以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態に係わるテープ印刷装置の概略構成について説明する。
<筐体>
図1〜図4において、本実施形態のテープ印刷装置1(印刷物作成装置に相当)は、装置外郭を構成する筐体2を有している。筐体2は、筐体本体2aと、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9と、を備えている。
筐体本体2a内には、後方側に設けられた第1収納部3と、前方側に設けられた第2収納部5及び第3収納部4と、が備えられている。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図3も参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11を、筐体本体2aに設けられた搬送ローラ12に対して相対的に離反・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aの上記閉じ位置(図1、図2の状態)では印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接し、第1開閉カバー8aの上記開き位置(図3、図4の状態)では、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反する。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3及び図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第3収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第3収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第3収納部4の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
<被印字テープロール及びその周辺>
このとき、図2〜図4に示すように、筐体本体2aにおける、閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTK(図2参照)が着脱可能に装着される。このテープカートリッジTKは、軸心O1まわりに巻回形成された第1ロールR1を備えている。
すなわち、テープカートリッジTKは、図5に示すように、第1ロールR1と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。
第1ブラケット部20,20は、上記第1ロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第1ロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により第1ロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第1ロールR1は、テープカートリッジTKが筐体本体2aの内部に装着された際には回転自在となる。第1ロールR1は、繰り出しにより消費される被印字テープ150(粘着テープに相当:後述する被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151を備える。図2中拡大図参照)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回している。
第1収納部3には、上記テープカートリッジTKの装着によって、第1ロールR1が上方から受け入れられ、被印字テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字テープ150を繰り出す。
本実施形態では、粘着性を備えた被印字テープ150が用いられる場合を例示している。すなわち、被印字テープ150は、被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図2中の上方側)から他方側(図2中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図2中の部分拡大図参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
<搬送ローラ及び印字ヘッド>
図2〜図4に戻り、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第2収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM1によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された第1ロールR1から繰り出される被印字テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持部10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150の被印字層154に対し、後述するインクリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済みテープ150′とする。
<インクリボンカートリッジ>
図2及び図3に示すように、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、インクリボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。このインクリボンカートリッジRKは、未使用のインクリボンIBを繰り出し可能に巻回したリボン繰り出しロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。インクリボンカートリッジRKは、後方側の繰り出しロール収納部81と、前方側の巻き取りロール収納部82と、が中央の連結部(図示省略)によって連結されている。連結部は、リボン繰り出しロールR4から繰り出された上記インクリボンIBをインクリボンカートリッジRK外に露出させるようにしつつ、上記巻き取りロール収納部82と上記繰り出しロール収納部81とを連結する。
リボン繰り出しロールR4は、繰り出しロール収納部81内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
リボン巻き取りロールR5は、巻き取りロール収納部82内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
すなわち、図2において、リボン繰り出しロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りロールR5に巻き取られる。
<剥離材ロール及びその周辺>
図5に示すように、テープカートリッジTKの連結アーム16は、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている。この引き剥がし部17は、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済みテープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。上記のようにして印字が形成された印字済みテープ150′は、図2に示すように、上記引き剥がし部17によって上記剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済みテープ150″(印刷済み粘着テープに相当)とに分離される。
テープカートリッジTKは、図2及び図5に示すように、上記引き剥がされた剥離材層151が軸心O3まわりに巻回されることで形成される、上記第3ロールR3を有している。すなわち、上述したテープカートリッジTKの装着によって、第3ロールR3が上方から上記第2収納部5に受け入れられ、剥離材層巻回用の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、第3ロールR3は、第2収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2a内に設けられた剥離紙巻取用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第2収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
このとき、図5に示すように、テープカートリッジTKの上記第2ブラケット部21,21は、上記第3ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
また、図5中では、軸心O3まわりに剥離材層151が巻回され第3ロールR3が形成される前の状態(未使用のテープカートリッジTKである場合)を示している。すなわち、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形の上記ロールフランジ部f3,f4を図示するとともに、便宜的に第3ロールR3が形成される箇所に符号「R3」を付している。
<印字済みテープロール及びその周辺>
一方、図2及び図4に示すように、上記第3収納部4には、上記印字済みテープ150″を順次巻回するための、巻き取り機構40が上方から受け入れられる。巻き取り機構40は、印字済みテープ150″の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第3収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内部に設けられた粘着巻き取り用モータM2により不図示のギア機構を介して駆動され、第3収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済みテープ150″を巻き取って積層する。これにより、巻き取り機構40の外周側に印字済みテープ150″が順次巻回されて、第2ロールR2が形成される。
<カッター機構>
また、図2に示すように、テープ搬送方向に沿って印字ヘッド11の下流側でかつ第2ロールR2の上流側に、カッター機構30(切断機構に相当)が設けられている。
カッター機構30は、詳細な図示を省略するが、可動刃と、可動刃を支持しテープ幅方向(言い替えれば左右方向)に走行可能な走行体とを有している。そして、カッターモータMC(後述の図6参照)の駆動により走行体が走行し可動刃がテープ幅方向に移動することで、上記印字済みテープ150″を幅方向に切断する。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、上記構成のテープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、上記第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に第1ロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部5に第3ロールR3を形成する軸心O3側が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部4には、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された第1ロールR1の回転により繰り出される被印字テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字テープ150の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済みテープ150′となる。印字形成された印字済みテープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済みテープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第2収納部5へ導入され、当該第2収納部5内において巻回されて第3ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済みテープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第3収納部4へ導入され、当該第3収納部4内の巻き取り機構40の外周側に巻回されて第2ロールR2が形成される。その際、搬送方向下流側(すなわち前方側)に設けられたカッター機構30が印字済みテープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、第2ロールR2に巻回されていく印字済みテープ150″を切断し、切断後は第2ロールR2を第3収納部4から取り出すことができる。なお、この切断後において、第2ロールR2に巻回されている印字済みテープ150″が、各請求項記載の印刷物に相当している。
なおこのとき、図示による説明を省略するが、第1ロールR1に、非粘着テープ(上記粘着剤層152及び剥離材層151のないもの)が巻回されていても良い。この場合においても、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、非粘着テープが巻回された第1ロールR1が上方から受け入れられ、非粘着テープの巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、非粘着テープを繰り出す。
またこのとき、上記非粘着テープ(又は上記被印字テープ150でもよい)の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口(図示省略)へ向かう側との相互間で切り替える、シュート15(図2参照)が配されていても良い。すなわち、切替レバー(図示省略)によるシュート15の切替操作でテープ経路を切り替えることで、印字形成後の非粘着テープ(又は印字済みテープ150″)を上述のように第3収納部4内において巻回することなく、筐体2の例えば第2開閉カバー8b側に設けた排出口(図示省略)から、そのまま筐体2外部へ排出するようにしても良い。
<制御系>
次に、図6を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図6において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。
また、CPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記第2ロールR2を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記第3ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記可動刃を備えた走行体を走行させるカッターモータMCの駆動制御を行うモータ駆動回路222と、適宜の表示を行う表示部215と、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部216と、に接続されている。また、CPU212は、この例では、外部端末としてのPC217に接続されるが、テープ印刷装置1が(いわゆるオールインワンタイプで)単独で動作する場合には、接続されていなくてもよい。
ROM214には、所定の制御処理を実行するための制御プログラム(後述する図10、図11、図13、図15、図16、図17のフローの処理を実行するプログラムを含む)が記憶されている。RAM213には、例えば上記操作部216(又は上記PC217)での操作者の操作に対応して生成された印字データ(後述のステップS203参照)を、上記被印字層154の所定の印字領域に印字するためのドットパターンデータに展開して記憶するイメージバッファ213aが備えられている。CPU212は、上記制御プログラムに基づき、搬送ローラ12により被印字テープ150を繰り出しつつ、イメージバッファ213aに記憶された上記ドットパターンデータに対応した1つのイメージを、印字ヘッド11によって被印字テープ150に対し(テープ長手方向に沿って繰り返して)印刷する。
<巻き取り開始から終了までの挙動>
以上において、本実施形態の要部は、上記のようにして巻き取り機構40により印字済みテープ150″が巻回され第2ロールR2が形成されていくときの、巻き取り所要時間を(巻き取り完了前に)事前に予測することにある。まず、上記巻き取りが開始されてから終了するまでの具体的な挙動を、図7、図8、及び図9に基づき説明する。
<準備処理>
本実施形態では、前述の搬送・印字形成等を行う前に、まず、所定の準備処理が行われる。図7(a)〜(c)に、この準備処理の工程を模式的に示す。まずユーザは、テープカートリッジTKの第1ロールR1から手動で被印字テープ150を繰り出し、繰り出した被印字テープ150を搬送ローラ12と印字ヘッド11の間に通す(図7(a)参照)。このとき、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を搬送方向に回転させるように、搬送用モータM1を制御する。なお、このようにして搬送ローラ12と印字ヘッド11の間に通され、それらの下流側に進出した被印字テープ150を、説明の便宜上、テープ150−0と称する。このテープ150−0は、後述の印字ヘッド11による印字形成開始後における印字済みテープ150′に対応する部位である。
その後、ユーザは、上記テープ150−0から剥離材層151を手動で引き剥がし、基材層153及び粘着剤層152からなるテープ150−1(後述の印字ヘッド11による印字形成開始後における印字済みテープ150″に対応する部位)の先端を、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40の巻芯41(図4参照)に固定する。これにより、これ以降の巻芯41の回転に伴うテープ150−1及び上記印字済みテープ150″の巻回によって上記第2ロールR2が形成されることとなる。その一方で、ユーザは、テープ150−0から引き剥がした剥離材層151の先端を、第3ロールR3を形成するための巻芯29(図5参照)に固定する(図7(b)参照)。これにより、これ以降の巻芯29の回転に伴う剥離材層151の巻回によって上記第3ロールR3が形成されることとなる。
この状態で、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を停止させると共に、上記巻芯41だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2を制御する(図7(b)参照)。これにより、剥離材層151が引き剥がされた上記テープ150−1は、停止した搬送ローラ12と巻き取り方向に回転する巻芯41とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で巻芯41の回転が停止して、張力が作用した状態となる。なお、このようにテープ150−1に張力が作用しているはずの時点で、巻芯41の回転が検出された場合には、巻芯41に対するテープ150−1の先端の固定が不良であるために巻芯41(言い換えれば第2ロールR2)が空回りしているとみなして、不具合を報知する(後述のステップS135、ステップS190参照)。
次に、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を停止させると共に、上記巻芯29だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、剥離紙巻取用モータM3を制御する(図7(c)参照)。これにより、テープ150−0から引き剥がされた剥離材層151は、停止した搬送ローラ12と巻き取り方向に回転する巻芯29(言い換えれば第3ロールR3)とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で巻芯29の回転が停止して、張力が作用した状態となる。またこのとき、上記第2ロールR2のみの回転でのテープ150−0の引き込みにより、テープ150−0と剥離材層151との剥離点が移動した場合でも、元の位置に戻すことができる(図7(c)中の破線部参照)。なお、このように剥離材層151に張力が作用しているはずの時点で第3ロールR3の回転が検出された場合には、上記巻芯29に対する剥離材層151の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、不具合を報知する(後述のステップS155、ステップS198参照)。
次に、CPU212は所定の時間だけ、(印字動作をせずに)搬送ローラ12、第2ロールR2、及び第3ロールR3を全て回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3を制御する(特に図示せず)。この最終確認動作をすることにより、被印字テープ150の繰り出し及び搬送、テープ150−0の搬送、テープ150−1の搬送及び巻取り、剥離材層151の引き剥がし及び巻取り、等を含む一連の動作が正常に行われるかどうかを事前に確認できる。
<印字形成>
上記準備処理の後、前述した印字形成による上記印刷物の作成が行われる。すなわち、既に述べたように、図7(c)に示した状態から、図8(a)に示すように、被印字テープ150が搬送ローラ12によって搬送される。なお、このときの搬送速度は、この例では、被印字テープ150の材質や印刷モード(標準モードか精細モードか)の選択結果に応じて、個別に予め定められた固定値である(後述の図12参照)。
その後、既に述べたように、被印字テープ150の繰り出し及び搬送と、当該被印字テープ150への印字形成による印字済みテープ150′の生成及び搬送と、印字済みテープ150′からの剥離材層151の引き剥がしによる印字済みテープ150″の生成及び引き剥がされた剥離材層151の巻取りと、印字済みテープ150″の搬送及び巻取りと(以下適宜、これらを総称して「印刷物形成動作」という)、が開始される(図8(b)参照)。印字済みテープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済みテープ150″は、巻き取り機構40によって軸心O2まわりに順次巻き取られる。
その後、図8(b)に示した状態からさらに印刷物形成動作が進み、被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″が、印刷物作成動作の開始前に予め定められた特定の搬送方向位置となったら、図9(a)に示すように、搬送ローラ12、第2ロールR2、及び第3ロールR3が全て回転を停止する。これにより上記被印字テープ150の繰り出し及び搬送、印字済みテープ150′の搬送、印字済みテープ150″の搬送及び巻取り、が停止する(なお、この停止状態で、カッター機構30と印字ヘッド11との間が非印字区間である上記テープ150−0となるように、上記停止に先んじたタイミングで印字形成は停止されている)。この状態で、カッター機構30により、搬送ローラ12と第2ロールR2との間で印字済みテープ150″が切断される(図9(a)参照)。
<仕上げ処理>
上記切断の後、仕上げ処理(仕上げ動作に相当)が行われる。すなわち、(搬送ローラ12が停止した状態のまま)第2ロールR2が巻き取り方向に所定時間回転した後に停止するように、粘着巻取用モータM2が制御される。すなわち、カッター機構30による印字済みテープ150″の切断完了後、第2ロールR2はただちに停止するのではなく、所定時間回転させた後に停止する。これにより、切断完了後に第2ロールR2を所定量回転させ、切断により生じた印字済みテープ150″の終端部が確実に第2ロールR2へと巻き取られる(図9(b)参照)。これにより、印字済みテープ150″が巻回された1つの第2ロールR2が生成される。
<巻き取りの所要時間>
このようにして印刷済みテープ150″の巻き取りによってロール状の印刷物が作成される場合、巻き取られる印刷済みテープ150″の長さ(言い替えれば印字11ヘッドにより印刷が行われるときの印刷総延長)によっては、上記印刷物の作成を開始して完了するまでの所要時間が比較的長くなる可能性がある。作成開始時において、作成完了までの所要時間がどれくらいか分からないと、ユーザは漫然と印刷物の作成完了を待たねばならず、不便である。
<制御手順>
そこで、本実施形態では、印刷物の作成を開始する前に、被印字テープ150の媒体情報(後述)に基づき、印字ヘッド11による印刷速度を決定し、この決定された印刷速度と、上記印字済みテープ150″の印刷総延長とに基づき、上記巻き取り機構40による巻き取り時間を予測して決定する。そして、その決定された巻き取り時間を表示する。そのためにCPU212により実行される制御手順を、図10のフローにより説明する。なお図10中においては、各部の名称を適宜略記して示す(後述の図11、図13も同様)。
図10は、印字形成時にCPU212が実行する制御手順を表すフローチャートである。図10において、例えばユーザによりテープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まず、ステップS200において、CPU212は、巻き取り時間予測処理を実行する。
<巻き取り時間予測処理の制御>
上記ステップS200の巻き取り時間予測処理の制御手順を、図11を用いて説明する。
まずステップS201において、CPU212は、例えば筐体2内に設けた適宜の媒体検出センサ(図示せず)の検出結果(又はユーザ自らの操作部216又は上記PC217からの入力結果)に基づき、被印字テープ150の材質や種類等の媒体情報が入力されたか否かを判定する。本実施形態では、上記被印字テープ150の材質(種類)として、例えば、紙テープ、PETテープ、布テープ、クラフトテープ等が選択的に使用可能となっており、上記媒体情報として、これらのうちいずれに該当するか、が入力される。上記媒体情報が入力されない間はステップS201の判定が満たされず(S201:NO)、ループ待機する。上記媒体情報が入力されたらステップS201の判定が満たされ(S201:YES)、ステップS202へ移る。なお、このステップS201を実行するCPU212が、各請求項記載の媒体情報取得手段として機能する。
ステップS202では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に対応して、作成する印刷物の長さ(言い換えれば、生成する上記印字済みテープ150″の搬送方向に沿った印刷総延長である全長)を表す全長データが入力されたか否かを判定する。本実施形態では、例えば生成される上記印字済みテープ150″の長さを、操作者がメートル単位で操作入力により指定できるようになっており、上記全長データとして、当該操作入力された値が入力される。上記全長データが入力されない場合はステップS203の判定が満たされず(S202:NO)、上記ステップS201に戻って同様の手順を繰り返す。上記全長データが入力されたらステップS202の判定が満たされ(S202:YES)、ステップS203へ移る。なお、このステップS203を実行するCPU212が、各請求項記載の総延長取得手段として機能する。
ステップS203では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に対応して、上記被印字テープ150に印字形成する(この例ではテープ長さ方向に繰り返して印字形成する)1つのイメージを表す印字データが入力されたか否かを判定する。本実施形態では、上記1つのイメージに対応したテキスト印字や画像等を、操作者が適宜に操作入力(又は選択)可能となっており、このステップS203では、当該操作入力(又は選択)に対応した上記1つのイメージが取得される。印字データが入力されない場合はステップS203の判定が満たされず(S203:NO)、上記ステップS201に戻って同様の手順を繰り返す。上記印字データが入力されたらステップS203の判定が満たされ(S203:YES)、ステップS204へ移る。
ステップS204では、CPU212は、上記ステップS202で取得された上記媒体情報(材質、種類等)に基づき、印字ヘッド11による印刷速度(言い換えれば印字形成動作と同期して行う搬送ローラ12による搬送速度)を決定する。このときの決定は、例えば予め用意され適宜の箇所に記憶されている図12に示す印刷速度テーブルが用いられる。図12に示すように、この例では、被印字テープ150の材質(種類)として、上記「紙テープ」「PETテープ」「布テープ」「クラフトテープ」の4種類が予め想定されている。また、各材質に対し、印刷モードとして、「標準モード」「精細モード」の2つが用意されており、例えば操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に応じていずれか1つのモードを選択可能となっている。そして、各材質とモード選択結果との組み合わせに応じて、一意的に印刷速度が設定される。
図示の例では、被印字テープ150が紙テープである場合には、上記標準モードでは印刷速度が225[mm/s]で上記精細モードでは印刷速度が150[mm/s]に設定されている。同様に、被印字テープ150がPETテープである場合には、上記標準モードでは印刷速度が150[mm/s]で上記精細モードでは印刷速度が75[mm/s]に設定されている。また、被印字テープ150が布テープである場合には、上記標準モードでは印刷速度が150[mm/s]で上記精細モードでは印刷速度が75[mm/s]に設定されている。被印字テープ150がクラフトテープである場合には、上記標準モードでは印刷速度が225[mm/s]で上記精細モードでは印刷速度が150[mm/s]に設定されている。なお、このステップS204を実行するCPU212が、各請求項記載の印刷速度決定手段として機能する。ステップS204が終了すると、ステップS205へ移る。
ステップS205では、CPU212は、上記ステップS202で取得された上記全長データと、上記ステップS204で決定された上記印刷速度と、に基づき、上記巻き取り機構40による巻き取り時間を予測して決定する。なお、この巻き取り時間には、概ね上記全長データを上記印刷速度で除算することで得られる印字形成時間(図8(a)、図8(b)、図9(a))と、例えば固定的に設定されている、上記準備処理時に実行される巻き取り時間(図7(a)〜(c)参照)と、例えば固定的に設定されている、印字済みテープ150″切断後の上記仕上げ動作時におけるテープ巻き取り時間(図9(b)参照)と、が含まれる。なお、このステップS205を実行するCPU212が、各請求項記載の巻き取り時間決定手段として機能する。ステップS205が終了すると、ステップS210へ移る。
ステップS210では、CPU212は、表示部215(又はPC217)に対し、上記ステップS205で決定された巻き取り時間を表示する表示信号(第1表示信号に相当)を出力し、当該巻き取り時間を表示部215(又はPC217)に表示させる。図1には、前述の表示部215において「巻き取り予測時間:30min」が表示された例を示している。なお、このステップS210を実行するCPU212が、各請求項記載の第1表示信号出力手段として機能する。ステップS210が完了したら、図10のステップS15へ移る。
図10に戻り、ステップS215では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの上記印刷物の作成開始操作に対応した、作成開始指示信号が入力されたか否かを判定する。上記作成開始指示信号が入力されない場合はステップS215の判定が満たされず(S215:NO)、このフローを終了する。上記作成開始指示信号が入力されたらステップS215の判定が満たされ(S215:YES)、ステップS220へ移る。
ステップS220では、CPU212は、例えば、上記ステップS205で決定された巻き取り時間から、上記ステップS215での作成開始指示信号が入力されてからの経過時間を差し引いた、残り時間のカウントを開始する。ステップS220が終了すると、ステップS225へ移る。
ステップS225では、CPU212は、表示部215(又はPC217)に対し、上記ステップS220でカウント開始された残り時間を表示する表示信号(第2表示信号に相当)を出力し、上記残り時間を表示部215(又はPC217)に表示させる。上記図1には、前述の表示部215において「残り時間:28min」が表示された例を示している。なお、このステップS225を実行するCPU212が、各請求項記載の第2表示信号出力手段として機能する。ステップS225が終了すると、ステップS100へ移る。
<準備処理の制御>
上記ステップS100では、CPU212は、図7(a)〜(c)を用いて説明した上記準備処理を実行するための制御を行う。その制御手順の詳細を、図13を用いて説明する。
まずステップS105で、CPU212は、モータ駆動回路218に制御信号を出力し、搬送用モータM1の駆動を開始する(上述の図7(a)参照)。ステップS105が終了すると、ステップS110へ移る。
ステップS110では、CPU212は、上記ステップS105での搬送用モータM1の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。当該所定時間が経過していなければステップS110の判定は満たされず(ステップS110:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、第1ロールR1から繰り出された被印字テープ150の先端側に位置する上記テープ150−0が、搬送ローラ12から搬送されて第2ロールR2又は第3ロールR3に到達できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合には、ステップS110の判定は満たされ(ステップS110:YES)、ステップS115へ移る。
ステップS115では、CPU212は、モータ駆動回路218に制御信号を出力し、搬送用モータM1の駆動を停止する。ステップS115が終了すると、ステップS120へ移る。
ステップS120では、CPU212は、操作部216(又は上記PC217)を介してユーザから動作再開を指示する操作が入力されたか否かを判定する。上記指示操作が入力されなければステップS120の判定は満たされず(ステップS120:NO)、指示操作入力されるまでループ待機する。上記指示操作が入力された場合は、ステップS120の判定は満たされ(ステップS120:YES)、ステップS125へ移る。
ステップS125では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2(図中ではADモータと略記)の駆動を開始する(上述の図7(b)参照)。ステップS125が終了すると、ステップS130へ移る。
ステップS130では、CPU212は、上記ステップS125での粘着巻取用モータM2の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS130の判定は満たされず(ステップS130:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、搬送ローラ12から第2ロールR2までの間の上記テープ150−0,150−1の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間(例えば、最大1s)でよい。所定時間経過した場合は、ステップS130の判定は満たされ(ステップS130:YES)、ステップS135へ移る。
ステップS135では、CPU212は、第2ロールR2に対応して設けた図示しない適宜の回転検出センサ(例えば光学センサ等)の検出結果に基づいて、この時点で第2ロールR2が回転中であるか否かを判定する。第2ロールR2が回転していない場合、判定は満たされず(S135:NO)、ステップS140へ移る。
ステップS140では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。ステップS140が終了すると、ステップS145へ移る。
ステップS145では、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3(図中では剥離紙モータと略記)の駆動を開始する(上述の図7(c)参照)。ステップS145が終了すると、ステップS150へ移る。
ステップS150では、CPU212は、上記ステップS145での剥離紙巻取用モータM3の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間が経過していなければ、ステップS150の判定は満たされず(ステップS150:NO)、当該所定時間が経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、上述した剥離点の引き戻しも含め搬送ローラ12から第3ロールR3までの間の剥離材層151の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合は、ステップS150の判定は満たされ(ステップS150:YES)、ステップS155へ移る。
ステップS155では、CPU212は、第3ロールR3に対応して設けた図示しない適宜の回転検出センサ(例えば光学センサ等)の検出結果に基づいて、この時点で第3ロールR3が回転中であるか否かを判定する。第3ロールR3が回転していない場合、判定は満たされず(S155:NO)、ステップS160へ移る。
ステップS160では、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。ステップS160が終了すると、ステップS165へ移る。
ステップS165では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。ステップS165が終了すると、ステップS170へ移る。
ステップS170では、CPU212は、上記ステップS165での各モータの駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS170の判定は満たされず(ステップS170:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、被印字テープ150の繰り出し及び搬送、テープ150−0の搬送、テープ150−1の搬送及び巻取り、剥離材層151の巻取り等を含む一連の動作が正常に行われるかどうかを目視で十分確認できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合は、ステップS170の判定は満たされ(ステップS170:YES)、ステップS175へ移る。
ステップS175では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。ステップS175が終了すると、ステップS180へ移る。
ステップS180で、CPU212は、全ての動作が正常に行われ、準備処理が正常に終了した旨を表示部215(又はPC217)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS135の判定において、第2ロールR2が回転していた場合、判定が満たされ(S135:YES)、ステップS185へ移る。
ステップS185では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。ステップS185が終了すると、ステップS190へ移る。
ステップS190では、CPU212は、第2ロールR2のための巻芯41に対するテープ150−1の先端の固定が不良であるために第2ロールR2が空回りしているとみなして、その旨を表示部215(又はPC217)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
また一方、上記ステップS155の判定において、第3ロールR3が回転していた場合、判定が満たされ(S155:YES)、ステップS195へ移る。
ステップS195では、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
その後、ステップS198で、CPU212は、第3ロールR3のための巻芯29に対する剥離材層151の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、その旨を表示部215に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。以上のようにして、ステップS100が終了すると、図10のステップS230へ移る。
図10に戻り、ステップS230では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取(AD)用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送(以下適宜、単に「テープ搬送」と称する)、及び上記印字済みテープ150″の巻き取りが開始される(上述の図8(a)参照)。ステップS230が終了すると、ステップS235へ移る。
ステップS235では、CPU212は、上記ステップS203で入力された、上記被印字テープ150に印字形成する(この例ではテープ長さ方向に繰り返して印字形成する)1つのイメージを表す印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字開始位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字開始位置に到達していない場合、判定は満たされず(S235:NO)、ループ待機する。印字開始位置に到達した場合、ステップS235の判定が満たされ(S235:YES)、ステップS240へ移る。
ステップS240では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って、上記入力された印字データに対応した1つのイメージの、上記被印字テープ150への繰り返し印字形成(同一内容の印字部155の繰り返し形成)を開始する(上述の図8(b)参照)。ステップS240が終了すると、ステップS245へ移る。
ステップS245で、CPU212は、上記入力された印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字終了位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字終了位置に到達していない場合は判定が満たされず(S245:NO)、上記のステップS240に戻って同様の手順を繰り返す。印字終了位置に到達した場合は判定が満たされ(S245:YES)、ステップS250へ移る。
ステップS250では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対する印字形成を停止する。このとき、テープ搬送は継続して行われている。これにより、それ以降の印字済みテープ150′には、印字部155が存在しない空白状態(前述のテープ150−0)となる。その後、ステップS255へ移る。
ステップS255では、CPU212は、上記ステップS202で取得された上記全長データに対応した、上記カッター機構30による切断位置(巻き取り機構40によって第2ロールR2として巻回される印字済みテープ150″の搬送方向に沿った全長が操作者の意図する長さとなるような切断位置)まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。切断位置に到達していない場合、判定は満たされず(S255:NO)、ループ待機する。切断位置に到達した場合、判定は満たされ(S255:YES)、ステップS260へ移る。
ステップS260では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送が(上記テープ150−0も含めて)停止する。ステップS260が終了すると、ステップS265へ移る。
ステップS265で、CPU212は、モータ駆動回路222に制御信号を出力して上記カッターモータMCを駆動し、上記カッター機構30の作動により印字済みテープ150″の切断を行う(上述の図9(a)参照)。ステップS265が終了すると、ステップS270へ移る。
ステップS270では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を開始して、印字済みテープ150″の終端部の巻き取りを開始する(上述の図9(b)参照)。ステップS270が終了すると、ステップS275へ移る。
ステップS275では、CPU212は、上記ステップS265でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していない場合、判定は満たされず(S275:NO)、ループ待機する。この所定時間は、印字済みテープ150″の上記終端部を巻き取り機構40の上記巻芯41へ巻き取るのに十分な時間とすれば足りる。上記所定時間が経過したらこの判定は満たされ(S275:YES)、ステップS280へ移る。
ステップS280では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。これにより上記切断により生じた印字済みテープ150″の終端部を確実に巻き取ることができる。ステップS280が完了したら、このフローを終了する。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のテープ印刷装置1においては、被印字テープ150が搬送ローラ12によって搬送されると、その搬送される被印字テープ150に対し、印字ヘッド11によって印字データに基づく印刷が実行される。印刷が行われた後の印刷済みテープ150″は、巻き取り機構40によって所定の軸心O2まわりに順次巻き取られ、これによってロール状に印刷物が作成される。
そして、本実施形態のテープ印刷装置1では、上記印刷物の作成を開始する前に、印刷物作成完了までの所要時間を見積もって表示する。すなわち、入力された被印字テープ150の媒体情報に基づき(ステップS201参照)、印字ヘッド11による印刷速度が決定され(ステップS204参照)、さらにこの決定された印刷速度と、入力された上記印字済みテープ150″の上記全長データ(ステップS202参照)とに基づき、上記巻き取り機構40による巻き取り時間を予測して決定する(ステップS205参照)。そして、その決定された巻き取り時間が表示される(ステップS210参照)。
これにより、印刷物の作成が開始される前に、ユーザは、印刷物作成が完了するまでのおおよその所要時間を知ることができる。したがって、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、印刷物作成開始の前に、被印字テープ150への張力付与による弛み除去等を含む所定の準備処理(準備動作に相当。上記図7(a)〜(c)参照)が行われる。上記巻き取り時間の決定時には、この準備処理時に実行されるテープ巻き取り時間をも含めて決定する。これにより、ユーザは、印刷物作成が完了するまでの所要時間を高精度に知ることができるので、確実に利便性を向上することができる。
また、本実施形態においては特に、切断機構30の切断後に、切断部位よりも搬送方向下流側に位置するテープ片をロール外周側へ完全に巻き取る上記仕上げ処理が行われる。そして、上記巻き取り時間の決定の際には、この仕上げ処理時に実行されるテープ巻き取り時間をも含めて決定する。これにより、ユーザは、印刷物作成が完了するまでの所要時間を高精度に知ることができるので、さらに確実に利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、決定された巻き取り時間から、巻き取り機構40が印刷済みテープ150″の巻き取りを開始してからの経過時間を差し引いた、残り時間を表示する(ステップS225参照)。これにより、印刷物作成の着手後に時々刻々と変化していく作成完了までの残り時間を、ユーザはリアルタイムで知ることができる。この結果、さらに利便性を向上することができる。
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
<印字ヘッドのクーリングを加味して巻き取り時間決定>
すなわち、本変形例では、長時間印刷による印字ヘッド11の過熱を防止するための、いわゆる自然冷却等によるクーリングの有無が予測させる。そして、クーリング実行が予測される場合に、クーリングによる印刷停止時間を含めて巻き取り時間が決定される。
<制御系>
本変形例におけるテープ印刷装置1の制御系を図14に示す。本変形例のテープ印刷装置1では、CPU212に対し、印字ヘッド11の温度を検出する温度センサSR(温度検出手段に相当)が新たに接続される。またCPU212は、印字制御部212Aと、クーリング制御部212Bと、を機能的に備えている。
印字制御部212Aは、上記実施形態におけるCPU212の機能と同等の機能を備え、印字ヘッド11、搬送ローラ12、及びカッター機構30等を互いに連携制御する。一方、クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字制御部212Aに対して、一時停止指示信号(後述)を出力する。
<クーリング制御部による制御>
まず、CPU212のクーリング制御部212Bが実行する印字形成に対するクーリング処理の制御手順を、図15のフローにより説明する。
まず、ステップS310及びステップS320において、CPU212のクーリング制御部212Bは、印字ヘッド11による印字形成を停止する印字停止温度T1(例えば60℃)、及び、停止後に再び印字形成を再開するための再開温度T2(例えば40℃)、をそれぞれ設定する。この設定は、予め適宜の記憶手段(例えば上記ROM214)に記憶されていた値を読み出してRAM213に格納してもよいし、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に対応した値を取得してRAM213に格納してもよい。その後、ステップS330へ移る。
ステップS330では、クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字ヘッド11の温度Tが上記印字停止温度T1以上となったか(T≧T1となったか)否か、を判定する。T<T1である間はステップS330の判定が満たされず(S330:NO)、ループ待機する。T≧T1となったらステップS330の判定が満たされ(S330:YES)、ステップS340へ移る。
ステップS340では、クーリング制御部212Bは、印字制御部212Aによる印字形成処理を一次停止する(後述の図16のステップS241参照)ための一時停止指示信号を印字制御部212Aに出力する。その後、ステップS350へ移る。なお、このステップS340を実行するCPU212のクーリング制御部212Bが、各請求項記載の停止制御手段として機能する。
ステップS350では、クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字ヘッド11の温度Tが上記再開温度T2以下となったか(T≦T2となったか)否か、を判定する。T>T2である間はステップS350の判定が満たされず(S350:NO)ループ待機する。T≦T2となったらステップS350の判定が満たされ(S350:YES)、ステップS360へ移る。
ステップS360では、クーリング制御部212Bは、上述の一時停止指示信号による印字形成処理の一時停止を解除する(後述の図16のステップS243参照)ための作成再開指示信号を印字制御部212Aに出力する。その後、このフローを終了する。
<印字制御部による制御>
次に、本変形例の印字形成時にCPU212の印字制御部212Aが実行する処理手順を図16のフローにより説明する。
図16に示すフローは、図10のステップS200に代えてステップS200′を設けた点、ステップS240とステップS245との間に新たにステップS241、ステップS242、ステップS243、ステップS244を設けた点が異なる。
図16のフローでまず実行されるステップS200′を、図17に示す。図17に示すフローは、図11のステップS205とステップS210との間に新たにステップS206〜ステップS209を設けた点が異なる。
図17において、図11と同様のステップS201〜ステップS205を経た後、新たに設けたステップS206へ移る。ステップS206では、CPU212は、予め適宜の箇所(例えばROM214)に記憶された、テープ印刷装置1の構造に基づく印字ヘッド11の温度上昇特性を参照して、上記ステップS202で入力された全長データ、ステップS203で入力した印字データ、ステップS2004で決定された印刷速度、等に基づき、印刷物の作成が完了するまでの印字ヘッド11の温度変化を予測する。ステップS206が終了すると、新たに設けたステップS07へ移る。
ステップS207では、CPU212は、上記ステップS206で予測された印刷物完了までの印字ヘッド11の温度変化予測に基づき、印字ヘッド11のクーリングの必要があるか否かを判定する。印字ヘッド11の予測温度が、予め設定された所定の温度(例えば60℃。上記図15のステップS310の印字停止温度T1に相当)に達しない場合は、クーリングの必要がないとみなされて判定が満たされず(ステップS207:NO)、後述のステップS210へ移る。印字ヘッド11の予測温度が上記所定の温度以上に達する場合はクーリングの必要があるとみなされて上記判定が満たされず(ステップS207:YES)、新たに設けたステップS208へ移る。
ステップS208では、CPU212は、印字ヘッド11のクーリング実行時の所要時間を算出する。すなわち、自然冷却によるクーリングを開始して、印字ヘッド11が上記所定の温度(上記の例では60℃)から、クーリングの終了温度として予め設定された所定の温度(例えば40℃。上記図15のステップS320における印字再開温度T2に相当)に達するまでに要する時間を算出する。なお、上記ステップS206、ステップS207、及びステップS208を実行するCPU212が、各請求項記載のクーリング予測手段として機能する。ステップS208が終了すると、新たに設けたステップS209へ移る。
ステップS209では、CPU212は、上記ステップS205で決定した巻き取り時間に上記ステップS208で算出したクーリング時間を加えることにより、上記巻き取り時間を補正する。本変形例では、このステップS209及び上記ステップS206を実行するCPU212が、各請求項記載の巻き取り時間決定手段として機能する。ステップS209が終了すると、ステップS210へ移る。ステップS210は上記図10と同様であり、説明を省略する。このステップS210が完了したら、図16に戻ってステップS215へ移る。
図16のステップS215〜ステップS240は、図10と同じであり、説明を省略する。上記ステップS240が終了すると、新たに設けたステップS241へ移る。
ステップS241では、印字制御部212Aは、クーリング制御部212Bからの上記一時停止指示信号(上記図15のステップS340参照)が入力されたか否かを判定する。上記一時停止指示信号が入力されない間はステップS241の判定が満たされず(S241:NO)、後述のステップS245へ移る。上記一時停止指示信号が入力されたらステップS241の判定が満たされ(S241:YES)、ステップS242へ移る。
ステップS242では、印字制御部212Aは、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送が停止する。これとともにCPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対する印字形成を停止する。その後、ステップS243へ移る。
ステップS243では、印字制御部212Aは、クーリング制御部212Bからの上記作成再開指示信号(上記図15のステップS360参照)が入力されたか否かを判定する。上記作成再開指示信号が入力されない間はステップS243の判定が満たされず(S243:NO)、ループ待機する。上記作成再開指示信号が入力されたらステップS243の判定が満たされ(S243:YES)、ステップS244へ移る。
ステップS244では、印字制御部212Aは、上記ステップS230と同様、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始して、テープ搬送及び上記印字済みテープ150″の巻き取りを、再び開始する。これとともに、CPU212は、上記ステップS240と同様、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150への印字形成を再び開始する。その後、ステップS245へ移る。
以降、ステップS245〜ステップS280は図10と同じであり、説明を省略する。
以上説明したように、本変形例においては、長時間の印刷が行われるときには、過熱による印字ヘッド11の耐久性低下を防止するためにいわゆるクーリングが実行される。すなわち、温度センサSRによって検出された印字ヘッド11の温度が印刷停止温度T1に達した場合、クーリング制御部212Bからの一時停止指示信号に基づき印字制御部212Aの制御により印字ヘッド11による印刷が停止する(ステップS242参照)。そして、印刷停止後、自然冷却等により印字ヘッド11の温度が印刷再開温度T2まで低下すると、クーリング制御部212Bからの作成再開指示信号に基づき印字制御部212Aの制御により印字ヘッド11による印刷が再開される(ステップS244参照)。
印刷物作成時に途中でもし上記のようなクーリングが実行されると、その分、印刷完了までの時間が延びることになる。本変形例では、これに対応し、印刷物作成完了までの印字ヘッド11の温度変化挙動、クーリングの実行の有無、クーリング実行時の所要時間、等が予測される(ステップS206〜ステップS208参照)。そして、クーリングが実行されると予測された場合には、上記巻き取り時間が、予測されたクーリングの所要時間を含めて決定される(ステップS209参照)。これにより、ユーザは、印刷物作成が完了するまでの所要時間を、さらに高精度に知ることができるので、さらに確実に利便性を向上することができる。
なお、以上において、図6、図14に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10、図11、図13、図15、図16、図17に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。