JP6332730B2 - クリーニングブレード、画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
特許文献1、2には、像担持体と接触する先端稜線部を備えるエッジ層を比較的高硬度のゴム材料で形成し、エッジ層よりも低硬度のゴム材料で形成したバックアップ層を有する積層構造のブレード部材を用いたクリーニングブレードが記載されている。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、フルカラー画像を形成するものであって、画像形成部120、中間転写装置160、及び給紙部130から概略構成されている。なお、以下の説明において、添え字Y、C、M、Bkは、それぞれ、イエロー用、シアン用、マゼンタ用、ブラック用の部材であることを示すものである。
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には定着装置30が配置されており、この定着装置30の転写紙搬送方向下流側には、排紙ローラ及び排紙された転写紙を収納する排紙収納部135が配置されている。
プロセスカートリッジ121は、ドラム状の感光体10と、感光体10の周りに配置されたクリーニング装置1、帯電部40及び現像部50とを備えている。
クリーニング装置1は、感光体10の回転軸方向に長尺な短冊形状の弾性部材であるクリーニングブレード5における、感光体の回転方向と直交する方向へ延びるエッジ稜線となっている先端稜線部(以下、エッジ部という)61を感光体10の表面に押しつける。これにより、感光体10表面上の転写残トナー等の不要な付着物を引き離し除去する。除去されたトナー等の付着物は排出スクリュ43によってクリーニング装置1の外に排出される。
現像部(現像装置)50は、感光体10の表面にトナーを供給して静電潜像を可視像化するものであり、現像剤(キャリア、トナー)を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ51を備える。現像部50は、この現像ローラ51と、現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌スクリュ52と、攪拌された現像剤を現像ローラ51に供給しながら搬送する供給スクリュ53と、から主として構成されている。
プリンタ100では、不図示のオペレーションパネルやパーソナルコンピュータ等の外部機器からプリント命令を受け付ける。まず、感光体10を図2の矢印で示す移動方向(回転方向)Aに回転させ、帯電部40の帯電ローラ41によって感光体10の表面を所定の極性に一様帯電させる。帯電後の感光体10に対し、露光装置140は、入力されたカラー画像データに対応して光変調された例えばレーザービーム光を色ごとに照射し、これによって各感光体10の表面にそれぞれ各色の静電潜像を形成する。各静電潜像に対し、各色の現像部50の現像ローラ51から各色の現像剤を供給し、各色の静電潜像を各色の現像剤で現像し、各色に対応したトナー像を形成して可視像化する。
次いで、一次転写ローラ161にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することによって、中間転写ベルト162を挟んで感光体10と一次転写ローラ161との間に一次転写電界を形成する。同時に、一次転写ローラ161で中間転写ベルト162を弱圧接することで一次転写ニップを形成する。これらの作用により、各感光体10上のトナー像は中間転写ベルト162上に効率よく一次転写される。中間転写ベルト162上には、各感光体10で形成された各色のトナー像が互いに重なり合うように転写され、積層トナー像が形成される。
まず、従来のクリーニングブレードにおける問題点について説明する。図14は、従来のクリーニングブレードのエッジ部の拡大図である。従来のクリーニングブレード200は、低硬度のポリウレタンゴムなどからなる単層構造であり、エッジ部201を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度としては0.7[N/mm2]程度である。
図14(b)は、クリーニングブレード200のエッジ部201が感光体210の表面に接触した状態を示すものである。感光体210は矢印で示す移動方向220に移動しており、クリーニングブレード200のエッジ部201を形成するブレード先端面201は、感光体210の移動に伴って移動方向220の下流側に引き込まれる。この引き込みにより、エッジ部201が大きく変形してエッジ部201に楔形状部204が形成され、楔形状部204が感光体210の表面に接触し感光体210の移動に伴って相対的に摺動する。このときには、ブレード対向面202は感光体210の表面に接触していない。
図4(a)は、クリーニングブレード5のエッジ部61が感光体10の表面に非接触の状態を示すものである。短冊形状のクリーニングブレード5は直角状のエッジ部61を間に挟んで隣接するブレード対向面62とブレード先端面63とを有している。ブレード対向面62は感光体10の表面に対向している。
図4(b)は、クリーニングブレード5のエッジ部61が感光体10の表面に接触した状態を示すものである。エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度を1.0[N/mm2]以上と高硬度に設定することで、感光体10の移動に伴うブレード先端面63の引き込みが抑えられ、従来のクリーニングブレードに比べてエッジ部61の変形を少ない状態にできる。これにより、トナーのすり抜けが抑制され、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が抑制される。
なお、上記エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度は、弾性ブレード5に紫外線硬化樹脂を含浸した状態でのマルテンス硬度であり、上述した紫外線硬化樹脂のマルテンス硬度とは異なる。
<含浸塗工液1>
紫外線硬化樹脂:出光興産 X-DA 50部 官能基数2
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂:新中村化学工業 A-DCP 50部 官能基数2
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂:出光興産 X-A-201 50部 官能基数2
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂:三菱ガス化学 ADTM 50部 官能基数3
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂1:新中村化学工業 A-DCP 25部 官能基数2
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック PETIA 25部 官能基数3
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂1:出光興産 X-A-201 25部 官能基数2
紫外線硬化樹脂2:ダイセルサイテック PETIA 25部 官能基数3
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂:ダイセルサイテック PETIA 50部 官能基数3
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
紫外線硬化樹脂:ダイセルサイテック DPHA 50部 官能基数6
重合開始剤 :チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 5部
溶媒 :シクロヘキサノン 55部
実験に使用する低温定着トナーとしては、ガラス転移温度(Tg)が45℃の低温定着トナーを用いた。また、フィルミング発生状況を比較的短時間に効率的に比較するため、本発明者らのこれまでの知見からフィルミングが発生しやすいよう、以下の条件下で実験を行った。
機内温度が上昇しやすい32℃54%の環境にて、2時間程度の間に連続して10000枚の画像出力を行った。出力画像は、感光体10へのトナー入力を最大にするよう、A4の記録紙に全面ベタ画像を出力した。実験機としては、リコー製のMPC5000機を用いた。この実験機において、図2にしめす構成のプロセスカートリッジのクリーニングブレード5を表1のNo.1〜27の条件のブレード部材にそれぞれ変更し、帯電ローラ41による帯電方式を接触DC帯電と、非接触AC帯電の二種類で画像出力をおこなった。なお、これまでの知見から、感光体10の表面へのフィルミングは、DC帯電に比べ、AC帯電のほうが発生しやすいことがわかっており、DC帯電に対する加速条件としてAC帯電での評価を実施している。
(ランク基準)
ランク5:目視でフィルミングが観察されず、ベタ画像中にも異常画像が見られない。
ランク4:目視で軽微なフィルミングが観察され、ベタ画像中にも白抜けがわずかに見られるが、実使用上の問題なし。
ランク3:目視でフィルミングが観察され、ベタ画像中にも白抜けが見られ、実使用上問題になる場合がある。
ランク2:目視でフィルミングが観察され、ベタ画像中にもはっきりと白抜けが見られ、実使用上問題となる。
ランク1:目視でフィルミングが多数観察され、ベタ画像中にもはっきりと白抜けが見られ、実使用上の問題となる。
クリーニング性は、以下の評価方法にて◎、○、×の三段階で比較した。クリーニング不良が発生しやすい低温低湿環境(10℃15%)に一昼夜評価機を放置下後、10℃15%の環境で連続して3000枚の画像出力を行った。出力画像は、感光体10へのトナー入力を最大にするよう、A4の記録紙に全面ベタ画像を出力した。実験機としては、上述と同様、リコー製のMPC5000機を用いた。この実験機においても、図2にしめす構成のプロセスカートリッジのクリーニングブレード5を表1のNo.1〜27の条件のブレード部材にそれぞれ変更し、DC帯電よりもクリーニング性が低下しやすい非接触AC帯電の条件下で画像出力をおこなった。その際に、クリーニング不良発生の有無を比較した。
◎:3000枚通紙後、紙上にクリーニング不良が顕在化せず、実使用上問題なし。
○:3000枚通紙後、感光体上にはすり抜けトナーが確認されるが、紙上にクリーニング不良が健在化していないため、実使用上問題なし。
×:3000枚通紙後、紙上にクリーニング不良が健在化しており、実使用上、異常画像として問題あり。
単層構造のブレード部材は、エッジ層6のみからなりバックアップ層7を有していないものとみなすことができる。
二層構造のブレード部材では、バックアップ層7のマルテンス硬度を0.77[N/mm2]としている。エッジ層6のマルテンス硬度がそれぞれ異なり、エッジ層6の厚みは全て500[μm]の厚さとしている。ブレード部材の感光体10への当接圧は全て線圧20[g/cm]となるようしているため、二層構造のブレード部材のバックアップ層7の厚さは、上記線圧を得るよう適宜調整されてその厚さが異なるものとなっている。
表1に示すように、単層構造、二層構造の何れのブレード部材でも、DC帯電においては、エッジ層6のマルテンス硬度が0.98[N/mm2]以上でフィルミングランクが実使用上問題のないランク4以上となっている。さらに、マルテンス硬度が大きくなるにしたがってランク5に改善されていく。また、フィルミングが発生しやすいAC帯電においても、マルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上でフィルミングランクが実使用上問題のないランク4以上となっており、さらに、マルテンス硬度が大きくなるにしたがってランク5に改善されていく。これより、エッジ層6のマルテンス硬度、すなわち、エッジ部を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度を1.0[N/mm2]以上とすることで、ガラス転移温度(Tg)が低い低温定着対応トナーにおいても、実使用上フィルミングが問題にならないことが分かる。
<実施例1>
図5は、実施例1のクリーニングブレードの概略構成図である。実施例1のクリーニングブレード5は単層構造のブレード部材である。エッジ層6のみの単層構造のクリーニングブレード5では、ブレード対向面62側からエッジ部近傍A1のマルテンス硬度を測定した値、または、ブレード先端面63側からエッジ部近傍A2のマルテンス硬度を測定した値が1.0[N/mm2]以上であればよい。このような測定値を有するクリーニングブレード5は、エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上となり、上述のように低温定着対応トナーを用いた場合においてもフィルミングを抑制できる。
図6は、実施例2のクリーニングブレードの概略構成図である。実施例2のクリーニングブレード5は、エッジ部を含むエッジ層6とバックアップ層7とからなる二層構造のブレード部材である。このブレード部材は、遠心成型によって各層を順次重ね合わせることで作成され、現状では一般的かつ有効な製造方法となっている。
実施例2のクリーニングブレード5は、ブレード対向面62側からエッジ層6のエッジ部近傍B1のマルテンス硬度を測定した値、または、ブレード先端面63側からエッジ部近傍B21のマルテンス硬度を測定した値が1.0[N/mm2]以上であればよい。このような測定値を有するクリーニングブレード5は、エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上となり、上述のように低温定着対応トナーを用いた場合においてもフィルミングを抑制できる。
図7は、実施例3のクリーニングブレードの概略構成図である。実施例3のクリーニングブレード5は、エッジ部を含むブレード対向面62のエッジ部近傍C11とブレード先端面63のエッジ部近傍C21とが、それ以外の領域を形成するゴム材料と異なるマルテンス硬度を有するゴム材料で形成されている。実施例3のクリーニングブレード5は、ブレード対向面62側からエッジ部近傍C11のマルテンス硬度を測定した値、または、ブレード先端面63側からエッジ部近傍C21のマルテンス硬度を測定した値が1.0[N/mm2]以上であればよい。これにより、エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上となり、上述のように低温定着対応トナーを用いた場合においても、フィルミングを抑制できる。
図15(a)に示すように、クリーニングブレード200のエッジ部201が感光体210の表面に接触することにより、エッジ部201が楔形状部204に大きく変形する。この楔形状部204が感光体210に接触するため、クリーニングブレード200の接触面圧が大きくならず、クリーニング性能が低下する。これにより感光体210表面の保護剤310が感光体210の表面に付着したままでクリーニングブレード200をすり抜ける。
無機微粒子360を含有した感光体210は、無機微粒子360による微小な凹凸面370が表面に形成された状態となっている。また、潤滑剤添加トナー340は潤滑剤添加により帯電能力が低下しトナー帯電量が低下するため、転写チャージにより逆帯電するトナー量が増加する。このため、中間転写ベルト250へ転写されないで感光体210に残存するトナー340の付着力が大きくなる。
図9は、本実施形態のプリンタが備えるプロセスカートリッジの他の例を示す概略構成図である。このプロセスカートリッジ122は、感光体10の表面に保護剤を塗布する保護剤塗布装置70を設けた構成である。このプロセスカートリッジ122においては、帯電ローラ41として感光体10に接触して感光体10を帯電させるローラ部材が用いられており、この帯電ローラ41には交流電圧が印加される。ローラ部材は、感光体10と微小はギャップを有して対向する。保護剤塗布装置70は感光体10の移動方向Aにおけるクリーニング装置1よりも下流側に設けられている。これにより感光体10に対して保護剤を安定して塗布することができる。
無機微粒子の平均一次粒径は、0.01〜0.5[μm]であることが表面層93の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。無機微粒子の平均一次粒径が0.01[μm]以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5[μm]以上の場合には、分散液中において無機微粒子の沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
無機微粒子81を含有することにより、微小な凹凸面82が感光体10の表面に形成されており、この表面に対して、クリーニングブレード5が接触する。上述のように、クリーニングブレード5のエッジ層6は、エッジ部61を含むエッジ部近傍のマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上と高硬度に設定する。これにより、感光体10の表面との接触により、エッジ部61が変形してブレード対向面62及びブレード先端面63が同時に感光体10の表面と接触し、感光体10との接触部分に楔形状部の形成が抑制される。すなわち、エッジ部61が変形しにくいため、エッジ部61の引き込みが抑制され、感光体表面の不均一な凹凸に対しても、安定して接触する。更にクリーニングブレード5のエッジ層6が硬く、エッジ部61が変形しにくい。このため、エッジ部61の感光体下流側への引き込みが抑制されることにより、エッジ部61と感光体10との接触面積が小さくなり、感光体10への接触圧力が増大するためせき止め能力が向上する。このため、無機微粒子81による微小な凹凸面82が感光体10の表面に形成されていても、トナーのすり抜けを抑制でき、クリーニング不良の発生を防止することが可能となる。また、バックアップ層7がエッジ層6よりも低硬度であるため感光体10との長期接触による経時的なヘタリを抑制でき、長期にわたって良好なクリーニング性能を維持することができる。
図13(a)は導電性支持体91上に表面近傍に無機微粒子を含有した感光層92を積層して設けた例である。図13(b)は導電性支持体91上に感光層92と無機微粒子を含有した表面層93を順次積層した例である。図13(c)は導電性支持体91上に電荷発生層921、電荷輸送層922を順次積層した感光層92を配置し、更に感光層92上に無機微粒子を含有した表面層93を積層して設けた例である。図13(d)は導電性支持体91上に下引き層94を設け、下引き層94の上に電荷発生層921、電荷輸送層922を順次積層した感光層92を積層し、更に感光層92上に無機微粒子を含有した表面層93を積層して設けた例である。
無機微粒子としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。
無機微粒子の平均一次粒径は、0.01〜0.5[μm]であることが表面層93の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。無機微粒子の平均一次粒径が0.01[μm]以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5[μm]以上の場合には、分散液中において無機微粒子の沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
無機微粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
表面層93は、少なくとも無機微粒子とバインダー樹脂で構成される。無機微粒子としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に金属酸化物が良好であり、さらには、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が有効に使用できる。
無機微粒子の平均一次粒径は、0.01〜0.5[μm]であることが表面層93の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。
無機微粒子の平均一次粒径が0.01[μm]以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5[μm]以上の場合には、分散液中において無機微粒子の沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
従って、概ね全固形分に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。その下限値は、通常、5重量%である。
また、これらの無機微粒子は少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることが無機微粒子の分散性の面から好ましい。
無機微粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理が無機微粒子の分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
本プリンタ100では、画像形成装置の定着装置30における省エネルギー化を狙い、ガラス転移温度(Tg)が40〜60℃となる低温定着トナーを採用している。
本実施形態のトナーとしては、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性いずれも優れたトナーとするために、結着樹脂として、1)ガラス転移点(Tg)が39〜65℃、2)THF可溶分の重量平均分子量(Mw)をガラス転移点(Tg/℃)で除した値(Mw/Tg)が40〜120の条件を満たすポリエステル樹脂を使用する。
尚、Mw及びTgは以下の測定方法によって得られるものであり、Mw/Tgの値におけるTgの単位は℃である。
また、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により次のように測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1[ml]の流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200[μl]注入して測定する。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は、主にその化学構造に支配されており、ベンゼン環骨格が連続すればするほど、また、含有量が多ければ多いほどTgは高くなる傾向にある。また、アルキレン骨格が長ければ長いほど、また、含有量が多ければ多いほどTgは低くなる傾向にある。従って、ベンゼン環骨格の含有量が多いと耐ホットオフセット性、耐熱保存性は向上するが、低温定着性に不利になり、アルキレン骨格の含有量が多いと低温定着性には有利になるが、耐ホットオフセット性、耐熱保存性には悪影響を及ぼす。一方、1,4−シクロヘキシレン骨格を適度に含有することにより、Tgを維持しながら、樹脂の重量平均分子量の調節を図り、低温定着性の一層の向上が可能となる。
そこで、モル比(ベンゼン環骨格/1,4−シクロヘキシレン骨格)及びモル比(ベンゼン骨格/両末端エステル結合アルキレン骨格)の範囲を上記のように規定する。モル比(ベンゼン環骨格/1,4−シクロヘキシレン骨格)が2.0より小さいと、ポリエステル樹脂が脆くなり、トナー自体の耐久性がなくなる。モル比(ベンゼン環骨格/1,4−シクロヘキシレン骨格)が15.0より大きいと、ガラス転移点を維持しながら低分子量化を図ることが困難になり、低温定着性が発現されない。また、モル比(ベンゼン骨格/両末端エステル結合アルキレン骨格)が3.0より小さいと、耐熱保存性の維持が困難である。
ここで、ポリエステル樹脂の酸価が50.0[KOHmg/g]を超えると、プレポリマーの伸長または架橋反応が不十分となり、耐ホットオフセット性に影響が見らる。また、1.0[KOHmg/g]未満では、プレポリマーの伸長または架橋反応が進みやすく、製造安定性に問題が生じる。
さらなる検討によれば、上記ポリエステル樹脂の酸価と共に、トナーの酸価が低温定着性、耐ホットオフセット性に対して重要である。トナーの酸価は、0.5〜40.0[KOHmg/g]にすることが好ましい。トナーの酸価が40.0[KOHmg/g]を超えると、プレポリマーの伸長または架橋反応が不十分となり、耐ホットオフセット性に影響が見られる。また、0.5[KOHmg/g]未満では、プレポリマーの伸長または架橋反応が進みやすく、製造安定性に問題が生じるためである。尚、トナーの酸価の測定は、ポリエステル樹脂の酸価と同様にして行うことができる。
<製造例1>
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物517部、テレフタル酸317部、エチレングリコール101部、水素添加ビスフェノールA65部を投入する。そして、常圧窒素気流下のもと、170℃で10時間縮合反応した後に、反応温度210℃で5時間縮合反応を継続した。更に0〜15[mmHg]の減圧下で脱水しながら5時間反応を継続した後に冷却し、ポリエステル樹脂(PE1)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE1)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)2,900、酸価5[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)43℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は67であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は9.5、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合
アルキレン骨格のモル比は3.2であった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物795部、イソフタル酸200部、テレフタル酸65部、及びジブチルチンオキサイドを2部投入し、常圧窒素気流下のもと、210℃で8時間縮合反応した。次いで10〜15[mmHg]の減圧下で脱水しながら5時間反応を継続した後に80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応し、プレポリマー(a1)を得た。得られたプレポリマー(a1)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は5,000、平均官能基数は2.25であった。
攪拌棒及び温度計の付いた反応槽中に、イソホロジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応し、ケチミン化合物(b1)を得た。
ポリエステル(PE1)85部、プレポリマー(a1)15部、ケチミン化合物(b1)2部、脱遊離脂肪酸型カルナバワックス5部、カーボンブラック(#44:三菱化学社製)10部、含金属アゾ化合物1部、水5部をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。その後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミル、風力分級機を用いて粉砕分級し、トナー母体を得た。得られたトナー母体に疎水性シリカ0.5部を添加混合し、最終的なトナー(I)とした。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物613部、テレフタル酸322部、エチレングリコール13部、水素添加ビスフェノールA52部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE2)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE2)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)5,800、酸価38[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)59℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は98であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は13.5、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は27.0であった。
ポリエステル樹脂(PE2)85部、プレポリマー(a1)15部、ケチミン化合物(b1)2部、脱遊離脂肪酸型カルナバワックス5部、カーボンブラック(#44:三菱化学社製)10部、含金属アゾ化合物1部、水5部をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。その後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミル、風力分級機を用いて粉砕分級し、トナー母体を得た。得られたトナー母体に疎水性シリカ0.5部を添加混合し、最終的なトナー(II)とした。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物548部、テレフタル酸296部、エチレングリコール44部、水素添加ビスフェノールA113部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE3)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE3)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)3,300、酸価7[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)43℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は77であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は5.6、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は7.5であった。
ポリエステル樹脂(PE3)83部、プレポリマー(a1)17部、ケチミン化合物(b1)2部、脱遊離脂肪酸型カルナバワックス5部、カーボンブラック(#44:三菱化学社製)10部、含金属アゾ化合物1部、水5部をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。その後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミル、風力分級機を用いて粉砕分級し、トナー母体を得た。得られたトナー母体に疎水性シリカ0.5部を添加混合し、最終的なトナー(III)とした。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物426部、テレフタル酸350部、エチレングリコール8部、水素添加ビスフェノールA216部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE4)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE4)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)6,500、酸価28[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)62℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は105であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は2.7、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は35.7であった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物795部、イソフタル酸200部、テレフタル酸65部、及びジブチルチンオキサイド2部を投入し、常圧窒素気流下のもと、210℃で8時間縮合反応した。次いで10〜15[mmHg]の減圧下で脱水しながら5時間反応を継続した後に80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート150部と2時間反応を行い、プレポリマー(a2)を得た。得られたプレポリマー(a2)は、重量平均分子量(Mw)が5,000、平均官能基数が2.00であった。
ビーカー内にプレポリマー(a2)14.3部、ポリエステル樹脂(PE4)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌溶解した。次いで別途、離型剤であるライスワックス10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、酢酸エチルを100部ビーズミルに入れ30分間、分散した。2つの液を混合し、TK式ホモミキサーを用いて12,000[rpm]の回転数で5分攪拌した後、ビーズミルで10分間分散処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物585部、テレフタル酸307部、エチレングリコール71部、水素添加ビスフェノールA36部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE5)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE5)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)2,500、酸価9[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)35℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は71であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は18.5、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は4.8であった。
ポリエステル樹脂(PE5)85部、プレポリマー(a1)15部、ケチミン化合物(b1)2部、脱遊離脂肪酸型カルナバワックス5部、カーボンブラック(#44:三菱化学社製)10部、含金属アゾ化合物1部、水5部をヘンシェルミキサーで攪拌混合する。その後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミル、風力分級機を用いて粉砕分級し、トナー母体を得た。得られたトナー母体に疎水性シリカ0.5部を添加混合し、最終的なトナー(V)とした。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物244部、テレフタル酸443部、エチレングリコール99部、水素添加ビスフェノールA214部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE6)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE6)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)5,700、酸価18[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)45℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は127であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は2.4、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は2.6であった。
ビーカー内にプレポリマー(a1)14.3部、ポリエステル樹脂(PE6)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌溶解した。次いで別途、離型剤であるライスワックス10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、酢酸エチルを100部ビーズミルに入れ30分間、分散した。2つの液を混合し、TK式ホモミキサーを用いて12,000[rpm]の回転数で5分攪拌した後、ビーズミルで10分間分散処理した。これをトナー材料油性分散液(2)とする。
(ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物393部、テレフタル酸430部、エチレングリコール121部、水素添加ビスフェノールA57部を投入する。そして、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂(PE7)を得た。得られたポリエステル樹脂(PE7)は、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)5,000、酸価11[KOHmg/g]、ガラス転移点(Tg)41℃であり、重量平均分子量とガラス転移点の比(Mw/Tg)は122であった。また、ベンゼン環骨格と1,4−シクロヘキシレン骨格のモル比は10.8、ベンゼン環骨格と両末端エステル結合アルキレン骨格のモル比は2.6であった。
ビーカー内にプレポリマー(a2)14.3部、ポリエステル樹脂(PE7)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌溶解した。次いで別途、離型剤であるライスワックス10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、酢酸エチルを100部ビーズミルに入れ30分間、分散した。2つの液を混合し、TK式ホモミキサーを用いて12,000[rpm]の回転数で5分攪拌した後、ビーズミルで10分間分散処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。
定着ローラとしてテフロン(登録商標)製のローラを使用した(株)リコー製複写機 MF2200定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし、複写テストを行った。定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)とホットオフセット温度(耐ホットオフセット温度)を求めた。従来の低温定着トナーの定着下限温度は140〜150℃程度である。尚、低温定着性の評価条件は、以下のとおりである。紙送りの線速度:120〜150[mm/sec]、面圧:1.2[kgf/cm2]、ニップ幅3[mm]である。また、ホットオフセットの評価条件は、紙送りの線速度を50[mm/sec]、面圧2.0[kgf/cm2]、ニップ幅4.5[mm]と設定した。
1)低温定着性(5段階評価)
◎:130℃未満、○:130〜140℃、□:140〜150℃、△:150〜160
℃、×:160℃以上
2)耐ホットオフセット性(5段階評価)
◎:201℃以上、○:200〜191℃、□:190〜181℃、△:180〜171℃、×:170℃以下
トナー試料20[g]を20[ml]のガラス瓶に入れ、50回程度ガラス瓶をタッピングし試料を密に固めた後、50℃の高温槽に24時間放置し、その後針入度試験器を用いて針入度を以下のように求めた。
3)耐熱保存性(5段階評価)
◎:貫通、○:〜25[mm]、□25〜20[mm]、△:20〜15[mm]、×:15[mm]以下
(態様A)
短冊形状のゴム材料からなるブレード部材で構成され、ブレード部材の先端稜線部(エッジ部)61を表面移動する感光体10などの被清掃部材の表面に当接して被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレード5において、ブレード部材の先端稜線部近傍を、先端稜線部を含み被清掃部材と対向するブレード対向面62側から測定したマルテンス硬度、または、先端稜線部を含みブレード対向面62と隣接するブレード先端面63側から測定したマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上である。
また、ゴム材料からなるブレード部材の先端稜線部近傍の硬さを表す指標として、一般的にゴム材料の硬度として広く用いられているJIS−A測定法によるゴム硬度ではなく、マルテンス硬度を用いている。マルテンス硬度は微小硬度計を用いて先端稜線部の微小領域を測定した特性であり、JIS−A測定法によるゴム硬度のように、硬度測定位置によっては先端稜線部以外の領域の影響を含む虞がない。すなわち、硬度測定位置によらず、先端稜線部のみの硬さとその変形量を規定するのに適している。このため、ブレード部材の先端稜線部近傍をブレード対向面62側、または、ブレード先端面63側の何れかから測定したマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上とすることで、感光体10上へのフィルミングの発生を良好に抑制できるクリーニングブレードを提供することができる。
(態様A)において、ブレード部材は先端稜線部を含むエッジ層6と、エッジ層6に積層された少なくとも一層以上のバックアップ層7などの層とを有する積層構造であり、エッジ層6の先端稜線部近傍を、ブレード対向面62側から測定したマルテンス硬度またはブレード先端面63から測定したマルテンス硬度と、エッジ層以外の層をブレード先端面63側から測定したマルテンス硬度とが異なる。
これによれば、エッジ部61及びエッジ部近傍を硬くしてエッジ部の変形を少なくするとともに、バックアップ層7のゴム材料の硬さを選択することができ、クリーニングブレード5全体としての特性を調整可能にできる。
(態様A)において、ブレード部材は先端稜線部を含むエッジ層と、エッジ層に積層された少なくとも一層以上のバックアップ層7などの層とを有する積層構造であり、エッジ層の先端稜線部近傍を、上記ブレード対向面62側から測定したマルテンス硬度またはブレード先端面63側から測定したマルテンス硬度よりも、エッジ層以外の層をブレード先端面63側から測定したマルテンス硬度またはブレード対向面62と対向するブレード背面64側から測定したマルテンス硬度が小さい。これによれば、エッジ部61及びエッジ部近傍を硬くしてエッジ部の変形を少なくするとともに、バックアップ層7の硬さを小さくすることで経時におけるヘタリを抑制し、長期に使用する場合の当接圧を安定させて、長期にわたって安定した特性を得る。また、マルテンス硬度の測定値は、硬度測定位置によって積層構造における他の層の影響を受けない。このため、バックアップ層7の硬度として、ブレード先端面63側から測定したマルテンス硬度またはブレード背面64側から測定したマルテンス硬度を用いることができる。
(態様A)において、ブレード部材は、先端稜線部を含むブレード対向面62の先端稜線部近傍と先端稜線部を含むブレード先端面63の先端稜線部近傍とが、それ以外の領域を形成するゴム材料と異なるマルテンス硬度を有するゴム材料で形成されている。これによれば、エッジ部61及びエッジ部近傍を硬くしてエッジ部の変形を少なくするとともに、クリーニングブレード5全体としての特性を調整可能にできる。
(態様A)乃至(態様D)の何れかにおいて、ブレード部材が感光体10などの被清掃部材の表面と当接状態にある時には、ブレード対向面62とブレード先端面63とが被清掃部材の表面に接触する。このようなエッジ部61の接触状態では、エッジ部61の変形が小さく、エッジ部61の感光体10表面との接触面積が広くなることがない。このため、感光体10の表面への接触面圧が高くなり、感光体10の表面に付着しているトナーのすり抜けを防止でき、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制される。
(態様A)乃至(態様E)の何れかにおいて、ブレード部材の先端稜線部を形成する材料は、少なくとも23℃における100%モジュラスの値が6〜12MPaである。
(態様A)乃至(態様F)の何れかにおいて、ブレード部材を形成する材料はtanδピーク温度が10℃未満のゴム材料である。これによれば、環境温度が10℃である低温環境においても、ブレード部材がゴム材料として機能することができる。このため、通常オフィスで想定される低温環境においても、クリーニングブレード5が弾性を有したゴム材料として機能し、感光体10の表面に弾性を有して接触するため良好なクリーニング性能を得ることが可能となる。
表面移動部材である感光体10などの像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させて画像を形成する画像形成装置において、像担持体上に画像を形成するトナーとしてガラス転移温度(Tg)が低い低温定着トナーを用い、像担持体の表面に当接して、その表面上に付着したトナーを除去するためのクリーニング部材として、(態様A)乃至(態様G)の何れかのクリーニングブレードを用いる。これによれば、上記実施形態に説明したように、低温定着トナーを用いた場合でも、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制され、高品位な画像が得られる。
(態様H)において、像担持体の表面は無機微粒子を含有している。これにより、感光体表面の耐摩耗性向上を図りつつ、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制することができる。
(態様H)において、像担持体の表面に保護材を塗布する保護剤塗布装置70を備える。これによれば、感光体との摩擦力を抑えつつ、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制することができる。
(態様H)において、トナーは脂肪酸金属塩を含有する添加剤を添加されたものである。これによれば、感光体の耐摩耗性を向上させつつ、感光体10の表面へのフィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制することができる。
感光体10などの像担持体と、少なくとも像担持体の表面に付着したトナーを除去するクリーニングブレード5を有するクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、クリーニングブレードとして、(態様A)乃至(態様G)の何れかに記載のクリーニングブレードを用いる。
これによれば、上記実施形態に説明したように、フィルミングの発生やクリーニング不良の発生が良好に抑制することができる。また、プロセスカートリッジの形態を取ることで、操作性を向上できる。
5 クリーニングブレード
6 エッジ層
7 バックアップ層
10 感光体
40 帯電装置
50 現像装置
61 エッジ部(先端稜線部)
62 ブレード対向面
63 ブレード先端面
64 ブレード背面
70 保護剤塗布装置
77 発泡ウレタンローラ
81 無機微粒子
121、122、123 プロセスカートリッジ
200 クリーニングブレード(従来)
201 エッジ部(従来)
Claims (9)
- 短冊形状のゴム材料からなるブレード部材で構成され、ブレード部材の先端稜線部を表面移動する被清掃部材の表面に当接して被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレードにおいて、
上記ブレード部材は、上記ブレード部材の上記先端稜線部を含み上記被清掃部材の表面と当接するエッジ層と、該エッジ層に積層された少なくとも一層以上のバックアップ層とを有する積層構造であり、
上記エッジ層、または、上記先端稜線部を含み上記被清掃部材の表面と当接する含浸部のマルテンス硬度が1.0[N/mm2]以上、4.2[N/mm 2 ]以下であり、
上記バックアップ層のマルテンス硬度が0.6以上、0.8[N/mm 2 ]以下であることを特徴とするクリーニングブレード。 - 請求項1のクリーニングブレードにおいて、上記ブレード部材が上記被清掃部材の表面と当接状態にある時には、上記先端稜線部を含み上記被清掃部材と対向するブレード対向面と上記先端稜線部を含み該ブレード対向面と隣接するブレード先端面とが該被清掃部材の表面に接触することを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1または2のクリーニングブレードにおいて、上記エッジ層を形成する材料は、少なくとも23℃における100%モジュラスの値が6〜12MPaであることを特徴とするクリーニングブレード。
- 請求項1乃至3の何れかのクリーニングブレードにおいて、上記ブレード部材を形成する材料はtanδピーク温度が10℃未満のゴム材料であることを特徴とするクリーニングブレード。
- 表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させて画像を形成する画像形成装置において、
上記像担持体上に画像を形成するトナーとしてガラス転移温度(Tg)が低い低温定着トナーを用い、該像担持体の表面に当接して、その表面上に付着したトナーを除去するためのクリーニング部材として、請求項1乃至4の何れかに記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項5の画像形成装置において、上記像担持体の表面は無機微粒子を含有していることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5の画像形成装置において、上記像担持体の表面に保護材を塗布する保護材塗布装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5の画像形成装置において、上記トナーは脂肪酸金属塩を含有する添加剤を添加されたものであることを特徴とする画像形成装置。
- 像担持体と、少なくとも該像担持体の表面に付着したトナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1乃至4の何れかに記載のクリーニングブレードを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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