JP5196507B2 - 反射型マスクブランク、反射型マスク及び多層膜反射鏡 - Google Patents

反射型マスクブランク、反射型マスク及び多層膜反射鏡 Download PDF

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Description

本発明は、EUV光(軟X線)を露光光とするEUVリソグラフィーに用いられる反射型マスク、この反射型マスク作製のための反射型マスクブランク、及び上記EUVリソグラフィー、X線顕微鏡、X線望遠鏡、X線分析装置などに使用される多層膜反射鏡に関する。
一般に、EUV光(軟X線)を露光光とするEUVリソグラフィーでは、反射光学系を用いて露光を行う。被転写体としてのウエハに転写されるマスクパターンは、反射型マスクの多層反射膜上に形成された吸収体膜に形成される。吸収体膜が存在する部分はEUV光の反射が少なく、吸収体膜が存在しない部分は露出した多層反射膜により高反射となり、転写されるパターンにコントラストが得られる。
多層反射膜は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を周期的に積層させた多層膜が一般的である。これはEUV露光装置用の多層膜反射鏡でも用いられている。EUVリソグラフィーで用いられる反射型マスクブランクは、基板上に順次、多層反射膜、バッファー膜、吸収体膜、レジスト膜を形成した構成が一般的である。
反射型マスクブランクからの反射型マスクの作製工程は、次のようにして行われる。まず、電子線等による描画後に現像することにより、レジスト膜にレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることにより、吸収体膜に吸収体膜パターンを形成する。吸収体膜パターンの形成後、残存したレジストを酸洗浄等により除去し、その後、欠陥や寸法等についてマスクパターンの検査を行う。その際必要であれば、レーザー光、収束イオンビーム、微小な針等を用いて修正を行う。このようにして反射型マスクを作製する。
反射型マスクブランクは、露光装置等で用いられる光学系の多層膜反射鏡と比較して、その多層反射膜が複数の加熱工程を経ることになる。例えば、反射型マスクブランクの多層反射膜は、レジスト膜の形成では、レジスト塗布後のベーク処理により100℃〜200℃程度に加熱され、また、吸収体膜パターン等を形成する際のドライエッチングでは、イオン衝撃により100℃〜200℃相当の熱にさらされ、その他、レーザー光によるマスク検査や、レーザー光や収束イオンビームによる修正工程でも熱を受けることがある。
更に、反射型マスクブランクから作製される反射型マスクの多層反射膜は、上記作製工程以外にも、前記露光装置等にて用いられる多層膜反射鏡の場合と同様に、露光時においてEUV光が集光するために加熱される。この露光時の熱はEUV光のパワーに依存するが、スループットを考慮するとEUV光のパワーは高い方がよいので、反射型マスクの多層反射膜には高い耐熱性が要求される。
ところで、反射型マスク、反射型マスクブランクまたは多層膜反射鏡では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を積層させて成る多層反射膜が加熱されると、Mo層とSi層の1組分に相当する周期長が変動し、EUV光の各波長における反射率が変動してしまう。この多層反射膜の周期長の変動は、隣接するMo層とSi層が相互に拡散することで発生する。Mo層とSi層の相互拡散は成膜直後において加熱されていない場合も発生するが、成膜後に加熱されることで相互拡散が更に進行し、多層反射膜の周期長が変動する。多くの場合、多層反射膜の周期長は、EUV露光装置での所定の波長域における使用において最大の反射率が得られるよう調整されているため、熱により変動すると多層反射膜の反射率が低下し、また、中心波長等が短波長側にシフトする為、被転写体であるウエハへの転写に好ましからざる影響を与えることになる。また、ウエハへの転写時のスループットが低下することになる。
従来、多層膜反射鏡の多層反射膜において、モリブデン層とシリコン層との上述の相互拡散を防止するために、多層反射膜のモリブデン層とシリコン層との界面に、炭素からなる中間層を介在させたものが提案されている(特許文献1)。
特開平9‐230098号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の多層膜反射鏡における多層反射膜を、製造工程においても熱の影響が甚大な反射型マスクブランク及び反射型マスクに適用した場合、多層反射膜の上述の拡散防止効果は必ずしも十分であるとは言えず、熱の影響で反射率が低下してしまう恐れがある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、反射率の熱的安定性を向上させることができる反射型マスクブランクを提供することにある。
本発明の他の目的は、反射率の熱的安定性が向上した反射型マスクを提供することにある。
本発明の更に目的は、反射率の熱的安定性を向上させることができる多層膜反射鏡を提供することにある。
本発明の第1の態様に係る反射型マスクブランクは、基板と、当該基板上に形成されて露光光を反射する多層反射膜と、当該多層反射膜上に形成されて露光光を吸収する吸収体膜とを有する反射型マスクブランクであって、上記多層反射膜は、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層とを交互に積層した材料から構成され、上記モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層が形成されたことを特徴とするものである。
本発明の第2の態様に係る反射型マスクブランクは、第1の態様に記載の発明において、上記拡散防止層に含まれている炭素(C)の含有量が5〜75at%であることを特徴とするものである。
本発明の第3の態様に係る反射型マスクブランクは、第1または第2の態様に記載の発明において、上記多層反射膜は、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層、もしくはシリコン層/拡散防止層/モリブデン層を一組とし、またはモリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層を一組として複数周期形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第4の態様に係る反射型マスクは、第1乃至第3の態様の何れかに記載の反射型マスクブランクの吸収体膜に、被転写体に対する転写パターンとなる吸収体膜パターンが形成されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の態様に係る多層膜反射鏡は、基板と、当該基板上に形成されて露光光を反射する多層反射膜とを有する多層膜反射鏡であって、上記多層反射膜は、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層とを交互に積層した材料から構成され、上記モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層が形成されたことを特徴とするものである。
第1の態様に記載の発明によれば、多層反射膜にあっては、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層が形成されるので、吸収体膜上へのレジスト膜形成後のベーク処理やマスクパターン形成時の加熱硬化等の加熱処理によっても、多層反射膜のMo層とSi層の相互拡散を効果的に防止することができる。このため、多層反射膜の周期長の減少量を抑制できるので、反射型マスクブランクにおける反射率スペクトルの中心波長の変動を0.1nm以下に抑えることができ、反射型マスクブランクの反射率の低下を防止して、その熱的安定性を向上させることができる。
また、多層反射膜において、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料を、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に介在させることで、多層反射膜の表面の表面粗さを低減できるので、反射型マスクブランクの反射率の低下を防止できるとともに、その上に形成される吸収体膜パターンの形状も良好になる。
第2の態様に記載の発明によれば、拡散防止層に含まれている炭素(C)の含有量を5〜75%とすることにより、熱的安定性の向上及び高い反射率が得られる。
第3の態様に記載の発明によれば、多層反射膜は、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層、もしくはシリコン層/拡散防止層/モリブデン層を一組とし、または、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層を一組として複数周期形成する態様があるが、後者(モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層の場合)の方が、Mo層とSi層の相互拡散を効果的に防止できるため、反射率の熱的安定性の点で好ましい。
第4の態様に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランクを用いて反射型マスクが作製されているので、反射率の熱的安定性が向上し、高反射率で、吸収体膜パターンの形状が良好な反射型マスクを得ることができる。
第5の態様に記載の発明によれば、多層反射膜にあっては、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層が形成されるので、EUV光(軟X線)などの照射による温度上昇よっても、多層反射膜のMo層とSi層の相互拡散を効果的に防止することができる。このため、多層反射膜の周期長の減少量を抑制できるので、多層膜反射鏡における反射率スペクトルの中心波長の変動を0.1nm以下に抑えることができ、多層膜反射鏡の反射率の熱的安定性を向上させることができる。
また、多層反射膜において、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料を、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層との間に介在させることで、多層反射膜の表面の表面粗さを低減できるので、多層膜反射鏡の反射率の低下を防止できる。
尚、上記拡散防止層に含まれている炭素(C)の含有量を5〜75at%とすることにより、熱安定性の向上及び高い反射率が得られる。
尚、上記多層反射膜は、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層、もしくはシリコン層/拡散防止層/モリブデン層を一組とし、または、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層を一組として複数周期形成する態様があるが、後者(モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層の場合)の方が、Mo層とSi層の相互拡散を効果的に防止できるため、反射率の熱的安定性の点で好ましい。
本発明に係る反射型マスクブランクの一実施形態、及びこの反射型マスクブランクを用いて本発明に係る反射型マスクの一実施形態を製造する工程を示す概略断面図である。 図1の反射型マスク及び反射型マスクブランクにおける多層反射膜を示す概略断面図である。 反射型マスクブランクを製造するためのマグネトロンスパッタリング装置の概略構成を示す側断面図である。 図1の反射型マスクを用いてウエハにパターンを転写するパターン転写装置の構成を示す側面図である。 図1の反射型マスク及び反射型マスクブランクにおける多層反射膜の耐熱性の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る反射型マスクブランクの一実施形態、及びこのマスクブランクを用いて本発明に係る反射型マスクの一実施形態を製造する工程を示す概略断面図である。
この図1の反射型マスクの製造に用いる反射型マスクブランク10は、図1(a)に示すように、基板1上に順次、多層反射膜2、バッファー膜3、及び吸収体膜4の各層が形成された構造である。この反射型マスクブランク10の吸収体膜4及びバッファー膜3に所定のマスクパターンを形成することによって、反射型マスク20(図1(d))が得られる。
まず、図1(a)に示す反射型マスクブランク10について説明する。
この反射型マスクブランク10は、上述のように、基板1上に多層反射膜2、バッファー膜3、吸収体膜4が順次形成されたものである。多層反射膜2は露光光を反射し、吸収体膜4は露光光を吸収し、バッファー膜3は、吸収体膜4にパターンが形成されるときに多層反射膜2を保護するものである。
上記多層反射膜2は、一般に、露光光に対する屈折率が相対的に高い材料と、相対的に低い材料とが交互に周期的に積層されて多層膜に形成されたものである。露光光が波長13〜14nmのEUV光(軟X線)の場合、屈折率が相対的に高い材料としてモリブデン(Mo)が、屈折率が相対的に低い材料としてシリコン(Si)がそれぞれ好ましく用いられる。更に、この多層反射膜2は、図2に示すように、これらの交互に積層されるモリブデン(Mo)層6とシリコン(Si)層7との間に拡散防止層8が形成されている。
拡散防止層8は、モリブデン層6とシリコン層7との界面で、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)とが相互に原子レベルで拡散することを防止するものであり、モリブデン又はシリコンの酸化物、窒化物、硼化物、酸化物が好ましい。但し、酸素、窒素及び硼素はEUV光の吸収係数が大きく、多層反射膜2の反射率を低下させることになるので、モリブデン又はシリコンの炭化物が好ましく、特にモリブデンの炭化物、つまりモリブデンと炭素を含む材料が好ましい。具体的には、拡散防止層8に含まれる炭素(C)の含有量を5〜75at%とすることが熱的安定性の向上及び高反射率の点で好ましい。ここで、上記at%は原子%を意味する。
拡散防止層に含まれる炭素の含有量が5at%未満の場合、拡散防止効果が弱まり、熱的安定性が低下するので好ましくなく、75at%を超える場合、多層反射膜の効果が十分に発揮できず、反射率の減少が顕著になり、高反射率が得られなくなるので好ましくない。好ましくは、炭素(C)の含有量は10〜60at%が望ましい。
上記拡散防止層8を含む多層反射膜2の周期構造は、シリコン層7/拡散防止層8/モリブデン層6を一組(1周期)として複数周期(例えば30〜60周期)積層して周期積層9を形成し、またはモリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7を一組(1周期)として複数周期(例えば30〜60周期)積層して周期積層9を形成し、またはモリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7/拡散防止層8を一組(1周期)として複数周期(例えば30〜60周期)積層して周期積層9を形成し、これらの周期積層9の最上層に、この周期積層9を保護するためのキャップ層5を形成したものである。
この多層反射膜2はスパッタリング装置、例えば図3に示すマグネトロンスパッタリング装置11を用いて成膜される。このマグネトロンスパッタリング装置11は、真空チャンバ12内に基板ホルダ13、スパッタリングカソード14A、14B及びシャッター15を備えて構成される。基板ホルダ13は回転可能に設けられると共に、基板1を載置する。また、スパッタリングカソード14A、14Bのそれぞれに、異なる種類のターゲットが装着される。更に、シャッター15は、スパッタリングカソード14Aとスパッタリングカソード14Bのいずれか一方を遮蔽可能とし、基板1上に成膜すべきターゲットが装着されたスパッタリングカソード14Aまたは14Bを開き、他方のスパッタリングカソードを閉じて、この成膜したいターゲットをスパッタリングし、基板1に付着させて成膜する。
例えば、このマグネトロンスパッタリング装置11を用いて、シリコン層7/拡散防止層8(炭化モリブデン層)/モリブデン層6の周期構造を備えた多層反射膜2を成膜する場合には、まず、基板ホルダ13に基板1を装着し、スパッタリングカソード14Aにシリコンターゲットを装着し、スパッタリングカソード14Bにモリブデンターゲットを装着する。そして、真空チャンバ12内をアルゴンガス雰囲気とし、シャッター15によりスパッタリングカソード14Bを覆い、スパッタリングカソード14Aのシリコンターゲットをスパッタリングして基板1にシリコン層7を形成する。次に、マグネトロンスパッタリング装置11内をアルゴンガスと炭化水素ガス(例えば、メタンガス)の混合ガス雰囲気とし、シャッター15によりスパッタリングカソード14Aを覆い、スパッタリングカソード14Bのモリブデンターゲットをスパッタリングして、基板1のシリコン層7上に、モリブテンと炭素の化合物からなる拡散防止層8を形成する。次に、真空チャンバ12内をアルゴンガス雰囲気とし、同様にモリブデンターゲットをスパッタリングして、基板1の拡散防止層8上にモリブデン層6を形成する。
このシリコン層7、拡散防止層8(炭化モリブデン層)、モリブデン層6の3層を一組(1周期)として40周期(120層)積層し、基板1に周期積層9を形成する。最後に、真空チャンバ12内をアルゴンガス雰囲気とし、シャッター15によりスパッタリングカソード14Bを覆ってスパッタリングカソード14Aのシリコンターゲットをスパッタリングし、周期積層9の最上層上に、シリコン層からなるキャップ層5を形成して多層反射膜2を成膜する。
尚、拡散防止層8を形成する際に、真空チャンバ12内に充填される混合ガスのメタンガスに代えて、他の炭化水素ガス、例えばエタンガス、プロパンガスなどを用いてもよい。このメタンなどの炭化水素の供給流量を調整することで、多層反射膜2における拡散防止層8の炭素量が最適化され、この拡散防止層8による拡散防止効果が良好なものとなる。
前記基板1としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましい。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、アモルファスガラス、セラミック、金属の何れでも使用できる。例えばアモルファスガラスであれば、SiO−TiO系ガラス、石英ガラス、結晶化ガラス(β石英固溶体を析出した結晶化ガラス等)を用いることができる。金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)などが挙げられる。また、単結晶シリコン基板を使用することもできる。
また、基板1は、高反射率及び高転写精度を得るために、高い平滑性と平坦性を備えた基板が好ましい。特に、0.2nmRms以下の平滑な表面(10μm角エリアでの平滑性)と、100nm以下の平坦度(142mm角エリアでの平坦度)を有することが好ましい。また、基板1は、その上に形成される膜の膜応力による変形を防止するために、高い剛性を有しているものが好ましい。特に、65GPa以上の高いヤング率を有しているものが好ましい。
なお、平滑性を示す単位Rmsは、二乗平均平方根粗さであり、原子間力顕微鏡で測定することができる。また平坦度は、TIR(Total Indicated Reading)で示される表面の反り(変形量)を表す値で、基板表面を基準として最小自乗法で定められる平面を焦平面とし、この焦平面より上にある基板表面の最も高い位置と、焦平面より下にある基板表面の最も低い位置との高低差の絶対値である。
前記バッファー膜3は、多層反射膜2と吸収体膜4の間に介在されて、吸収体膜4にパターンを形成する際に多層反射膜2を保護するものであり、その材質は、吸収体膜4のパターン形成及び修正時のエッチング環境に耐性を有するものから選択される。その種の材料のうち、例えばCr単体又はCrを主成分とする材料は、膜の平滑性に優れるので好ましい。表面の平滑性は、Crを主成分とする材料の結晶状態を微結晶或いはアモルファスとすることでより優れたものとなる。
Crを主成分とする材料としては、CrとN,O,Cから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む材料を用いる事ができる。窒素を含むことで平滑性に優れ、炭素の添加でドライエッチング耐性が向上し、酸素の添加で膜の低応力化ができるという特徴をそれぞれ有する。具体的には、CrN,CrO,CrC,CrNC,CrNOC等が挙げられる。又、Crを主成分とする材料以外には、SiO、SiON、Ruを主成分とする材料、Rhを主成分とする材料、Tiを主成分とする材料等が挙げられる。このバッファー膜3は、DCスパッタ、RFスパッタ法以外に、イオンビームスパッタ等のスパッタ法で多層反射膜2上に形成することができる。
バッファー膜3の膜厚は、集束イオンビーム(FIB)を用いた吸収体膜パターンの修正を行う場合には、20〜60nm程度とするのが好ましいが、FIBを用いない場合(例えばEB(電子ビーム)を用いる場合)には、5〜15nm程度とすることができる。
前記吸収体膜4は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、タンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体膜4の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等を用いることができる。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができる。
この中でも特に好ましい材料として、例えば、TaとBを含む材料(組成比Ta/Bが8.5/1.5〜7.5/2.5の範囲である)、TaとBとNを含む材料(Nが5〜30at%であり、残りの成分を100とした時、Bが10〜30at%)が挙げられる。これらの材料の場合、容易に微結晶或いはアモルファス構造を得ることが出来、良好な平滑性と平坦性が得られる。
このようなTa単体又はTaを主成分とする吸収体膜4は、マグネトロンスパッタリングなどのスパッタ法で形成するのが好ましい。例えば、TaBN膜の場合、タンタルとホウ素を含むターゲットを用い、窒素を添加したアルゴンガスを用いたスパッタリング法で成膜することができる。スパッタ法で形成した場合には、スパッタターゲットに投入するパワーや投入ガス圧力を変化させることにより内部応力を制御できる。また、室温程度の低温での形成が可能であるので、多層反射膜2等への熱の影響を少なくすることができる。Taを主成分とする材料以外では、例えば、WN、TiN、Ti等の材料が挙げられる。なお、吸収体膜4は、複数層の積層構造としてもよい。吸収体膜4の膜厚は、露光光であるEUV光が十分に吸収できる厚みであれば良いが、通常30〜100nm程度である。
本実施の形態では、反射型マスクブランク10は以上の如く構成され、バッファー膜3を有しているが、吸収体膜4へのパターン形成の方法や形成したパターンの修正方法によっては、このバッファー膜3を設けない構成としてもよい。すなわち、多層反射膜2の上に直接吸収体膜4を設ける構成でもよい。
次に、本実施の形態の反射型マスクブランク10を用いた反射型マスク20の製造工程を説明する。
本実施の形態の反射型マスクブランク10(図1(a)参照)は、基板1上に順次、多層反射膜2、バッファー膜3及び吸収体膜4の各層を形成することで得られ、各層の材料及び形成方法については上述の通りである。
そして、この反射型マスクブランク10の吸収体膜4に吸収体膜パターン22を形成する。まず、吸収体膜4上に電子線用レジストを塗布し、ベーキングを行う。次に、電子線描画機を用いて描画し、これを現像して、所定のレジストパターン21を形成する。形成されたレジストパターン21をマスクとして、吸収体膜4をドライエッチングして、吸収体膜パターン22を形成する(同図(b)参照)。吸収体膜4がTaを主成分とする材料からなる場合、塩素ガスを用いたドライエッチングを用いることができる。なお、熱濃硫酸を用いて、吸収体膜パターン22上に残ったレジストパターン21を除去して、マスク11(同図(c)参照)を作製する。
通常はここで、吸収体膜パターン22が設計通りに形成されているかどうかの検査を行う。吸収体膜パターン22の検査には、例えば波長190nm〜260nm程度のDUV光が用いられ、この検査光が、吸収体膜パターン22が形成されたマスク11上に入射される。ここでは、吸収体膜パターン22上で反射される検査光と、吸収体膜4が除去されて露出したバッファー膜3で反射される検査光とを検出し、そのコントラストを観察することによって検査を行う。
このようにして、例えば、除去されるべきでない吸収体膜4が除去されたピンホール欠陥(白欠陥)や、エッチング不足により吸収体膜4の一部が除去されずに残っているエッチング不足欠陥(黒欠陥)を検出する。このようなピンホール欠陥や、エッチング不足による欠陥が検出された場合には、これを修正する。ピンホール欠陥の修正には、例えば、FIBアシストデポジション法により炭素膜等をピンホールに堆積させるなどの方法がある。また、エッチング不足による欠陥の修正には、FIB照射による不要部分の除去を行うなどの方法がある。このとき、バッファー膜3は、FIB照射に対して、多層反射膜2を保護する保護膜となる。
こうしてパターン検査及び修正を終えた後、露出したバッファー膜3を吸収体膜パターン22に従って除去し、バッファー膜3にパターン23を形成して、反射型マスク20を作製する(同図(d)参照)。ここで、例えばCr系材料からなるバッファー膜3の場合は、塩素と酸素を含む混合ガスでのドライエッチングを用いることができる。バッファー膜3を除去した部分では、露光光の反射領域である多層反射膜2が露出する。露出した多層反射膜2の最上層は、Siを主成分とするキャップ層5により保護されている。
最後に、仕様通りの寸法精度で吸収体膜パターン22が形成されているかどうかの最終的な確認の検査を行う。この最終確認検査の場合も、前述のDUV光が用いられる。ここでは、吸収体膜パターン22上で反射される検査光と、吸収体膜4及びバッファー膜3が除去されて露出した多層反射膜2上で反射される検査光とを検出して検査を行う。なお、上述のバッファー膜3の除去は必要に応じて行えばよく、バッファー膜3を除去しなくても必要な反射率が得られる場合には、バッファー膜3を吸収体膜4と同様のパターン状に加工せず、多層反射膜2上に残すこともできる。また、本実施形態により製造される反射型マスク20は、EUV光を露光光として用いた場合に特に好適であるが、他の波長の光に対しても適宜用いることができる。
次に、得られた反射型マスク20を用いて、図4に示すように、半導体基板(シリコンウェハ33)上にEUV光によってパターン転写装置30による露光転写を行う。反射型マスク20を搭載したパターン転写装置30は、レーザープラズマX線源31、縮小光学系32等の露光装置を有して構成される。縮小光学系32は、多層膜反射鏡34を用いている。この縮小光学系32により、反射型マスク20で反射されたパターンは通常1/4程度に縮小される。尚、露光波長として13〜14nmの波長帯のEUV光(軟X線)を使用するので、光路が真空中になるように予め設定される。
このような状態で、レーザープラズマX線源31から得られたEUV光を反射型マスク20に入射し、ここで反射された光を縮小光学系32の多層膜反射鏡34を通して、シリコンウエハ(レジスト層付き半導体基板)33上に転写する。
反射型マスク20に入射した光は、吸収体膜パターン22が存在する部分では、吸収体膜4に吸収されて反射されず、一方、吸収体膜パターン22が存在しない部分に入射した光は多層反射膜2により反射される。このようにして、反射型マスク20から反射された光により形成される像が縮小光学系32に入射する。縮小光学系32を経由した露光光は、シリコンウエハ33上のレジスト層に転写パターンを露光する。この露光済レジスト層を現像することによって、シリコンウエハ33上にレジストパターンが形成される。
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、次の効果(1)〜(6)を奏する。
(1)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の多層反射膜2にあっては、モリブデン(Mo)層6とシリコン(Si)層7との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層8が形成されるので、吸収体膜4上へのレジスト膜形成後のベーク処理やマスクパターン(吸収体膜パターン22)形成時の加熱硬化等の加熱処理によっても、多層反射膜2のモリブデン層6とシリコン層7の相互拡散を効果的に防止することができる。このため、多層反射膜2の周期長の減少量を、後述の図5の破線A及びBに示すように抑制できるので、反射型マスクブランク10及び反射型マスク20における反射率スペクトルの中心波長の変動を0.1nm以下に抑えることができ、反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の反射率の低下を防止して、それらの熱的安定性を向上させることができる。
(2)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の多層反射膜2において、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層8を、モリブデン(Mo)層6とシリコン(Si)層7との間に介在させることで、多層反射膜2の表面の表面粗さを低減できるので、反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の反射率の低下を防止できるとともに、その上に形成される吸収体膜パターン22の形状も良好になる。
(3)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の多層反射膜2において、モリブデンと炭素を含む材料の拡散防止層8を、モリブデン層6とシリコン層7との間に形成したことから、この拡散防止層8の存在によって多層反射膜2の界面での粗さを低減できる。このため、多層反射膜2の界面の凹凸により生ずる乱反射が原因で被転写体上に転写される転写パターンのコントラストが低下するハロー現象を防止できるので、上記転写パターンのコントラストを増大させることができる。
(4)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の多層反射膜2において、モリブデン層6とシリコン層7との間に、モリブテンと炭素を含む材料からなる拡散防止層8が介在されることで、多層反射膜2の反射率を、上記拡散防止層8が存在しない場合に比べて向上させることができる。これは、拡散防止層8が存在しない多層反射膜2にあってモリブデン層6とシリコン層7との間に拡散により形成されるモリブデンシリサイド(MoSi)に比べ、上記拡散防止層8は、その屈折率がモリブデン(Mo)に近く、このため、シリコン層7と拡散防止層8との間に生ずる反射率が、シリコン層7とモリブデンシリサイド層との間に生ずる反射率に比べて大きくなるので、多層反射膜2全体の反射率が向上するのである。
(5)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の拡散防止層8に含まれる炭素の含有量を5〜75at%とすることにより、熱安定性の向上及び高い反射率が得られる。
(6)反射型マスクブランク10及び反射型マスク20の多層反射膜2は、モリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7、もしくはシリコン層7/拡散防止層8/モリブデン層6を一組(1周期)とし、または、モリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7/拡散防止層8を一組(1周期)として複数周期形成する態様があるが、後者(モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層の場合)の方が、モリブデン層6とシリコン層7の相互拡散を効果的に防止できるため、反射率の熱的安定性の点で好ましい。
次に、他の実施の形態を説明する。
この他の実施の形態は、図4に示すパターン転写装置30における露光装置や、X線顕微鏡、X線望遠鏡、X線分析装置などの光学装置に用いられる多層膜反射鏡34に本発明を適用したものである。つまり、この多層膜反射鏡34は、図1(a)に示す反射型マスクブランク10において、基板1及び多層反射膜2を有する構造であり、この多層反射膜2は、前記実施の形態と同様に、モリブデン層6とシリコン層7との間に、モリブデンと炭素を含む材料からなる拡散防止層8が形成されたものである。そして、この拡散防止層8に含まれる炭素(C)の含有量を5〜75at%とすることが、熱的安定性の向上及び高反射率の点で好ましい。更に、多層反射膜2は、モリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7、もしくはシリコン層7/拡散防止層8/モリブデン層6を一組(1周期)とし、またはモリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7/拡散防止層8を一組(1周期)として複数周期形成されて周期積層9が構成され、この周期積層9の最上層上にキャップ層5が形成される。
従って、この他の実施の形態によっても、前記実施の形態の効果(1)、(2)、(4)〜(6)と同様な効果(7)〜(11)を奏する。
(7)多層膜反射鏡34の多層反射膜2にあっては、モリブデン(Mo)層6とシリコン(Si)層7との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層8が形成されるので、EUV光(軟X線)などの照射による温度上昇よっても、多層反射膜2のモリブデン層6とシリコン層7の相互拡散を効果的に防止することができる。このため、多層反射膜2の周期長の減少量を抑制できるので、多層膜反射鏡34における反射率スペクトルの中心波長の変動を0.1nm以下に抑えることができ、多層膜反射鏡34の反射率の熱的安定性を向上させることができる。
(8)多層膜反射鏡34の多層反射膜2において、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層8を、モリブデン(Mo)層6とシリコン(Si)層7との間に介在させることで、多層反射膜2の表面の表面粗さを低減できるので、多層膜反射鏡34の反射率の低下を防止できる。
(9)多層膜反射鏡34の多層反射膜2において、モリブデン層6とシリコン層7との間に、モリブデン(Mo)と炭素(C)を含む材料からなる拡散防止層8が介在されることで、多層反射膜2の反射率を、上記拡散防止層8が存在しない場合に比べて向上させることができる。これは、拡散防止層8が存在しない多層反射膜2にあってモリブデン層6とシリコン層7との間に拡散により形成されるモリブデンシリサイド(MoSi)に比べ、上記拡散防止層8は、その屈折率がモリブデン(Mo)に近く、このため、シリコン層7と拡散防止層8との間に生ずる反射率が、シリコン層7とモリブデンシリサイド層との間に生ずる反射率に比べて大きくなるので、多層反射膜2全体の反射率が向上するのである。
(10)多層膜反射鏡34の多層反射膜2における拡散防止層8に含まれる炭素の含有量を5〜75at%とすることにより、熱安定性の向上及び高い反射率が得られる。
(11)多層膜反射鏡34の多層反射膜2は、モリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7、もしくはシリコン層7/拡散防止層8/モリブデン層6を一組とし、または、モリブデン層6/拡散防止層8/シリコン層7/拡散防止層8を一組として複数周期形成する態様があるが、後者(モリブデン層/拡散防止層/シリコン層/拡散防止層の場合)の方が、モリブデン層6とシリコン層7の相互拡散を効果的に防止できるため、反射率の熱的安定性の点で好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
シリコン(Si)層/炭化モリブデン(MoC)層/モリブデン(Mo)層を一組(1周期)とし、複数周期形成して多層反射膜を形成した反射型マスクブランク、反射型マスク この反射型マスクブランクの膜構造は、ガラス基板上に、Si層(膜厚:4.0nm)/炭化モリブデン層(膜厚:0.8nm)/Mo層(膜厚:2.2nm)、周期長6.999nmを一組(1周期)として40周期形成し、その上にキャップ層(材料:Si、膜厚:11.0nm)を形成して多層反射膜を成膜する。そして、この多層反射膜の最上層であるキャップ層の上に吸収体膜(材料:TaBN、膜厚:70.0nm)を形成して、反射型マスクブランクを作製した。その後、この反射型マスクブランクの吸収体膜に吸収体膜パターンを形成して、反射型マスクを得た。
これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の炭化モリブデン層の結晶構造は多結晶構造であり、その結晶性は成膜時の圧力、組成で異なる。この結晶性は、X線回折装置、透過型電子顕微鏡等の測定器を用いて測定した。また、これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の表面粗さは、原子間力顕微鏡で測定したところ、0.12nmRmsであった。更に、これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の反射率は、13.4nmのEUV光を入射角度6度で照射したところ65.0%であった。
また、上記反射型マスクブランクスまたは反射型マスクの多層反射膜における周期長及び各層(モリブデン層、シリコン層、炭化モリブデン層)の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、周期長は6.999nmであった。この多層反射膜を、ホットプレートを用いて200℃に加熱し10分間保持した。この試料を室温にて冷却した後、多層反射膜の周期長及び各層の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、多層反射膜の周期長は6.976nmであり、図5の破線Aに示すように、加熱前と比較して0.023nm減少していた。
(実施例2)
モリブデン(Mo)層/炭化モリブデン(MoC)層/シリコン(Si)層/炭化モリブデン(MoC)層を一組(1周期)とし、複数周期形成して多層反射膜を形成した反射型マスクブランク、反射型マスク
この反射型マスクブランクの膜構造は、ガラス基板上に、Mo層(膜厚:2.0nm)/炭化モリブデン層(膜厚:0.8nm)/Si層(膜厚:3.8nm)/炭化モリブデン層(膜厚:0.4nm)、周期長6.999nmを一組 (1周期)として40周期形成し、その上にキャップ層(材料:Si、膜厚:11.0nm)を形成して多層反射膜を成膜する。そして、この多層反射膜の最上層であるキャップ層の上に吸収体膜(材料:TaBN、膜厚:70.0nm)を形成して、反射型マスクブランクを作製した。その後、この反射型マスクブランクの吸収体膜に吸収体膜パターンを形成して、反射型マスクを得た。
これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の炭化モリブデン層の結晶構造は多結晶構造であり、その結晶性は成膜時の圧力、組成で異なる。この結晶性は、X線回折装置、透過型電子顕微鏡等の測定器を用いて測定した。また、これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の表面粗さは、原子間力顕微鏡で測定したところ、0.12nmRmsであった。更に、これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の反射率は、13.4nmのEUV光を入射角度6度で照射したところ64.9%であった。
また、上記反射型マスクブランクスまたは反射型マスクの多層反射膜における周期長及び各層(モリブデン層、シリコン層、炭化モリブデン層)の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、周期長は6.999nmであった。この多層反射膜を、ホットプレートを用いて200℃に加熱し10分間保持した。この試料を室温にて冷却した後、多層反射膜の周期長及び各層の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、多層反射膜の周期長は6.980nmであり、図5の破線Bに示すように、加熱前と比較して0.019nm減少していた。
(比較例1)
シリコン(Si)層/モリブデン層(Mo)を一組(1周期)とし複数周期形成して多層反射膜を形成した反射型マスクブランク、反射型マスク
この反射型マスクブランクの膜構造は、ガラス基板上に、Si層(膜厚:4.4nm)/Mo層(膜厚:2.6nm)、周期長7.0nmを一組(1周期)として40周期形成し、その上にキャップ層(材料:Si、膜厚:11.0nm)を形成して多層反射膜を成膜する。そして、この多層反射膜の最上層であるキャップ層の上に吸収体膜(材料:TaBN、膜厚:70.0nm)を形成して、反射型マスクブランクを作製した。その後、この反射型マスクブランクの吸収体膜に吸収体膜パターンを形成して、反射型マスクを得た。
これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の表面粗さは、原子間力顕微鏡で測定したところ、0.15nmRmsであった。また、これらの反射型マスクブランク及び反射型マスクにおける多層反射膜の反射率は、13.4nmのEUV光を入射角度6度で照射したところ64.9%であった。
また、上記反射型マスクブランクスまたは反射型マスクの多層反射膜の周期長及び各層(モリブデン層、シリコン層)の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、周期長は6.999nmであった。この多層反射膜を、ホットプレートを用いて200℃に加熱し10分間保持した。この試料を室温にて冷却した後、多層反射膜の周期長及び各層の膜厚をエックス線反射スペクトル解析にて算出したところ、多層反射膜の周期長は6.973nmであり、図5の破線Cに示すように、加熱前と比較して0.026nm減少していた。
実施例1〜3の多層反射膜について、加熱による周期長の変動量は、比較例1の多層反射膜と比較して小さくなっており、多層反射膜の耐熱性が向上していることが判る。実施例1及び2では、シリコン層とモリブデン層の間に、モリブデンと炭素を含む層が介在されている。このモリブデンと炭素を含む層が拡散防止層の役割を果たし、多層反射膜の熱による周期長の変動を抑制していることが判る。
1 基板
2 多層反射膜
4 吸収体膜
6 モリブデン層
7 シリコン層
8 拡散防止層
10 反射型マスクブランク
20 反射型マスク
22 吸収体膜パターン
30 パターン転写装置
34 多層膜反射鏡

Claims (7)

  1. 基板と、該基板上に形成されて露光光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に形成されて露光光を吸収する吸収体膜とを有する反射型マスクブランクであって、
    前記多層反射膜は、前記基板側から、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層の順に積層したもの、または、前記基板側から、シリコン層/拡散防止層/モリブデン層の順に積層したものを1周期として複数周期形成した構造であり、
    前記拡散防止層は、多結晶構造の炭化モリブデンからなる
    ことを特徴とする反射型マスクブランク。
  2. 前記拡散防止層に含まれている炭素の含有量が5〜75at%であることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクブランク。
  3. 前記基板は、表面粗さが0.2nmRms以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型マスクブランク。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の反射型マスクブランクの吸収体膜に、被転写体に対する転写パターンとなる吸収体膜パターンが形成されていることを特徴とする反射型マスク。
  5. 基板と、該基板上に形成されて露光光を反射する多層反射膜とを有する多層膜反射鏡であって、
    前記多層反射膜は、前記基板側から、モリブデン層/拡散防止層/シリコン層の順に積層したもの、または、前記基板側から、シリコン層/拡散防止層/モリブデン層の順に積層したものを1周期として複数周期形成した構造であり、
    前記拡散防止層は、多結晶構造の炭化モリブデンからなる
    ことを特徴とする多層膜反射鏡。
  6. 前記拡散防止層に含まれている炭素の含有量が5〜75at%であることを特徴とする請求項5に記載の多層膜反射鏡。
  7. 前記基板は、表面粗さが0.2nmRms以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の多層膜反射鏡。
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