JP7213248B2 - ペリクル複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
EUVリソグラフィー法では、露光パターンを反映したフォトマスク(レチクル、ワーキングマスクなど)で反射させたEUVでレジストを露光する。そして前記フォトマスクには、防塵用の保護膜を備えたペリクル複合体が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。特許文献1及び特許文献2のペリクル複合体1は、図4に示すように、フォトマスク80のパターン形成面に設けられるものであり、防塵膜として機能するペリクル膜25と、該ペリクル膜25の外縁に設けられた枠部40とで構成される。ペリクル複合体1を枠部40側からフォトマスク80に接合することで、パターン形成面を埃から保護することが可能となる。また特許文献1のペリクル膜25はDLCであり、特許文献2のペリクル膜25はグラフェン膜又は黒鉛薄膜であり、これらペリクル膜25と枠部40とは接着剤70で接合されている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 炭素膜(A)と、該炭素膜の片側に面接合された膜部(B)と、前記膜部(B)の外縁に沿って設けられた枠部(C)とを有し、前記枠部(C)を構成する元素が、前記膜部(B)にその構成元素の少なくとも一部として含まれることを特徴とするペリクル複合体。
[2] 前記枠部(C)を構成する元素が、ケイ素、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、チタン、およびタングステンからなる群より選ばれる1種以上である[1]に記載のペリクル複合体。
[3] 前記膜部(B)が、枠部(C)と同じ材質の層であるか、枠部(C)を構成する元素と炭素との両方を含む層であるかの少なくとも1つを満足する[1]又は[2]に記載のペリクル複合体。
[4] 前記炭素膜(A)と前記膜部(B)とが直接接合している[1]~[3]のいずれかに記載のペリクル複合体。
[5] 前記炭素膜(A)が、炭素質膜又はグラファイト膜(A1)である[1]~[4]のいずれかに記載のペリクル複合体。
[6] 前記枠部(C)と同一材料からなる基板(C’)の片面に炭化原料膜(A’)を積層した積層体を加熱して前記炭化原料膜(A’)を炭素膜(A)にした後、前記積層体を基板(C’)側からエッチングし、基板(C’)の外縁をそれ以外の部分よりも厚く残すことで前記枠部(C)を形成する一方、外縁部以外の部分も残して前記膜部(B)を形成する[1]~[5]のいずれかに記載のペリクル複合体の製造方法。
[7] 前記枠部(C)と同一材料からなる基板(C’)の片面に炭化原料膜(A’)を積層した積層体を加熱し、前記炭化原料膜(A’)を、炭素質膜又はグラファイト膜(A1)と、枠部(C)を構成する元素及び炭素の両方を含む層(B2)との2層に変化させて前記炭素膜(A)と前記膜部(B)とを形成した後、
基板(C’)の外縁を前記枠部(C)として残しつつ前記積層体を基板(C’)側からエッチングする[1]~[5]のいずれかに記載のペリクル複合体の製造方法。
[8] 枠部(C)として残す部分以外の基板をエッチングしつつ残し、残した部分を前記層(B2)と合わせて前記膜部(B)とする[7]に記載のペリクル複合体の製造方法。
[9] 前記エッチングによって枠部(C)として残す部分以外の基板(C’)を残さず除去する[7]に記載のペリクル複合体の製造方法。
本明細書で使用する用語の意味を説明する。
(1)極端紫外線(EUV、Extreme Ultra Violet)
本明細書でEUVは、波長が5nm~30nm、好ましくは5nm~13.5nmの光のことを意味する。本発明のペリクル複合体は該EUVによるリソグラフィー法に使用することが好ましい。
ペリクル複合体は、露光パターンを反映したフォトマスクのパターン面を保護するために使用され、ペリクル膜と、該ペリクル膜の外縁に設けられた枠部(ペリクル枠)とで構成される。ペリクル膜の形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形などから適宜選択できる。好ましい形状は、正方形、長方形などの四角形である。
ペリクル複合体の膜部を指す。本発明では、炭素膜(A)と膜部(B)とから構成される。膜部(B)については、後述する。
炭素膜(A)とは、実質的に炭素原子から構成される膜を意味し、本発明では前記ペリクル膜の構成部材として使用される。炭素膜の厚さは、例えば、1000nm以下であり、5nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましく、5nm以上30nm以下であることが特に好ましい。
炭素膜の面積は、例えば、100cm2以上、好ましくは120cm2以上、より好ましくは150cm2以上3000cm2以下である。炭素膜の形状は特に限定されないが、長方形又は正方形であることが好ましく、一辺の長さは例えば10cm以上であり、15cm以上が好ましく、20cm以上であることがより好ましい。波長13.5nmのEUVの炭素膜透過率は、例えば、55%以上97%以下、好ましくは74%以上97%以下、より好ましくは84%以上97%以下である。
炭素膜の表面粗さ(Sa)は、例えば、0.1nm以上、500nm以下である。表面粗さは、0.2nm以上が好ましく、より好ましくは0.5nm以上であり、更に好ましくは1nm以上であり、また200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。なお表面粗さSaは、ISO 25178に基づいて求められる算術平均高さを意味する。表面粗さが小さいほどEUV透過率は向上する。
グラファイト膜の表面粗さ(Sa)は、上述の炭素膜の表面粗さ(Sa)と同様である。
ペリクル枠はペリクル膜に形成される枠部を意味し、ペリクル複合体でフォトマスクを覆う為に使用される。ペリクル枠は、露光装置内とペリクル複合体内の気圧を一定にするため、通気孔を有していてもよい。
前記ペリクル枠の材質としては、セシウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウムなどの炭素膜と層間化合物を形成する元素、ニッケル、ビスマス、鉄などの炭素を溶解(固溶)するか炭素に溶解する元素などであってもよいが、ケイ素、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、チタン、およびタングステンからなる元素を含んでいることが好ましい。ケイ素、モリブデン、チタン、タングステンなどは炭化金属(金属炭化物)を形成する元素であり、ジルコニウム、ニオブなどの炭素原子と反応し難い元素よりも好ましい。これら元素は、枠を構成する元素(ただし、炭素、水素、酸素、窒素を除く)のうち最多元素であることが好ましい。ペリクル枠の材質としては、ケイ素、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、チタン、およびタングステンなどの半金属又は金属が好ましく、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、チタン、およびタングステンなどの金属がより好ましい。
以下、図示例を参照しつつ本発明のペリクル複合体1を詳細に説明する。なお同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。
図1(a)は本発明のペリクル複合体1の一例を示す概略断面図であり、該一例としてのペリクル複合体1(2)は、炭素膜(A)20としての炭素質膜(A1)21と、該炭素膜20(21)の外縁に沿って設けられた枠部(C)40とを有する。また前記ペリクル複合体2は、該炭素膜(A)20の片側(枠部(C)40が存在する側)に面接合された膜部(B)30を備えており、かつ図示例の膜部(B)30は枠部(C)40と同じ材質から構成されかつ枠部(C)40と一体になっている膜部(以下、「同質膜」(B1)という)31である。膜部(B)30(31)と炭素膜(A)20(21)とを面接合させると、両者は直接接合されるため、接着剤を使用しなくても両者間の剥離強度を所定以上に維持できる。また接着剤に帰因する耐久性低下、アウトガス発生などを防止できる。さらに炭素膜20(21)が膜部30(31)によって保護されるため、水素ラジカル耐性を上げることもできる。
膜部(B)30(図示例では、同質膜(B1)31)の外面の表面粗さ(Sa)(すなわち炭素膜(A)20と接していない側の表面粗さ)は、例えば、0.1nm以上1000nm以下、好ましくは0.1nm以上500nm以下、より好ましくは0.1nm以上200nm以下である。表面粗さが小さいほどEUV透過率は向上する。
炭素膜(A)20と膜部(B)30との接合強度は、ペリクル複合体1の製造乃至使用時に両者が剥離しない程度の強度であれば足りる。剥離試験を行った時に界面破壊よりも材料破壊(例えば、炭素膜(A)20の材料破壊)が先に生じる程度の強度であることが好ましい。
炭化金属膜の生成は、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning transmission electron microscopy)測定とエネルギー分散型X線分析(EDS:Energy dispersive X-ray spectrometry)による元素分布のマッピングを用いて測定できる。測定にはレーザーマーカーを用いて数ミリ角に切り出したペリクル複合体を用いる。切り出されたペリクル複合体を、エポキシなどの樹脂に包埋した後に、ペリクル複合体の断面が露出するように樹脂ごと削りだし、断面TEM測定用のサンプルに加工する。断面の削り出しは、断面の形状に影響を与える研磨や切削などの機械的な処理ではなく、例えば集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)や電子ビーム(EB:Electron Beam)、Arイオンビーム(Ar Ion Beam)などの高精度で断面加工を行える手法が望ましい。断面加工されたサンプルに対し、STEM/EDS分析を行い、炭化金属膜の生成確認と膜厚測定を行う。同時に炭素膜と同質膜の確認と膜厚測定を行うことも出来る。
図2は図1(a)~(c)のペリクル複合体2~4の製造方法を説明するための概略フロー図である。この製造例では、まず枠部40と同じ材質を有する基板(C’)45の片面に炭化原料膜(A’)50を積層して第1積層体60を製造する。炭化原料膜(A’)50としては、公知の炭化原料が使用でき、好ましくは上述した芳香族ポリイミド膜が使用可能である。
エッチング法は、基板(C’)45を構成する材料に応じて公知のエッチング法を適宜選択できる。例えば、基板(C’)45がモリブデンなどの場合、25wt%の硝酸水溶液をエッチャントとして用いることが出来る。その他の基板(C’)においても、酸やアルカリ問わず適切な既知のエッチャントを用いてエッチングすることが出来る。またRIE(反応性イオンエッチング)などのドライエッチングプロセスを用いても良い。
なお実施例での各種評価は以下の様にして行った。
ペリクル膜の厚さは、段差計(BrukerVeeco社製:Dektak150)を用いて測定する。1cm×1cmの大きさに切り出した膜を、平滑なガラス基板に貼り付け、膜の4辺とガラス基板の段差を測定し、その平均をペリクル膜の厚さとした。
ペリクル膜のEUV透過率(T)は、波長13.5nmのEUVに対して定められ、(a)炭素膜(A)20(実施例では炭素質膜(A1)21又はグラファイト膜(A1)22)のEUV透過率(Ta)、(b)枠部元素・炭素含有膜(B2)35(実施例では炭化モリブデン膜)の透過率(Tb)、(c)同質膜(B1)31(実施例ではモリブデン膜)の透過率(Tc)の積から算出した。
炭素膜(A)20のうち、(a1)グラファイト膜(A1)22のEUV透過率(Ta=TG[%])は、グラファイト膜(A1)22の膜厚DG(nm)の値を下記式(1)に代入して求めた。式中、0.998は膜を形成するグラファイト層1層(単層グラフェン)の透過率を意味し、0.3354は該グラファイト層1層(単層グラフェン)の厚さ(nm)を意味する。
式:膜厚DG(nm)=Log0.998(TG[%]/100)×0.3354 (1)
EUV透過率は実質的にEUVが透過する光路に存在する炭素の数で規定され、炭素の数は密度で見積もることができる。従って炭素質膜(A1)21のEUV透過率(TC[%])は、グラファイト膜(A1)22の透過率TG[%]、グラファイト膜(A1)22の密度(2.24g/cm3)、炭素質膜(A1)の密度(2.0g/cm3と仮定)を考慮して、下記式によって求まる。式(2)のTGには、炭素質膜(A1)21の厚さを測定し、この炭素質膜(A1)21を仮に同じ厚さのグラファイト膜(A1)であると仮定して上記式(1)を適用して求まるTGの値を採用した。
Ta(%)=TC(%)=TG(%)×2.24/2.0 (2)
炭化モリブデン膜(B2)35のEUV透過率(Tb[%])は、炭化モリブデン膜(B2)35の膜厚Db(nm)の値を下記式(3)に代入して求めた。式中、0.993は炭化モリブデン膜(B2)1nm当たりのEUV透過率(%/nm)を意味する。
膜厚Db(nm)=Log0.993(Tb[%]/100) (3)
モリブデン膜(B1)31のEUV透過率(Tc[%])は、モリブデン膜(B1)31の膜厚Dc(nm)の値を下記式(4)に代入して求めた。式中、0.994はモリブデン膜(B1)1nm当たりのEUV透過率(%/nm)を意味する。
膜厚Dc(nm)=Log0.994(Tc[%]/100) (4)
ペリクル膜を構成する炭素膜(A)20(実施例では炭素質膜(A1)21又はグラファイト膜(A1)22)、枠部元素・炭素含有膜(B2)35(実施例では炭化モリブデン膜)、同質膜(B1)31(実施例ではモリブデン膜)の表面粗さ(Sa)は、レーザー顕微鏡で測定し、ISO 25178に基づいて算出した。レーザー顕微鏡の拡大倍率:50倍、カットオフ値(λc):80μmとした。表面粗さ(Sa)の測定位置は、中心部1箇所と端部4箇所を含む複数箇所を測定し、その平均を、表面粗さ(Sa)とした。
炭素膜(A)20のラマンスペクトルをレーザーラマン顕微鏡で測定した。測定位置は、中心部1箇所と端部4箇所を含む複数箇所であり、それぞれの箇所で1575~1600cm-1付近のグラファイト構造に起因するGバンドの強度(I(G))と、1350~1360cm-1付近のアモルファスカーボン構造に起因するDバンドの強度(I(D))と、その比(I(D)/I(G))を求め、この比(I(D)/I(G))の平均値を炭素膜(A)のD/Gバンド強度比とした。
耐水素ラジカル性は、サムコ社製PC-300ドライクリーナーを用いて、(A)ペリクル膜(炭素膜(A)20、枠部元素・炭素含有膜(B2)35、同質膜(B1)31の合計)の膜厚減少量により評価した。
ペリクル膜が、炭素膜(A)20に加えて、枠部元素・炭素含有膜(B2)35及び同質膜(B1)31などの非炭素膜を有する場合、炭素膜(A)20側が下を向くようにグラウンド電極つきの試験台に配置した。ペリクル膜が炭素膜(A)20のみの場合(前記非炭素膜を有さない場合)、該炭素膜(A)20を前記試験台に配置した。直流阻止コンデンサとRF電源を接続したパワード電極をステージ上部に設置した。以下の条件で、上方からペリクル膜を水素ラジカルに暴露し、炭化金属膜の膜厚減少量を測定し、最上部の膜(実施例の場合は、枠部元素・炭素含有膜(B2)35又は同質膜(B1)31。ペリクル膜が炭素膜(A)のみから構成される比較例の場合は、炭素膜(A))の膜厚減少量を測定し、ペリクル膜の膜厚減少量とした。
[水素ラジカル暴露条件]
試験時の電源出力:100W
プロセスガス流量:100sccm
ガス圧力 :10Pa
処理時間 :30分
ピロメリット酸二無水物、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミンをモル比で2:1:1の割合で混合したポリアミド酸の4.0質量%のジメチルホルムアミド溶液を合成し、スピンコーターを用いて5cm角のモリブデン基板(C’)45(厚さ100μm)上に塗布した。その基板(C’)を125℃、250℃、450℃で各60秒間加熱し、ポリイミド膜(A’)50を備えるモリブデン基板(C’)(第1積層体60)を作製した。なお、基板(C’)上のポリイミド膜(A’)の厚さ80nmであった。
製造例1-1のポリイミド膜(A’)50を備えるモリブデン基板(C’)(第1積層体60)を、窒素雰囲気下、10℃/分の速度で900℃まで昇温し、15分間保った後に自然冷却させ(工程S11)、炭素質膜(A1)21を備えるモリブデン基板(C’)(第2積層体61)を作製した。なお、基板(C’)上の炭素質膜(A1)21の厚さは60nmであった。
製造例1-1のポリイミド膜(A’)50を備えるモリブデン基板(C’)(第1積層体60)を、窒素雰囲気下、10℃/分の速度で1100℃まで昇温し、15分間保った後に自然冷却させ(工程S12)、炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第3積層体62)を作製した。なお、基板(C’)上の炭素質膜(A1)21の厚さは47nmであり、炭化モリブデン膜(B2)35の厚さは7nmであった。
製造例2-2の炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第3積層体62)を、アルゴン雰囲気下、5℃/分の速度で2800℃まで昇温し、20分間保った後に自然冷却させ(工程S21)、グラファイト膜(A1)22と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第4積層体63)を作製した。なお、基板(C’)上のグラファイト膜(A1)22の厚さは13nmであり、炭化モリブデン膜(B2)35の厚さは12nmであった。
製造例2-1の炭素質膜(A1)21を備えるモリブデン基板(C’)(第2積層体61)の基板(C’)側の4辺を、幅10mmの耐水テープで保護した後に、液温20℃の25wt%硝酸に50分間浸して基板(C’)を枠体(C)として一部残すようにウェットエッチングし(工程S13)、3cm角の炭素質膜(A1)21とモリブデン膜(B1)31を備えるペリクル複合体2を作製した。
製造例3-1において、製造例2-1のモリブデン基板(C’)(第2積層体61)の代わりに、製造例2-2の炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第3積層体62)を用いて、炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるペリクル複合体4を作製した。
製造例2-2の炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第3積層体62)の基板(C’)側の4辺を、幅10mmの耐水テープで保護した後に、液温20℃の25wt%硝酸に45分間浸して基板(C’)を枠体(C)として一部残すようにウェットエッチングし、3cm角の炭素質膜(A1)21と炭化モリブデン膜(B2)35とモリブデン膜(B1)31を備えるペリクル複合体3を作製した。
製造例2-3のグラファイト膜(A1)22と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるモリブデン基板(C’)(第4積層体63)の基板側の4辺を、幅10mmの耐水テープで保護した後に、液温20℃の25wt%硝酸に50分間浸して基板(C’)を枠体(C)として一部残すようにウェットエッチングし、3cm角のグラファイト膜(A1)22と炭化モリブデン膜(B2)35を備えるペリクル複合体7を作製した。
25wt%硝酸への浸漬時間を50分から45分に変更する以外は製造例3-4と同様にして、グラファイト膜(A1)22と炭化モリブデン膜(B2)35とモリブデン膜(B1)31を備えるペリクル複合体6を作製した。
製造例3-1の炭素質膜(A1)21とモリブデン膜(B1)31を備えるペリクル複合体2について、各膜の厚さと表面粗さ、炭素質膜(A1)21のラマンスペクトルピーク強度比、ペリクル複合体2の耐水素ラジカル性を評価した。ペリクル膜のEUV透過率は、各膜のEUV透過率の理論値から算出した。結果を表1に示す。
製造例3-2~3-5に開示のペリクル複合体3、4、6、7を用いる以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
基板(C’)を用いない以外は製造例2-1と同様にして炭素質膜(A1)21を製造した。得られた炭素質膜(A1)21の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
基板(C’)を用いない以外は製造例2-3と同様にしてグラファイト膜(A1)22を製造した。得られたグラファイト膜(A1)22の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
20 炭素膜(A)
21 炭素質膜(A1)
22 グラファイト膜(A1)
30 膜部(B)
31 同質膜(B1)
35 枠部元素・炭素含有膜(B2)
40 枠部(C)
Claims (10)
- 炭素膜(A)と、該炭素膜の片側に面接合された膜部(B)と、前記膜部(B)の外縁に沿って設けられた枠部(C)とを有し、前記枠部(C)を構成する元素が、前記膜部(B)にその構成元素の少なくとも一部として含まれ、
前記枠部(C)を構成する元素が、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、チタン、およびタングステンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とするペリクル複合体。 - 前記膜部(B)が、枠部(C)と同じ材質の層であるか、枠部(C)を構成する元素と炭素との両方を含む層であるかの少なくとも1つを満足する請求項1に記載のペリクル複合体。
- 前記炭素膜(A)と前記膜部(B)とが直接接合している請求項1又は2に記載のペリクル複合体。
- 前記炭素膜(A)が、炭素質膜又はグラファイト膜(A1)である請求項1~3のいずれか1項に記載のペリクル複合体。
- 前記炭素膜(A)及び/又は前記膜部(B)の表面粗さが、0.1nm以上、500nm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のペリクル複合体。
- 前記枠部(C)と同一材料からなる基板(C’)の片面に炭化原料膜(A’)を積層した積層体を加熱して前記炭化原料膜(A’)を炭素膜(A)にした後、前記積層体を基板(C’)側からエッチングし、基板(C’)の外縁をそれ以外の部分よりも厚く残すことで前記枠部(C)を形成する一方、外縁部以外の部分も残して前記膜部(B)を形成する請求項1~5のいずれか1項に記載のペリクル複合体の製造方法。
- 前記枠部(C)と同一材料からなる基板(C’)の片面に炭化原料膜(A’)を積層した積層体を加熱し、前記炭化原料膜(A’)を、炭素質膜又はグラファイト膜(A1)と、枠部(C)を構成する元素及び炭素の両方を含む層(B2)との2層に変化させて前記炭素膜(A)と前記膜部(B)とを形成した後、
基板(C’)の外縁を前記枠部(C)として残しつつ前記積層体を基板(C’)側からエッチングする請求項1~5のいずれか1項に記載のペリクル複合体の製造方法。 - 枠部(C)として残す部分以外の基板をエッチングしつつ残し、残した部分を前記層(B2)と合わせて前記膜部(B)とする請求項7に記載のペリクル複合体の製造方法。
- 前記エッチングによって枠部(C)として残す部分以外の基板(C’)を残さず除去する請求項7に記載のペリクル複合体の製造方法。
- 前記炭化原料膜(A’)が芳香族ポリイミド膜である請求項6~9のいずれか1項に記載のペリクル複合体の製造方法。
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