以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態に係わるテープ印刷装置の概略構成について説明する。
<筐体>
図1〜図4において、本実施形態のテープ印刷装置1(テープ処理装置、印刷装置に相当)は、装置外郭を構成する筐体2(装置筐体に相当)を有している。筐体2は、筐体本体2aと、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9と、を備えている。
筐体本体2a内には、後方側に設けられた第1収納部3と、前方側に設けられた第2収納部5及び第3収納部4と、が備えられている。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。なお、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bが、各請求項記載の開閉カバーに相当している。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図3も参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11を、筐体本体2aに設けられた搬送ローラ12に対して相対的に離反・近接可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接した閉じ位置(図1、図2の状態)から、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反した開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3及び図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第3収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第3収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第3収納部4の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
<被印字テープロール及びその周辺>
このとき、図2〜図4に示すように、筐体本体2aにおける、閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTK(図2参照)が着脱可能に装着される。このテープカートリッジTKは、軸心O1(第1軸線に相当)まわりに巻回形成された被印字テープロールR1(第1テープロールに相当)を備えている。
すなわち、テープカートリッジTKは、図5に示すように、被印字テープロールR1と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。
第1ブラケット部20,20は、上記被印字テープロールR1を、左右一対の略円形のロールフランジ部f1,f2を介して軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では被印字テープロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する(保持の詳細構造は後述)。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により被印字テープロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
被印字テープロールR1は、テープカートリッジTKが筐体本体2aの内部に装着された際には回転自在となる。被印字テープロールR1は、繰り出しにより消費される被印字テープ150(後述する被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151を備える。図2中拡大図参照)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回している。
第1収納部3には、上記テープカートリッジTKの装着によって、被印字テープロールR1が上方から受け入れられ、被印字テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、被印字テープロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字テープ150を繰り出す。
本実施形態では、粘着性を備えた被印字テープ150が用いられる場合を例示している。すなわち、被印字テープ150は、被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図2中の上方側)から他方側(図2中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図2中の部分拡大図参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
<搬送ローラ及び印字ヘッド>
図2〜図4に戻り、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第2収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12(搬送手段に相当)が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM1(駆動手段に相当)によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された被印字テープロールR1から繰り出される被印字テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持体10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持体10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150の被印字層154に対し、後述するインクリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済みテープ150′とする。
<インクリボンカートリッジ>
図2及び図3に示すように、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14(所定部位に相当)には、インクリボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。インクリボンカートリッジRKの詳細構造を図6に示す。
図6に示すように、インクリボンカートリッジRKは、カートリッジ筐体80と、未使用のインクリボンIBを繰り出し可能に巻回したリボン繰り出しロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。カートリッジ筐体80は、後方側の繰り出しロール収納部81と、前方側の巻き取りロール収納部82と、それら両収納部81,82を連結する連結部83と、を有している。連結部83は、リボン繰り出しロールR4から繰り出された上記インクリボンIBをカートリッジ筐体80外に露出させるようにしつつ、上記巻き取りロール収納部82と上記繰り出しロール収納部81とを連結する。
繰り出しロール収納部81は、略半円筒の上部81a(一方側部分)と、下部81bと、が組み合わされることにより構成されている。リボン繰り出しロールR4は、繰り出しロール収納部81内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
巻き取りロール収納部82は、略半円筒の上部82aと、下部82bと、が組み合わされることにより構成されている。リボン巻き取りロールR5は、巻き取りロール収納部82内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
すなわち、図2において、リボン繰り出しロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りロールR5に巻き取られる。
<剥離材ロール及びその周辺>
図5に示すように、テープカートリッジTKの連結アーム16は、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている。この引き剥がし部17は、被印字テープロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済みテープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。上記のようにして印字が形成された印字済みテープ150′は、図2に示すように、上記引き剥がし部17によって上記剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済み粘着テープ150″とに分離される。
テープカートリッジTKは、図2及び図5に示すように、上記引き剥がされた剥離材層151が軸心O3(第2軸線に相当)まわりに巻回されることで形成される、上記剥離材ロールR3(第2テープロールに相当)を有している。すなわち、上述したテープカートリッジTKの装着によって、剥離材ロールR3が上方から上記第2収納部5に受け入れられ、剥離材層巻回用の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、剥離材ロールR3は、第2収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2aの内装基板2bに設けられた剥離紙巻取用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第2収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
このとき、図5に示すように、テープカートリッジTKの上記第2ブラケット部21,21は、上記剥離材ロールR3を、左右一対の略円形のロールフランジ部f3,f4を介して軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では剥離材ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する(保持構造の詳細については後述)。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
なお、図5中では、軸心O3まわりに剥離材層151が巻回され剥離材ロールR3が形成される前の状態(未使用のテープカートリッジTKである場合)を示している。すなわち、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形の上記ロールフランジ部f3,f4を図示するとともに、便宜的に剥離材ロールR3が形成される箇所に符号「R3」を付している。
<印字済みテープロール及びその周辺>
一方、図2及び図4に示すように、上記第3収納部4には、上記印字済み粘着テープ150″を順次巻回するための、巻き取り機構40が上方から受け入れられる。巻き取り機構40は、印字済み粘着テープ150″の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第3収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内部に設けられた粘着巻き取り用モータM2により不図示のギア機構を介して駆動され、第3収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済み粘着テープ150″を巻き取って積層する。これにより、巻き取り機構40の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻回されて、印字済みテープロールR2が形成される。
<カッター機構30>
また、図2に示すように、テープ搬送方向に沿って印字ヘッド11の下流側でかつ印字済みテープロールR2の上流側に、カッター機構30が設けられている。
カッター機構30は、詳細な図示を省略するが、可動刃と、可動刃を支持しテープ幅方向(言い替えれば左右方向)に走行可能な走行体とを有している。そして、カッターモータ(図示せず)の駆動により走行体が走行し可動刃がテープ幅方向に移動することで、上記印字済みテープ150″を幅方向に切断する。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、上記構成のテープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、上記第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に被印字テープロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部5に剥離材ロールR3を形成する軸心O3側が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部4には、印字済みテープロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された被印字テープロールR1の回転により繰り出される被印字テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字テープ150の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済みテープ150′となる。印字形成された印字済みテープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済み粘着テープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第2収納部5へ導入され、当該第2収納部5内において巻回されて剥離材ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第3収納部4へ導入され、当該第3収納部4内の巻き取り機構40の外周側に巻回されて印字済みテープロールR2が形成される。その際、搬送方向下流側(すなわち前方側)に設けられたカッター機構30が印字済み粘着テープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、印字済みテープロールR2に巻回されていく印字済み粘着テープ150″を切断し、切断後は印字済みテープロールR2を第3収納部4から取り出すことができる。
なおこのとき、図示による説明を省略するが、被印字テープロールR1に、非粘着テープ(上記粘着剤層152及び剥離材層151のないもの)が巻回されていても良い。この場合においても、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、非粘着テープが巻回された被印字テープロールR1が上方から受け入れられ、非粘着テープの巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、被印字テープロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、非粘着テープを繰り出す。
またこのとき、上記非粘着テープ(又は上記被印字テープ150でもよい)の搬送経路を、印字済みテープロールR2へ向かう側と排出口(図示省略)へ向かう側との相互間で切り替える、シュート15(図2参照)が配されていても良い。すなわち、切替レバー(図示省略)によるシュート15の切替操作でテープ経路を切り替えることで、印字形成後の非粘着テープ(又は印字済みテープ150′)を後述のように第3収納部4内において巻回することなく、筐体2の例えば第2開閉カバー8b側に設けた排出口(図示省略)から、そのまま筐体2外部へ排出するようにしても良い。
<ロールの軸心近傍における詳細構造>
本実施形態の特徴の1つは、上記テープカートリッジTKに備えられた被印字テープロールR1及び剥離材ロールR3の軸心O1,O3近傍における詳細構造にある。以下、その詳細について、順を追って説明する。
<被印字テープロールの支持構造詳細>
上記図5と、図7及び図8に示すように、被印字テープロールR1(第1テープロール及びテープロールに相当)は、巻芯103(第1巻芯に相当)を備えている。すなわち、巻芯103の外周に上記被印字テープ150が繰り出し可能に巻回される(=ロール状巻回体RRを構成する)ことで、上記被印字テープロールR1(テープロールに相当)が構成される。
巻芯103は、左右一対の左固定軸部106L及び右固定軸部106Rが互いに直結されてなる、固定軸部材106(第1固定軸部材に相当)によって回転可能に支持されている。すなわち、巻芯103は、外筒103Aと内筒103Bとの二重管構造となっている。そして、左固定軸部106Lの右端側に位置する短筒部115aが、内筒103Bの左側から摺動自在に挿入される。このとき、短筒部115aの外径よりも大きな内径を備えた貫通孔20L(図8に概略的に示す)が左側の上記第1ブラケット部20に設けられている。そして、短筒部115aは、当該貫通孔20Lを貫通しつつ、第1ブラケット部20を介し反対側(つまり右側)に位置する上記巻芯103の内筒103Bへと挿入される。
同様に、右固定軸部106Rの左端側に位置する長筒部115bが、内筒103Bの右側から摺動自在に挿入される。このとき、長筒部115bの外径よりも大きな内径を備えた貫通孔20R(図8に概略的に示す)が右側の上記第1ブラケット部20に設けられている。そして、長筒部115bは、当該貫通孔20Rを貫通しつつ、第1ブラケット部20を介し反対側(つまり左側)に位置する上記巻芯103の内筒103Bへと挿入される。
その後、左固定軸部106Lに周方向複数箇所に設けられた係止孔111aそれぞれに、右固定軸部106Rの各係止片111bが係合することで、左・右固定軸部106L,106R同士が連結され一体化される。これにより、巻芯103は、左右一対の第1ブラケット部20,20の間において、左・右固定軸部106L,106Rからなる固定軸部材106を固定中心軸としつつ、そのまわりに摺動回転可能となる。
このとき、外筒103Aの表面には、軸方向に沿って複数個の係止孔103aが形成されている。一方、ロールフランジ部f1,f2の中心側には、円形開口部fbが設けられている。円形開口部gbの内周縁には、係止突起faが形成されている。そして、ロールフランジ部f1,f2の各係止突起faを、外筒103Aのいずれかの係止孔103aに嵌合させることで、ロールフランジ部f1,f2を、被印字テープロールR1を構成する被印字テープ150の幅に対応した位置に固定することができる(後述の図15も参照)。
以上のように、上記固定軸部材106を構成する左・右固定軸部106L,106Rは、上記のように貫通孔20L,20Rに対し短筒部115a及び長筒部115bが(遊び寸法を介して)挿入されている。しかしながら、それら左・右固定軸部106L,106Rは、それぞれに備えられた位置決めフランジ部105L,105Rによって、第1ブラケット部20,20に対しては回転不能に係合している。すなわち、各第1ブラケット部20は、図5及び図7に示すように、上・下2つの円弧部104b,104b及び前・後2つの直線部104a,104aを含み全体的には略長円形(小判型)の形状を備えた第1ガイド部104を、下端部近傍に有している。一方、上記位置決めフランジ部105L,105Rは、上下方向(言い替えれば自重作用方向)に沿うように前・後2つ形成された直線状の外縁部105a,105aを含む、全体的に(第1ガイド部104よりやや小さい)略小判型の形状を備えている。そして、上述のようにして貫通孔20Lに対し短筒部115aが挿入される際には、位置決めフランジ部105Lは左の第1ブラケット部20の上記第1ガイド部104に対し、上記外縁部105a,105aを上記直線部104a,104aに略沿わせるようにしつつ収納される。同様に、貫通孔20Rに対し長筒部115bが挿入される際には、位置決めフランジ部105R(各請求項記載のフランジ部に相当)は右の第1ブラケット部20の上記第1ガイド部104に対し、上記外縁部105a,105aを上記直線部104a,104aに略沿わせるようにしつつ収納される。これらの結果、左・右の位置決めフランジ部105L,105Rが第1ガイド部104,104に収納された状態において、左・右固定軸部106L,106Rは左・右第1ブラケット部20,20に対して回転不能に係合する。なお、このような第1ガイド部104への位置決めフランジ部105L,105Rの係合により、図8に示す全構成要素(固定軸部材106、被印字テープロールR1、左・右ロールフランジ部f1,f2からなる軸付きロール機構RM)の設置向きの位置決めが行われる(位置決めの詳細については後述)。
以上の構成により、ロールフランジ部f1,f2及び巻芯103が一体となって、左右一対の第1ブラケット部20,20の間において、当該第1ブラケット部20に係止された固定軸部材106に対し回転することができる。これによって、被印字テープロールR1が、第1ブラケット部20,20に対し、上記軸心O1を中心に回転自在に支持されることとなり、回転することで被印字テープ150を繰り出すことができる。
<左固定軸部の軸端に内蔵されたメモリ>
本実施形態の特徴の1つとして、上記固定軸部材106を構成する左固定軸部106Lに、記憶媒体としてのメモリ107が設けられる。以下、その詳細を順を追って説明する。
図9(a)〜(d)及び上記図8、図7等に示すように、上記左固定軸部106Lは、位置決めフランジ部105Lを挟んで上記短筒部115aと反対側(すなわち左側)に軸端筐体部121を備えている。軸端筐体部121は、軸方向から見て横向きの略D字状となる外形状を備えている。この軸端筐体部121の内部に、上記メモリ107が内蔵されている。
また、軸端筐体部121のうち上記D字状の下方の直線部分に設けられた開口面(言い替えれば被印字テープロールR1の自重作用方向の自重作用面)に、表面に露出するように端子部107aが設けられている(図9(d)及び図7参照)。
端子部107aは、上記メモリ107に導通している。そして、後述のようにしてテープカートリッジTKが筐体本体2a内に装着されたとき(言い替えれば後述の第1ブラケット部20の第1ガイド部104が後述の第1導入溝101に挿入されたとき)に、筐体本体2aの左側壁面の内周側部位(詳細は後述)に設けた外部端子207(図4に概念的に位置のみを示す。後述の図14も参照)に上方から接触し、導通される。これにより、この端子部107aに接続して設けられた上記メモリ107に対し、筐体2側から情報読み取りや情報書き込みを行うことができる。
なお、以上は、被印字テープロールR1と剥離材ロールR3とを備えたテープカートリッジTKにおいて、被印字テープロールR1を回転可能に支持する固定軸部材106にメモリ107が設けられた例であったが、これに限られない。すなわち、図10(前述と同様の部分には同一の符号を付している)に示されるように、ロールフランジ部f1,f2と、巻芯103(図示省略)まわりに構成された被印字テープロールR1とが、固定軸部材106に対し回転する軸付きロール機構RMにおいて、当該固定軸部材106に対しメモリ107を設けても良い。この場合、軸付きロール機構RMの全体が、固定軸部材106の左・右の位置決めフランジ部105L及び位置決めフランジ部105R(図示省略)によって、適宜の固定対象部位に取り付けられて(例えば取り外し可能に)固定される。そして、その固定時に、当該固定対象部位に設けた外部端子207に上記端子部107aが接触して導通される。これにより、この端子部107aに接続して設けられた上記メモリ107に対し、軸付きロール機構RMの外部から情報読み取りや情報書き込みを行うことができる。
<剥離材ロールの軸心近傍詳細構造>
図5及び図7に戻り、一方、剥離材ロールR3(第2テープロールに相当)についても、詳細な図示は省略するが、上記被印字テープロールR1と同様の支持構造である。すなわち、剥離材ロールR3は巻芯108(第2巻芯に相当)を備えており、巻芯108の外周に上記のようにして引き剥がされた剥離材層151が巻き取られて巻回される(=ロール状巻回体を構成する)ことで、上記剥離材ロールR3(テープロールに相当)が構成される。
巻芯108は、固定軸部材110(第2固定軸部材に相当)によって回転可能に支持されている。巻芯108は、上記巻芯103と同様、外筒と内筒との二重管構造となっている。このとき、上記外筒の外径よりも大きな内径を備えた貫通孔(図示せず)が左・右の上記第2ブラケット部21,21にそれぞれ設けられている。そして、固定軸部材110の軸本体部(上記短筒部115a及び長筒部115bに相当する部分。図示せず)が、当該貫通孔を貫通しつつ、上記巻芯108の内筒へと摺動自在に挿入される。これにより、巻芯108は、左右一対の第2ブラケット部21,21の間において、上記固定軸部材110を固定中心軸としつつ、そのまわりに摺動回転可能となる。
このとき、上記巻芯108の外筒の表面には、上記巻芯103の係止孔103aと同様、軸方向に沿って複数個の係止孔が形成されている。一方、ロールフランジ部f3,f4の中心側には、上記ロールフランジ部f1,f2の係止突起faと同様の係止突起(図示せず)が形成されている。そして、ロールフランジ部f3,f4の上記各係止突起を、上記巻芯108の外筒のいずれかの上記係止孔に嵌合させることで、ロールフランジ部f3,f4を、剥離材ロールR3を構成する剥離材層151の幅(言い替えれば被印字テープ150の幅)に対応した位置に固定することができる。
以上の構成により、ロールフランジ部f3,f4及び巻芯108が一体となって、左右一対の第2ブラケット部21,21の間において、固定軸部材110に対し回転することができる。これによって、剥離材ロールR3が、第2ブラケット部21,21に対し、上記軸心O3を中心に回転自在に支持される。このとき、固定軸部材110は、ギア機構(図示省略)を介して剥離紙巻取用モータM3に作動連結されており、当該剥離紙巻取用モータM3からの駆動力で回転することで、上記被印字テープ150から引き剥がされた上記剥離材層151を巻き取ることができる。
<第1及び第2ガイド部による装着時ガイド>
本実施形態の他の特徴は、ユーザによって上記テープカートリッジTKが上記筐体本体2a内に装着される際、テープカートリッジTKが正しい姿勢において装着されるようにガイドする構成にある。以下、その詳細について、順を追って説明する。
<第1ガイド部及び第1導入溝>
既に述べたように、各第1ブラケット部20は、上記第1ガイド部104を下端部近傍に有している。第1ガイド部104は、図5及び図7に示したように、上・下2つの円弧部104b,104bと、前・後2つの略上下方向の直線部104a,104aと、を含んでおり、全体的には略長円形(小判型)の形状を備えている。そして、これに対応して、図4に示すように、筐体本体2aの第1収納部3の内部に、略U字型の第1導入溝101が備えられている。第1導入溝101は、上記第1ガイド部104を進入方向を制約しつつ進入させる平行直線部101b,101bを備えている(詳細は後述)。これにより、第1ガイド部104によって、被印字テープロールR1の第1収納部3への収納がガイドされる(詳細は後述)。
<第2ガイド部及び第2導入溝>
一方、各第2ブラケット部21は、図5及び図9に示すように、略円形枠状の第2ガイド部109を、下端部近傍に有している。そしてこれに対応して、図4に示すように、筐体本体2aの第2収納部5の内部に、略逆ハの字型の第2導入溝102が備えられている。第2導入溝102は、上記第2ガイド部109を進入させる。これにより、第2ガイド部109によって、剥離材ロールR3の第2収納部5への収納がガイドされる(詳細は後述)。
<ガイド機能の詳細>
次に、テープカートリッジTKの装着時における、上記第1ガイド部104及び第2ガイド部109によるガイド機能の詳細について、図11及び図12を用いて説明する。
既に述べたように、ユーザによりテープカートリッジTKが装着される際には、上記被印字テープロールR1が第1収納部3に収納されるとともに、剥離材ロールR3が第2収納部5へ収納される。その際、通常、被印字テープロールR1側のほうが剥離材ロールR3側よりも重い(特に未使用の場合は剥離材ロールR3は形成されていない)ことから、まず、第1ガイド部104が第1導入溝101に導入される。すなわち、図11に示すように、軽い剥離材ロールR3側が若干上向きに傾斜した状態で先に第1ガイド部104が第1導入溝101に導入される。このとき、第1ガイド部104の長軸方向(すなわち上記直線部104a,104aの方向)が上記略U字型の第1導入溝101の平行直線部101b,101bの方向と一致しない間は、第1ガイド部104が第1導入溝101の入口部101aに載置された進入制約状態となり、第1ガイド部104を第1導入溝101に進入させない(図11の状態)。
この進入制約状態では、第1ガイド部104が第1導入溝101の入口部101aに載置された状態で、テープカートリッジTKが種々の姿勢をとることができる。この場合には、図11に示すように、テープカートリッジTKの姿勢の変化に伴い、剥離材ロールR3の外形は、概ね、第1導入溝101の入口部101a分近傍を中心とする円弧状の軌跡Cを描く。
そして、このテープカートリッジTKの姿勢変化に伴って上記のような軌跡Cを描く剥離材ロールR3が、搬送ローラ12を乗り越えて当該搬送ローラ12と干渉しなくなった後に、上記進入制約状態から図12に示す進入許容状態へ切り替わる。すなわち、この進入許容状態では、第1ガイド部104の長軸方向(すなわち上記直線部104a,104aの方向)が上記略U字型の第1導入溝101の平行直線部101b,101bの方向と一致する。この結果、第1ガイド部104を第1導入溝101に進入させることができる。なお、上記の左・右の第1ガイド部104,104の左・右の第1導入溝101,101への進入が完了した後は、上記固定軸部材106は筐体本体2aの上記左・右第1導入溝101,101のさらに左・右外方となる位置に設けた、左・右の支持凹部190,190(図4に右側の支持凹部190のみ図示。各請求項記載の固定対象部位に相当)に挿入され、(後に取り外し可能に)固定される。この結果、固定軸部材106に加わる被印字テープロールR1の重量が、主として当該左・右支持凹部190,190によって支持されることとなる。なお、上述した外部端子207は上記左側の支持凹部190に設けられている。
なお、上記第1ガイド部104の第1導入溝101への進入の際、上記第2導入溝102によって第2ガイド部109がガイドされて進入する。このとき、テープカートリッジTKの上記第2ガイド部109が略円形の形状を備えるとともに、第2収納部5の上記第2導入溝102が略逆ハの字型の形状を備えている。したがって、(テープカートリッジTKがどのような姿勢となっていても)上記第2ガイド部109を容易に進入させることができる。
<エンコーダによる被印字テープロールのテープ残量検出>
次に、本実施形態のさらに他の特徴である、被印字テープロールR1における被印字テープ150の残量検出について、図13等を用いて説明する。図13に示すように、上記巻芯103を構成する上記内筒103Bの外周面に、被印字テープ150の残量(言い替えれば消費量)を検出するための凸部100bが、周方向に沿って等間隔に形成されている。各被検出凸部100bの間には凹部100aが設けられている。なお、これら凸部100b及び凹部100aが、光学検出用の被検出識別子に相当している。
なお、前述したように、巻芯103が左右一対の第1ブラケット部20,20の間において固定軸部材106のまわりに摺動可能に支持されるとき、上記外筒103Aの右端部は右側の第1ブラケット部20の上記貫通孔20Rを貫通しないが、内筒103Bの右端部(上記凸部100b及び凹部100aを含む)は当該貫通孔20Rを貫通し、右側の第1ブラケット部20よりもさらに右側の外方へと露出する。この結果、右側の第1ブラケット部20が上記凸部100b及び凹部100aの径方向外周側を覆うと共に、右固定軸部106Rの上記位置決めフランジ部105Rが、上記凸部100b及び凹部100aの軸方向一方側(この例では右側)を覆うことになる。
このとき、前述の図3に示したように、上記に対応して、第1収納部3の右側内部側壁に、公知の手法により光学的検出を行うエンコーダ100(検出手段に相当)が設けられている。例えば、このエンコーダ100は、投光器と受光器とを備えている。上記のようにしてテープカートリッジTKが装着されると、上記エンコーダ100の位置が、上記軸心O1方向に沿って前述の右側の位置決めフランジ部105Rと対向する位置となる。このとき、この位置決めフランジ部105Rのエンコーダ100と反対側(左側)に、上記巻芯103の凸部100b及び凹部100aが位置している。そして、位置決めフランジ部105Rには、エンコーダ検出用の検出孔105cが形成されている(図8参照)。これにより、上記投光器からの光を、検出孔105cを通過させつつ上記軸心O1方向に沿って凸部100b又は凹部100aへと当てることができる。
巻芯103の内筒103Bの回転状態に応じ、上記投光器からの光の光線(例えば上記軸心O1と平行)上に上記凸部100bが位置した場合には、当該光は凸部100bにおいて反射し、逆向きに再び検出孔105cを通過して出射し、受光器において受光される。この結果、受光器から上記受光に対応した所定の検出信号が出力される。一方、上記投光器からの光の光線上に上記凹部100aが位置した場合には、上記のような受光器での受光は起こらない(あるいは極めて受光量が小さい)。この結果、受光器から上記受光に対応した検出信号は出力されない。以上により、巻芯103の回転(言い替えれば被印字テープロールR1の回転)によって上記凹部100a及び凸部100bが交互に上記光線上に到来する結果、受光器からの検出信号のON・OFFが上記回転速度に対応した周期によって繰り返される。これにより、当該周期の長短に基づき、上記被印字テープロールR1の回転速度を検出することができる。
そして、テープカートリッジTKの使用時において、被印字テープロールR1から被印字テープ150が繰り出されて消費されるにつれて、被印字テープロールR1の径が小さくなり、この結果、同一のテープ繰り出し速度であってもロール回転速度、言い換えれば巻芯103の内筒103Bの回転速度が速くなる。これにより、(公知の手法であるため詳細な説明を省略するが)上記のようにしてエンコーダ100の検出結果に基づき巻芯103すなわち被印字テープロールR1の回転速度を算出することで、上記のような被印字テープロールR1の小径化の度合い、すなわちテープ残量を算出することができる。
なお、以上の結果、凹部100a及び凸部100bは、上記メモリ107が設けられる固定軸部材106の左固定軸部106Lとは反対側となる、巻芯103の右側に設けられることとなる。
<制御系>
次に、図14を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図9において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。
また、CPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記印字済みテープロールR2を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記剥離材ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、適宜の表示を行う表示部215と、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部216と、に接続されている。
また、本実施形態では、CPU212には、上記エンコーダ100が接続されている。これにより、前述したように、エンコーダ100の受光器からの検出信号がCPU212に入力され、当該検出信号のON・OFFの周期(巻芯103の回転速度に対応)に基づき、上記巻芯103の回転速度がCPU212によって検出される。
さらに、本実施形態では、CPU212には、上記外部端子207が接続されている。これにより、前述のようにして、外部端子207が端子部107aと接触して導通したとき、上記メモリ107に対して情報読み取りや情報書き込みを行うことができる。
ROM214には、所定の制御処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。RAM213には、例えば不図示のPCから受信した画像データ形式の印刷データを、上記被印字層154の所定の印字領域に印字するためのドットパターンデータに展開して記憶する、イメージバッファ213aが備えられている。CPU212は、ROM214に記憶された適宜の制御プログラムによって、搬送ローラ12により凹凸テープ153を繰り出しつつ、イメージバッファ213aに記憶された印刷データに従って、印字ヘッド制御回路221を介し印字ヘッド11により当該印刷データに対応した印刷を行う。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態においては、被印字テープロールR1を巻回する巻芯103が、固定軸部材106によって回転可能に支持される。この結果、前述したように、テープカートリッジTKの装着時において、回転体である被印字テープロールR1の自重は、主に上記固定軸部材106(左固定軸部106L及び右固定軸部106R)に加わる。そして、前述したメモリ107は、端子部107aとともに当該左固定軸部106Lに設けられる。これにより、メモリ107及び端子部107aを自重があまり加わらない他の部位に設ける場合に比べ、上記外部端子207と端子部107aとの接触を安定的かつ確実に行うことができる。これにより、前述したメモリ107への上記情報読み取り又は情報書き込みを高い信頼性で実行することができる。
また、本実施形態においては特に、端子部107aは、軸端筐体部121のうち、被印字テープロールR1の自重作用面に設けられている。これにより、端子部107aに対し自重を確実に作用させることができ、さらに確実に外部端子207と端子部107aとの接触を行うことができる。
また、本実施形態においては特に、位置決めフランジ部105L,105Rのそれぞれが、上記自重の作用方向(上下方向)に沿った直線形状の外縁部105a,105aを備えている。これにより、上記左固定軸部106Lが上記支持凹部190に固定される際に、端子部107aと外部端子207とが接触する方向に沿って確実に自重が作用するように、被印字テープロールR1を含む軸付きロール機構RM(図8参照)全体の設置向きの位置決めを行うことができる。
また、本実施形態においては、第1ブラケット部20の第1ガイド部104が前・後2つの略上下方向の直線部104a,104aを備えた、は略長円形(小判型)の形状を備えている。また、筐体本体2aに平行直線部101b,101bを備えた略U字型の第1導入溝101が設けられている。そして、ユーザによって上記テープカートリッジTKが上記筐体本体2a内に装着される際には、第1ガイド部104の上記直線部104a,104aの方向が上記略U字型の第1導入溝101の平行直線部101b,101bの方向と一致しない間は、第1ガイド部104を第1導入溝101に進入させない。テープカートリッジTKの姿勢が変化し、上記直線部104a,104aの方向が上記平行直線部101b,101bの方向と一致したら、第1ガイド部104を第1導入溝101に進入させる。これにより、テープカートリッジTKが予め定めた所定の姿勢となったときにのみ、第1収納部3への被印字テープロールR1の収納と第2収納部5への剥離材ロールR3の収納とを実行することができる。この結果、テープカートリッジTKがユーザによって不適正な姿勢でテープ印刷装置1に装着されるのを未然に防止できるので、装着時の衝突や干渉によるテープカートリッジTK又はテープ印刷装置1側の耐久性の低下等を防止することができる。
また、本実施形態においては、被印字テープ150の残量(言い換えれば消費量)を検出するために、上記光学的な検出の対象となる被検出識別子としての上記凸部100b及び凹部100aが、被印字テープロールR1のうち、例えばロール本体(ロール状巻回体RR)やロールフランジ部f1,f2等ではなく、巻芯103に形成されている。これには以下のような意義がある。
すなわち、上記被印字テープ150の幅寸法について、広狭複数種類を用いたいというニーズが生じる場合がある。本実施形態ではこのようなニーズに対応可能な構成となっている。例えば、幅広な被印字テープ150が使用される場合には、図15(a)に示すように、ロールフランジ部f1,f2の上記各係止突起faを、外筒103Aの最大幅に対応する係止孔103aの位置にそれぞれ嵌合させて、それらロールフランジ部f1,f2の間に被印字テープ150を巻回して被印字テープロールR1を構築すればよい。
逆に、幅狭な被印字テープ150が使用される場合には、図15(b)に示すように、ロールフランジ部f1,f2の上記各係止突起faを、外筒103Aの最小幅に対応する係止孔103aの位置にそれぞれ嵌合させて、それらロールフランジ部f1,f2の間に被印字テープ150を巻回して被印字テープロールR1を構築すればよい。このように被印字テープロールR1の幅員に応じて巻芯103に対するロールフランジ部f1,f2の取り付け位置を適宜選択することで、上記のニーズに対応することができる。
ここで、仮に上記のようにロール本体やフランジ等に被検出識別子を設ける構造とした場合、被印字テープロールR1の軸方向一方側から(上述の例では右方から)エンコーダ100によって上記光学的な検出を行う際に、エンコーダ100から被検出識別子までの距離が、上記被印字テープ150のテープ幅が広いか狭いかによって変動する。この結果、検出精度が一定とならず、高い検出精度を確保するのが困難となるおそれがある。
これに対し、本実施形態においては、上記のように巻芯103の内筒103Bに被検出識別子としての上記凸部100b及び凹部100aが設けられる。これにより、広狭複数種類の幅のテープが被印字テープロールR1で用いられる場合であっても、(巻芯103を全ロールで共通化しておけば)エンコーダ100から上記巻芯103の上記凸部100b及び凹部100aまでの距離xを一定とすることができる(図15(a)及び図15(b)参照)。この結果、上記と異なり、検出精度を一定とすることができるので、被印字テープ150の残量検出を安定的にかつ高精度に行うことができる。
また、このとき、本実施形態では、上述したように、右側の第1ブラケット部20が上記凸部100b及び凹部100aの径方向外周側を覆うと共に、右固定軸部106Rの位置決めフランジ部105Rが上記凸部100b及び凹部100aの右側を覆う。これにより、上記のように位置決めフランジ部105Rの検出孔105cによって上記光学的検出の妨げにはならないようにしつつ、上記凸部100b及び凹部100aの防塵・防汚を図ることができる。したがって、これによっても上記残量検出の高精度化を図ることができる。
また、本実施形態においては特に、固定軸部材106に上記メモリ107が設けられる。これにより、テープカートリッジTKが上記テープ印刷装置1へ着脱を繰り返しつつ用いられる場合であっても、常に被印字テープロールR1のテープ残量情報をメモリ107によってテープカートリッジTK自体が保持することができる。この結果、当該メモリ107に保持したテープ残量情報を上記のようにCPU212が読み取ることで、正確な被印字テープ150のテープ残量を確実に得ることができる。また、上記メモリ107が、固定軸部材106のうち上記凸部100b及び凹部100aによる検出が行われる側(この例では右側)とは反対側の左固定軸部106Lに設けられる。これにより、テープ印刷装置1内において、上記凸部100b及び凹部100aに対する検出を行うエンコーダ100と、上記メモリ107に対し情報読み取り・書き込みを行う上記外部端子207(読み書き手段に相当)とを、片側に集中することなく上記2つの側に振り分けすることができるので、レイアウトの自由度を確保することができる。
なお、以上においては、本発明を、被印字テープ150に対し印字を行うテープ印刷装置1に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、テープに対し印字以外の処理を行うテープ処理装置に適用することも可能である。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上において、図14に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。