JP2015168071A - 印刷物作成装置 - Google Patents

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徳子 篠田
Tokuko Shinoda
徳子 篠田
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Abstract

【課題】印字かすれや印字つぶれの発生を防止し、印字品質を向上できる印刷物作成装置を提供する。【解決手段】搬送ローラと、印字ヘッドとを有し、CPUは、被印字テープに印字形成するための1つの単位印字データを取得し、当該単位印字データに対応した単位印字イメージを、搬送方向に沿って被印字テープに複数個繰り返して形成することにより1つの印字済みテープロールを作成するように、印字ヘッド及び搬送ローラを連携して制御すると共に、1つの単位印字データにおける印字率に応じて、単位印字イメージの形成時において印字ヘッドに与える印字エネルギを可変に制御する。【選択図】図14

Description

本発明は、印刷物を作成する印刷物作成装置に関する。
印刷物を作成する印刷物作成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷物作成装置においては、搬送ローラによって搬送される被印字テープに対し、サーマルヘッド(印字ヘッド)によって所望の印字が形成される。
特開2013−233664号公報
上記従来技術において印字形成のために用いられるサーマルヘッドは、通電されて発熱することによって生じる印字エネルギを用いて被印字テープへの上記印字形成を行う。そのため、同一の印字エネルギを与えられても、まだサーマルヘッドが暖まっておらず比較的低温の場合には発色不足による印字かすれ等が生じる場合があり、逆に既に十分に暖まって比較的高温となっている場合には発色過剰による印字つぶれ等が生じる場合があった。
本発明の目的は、印字かすれや印字つぶれの発生を防止し、印字品質を向上できる印刷物作成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字テープを所定の速度で搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラにより前記所定の速度で搬送される前記被印字テープに対し、前記所定の速度と同期した印刷速度で所望の印字を形成するサーマルヘッドと、前記被印字テープに印字形成するための1つの単位印字データを取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段により取得された前記単位印字データに対応した単位印字イメージを、搬送方向に沿って前記被印字テープに複数個繰り返して形成することにより1つの印刷物を作成するように、前記サーマルヘッド及び前記搬送ローラを連携して制御する連携制御手段と、前記1つの単位印字データにおける印字率に応じて、前記単位印字イメージの形成時において前記サーマルヘッドに与える印字エネルギを可変に制御するエネルギ制御手段と、を有することを特徴とする。
本願発明の印刷物作成装置においては、搬送ローラによって搬送される被印字テープに対し、サーマルヘッドによって所望の印字が形成される。この際、本願発明においては、同一の印字内容が搬送方向に沿って繰り返し印字形成される。すなわち、データ取得手段によって、被印字テープに印字形成するための1つの単位印字データが取得される。そして、連携制御手段の制御に基づき、サーマルヘッド及び搬送ローラが、上記単位印字データに対応した単位印字イメージを被印字テープに繰り返し形成し、これによって印刷物が生成される。
そして、本願発明においては、エネルギ制御手段が設けられる。このエネルギ制御手段は、1つの上記単位印字データにおける印字率に応じて、サーマルヘッドに与える印字エネルギを可変に制御する。これにより、印字率が比較的小さい場合には(サーマルヘッドが比較的低温である可能性が高いことから)印字エネルギを増大させ、印字率が比較的大きい場合には(サーマルヘッドが比較的高温である可能性が高いことから)印字エネルギを減少させることが可能となる。この結果、上記の印字かすれや印字つぶれの発生を防止し、印字品質を向上することができる。
本発明によれば、印字かすれや印字つぶれの発生を防止し、印字品質を向上することができる。
本発明の一実施形態に係わるテープ印刷装置の外観を表す斜視図である。 テープ印刷装置の内部構造を表す側断面図である。 テープ印刷装置の第1開閉カバー、第2開閉カバー、及び前方側開閉カバーが開いた状態の外観を表す斜視図である。 テープ印刷装置の第1開閉カバー、第2開閉カバー、及び前方側開閉カバーを開けてテープカートリッジ及びインクリボンカートリッジを取り外した状態を表す斜視図である。 テープカートリッジの全体構成を表す斜視図である。 インクリボンカートリッジの全体構成を表す斜視図である。 テープ印刷装置の制御系の構成を表す機能ブロック図である。 イメージバッファに展開されたドットパターンデータの例を概念的に表す図、及び、当該ドットパターンにより生成された印字済みテープの外観図である。 1印字周期における発熱素子のON状態及びOFF状態の挙動を説明する説明図である。 平均オンドット数と印字エネルギとの相関を表す相関テーブルである。 ヘッド温度別の付与エネルギ指標値と印字ヘッド通電時間との相関を表すテーブルである。 環境温度別及び印刷速度別の平均オンドット数と付与エネルギ指標値との相関を表すテーブルである。 CPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。 CPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態に係わるテープ印刷装置の概略構成について説明する。
<筐体>
図1〜図4において、本実施形態のテープ印刷装置1(印刷物作成装置に相当)は、装置外郭を構成する筐体2を有している。筐体2は、筐体本体2aと、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9と、を備えている。
筐体本体2a内には、後方側に設けられた第1収納部3と、前方側に設けられた第2収納部5及び第3収納部4と、が備えられている。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図3も参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11(サーマルヘッドに相当)を、筐体本体2aに設けられた搬送ローラ12に対して相対的に離反・近接可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接した閉じ位置(図1、図2の状態)から、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反した開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3及び図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第3収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第3収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第3収納部4の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
<被印字テープロール及びその周辺>
このとき、図2〜図4に示すように、筐体本体2aにおける、閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTK(図2参照)が着脱可能に装着される。このテープカートリッジTKは、軸心O1まわりに巻回形成された被印字テープロールR1を備えている。
すなわち、テープカートリッジTKは、図5に示すように、被印字テープロールR1と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。
第1ブラケット部20,20は、上記被印字テープロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では被印字テープロールR1を巻芯39(図2参照)のまわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により被印字テープロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
被印字テープロールR1は、テープカートリッジTKが筐体本体2aの内部に装着された際には回転自在となる。被印字テープロールR1は、繰り出しにより消費される被印字テープ150(後述する被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151を備える。図2中拡大図参照)を、あらかじめ左右方向の軸心O1を備えた上記巻芯39まわりに巻回している。
第1収納部3には、上記テープカートリッジTKの装着によって、被印字テープロールR1が上方から受け入れられ、被印字テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、被印字テープロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字テープ150を繰り出す。
本実施形態では、粘着性を備えた被印字テープ150が用いられる場合を例示している。すなわち、被印字テープ150は、被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図2中の上方側)から他方側(図2中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図2中の部分拡大図参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
<搬送ローラ及び印字ヘッド>
図2〜図4に戻り、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第2収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM1によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された被印字テープロールR1から繰り出される被印字テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持部10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150の被印字層154に対し、後述するインクリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済みテープ150′とする。
<インクリボンカートリッジ>
図2及び図3に示すように、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、インクリボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。インクリボンカートリッジRKの詳細構造を図6に示す。
図6に示すように、インクリボンカートリッジRKは、カートリッジ筐体80と、未使用のインクリボンIBを繰り出し可能に巻回したリボン繰り出しロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。カートリッジ筐体80は、後方側の繰り出しロール収納部81と、前方側の巻き取りロール収納部82と、それら両収納部81,82を連結する連結部83と、を有している。連結部83は、リボン繰り出しロールR4から繰り出された上記インクリボンIBをカートリッジ筐体80外に露出させるようにしつつ、上記巻き取りロール収納部82と上記繰り出しロール収納部81とを連結する。
繰り出しロール収納部81は、略半円筒の上部81aと、下部81bと、が組み合わされることにより構成されている。リボン繰り出しロールR4は、繰り出しロール収納部81内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
巻き取りロール収納部82は、略半円筒の上部82aと、下部82bと、が組み合わされることにより構成されている。リボン巻き取りロールR5は、巻き取りロール収納部82内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
すなわち、図2において、リボン繰り出しロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りロールR5に巻き取られる。
<剥離材ロール及びその周辺>
図5に示すように、テープカートリッジTKの連結アーム16は、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている。この引き剥がし部17は、被印字テープロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済みテープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。上記のようにして印字が形成された印字済みテープ150′は、図2に示すように、上記引き剥がし部17によって上記剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済みテープ150″とに分離される。
テープカートリッジTKは、図2及び図5に示すように、上記引き剥がされた剥離材層151が軸心O3を備えた巻芯29まわりに巻回されることで形成される、上記剥離材ロールR3を有している。すなわち、上述したテープカートリッジTKの装着によって、剥離材ロールR3が上方から上記第2収納部5に受け入れられ、軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、巻芯29は、第2収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2a内に設けられた剥離紙巻取用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第2収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
このとき、図5に示すように、テープカートリッジTKの上記第2ブラケット部21,21は、上記剥離材ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では巻芯29(言い換えれば剥離材ロールR3)を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
また、図5中では、巻芯29のまわりに剥離材層151が巻回され剥離材ロールR3が形成される前の状態(未使用のテープカートリッジTKである場合)を示している。すなわち、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形の上記ロールフランジ部f3,f4を図示するとともに、便宜的に剥離材ロールR3が形成される箇所に符号「R3」を付している。
<印字済みテープロール及びその周辺>
一方、図2及び図4に示すように、上記第3収納部4には、上記印字済みテープ150″を順次巻回するための巻芯41を備えた巻き取り機構40が上方から受け入れられる。巻き取り機構40は、印字済みテープ150″の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、上記巻芯41が軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第3収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内部に設けられた粘着巻き取り用モータM2により不図示のギア機構を介して巻芯41が駆動され、第3収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済みテープ150″を巻芯41の外周側に巻き取って積層する。これにより、巻芯41の外周側に印字済みテープ150″が順次巻回されることで、印字済みテープロールR2が形成される。
<カッター機構>
また、図2に示すように、テープ搬送方向に沿って印字ヘッド11の下流側でかつ印字済みテープロールR2の上流側に、カッター機構30が設けられている。
カッター機構30は、詳細な図示を省略するが、可動刃と、可動刃を支持しテープ幅方向(言い替えれば左右方向)に走行可能な走行体とを有している。そして、カッターモータMC(後述の図7参照)の駆動により走行体が走行し可動刃がテープ幅方向に移動することで、上記印字済みテープ150″を幅方向に切断する。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、上記構成のテープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、上記第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に被印字テープロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部5に剥離材ロールR3を形成する軸心O3側が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部4には、印字済みテープロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
この状態で、ユーザが、被印字テープ150(この時点ではまだ印刷が始まっていない)から剥離材層151を手動で引き剥がし、基材層153及び粘着剤層152からなるテープの先端を、上記巻き取り機構40の巻芯41に取り付ける。そして、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された被印字テープロールR1の回転により繰り出される被印字テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字テープ150の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字(上記印字部155)が形成されて、印字済みテープ150′となる。印字形成された印字済みテープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済みテープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第2収納部5へ導入され、当該第2収納部5内において巻回されて剥離材ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済みテープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第3収納部4へ導入され、当該第3収納部4内の巻き取り機構40の巻芯41の外周側に巻回されて印字済みテープロールR2が形成される。その際、搬送方向下流側(すなわち前方側)に設けられたカッター機構30が印字済みテープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、印字済みテープロールR2に巻回されていく印字済みテープ150″を切断し、切断後は印字済みテープロールR2を第3収納部4から取り出すことができる。なお、この切断後において、印字済みテープロールR2に巻回されている印字済みテープ150″が各請求項記載の印刷物に相当している。
なおこのとき、図示による説明を省略するが、被印字テープロールR1に、非粘着テープ(上記粘着剤層152及び剥離材層151のないもの)が巻回されていても良い。この場合においても、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、非粘着テープが巻回された被印字テープロールR1が上方から受け入れられ、非粘着テープの巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、被印字テープロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、非粘着テープを繰り出す。
またこのとき、上記非粘着テープ(又は上記被印字テープ150でもよい)の搬送経路を、印字済みテープロールR2へ向かう側と排出口(図示省略)へ向かう側との相互間で切り替える、シュート15(図2参照)が配されていても良い。すなわち、切替レバー(図示省略)によるシュート15の切替操作でテープ経路を切り替えることで、印字形成後の非粘着テープ(又は印字済みテープ150″)を後述のように第3収納部4内において巻回することなく、筐体2の例えば第2開閉カバー8b側に設けた排出口(図示省略)から、そのまま筐体2外部へ排出するようにしても良い。
<制御系>
次に、図7を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図7において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。
また、CPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記巻き取り機構40の巻芯41を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記剥離材ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子(図示省略)の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記可動刃を備えた走行体を走行させるカッターモータMCの駆動制御を行うモータ駆動回路222と、適宜の表示を行う表示部215と、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部216と、印字ヘッド11の温度を検出するヘッド温度センサSR1と、テープ印刷装置1の周囲の環境温度を検出する環境温度センサSR2と、に接続されている。また、CPU212は、この例では、外部端末としてのPC217に接続されるが、テープ印刷装置1が(いわゆるオールインワンタイプで)単独で動作する場合には、接続されなくてもよい。
ROM214には、所定の制御処理を実行するための制御プログラム(後述する図13、図14のフローの処理を実行するプログラムを含む)が記憶されている。RAM213には、例えば上記操作部216(又はPC217)での操作者の操作に対応して生成された印字データ(後述のステップS204参照)を、上記被印字層154の所定の印字領域に印字するためのドットパターンデータ(=1つの単位印字データに相当。詳細は後述)に展開して記憶する、イメージバッファ213aが備えられている。CPU212は、上記制御プログラムに基づき、搬送ローラ12により被印字テープ150を繰り出しつつ、イメージバッファ213aに記憶された上記ドットパターンデータに対応した1つのイメージ(=単位印字イメージに相当。詳細は後述)を、印字ヘッド11によって被印字テープ150に対し繰り返して印刷する(詳細は後述)。
<実施形態の特徴>
以上のように構成された本実施形態の特徴は、印字ヘッド11に対して与える印字エネルギ量を印字率(後述)に応じて増減調整することにより、印字かすれや印字つぶれの発生を防止する手法にある。以下、その詳細を、順を追って説明する。
<印字率(オンドット数)の具体例>
上述したように、RAM213のイメージバッファ213aには、(1つの単位印字データに相当する)ドットパターンデータが展開され、一時的に記憶される。
図8(a)に上記ドットパターンデータの一例を示し、また図8(b)に当該ドットパターンデータにより生成された印字済みテープ150″(比較的狭い幅のテープの例)を示す。
図8(a)に示すドットパターンデータ(単位印字データ)は、テープ幅方向7ドット×テープ長さ方向15ドット=105のドット列のデータである。このドットパターンデータは、比較的小さなフォントのアルファベット「HHH」の文字とそれらを囲む枠線からなるイメージ(単位印字イメージ)を印字形成するために用いられる。このデータには、上記105のドット列のうち、A1〜G1ドット、A2ドット、G2ドット、A3ドット、C3〜E3ドット、G3ドット、A4ドット、D4ドット、G4ドット、A5ドット、C5〜E5ドット、G5ドット、A6ドット、G6ドット、A7ドット、C7〜E7ドット、G7ドット、A8ドット、D8ドット、G8ドット、A9ドット、C9〜E9ドット、G9ドット、A10ドット、G10ドット、A11ドット、C11〜E11ドット、G11ドット、A12ドット、D12ドット、G12ドット、A13ドット、C13〜E13ドット、G13ドット、A14ドット、G14ドット、A15〜G15ドット、の合計61ドットが(オンドット数として)含まれている。したがって、この場合の1ラインあたりの平均オンドット数は61/15=4.07となり、上記61ドット全体でみた印字率は、61/105=58.1[%]となる。
図8(c)に上記ドットパターンデータの別の例を示し、また図8(d)に当該ドットパターンデータにより生成された印字済みテープ150″(比較的広い幅のテープの例)を示す。
図8(c)に示すドットパターンデータ(単位印字データ)は、テープ幅方向12ドット×テープ長さ方向16ドット=192のドット列のデータである。このドットパターンデータは、比較的大きなフォントのアルファベット「A」の文字からなるイメージ(単位印字イメージ)を印字形成するために用いられる。このデータには、上記192のドット列のうち、J1〜L1ドット、I2〜J2ドット、H3〜I3ドット、F4〜H4ドット、E5〜H5ドット、C6〜E6ドット、G6〜H6ドット、B7〜C7ドット、G7〜H7ドット、A8〜B8ドット、G8〜H8ドット、A9〜B9ドット、G9〜H9ドット、B10〜C10ドット、G10〜H10ドット、C11〜E11ドット、G11〜H11ドット、E12〜H12ドット、F13〜H13ドット、H14〜I14ドット、I15〜J15ドット、及び、J16〜L16ドットの合計54ドットが(オンドット数として)含まれている。したがって、この場合の1ラインあたりの平均オンドット数は54/16=3.38となり、上記192ドット全体でみた印字率は、54/192=28.1[%]となる。
<印字かすれや印字つぶれの発生>
ここで、上述したように、印字ヘッド11は、上記発熱素子が通電されて発熱することによって生じる印字エネルギを用いて被印字テープ150への上記印字形成を行う。したがって、同一の印字エネルギを与えられても、まだ印字ヘッド11が暖まっておらず比較的低温の場合には、発色不足による印字かすれ等が生じる場合があり、逆に既に十分に暖まって比較的高温となっている場合には、発色過剰による印字つぶれ等が生じる場合がある。
<印字率(オンドット数)に基づく印字エネルギの増減制御>
そこで、本実施形態においては、上記のような印字かすれや印字つぶれの発生を防止するために、上記オンドット数の大小に応じて、発熱素子に与える印字エネルギをCPU212によって増減制御する。すなわち、上記図8(a)や図8(c)中に■で示されたドット(オンドット)においては、例えば図9(a)に示すように、1ラインを印刷するときの1つの印字周期において、発熱素子は、ある一定時間だけON状態に駆動され(=通電時間)、その後に残りの時間はOFF状態となるように、通電制御される。
本実施形態では、上記1印字周期中におけるON状態となる時間割合を伸縮することにより、上記印字エネルギが増減制御される。例えば、上記図8(c)に示したように印字率(言い換えればオンドット数)が比較的小さい場合には、印字ヘッド11が比較的低温である可能性が高いことから、印字エネルギを増大させる。すなわち、図9(b)に示すように、上記1印字周期中におけるON状態となる時間割合を(上記図9(a)の場合よりも)長くする。
逆に、上記図8(a)に示したように印字率(言い換えればオンドット数)が比較的大きい場合には、印字ヘッド11が比較的高温である可能性が高いことから、印字エネルギを減少させる。すなわち、図9(c)に示すように、上記1印字周期中におけるON状態となる時間割合を(上記図9(a)の場合よりも)短くする。
<印字エネルギ増減の具体例>
上記を具体的に実行するために、本実施形態では、図10に示すように、平均オンドット数と印字エネルギ(この例では印字ヘッド11の通電時間)との相関を表す相関テーブルが、上記ROM214(記憶手段に相当)に記憶されている。なお、(上記図8(a)及び図8(c)において簡易的に示したものとは異なり)本実施形態のイメージバッファ213では、例えば、ドットパターンデータは、テープ幅方向100×テープ長さ方向600ドット=60000のドット列に展開される。したがって、以下に説明する平均オンドット数の値は、すべて当該60000のドット列を前提にした値により説明する。
すなわち、図10に示す例では、上記600ドットのうちの1ラインあたり平均オンドット数が0〜100(言い換えれば印字率が0〜16.66%。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「5」で表される)は、上記通電時間が200[μs]に設定されている。同様に、平均オンドット数が101〜200(言い換えれば印字率が16.66%より大きく33.33%以下。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「4」で表される)は、上記通電時間が198[μs]に設定されている。また、平均オンドット数が201〜300(言い換えれば印字率が33.33%より大きく50%以下。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「3」で表される)は、上記通電時間が196[μs]に設定されている。また、平均オンドット数が301〜400(言い換えれば印字率が50%より大きく66.66%以下。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「2」で表される)は、上記通電時間が194[μs]に設定されている。また、平均オンドット数が401〜500(言い換えれば印字率が66.66%より大きく83.33%以下。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「1」で表される)は、上記通電時間が192[μs]に設定されている。また、平均オンドット数が501〜600(言い換えれば印字率が83.33%より大きく100%以下。以下同様)となる場合(付与エネルギ指標値「0」で表される)は、上記通電時間が190[μs]に設定されている。
CPU212は、上記テーブルを参照しつつ、上記単位印字データにおける平均オンドット数に応じた上記印字エネルギの増減(通電時間の伸縮)を行う。
<ヘッド温度に応じた補正>
一方、印字ヘッド11の温度は、印刷動作の進展に伴い刻々と変化する可能性があり、このヘッド温度の高低が、上記印字かすれや印字つぶれの生じる挙動に影響を与える可能性がある。そこで、本実施形態では、精度良く上記印字エネルギの増減制御を行うために、上記ヘッド温度センサSR1(上記図7参照)が検出した印字ヘッド11の発熱素子の温度に応じて、上記相関テーブルにおける上記印字エネルギの値(具体的には通電時間)の補正が行われる。そのために用いられる別のテーブル(例えば上記ROM214に記憶されている)を図11に示す。
すなわち、図11に示すように、上記図10の相関テーブルにおける付与エネルギ指標値「5」(上記の平均オンドット数0〜100に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の200[μs]から)210[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は(上記図10の200[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の200[μs]から)180[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の200[μs]から)160[μs]にさらに短く補正される。
同様に、上記付与エネルギ指標値「4」(上記の平均オンドット数101〜200に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の198[μs]から)209[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は上記図10の198[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の198[μs]から)170[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の198[μs]から)150[μs]にさらに短く補正される。
同様に、上記付与エネルギ指標値「3」(上記の平均オンドット数201〜300に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の196[μs]から)208[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は(上記図10の196[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の198[μs]から)160[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の196[μs]から)140[μs]にさらに短く補正される。
同様に、上記付与エネルギ指標値「2」(上記の平均オンドット数301〜400に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の194[μs]から)207[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は(上記図10の194[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の194[μs]から)150[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の194[μs]から)130[μs]にさらに短く補正される。
同様に、上記付与エネルギ指標値「1」(上記の平均オンドット数401〜500に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の192[μs]から)206[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は(上記図10の192[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の192[μs]から)140[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の192[μs]から)120[μs]にさらに短く補正される。
同様に、上記付与エネルギ指標値「0」(上記の平均オンドット数501〜600に相当)の場合には、印字ヘッド11の温度が0[℃]であれば通電時間は(上記図10の190[μs]から)205[μs]に長く補正され、印字ヘッド11の温度が25[℃]であれば通電時間は(上記図10の190[μs]がそのまま用いられ、印字ヘッド11の温度が40[℃]であれば通電時間は(上記図10の190[μs]から)130[μs]に短く補正され、印字ヘッド11の温度が65[℃]であれば通電時間は(上記図10の190[μs]から)110[μs]にさらに短く補正される。
CPU212は、上記図10のテーブルを用いて上記単位印字データにおける平均オンドット数に応じた上記印字エネルギの値(この例では対応する付与エネルギ指標値)を決定した後、さらに上記図11のテーブルを参照しつつ、当該決定された付与エネルギ指標値に対応した印字エネルギの値となるように、印字エネルギの値の増減補正を行う。
<環境温度・印刷速度に応じた補正>
さらに、テープ印刷装置1の置かれた周囲環境の高低が、上記印字かすれや印字つぶれの生じる挙動に影響を与える可能性がある。本実施形態においては、さらに精度良く上記印字エネルギの増減制御を行うために、上記環境温度センサSR2(上記図7参照)が検出したテープ印刷装置1周辺の環境温度に応じて、上記相関テーブルにおける上記印字エネルギの値(詳細には、付与エネルギ指標値)を補正する。すなわち、環境温度センサSR2によって検出された環境温度が低い場合には、印字エネルギを増大させる(詳細には、付与エネルギ指標値を大きく修正する)。逆に、環境温度センサSR2によって検出された環境温度が高い場合には、印字エネルギを減少させる(詳細には、付与エネルギ指標値を小さく修正する)。
このとき、本実施形態では、上記印刷速度の高低も加味して、上記補正が行われる。すなわち、印刷速度が低い場合には、(上記通電時間が同一のまま)上記印字周期が長くなることから、印字ヘッド11が冷めてしまう可能性がある。したがってこの場合には、印字エネルギを増大させる(詳細には、付与エネルギ指標値を大きい値に修正する)。逆に、印刷速度が高い場合には(上記通電時間が同一のまま印字周期が短くなることから、印字ヘッド11が高温となる可能性がある。したがってこの場合には、印字エネルギを減少させる(詳細には、付与エネルギ指標値を小さい値に修正する)。上記の補正のために用いられるさらに別のテーブル(例えば上記ROM214に記憶されている)を図12に示す。
すなわち、図12に示すように、上記平均オンドット数が「0〜100」の場合には、印刷速度が低速(例えば所定のしきい値未満)であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は上記図10の「5」がそのまま用いられ、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「5」から)「3」に低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「5」から)「2」にさらに低く補正される。一方、印刷速度が高速(上記しきい値以上)であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「5」から)「4」に低く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「5」から)「2」にさらに低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「5」から)「1」にさらに低く補正される。
同様に、上記平均オンドット数が「101〜200」の場合には、印刷速度が上記低速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「4」から」「5」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「4」から)「3」に低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「4」から)「2」にさらに低く補正される。一方、印刷速度が上記高速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は上記図10の「4」がそのまま用いられ、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「4」から)「2」に低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「4」から)「1」にさらに低く補正される。
同様に、上記平均オンドット数が「201〜300」の場合には、印刷速度が上記低速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「3」から」「4」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「3」がそのまま用いられ、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「3」から)「2」に低く補正される。一方、印刷速度が上記高速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は上記図10の「3」がそのまま用いられ、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「3」から)「2」に低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「3」から)「1」にさらに低く補正される。
同様に、上記平均オンドット数が「301〜400」の場合には、印刷速度が上記低速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「2」から」「4」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「2」がそのまま用いられ、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「2」から)「2」に低く補正される。一方、印刷速度が上記高速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「2」から)「3」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「2」から)「1」に低く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「2」から)「0」にさらに低く補正される。
同様に、上記平均オンドット数が「401〜500」の場合には、印刷速度が上記低速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「1」から)「3」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「1」から)「2」に高く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「1」がそのまま用いられる。一方、印刷速度が上記高速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「1」から)「2」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「1」がそのまま用いられ、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「1」から)「0」に低く補正される。
同様に、上記平均オンドット数が「501〜600」の場合には、印刷速度が上記低速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「0」から)「3」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は(上記図10の「0」から)「1」に高く補正され、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「0」がそのまま用いられる。一方、印刷速度が上記高速であれば、環境温度が0[℃]のときには付与エネルギ指標値は(上記図10の「0」から)「2」に高く補正され、環境温度が25[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「0」がそのまま用いられ、環境温度が40[℃]であれば付与エネルギ指標値は上記図10の「0」がそのまま用いられる。
<補正結果の具体例>
例えば、一例として、平均オンドット数が50のドットパターンデータを、周囲環境0℃の環境において、低速で印刷し、そのときの印字ヘッド11がヘッド温度0℃であった場合を想定する。この場合、まず図12のテーブルにおいて、平均オンドット数「0〜100」の区分で環境温度0℃かつ低速であることから、付与エネルギ指標値が「5」となる。そして図11のテーブルにおいて、付与エネルギ指標値「5」の区分で印字ヘッド11のヘッド温度0℃であることから、前述の通電時間が210μsとなるように、上記発熱素子が通電制御される。これにより、図10に示された上記相関テーブルにおける、平均オンドット数「0〜100」の区分での(補正なしの標準の)通電時間200μsよりも、通電時間が長くなるように(つまり印字エネルギ増大側に)補正されることがわかる。
また、別の例として、平均オンドット数が550のドットパターンデータを、周囲環境25℃の環境において、高速で印刷し、そのときの印字ヘッド11がヘッド温度40℃であった場合を想定する。この場合、まず図12のテーブルにおいて、平均オンドット数「501〜600」の区分で環境温度25℃かつ高速であることから、付与エネルギ指標値が「0」となる。そして図11のテーブルにおいて、付与エネルギ指標値「0」の区分で印字ヘッド11のヘッド温度40℃であることから、前述の通電時間が130μsとなるように、上記発熱素子が通電制御される。これにより、図10に示された上記相関テーブルにおける、平均オンドット数「501〜600」の区分での(補正なしの標準の)通電時間190μsよりも通電時間が短くなるように(つまり印字エネルギ減少側に)補正されることがわかる。
<制御フロー(その1)>
上記手法を実現するためにCPU212により実行される処理内容を、図13のフローにより説明する。図13において、例えばユーザによりテープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まず、ステップS201において、CPU212は、印字形成中であることを表すフラグF(詳細は後述)を「0」に初期化する。その後、ステップS202に移る。
ステップS202では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの上記印刷物の作成開始操作に対応した、上記印字済みテープ150″の作成開始指示信号が入力されたか否かを判定する。ユーザの印刷物の作成開始の意図に対応した上記作成開始指示信号が入力されない場合はステップS202の判定が満たされず(S202:NO)ループ待機する。上記作成開始指示信号が入力されたらステップS202の判定が満たされ(S202:YES)、ステップS203に移る。
ステップS203では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に対応した、作成する上記印字済みテープ150″の搬送方向に沿った全長を表す全長データが入力されたか否かを判定する。ユーザの意図するテープ全長に対応した上記全長データが入力されない場合はステップS203の判定が満たされず(S203:NO)、上記ステップS202に戻って同様の手順を繰り返す。上記全長データが入力されたらステップS203の判定が満たされ(S203:YES)、ステップS204に移る。
ステップS204では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に基づく、上記被印字テープ150に繰り返し印字形成する上記1つの単位印字データ(上記図8(a)、図8(c)も参照)が入力されたか否かを判定する。単位印字データが入力されない場合はステップS204の判定が満たされず(S204:NO)上記ステップS202に戻って同様の手順を繰り返す。上記単位印字データが入力されたらステップS204の判定が満たされ(S204:YES)、ステップS205に移る。なお、このステップS204の手順を実行する上記CPU212が、各請求項記載のデータ取得手段として機能する。
その後、ステップS205において、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始して、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送(以下適宜、単に「テープ搬送」と称する)、及び上記印字済みテープ150″の巻き取りを開始する。
そして、ステップS215で、CPU212は、上記ステップS204で取得された単位印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字開始位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字開始位置に到達していない場合、判定は満たされず(S215:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。印字開始位置に到達した場合、判定は満たされ(S215:YES)、ステップS217に移る。
ステップS217で、CPU212は、印字形成中を表す上記フラグFを「1」とする。その後、ステップS220に移る。
ステップS220では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の上記発熱素子に通電を行って、被印字テープ150に、上記単位印字データに対応した単位印字イメージの繰り返し印字形成(図8(b)、図8(d)参照)を開始する。このとき、上記図10に示した相関テーブル(あるいはそれらを補正して置き換えたものに相当する、図11及び図12に示すテーブル)を用いることで、1つの単位印字データにおける印字率に応じ、印字エネルギが増減制御される。具体的には、上記した1印字周期中におけるON状態の時間割合(上記図9(a)〜(c)参照)が、CPU212によって可変的に制御される(詳細は後述の図14参照)。その後、ステップS238に移る。
ステップS238では、CPU212は、上記ステップS204で取得された単位印字データに基づき、公知の手法により、印字終了位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字終了位置に到達していない場合、判定は満たされず(S238:NO)、ステップS220に戻り同様の手順を繰り返す。これにより、上述の繰り返し印字形成が続行される。一方、印字終了位置に到達した場合、判定は満たされ(S238:YES)、ステップS240に移る。
ステップS240では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対する印字部155の形成を停止する。このとき、テープ搬送は継続して行われている。これにより、それ以降の印字済みテープ150′には、印字部155が存在しない空白状態となる。その後、ステップS250に移る。
ステップS250では、CPU212は、上記フラグFを0にする。その後、ステップS255に移る。
ステップS255では、CPU212は、上記ステップS203で取得された全長データに対応した上記カッター機構30による切断位置(巻き取り機構40によって印字済みテープロールR2として巻回される印字済みテープ150″の、搬送方向に沿った全長が操作者の意図する長さとなるような切断位置)まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。切断位置に到達していない場合、判定は満たされず(S255:NO)、ループ待機する。切断位置に到達した場合、判定は満たされ(S255:YES)、ステップS260に移る。
ステップS260では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送が停止する。
その後、ステップS265で、CPU212は、モータ駆動回路222に制御信号を出力して上記カッターモータMCを駆動し、上記カッター機構30の作動により印字済みテープ150″の切断を行う。
そして、ステップS270に移り、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を開始して、印字済みテープ150″を巻き取り機構40の巻芯41のまわりに巻き取る。
その後、ステップS275で、CPU212は、上記ステップS265でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していない場合、判定は満たされず(S275:NO)、ループ待機する。この所定時間は、印字済みテープ150″を取り機構40の巻芯41へと巻き取れるだけの時間でよい。所定時間が経過したらこの判定は満たされ(S275:YES)、ステップS280へ移る。
ステップS280では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。これにより上記切断により生じた印字済みテープ150″を確実に印字済みテープロールR2で巻き取ることができる。そして、このフローを終了する。
なお、上記ステップS215、ステップS220、ステップS238、ステップS240を実行するCPU212が、各請求項記載の連携制御手段として機能する。
<制御フロー(その2)>
上述したように、本実施形態では、CPU212に入力された1つの単位印字データにおける印字率に応じ、印字ヘッド11の発熱素子の印字エネルギが増減制御される。そのためにCPU212により実行される、上記図13のフローとは別のフローを、図14に示す。なお、この図14に示すフローは、図13のフローと同時並行してCPU212によって実行される。このような同時並行処理は、例えば、コンピュータのOS等でしばしば行われる、「マルチタスク処理」と同様の公知の方式により、1つのCPU212によって行わせることができる。
図14において、まず、ステップS110では、CPU212は、上記フラグFが「1」となっているか否かを判定する。フラグF=0のままの場合、判定は満たされず(S110:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。フラグF=1となっていた場合(上記ステップS217参照)、判定は満たされ(S110:YES)、ステップS115に移る。
ステップS115では、CPU212は、上記ステップS204で入力された単位印字データに基づき、当該単位印字データにおける上記印字率(上記の例ではオンドット数)を算出する。その後、ステップS117に移る。
ステップS117では、CPU212は、上記ステップS117で算出されたオンドット数に対し、図10に示した相関テーブルを適用して、対応するエネルギ指標値を、(対応する付与エネルギ指標値とともに)決定する。その後、ステップS120に移る。
ステップS120では、CPU212は、上記環境温度センサSR2の検出結果に基づき、テープ印刷装置1周辺の環境温度を取得する。なお、このステップS120を実行するCPU212が各請求項記載の環境温度検出手段として機能する。
その後、ステップS130で、CPU212は、上記ステップS120で検出した環境温度と、上記ステップS115で算出したオンドット数とに基づき、上記図12のテーブルを参照して、対応するエネルギ指標値を決定する。なお、この際、この時点で、予め、上記ステップS203及びステップS204の入力結果に応じて自動的に前述の印刷速度が決定されており(あるいは、例えば上記操作部216又はPC217での操作者の操作に対応して印刷速度が手動設定・選択されていてもよい)、その結果に応じて図12のテーブルにおける「高速」「低速」のいずれかに対応した指標値が決定される。この図12のテーブルにより決定したエネルギ指標値が、上記ステップS117で図10のテーブルにより決定したエネルギ指標値と異なる場合には、図12のテーブルによるエネルギ指標値を採用する。このことが、実質的に、図10のテーブルにより決定したエネルギ指標値を補正することに相当するので、このステップS130の手順を実行するCPU212が各請求項記載の第2補正手段として機能するとともに、第3補正手段としても機能する。
その後、ステップS140で、CPU212は、上記ヘッド温度センサSR1の検出結果に基づき、印字ヘッド11の温度(ヘッド温度)を取得する。なお、このステップS140でのヘッド温度の取得は、ステップS160の判定が満たされずにステップS140→ステップS150→ステップS160→・・と複数回繰り返されるとき、その複数回のうちそれぞれの回において実行される。なお、このステップS140の手順を実行するCPU212が各請求項記載のヘッド温度検出手段として機能する。
その後、ステップS150で、CPU212は、上記ステップS140で検出したヘッド温度と、上記ステップS117で決定されたオンドット数(この例では対応する付与エネルギ指標値)とに基づき、上記図11のテーブルを参照して、対応する印字ヘッド11の発熱素子の通電時間を決定する。こうして決定された通電時間が、上記ステップS130で決定されたエネルギ指標値に対応する(図10の相関テーブルで対応づけられる)通電時間と異なる場合には、図11のテーブルにより決定された通電時間を採用する。このことが、実質的に、図10のテーブルにより決定した通電時間を補正することに相当するので、このステップS150の手順を実行するCPU212が各請求項記載の第1補正手段として機能する。
その後、ステップS160で、CPU212は、上記フラグF=0となったか否かを判定する。前述の単位印字データによる繰り返し印字形成が実行中でフラグF=1のままであった(上記ステップS220、ステップS238参照)場合、判定は満たされず(S160:NO)、ステップS140に戻って同様の手順を繰り返す。印字形成が終了しフラグF=0となった(上記ステップS250参照)場合、判定は満たされ(S160:YES)、このフローを終了する。
なお、図14に示す上記ステップS110〜ステップS160の各手順での処理結果に応じて実行される、上記図13のステップS220を実行するCPU212が、各請求項記載のエネルギ制御手段として機能する。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態においては、単位印字データにおける印字率(上記の例ではオンドット数)の大小に応じて、印字ヘッド11の発熱素子に与える印字エネルギをCPU212によって増減制御する(図10の相関テーブル参照)。印字率が比較的小さい場合には、印字ヘッド11が比較的低温である可能性が高いことから、印字エネルギを増大させる。一方、印字率が比較的大きい場合には、印字ヘッド11が比較的高温である可能性が高いことから、印字エネルギを減少させる。この結果、印字かすれや印字つぶれの発生を防止し、印字品質を向上することができる。
また、本実施形態では特に、精度良く上記印字エネルギの増減制御を行うために、ヘッド温度センサSR1が検出した印字ヘッド11の温度に応じて、CPU212は、上記相関テーブルにおける相関を適宜補正した形で適用して、印字エネルギを決定する(上記の例では通電時間を決定する)。この結果、印字ヘッド11が低温の場合には印字エネルギを確実に増大させるとともに、印字ヘッド11が高温の場合には印字エネルギを確実に減少させることができ、確実に印字品質を向上することができる。
また、本実施形態では特に、環境温度センサSR2によって検出された環境温度が低い場合には(上記の例では付与エネルギ指標値を大きく設定することを通じて)印字エネルギをさらに増大させる。また、環境温度センサSR2によって検出された環境温度が高い場合には(上記の例では付与エネルギ指標値を小さく設定することを通じて)印字エネルギをさらに減少させる。この結果、さらに確実に印字品質を向上することができる。
このとき、上記ヘッド温度センサSR1により検出される印字ヘッド11の温度は、印刷動作の進展に伴い刻々と変化する可能性がある。これに対し、上記環境温度センサSR1によって検出される環境温度は、上記のような短いスパンで急激に変化する可能性は小さい。そこで、本実施形態では特に、それぞれの温度の上記のような特性に対応し、環境温度の取得は印刷物の作成開始後に(あるいは作成開始前でもよい)1度実行され、当該取得された環境温度を用いた上記付与エネルギ指標値の決定(補正)が行われる。一方、印字ヘッド11のヘッド温度は、上述したように印刷物の作成中に複数回取得され(繰り返し実行されるステップS140参照)、当該取得されたヘッド温度を用いた上記発熱素子の通電時間の決定(補正)が行われる。これにより、無駄のない効率的な印字エネルギ調整を行って、精度良く印字品質を向上することができる。
また、本実施形態では特に、印字形成時の印刷速度が低い場合には(印字周期が長くなって印字ヘッド11が冷めてしまう可能性があることから)印字エネルギをさらに増大させる。また、印刷速度が高い場合には(印字周期が短くなって印字ヘッド11が高温となる可能性があることから)印字エネルギをさらに減少させることができる。この結果、さらに確実に印字品質を向上することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
なお、以上において、図7に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図13、図14等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 テープ印刷装置(印刷物作成装置)
11 印字ヘッド(サーマルヘッド)
12 搬送ローラ
212 CPU
214 ROM(記憶手段)
SR1 ヘッド温度センサ
SR2 温度センサ

Claims (5)

  1. 被印字テープを所定の速度で搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラにより前記所定の速度で搬送される前記被印字テープに対し、前記所定の速度と同期した印刷速度で所望の印字を形成するサーマルヘッドと、
    前記被印字テープに印字形成するための1つの単位印字データを取得するデータ取得手段と、
    前記データ取得手段により取得された前記単位印字データに対応した単位印字イメージを、搬送方向に沿って前記被印字テープに複数個繰り返して形成することにより1つの印刷物を作成するように、前記サーマルヘッド及び前記搬送ローラを連携して制御する連携制御手段と、
    前記1つの単位印字データにおける印字率に応じて、前記単位印字イメージの形成時において前記サーマルヘッドに与える印字エネルギを可変に制御するエネルギ制御手段と、
    を有することを特徴とする印刷物作成装置。
  2. 請求項1記載の印刷物作成装置において、
    前記印字率と前記印字エネルギとの相関を記憶した記憶手段と、
    前記サーマルヘッドの温度を検出するヘッド温度検出手段と、
    前記ヘッド温度検出手段の検出結果に応じて、前記記憶手段に記憶された前記相関を補正する第1補正手段と、
    を有し、
    前記エネルギ制御手段は、
    前記第1補正手段により補正された前記相関を用いて、前記印字エネルギを可変に制御する
    ことを特徴とする印刷物作成装置。
  3. 請求項2記載の印刷物作成装置において、
    前記印刷物作成装置の配置された環境温度を検出する環境温度検出手段と、
    前記環境温度検出手段の検出結果に応じて、前記記憶手段に記憶された前記相関を補正する第2補正手段と、
    を有し、
    前記エネルギ制御手段は、
    前記第1補正手段及び前記第2補正手段により補正された前記相関を用いて、前記印字エネルギを可変に制御する
    ことを特徴とする印刷物作成装置。
  4. 請求項3記載の印刷物作成装置において、
    前記環境温度検出手段は、
    前記印刷物の作成前に前記環境温度を検出し、
    前記第2補正手段は、
    前記印刷物の作成前に検出された前記環境温度に応じて、前記記憶手段に記憶された前記相関を補正し、
    前記ヘッド温度検出手段は、
    前記印刷物の作成中に複数回前記サーマルヘッドの温度を検出し、
    前記第1補正手段は、
    前記複数回に含まれるそれぞれの回で検出される前記サーマルヘッドの温度に応じ、前記記憶手段に記憶された前記相関を順次補正する
    ことを特徴とする印刷物作成装置。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷物作成装置において、
    前記サーマルヘッドによる前記印刷速度に応じて、前記記憶手段に記憶された前記相関を補正する第3補正手段を有し、
    前記エネルギ制御手段は、
    前記第1補正手段及び前記第3補正手段により補正された前記相関を用いて、前記印字エネルギを可変に制御する
    ことを特徴とする印刷物作成装置。
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