以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図内に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中内の説明における、前方、後方、左方、右方、上方、下方とは、その注記された方向を指す。なお、この定義において、前後方向が各請求項記載の第1水平方向に相当し、後方側が第1水平方向一方側(又は単に「水平方向一方側」)に相当し、前方側が第1水平方向他方側(又は単に「水平方向他方側」)に相当する。また、左右方向が第2水平方向に相当する。
<粘着テープ印刷装置の概略構成>
まず、粘着テープ印刷装置の概略構成について図1乃至図6に基づき説明する。
図1〜図6において、粘着テープ印刷装置1(テープ印刷装置、テープ巻き取り装置、粘着テープ切断装置)は、装置外郭を構成する筐体2と、筐体2の上部後方側に位置する第1開閉カバー3と、筐体2の上部前方側に位置する第2開閉カバー4(開閉カバー)と、筐体2の後方側に備えられた第1収納部5と、筐体2の前方側に備えられた第2収納部6及び第3収納部7と、を有している。
このとき、筐体2における、(閉じ状態での)第1開閉カバー3の下方にある第1所定位置8には、図1、図2、図4、図5、図6等に示すように、粘着テープカートリッジTK(テープカートリッジ)が着脱可能に装着される。粘着テープカートリッジTKは、第1ロールR1(詳細は後述)を後方側に回転自在に備えるとともに、第3ロールR3(詳細は後述)を前方側に回転自在に備えている。粘着テープカートリッジTKが第1所定位置8に装着されることにより、第1収納部5に第1ロールR1が収納されるとともに、第3収納部7に第3ロールR3が収納される。
第1収納部5には、上記粘着テープカートリッジTKの装着によって、被印字粘着テープ150(被印字テープ;粘着テープ)を略水平方向の軸心O1(略水平方向の軸線に相当。図2参照)まわりに巻回した上記第1ロールR1(粘着テープロール)が上方から受け入れられ、上記巻回の軸心O1が水平方向(詳細には左右方向)となった状態で収納される。被印字粘着テープ150は、後述する印字ヘッド10によって所望の印字が形成される基材層153、この基材層153を適宜の被着体(図示せず)に貼り付けるための粘着剤層152、この粘着剤層152を覆う剥離材層151が、この順序で積層されている(図3参照)。
このとき、第1開閉カバー3が、筐体2の後方側端部に設けられた所定の回動軸心K(第1回動支点)まわりに回動することで、第1収納部5の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー3は、筐体2の後方側を覆う閉じ位置(図1、図2、図3、図5の状態)から当該筐体2の後方側を露出させる開き位置(図4、図6の状態)までの間で回動可能となっている。
また、第1収納部5と第3収納部7とを連通する筐体2内部の略中間上方側には、印字ヘッド10及び前記搬送ローラ11が互いに上下に対向して配置されている。
搬送ローラ11は、上記第1収納部5に収納された上記第1ロールR1から繰り出される被印字粘着テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢(言い換えればテープ横断面を略水平方向とするテープ姿勢。後述の図10等参照)で搬送する。なおこのとき、被印字粘着テープ150は、上記したように、厚さ方向一方側(この例では上側)から他方側(この例では下側)へ向かって、上記基材層153、粘着剤層152、及び剥離材層151の順で積層されている(図3参照)。すなわち基材層153が最上層、剥離材層151が最下層に位置している。また、この搬送ローラ11は、図示しないギア機構を介して、搬送用モータM1によって駆動される。搬送用モータM1は、上記のように後方側と前方側とに振り分け配置された第1収納部5と第2収納部6及び第3収納部7との中間(第1収納部5よりも前方側で且つ第2収納部6及び第3収納部7よりも後方側)に、出力軸(モータ軸。図示省略)の軸心方向が左右方向となるように配設されている。なお、搬送ローラ11は、この例では上記搬送用モータM1の略上方に配設されている。
印字ヘッド10は、搬送される上記被印字粘着テープ150を搬送ローラ11と協働して挟持するように、第1開閉カバー3のうち搬送ローラ11の略上方に対向する部位に配設されている(図2等参照)。そして、搬送される上記被印字粘着テープ150の上記基材層153に対して、リボン供給ロールR4及びリボン巻き取りロールR5を備えたリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成し、印字済み粘着テープ150′(印字済みテープ、粘着テープ;図3等参照)とする。
すなわち、筐体2における、(閉じ状態での)第1開閉カバー3の下方でかつ上記粘着テープカートリッジTKの上方となる第2所定位置9には、図1、図2、図4、図5、図6等に示すように、リボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。リボンカートリッジRKは、上記印字ヘッド10による印字形成を行うためのインクリボンIB(図2参照)を繰り出すリボン供給ロールR4を後方側に回転自在に備えるとともに、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取るリボン巻き取りロールR5を前方側に回転自在に備えている。リボンカートリッジRKが第2所定位置9に装着されることにより、上記印字ヘッド10及び搬送ローラ11よりも後方側にリボン供給ロールR4が配置される(図2等参照)とともに、印字ヘッド10及び搬送ローラ11よりも前方側にリボン巻き取りロールR5が配置される(図2等参照)。
そして、リボン供給ロールR4(図2中D方向に回転する)から繰り出されるインクリボンIBは、上下に対向して配置される印字ヘッド10及び搬送ローラ11の当該印字ヘッド10の下方に接触する。印字ヘッド10からの加熱によりインクリボンIBのインクが、搬送される被印字粘着テープ150の基材層153に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBがリボン巻き取りロールR5(図2中E方向に回転する)に巻き取られる。なお、リボンカートリッジRKは、図4に示すように、第2開閉カバー4が閉じ状態のままで第1開閉カバー3を開き状態とすることで、上記第2所定位置9に対し着脱可能となっている。
第2収納部6には、第2ロールR2(貼り付け用テープロール)が上方から受け入れられ、収納される。第2ロールR2は、前述の印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされたテープ(すなわち粘着剤層152と基材層153とが含まれるテープ(貼り付け用テープ)である。以下適宜、単に「印字済み粘着テープ152,153」と称する)を、水平方向(詳細には左右方向)の上記軸心O2まわりに巻回する。このとき、第2開閉カバー4側の筐体2内には、第2ロールR2を形成するための巻芯部材45(詳細は後述)が備えられている。そして、第2ロールR2は、この巻芯部材45が支持ブラケットRB(ロール支持手段)で支持されることによって、第2収納部6内で回転可能に支持されている。すなわち、第2ロールR2は、図示しないギア機構を介し巻き取り用モータM3に接続され、当該巻き取り用モータM3によって第2ロールR2が巻き取り駆動される。この巻き取り用モータM3は、第2収納部6と第3収納部7との略中間下方に配設されている。
またこのとき、第2開閉カバー4が、筐体2の前方側端部に設けられた所定の第1回動軸心K1(第2回動支点)まわりに回動することで、第2収納部6の上方を開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー4は、筐体2の第2収納部6を覆う閉じ位置(図1、図2、図4の状態)から第2収納部6を露出させる開き位置(図5、図6の状態)までの間で回動可能となっている。第2ロールR2は、図5に示すように、第1開閉カバー3が閉じ状態のままで第2開閉カバー4を開き状態とすることで、第2収納部6に対し着脱可能となっている。
第3収納部7には、上記粘着テープカートリッジTKの装着によって、上記第3ロールR3(剥離材ロール)が上方から受け入れられ、収納される。第3ロールR3は、前述のテープ印字済み粘着テープ152,153(粘着テープ)と分離する形で印字済み粘着テープ150′から引き剥がされた剥離材層151を、水平方向(詳細には左右方向)の上記軸心O3(所定の軸線に相当)まわりに巻回する。第3ロールR3は、図示しないギア機構を介し、当該第3ロールR3を巻き取り駆動するための巻き取り用モータM2に接続されている。巻き取り用モータM2は、上記搬送用モータM1の下方に配設されている。
なお、筐体2は、図7に示すように、幅狭箱形状となっている。すなわち、筐体2は、上記第1ロールR1、第2ロールR2、第3ロールR3それぞれの全径に略対応して、前後方向に長い寸法を備えている。一方、筐体2は、上記被印字粘着テープ150及び印字済み粘着テープ150′等の幅に略対応し、左右方向には短い寸法を備えている。
そして、図1に示すように、第1開閉カバー3と第2開閉カバー4を閉じた状態では、第1収納部5、第2収納部6、第3収納部7にそれぞれ収納された第1ロールR1、第2ロールR2、第3ロールR3は上方から第1開閉カバー3と第2開閉カバー4とによって覆われた状態となる。一方、図6に示すように第1開閉カバー3及び第2開閉カバー4を開いた状態では、第1収納部5、第2収納部6、第3収納部7がすべて露出する。
また、第2開閉カバー4が閉じ状態であるときの当該第2開閉カバー4における第2ロールR2よりも後方側の部位には、剥離材層151が引き剥がされた後の印字済み粘着テープ152,153を切断するためのカッター機構14(切断手段)が配置されている。
ここで、上記したように第1ロールR1、第2ロールR2、第3ロールR3は略水平方向の軸心O1,O2,O3まわりにそれぞれ巻回されている。このときカッター機構14によりテープ切断を行う際には、切断対象となる印字済み粘着テープ152、153に対してある程度の張力を付与し、テープ面を張った状態にしておくことが望ましい。そこで本実施形態では、閉じ状態の第2開閉カバー4の下方において第2収納部6内に配置された支持ブラケットRBにより支持された第2ロールR2の軸心O2の高さ方向位置が、閉じ状態の第1開閉カバー3の下方において第1所定位置8に装着された粘着テープカートリッジTKにおける、第3収納部7内で剥離材層151を巻回していく第3ロールR3の軸心O3の高さ方向位置よりも、距離h(図2参照)だけ高くなるように構成されている。
<装置動作の概略>
上記構成において、第1開閉カバー3及び第2開閉カバー4を閉じた状態で、第1収納部5に収納された第1ロールR1(図2、図3、及び後述の図11中のA方向に回転する)から繰り出される被印字粘着テープ150が搬送ローラ11により前方側へ搬送されると、その搬送される被印字粘着テープ150の基材層153に対し、印字ヘッド10によって所望の印字が形成され、印字済み粘着テープ150′となる。その後、印字済み粘着テープ150′はさらに前方側へ搬送され、引き剥がし部13において剥離材層151が引き剥がされる。引き剥がされた剥離材層151によって、第3収納部7内に第3ロールR3(図2、図3、及び後述の図11中のC方向に回転する)が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ152,153は、さらに前方側へ搬送されて第2収納部6へ導入され、第2収納部6内において巻回されて第2ロールR2(図2中B方向に回転する)が形成される。その際、第2ロールR2よりも後方側すなわち搬送経路に沿った上流側にカッター機構14が設けられており、このカッター機構14が、印字形成されかつ剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ152,153を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで第2ロールR2に巻回されていく印字済み粘着テープ152,153を切断し、切断後は第2ロールR2を第2収納部6から取り出すことができる。
<各部詳細構造>
次に、上記のような概略構成の粘着テープ印刷装置1の各部の詳細構造を順を追って説明する。
<粘着テープカートリッジの詳細構造>
上記図6、図8、及び、図9〜図11に示すように、粘着テープカートリッジTKは、断面略コの字型の連結アーム21(支持部材)を備えている。上記第1ロールR1と第3ロールR3とは、上記連結アーム21によって連結されている。連結アーム21は、第1ロールR1を後方側において回転自在に支持するとともに第3ロールR3を前方側において回転自在に支持する。また、連結アーム21は、左右一対の第1ブラケット部22,22(図6では右側の第1ブラケット部22のみ示す)を後方側に備え、左右一対の第2ブラケット部24,24(図6では右側の第2ブラケット部24のみを示す)を前方側に備えている。
第1ブラケット部22,22は、第1ロールR1を左右両側(略水平方向の軸線に沿った一方側及び他方側に相当)から挟み込むようにして軸心O1のまわりに回転可能に保持している。これら第1ブラケット部22,22は、上端部において略水平方向に延設された第1接続部23によって接続されている。
第2ブラケット部24,24は、第3ロールR3を左右両側(略水平方向の軸線に沿った一方側及び他方側に相当)から挟み込むようにして軸心O3のまわりに回転可能に保持している。これら第2ブラケット部24,24は、上端部において略水平方向に延設された第2接続部25によって接続されている。
そして、後方側の上記第1ブラケット部22,22及び上記第1接続部23と、前方側の上記第2ブラケット部24,24及び上記第2接続部25とは、左・右一対のロール連結ビーム部26,26によって連結されている。
また、上記連結アーム21のうち、テープ搬送経路に沿った第1ロールR1と第3ロールR3との中間部となる部位(この例では第1接続部23)に、当該第1接続部23から下方に突出するように、左・右一対のガイド部27(ガイド手段)が設けられている(図10及び図11参照)。ガイド部27は、第1ロールR1から繰り出される被印字粘着テープ150(図10中の想像線参照)をテープ幅方向を左右方向としたテープ姿勢で通過させるとともに、当該通過時におけるテープ幅方向両端部に略接触し当該テープ幅方向のガイドを行う。
<引き剥がし部>
また、連結アーム21は、図9及び図11に示すように、上記ガイド部27よりもテープ搬送経路に沿った下流側に、例えば水平なスリット形状を含む引き剥がし部13(剥離点に相当)を備えている(図2、図3等も参照)。引き剥がし部13は、第1ロールR1から繰り出されて所定の中間搬送経路FP(ロール繰り出し位置から引き剥がし部13までの搬送経路。後述の図12(a)参照)上に沿って前方側へと搬送される被印字粘着テープ150から剥離材層151を引き剥がす。
このとき、図11に示すように、粘着テープカートリッジTKにおいて、第1ロールR1は、右側から見て反時計回り(A方向)に回転しつつ外周部から被印字粘着テープ150を繰り出す。一方、第3ロールR3は、上記右側から見て時計回り(C方向)に回転しつつ、引き剥がし部13で引き剥がされた剥離材層151を、第1ロールR1から繰り出され搬送される被印字粘着テープ150の搬送方向(図12(a)中の左向き)とは略逆向き(図12(a)中の略右下向き)にロール外周部に迎え入れて巻き取る。これにより、前方側へと搬送されてきた被印字粘着テープ150から引き剥がし部13で剥離材層151を引き剥がすときの当該剥離材層151が曲折する角度θが、鋭角となっている。
またこのとき、図12(a)に示すように、上記中間搬送経路FPでのテープ搬送方向(所定方向に相当。図12中矢印ア−イ方向)に沿った引き剥がし部13の位置が、少なくとも、第3ロールR3が最小外径状態にあるとき(上記図12、図2、図11中の実線の状態)の巻き取り位置WPの上記所定方向(図12中矢印ア−イ方向)における位置よりも一方側(図12(a)中の左側)となるように、配置されている。ここで、巻き取り位置WPとは、剥離材層151が第3ロールR3の外径に迎え入れられて積層構造に合流する位置である。また上記所定方向一方側は、言い換えれば中間搬送経路FPにおける搬送方向に沿った下流側である。
なお、上述したように、図2、図11、図12では、粘着テープカートリッジTKにおいて第1ロールRの被印字粘着テープ150が未消費であって第3ロールR3に剥離材層151がまだ巻回されていない状態(初期状態)を実線で表している。そして、上記搬送及び印字形成により第1ロールRの被印字粘着テープ150がある程度消費されて第3ロールR3に剥離材層151が巻回された状態を想像線で表している。
<カッター機構の詳細構造>
図13、図14、及び図15に示すように、カッター機構14は、ガイド板31と、可動刃32と、可動刃32を支持する可動刃支持部33a(可動刃支持手段)を備えた走行体33と、ガイドレール34と、を有する。
ガイド板31は、第2開閉カバー4の開放縁側の内側に、搬送ローラ11よりもテープ搬送方向下流側においてテープ幅方向に延設されている。このガイド板31は、第2開閉カバー4に対して左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。そして、ガイド板31は、上記筐体2内の搬送ローラ11によりテープ幅方向が左右方向となる姿勢で搬送される印字済み粘着テープ152,153の上面(言い換えれば基材層153の上面。厚さ方向一方側端の面に相当)に接触してガイドする(図14、図15中の想像線参照)。
ガイド板31の下方には、刃先32aがガイド板31と上下方向に対向するように(この例では刃先32aが上向きとなるように)上記可動刃32が配置されている。可動刃32は、ガイドレール34に案内されて走行自在である上記走行体33により、ガイド板31に沿いつつテープ幅方向に走行して切断を行う(図14中の矢印ウ参照)。 上記ガイドレール34は、第2開閉カバー4に対し、上記左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。なお、ガイドレール34及び走行体33が各請求項記載の走行機構を構成している。
可動刃32は、ガイドレール34に沿った走行体33の上記走行によって、ガイド板31との間に印字済み粘着テープ152,153を狭持しつつ、当該印字済み粘着テープ152,153に対し最下層(厚さ方向他方側端の層に相当)の粘着剤層152から進入し、上記切断を行う。その際、上記可動刃支持部33aは、可動刃32を、テープ幅に沿った上記走行方向に向かって当該可動刃32の刃先32a(図14参照)が印字済み粘着テープ152,153をガイド板31方向へ押す態様で傾斜するように(この例では下り傾斜となるように)、走行体33に対して支持している。これにより、印字済み粘着テープ152,153は、上面(詳細には印字ヘッド10による印字形成後の基材層153の上面)がガイド板31に接触されてガイドされつつ、下方に配置された斜め上向きの可動刃32の刃先32aによって最下層の粘着剤層152から進入され切り込まれることにより、幅方向に切断される。このときガイド板31には、走行体33による可動刃32の走行を案内するために、テープ幅方向にスリット31aが孔設されている。
なお、テープ搬送方向に沿ってガイド板31よりも下流側には、印字済み粘着テープ152,153の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口12へ向かう側との相互間で切り替えるためのシュート15が配されている(このシュート15の機能については後述する)。
<支持ブラケットの詳細構造>
図16、図17、及び図18において、既に述べたように、第2開閉カバー4は、筐体2の前方側に設けられた所定の第1回動軸心K1まわりに、筐体2の第2収納部6を覆う上記閉じ位置から第2収納部6を露出させる上記開き位置までの間で回動可能となっている。このとき、支持ブラケットRBは上記第2ロールR2を、筐体2の前方側に位置する所定の第2回動軸心K2まわりに回転可能に支持する。第2ロールR2は、上述したように、印字ヘッド10により基材層153に印字が形成されるとともに剥離材層151が引き剥がされた後の印字済み粘着テープ152,153(若しくは剥離材層151が含まれた印字済み粘着テープ150′)が、筐体2の前方側の内部において巻回して生成される。
すなわち、支持ブラケットRBは、上記第2回動軸心K2まわりに、上記第2開閉カバー4の閉じ方向側に位置し第2ロールR2を着脱不能となる使用位置(第1位置。例えば図1、図2、図3、図4、図17に示す位置)から、第2開閉カバー4の開き方向側に位置し第2ロールR2を着脱可能となる取り出し位置(第2位置。例えば図5、図6、図16に示す位置)までの間で、回動可能に構成されている。なお、この例では、第2回動軸心K2は、上記した第1回動軸心K1と同一位置(すなわち共通の軸心)となっている。
そして、支持ブラケットRBは、図18に示すように、第2ロールR2の軸心O2(第3回動軸心)方向に沿った両側に当該第2ロールR2を挟むように対向してそれぞれ設けられた、第2ブラケットRB2と第1ブラケットRB1とを備えている。すなわち、第1ブラケットRB1及び第2ブラケットRB2は、略円形の円形部39a,39bと、円形部39a,39bから径方向に膨出した基部41a,41bと、をそれぞれ備えている。
第1ブラケットRB1の基部41aは、上記第2回動軸心K2方向に沿う寸法が、第2ブラケットRB2の基部41bよりも大きくなっている。そして、基部41aの内側(第2ブラケットRB2の基部41bに対向する側。図18中右下側)には、筒状のガイド突起42aが上記第2回動軸心K2方向に沿って突設されている。また、第1ブラケットRB1の円形部39aの内側(図18中右下側)には、略円環状の回転部47aが、図示しない軸受を介し、第2ロールR2の軸心O2(第3回動軸心。図16及び図18参照)まわりに回転可能に装着されている。回転部47aの外周面には、径方向に突出する複数の突起47kが設けられている。
第2ブラケットRB2の基部41bは、上記のような第1ブラケットRB1の構造に対応して略L字状に屈曲されている(図18参照)。基部41bの外側(基部41aに対向する側とは反対側。図18中右下側)には、筒状のガイド筒部42bが第2回動軸心K2方向に沿って突設されている。そして、上記第1ブラケットRB1のガイド突起42aは、上記第2ブラケットRB2のガイド筒部42bにスライド自在に挿入される。なお、ガイド筒部42b及びガイド突起42aそれぞれは、筐体2に取り付けられた図示しないヒンジ(上記第2回動軸心K2を回動中心とする)に装着されている。また、第2ブラケットRB2の円形部39bの内側(図18中左上側)には、上記回転部47aと同等の略円環状の回転部47bが、図示しない軸受を介し、上記軸心O2まわりに回転可能に装着されている。
上記構造により、第2ロールR2が上記取り出し位置にあるとき(図16等参照)は、ガイド突起42aに沿ってガイド筒部42bを内外方向にスライドさせることで、第1ブラケットRB1及び第2ブラケットRB2は、上記軸心O2方向に沿って互いに相対的に遠近可能となる。図18では、第2ブラケットRB2が第1ブラケットRB1に対して遠近する態様を示しており、実線で表す状態は第2ブラケットRB2が第1ブラケットRB1に対して接近した状態、想像線で表す状態は第2ブラケットRB2が第1ブラケットRB1から離間した状態である。一方、第2ロールR2が上記使用位置にあるとき(図17等参照)は、第1ブラケットRB1及び第2ブラケットRB2は、上記接近した状態となって前述のように幅狭の第2収納部6内に収納されており、第2ロールR2の上記軸心O2方向に沿って互いに相対的に遠近不能となる。
また、第1ブラケットRB1及び第2ブラケットRB2の上記円形部39a,39bの径方向中央部には、略Cリング状の嵌合溝43が設けられている。上記使用位置(例えば図1、図2、図3、図4、図17に示す位置)において、上記嵌合溝43は、筐体2に設けられた図示しない被嵌合軸に嵌合する。そしてこの使用位置では、筐体2の前方側に設けられた駆動伝達ギアに対し、上記第1ブラケットRB1に設けられた図示しない被駆動ギアが嵌合する(図17はこの嵌合状態となっている)。この第1ブラケットRB1の被駆動ギアは、第1ブラケットRB1内に設けた図示しない接続ギア機構によって、上記回転部47aと作動連結されている。また、上記駆動伝達ギアは、筐体2前方側の第2収納部6近傍に設けられたギア機構44(図2参照)を介し、上記巻き取り用モータM3の出力軸(モータ軸)に作動連結されている。これらの結果、巻き取り用モータM3が発生した駆動力は、上記使用位置において、ギア機構44、上記駆動伝達ギア、被駆動ギアを介し、上記回転部47aに伝達され、後述のように上記回転部47aに装着された第2ロールR2が回転駆動する。したがって、第1ブラケットRB1は、上記使用位置では、巻き取り用モータM3の駆動力を第2ロールR2へ伝達可能となる。
<巻芯部材>
ここで、前述したように、上記第2ロールR2は、上記巻芯部材45の外周側に対し印字済み粘着テープ152,153が巻回されることによって生成される。そして、巻芯部材45が上記第1ブラケットRB1及び第2ブラケットRb2に対し回転可能に支持されることで、第2ロールR2は第2収納部6内で回転可能となっている。以下、その詳細を説明する。
図19(a)及び図19(b)において、この例の巻芯部材45は、2分割構造となっており、略筒状に形成された円筒部45c及び円筒部45cの軸方向一端側(図19(a)中左上側)に一体的に形成された略円環状のフランジ45aと、上記円筒部45cの軸方向他端側(図19(a)中右下側)に設けられる略円環状のフランジ45bと、から構成されている。
一方のフランジ45aには、上記円筒部45cがこの例では一体的に形成されている。円筒部45cの軸方向一方側(図19中右下側)端部には当該円筒部45cより若干小径となる延長部45dが設けられている。また、延長部45dの周囲には、複数(この例では3つ)の係止孔45eが等間隔に形成されている。他方のフランジ45bの内周から一方側に向けて、上記円筒部45cの外径と同径で且つ上記延長部45dに外嵌する程度の内径を有する延長部45fが設けられている。この延長部45fの周囲には、上記係止孔45eに対応して複数(この例では3つ)の係止片45gが等間隔に形成されている。
そして、上記延長部45dに対し延長部45fを外嵌合させ、係止孔45eに係止片45gが係合することで、ボビン形状(又はドラム形状)の上記巻芯部材45が形成されている。そして、図19(a)のように組み上がった状態の巻芯部材45は、上記円筒部45cの内周面45kを上記第1ブラケットRB1の回転部47aの上記突起47kに密着させるようにしつつ、当該回転部47aの外周側に装着される。これにより、上記使用位置において、上記巻き取り用モータM3から発生され上記被駆動ギアを介して上記回転部47aに伝達された駆動力が第2ロールR2に伝達され、第2ロールR2が回転駆動する。なお、上記装着時には、第2ロールR2の第1ブラケットRB1と反対側の端部は、第2ブラケットRB2の上記回転部47bと接触する。上記回転部47bは、前述のように円形部39bに対して回転自在となっており、上記のようにして駆動される第2ロールR2とともに従動的に回転する。
なお、上記円筒部45cの幅方向寸法は上記印字済み粘着テープ152,153の幅に略対応している。上記図17に示す例は印字済み粘着テープ152,153の幅が比較的大きい場合の例であり、図19に示す例は印字済み粘着テープ152,153の幅が比較的小さい場合の例である。
<巻芯部材の段付き形状>
本実施形態では、上記巻芯部材45の断面形状を工夫することにより、上記印字済み粘着テープ152,153の巻き取り性能を、より向上させることもできる。以下、そのような巻芯部材45の例を図20及び図21により説明する。
図20において、この例の巻芯部材45は、前述と同様、支持ブラケットRBにより支持され、回転させながら印字済み粘着テープ152,153を順次巻き取って積層し(回転方向の矢印参照)、上記第2ロールR2を生成する。その際、例えば図21(a)に示すように、巻芯部材45の軸方向一方側及び他方側にそれぞれ平坦円板状の側壁面61を設け、それら側壁面61,61の間の空間(テープ幅と略同等の幅方向寸法を備える)に順次印字済み粘着テープ152,153を導入し積層したとすると、印字済み粘着テープ152,153が幅方向に位置ずれして導入されたときに粘着剤層152が接触部範囲の広い面積で上記側壁面61に貼り付き、それ以降のテープ巻き取りが困難となり、結果として巻き乱れを生じるおそれがある。
そこで、この例では、図20(a)、図20(b)、及び図21(b)に示すように、上記のような平坦形状の側壁面とせず、段付き形状の側壁面構造とする。すなわち、この例の巻芯部材45においては、一対の導入壁部51,51が上記軸心O2の軸方向一方側及び他方側(図20(a)中の左側及び右側)に互いに対向して設けられる。そして、それら導入壁部51,51は、印字済み粘着テープ152,153のテープ幅Wに対応する軸方向の寸法w1を備えた空間SP1を互いの間に形成する。これにより、巻き取り対象の上記印字済み粘着テープ15,153が巻芯部材45の径方向外側から巻芯部材45へと導入される際、当該印字済み粘着テープ152,153を幅方向に高精度に位置決めしてガイドしつつ、円滑な導入を行うことができる。
また、それら一対の導入壁部51,51よりも径方向内側には、一対の中間壁部52,52が上記軸方向一方側及び他方側に互いに対向して設けられる。これら中間壁部52,52は、導入壁部51,51よりも軸方向の両端側(図20(a)中の左側又は右側)にそれぞれ凹んだ凹み部53,53によって、上記寸法w1よりも広い軸方向寸法w2(テープ逃げ幅として機能する)を備えた空間SP2を互いの間に形成する。
さらに、上記一対の中間壁部52,52よりもさらに径方向内側には、当該一対の中間壁部52,52の径方向内側端を接続するように軸方向に延設される、内筒面54が設けられる。内筒面54は、上記導入壁部51及び上記中間壁部52を介して導入された印字済み粘着テープ152,153を順次貼り付けて巻回するための部位である。内筒面54は、印字済み粘着テープ152,153のテープ幅Wに略等しい軸方向の寸法w3の凹溝55を備えている。なお、内筒面54のうち凹溝55とは逆側となる内周面54kは、前述の内周面45kと同様の機能を果たす。すなわち、この例の巻芯部材45は、上記内周面54kを前述の第1ブラケットRB1の回転部47aの上記突起47kに密着させるようにしつつ、当該回転部47aの外周側に装着される。
なお、図20(b)に示すように、導入壁部51と内筒面54(凹溝55)との間に挟まれた上記中間壁部52の軸方向寸法は、導入壁部51の軸方向寸法よりも大きくなっており、かつ内筒面54の軸方向寸法よりも大きくなっている。なお、上記導入壁部51、中間壁部52、内筒面54それぞれの上記軸方向寸法w1,w2,w3の大小関係は、w3(≒W)<w1かつw1<w2となっている。
以上のように、図20(a)、図20(b)、及び図21に示す巻芯部材45では、中間壁部52,52の凹み部53,53によって、導入壁部51,51の形成する寸法w1の空間SP1よりも広い寸法w2の空間SP2が形成される。これにより、上記のようにして導入壁部51から導入された印字済み粘着テープ152,153が順次内筒面54に巻回されていくとき、印字済み粘着テープ152,153の幅方向両端部は上記中間壁部52,52からそれぞれ離間する位置関係となるので、接触による貼り付きが生じにくい。また、もし仮に印字済み粘着テープ152,153の幅方向両端部が接触して貼り付きが生じたとしても、その貼り付き部位は上記中間壁部52,52ではなく主として導入壁部51のみとなる。したがって、図21(a)に示した前述の平坦円板状の側壁面61を設けた場合に比べると接触による貼り付き面積が極めて少なくなる。この結果、仮に貼り付きが生じたとしても、その後の上記巻芯部材45の回転(図21(b)中の白矢印参照)によって当該導入壁部51への貼り付きを再び引き剥がし、正しく内筒面54へと導いて貼り付けることができる。
なお、図20(a)、図20(b)、図21(b)に示すこの例の巻芯部材45は、図19(a)及び図19(b)を用いて前述したものと異なり、必ずしも分割構造の必要はない。しかしながら、図19(a)及び図19(b)に示した分割構造と組み合わせてもよい。
<カートリッジの離型処理部>
ここで、前述の粘着テープカートリッジTKには、前述のカッター機構14での切断処理により生じた印字済み粘着テープ152,153を仮止めする(再剥離可能に粘着する)ための離型処理部が設けられている。この離型処理部について、図22等を用いて説明する。
図22及び前述の図9等において、既に述べたように、第1ロールR1と第3ロールR3とは、断面略コの字型の連結アーム21によって連結され、第1ロールR1は後方側において回転自在に支持されるとともに第3ロールR3は前方側において回転自在に支持される。そして、引き剥がし部13において、第1ロールR1から繰り出された被印字粘着テープ150から剥離材層151が引き剥がされて印字済み粘着テープ152,153が生成される。
前述のようにしてカッター機構14によって印字済み粘着テープ152,153が切断されると、例えばユーザにより粘着テープカートリッジTKを筐体2から取り外して移動させる、等が行われる場合がある。このとき、上記印字済み粘着テープ152,153は、被印字粘着テープ150から剥離材層151が引き剥がされることで粘着剤層152が露出している。したがって、上記取り外しや移動の際にユーザが不用意に取り扱うと、そのままでは、上記切断後の印字済み粘着テープ152,153の先端部及びその近傍に位置する粘着剤層152が、誤って印字済み粘着テープ152,153の他の部位に自己粘着したり、第3ロールR3に付着したり、その他カートリッジ各部に付着するおそれがある。
そこで本実施形態においては、上記した連結アーム21の引き剥がし部13の位置に、上記印字済み粘着テープ152,153を再剥離可能に粘着する離型処理部70が設けられる(この例では、図22に示される、横向きの略「C」字状となるハッチング部分である)。なお、離型処理部70として、予め所定の離型処理が施された、連結アーム21とは別部材である離型処理部材を設置してもよいし、連結アーム21の当該部位に所定の離型処理を施すことで離型処理領域を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態ではさらに、第3ロールR3のうち、引き剥がし部13で生成される印字済み粘着テープ152,153側の領域を覆うために、引き剥がし部13の位置からひさし状に垂れ下がった矩形状のカバー部材71が設けられる。このカバー部材71の表面全体(又は表面の一部でもよい)には上記離型処理部70と同様の離型処理が施されている。これにより、カバー部材71は、引き剥がし部13から排出される印字済み粘着テープ152,153の下面に位置する粘着剤層152をカバー部材71の表面に再剥離可能に粘着(=再剥離粘着)することができる。
また、カバー部材71には、印字済み粘着テープ152,153の幅よりも小さい幅方向寸法を備えた穴部72が設けられている。穴部72は、テープ長さ方向に沿った当該穴部72の両側に跨って、印字済み粘着テープ152,153を、再剥離可能に粘着させる。ユーザは、上記のように小さい幅方向寸法を備えたこの穴部72に跨って上記印字済み粘着テープ152,153が粘着したとき、第3ロールR3側に露出した印字済み粘着テープ152,153に対し、指操作にてアクセスすることができる。
なお、上記離型処理部70とカバー部材71とが、各請求項記載の再剥離粘着手段に相当する。なお、第3ロールR3側への付着の可能性がない場合(あるいは配慮しなくてもよい場合)には、カバー部材71を省略し、離型処理部70のみによって再剥離粘着手段を構成してもよい。
なお、上記離型処理部70やカバー部材71は、図示の煩雑防止のために図22にのみ図示されており、他の図では図示を省略している。
<印字済み粘着テープの経路切替>
既に述べたように、本実施形態では、テープ搬送方向に沿ってカッター機構14より下流側に、印字済み粘着テープ152,153(又は剥離材層151を含む印字済み粘着テープ150′の場合もある。後述)の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口12へ向かう側との相互間で切り替えるためのシュート15(経路切替手段)が配されている。このシュート15による経路切替について、図23、図24、及び図25等を用いて説明する。
本実施形態では、印字済み粘着テープ152,153又は印字済み粘着テープ150′(以下適宜、単に「印字済み粘着テープ152,153等」と称する)の搬送態様は、第2収納部6内の第2ロールR2の巻回の有無で2つに大別されるとともに、さらに上記シュート15の切り替えによって、3つの態様に切り替え可能である。
<シュートの切り替え詳細>
まず、シュート15の切り替えについて説明する。上記シュート15は、第2収納部6に収納される第2ロールR2よりも搬送経路に沿った上流側で、かつ印字ヘッド10より搬送経路に沿った下流側に設けられている。このシュート15は、印字済み粘着テープ152,153等の搬送経路を第2収納部6へと導く上方位置(第1切替位置。後述の通常の搬送態様に対応)と、印字済み粘着テープ150′(剥離材層151が剥離されず含まれている)の搬送経路を筐体2の排出口12へ導く下方位置(第2切替位置。後述の外部排出用の搬送態様に対応)とに、選択的に切り替え可能に構成されている。
このシュート15の位置の切り替えは、具体的には、図23(a)〜図23(c)に示すように、切替レバー16によって行われる。すなわち、筐体2に、スライドアーム17が後方側の斜下方向にスライド可能に設けられている。このスライドアーム17の後方側に設けた支点軸17Aに、横断面形状が略L字形状の上記シュート15が、L字形状の水平部がカッター機構14側に向くように、取り付けられている。
また、スライドアーム17の前方側には、作用点となるヒンジ突起17Bが形成されている。このとき、上記切替レバー16は、略L字状に形成されており、その中間部分に位置する支点軸16Aにより、筐体2に対し往復揺動可能に取り付けられている。切替レバー16の後方側には長孔16Bが形成され、この長孔16Bにはスライドアーム17のヒンジ突起17Bが遊嵌している。
上記構成により、切替レバー16の上方に延びた操作部16Cをユーザが図23(b)中F方向に操作することでスライドアーム17が移動し、これによりシュート15が図23(a)及び図23(b)に示す上方位置から、図23(c)に示す下方位置に切り替えられる。また、操作部16Cを上記F方向とは逆に操作すれば、シュート15は、図23(c)に示す下方位置から、図23(a)及び図23(b)に示す上方位置に切り替えられる。
<搬送経路の切り替え>
次に、上記した第2ロールR2の巻回の有無と上記シュート15の切り替えとによって実現される、3つの搬送経路を以下順次説明する。
すなわち、まず、シュート15が上記上方位置に切り替えられた状態で行われる通常の搬送態様の代表的なものは、既に上述した搬送態様である。すなわち、図23(a)に示すように、印字済み粘着テープ150′のうち剥離材層151が引き剥がされて第3収納部7内に第3ロールR3が形成される一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ152,153は第2収納部6内において巻回され、第2ロールR2が形成される。
なお、上記同様にシュート15が上記上方位置に切り替えられた状態で行われる通常の搬送態様のうち、第3ロールR3を機能させないようにする場合もある。この場合は、図23(b)に示すように、印字済み粘着テープ150′が、剥離材層151が引き剥がされることなく(すなわち剥離材層151が含まれたままの状態で)そのまま第2収納部6内において巻回され、第2ロールR2が形成される。第3ロールR3を機能させないようにするためには、印字済み粘着テープ150′に含まれる剥離材層151と第3ロールR3とを接続しないようにする(この場合は第3ロールR3はいわゆるダミーとなる)か、あるいは第3ロールR3自体を粘着テープカートリッジTKに装着しないようにすればよい。
一方、シュートが上記下方位置に切り替えられた場合(この場合には上記同様第3ロールR3を機能させないようにする)は、外部排出用の搬送態様となる。この場合、印字済み粘着テープ150′は、第2収納部6へ導かれロール状に巻回されることなく、また剥離材層151が引き剥がされることもなく、そのまま筐体2に設けた排出口12(図2、図16、図17も参照)からテープの態様で筐体2外部へ排出される(この場合は例えば第2収納部6は用いられない)。
ところで、上記のシュート15の切り替えは、上記印字済み粘着テープ152,153等巻回作業(又は排出作業)を新たに行う前に、すなわちテープ搬送が停止した状態で行われる。その切り替え時には、前回の巻回作業(又は排出作業)時に切断された印字済み粘着テープ152,153等のテープ先端が、上記カッター機構14の位置で停止している状態である。これに対応して、本実施形態では、シュート15が上記上方位置から下方位置に切り替えられるとき、シュート15の先端位置がよりカッター機構14側(一方側)に接近する側へと寄るように構成されている。すなわち、図23(a)や図23(b)に示す上方位置では、シュート15の後方側先端位置とカッター機構14との間には比較的大きな間隔△が空いている。これに対し、図23(c)に示す下方位置では、シュート15が下方位置に切り替えられた際には、シュート15の後方側先端位置とカッター機構14との間は、上記△よりも小さい間隔△′となる。
以上説明したように、本実施形態においては、第1収納部5から印字ヘッド10での印字形成を経て第3収納部7や第2収納部6等へ至る被印字粘着テープ150及び印字済み粘着テープ150′(印字済み粘着テープ152,153及び剥離材層151)の流れにおいて、搬送ローラ11による搬送は、すべてテープ幅方向を左右方向としたテープ姿勢、言い換えればテープ面を横向きとした状態で搬送される。すなわち、第1ロールR1、第2ロールR2、第3ロールR3は略水平方向の軸心O1,O2,O3まわりにそれぞれ巻回されている。そして、第1ロールR1を収納する第1収納部5が筐体2の後方側に配置され、第1ロールR1からの被印字粘着テープ150は筐体2の前方側へと搬送され、印字形成後の印字済み粘着テープ150′は当該筐体2の前方側に設けられた第2収納部6や第3収納部7等へと導かれる。このように、被印字粘着テープ150から印字済み粘着テープ150′を形成するときの搬送経路が、筐体2の後方側から前方側へと向かう搬送経路となる。また、第1ロールR1、第2ロールR2、第3ロールR3は、対応する第1収納部5、第2収納部6、第3収納部7に対し、それぞれ上方から挿入されて収納されるいわゆるドロップイン方式となっている。しかも、前述のように後方側と前方側とに振り分け配置された、第1収納部5と第2収納部6との中間に、搬送ローラ11を駆動するための搬送用モータM1を配設している。以上のような各構成要素の配置構造により、本実施形態の粘着テープ印刷装置1では、上記各構成要素を包含する筐体2を、前後方向に長い寸法を備えかつ左右方向には短い寸法を備えた幅狭形状とすることができる(図8参照)。この結果、粘着テープ印刷装置1を設置するために必要なスペースを小さくすることができる。
また、筐体2の上部には、第1収納部5を開閉可能な第1開閉カバー3と、第2収納部6を開閉可能な第2開閉カバー4が設けられている。そして、筐体2の後端部に設けた第1開閉カバー3を開けることで第1収納部5を露出させることができ、筐体2の前端部に設けた第2開閉カバー4を開けることで第2収納部6を露出させることができる。すなわち、第1収納部5と第2収納部6とをそれぞれ個別に独立して露出させることができる。これにより、例えば第2収納部6内に印字済み粘着テープ150′を巻回し第2ロールR2を形成するとき、第1収納部5内の第1ロールR1の被印字粘着テープ150の消費状況に関係なく、適宜のタイミングで第2開閉カバー4を開き、第2収納部6内に巻回された第2ロールR2を取り出して使用することも可能となる。これにより、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、印刷実行時には、第1ロールR1及び第3ロールR3は、粘着テープカートリッジTKごと第1開閉カバー3の下方の第1所定位置8に収容されて用いられる。これにより、ユーザは、それら2つのロールR1,R3の着脱その他の取り扱いを一括して容易に行うことができ、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、印刷に使用されるインクリボンIBは、上記リボンカートリッジRKごと、第1開閉カバー3の下方でかつ粘着テープカートリッジTKの上方の第2所定位置9に収容されて用いられる。これにより、ユーザは、印字形成時に必要となるインクリボンIBの取り扱いを、粘着テープカートリッジTKとは別個に容易に行うことができ、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、上述の第1開閉カバー3及び第2開閉カバー4の構造により、第2ロールR2における印字済み粘着テープ152,153の巻回蓄積状況に関係なく、第1開閉カバー3を開くことで適宜のタイミングでリボンカートリッジRKを交換することができる。これにより、第2ロールR2へ印字済み粘着テープ152,153を巻回していくとき、例えば途中でリボンカートリッジRKを交換して印字色を変更する等も可能となり、さらに利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、第2ロールR2は、第1開閉カバー3が閉じ状態のままでも第2開閉カバー4を開くことで第2収納部6に対し装着・離脱可能である。これにより、第1ロールR1の被印字粘着テープ150はまだあまり消費されず第1ロールR1はまだ交換の必要がない場合であっても、第1ロールR1を第1収納部5内に残したままの状態で、ユーザが所望する適宜のタイミングで第2開閉カバー4を開き、確実に第2ロールR2が取り出すことができる。これにより、さらに利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、第2収納部6内で印字済み粘着テープ152,153を巻回していく第2ロールR2の軸心O2の高さ方向位置を、第3収納部7内で剥離材層151を巻回していく第3ロールR3の軸心O3の高さ方向位置よりも、距離hだけ高くしている。これにより、前述のようにして前方側へと搬送されてきた印字済み粘着テープ150′から剥離材層151を確実に下方へと引き剥がすとともに、剥離材層151と分離された残りの印字済み粘着テープ152,153を第3ロールR3と干渉することなく確実に第2収納部6へと導入することができる。また、上記位置関係により、剥離材層151の引き剥がし位置と、第2収納部6内の第2ロールR2へと巻回されていく第2ロールR2外周部との間で、剥離材層151の引き剥がし後の印字済み粘着テープ152,153に対し、十分な張力を付与して張った状態にすることができる。この結果、上記カッター機構14による切断を円滑かつ良好に行うことができる。
また、本実施形態に備えられた粘着テープカートリッジTKでは、被印字粘着テープ150から生成された印字済み粘着テープ150′から剥離材層151を引き剥がして用いる場合に、被印字粘着テープ150を巻回した第1ロールR1と、上記引き剥がされる剥離材層151を巻回した第3ロールR3とを、連結アーム21を介して一体化している。これにより、ユーザは、それら2つのロールの粘着テープ印字装置1側への着脱など、各種の取り扱いを一括して容易に行うことができ、利便性を向上することができる。このとき、連結アーム21に設けたガイド部27は、被印字粘着テープ150をテープ幅方向を左右方向としつつ通過させながら、テープ幅方向両端部に略接触して被印字粘着テープ150のガイドを行う。これにより、円滑なテープ搬送を確実に行うことができる。以上の結果、ユーザによる取り扱い性を向上できるとともに、円滑な搬送を確保することができる。
また、本実施形態では特に、ガイド部27よりもテープ搬送経路に沿った下流側に設けられている引き剥がし部13により、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送されてきた被印字粘着テープ150から剥離材層151を円滑かつ確実に引き剥がすことができる。
また、本実施形態では特に、第1ロールR1(図3中のA方向すなわち反時計回り)と第3ロールR3(図3中のC方向すなわち時計回り)とが互いに逆方向に回転しつつ、被印字粘着テープ150の繰り出し及び剥離材層151の巻き取りを行う。このとき、仮に第3ロールR3が第1ロールR1と同じ反時計回りに回転した場合には、第1ロールR1から繰り出され搬送される被印字粘着テープ150の搬送方向(例えば図3中の左向き)と略同じ向きに(例えば図3中の略左向きに)剥離材層151をロール外周部に迎え入れることとなる。しかしながら、本実施形態では、上記のように時計回りに回転する第3ロールR3では、第1ロールR1から繰り出され搬送される被印字粘着テープ150の搬送方向(例えば図3中の左向き)とは略逆向きに(例えば図3中の略右向きに)剥離材層151をロール外周部に迎え入れる(図3の矢印C参照)。これにより、前方側へと搬送されてきた被印字粘着テープ150から剥離材層151が引き剥がされるときの当該剥離材層151が曲折する角度θ(図11参照)は、上記2つのロールR1,R2がともに時計回りに回転する場合に比べて、小さい角度(この例では鋭角)となる。この結果、搬送されてきた被印字粘着テープ150からの剥離材層151の引き剥がしを、さらに円滑かつ確実に行うことができる。
また、本実施形態では特に、粘着テープカートリッジTKの連結アーム21は、上述した構成(第1ブラケット部22,22、第2ブラケット部24,24、第1接続部23、第2接続部25、及びロール連結ビーム部26,26)により、被印字粘着テープ150を巻回した第1ロールR1と、引き剥がされる剥離材層151を巻回した第3ロールR3とを、回転可能に支持しつつそれらを連結して一体化するための、必要最小限の構造となっている。これにより、粘着テープカートリッジTKの連結アーム21以外の部位では各ロールR1,R3が大きく露出した状態とすることができる。この結果、粘着テープカートリッジTK全体の構造の簡素化及び軽量化を図ることができる。
また、本実施形態に備えられた粘着テープカートリッジTKでは、上記のようにして剥離材層151が引き剥がされ巻き取られる際の、上記引き剥がし部13の位置と第3ロールR3への巻き取り位置WPとの相互関係を、前述のように良好な引き剥がしが行われるように設定している。具体的には引き剥がし部13の上記所定方向(図12中矢印ア−イ方向)における位置を、少なくとも、第3ロールR3が最小外径状態にあるとき(実線の状態)の上記巻き取り位置WPよりも一方側(矢印ア側)としている。これにより、上記所定方向(矢印ア−イの方向)に沿って一方側(矢印ア方向)へ中間搬送経路FPを搬送されてきた印字済み粘着テープ150′から引き剥がし部13において剥離材層151が引き剥がされていくとき、当該剥離材層151は少なくとも90°よりは小さい鋭角(上記角度θ)で、上記所定方向他方側である矢印イ方向(中間搬送経路FPにおける搬送方向に沿った上流側に相当)へと曲折することとなる。この結果、単純に90°真横に曲げて剥離材層151が引き剥がされる場合に比べ、剥離材層151を十分にかつ確実に引き剥がすことができる。
なお、引き剥がし部13の上記所定方向(矢印ア−イ方向)における位置を、さらに第3ロールR3の軸心O3よりも上記一方側(矢印ア側)としてもよい。この場合、上記引き剥がし部13での引き剥がし時に当該剥離材層151はさらに小さい角度で曲折することとなるので、剥離材層151をさらに確実に十分に引き剥がすことができる。
また、本実施形態では特に、既に述べたように、第1ロールR1は上記反時計回りに回転しつつ外周部から被印字粘着テープ150を繰り出す。一方、第3ロールR3は上記時計回りに回転しつつ、引き剥がし部13で引き剥がされた剥離材層151を、被印字粘着テープ150の搬送方向と略逆向きにロール外周部に迎え入れて巻き取る。これにより、前述のように鋭角で鋭く曲折してきた剥離材層151を、無理なく円滑に巻回することができる。また、図12(b)に示すように第3ロールR3が第1ロールR1と同方向(すなわち上述の反時計方向)に回転して剥離材層151をロール外周部に迎え入れる場合には、上記角度θを鋭角に保ちつつ第1ロールR1と第3ロールR3との干渉を回避するために、引き剥がし部13をより前方側に設ける必要があり、粘着テープカートリッジTKの大型化を招く。これに対して図12(a)に示す構成の場合には、上記を回避して引き剥がし部13を後方側の第1ロールR1により近づけて設置できるので、粘着テープカートリッジTKの小型化を図ることができる。但し、この粘着テープカートリッジTKの小型化に配慮しなくてもよい場合には、上記図12(b)のような構成としてもよい。
また、本実施形態では、カッター機構14において、前述したように、上記の可動刃支持部33aの支持態様により、可動刃32は、上向でかつ下り傾斜の刃先32aが、走行するにつれて下方から印字済み粘着テープ152,153を上方へめくりあげるようにしながら、最下層の粘着剤層152より上層へと切り込んでいく。その際、印字済み粘着テープ152,153の最上層ではなく最下層(すなわち刃先32a側)が粘着剤層152であることにより、上記切り込みによって印字済み粘着テープ152,153の上面(言い換えれば基材層153の上面)に押圧接触するガイド板31に粘着剤層が貼り付くのを防止することができる。この結果、ガイド板31と可動刃32とで上下方向から確実に印字済み粘着テープ152,153を狭持して安定させつつ可動刃32をテープ幅方向に進ませ、円滑かつ鋭利に切断を行うことができる。
また、本実施形態においては特に、ガイド板31に、走行体33による可動刃32の走行を案内するためのスリット31aを有している。これにより、印字済み粘着テープ152,153の切断時において、ガイド板31及び走行体33により支持された可動刃32を確実に円滑にテープ幅方向に走行させることができる。
また、本実施形態においては、筐体2の前方側に、上記閉じ位置と上記開き位置との間で回動可能な第2開閉カバー4が備えられている。上記閉じ位置では上記筐体2の前方側は第2開閉カバー4によって覆われる一方、上記開き位置では上記筐体2の前方側は露出する。そして、上記第2ロールR2は当該筐体2の前方側内部において巻芯部材45及び支持ブラケットRBを介し回転可能に支持されている。支持ブラケットRBは、上記第2開閉カバー4の閉じ方向側にある上記使用位置と上記第2開閉カバー4の開き方向側にある上記取り出し位置との間で回動可能に構成されている。この結果、上記第2開閉カバー4を閉じ位置から開き位置とすることにより筐体2の前方側が露出し(図17参照)、これによって第2ロールR2を支持する支持ブラケットRBを上記使用位置から上記取り出し位置へと回動させることができる(図16参照)。
このとき、支持ブラケットRBは、上記使用位置では第2ロールR2が着脱不能である(図17参照)とともに、上記取り出し位置では第2ロールR2が着脱可能となるように、構成されている(図16参照)。したがって、第2開閉カバー4が閉じ状態にあり筐体2の前方側が覆われているときには、支持ブラケットRBは上記使用位置にあって上記第2ロールR2は着脱不能な状態で回転する(図1、図2、図4等参照)。一方、第2開閉カバー4が閉じ状態から開き状態になり筐体2の前方側が露出したときには、支持ブラケットRBが上記使用位置から上記取り出し位置に回動することで第2ロールR2は上記露出した筐体2の前方側において着脱可能となる(図16、図5、図6に示す状態)。
上記により、本実施形態においては、前述のようにして印字済み粘着テープ152,153が巻回されて第2ロールR2が形成された後、ユーザが、適宜のタイミングで第2開閉カバー4を開いて上記のように支持ブラケットRBを取り出し位置へ回動させることで、巻回された第2ロールR2を円滑かつ簡単に取り出すことができる。また、新規に第2ロールR2を装着するときも、上記同様、第2開閉カバー4を開いて上記のように支持ブラケットRBを上記取り出し位置へ回動させることで、ユーザは、円滑かつ簡単に第2ロールR2を装着することができる。さらにその後、支持ブラケットRBを上記使用位置へ回動させ、ユーザが第2開閉カバー4を閉じることで、印刷準備が完了する。
以上のように、本実施形態においては、ユーザは、第2開閉カバー4を開いて筐体2の前方側内部を露出させ、さらに支持ブラケットRBを上記第2開閉カバー4の開き方向の上記取り出し位置へ回動させた状態で、第2ロールR2を支持ブラケットRBに対して着脱することができる。すなわち、ユーザは、第2ロールR2の着脱を第2開閉カバー4を閉じた状態の筐体2の内部空間でなく、当該空間外で行うことができる。これにより、ロール着脱のための手動操作スペースを筐体2の内部に確保する必要がなくなり、筐体2の小型化を図ることができる。したがって、本実施形態によれば、筐体2の大型化を防止しつつ、印字済み粘着テープ152,153を巻回した第2ロールR2の着脱を容易に行うことができる。
また、本実施形態においては特に、支持ブラケットRBを使用位置から取り出し位置へと回動させたとき、前述のようにして、第1ブラケットRB1と第2ブラケットRB2とを互いに相対的に離間させることができる(図18参照)。この結果、第2ロールR2を当該離間した第2ブラケットRB2と第1ブラケットRB1との間に対して着脱することができる。
また、本実施形態においては特に、支持ブラケットRBを取り出し位置から使用位置へと回動させることで、前述したように、第1ブラケットRB1の被駆動ギア及び回転部47aを介し、巻き取り用モータM3からの駆動力を第2ロールR2に伝達することができる。この結果、印字済み粘着テープ152,153の第2ロールR2への巻き取りを確実に行い、巻回することができる。
また、本実施形態においては特に、第2開閉カバー4の第1回動軸心K1と、支持ブラケットRBの第2回動軸心K2とが同一位置である。これにより、第2開閉カバー4が上記閉じ位置と上記開き位置との間で回動するときに第2開閉カバー4の各部が描く円弧軌跡と、支持ブラケットRBが上記使用位置と上記取り出し位置との間で回動するときに支持ブラケットRBの各部が描く円弧軌跡とが、互いに同一中心の軌跡となる。この結果、回動時において第2開閉カバー4と支持ブラケットRBとの干渉が起こりにくくすることができる。またそれら上記同一位置の軸心K1、K2において第2開閉カバー4と支持ブラケットRBとで共通の軸部材を使用することで、別々の軸部材を用いる場合に比べて構造を簡素化することができる。
また、本実施形態においては特に、第2ロールR2よりも後方側(すなわち搬送経路に沿った上流側)にカッター機構14が設けられており、前述したように、このカッター機構14が、印字形成され搬送されてきた印字済み粘着テープ152,153を切断する。これにより、所望のタイミングで印字済み粘着テープ152,153を切断することで、ユーザは、所望の長さの印字済み粘着テープ152,153を巻回した第2ロールR2を筐体2の前方側から取り出して取得することができる。
ここで、前述したようにして支持ブラケットRBを取り出し位置へ回動させて行う第2ロールR2の着脱は、上記印字済み粘着テープ152,153の巻回作業を新たに行う前に(すなわちテープ搬送が停止した状態で)行われる。すなわち、その切り替え時には、前回の上記巻回作業に切断されたテープ先端が、上記カッター機構14の位置で停止している状態である。これに対応して、本実施形態では、巻芯部材45に(詳細には例えば円筒部45cの外周面に)接続テープ片46の一端が接続されている。
そして、新規に第2ロールR2の巻回を行う場合には、ユーザは、上記巻芯部材45を支持ブラケットRBに装着し支持ブラケットRBを使用位置に回動させた後、上記接続テープ片46の他端(巻芯部材45への接続側と反対側の端部)に、上記のようにして切断されて生成された印字済み粘着テープ152,153の先端部を粘着接続させる。図17はこの接続テープ片46の接続状態を示している。これにより、当該粘着接続を行った後、第2開閉カバー4を閉じ位置に回動させて前述のようにして巻芯部材45を回転させることで、巻芯部材45(詳細には円筒部45c)の外周側に順次印字済み粘着テープ152,153を巻回させ、第2ロールR2を形成することができる。以上の結果、新規に第2ロールR2を生成する場合であっても、円滑かつ簡単に印字済み粘着テープ152,153を巻回させることができる。
また、本実施形態において備えられる図20(a)、図20(b)、及び図21に示す巻芯部材45では、上記のようにして導入壁部51から導入された印字済み粘着テープ152,153が順次内筒面54に巻回されていくとき、印字済み粘着テープ152,153の幅方向両端部の上記中間壁部52,52への接触による貼り付きが生じにくい。また、もし仮に貼り付きが生じたとしても、その後の上記巻芯部材45の回転によって当該導入壁部51への貼り付きを再び引き剥がし、正しく内筒面54へと導いて貼り付けることができる。この結果、前述のような粘着剤層152の貼り付きによる巻き取り困難等を生じることがなくなるので、印字済み粘着テープ152,153の巻き取り性能を向上し高精度かつ高い信頼性で巻き取りを行うことができる。この結果、確実に印字済み粘着テープ152,153を巻回して第2ロールR2を生成することができる。
また、本実施形態では特に、印字済み粘着テープ152,153を内筒面54に貼り付ける際、内筒面54に設けた凹溝55へと導入しつつ当該凹溝55の底面に貼り付ける。これにより、当該凹溝55への導入時においても印字済み粘着テープ152,153を幅方向に位置決めしガイドすることができるので、さらに高精度に巻き取りを行うことができる。
また、本実施形態では特に、上記導入壁部51、中間壁部52、内筒面54それぞれの上記軸方向寸法w1,w2,w3の大小関係が、w3(≒W)<w1かつw1<w2となっている。これにより、導入壁部51においては、寸法w1を用いてある程度の幅方向位置決め精度で確実に印字済み粘着テープ152,153を導入することができる。また、内筒面54においては、寸法w3を用いて高い位置決め精度で印字済み粘着テープ152,153を貼り付けることができる。
また、本実施形態の粘着テープカートリッジTKにおいては、前述のようにユーザが当該粘着テープカートリッジTKを取り扱うとき、上記印字済み粘着テープ152,153(特に先端及びその近傍)を上記離型処理部70やカバー部材71に粘着させることで、当該テープ先端やその近傍を前述したように誤って各箇所に付着するのを防止することができる。また、離型処理部70やカバー部材71には前述のように離型処理が施されていることから、例えば粘着テープ印刷装置1に粘着テープカートリッジTKを装着して印字処理を開始する等の場合には、ユーザは、容易に離型処理部70やカバー部材71から印字済み粘着テープ152,153を引き剥がした後、印字処理のための所定の態様にセットする(例えば前述の接続テープ片46の他端を貼り付ける、等)ことができる。以上の結果、本実施形態においては、粘着テープカートリッジTK全体の取り扱い性を向上し、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態においては特に、離型処理部70として、連結アーム21のうち対応する部位に離型処理領域が形成されているか、あるいは別部材としての離型処理部材が連結アーム21に設けられる。これにより、連結アーム21とは別個に、粘着のための新たな部材を用意しなくても、ユーザが印字済み粘着テープ152,153を剥離可能に粘着させることができる。
また、本実施形態においては特に、上記構成によるカバー部材71を備えていることにより、印字済み粘着テープ152,153の上記粘着剤層152が第3ロールR3に誤って付着するのを確実に防止することができる。
また、本実施形態においては特に、カバー部材71が上記構成の穴部72を備えている。これにより、カバー部材71にいったん粘着させた印字済み粘着テープ152,153を再度引き剥がしたいとき、ユーザは、穴部72からの指操作で容易に引き剥がしを行うことができる。この結果、さらにユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態においては、上述のようにして、ユーザは、自らの希望に応じて(第3ロールR3を機能させるかさせないかを設定しつつ)シュート15を切り替えることで、ロール状に巻回された印字済み粘着テープ152,153等を第2ロールR2として取得するか、若しくは、テープ状のままの印字済み粘着テープ150′を排出口12を介して取得するか、のいずれかを自在に選択することができる。この結果、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、シュート15を上方位置に切り替えた上記通常の搬送態様において、第3ロールR3を機能させることで、印字済み粘着テープ150′から剥離材層151を引き剥がし、第3ロールR3を形成することができる。この結果、廃棄することとなる剥離材層151の取り扱いが便利になり、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、シュート15が下方位置に切り替えられるとき、シュート15の先端位置がよりカッター機構14側に接近する側へと寄るように構成されている。これにより、前回の巻回作業(又は排出作業)時に切断されカッター機構14の位置で停止していたる印字済み粘着テープ152,153等のテープ先端が搬送されてきたとき、シュート15は、当該印字済み粘着テープ152,153等のテープ先端をより確実に捕捉することができる。この結果、当該印字済み粘着テープ152,153等を確実に排出口12へ導き、筐体2外に確実に排出することができる。
なお、以上においては、搬送対象のテープとして、粘着可能なテープである被印字粘着テープ150を用いて印字済み粘着テープ150′を形成する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、粘着性のない被印字テープを用いて、例えば広告リボン等、所望の印字を形成した印字テープを形成する場合に、上述の構成を適用してもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記各実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。