以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図5を参照しつつ、本実施形態の巻取部材が適用されるテープ印刷装置の概略構成について説明する。
<開閉部及び開閉カバー>
図1、図2、図3、図4、及び図5において、本実施形態のテープ印刷装置1は、装置外郭を構成する筐体2と、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9とを有している。
筐体2は、筐体本体2aと、筐体本体2a内部に起立収容された側壁状の内装基板2bの後方側に設けられた第1収納部3と、内装基板2bの前方側に設けられた第2収納部4及び第3収納部5とを備えている。なお、これら第1収納部3、第2収納部4、及び第3収納部5については、後でより詳しく説明する。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている(図4、図5参照)。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図4、図5の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図4参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記回動軸心まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11(図3参照)を、筐体本体2aの内装基板2bに設けられた搬送ローラ12(図3参照)に対して相対的に離反・近接可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接した閉じ位置(図3の状態:但し図3では第1開閉カバー8aが省略されている。)から、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反した開き位置(図4の状態)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの内装基板2bの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2(図3に軸孔を略示)まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3(図3に軸孔を略示)まわりに回動することで、第2収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第2収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1の状態)から、第2収納部4の上方を露出させる開き位置(図5の状態)までの間で回動可能である。
<テープカートリッジの装着>
このとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTK(図3参照)が着脱可能に装着される。テープカートリッジTKは、軸心O1まわりに巻回形成された第1ロールR1(被印字テープロールに相当)と、軸心O3まわりに後述する剥離材層が巻回されることで形成される第3ロールR3と、第1ロールR1及び第3ロールR3を連結する連結アーム16(図3参照、図5も参照)と、を備えている。
<第1ロール>
第1ロールR1は、連結アーム16によりテープカートリッジTKの後方側において支持されており、テープカートリッジTKが筐体本体2aの内装基板2bに装着された際には回転自在となる。第1ロールR1は、繰り出しにより消費される被印字テープ150(後述する被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151。図3中拡大図参照)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回されている。なお、本実施形態の図3以外の各図においては、上記第1ロールR1として備えられる上記被印字テープ150は(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該被印字テープの幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールフランジ部に符号「R1」を付して略示している。
そしてこのとき、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、第1ロールR1が上方から受け入れられ、被印字テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図3中のA方向)に回転することで、被印字テープ150を繰り出す。
本実施形態では、粘着性を備えた被印字テープ150が用いられる場合を例示している。すなわち、被印字テープ150は、被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図3中の上方側)から他方側(図3中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図3中の部分拡大図参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
また、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第3収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aの内装基板2bに設けられた搬送用モータM1(搬送駆動手段に相当)によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された第1ロールR1から繰り出される被印字テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持部10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150の被印字層154に対し、後述するリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済みテープ150′とする。
<リボンカートリッジ>
またこのとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、リボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。リボンカートリッジRKは、リボン供給ロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。
リボン供給ロールR4は、リボンカートリッジRKの後方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図3中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
リボン巻き取りロールR5は、リボンカートリッジRKの前方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図3中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
また、第1開閉カバー8aにおけるテープ搬送方向に沿った印字ヘッド11の下流側には、不図示のリボン巻き取りローラが備えられている。リボン巻き取りローラは、使用済みのインクリボンIBを、リボン巻き取りロールR5へガイドする。
すなわち、リボン供給ロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りローラによりガイドされつつリボン巻き取りロールR5に巻き取られる。なお、本実施形態の図3以外の各図においては、上記ロールR4,R5に備えられる上記インクリボンIBは(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、巻回されたインクリボンIBの積層構造を覆うように設けられたロールハウジング部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールハウジング部に符号「R4」「R5」を付して略示している。
<第3ロール>
連結アーム16は、テープ搬送方向に沿った第3ロールR3の上流側に、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備える(図3及び図5参照)。引き剥がし部17は、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済みテープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。引き剥がし部17により印字済みテープ150′から剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済みテープ150″とに分離される。そして、引き剥がされた剥離材層151が巻き取られ巻回されることで、上記第3ロールR3が形成される。
第3ロールR3は、連結アーム16によりテープカートリッジTKの前方側(つまり、テープ搬送方向に沿った第1ロールR1の下流側)において支持されている。テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3が回転自在となり、印字済みテープ150′から引き剥がされた剥離材層151を、左右方向の軸心O3まわりに巻回する。なお、本願の図3以外の各図においては、上記ロールR3に備えられる上記剥離材層151は(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールフランジ部に符号「R3」を付して略示している。
このとき、第3収納部5には、テープカートリッジTKの装着によって、第3ロールR3が上方から受け入れられるよう、剥離材層巻回用の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、第3ロールR3は、第3収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2aの内装基板2bに設けられた剥離紙巻取用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第3収納部5内で所定の回転方向(図3中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
また、本実施形態の特徴として、テープ搬送方向に沿って印字ヘッド11の下流側でかつ第2ロールR2の上流側には、スリット形成機構300及びカッター機構30が設けられている。
スリット形成機構300は、上記印字済みテープ150″に対し少なくとも1つ(この例では2つ)のスリットSを形成して複数条のテープ(この例では3条の第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3;図2参照。スリット済みテープ部に相当)とする。
カッター機構30は、スリット形成機構300より下流側に設けられ、上記スリット形成機構300によって形成された第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3を切断する。
なお、これらカッター機構30及びスリット形成機構300は、前方側開閉カバー9に設けられた1つのユニット筐体400(図3及び後述の図6等を参照)に組み込まれている(詳細は後述)。
<第2ロール>
また、第2収納部4には、上記スリット形成機構300によって印字済み粘着テープ150″にスリットSが形成されて生成された上記第1〜第3テープT1,T2,T3を一括して順次巻回するための、上巻き取り機構40が上方から受け入れられる。巻き取り機構40は、第1〜第3テープT1,T2,T3の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第2収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内装基板2bに設けられた粘着巻き取り用モータM2(巻取駆動手段に相当)によりギア機構を介して駆動され、第2収納部4内で所定の回転方向(図3中のB方向)に回転することで、第1〜第3テープT1,T2,T3を巻き取って積層する(但し巻き取り開始直後のみはスリットSが形成されず3条に分かれていない状態で巻き取られる。詳細は後述)。これにより、巻き取り機構40の外周側に第1〜第3テープT1,T2,T3が順次巻回されて、第2ロールR2(印字済みテープロールに相当)が形成される。なお、本実施形態の図3以外の各図においては、上記ロールR2に備えられる上記第1〜第3テープT1,T2,T3は、(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該第1〜第3テープT1,T2,T3の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、当該ロールフランジ部に符号「R2」を付して略示している。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、テープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に第1ロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部5に第3ロールR3を形成する軸心O3側が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部4には、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された第1ロールR1の回転により繰り出される被印字テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される基材層153の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済みテープ150′となる。印字形成された印字済みテープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済み粘着テープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第3収納部5へ導入され、当該第3収納部5内において巻回されて第3ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″は、さらに前方側へ搬送されてスリット形成機構300によって上記スリットSが形成されて3条の第1〜第3テープT1,T2,T3となる。それら第1〜第3テープT1,T2,T3はさらに前方側へ搬送されて第2収納部4へ導入され、当該第2収納部4内の巻き取り機構40の外周側に巻回されて第2ロールR2が形成される。その際、上記スリット形成機構300よりも搬送方向下流側(すなわち前方側)に設けられたカッター機構30が、それら第1〜第3テープT1,T2,T3を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、第2ロールR2に巻回されていく第1〜第3テープT1,T2,T3を切断し、切断後は第2ロールR2を第2収納部4から取り出すことができる。
<各部詳細構造>
次に、テープ印刷装置1の各部の詳細構造について順を追って説明する。
<スリット形成機構>
図6、図7、図8、図9、及び前述の図3に示すように、上記カッター機構30及びスリット形成機構300は、上述したように、前方側開閉カバー9に設けられた一つのユニット筐体400に組み込まれている。ユニット筐体400は、この例では、扁平なコ字枠状に形成されている。ユニット筐体400の印字ヘッド11に対向する先端側に、上記スリット形成機構300が設けられ、当該スリット形成機構300の後方側(印字済みテープ150″の搬送経路の下流側)に、上記カッター機構30が設けられている。
スリット形成機構300は、ユニット筐体400の左右側壁部に跨って設けられた支持バー403と、スリット刃保持部301と、遠近駆動モータM5(遠近駆動手段に相当)と、半円状のギアブラケット401と、を備えている。
支持バー403には、スリット刃保持部301が左右方向にスライド自在に挿通されている。スリット刃保持部301の下面に、左右一対のスリット刃301a,301b(スリット刃)が取り付けられている。このとき、スリット刃保持部301を上記支持バー403に対しスライドさせるためのスライド支持枠部500が設けられている。スリット刃301a,301bは、スライド支持枠部500の底部側に形成された孔部500a,500bから突き出た状態で、支持されている。そして、上記スライド支持枠部500を手動操作で(又は適宜の駆動機構の駆動力により)左右方向へ移動させることにより、スリット刃301a,301bの幅方向における位置を(それらスリット刃301a,301b間の間隔は不変のままで)変えることができる。
ギアブラケット401は、ユニット筐体400の右側に、軸芯O5のまわりに揺動自在となるように設けられている。ギアブラケット401には、遠近駆動モータM5の出力軸に設けられたギアg1(図8参照)に噛み合う、ギアg2(図8中に2点鎖線で示す)が備えられている。ギアブラケット401にはまた、駆動カム401aが設けられている。駆動カム401aは、中間の段差401a3を介してそれぞれ径が異なる、小径部401a1及び大径部401a2を備えている。そして、支持バー403の右端に取り付けられた略楕円形(平面卵形)の被駆動カム402が、上記駆動カム401aに対して接触している。
<スリット形成機構の動作>
上記構成のスリット形成機構300において、スリット刃301a,301bは、遠近駆動モータM5の正逆回転する作動によって下降又は上昇する。すなわち、図8(a)に示す、スリット刃301a,301bの下端が印字済みテープ150″の搬送経路に位置して印字済みテープ150″に上記スリットSを形成加工している状態(加工位置)から、遠近駆動モータM5を(例えば正方向に)回転駆動してギアg1を介してギアブラケット401を矢印a方向に回転する。すると、図8(b)に示すように、被駆動カム402の先端部分がそれまで接触していた駆動カム401の小径部401a1から段差401a3を介して大径部401a2に乗りあがり移動する。これによって、被駆動カム402が矢印b方向に回転する結果、支持バー403がスリット刃保持部301と共に矢印c方向に揺動し、スリット刃301a,301bは印字済みテープ150″から離間した状態(離間位置)となる。遠近駆動モータを上記とは逆方向に回転させることで、上記とは逆に、スリット刃301a,301bを上記離間位置から上記加工位置へと移動させることができる。
なお、以上において、上記支持バー403及び被駆動カム402が各請求項記載の遠近支持手段に相当する。また、スリット刃保持部301が各請求項記載の可変支持手段に相当する。
なお、スリット形成機構300において、上記第1〜第3テープT1,T2,T3それぞれが互いに略同一幅となるように、上記スリット刃301a,301bが印字済みテープ150″の幅方向に沿って(すなわち印字済みテープ150″の全幅を3等分する位置に)設けられていても良い。この場合、各テープT1,T2,T3の幅を略同一とすることで、各テープ部が巻回されるときの巻回抵抗を略同一ができるので、それらテープ部T1,T2,T3を同時に巻き取り機構40に巻回する際に、偏りが生じることなく均一かつ安定的に巻取りが行うことができる。
<カッター機構>
カッター機構30は、詳細な図示を省略するが、ユニット筐体400において、スリット形成機構300より搬送方向下流側(言い替えれば前方側)に設けられている。このカッター機構30は、可動刃と、可動刃を支持しテープ幅方向(言い替えれば左右方向)に走行可能な走行体とを有している。そして、カッターモータ(図示せず)の駆動により走行体が走行し可動刃がテープ幅方向に移動することで、印字済みテープ150″を幅方向に切断する。
<テープカ−トリッジ>
図10及び上記図5において、テープカートリッジTKは、前述したように、第1ロールR1と、第3ロールR3と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。なお、図10中では、既に述べたように、第1ロールR1において軸心O1まわりに巻回された被印字テープ150、及び、第3ロールR3において軸心O3まわりに巻回される剥離材層151の図示を省略すると共に、第1ロールR1及び第3ロールR3を構成する部材の一部を省略して図示している。
第1ブラケット部20,20は、第1ロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第1ロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により第1ロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第2ブラケット部21,21は、第3ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。
そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
ここで、前述したように、テープカートリッジTKの使用時には、第1ロールR1から被印字テープ150が繰り出されて搬送されることで、当該被印字テープ150が消費される。一方、第3ロールR3には、被印字テープ150が搬送されて印字形成された印字済みテープ150′から、上記引き剥がし部17により引き剥がされた剥離材層151が、軸心O3まわりに巻回される。
<巻き取り機構及び軸心O2の周辺構造概略>
また、本実施形態では、上述したように第2収納部4に巻き取り機構40が装着され、この巻き取り機構40の外周側に第1〜第3テープT1,T2,T3が巻き取られて積層することで、第2ロールR2が形成される。図11〜図13において、筐体本体2aの内装基板2bの第2収納部4内で、第2ロールR2が装着された際の軸心O2方向に沿った左・右両側に、それぞれ当該第2ロールR2を挟み込むように対向して略円柱形状の突起である2つの軸受部39が固定的に設けられている。巻き取り機構40は、その軸方向両側の各軸端部をそれぞれ軸受部39,39に装着することで、当該巻き取り機構40の中央部分が回転可能に支持される。このとき、筐体本体2aの内装基板2bの第2収納部4における左側の軸受部39よりも後方側の下方では、上記粘着巻取用モータM2に連動する駆動ギア38がその歯面の一部を軸受部39に向けて露出している。なお、図11、図12中では、第2ロールR2の図示を省略している。
図13において、巻き取り機構40は、後に詳述するように、軸心方向両側の各軸端部が連結して小径の支持軸となり、これが第1〜第3テープT1,T2,T3を巻回する中央のドラム部50の軸中心を貫通して回転自在に支持するよう構成されている。ドラム部50における右側の外周には略円環形状のフランジを備えた第1外筒42が装着されており、ドラム部50における左側の外周には略円環形状のフランジを備えた第2外筒43が装着されている。この第2外筒43は、当該巻き取り機構40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。これにより、巻き取り機構40が巻回する第1〜第3テープT1,T2,T3に対し、第1外筒42と第2外筒43がそのテープ幅に合わせて適切に幅方向で挟み込むことができる。
巻き取り機構40の左端側で所定の周方向位置には、上記第2外筒43の移動位置に応じて露出幅が変化する被検出部81が設けられている。この被検出部81は、露出幅に応じて凹凸波の露出量が変化する形状で形成されている(図中の破線部参照)。巻き取り機構40を筐体本体2aの内装基板2bの第2収納部4に装着する際には、この被検出部81が下方に位置するように装着される。筐体本体2aの内装基板2bの第2収納部4には、巻き取り機構40が装着された際に、被検出部81と対向する位置に検出部82が設けられている。特に詳細に図示しないが、この検出部82は対向する被検出部81の凹凸波の露出量を機械的又は光学的に検出して、上記第2外筒43の軸方向位置を判別する。これにより、第1外筒42と第2外筒43で挟み込んでいる第1〜第3テープT1,T2,T3のテープ幅をテープ印刷装置1側で自動的に検出することができ、さらにこのテープ幅に基づいて第2ロールR2の種別や基本径も判別できる。
また、左側の軸受部39の下方近傍位置(図13中で見た軸受部39の背面位置)には、略四角筒形状の突部36が設けられている。
<巻き取り機構の詳細>
図14及び図15において、巻き取り機構40は、上記軸心O2を軸とする略円筒状の内筒41と、上記第1外筒42と、上記第2外筒43と、軸部材51と、被駆動ギア52と、ロック部材53とを備えている。
第1外筒42は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O2方向である左右方向)に沿って一方側端部(詳細には右端部)の外周側に着脱可能に装着される。この第1外筒42は、略円筒状の第1筒部45と、第1筒部45の右端部に一体的に形成された略円環形状の第1フランジ部46とを備えている。
第2外筒43は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O3方向である左右方向)に沿って他方側端部(詳細には左端部)の外周側に装着される。この第2外筒43は、略円筒状の第2筒部47と、第2筒部47の左端部に一体的に形成された略円環形状の第2フランジ部48とを備えている。この第2外筒43は、上述したように、巻き取り機構40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。なお、内筒41、第1外筒42、及び第2外筒43が、上記のドラム部50を構成している。
内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1フランジ部46及び第2フランジ部48は、互いに軸心方向で対向して配置され、これら第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間には、上記第1〜第3テープT1,T2,T3を受け入れ可能な空間が形成される。
また、内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1筒部45及び第2筒部47は、第1フランジ部46及び第2フランジ部48を接続するように軸心O2に略沿って延設され、これら第1筒部45及び第2筒部47の外周側(言い換えれば、第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間)には、略円筒状の紙芯44(巻取部材に相当)が装着可能である。紙芯44は、前述のスリットSにより複数条にされた第1テープT1、第2テープT2、及び第3テープT3を、テープ幅方向が左右方向となるように、外周側に巻き付けるための供給部材である。なお、図12中では、第1筒部45及び第2筒部47の外周側に紙芯44が装着されていない状態を図示している(上記図13も同様)。
軸部材51は、全体が略円柱形状の部材であり、右側の端部には筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着可能な第1係合部51aを備え、軸方向中央部には第1係合部51aより小径のシャンク部51bを備え、左側の端部には軸連結部51cを備えている。内筒41の軸中心には貫通穴41aが設けられており、軸部材51のシャンク部51bがこの貫通穴41aを貫通することで当該内筒41は軸部材51に回転自在に支持される。
被駆動ギア52は、筐体本体2aの第2収納部4に設けられている駆動ギア38に噛合可能なギアであり、その右側の端面の中心には外周面にキーを備えた挿入筒52aが設けられている。この挿入筒52aを内筒41の貫通穴41aの左端開口部に挿入することで、被駆動ギア52と内筒41(及び第1外筒42、第2外筒43)が一体に回転できる。なお、挿入筒52aを含めた被駆動ギア52全体の軸中心にも貫通穴52bが形成されており、上記軸部材51の左端部は連結した内筒41と被駆動ギア52を貫通できる。
ロック部材53は、上記被駆動ギア52全体を内部に収容できる略カップ形状のカバー部53aと、このカバー部53aの外周で周方向所定位置に設けられた操作部53bと、カバー部53aの左側端面で軸中心位置に設けられた第2係合部53cと、この第2係合部53cの近傍に設けられた爪部53dとを備えている。また、このロック部材53の内側面(カバー部53aの右側端面)の軸中心位置は、上記軸部材51の左端部の軸連結部51cと着脱可能に連結できる。また、ロック部材53の第2係合部53cは、軸部材51の上記第1係合部51aと同様に筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着できる。また、カバー部53aの周方向所定位置には、上記被駆動ギア52の歯面の一部を露出させる露出穴53eが設けられている。
上記構成の巻き取り機構40により、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、紙芯44、及び被駆動ギア52が一体に連結される一方で、軸部材51とロック部材53とが一体に連結される。被駆動ギア52に伝達されたトルクは、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、及び紙芯44に伝達され、軸部材51とロック部材53に対して回転する。そして、軸部材51の第1係合部51aとロック部材53の第2係合部53cとが上記2つの軸受部39,39によりそれぞれ支持されるように装着された状態で、巻き取り機構40全体が前述の第2収納部4に収納される。すると、被駆動ギア52が駆動ギア38に噛合し、上記第1〜第3テープT1,T2,T3の巻き取りが行われる。すなわち、紙芯44の外周側に第1〜第3テープT1,T2,T3が順次巻き付けられつつ、巻き取り機構40全体が軸受部39に装着された状態で軸心O2まわりに回転する。これにより、紙芯44の外周側に第1〜第3テープT1,T2,T3が順次巻き付けられて積層し、上記第2ロールR2が形成される。なお、前述のように紙芯44はドラム部50の一部として巻き取り機構40に組み込まれていることから、言い替えれば紙芯44は、内筒41や軸部材51等を介し軸受部39に対し回転可能に装着されていることになる。
なお、巻き取り機構40は、紙芯44も含めた全ての部材の単位で分解と組み立てを繰り返すことが可能である。これにより、巻き取り機構40の回転と共に、上記第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間に順次第1〜第3テープT1,T2,T3が導入され、第1筒部45及び第2筒部47に取り付けた紙芯44に第1〜第3テープT1,T2,T3が積層されて第2ロールR2が形成された後には、巻き取り機構40全体を分解して第2ロールR2だけを取り外すことができる。
<制御系>
次に、図16を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図16において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。このとき、ROM214には、後述する制御処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。このCPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記第2ロールR2を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記第3ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記スリット形成機構300においてスリット刃301a,301bを印字済み粘着テープ150″に対し遠近させるための遠近駆動モータM5の駆動制御を行うモータ駆動回路222と、カッター機構30において可動刃を走行させる上記カッターモータの駆動制御を行うモータ駆動回路223と、に接続されている。さらに、CPU212には、表示部215及び操作部216と、PC217が接続されている。
CPU212は、搬送ローラ12により被印字粘着テープ150を繰り出しつつ、生成された印字データに従って印字ヘッド制御回路217を介し印字ヘッド11により印刷を行わせ、印字済みテープ150′を作成する。
<実施形態の特徴>
前述したように、本実施形態の特徴は、印字済み粘着テープ150″に対しスリット形成機構300によりスリットSを形成して3条の第1〜第3テープT1〜T3とした後、それら第1〜第3テープT1〜T3を一括して巻き取り機構40で巻き取ることで第2ロールR2を形成することにある。またその際、既に述べたように、紙芯44への巻き始めにおいては、上記スリットSが形成されない状態で印字済み粘着テープ150″の巻き取りが行われる。
上記の手法を実現するために、テープ印刷装置1のCPU212によって実行される印刷処理の制御内容を、図17のフローにより説明する。図17において、例えばユーザによりテープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
なお、この時点で、図18に示すように、先行する第1〜第3テープT1〜T3を用いた第2ロールR2の生成時における、当該第1〜第3テープT1〜T3の終端部のカッター機構30による切断によって、後続の印字済みテープ150″(但しこの例ではカッター機構30の直近には印字がなされず空白である)及び印字済みテープ150′(剥離材層151を含む)の先端部(以下適宜、巻き始め側始端部C1という。後述の図19(a)も参照)が、カッター機構30の位置にある。また、上記第2ロールR2の生成時に、印字ヘッド11より搬送方向下流側の直近に位置する上記印字済みテープ150′には、所望の印字(この例では「UENO−TEC」のテキスト文字の繰り返し)が既に形成された状態である。そして、スリット形成機構300のスリット刃301a,301bは前述の離間位置にあり、印字済みテープ150″にはスリットSの形成は行われていない。
まず、適宜の手法で上記巻き始め側始端部C1が上記紙芯44の外部に接続された状態(例えば一例として図19(a)参照)で、ステップS205において、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始して、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送、及び上記印字済みテープ150″の巻き取りを開始する。
その後、ステップS215で、CPU212は、上記PC217(又は操作部216)でのユーザの入力操作に対応して予め生成された印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字開始位置(上記印字部155の形成を開始すべき搬送位置)まで前述のテープ搬送が到達したか否かを判定する。印字開始位置に到達していない場合、判定は満たされず(S215:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。印字開始位置に到達した場合、判定は満たされ(S215:YES)、ステップS220に移る。
ステップS220では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150への印字部155(この例では、上記既に形成された状態の「UENO−TEC」のテキスト文字に続く、さらなる「UENO−TEC」のテキスト文字)の形成を開始する(後述の図20等を参照)。
その後、ステップS225で、CPU212は、上記スリット形成機構300のスリット刃301a,301bを離間位置から加工位置へと下降させるべき位置(以下単に、「スリット刃の下降位置」という)まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。なお、このスリット刃の下降位置に関する判定は、例えば、上記第2ロール形成のための巻き取り開始時において、巻き始め側始端部C1から後述のスリットの先端部(形成開始点)までの距離x(図19(a)参照)が十分に確保できたか否か、によって判定すればよい。したがって、搬送速度が分かっていれば上記に対応する所定の時間が経過したかを判定すればよいし、適宜の手法で検出したステップS205以降の搬送距離に基づき、上記距離xが確保されたか否かを判定しても良い。なお、この距離xの部分に対応した、巻き始め側始端部C1近傍のスリットSが形成されていない部分が、各請求項記載のスリットなしテープ部に相当している。スリット刃の下降位置に到達していない場合、判定が満たされず(S225:NO)、ステップS220に戻り同様の手順を繰り返す。スリット刃の下降位置に到達した場合、判定が満たされ(S225:YES)、ステップS230に移る。
ステップS230では、CPU212は、モータ駆動回路222に制御信号を出力し、遠近駆動モータM5を駆動して、スリット形成機構300の上記スリット刃301a,301bを前述の加工位置へと下降させる(図20参照)。この下降により、前述のようにして搬送及び巻回が開始されている印字済みテープ150″に対し、上記スリット刃301a,301bにより2つのスリットS,Sが形成開始され、当該2つのスリットS,Sによって幅方向に分離された上記第1〜第3テープT1〜T3の生成が開始される。このとき、前述のようにして既に印字ヘッド11によって印字済みテープ150′へと形成されている印字部155の印字内容(この例では「UENO−TEC」のテキスト文字の繰り返し)は、上記スリットSによる各テープT1〜T3への分離に対応したものとなっている。
すなわち、この例では、図18に示したように、幅方向両側端部には相対的に大きなフォントサイズで「UENO−TEC」のテキスト文字が繰り返して印字される一方、幅方向中央部には相対的に小さなフォントサイズで「UENO−TEC」のテキスト文字が繰り返して印字されている。この結果、そのような印字がなされた後の上記印字済みテープ150″に対し、上記スリット刃301a,301bによる2つのスリットS,Sの形成が開始された結果、図20に示すように、幅方向両端部それぞれには、比較的広い幅を備え、かつ相対的に大きなフォントサイズで「UENO−TEC」のテキスト文字からなる印字部155が繰り返して印字された、上記第1テープT1及び第3テープT3が生成される。また、幅方向中央部には、比較的狭い幅を備え、かつ相対的に小さなフォントサイズで「UENO−TEC」のテキスト文字からなる印字部155が繰り返して印字された、上記第1テープT2が生成される。そして、このようにして生成された第1〜第3テープT1〜T3が、一括して上記紙芯44の外周側へと巻き付けられていく(図19(b)参照)。
なお、この例では、図19(b)に示すように、第1〜第3テープT1,T2,T3の第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3それぞれの幅方向中心線どうしの間隔tが、上記スリット形成機構300によるスリットSの形成時から巻き取り機構40の紙芯44への巻回時まで、略一定に保たれるように構成されている。
その後、ステップS235で、CPU212は、上記印字データに基づき、公知の手法により、上記印字部155の印字終了位置まで前述の搬送が到達したか否かを判定する。印字終了位置に到達していない場合、判定は満たされず(S235:NO)、ステップS220に戻り同様の手順を繰り返す。これにより、上記スリット刃301a,301bによるスリットSの形成続行とともに、上述の印字部155の形成が続行される(図21参照)。一方、印字終了位置に到達した場合、判定は満たされ(S235:YES)、ステップS240に移る。
ステップS240では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対する印字部155の形成を停止する。これにより、それ以降の印字済み粘着テープ150′には、印字部155が存在しない空白状態となる(図22参照)。その後、ステップS250に移る。
ステップS245では、CPU212は、上記スリット形成機構300のスリット刃301a,301bを加工位置から離間位置へと上昇させるべき位置(以下単に、「スリット刃の上昇位置」という)まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。なお、このスリット刃の上昇位置に関する判定は、上記スリット形成機構300のスリット刃301a,301bの位置に、今回の第2ロールR2の形成時におけるテープ巻き終わり側終端部C2が到達したか否か、を公知の手法により判定すれば足りる。当該テープ巻き終わり側終端部C2よりも搬送方向上流側は、次回の第2ロールR2の形成時においてスリットSが形成されない部分(上記距離xに対応した部分)となるからである。スリット刃の上昇位置に到達していない場合、判定が満たされず(S245:NO)、ループ待機する。スリット刃の上昇位置に到達した場合、判定が満たされ(S245:YES)、ステップS250に移る。
ステップS250では、CPU212は、モータ駆動回路222に制御信号を出力し、遠近駆動モータM5を駆動して、スリット形成機構300の上記スリット刃301a,301bを前述の離間位置へと上昇させる(図23参照)。この上昇により、前述のようにして搬送及び巻回が継続されている印字済みテープ150″において、上記スリット刃301a,301bによる2つのスリットS,Sの形成が停止される。この結果、これ以降、前述のようにして印字形成が行われない空白状態で、かつ幅方向に分離されない上記印字済み粘着テープ150″が生成されることとなる(図23参照)。
その後、ステップS255で、CPU212は、上記カッター機構30による切断位置まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。具体的には、上記巻き終わり側終端部C2の位置(言い替えればその後続の印字済み粘着テープ150″のための上記巻き始め側始端部C1の位置。図23参照)が、上記カッター機構30の可動刃の位置となるまで前述の搬送が到達したか否かを判定する。切断位置に到達していない場合、判定は満たされず(S255:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。可動刃32の位置に到達した場合、判定は満たされ(S255:YES)、ステップS260に移る。
ステップS260では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″が、上記印字済みテープ150″の巻き終わり側終端部C2(言い替えれば後続のための巻き始め側始端部C1)となる位置が、上記カッター機構30の可動刃の位置となった状態で、搬送が停止する(図23の状態)。
その後、ステップS265で、CPU212は、カッター駆動回路223に制御信号を出力し、上記カッターモータを駆動してカッター機構30の作動により上記巻き終わり側終端部C2(言い替えれば後続のための巻き始め側始端部C1)の切断を行う(後続の図24中のカッター機構30の黒▼マーク参照)。この切断後には、先行する搬送方向下流側の第1〜第3テープT1〜T3の切断端部が上記巻き終わり側終端部C2となり、後続する搬送方向上流側の印字済みテープ150″の切断端部が上記巻き始め側始端部C1となる(後述の図24参照)。
そして、ステップS270に移り、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を開始して、第1〜第3テープT1〜T3すべてを紙芯44へと巻き取る)。
その後、ステップS275では、CPU212は、上記ステップS265でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していない場合、判定は満たされず(S275:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。この所定時間は、上記巻き終わり側終端部C2よりも搬送方向下流側のすべての第1〜第3テープT1〜T3を紙芯44へと巻き取れるだけの時間でよい。所定時間が経過したらこの判定は満たされ(S275:YES)、ステップS280へ移る。
ステップS280では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。これにより、図19(c)に示すように、上記切断により生じた上記巻き終わり側終端部C2よりも搬送方向下流側のすべての第1〜第3テープT1〜T3を確実に第2ロールR2で巻き取ることができる。この結果、紙芯44の外周側に巻回された第2ロールR2側の第1〜第3テープT1〜T3と、被印字テープ150に連結された状態の後続の印字済み粘着テープ150″とが、分断されて離間した状態となる(図24参照)。
その後、ステップS285で、CPU212は、上記の処理がすべて正常に行われ終了した旨を上記表示部215(又はPC117)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
なお、上記したステップS205〜ステップS280の各処理を実行するCPU212が、各請求項記載の連携制御手段として機能する。
以上のようにして、第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3それぞれが巻き取り機構40の紙芯44へ巻回されて第2ロールR2が生成された後は、巻き取り機構40全体を分解することで第2ロールR2全体として(すなわち第1〜第3テープT1〜T3のロールを一括して)取り出すことができる。
そして取り出された第2ロールR2から、ユーザは、第1〜第3テープT1〜T3を引き出して使用することができる。この際、例えば、図25(a)に示すように、第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3全てを使用する場合には、第2ロールR2から各テープ全てを同時に引き出すことができる。
また、図25(b)に示すように、第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3のうち2つ(この例では第1テープT1及び第2テープT2)を使用し、残りの1つ(この例では第3テープT3)のみを使用しない場合には、第3テープT3を残したまま第2ロールR2から第1テープT1及び第2テープT2を同時に引き出すことができる。
また、図25(c)に示すように、第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3のうち1つ(この例では第1テープT1)のみを使用し、残りの2つ(この例では第2テープT2及び第3テープT3)を使用しない場合には、第2テープT2及び第3テープT3を残したまま第2ロールR2から第1テープT1のみを引き出すことができる。
以上のようにして、本実施形態では、前述のようにして生成した第2ロールR2から、第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3のうち少なくとも1つの所望のテープを選択して引き出し、使用することができる。
なお、上記の例では、共通の1つの紙芯44に対し、第1〜第3テープT1〜T3を一括して巻回したが、これに限られない。すなわち、予め各テープごとに対応する幅の紙芯を用意し、これを巻き取り機構40に同時に回転するように装着しておいて、上記同様にして巻回を行い、第2ロールR2を生成しても良い。この場合は、生成したロールが各テープごとに分かれるので、さらに利便性を向上することができる。その場合、上記巻き始め側始端部C1の近傍は印字済みテープ150として一体的な1本のテープの状態で上記3つの紙芯にまたがって取り付けられているので、使用時にユーザが当該1本のテープ部分を手動操作で分断すればよい。さらには、上記共通の1つの紙芯44が、適宜の分離予定構造(例えばミシン線等によって幅方向に破断分離可能な構造)となっていて、巻回時には上記のように第1〜第3テープT1〜T3を一括して巻回しておき、使用時には、各テープごとのロールとなるよう、上記紙芯44を破断させ3つに分離するようにしても良い。
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においてはスリット形成機構300により、被印字テープ150に印字形成した後の印字済みテープ150′に対しスリットSが形成されることで、第1〜第3テープT1,T2,T3が生成される。そして、巻き取り機構40の紙芯44は、生成されたそれら第1〜第3テープT1,T2,T3を外周部に順次巻回することで、第2ロールR2を形成する。
このように、本実施形態においては、幅広の被印字テープ150を用いて形成された幅広の印字済みテープ150′を幅方向に第1〜第3テープT1,T2,T3に分断することで、幅狭となった第1テープT1、第2テープT2、第3テープT3それぞれを得ることができる。この結果、例えばユーザの用途や好みに応じて、各種の幅に対応した被印字テープ150を備えた第1ロールR1をそれぞれ用意して印字を行う場合に比べ、管理すべきロールの種類数を低減し、管理の煩雑を解消することができる。
また、本実施形態では特に、スリット形成機構300において、スリット刃301a,301bを備えたスリット刃保持部301が上記支持バー403に対しスライド可能であることで、スリット刃301a,301bの幅方向における位置が可変となっている。これにより、ユーザのニーズに応じた所望の幅の第1〜第3テープT1,T2,T3を自在に生成し、第2ロールR2を形成することができる。
また、本実施形態では特に、上述したスリットSの形成を行わないときには遠近駆動モータM5の駆動力によってスリット刃301a,301bを上記離間位置に切り替え、スリットSの形成を行うときには遠近駆動モータM5の駆動力によってスリット刃301a,301bを上記加工位置に切り替えることができる。この結果、第2ロールR2の生成時における、巻き取り機構40の紙芯44への巻き始めにおいてはスリットSを形成しない1本の印字済みテープ150″とすることで円滑に巻回を開始できるとともに、その後はスリットSを介した第1〜第3テープT1,T2,T3を同時に一括して紙芯44へ巻回することができる。
また、本実施形態では特に、スリットSの形成から巻回までの搬送において第1〜第3テープT1,T2,T3同士の間隔tが同一に保たれる。これにより、第1〜第3テープT1,T2,T3の搬送抵抗及び巻回抵抗を確実に略同一とすることができる。この結果、さらに確実に均一かつ安定的な巻取りを行うことができる。
以上においては、本発明を、被印字テープ150に対し印字を行うテープ印刷装置1に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、テープに対し印字以外の処理を行うテープ処理装置に適用することも可能である。
なお、以上において、図16に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、上記図17におけるフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。