有しないペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数2〜6、一方の末端にエーテル性酸素原子を有するまたは炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数1〜4、両末端にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数1〜3であることがより好ましい。分岐部の炭素原子を除いた炭素原子と酸素原子の合計数は2〜4であることが最も好ましい。
【0057】
Q1としては、2,2−ジフルオロビニル基側末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基、炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基およびエーテル性酸素原子を有しない炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基が好ましい。さらに好ましいQ1は2,2−ジフルオロビニル基側末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基である。
【0058】
上記式(10)で表されるモノマーの内より好ましいモノマーは下記式(11)で表されるモノマーである。
CR11R12=CR13−Rf−O−CR14=CF2 (11)
ただし、式(11)において、R11、R12、R13、R1 4は、上記式(10)に同じものであり、Rfは炭素数1〜4のペルフルオロアルキレン基を表す。Rfとしては分岐を除いて炭素数1〜3のペルフルオロアルキレン基が好ましい。分岐が存在する場合は、分岐はトリフルオロメチル基が好ましく、分岐の数は1〜2が好ましい。
【0059】
なお、前記のようにジエンモノマー(a)の重合性不飽和基の4個の炭素原子をC1a〜C2bで表すと、上記式(10)の側鎖基を除く骨格は下記式(10−1)で表され、そのモノマーの環化重合により生じる繰り返し単位は下記式(10−2)、(10−3)および(10−4)で表される(C1aとC2aが結合して生じる繰り返し単位については省略)。
【0060】
C1a=C1b−Q1−C2b=C2a (10−1)。
【0061】
【化3】
【0062】
式(11)で表されるジエンモノマー(a)の内、前記ジエンモノマー(4)/(8)〜(8)/(8)としては以下の式(11−1)〜(11−6)で表されるジエンモノマーが好ましい。ただし、R15はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、フッ素原子が好ましい。
【0063】
ジエンモノマー(4)/(8):
CH2=CH−Rf−O−CR15=CF2 (11−1)
ジエンモノマー(5)/(8):
CH2=CF−Rf−O−CR15=CF2 (11−2)
ジエンモノマー(6)/(8):
CFH=CH−Rf−O−CR15=CF2 (11−3)
ジエンモノマー(7)/(8):
CF2=CH−Rf−O−CR15=CF2 (11−4)
CFH=CF−Rf−O−CR15=CF2 (11−5)
ジエンモノマー(8)/(8):
CF2=CF−Rf−O−CR15=CF2 (11−6)。
【0064】
ジエンモノマー(a)の具体例としては以下のような化合物が例示できるがこれらに限られない。
CH2=CHCF2CF2OCF=CF2
CH2=CHCF2CF2CF2OCF=CF2
CH2=CHCF2OCF=CF2
CH2=CHCF(CF3)CF2OCF=CF2
CH2=CHCF2OCF2CF=CF2
CH2=CFCF2CF2OCF=CF2
CH2=CFCF(CF3)CF2OCF=CF2
CFH=CHCF2CF2OCF=CF2
CFH=CHCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CHCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CHCF2CF2OCF=CF2
CF2=CHCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFCF2CF2OCF=CF2
CF2=CFCF2CF2CF2OCF=CF2
CF2=CFCF2CF(CF3)OCF=CF2
CF2=CFCF2OCF=CF2
CF2=CFCF(CF3)OCF=CF2
CF2=CFC(CF3)2OCF=CF2
CF2=CFCF(CF3)CF2OCF=CF2
CF2=CFOCF2OCF=CF2
CF2=CFOC(CF3)2OCF=CF2。
【0065】
モノマー(b)としては、下記式(20)または(21)で表されるモノマーが好ましい。
【0066】
【化4】
【0067】
ただし、式(20)、(21)において、R21、R22、R23、R24は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または1価の含フッ素有機基を表し、Q2、Q3は、それぞれ独立に、2価の含フッ素有機基を表す。1価の含フッ素有機基としては炭素数4以下のペルフルオロアルキル基が好ましい。R21、R22は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数2以下のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。R23、R24は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であることが好ましい。
【0068】
Q2、Q3としては、それぞれ独立に、炭素数10以下のエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基が好ましい。エーテル性酸素原子はペルフルオロアルキレン基の一方の末端に存在していてもよく、両末端に存在していてもよく、炭素原子間に存在していてもよい。エーテル性酸素原子を有しないペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数2〜6、一方の末端にエーテル性酸素原子を有するまたは炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数1〜4、両末端にエーテル性酸素原子を有するペルフルオロアルキレン基の場合は炭素数1〜3であることがより好ましい。分岐部の炭素原子を除いた炭素原子と酸素原子の合計数は2〜4であることが最も好ましい。
【0069】
より好ましいQ2は、両末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基であり、特に側鎖として少なくとも1個の炭素数2以下のペルフルオロアルキル基を有する両末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜2のペルフルオロアルキレン基が好ましい。より好ましいQ3は、両末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数4以下のペルフルオロアルキレン基であり、特に側鎖として少なくとも1個の炭素数2以下のペルフルオロアルキル基を有するか有しない両末端にエーテル性酸素原子を有する炭素数2〜3のペルフルオロアルキレン基が好ましい。
【0070】
Q2、Q3が上記のようなエーテル性酸素原子を有していてもよいペルフルオロアルキレン基の場合、式(20)で表されるモノマー(b)は前記モノマー(6)、(7)、(8)となり得るモノマーであり、式(21)で表されるモノマー(b)は前記モノマー(5)、(7)、(8)となり得るモノマーである。しかしながら、モノマー合成の容易さや経済的な入手の容易さを考慮するとR21〜R24は通常フッ素原子またはペルフルオロアルキル基である。したがって、式(20)および(21)で表されるモノマーは通常は前記モノマー(8)である。
【0071】
したがって、上記式(20)、(21)で表されるモノマーの内より好ましいモノマーは下記式(22)、(23)および(24)で表されるモノマーである。なお、下記式において、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32はそれぞれ独立にフッ素原子または炭素数2以下のペルフルオロアルキル基を表す。特に、R26とR27はいずれもトリフルオロメチル基が好ましく、R25、R28〜R32はいずれもフッ素原子であることが好ましい。これらの内で特に好ましいモノマーは、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(2−メチレン−1,3−ジオキソラン)、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)である。
【0072】
【化5】
【0073】
コモノマー(上記ジエンモノマー(a)、モノマー(b)以外のモノマー)としては、炭素数2〜4のオレフィンやフルオロオレフィン、炭素数3〜6のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、炭素数3〜6の(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル)などがある。具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロメチルプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロメチルプロペン、ヘキサフルオロプロピレンなどのフルオロオレフィン、CF2=CFORFで表されるペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)、CH2=CHORFで表される(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテルなどがある(ただし、RFは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を表す)。
【0074】
前記のように、脂肪族環繰り返し単位を与えるモノマーの内Chブロックを生じる可能性のあるモノマーとしては前記ジエンモノマー(4)/(8)があり、そのモノマーとしては前記式(11−1)で表されるジエンモノマーが好ましい。この式(11−1)で表されるジエンモノマーを以下ジエンモノマー(a−1)という。このジエンモノマーは他のモノマーと組み合わせて使用でき、他のモノマーとしてはジエンモノマー(a−1)以外のジエンモノマー(a)、モノマー(b)、コモノマーなどがある。一方、脂肪族環繰り返し単位を与えるモノマーであるモノマー(b)としては、モノマー(8)として以外に適当なモノマーがないことより、このモノマー(8)である式(22)〜(24)で表されるモノマーと式(3)または式(4)で表されるコモノマーとの組み合わせがChブロックを生じる可能性のあるモノマーとなる。式(22)〜(24)で表されるモノマーを以下モノマー(b−1)という。
【0075】
したがって、本発明における含フッ素ポリマー(A)としては、ジエンモノマー(a−1)の1種以上のポリマー、ジエンモノマー(a−1)とモノマー(b−1)とのコポリマー、ジエンモノマー(a−1)とコモノマーとのコポリマーが好ましい。コモノマーとしてはCh炭素原子を1個有するかまたは有しない含フッ素モノエン系モノマーが使用される。次いで好ましい含フッ素ポリマー(A)は、モノマー(b−1)とモノマー(3)であるコモノマーとのコポリマー(ただし、モノマー(b−1)の量は50モル%以上である)またはモノマー(b−1)とモノマー(4)であるコモノマーとのコポリマーである。これらの場合、全モノマーに対するモノマー(b−1)の量は50〜80モル%が好ましい。
【0076】
本発明において最も好ましい含フッ素ポリマー(A)は実質的にジエンモノマー(a−1)のみを重合して得られるホモポリマー、ジエンモノマー(a−1)とモノマー(b−1)とのコポリマー、またはジエンモノマー(a−1)と式(5)もしくは(8)で表されるコモノマーとのコポリマーであって、前記(2)の要件を満たすポリマーである。式(5)で表されるコモノマーとしてはフッ化ビニリデンが好ましく、式(8)で表されるコモノマーとしては、テトラフルオロエチレンやペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。ジエンモノマー(a−1)とモノマー(b−1)とのコポリマーの場合、両モノマーの合計に対するジエンモノマー(a−1)の量は45モル%以上が好ましく、特に50モル%以上が好ましい。また、ジエンモノマー(a−1)と式(5)で表されるコモノマーとのコポリマーの場合、両モノマーの合計に対するジエンモノマー(a−1)の量は30モル%以上が好ましく、特に50モル%以上が好ましい。ジエンモノマー(a−1)と式(8)で表されるコモノマーとのコポリマーの場合、両モノマーの合計に対するジエンモノマー(a−1)の量は45モル%以上が好ましく、特に50モル%以上が好ましい。
【0077】
上記のようなモノマーを用いてChブロックの少ない含フッ素ポリマー(A)を製造する方法としては、モノマーの頭−頭結合が生じにくい重合条件で重合する方法が用いられる。たとえば、比較的低温で重合する方法、モノマー濃度の低い条件で重合する方法、など温和な条件で重合を行って繰り返し単位の頭−頭構造の少ないポリマーを得る方法がある。特に、低温で重合する方法が好ましい。ジエンモノマー(a−1)を用いた重合においては15℃以下の重合温度で重合することにより、前記(2)の要件を満足する含フッ素ポリマー(A)を得ることができる。また、重合温度が余りに低すぎる場合は重合時間が極端に長くなることより、重合温度の下限は−10℃が好ましい。好ましい重合温度は0〜15℃である。モノマー濃度としては5〜50質量%が適当であり、特に5〜20質量%が好ましい。
【0078】
また、上記のようなモノマーを用いて得られる含フッ素ポリマーであってかつ前記(2)の要件を満足しない含フッ素ポリマーであっても、Chブロックが極端に多くない限り後フッ素化法でChブロックを減らすことができ、これによって前記(2)の要件を満足する含フッ素ポリマー(A)を得ることもできる。Chブロックが極端に多くない含フッ素ポリマーは前記Chブロックが生じる可能性のあるモノマーを用いて得られる含フッ素ポリマーであり、上記のモノマーを使用しかつモノマーの頭−頭結合が生じにくい重合条件で重合する方法以外の重合方法で得られた含フッ素ポリマーが好ましい。後フッ素化方法は、このような含フッ素ポリマーを比較的低温でフッ素(F2)、特にフッ素ガス、でフッ素化する方法である。フッ素化温度は50℃以下が好ましく、特に30℃以下が好ましい。含フッ素ポリマーは固体状態でフッ素と接触させてもよく、溶液状態でフッ素と接触させてもよい。
【0079】
後フッ素化では、ポリマー中のCH2CH2部分がCFHCFHに容易に変換され、また他の炭素原子に結合した水素原子もフッ素原子に置換される。したがって、後フッ素化によりポリマー中のChブロックが減少し前記(2)の要件を満足する含フッ素ポリマー(A)が得られる。しかし、フッ素化をさらに進めると炭素原子に結合した水素原子が減少して、ポリマーの光透過性に必要な水素原子結合炭素原子の数が減少する結果となる。フッ素化の程度は前記核磁気共鳴スペクトルの測定で調整することができる。すなわち、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルの検出によりChブロックの量を測定でき、また2.8ppmやそれより低磁場側に現れるシグナルの検出により総水素原子量を測定できるので、これらの測定でChブロックが少なくかつ必要量の水素原子を有する前記(1)および(2)の要件を満足する含フッ素ポリマー(A)を得ることができる。
【0080】
含フッ素ポリマー(A)は通常分子末端に重合開始剤や連鎖移動剤の残基を有する。この残基にChブロックが存在すると含フッ素ポリマー(A)の耐久性にある程度影響を及ぼすおそれがある。そのため、これら残基にもChブロックが存在しないことが好ましい。したがって、重合に使用する重合開始剤や連鎖移動剤としては、Chブロックが存在しない化合物を使用することが好ましく、特に重合開始剤としては炭素原子に結合した水素原子を実質的に有しない化合物が好ましい。重合開始剤としては炭素原子に結合する水素原子の実質的にすべてがフッ素原子に置換された重合開始剤(以下、ペルフルオロ重合開始剤という)が好ましく、特にペルオキシド系のペルフルオロ重合開始剤が好ましい。具体的なペルオキシド系のペルフルオロ重合開始剤としては以下のような化合物がある。
【0081】
(C3F7COO)2
{C3F7OCF(CF3)CF2COO}2
{C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2COO}2
{CF3C(CF3)2O}2
本発明者らはまた含フッ素ポリマー(A)の波長100〜200nmの光に対する耐久性は塩素成分の存在により低下することを見出した。塩素成分とは含フッ素ポリマー(A)中に結合している塩素原子、含フッ素ポリマー(A)中に不純物として含まれる塩素含有化合物や塩素イオンなどを意味する。したがって、含フッ素ポリマー(A)の原料であるモノマーや重合開始剤などは塩素を含まない化合物である必要がある。また、これら原料は不純物として塩素含有化合物や塩素イオンをできるだけ含まない化合物が好ましい。前記モノマー(a)やモノマー(b)は塩素原子が結合した炭素原子が2個連結した化合物から脱塩素反応により重合性不飽和二重結合を形成して製造されることが少なくない。したがって、このような方法で得られたモノマーは重合前に充分精製して塩素成分の少ないモノマーとすることが好ましい。また下記重合媒体などの重合に使用される副原料、重合後の処理に使用される処理媒体、製膜時などに使用される溶媒、含フッ素ポリマー(A)に添加して使用される添加剤なども塩素成分の少ない化合物であることが好ましい。
【0082】
含フッ素ポリマー(A)は上記のような原料を使用して、塊重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの重合法で製造される。特に重合媒体を用いる溶液重合が好ましい。また、前記後フッ素化を行う場合は通常重合後かつ製膜前に行われる。得られた含フッ素ポリマー(A)は必要により精製等を行ってペリクル膜の製造に用いられる。ペリクル膜の製造は通常含フッ素ポリマー(A)を溶媒に溶解した溶液を使用して製造される。上記溶液重合に使用される重合媒体や溶液に使用される溶媒としてはこのポリマーを溶解するものであれば特に限定されないが、含フッ素ポリマー(A)に対する溶解性の高い含フッ素溶剤が好ましい。例えば、以下の含フッ素溶剤を用いうる。
【0083】
ペルフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のポリフルオロ芳香族化合物。ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミン等のポリフルオロトリアルキルアミン化合物。ペルフルオロデカリン、ペルフルオロシクロヘキサン等のポリフルオロシクロアルカン化合物。ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のポリフルオロ環状エーテル化合物。
【0084】
ペルフルオロオクタン、ペルフルオロデカン、2H,3H−ペルフルオロペンタン、1H−ペルフルオロヘキサン等のポリフルオロアルカン類。メチルペルフルオロイソプロピルエーテル、メチルペルフルオロブチルエーテル、メチル(ペルフルオロヘキシルメチル)エーテル、メチルペルフルオロオクチルエーテル、エチルペルフルオロブチルエーテル等のポリフルオロエーテル類。
【0085】
含フッ素ポリマー(A)の溶液からペリクル膜を製造する方法としては、ロールコート法、キャスト法、ディップ法、スピンコート法、水上キャスト法、ダイコート法、ラングミュア・ブロジェット法などの溶液から膜を形成させる方法により基材上にポリマーの薄膜を形成する方法が使用できる。薄膜の厚さは通常0.01〜50μmの範囲から選定される。ペリクル膜の場合は、非常に厳密な膜厚形成が求められるため、スピンコート法がより好ましい。基材としては、シリコンウエハ、石英ガラス等で表面が平坦なものが好ましい。
【0086】
本発明は上記含フッ素ポリマー(A)からなるペリクル膜を有するペリクルであり、波長100〜200nmの光による露光処理に用いられるものである。このペリクルは通常ペリクル膜とフレームとから構成され、好ましくはさらにペリクル膜とフレームは接着剤で接着される。フレームは通常金属、セラミックス、硬質プラスチックなどの材料からなるフレームであり、特にアルミニウムなどの金属からなるフレームが好ましい。ペリクル膜は通常接着剤でフレームに取り付けられる。接着剤はペリクル膜とフレームに接着し得る材料からなり、しかも波長100〜200nmの光に対して耐久性を有する材料からなることが好ましい。露光において接着剤にもこの光が当たり、接着性が低下するおそれがあるからである。接着剤としては波長100〜200nmの光に対してある程度以上の耐久性を有する公知の接着剤を使用しうる。たとえば、前記特開2001−330943号公報やWO0137044に記載の接着剤用含フッ素ポリマーを使用しうる。
【0087】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は波長100〜200nmの光に対して公知の含フッ素ポリマーより高い耐久性を有する。したがって、含フッ素ポリマー(A)は、波長100〜200nmの光による露光処理に用いられるペリクルにおけるペリクル膜とフレームを接着するための接着剤としても使用しうる。この接着剤を使用したペリクルの場合、ペリクル膜の材料は特に限定されず、この接着剤が接着し得る材料からなるペリクル膜をフレームに接着するためにこの接着剤が使用される。好ましくは上記含フッ素ポリマー(A)からなるペリクル膜をフレームに接着するための接着剤として使用される。この場合、ペリクル膜の含フッ素ポリマー(A)と接着剤の含フッ素ポリマー(A)とは必ずしも同一でなくてもよい。
【0088】
含フッ素ポリマー(A)を接着剤として用いる場合、接着性向上に有効な官能基が導入された含フッ素ポリマー(A)を用いることが好ましい。なお、ペリクル膜用の含フッ素ポリマー(A)は光透過性の面から官能基を有しないことが好ましい。
【0089】
官能基含有含フッ素ポリマー(A)の官能基としては、ペリクル膜とフレームに対して接着性を発現しうるものであれば特に制約はなく、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、エステル結合を有する基、アルケニル基、加水分解性シリル基、水酸基、マレイミド基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基などが挙げられる。この官能基としては、通常のフレーム材料であるアルミニウムなどの金属類に対する接着性が良好で、保存安定性に富み、比較的低温でその効果が発現できる観点より、カルボン酸基が特に好適である。
【0090】
含フッ素ポリマー(A)中の官能基の数はポリマー1g当たり0.001〜1ミリモルであることが好ましい。官能基の数が1ミリモルを超える場合は、官能基の有する吸収性が接着剤の耐久性を阻害するおそれがある。
【0091】
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する公知の含フッ素ポリマーに接着性官能基を導入する方法は公知である(特開平4−189880号公報、特開平4−226177号公報、特開平6−220232号号公報、特開平2001−330943号公報等参照)。本発明においてもこの公知の方法で接着性官能基が導入された含フッ素ポリマー(A)を製造できる。例えば、重合で得られるポリマーの末端基を利用する方法、アルコキシカルボニル基を有するモノマーを共重合させ、その後得られたポリマーを加水分解する方法、ポリマーを高温処理してポリマーの側鎖または末端を酸化分解せしめて官能基を形成する方法などがある。
【0092】
さらに、接着剤として使用する含フッ素ポリマー(A)や官能基含有含フッ素ポリマー(A)に、接着性向上のために、シラン系、エポキシ系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤などの接着性向上剤を配合して使用してもよい。また、官能基含有の含フッ素ポリマー(A)をフレーム上に薄くコートした上に官能基を有しない含フッ素ポリマー(A)を配置してペリクル膜と接着を行っても強固な接着力が得られる。
【0093】
【実施例】
次に、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例おいて1H−NMRの測定に使用した高分解能プロトン核磁気共鳴装置は、JEOL α−600(日本電子社製)であり、そのプロトンの共鳴周波数は600MHzである。1H−NMRの測定にはヘキサフルオロベンゼンを溶媒として用い、ロック溶媒として少量の重ヘキサデュウテライズドベンゼン(C6D6)を加えた。ケミカルシフトの標準としては、C6D6中に含まれる微量のベンゼンを用いた。
【0094】
(例1)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−オキサ−5−トリフルオロメチル−1,6−ヘプタジエン[CH2=CHCF(CF3)CF2OCF=CF2]30gおよび1H−ペルフルオロヘキサン80gを窒素置換した内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド17mgを加え、系内を再度窒素で置換した後、0℃で72時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下ポリマー(A−1)という)を24g得た。
【0095】
ポリマー(A−1)の固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.6dl/gであった。ポリマー(A−1)のガラス転移温度は108℃であり、室温ではタフで透明ガラス状のポリマーであり、屈折率は1.34と低かった。ポリマー(A−1)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定した結果を図1に示す。図1に示すように、2.8ppmより高磁場側には明確なシグナルが認められなかった。
【0096】
(例2)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−オキサ−5−トリフルオロメチル−1,6−ヘプタジエン20g、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)7.5gおよび1H−ペルフルオロヘキサン80gを内容積100mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド23mgを加え、系内を再度窒素で置換した後、10℃で72時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下、ポリマー(A−2)という)を15g得た。
【0097】
ポリマー(A−2)の固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.62dl/gであった。ポリマー(A−2)は、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。ポリマー(A−2)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定したところ、2.8ppmより高磁場側には明確なシグナルが認められなかった。
【0098】
(例3)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−オキサ−5−トリフルオロメチル−1,6−ヘプタジエン24g、重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド29mgと1H−ペルフルオロヘキサン70gの混合物を内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を窒素で置換した後、フッ化ビニリデンを4.6g気相部に添加した。その後10℃で72時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下、ポリマー(A−3)という)を11g得た。
【0099】
ポリマー(A−3)の固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.36dl/gであった。ポリマー(A−3)は、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。得られたポリマー(A−3)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定したところ、2.8ppmより高磁場側にはわずかにシグナルが認められた。このスペクトルより算出の結果、この高磁場側シグナルに対応する水素原子の量はポリマー中の全水素原子に対して4.5モル%であった。
【0100】
(例4)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5−ヘキサフルオロ−3−オキサ−5−トリフルオロメチル−1,6−ヘプタジエン30gおよび1H−ペルフルオロヘキサン80gを窒素置換した内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド17mgを加え、系内を再度窒素で置換した後、25℃で40時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下、ポリマー(A−4)という)を25g得た。
【0101】
ポリマー(A−4)の固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.56dl/gであった。ポリマー(A−4)のガラス転移温度は108℃であり、室温ではタフで透明ガラス状の重合体であり、屈折率は1.34と低かった。ポリマー(A−4)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定した結果を図2に示す。図2に示すように、2.8ppmより高磁場側に明確なシグナルが認められた。このスペクトルより算出の結果、この高磁場側シグナルに対応する水素原子の量はポリマー中の全水素原子に対して7モル%であった。
【0102】
得られたポリマー(A−4)の5gをペルフルオロトリブチルアミン95gに溶解し、内容積1000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素にて3回脱気した。その後、系内を減圧にして、窒素ガスにて希釈されたフッ素ガス(20容量%)を0.3MPaの圧力まで仕込んだ。その後20℃から25℃の温度にて1週間撹拌をおこなった。その後、過剰のフッ素ガスをパージし、系内より溶液を取り出し、溶媒を留去する事により、部分的にフッ素化されたポリマー(A−4)を得た。得られた部分フッ素化ポリマー(A−4)を以下、ポリマー(A−5)という。
【0103】
ポリマー(A−5)のガラス転移温度は108℃であり、室温ではタフで透明ガラス状のポリマーであった。ポリマー(A−5)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定した結果を図3に示す。図3に示すように、2.8ppmより高磁場側には図2のような明確なシグナルが認められなかった。また、図1との比較で明らかなように、このポリマーには充分な量の水素原子(主鎖の炭素原子に結合している水素原子)が存在していた。
【0104】
(例5)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン[CH2=CHCF2CF2OCF=CF2]20gおよび1H−ペルフルオロヘキサン40gを内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド20mgを加え、系内を窒素で置換した後、0℃で24時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下、ポリマー(A−6)という)を10g得た。
【0105】
ポリマー(A−6)の固有粘度[η]は、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン中30℃で0.90であった。ポリマー(A−6)のガラス転移点は90℃であり、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であり、屈折率は1.36と低かった。また、ポリマー(A−6)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定したところ、2.8ppm以上の高磁場に明確なシグナルは認められなかった。
【0106】
一方、上記と同じ方法で得たポリマー(A−6)を空気中320℃で3時間熱処理した後に水中に浸漬して変性した。変性されたポリマー(A−6)のIRスペクトル測定によりカルボキシル基のピークが確認され、その量は0.005ミリモル/gであった。この変性された重合体Fを以下接着剤(A−6)という。
【0107】
(例6)[含フッ素ポリマーの合成例]
1,1,2,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−3−オキサ−1,6−ヘプタジエン20gおよび1H−ペルフルオロヘキサン40gを内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。重合開始剤としてビス(ヘプタフルオロブチリル)ペルオキシド20mgを加え、系内を窒素で置換した後、40℃で10時間重合を行った。その結果、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素ポリマー(以下、ポリマー(A−7)という)を15g得た。
【0108】
ポリマー(A−7)の固有粘度[η]は、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン中30℃で0.96dl/gであった。重合体Hのガラス転移点は90℃であり、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であり、屈折率は1.36と低かった。ポリマー(A−7)の1H−NMRスペクトル(600MHz)を測定したところ、2.8ppmより高磁場側に明確なシグナルが認められた。このスペクトルより算出の結果、このシグナルに対応する水素原子の量はポリマー中の全水素原子に対して6.5モル%であった。
【0109】
一方、上記と同じ方法で得たポリマー(A−7)を空気中320℃で3時間熱処理した後に水中に浸漬して変性した。変性されたポリマー(A−7)のIRスペクトル測定によりカルボキシル基のピークが確認され、その量は0.004ミリモル/gであった。この変性されたポリマー(A−7)を以下接着剤(A−7)という。
【0110】
(例8)[ペリクルの作製、評価]
ポリマー(A−1)7gとパーフルオロトリブチルアミン93gとをガラス製フラスコ中に入れて40℃にて24時間加熱撹拌した。その結果、無色透明で濁りのない均一な溶液を得た。この溶液を研磨した石英基板上にスピン速度500rpmにて10秒間、その後2000rpmにて20秒間スピンコートした後、80℃にて1時間、さらに180℃にて1時間加熱処理することにより、石英基板上に均一で透明なポリマー(A−1)の膜が得られた。
【0111】
一方、接着剤(A−6)7gと1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン93gとを上記と同様に処理して得た溶液をアルミニウムフレームのペリクル膜を接着させる面に塗布し、室温で2時間乾燥した。その後、120℃のホットプレート上に接着面を上にしてアルミニウムフレームを載せて10分間加熱し、上記ポリマー(A−1)の膜が形成された石英基板をその膜面がフレームの接着面に接するように重ねて圧着した。その状態で120℃で10分間保持して接着を完結させた。その後、膜を石英基板から剥離して、アルミニウムフレームにポリマー(A−1)からなる膜厚約1μmの均一な自立膜がついたペリクルを得た。
【0112】
ポリマー(A−2)〜(A−5)の各7gをペルフルオロトリブチルアミン各93gに溶解した4種の溶液と接着剤(A−6)を用いて、上記と同じ方法によりアルミニウムフレームに各ポリマーからなる膜厚約1μmの均一な自立膜がついたペリクルを得た。これらの膜の157nmの光の透過率はいずれも98%以上であった。
【0113】
ポリマー(A−2)〜(A−5)の膜を有する各ペリクルについてそれぞれフォトリソグラフィに用いられる157nmを発振するF2エキシマレーザー光を用いて0.1mJ/パルスの強度にて50Hzのサイクルで照射試験を行ったところ、ポリマー(A−2)、(A−3)および(A−5)からなるペリクル膜はそれぞれ10万パルス以上で透過率低下がほとんどなく、それぞれ極めて良好な耐性を示した。一方、ポリマー(A−4)からなるペリクル膜は4万パルス程度で透過率の低下がみられ、耐久性として不充分であった。また、各ペリクルにおいて、膜の剥離はなく、接着剤(A−6)は良好な耐久性を示した。
【0114】
(例9)
ポリマーとしてポリマー(A−4)を用い、接着剤として接着剤(A−7)を用いた以外は例8と同様にしてアルミニウムフレームにポリマー(A−4)からなる厚み1μmの薄膜がついたペリクルを作製した。
【0115】
このペリクルについてフォトリソグラフィに用いられる157nmを発振するF2エキシマレーザー光を用いて0.1mJ/パルスの強度にて50Hzのサイクルで照射試験を行ったところ、ポリマー(A−4)のペリクル膜は4万パルス程度で透過率の低下がみられただけでなく、膜の剥離も見られ、接着剤(A−7)の耐久性も充分ではなかった。
【0116】
【発明の効果】
本発明の含フッ素ポリマー(A)を用いたペリクルは波長100〜200nmの波長領域において透過率が高いだけでなく、今後のより微細な加工に使用されるこの波長のエキシマレーザー光に対して高い耐久性を示す。したがって、次世代のフォトリソグラフィに用いられるペリクルとして優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマー(A−1)の1H−NMRスペクトルスペクトル図。
【図2】ポリマー(A−4)の1H−NMRスペクトルスペクトル図。
【図3】ポリマー(A−5)の1H−NMRスペクトルスペクトル図。
Claims (8)
- 下記含フッ素ポリマー(A)からなるペリクル膜を有することを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
含フッ素ポリマー(A):主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、かつ下記(1)および(2)の要件を満たす含フッ素ポリマー。
(1)含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子が、少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる。
(2)高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。 - ペリクル膜と該ペリクル膜を支持するフレームと該ペリクル膜を該フレームに接着している接着剤からなり、該接着剤が下記含フッ素ポリマー(A)からなることを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
含フッ素ポリマー(A):主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、かつ下記(1)および(2)の要件を満たす含フッ素ポリマー。
(1)含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子が、少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる。
(2)高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。 - ペリクル膜と該ペリクル膜を支持するフレームと該ペリクル膜を該フレームに接着している接着剤からなり、該ペリクル膜および該接着剤が下記含フッ素ポリマー(A)からなることを特徴とする波長100〜200nmの光による露光処理用のペリクル。
含フッ素ポリマー(A):主鎖に脂肪族環構造を有しかつ主鎖が炭素原子の連鎖からなる実質的に線状の含フッ素ポリマーであり、かつ下記(1)および(2)の要件を満たす含フッ素ポリマー。
(1)含フッ素ポリマーの主鎖の炭素原子が、少なくとも1個の水素原子が結合した炭素原子と水素原子が結合していない炭素原子からなる。
(2)高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルに基づく水素原子の数が全水素原子に対して6モル%以下である含フッ素ポリマーである。 - 含フッ素ポリマー(A)が、高分解能プロトン核磁気共鳴スペクトルの測定において、2.8ppmより高磁場側に現れるシグナルを実質的に有しない含フッ素ポリマーである、請求項1、2または3に記載のペリクル。
- 含フッ素ポリマー(A)が、下記式(11−1)で表されるジエン系モノマーの環化重合により生成する繰り返し単位を含む、請求項1、2、3または4に記載のペリクル。
CH2=CH−Rf−O−CR15=CF2 (11−1)
ただし、R15はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、Rfは炭素数1〜4のペルフルオロアルキレン基を表す。 - 含フッ素ポリマー(A)が、下記式(11−1)で表されるジエン系モノマーを環化重合して得られる含フッ素ポリマー、または、下記式(11−1)で表されるジエン系モノマーと重合性不飽和基の炭素原子として水素原子結合炭素原子を有しないかまたは1個有するモノエン系モノマーの1種以上とを共重合(ただし、ジエン系モノマーの重合は環化重合である)して得られる含フッ素ポリマーである、請求項1、2または3に記載のペリクル。
CH2=CH−Rf−O−CR15=CF2 (11−1)
ただし、R15はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、Rfは炭素数1〜4のペルフルオロアルキレン基を表す。 - 含フッ素ポリマー(A)が、重合を15℃以下の温度で行って得られた含フッ素ポリマーである、請求項6に記載のペリクル。
- 含フッ素ポリマー(A)が、(2)の要件を満たさない以外は含フッ素ポリマー(A)と同一の構造を有する含フッ素ポリマーをフッ素化して炭素原子に結合した水素原子の一部をフッ素原子に置換して得られた含フッ素ポリマー(A)である、請求項1、2または3に記載のペリクル。
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