以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<粘着テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図6を参照しつつ、本実施形態の粘着テープ印刷装置(テープ印刷装置)の概略構成について説明する。
図1〜図6において、本実施形態の粘着テープ印刷装置1は、装置外郭を構成する筐体2と、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9とを有している。
筐体2は、筐体本体2aと、筐体本体2aの後方側に設けられた第1収納部3(収納部)と、筐体本体2aの前方側に設けられた第2収納部4及び第3収納部5とを備えている。なお、これら第1収納部3、第2収納部4、及び第3収納部5については、後でより詳しく説明する。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1〜図3の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図4、図5の状態)までの間で回動可能である。このとき、第1開閉カバー8aの回動軸心K1は、前後方向における位置が第1収納部3に収納された後述する第1ロールR1(被印字テープロール)のロール中心ROよりも後方側にあり、上下方向における位置が当該ロール中心ROよりも上方側にある。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図4参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた後述する印字ヘッド11を、筐体本体2aに設けられた後述する搬送ローラ12に対して相対的に離反・近接可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接した閉じ位置(図2の状態)から、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反した開き位置(図6の状態)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3〜図5の状態)までの間で回動可能である。このとき、第2開閉カバー8bの回動軸心K2は、前後方向における位置が上記第1開閉カバー8aの回動軸心K1よりもさらに後方側にあり、上下方向における位置が当該回動軸心K1よりもさらに上方側にある。なお、第2開閉カバー8bの回動軸心K2の上下方向における位置を、上記第1開閉カバー8aの回動軸心K1と同一としてもよい。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第2収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第2収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1〜図4の状態)から、第2収納部4の上方を露出させる開き位置(図5の状態)までの間で回動可能である。
このとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、粘着テープカートリッジTK(テープカートリッジ)が着脱可能に装着される。粘着テープカートリッジTKは、第1ロールR1と、第3ロールR3(剥離材ロール)と、第1ロールR1及び第3ロールR3を連結する連結アーム16(ロール保持体)とを備えている。
第1ロールR1は、連結アーム16により粘着テープカートリッジTKの後方側において支持されており、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された際には回転自在となる。第1ロールR1は、繰り出しにより消費される被印字粘着テープ150(被印字テープ)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回されている。このとき、第1収納部3には、粘着テープカートリッジTKの装着によって、第1ロールR1が上方から受け入れられ、被印字粘着テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(粘着テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字粘着テープ150を繰り出す。被印字粘着テープ150は、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図2中の部分拡大図中の上方側)から他方側(図2中の部分拡大図中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。基材層153は、後述する印字ヘッド11によって所望の印字が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
また、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第3収納部5の中間上方側には、搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aに設けられた搬送用モータM1によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された第1ロールR1から繰り出される被印字粘着テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられたヘッド保持部10には、印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字粘着テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字粘着テープ150の基材層153に対し、後述するリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済み粘着テープ150′(印字済みテープ)とする。
またこのとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつ粘着テープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、リボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。リボンカートリッジRKは、リボン供給ロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。
リボン供給ロールR4は、リボンカートリッジRKの後方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
リボン巻き取りロールR5は、リボンカートリッジRKの前方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
また、第1開閉カバー8aにおけるテープ搬送方向に沿った印字ヘッド11の下流側には、リボン巻き取りローラ15が備えられている。リボン巻き取りローラ15は、使用済みのインクリボンIBを、リボン巻き取りロールR5へガイドする。
すなわち、リボン供給ロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字粘着テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字粘着テープ150の基材層153に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りローラ15によりガイドされつつリボン巻き取りロールR5に巻き取られる。
連結アーム16は、テープ搬送方向に沿った第3ロールR3の上流側に、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている。引き剥がし部17は、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済み粘着テープ150′(印字済みテープ)から、剥離材層151を引き剥がす部位である。引き剥がし部17により印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の基材層153及び粘着剤層152からなる印字済み粘着テープ150″とに分離される。そして、引き剥がされた剥離材層151が巻き取られ巻回されることで、上記第3ロールR3が形成される。また、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″が後述する巻芯部材40の外周側に巻回されることで、後述する第2ロールR2(印字済みテープロール)が形成される。
第3ロールR3は、連結アーム16により粘着テープカートリッジTKの前方側(つまり、テープ搬送方向に沿った第1ロールR1の下流側)において支持されている。粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3が回転自在となり、印字済み粘着テープ150′から引き剥がされた剥離材層151を、左右方向の軸心O3(軸線)まわりに巻回する。このとき、第3収納部5には、粘着テープカートリッジTKの装着によって、第3ロールR3が上方から受け入れられ、剥離材層151の巻回の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、第3ロールR3は、第3収納部5に収納された状態(粘着テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2aに設けられた剥離紙巻き取り用モータM3(第2巻取用モータ)によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第3収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。なお、上記以外の連結アーム16の構成及び第1ロールR1と第3ロールR3の支持構成については、後でより詳しく説明する。
また、第2収納部4には、印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を順次巻回するための巻芯部材40が上方から受け入れられ、印字済み粘着テープ150″の巻回の軸心O2(軸線)が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻芯部材40が、第2収納部4に収納された状態において、筐体本体2aに設けられた粘着巻き取り用モータM2(第1巻取用モータ)によりギア機構を介して駆動され、第2収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済み粘着テープ150″を巻き取って積層する。これにより、巻芯部材40の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻回されて、第2ロールR2が形成される。また、前方側開閉カバー9の内面には、所定の付勢部材を介して第2ロールR2の外周面に向かう方向に支持された押さえローラ37(テープ押さえ部材)が設けられている。第2ロールR2の外径が十分に大きい場合には、押さえローラ37の先端が第2ロールR2の外周面に付勢して接触する。なお、上記巻芯部材40及び軸心O2周辺の構成については、後でより詳しく説明する。
<粘着テープ印刷装置の動作の概略>
次に、粘着テープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、第1所定位置13に粘着テープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に第1ロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部5に第3ロールR3が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部4には、第2ロールR2を形成するための巻芯部材40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された第1ロールR1の回転により繰り出される被印字粘着テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字粘着テープ150の基材層153に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済み粘着テープ150′となる。印字形成された印字済み粘着テープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第3収納部5へ導入され、当該第3収納部5内において巻回されて第3ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第2収納部4へ導入され、当該第2収納部4内の巻芯部材40の外周側に巻回されて第2ロールR2が形成される。その際、第2ロールR2よりも後方側、つまりテープ搬送方向に沿った第2ロールR2の上流側において前方側開閉カバー9に設けられたカッター機構30(切断手段)が、印字形成されかつ剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで第2ロールR2に巻回されていく印字済み粘着テープ150″を切断し、切断後は第2ロールR2を第2収納部4から取り出すことができる。
<各部詳細構造>
次に、粘着テープ印刷装置1の各部の詳細構造について順を追って説明する。
<粘着テープカットリッジ>
図6、図7において、粘着テープカートリッジTKは、前述したように、第1ロールR1と、第3ロールR3と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。なお、図7中では、第1ロールR1において軸心O1まわりに巻回される被印字粘着テープ150、及び、第3ロールR3において軸心O3まわりに巻回される剥離材層151の図示を省略すると共に、第1ロールR1及び第3ロールR3を構成する部材の一部を省略して図示している。
第1ブラケット部20,20は、第1ロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第1ロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により第1ロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第2ブラケット部21,21は、第3ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側(一方側及び他方側)から挟みこむようにし、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。
そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
ここで、前述したように、粘着テープカートリッジTKの使用時には、第1ロールR1から被印字粘着テープ150が繰り出されて搬送されることで、当該被印字粘着テープ150が消費される。一方、第3ロールR3には、被印字粘着テープ150が搬送されて印字形成された印字済み粘着テープ150′から、上記引き剥がし部17により引き剥がされた剥離材層151が、軸心O3まわりに巻回される。
上記のような使用態様になる結果、筐体への装着前の粘着テープカートリッジTK単独の状態でテープロールが自由に回転すると、テープのばらけや緩みが生じるおそれがある。この場合、粘着テープカートリッジTKの筐体への装着時に、テープのばらけや緩みを解消させる必要があり、ユーザによる取り扱い性が低下する。
そこで本実施形態では、図8〜図10に示すように、第1ロールR1の軸方向両側に設けられている第1軸端部R1a(第1巻芯の両端部)の外径D1が、各第1ブラケット部20,20でそれぞれ挿通される第1軸穴部R1bの内径D2より十分小さい寸法に設定されている。すなわち、各第1軸端部R1aは各第1軸穴部R1bに十分な隙間を介して遊嵌する。そして、各第1軸端部R1aの外周面にはその周方向全体に複数の外周側突起部61(第2凹凸部)が等間隔で設けられており、また各第1軸穴部R1bの内周面にはその周方向全体に複数の内周側突起部62(第1凹凸部)が等間隔で設けられている。この例では、外周側突起部61と内周側突起部62が、それぞれ同じ数で、いずれも同じ突出高さ、形状で設けられている。
例えば、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された際には、図8に示すように、第1軸端部R1aと第1軸穴部R1bとが同軸的に配置される。この状態では、第1軸端部R1aの外周面と第1軸穴部R1bの内周面とが周方向全体にわたって同じ隙間で離間しており、上記の内周側突起部62と外周側突起部61はこの隙間の間で互いに係合(干渉)することがないようそれぞれの突出高さ寸法が設定されている。つまり、第1軸穴部R1bの内周面と、第1軸端部R1aの外周面とは、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合しない状態とすることが可能な所定の間隙を介して径方向に対向するように構成されている。このため、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された際には、第1端部R1aは第1軸穴部内R1bで回転自在となる。
また、連結アーム16は第1ロールR1を吊り下げ状態で保持する構造であるため、図9に示すように粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aより取り外されて持ち上げられた状態では、重力により第1ロールR1が相対的に下方に移動するので、第1軸端部R1aは第1軸穴部R1bの下側に接触する。これにより、内周側突起部62と外周側突起部61が係合して第1ロールR1は回転不能な状態となる。
また、図10に示すように粘着テープカートリッジTKがテーブル等に載置された状態では、第1ロールR1が相対的に上方に移動するので、第1軸端部R1aは第1軸穴部R1bの上側に接触する。これによっても、内周側突起部62と外周側突起部61が係合して第1ロールR1は回転不能な状態となる。
以上によって、筐体本体2aに装着される前の粘着テープカートリッジTK単独の状態では、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合させて第1ロールR1を回転不能な状態とし、粘着テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合しない状態とし、第1ロールR1を回転自在な状態とすることが可能である。その結果、粘着テープカートリッジTK単独の状態でテープのばらけや緩みが生じるのを防止できる。
また本実施形態の例では、第3ロールR3の軸方向両側に設けられている第2軸端部R3aと、各第2ブラケット部21,21でそれぞれ挿通される第2軸穴部R3bにおいても同様の支持構成(外周側突起部61:第4凹凸部、内周側突起部62:第3凹凸部)を備えている。なお、図8(b)、図9(b)、図10(b)の拡大図は、それぞれ対応する図8(a)、図9(a)、図10(a)中の第1軸穴部R1bと第1軸端部R1aの支持状態、及び第2軸穴部R1bと第2軸端部R1aの支持状態に共通して示している。
<カッター機構の詳細構造>
図11、図12、及び図13に示すように、カッター機構30は、ガイド板31と、可動刃32と、可動刃32を支持する可動刃支持部33aを備えた走行体33と、ガイドレール34と、を有する。
ガイド板31は、第2開閉カバー4の開放縁側の内側に、搬送ローラ12よりもテープ搬送方向下流側においてテープ幅方向に延設されている。このガイド板31は、第2開閉カバー4に対して左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。そして、ガイド板31は、上記筐体2内の搬送ローラ12によりテープ幅方向が左右方向となる姿勢で搬送される印字済み粘着テープ152,153の上面(言い換えれば基材層153の上面。厚さ方向一方側端の面に相当)に接触してガイドする(図12、図13中の想像線参照)。
ガイド板31の下方には、刃先32aがガイド板31と上下方向に対向するように(この例では刃先32aが上向きとなるように)上記可動刃32が配置されている。可動刃32は、ガイドレール34に案内されてカッターモータM4の駆動により走行される上記走行体33により、ガイド板31に沿いつつテープ幅方向に走行して切断を行う(図12中の矢印ウ参照)。上記ガイドレール34は、第2開閉カバー4に対し、上記左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。
可動刃32は、ガイドレール34に沿った走行体33の上記走行によって、ガイド板31との間に印字済み粘着テープ152,153を狭持しつつ、当該印字済み粘着テープ152,153に対し最下層(厚さ方向他方側端の層に相当)の粘着剤層152から進入し、上記切断を行う。その際、上記可動刃支持部33aは、可動刃32を、テープ幅に沿った上記走行方向に向かって当該可動刃32の刃先32a(図12参照)が印字済み粘着テープ152,153をガイド板31方向へ押す態様で傾斜するように(この例では下り傾斜となるように)、走行体33に対して支持している。これにより、印字済み粘着テープ152,153は、上面(詳細には印字ヘッド11による印字形成後の基材層153の上面)がガイド板31に接触されてガイドされつつ、下方に配置された斜め上向きの可動刃32の刃先32aによって最下層の粘着剤層152から進入され切り込まれることにより、幅方向に切断される。このときガイド板31には、走行体33による可動刃32の走行を案内するために、テープ幅方向にスリット31aが孔設されている。
なお、テープ搬送方向に沿ってガイド板31よりも下流側には、印字済み粘着テープ152,153の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口12へ向かう側との相互間で切り替えるためのシュート15が配されている。
<巻芯部材及び軸心O2周辺の詳細構成>
また、本実施形態では、上述したように第2収納部4に単体の巻芯部材40が装着され、この巻芯部材40の外周側に印字済み粘着テープ150″が巻き取られて積層することで、第2ロールR2が形成される。図14〜図16において、筐体本体2aの第2収納部4内で、第2ロールR2が装着された際の軸心O2方向に沿った左・右両側に、それぞれ当該第2ロールR2を挟み込むように対向して略円柱形状の突起である2つの軸受部39が固定的に設けられている。巻芯部材40は、その軸方向両側の各軸端部をそれぞれ軸受部39に装着することで、当該巻芯部材40の中央部分が回転可能に支持される。また、筐体本体2aの第2収納部4で左側の軸受部39よりも後方側の下方において、上記粘着巻き取り用モータM2に連動する駆動ギア38がその歯面の一部を軸受部39に向けて露出している。なお、図14、図15中では、第2ロールR2の図示を省略し、図18中では印字済み粘着テープ150″と前方側開閉カバー9の図示を省略している。
図16において、巻芯部材40は、後に詳述するように、軸心方向両側の各軸端部が連結して小径の支持軸となり、これが印字済み粘着テープ150″を巻回する中央のドラム部50の軸中心を貫通して回転自在に支持するよう構成されている(後述の図17参照)。ドラム部50の右側の外周には略円環形状のフランジを備えた第1外筒42が装着されており、ドラム部50の左側の外周には略円環形状のフランジを備えた第2外筒43が装着されている。この第2外筒43は、当該巻芯部材40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。これにより、巻芯部材40が巻回する印字済み粘着テープ150″に対し、第1外筒42と第2外筒43がそのテープ幅に合わせて適切に幅方向で挟み込むことができる。
巻芯部材40の左端側で所定の周方向位置には、上記第2外筒43の移動位置に応じて露出幅が変化する被検出部81が設けられている。この被検出部81は、露出幅に応じて凹凸波の露出量が変化する形状で形成されている(図中の破線部参照)。巻芯部材40を筐体本体2aの第2収納部4に装着する際には、この被検出部81が下方に位置するように装着される。筐体本体2aの第2収納部4には、巻芯部材40が装着された際に、被検出部81と対向する位置に検出部82が設けられている。特に詳細に図示しないが、この検出部82は対向する被検出部81の凹凸波の露出量を機械的又は光学的に検出して、上記第2外筒43の軸方向位置を判別する。これにより、第1外筒42と第2外筒43で挟み込んでいる印字済み粘着テープ150″のテープ幅を粘着テープ印刷装置1側で自動的に検出することができ、さらにこのテープ幅に基づいて第2ロールR2の種別や基本径も判別できる。
また、左側の軸受部39の下方近傍位置(図16中で見た軸受部39の背面位置)には、略四角筒形状の突部36が設けられている(後に詳述する)。
図17、図18において、巻芯部材40は、上記軸心O2を軸とする略円筒状の内筒41(巻筒)と、第1外筒42と、第2外筒43と、軸部材51と、被駆動ギア52と、ロック部材53とを備えている。
第1外筒42は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O2方向である左右方向)に沿って一方側端部(詳細には右端部)の外周側に着脱可能に装着される。この第1外筒42は、略円筒状の第1円筒部45と、第1円筒部45の右端部に一体的に形成された略円環形状の第1フランジ部46とを備えている。
第2外筒43は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O3方向である左右方向)に沿って他方側端部(詳細には左端部)の外周側に装着される。この第2外筒43は、略円筒状の第2円筒部47と、第2円筒部47の左端部に一体的に形成された略円環形状の第2フランジ部48とを備えている。この第2外筒43は、上述したように、巻芯部材40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。なお、内筒41、第1外筒42、及び第2外筒43が、上記のドラム部50(第1巻取軸)を構成する。
内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1フランジ部46及び第2フランジ部48は、互いに軸心方向で対向して配置され、これら第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間には、上記印字済み粘着テープ150″を受け入れ可能な空間が形成される。
また、内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1円筒部45及び第2円筒部47は、第1フランジ部46及び第2フランジ部48を接続するように軸心O2に略沿って延設され、これら第1円筒部45及び第2円筒部47の外周側(言い換えれば、第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間)には、略円筒状の紙芯44(巻筒)が装着可能である。紙芯44は、前述の引き剥がし部17において印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を、テープ幅方向が左右方向となるように、外周側に巻き付けるための供給部材である。なお、図18中では、第1円筒部45及び第2円筒部47の外周側に紙芯44が装着されていない状態を図示している(上記図16も同様)。
軸部材51は、全体が略円柱形状の部材であり、右側の端部には筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着可能な第1係合部51aを備え、軸方向中央部には第1係合部51aより小径のシャンク部51bを備え、左側の端部には軸連結部51cを備えている。内筒41の軸中心には貫通穴41aが設けられており、軸部材51のシャンク部51bがこの貫通穴41aを貫通することで当該内筒41は軸部材51に回転自在に支持される。
被駆動ギア52は、筐体本体2aの第2収納部4に設けられている駆動ギア38に噛合可能なギアであり、その右側の端面の中心には外周面にキーを備えた挿入筒52aが設けられている。この挿入筒52aを内筒41の貫通穴41aの左端開口部に挿入することで、被駆動ギア52と内筒41(及び第1外筒42、第2外筒43)が一体に回転できる。なお、挿入筒52aを含めた被駆動ギア52全体の軸中心にも貫通穴52bが形成されており、上記軸部材51の左端部は連結した内筒41と被駆動ギア52を貫通できる。
ロック部材53は、上記被駆動ギア52全体を内部に収容できる略カップ形状のカバー部53aと、このカバー部53aの外周で周方向所定位置に設けられた操作部53bと、カバー部53aの左側端面で軸中心位置に設けられた第2係合部53cと、この第2係合部53cの近傍に設けられた爪部53dとを備えている。また、このロック部材53の内側面(カバー部53aの右側端面)の軸中心位置は、上記軸部材51の左端部の軸連結部51cと着脱可能に連結できる。また、ロック部材53の第2係合部53cは、軸部材51の上記第1係合部51aと同様に筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着できる。また、カバー部53aの周方向所定位置には、上記被駆動ギア52の歯面の一部を露出させる露出穴53eが設けられている。また、爪部53dの近傍には、後に詳述する露光穴53fが設けられている。なお、第2係合部53cと露光穴53fについては、後に詳述する(後述の図19参照)。
ここで、巻芯部材40の組み上げ手順の一例について説明する。すなわち、巻芯部材40を組み上げる際には、まず、第2外筒43の第2円筒部47が、内筒41の左端部の外周側に外挿される。この時点では、第2円筒部47の外周側にまだ紙芯44が装着されておらず、第2フランジ部48を含む第2外筒43は、上述したように左右方向へ移動可能となっている。そして、紙芯44の左端部を第2外筒43における第2フランジ部48の右端面48aに接触しつつ、紙芯44の左端部を第2円筒部47の外周側に軽く嵌合させる。この際に、第2外筒43を紙芯44の幅方向寸法に対応させて左右方向に移動させることで、紙芯44の軸方向位置を位置決めできる。紙芯44が第2円筒部47の外周側に完全に装着された際には、第2フランジ部48を含む第2外筒43は、内筒41の外周側に固定された状態となって、左右方向に移動不能となる。そして、第1フランジ部46を含む第1外筒42が、外周側に紙芯44が存在する内筒41の右端部の外周部に着脱可能に取り付けられる。このとき、紙芯44は、その右端部が第1外筒42における第1フランジ部46の左端面46aに接触するように、紙芯44の右端部が当該第1フランジ部46によって位置決めされる。
さらに、内筒41の左端部に被駆動ギア52を装着し、ロック部材53で被駆動ギア52を覆う。そして、一体に連結した内筒41と被駆動ギア52の軸中心の貫通穴に軸部材51の軸連結部51cとシャンク部51bを貫通させ、軸連結部51cの先端をロック部材53の内面に着脱可能に連結させる。以上により、巻芯部材40が組み上がる(図18(a)、(b)参照)。この組み上がった状態では、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、紙芯44、及び被駆動ギア52が一体に連結する一方で、軸部材51とロック部材53が一体に連結する。被駆動ギア52に伝達されたトルクは、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、及び紙芯44に伝達され、軸部材51とロック部材53に対して回転する。
そして、軸部材51の第1係合部51a及びロック部材53の第2係合部53cが上記2つの軸受部39によりそれぞれ支持されるように装着された状態で巻芯部材40全体が前述の第2収納部4に収納されると、被駆動ギア52が駆動ギア38に噛合し、上記印字済み粘着テープ150″の巻き取りが行われる。すなわち、紙芯44の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻き付けられつつ、巻芯部材40全体が軸心O2まわりに回転する。これにより、紙芯44の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻き付けられて積層し、第2ロールR2が形成される。このとき、上記のような巻き付け動作を開始するときの円滑化を図るために、紙芯44には、リーダテープ80が設けられている(図17参照)。リーダテープ80の略蛇頭形状の先端部80aは、紙芯44の外方へ向かって延出されている。この先端部80aには、印字済み粘着テープ150″に備えられた粘着剤層152が付着されて接続される。これにより、紙芯44を含む巻芯部材40全体が軸心O2まわりに回転することで、リーダテープ80の先端部80aに接続された印字済み粘着テープ150″が、紙芯44側に引っ張り込まれて、順次、紙芯44の外周部に巻き付けられて積層することで、第2ロールR2が形成される。
巻芯部材40は、紙芯44も含めた全ての部材の単位で分解と組み立てを繰り返すことが可能である。これにより、巻芯部材40の回転と共に、上記第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間に順次印字済み粘着テープ150″が導入され、第1円筒部45及び第2円筒部47に取り付けた紙芯44に印字済み粘着テープ150″が積層されて第2ロールR2が形成された後には、巻芯部材40全体を分解して第2ロールR2だけを取り外すことができる。
上記の巻芯部材40を筐体本体2aの第2収納部4に装着する際には、ドラム部50(内筒41、第1外筒42、及び第2外筒43)に動力を確実に伝達しつつ、操作性が高く、且つ、それらの構造が簡素であることが望まれている。そこで本実施形態では、以下のような装着構成を備えている。
図19は、本実施形態の巻芯部材40を筐体本体2aの第2収納部4に装着する工程を模式的に示している。図19(a)は巻芯部材40の収納前の状態、図19(b)は巻芯部材40の収納直後の状態、図19(c)は巻芯部材40の収納をロックした状態をそれぞれ示し、各図では筐体本体2a側の軸受部39と駆動ギア38、及び巻芯部材40だけを図示している。
まず、図19(a)において、筐体本体2a(図中では図示せず)に設けられた軸受部39は、いわゆるDカット部39aを2箇所有している。Dカット部39aとは、略円柱形状の軸受部39の軸断面において、弦を形成するよう外周部の一部(円弧部分)を切除した部分である。特に図示しないが、軸部材51を側面から見るとこのDカット部39aは、弦に相当する位置に平面が形成される。本実施形態の例では、一つの軸受部39において、その中心線に関し点対称的に対向するようDカット部39aを2箇所配置している。これにより、軸受部39においては、2つのDカット部39aの間の離間距離が最小径Dsとなり、残る2つの円弧部分の間における径が最大径Dbとなる。
また、ロック部材53の軸心位置に設けられている第2係合部53cには、軸受部39の上記最大径Dbと略同等の径を有する丸穴部71と、この丸穴部71に連通して軸受部39の上記最小径Dsと略同等の幅を有する溝穴部72が設けられている。このような構成により、巻芯部材40の筐体本体2aへの装着時には、軸受部39が第2係合部53cの溝穴部72に嵌合しつつ丸穴部71内に進入する(図19(b)参照)。そして、操作部53bを介したロック部材53の操作により、ロック部材53が軸心周りに回転(揺動)すると、軸受部39は第2係合部53cの丸穴部71に嵌合しつつ丸穴部71内で相対的に回転する(図19(c)参照)。この結果、軸受部39は溝穴部72に再度嵌合することが不可能となり、丸穴部71の外部に移動できなくなる。このようにして、ロック部材53の第2係合部53cと軸受部39とが係合により固定される。
特に図示しないが、軸部材51の右側端部に備えた第1係合部51aとそれに対応する軸受部39においても、上記と同様の装着構成が設けられている。上述したように、軸受部39とロック部材53は軸連結部51cを介して一体に連結しているため、ロック部材53における揺動操作がそのまま軸部材51の第1係合部51aにも連動する。なお、第1係合部51aと第2係合部53cをそれぞれ対応する軸受部39に同時に装着させるためには、それぞれの溝穴部72の周方向位置を一致させる必要がある。また、ロック部材53の露出穴53eは、駆動ギア38と被駆動ギア52の噛合点に対するカバー部53aの干渉を回避するために、操作部53bの揺動幅に対応する円弧長で被駆動ギア52の歯面を露出させるよう形成される。
そして、図19(c)に示すように、ロック部材53により軸部材51を軸受部39に固定することで、被駆動ギア52が位置決めされるので、駆動ギア38と被駆動ギア52との噛合点(連結部)における歯飛びを防止できる。これにより、駆動ギア38の動力をドラム部50に確実に伝達することができる。
さらに本実施形態では、より確実に巻芯部材40を筐体本体2aの第2収納部4に固定できるよう、筐体本体2aに突部36を、ロック部材53に爪部53dをそれぞれ設けている。
図20は、ロック部材53の爪部53dで筐体本体の突部36を係止する工程の外観を具体的に示しており、図20(a)が上記図19(b)に、図20(b)が上記図19(c)にそれぞれ対応している。なお、各図中においては、筐体本体2a側に固定的に設けられた突部36を破線で示している。
上述したように、突部36は軸受部39の下方近傍に設けられている。爪部53dは、ロック部材53に一体に形成されており、巻芯部材40の筐体本体2aへの装着時において突部36と干渉しない位置に設けられている(図20(a)参照)。そして、操作部53bを介したロック部材53の操作により、ロック部材53が軸心周りに回転(揺動)すると、爪部53dは突部36の下面に係止する(図20(b)参照)。この爪部53dの係止により、軸部材51を軸受部39にさらに堅固に固定することができる。
また、上述したように突部36は中空形状に形成されており、その開口部を巻芯部材40側に向けている。特に図示しないが、筐体本体2a内部に発光部と受光部を隣接して組み合わせた光学センサを設けており(後述の図21参照)、発光部からの投射光を巻芯部材40に投光し、その反射光を受光部で受光する。突部36の内部の中空穴はその投射光と反射光の通過穴となる。これに対応して、ロック部材53の露光穴53fは、ロック部材53のロック前位置では突部36の開口部に重複せず投射光を遮光し(図20(a)参照)、ロック部材53のロック後位置では突部36の開口部と重複して投射光を通過させる。これにより、当該光学センサにより、巻芯部材40のロック状態の有無を検出できる。また、ロック部材53の露光穴53fを通過した投影光は被駆動ギア52に投射されるが、上記図17に示すように被駆動ギア52が周方向等間隔にスリット穴52cを設けていることにより、いわゆるロータリエンコーダを構成して、第2ロールR2の回転状態を検出できる。なお、特に図示しないが、このロータリエンコーダの構成は、第3ロールR3においても設けられている。
<制御系>
次に、図21を用いて、粘着テープ印刷装置1の制御系について説明する。図21において、粘着テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって粘着テープ印刷装置1全体の制御を行う。このとき、ROM214には、後述する制御処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。このCPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記第2ロールR2を駆動する上記粘着巻き取り用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記第3ロールR3を駆動する上記剥離紙巻き取り用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記カッター機構30の可動刃32を走行させる上記カッターモータM4の駆動制御を行うモータ駆動回路222と、に接続されている。
さらに、CPU212には、表示部215及び操作部216と、第2ロールR2及び第3ロールR3にそれぞれ対応する2つの光学センサ223(第1回転検出手段),224(第2回転検出手段)と、PC217が接続されている。
ROM214には、PC217から受信して印刷される文字や記号等の印字データ(ドットパターン)がコードデータと対応させて記憶されており、CPU212は、この記憶された印字データを用いて、上記印字ラベルLの印字領域に印字するための印字データを生成する。CPU212は、搬送ローラ12により被印字粘着テープ150を繰り出しつつ、生成された印字データに従って印字ヘッド制御回路217を介し印字ヘッド11により印刷を行わせ、粘着テープを作成する。
<印刷処理制御内容>
次に、図22〜図28を用いて、粘着テープ印刷装置1のCPU212によって実行される印刷処理の制御内容について説明する。まず、図22において、例えば操作者により粘着テープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まずステップS5で、CPU212は、操作部53bを介したユーザのモード選択操作により処理モードの選択入力を行う。
次にステップS10で、CPU212は、上記ステップS5で選択入力された処理モードが準備モードであるか否かを判定する。準備モードが選択されていた場合、判定が満たされ(S10:YES)、ステップS100へ移る。
ステップS100では、通常の印刷処理を行う前の準備を行う準備モード処理を実行する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS10の判定において、準備モードが選択されていなかった場合、判定は満たされず(S10:NO)、ステップS15へ移る。
ステップS15で、CPU212は、上記ステップS5で選択入力された処理モードが通常モードであるか否かを判定する。通常モードが選択されていた場合、判定が満たされ(S15:YES)、ステップS200へ移る。
ステップS200では、通常の印刷処理を行う通常モード処理を実行する。そして、このフローを終了する。
また一方、上記ステップS15の判定において、通常モードが選択されていなかった場合、判定は満たされず(S15:NO)、ステップS300へ移る。
ステップS300では、通常の印刷処理を行った後の印字済み粘着テープ150″を切断する切断モード処理を実行する。そして、このフローを終了する。
以下、準備モード、通常モード、及び切断モードをそれぞれ説明する。
<1:準備モード>
図23に、準備モードによる印刷準備の工程を模式的に示す。まずユーザは、第1ロールR1から被印字粘着テープ150を繰り出し、繰り出した被印字粘着テープ150を搬送ローラと印字ヘッド11の間に通す(図23(a)参照)。この間、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラを搬送方向に回転させるように、搬送用モータM1を制御する。
そして、被印字粘着テープ150から剥離材層を引き剥がし、基材層及び粘着剤層からなる印字済み粘着テープ150′の先端を第2ロールR2の巻芯に固定する。一方で、被印字粘着テープ150から引き剥がした剥離材層の先端を第3ロールR3に固定する(図23(b)参照)。
この状態で、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラを停止させると共に、第2ロールR2だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2を制御する(図23(b)参照)。これにより、剥離材層が引き剥がされた印字済み粘着テープ150′は、停止した搬送ローラと巻き取り方向に回転する第2ロールR2とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で第2ロールR2の回転が停止して、張力が作用した状態となる。なお、このように印字済み粘着テープ150′に張力が作用しているはずの時点で、第2ロールR2の回転が検出された場合には、紙芯44に対する印字済み粘着テープ150′の先端の固定が不良であるために第2ロールR2が空回りしているとみなして、不具合を報知する。
次に、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラを停止させると共に、第3ロールR3だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、剥離紙巻取用モータM3を制御する(図23(c)参照)。これにより、印字済み粘着テープ150′から引き剥がされた剥離材層は、停止した搬送ローラと巻き取り方向に回転する第3ローラR3とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で第3ローラR3の回転が停止して、張力が作用した状態となる。またこのとき、上記の第2ローラR2のみの回転での印字済み粘着テープ150′の引き込みにより、印字済み粘着テープ150′と剥離材層との剥離点が移動した場合でも、元の位置(引き剥がし部17の先端位置)に戻すことができる(図23(b)、(c)中の破線部参照)。なお、このように剥離材層に張力が作用しているはずの時点で第2ロールR2の回転が検出された場合には、第3ロールR3に対する剥離材層の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、不具合を報知する。
次に、CPU212は所定の時間だけ、印字動作をせずに搬送ローラ、第2ローラR2、及び第3ロールR3を全て回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3を制御する(特に図示せず)。この予備動作を行うことにより、被印字粘着テープ150の繰り出し、搬送、巻取り、及び剥離材層の巻取りを含む一連の動作が正常に行われるかどうかを事前に確認できる。
上記制御内容を実現するために、粘着テープ印刷装置1のCPU212によって実行される準備モード処理S100の制御内容を、図24を用いて説明する。なお図中においては、紙面の都合上、各部の名称を適宜略記して示す(以下同様)。
まずステップS105で、CPU212は、搬送用モータM1の駆動を開始する。
次にステップS110で、CPU212は、上記ステップS105での搬送用モータM1の駆動開始から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、第1ロールR1から繰り出した被印字粘着テープ150の先端が、搬送ローラ12から搬送されて第2ロールR2又は第3ロールR3に到達できる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS115へ移る。
ステップS115では、CPU212は、搬送用モータM1の駆動を停止する。
次にステップS120で、CPU212は、操作部53bを介してユーザから作業再開を指示する操作が入力されるまでループ待機する。作業再開を指示する操作入力された際には、ステップS125へ移る。
ステップS125では、CPU212は、粘着巻取用モータM2(図中ではADモータと略記)の駆動を開始する。
次にステップS130で、CPU212は、上記ステップS125での粘着巻取用モータM2の駆動開始から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、搬送ローラ12から第2ロールR2までの間の印字済み粘着テープ150′の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間(最大1s)でよい。所定時間経過した際には、ステップS135へ移る。
ステップS135では、CPU212は、第2ロールR2に対応する光学センサ223の検出内容に基づいて、この時点で第2ロールR2が回転中であるか否かを判定する。第2ロールR2が回転していない場合、判定は満たされず(S135:NO)、ステップS140へ移る。
ステップS140では、CPU212は、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。
次にステップS145で、CPU212は、剥離紙巻取用モータM3(図中では剥離紙モータと略記)の駆動を開始する。
次にステップS150で、CPU212は、上記ステップS145での剥離紙巻取用モータM3の駆動開始から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、上述した剥離点の引き戻しも含め搬送ローラ12から第3ロールR3までの間の剥離材層の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS155へ移る。
ステップS155では、CPU212は、第3ロールR3に対応する光学センサ224の検出内容に基づいて、この時点で第3ロールR3が回転中であるか否かを判定する。第3ロールR3が回転していない場合、判定は満たされず(S155:NO)、ステップS160へ移る。
ステップS160では、CPU212は、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS165で、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。
次にステップS170で、CPU212は、上記ステップS145での各モータの駆動開始から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、被印字粘着テープ150の繰り出し、搬送、巻取り、及び剥離材層の巻取りを含む一連の動作が正常に行われるかどうかを目視で十分確認できる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS175へ移る。
ステップS175で、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS180で、CPU212は、全ての準備動作が正常に行われ、準備モード処理が終了した旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS135の判定において、第2ロールR2が回転していた場合、判定が満たされ(S135:YES)、ステップS185へ移る。
ステップS185では、CPU212は、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。
次にステップS190で、CPU212は、第2ロールR2での印字済み粘着テープ150′の先端の固定が不良であるために第2ロールR2が空回りしているとみなして、その旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
また一方、上記ステップS155の判定において、第3ロールR3が回転していた場合、判定が満たされ(S155:YES)、ステップS195へ移る。
ステップS195では、CPU212は、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS198で、CPU212は、第3ロールR3での剥離材層の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、その旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
<2:通常モード>
図25に、通常モードの工程を模式的に示す。まずCPU212は、印字ヘッド11による印字動作とともに、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。その後の通常の印刷動作中に、CPU212は、第2ロールR2と第3ロールR3のそれぞれに対応する2つの光学センサ223,224の少なくとも一方により回転がないことが検出された場合に、異常と判定する。通常モードにおいては、2つの光学センサ223,224により第2ロールR2及び第3ロールR3の両方の回転が検出されるのが正常であり、少なくともいずれか一方の光学センサ223,224により回転がないことが検出された場合には、テープ詰まり(ジャム)等による動作不良が発生したとみなして、不具合を報知する。
上記制御内容を実現するために、粘着テープ印刷装置1のCPU212によって実行される通常モード処理S200の制御内容を、図26を用いて説明する。
まずステップS205で、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。
次にステップS210で、CPU212は、印字ヘッド11による印字を開始する。
次にステップS215で、CPU212は、第2ロールR2に対応する光センサの検出内容に基づいて第2ロールR2の回転が停止したか否かを判定する。第2ロールR2の回転が停止していない場合、判定は満たされず(S215:NO)、ステップS220へ移る。
ステップS220では、CPU212は、第3ロールR3に対応する光センサの検出内容に基づいて第3ロールR3の回転が停止したか否かを判定する。第3ロールR3の回転が停止していない場合、判定は満たされず(S220:NO)、ステップS225へ移る。
ステップS225では、CPU212は、予定していた長さで印字が終了したか否かを判定する。印字が終了していない場合、判定は満たされず(S225:NO)、上記ステップS215へ戻って同様の手順を繰り返す。
一方、印字が終了した場合、判定が満たされ(S225:YES)、ステップS230へ移る。
ステップS230では、CPU212は、印字ヘッド11による印字を停止する。
次にステップS235で、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS240で、CPU212は、全ての印字動作が正常に行われ、通常モード処理が終了した旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS215の判定において、第2ロールR2の回転が停止した場合、判定が満たされ(S215:YES)、ステップS245へ移る。
ステップS245では、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS250で、CPU212は、第2ロールR2の印字済み粘着テープ150′がジャム状態となっているために回転が停止したとみなして、その旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
また一方、上記ステップS220の判定において、第3ロールR3の回転が停止した場合、判定が満たされ(S220:YES)、ステップS225へ移る。
ステップS225では、CPU212は、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS210で、CPU212は、第3ロールR3の剥離材層がジャム状態となっているために回転が停止したとみなして、その旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
<3:切断モード>
図27に、切断モードによるテープ切断の工程を模式的に示す。通常モードを経て印刷が終了した際には、搬送ローラ、第2ロールR2、及び第3ロールR3が全て回転を停止する。またこのとき、第2ロールR2の外径が大きくなっていることから、押さえローラ37が第2ロールR2の外周に接触して付勢する状態となる(図27(a)参照)。
そして、搬送ローラを停止させると共に第2ロールR2を巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1及び粘着巻取モータM2が制御される。これにより、印字済み粘着テープ150′の切断される部分は、上流側において停止した搬送ローラ12と、下流側において巻き取り方向に回転しようとする第2ロールR2とによって、張力が作用した状態となる(図27(b)参照)。
このとき同時に、第3ロールR3もまた巻き取り方向に回転させるように、剥離紙巻取用モータM3が制御される。第2ロールR2に加えて第3ロールR3も回転しようとするので、印字済み粘着テープ150′にさらに強い張力を作用させることが可能となる。またこのとき、上記の第2ローラR2の回転での印字済み粘着テープ150′の引き込みにより、印字済み粘着テープ150′と剥離材層との剥離点(引き剥がし位置)が下流側に移動した場合でも、元の位置(引き剥がし部17の先端位置)に引き戻すことができる(図27(b)中の破線部参照)。
この状態で、カッター機構30により搬送ローラ12と第2ロールR2との間で印字済み粘着テープ150′が切断される。これにより、カッター機構30が印字済み粘着テープ150′の縁部に接触した際に印字済み粘着テープ150′が弛むことを防止でき、切断不良の発生を防止できる(図27(b)参照)。
そして、搬送ローラ12を停止させると共に第2ロールR2を巻き取り方向に回転させるように制御され、その後、第2ロールR2が巻き取り方向に所定時間回転した後に停止するように、粘着巻取用モータM2が制御される(図27(c)参照)。すなわち、カッター機構30による印字済み粘着テープ150′の切断完了後、第2ロールR2をただちに停止させるのではなく、所定時間回転させた後に停止させる。これにより、切断完了後に第2ロールR2を所定量回転させることができるので、切断により生じた印字済み粘着テープ150′の終端部を確実に第2ロールR2で巻き取ることが可能となる。またこのとき、押さえローラ37が第2ロールR2の外周に付勢されているので、第2ロールR2において印字済み粘着テープ150′の終端部が確実に巻き取られる。
なお、このように印字済み粘着テープ150′の終端部が第2ロールR2に巻き取られているはずの時点で、第2ロールR2の回転が検出されなかった場合には、カッター機構30による切断が不良であるために第2ロールR2が回転しないとみなして、不具合を報知する。
上記制御内容を実現するために、粘着テープ印刷装置1のCPU212によって実行される切断モード処理S300の制御内容を、図28を用いて説明する。
まずステップS305で、CPU212は、粘着巻取用モータM2及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。
次にステップS310で、CPU212は、上記ステップS305での各モータの駆動開始から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、搬送ローラ12から第2ロールR2までの間の印字済み粘着テープ150′の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。もしくは、上述した剥離点の引き戻しも含め搬送ローラ12から第3ロールR3までの間の剥離材層の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS315へ移る。
ステップS315では、CPU212は、カッターモータを駆動してカッター機構30の作動による印字済み粘着テープ150′の切断を行う。
次にステップS320で、CPU212は、第2ロールR2に対応する光センサの検出内容に基づいて第2ロールR2が回転したか否かを判定する。第2ロールR2が回転している場合、判定が満たされ(S320:YES)、ステップS325へ移る。
ステップS325では、CPU212は、上記ステップS315でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、上述した剥離点の引き戻しも含め搬送ローラ12から第3ロールR3までの間の剥離材層の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS330へ移る。
ステップS330では、CPU212は、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS335で、CPU212は、上記ステップS315でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、切断により生じた印字済み粘着テープ150′の終端部を確実に第2ロールR2で巻き取れる程度の時間でよい。所定時間経過した際には、ステップS340へ移る。
ステップS340では、CPU212は、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。
次にステップS345で、CPU212は、切断動作が正常に行われ、切断モード処理が終了した旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS320の判定において、第2ロールR2が回転していなかった(停止していた)場合、判定は満たされず(S320:NO)、ステップS350へ移る。
ステップS350では、CPU212は、粘着巻取用モータM2及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
次にステップS355で、CPU212は、カッター機構30による切断が不良であるために第2ロールR2が回転しないとみなしてその旨を表示部に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
以上において、第1ロールR1の中心軸が各請求項記載の第1巻芯に相当し、第3ロールR3の中心軸が各請求項記載の第2巻芯に相当する。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態においては、粘着テープカートリッジTKが、被印字粘着テープ150を第1ロールR1の中心軸まわりに巻回した第1ロールR1と、第1ロールR1の両端部である第1軸端部R1aを保持する一対の第1ブラケット部22、22を備えた連結アーム16とを有し、第1ロールR1の軸心が略水平方向となる状態で、粘着テープ印刷装置1の筐体2の第1収納部3に着脱される。連結アーム16の各第1ブラケット部22、22には、第1ロールR1の中心軸の端部が挿通される第1軸穴部R1bが設けられており、それら一対の第1軸穴部R1bの少なくとも一方の内周面には、内周側突起部61が設けられる。また、第1ロールR1の中心軸の端部である第1軸端部R1aの外周面には、内周側突起部62と係合可能な外周側突起部61が設けられる。
このとき、第1軸穴部R1bの内周面と、第1軸端部R1aの外周面とは、外周側突起部61と内周側突起部62とを係合しない状態とすることが可能な所定の間隙を介して径方向に対向するように構成される。これにより、第1収納部3に装着される前の粘着テープカートリッジTK単独の状態では、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合させて第1ロールR1を回転不能な状態とし、粘着テープカートリッジTKが第1収納部3に装着された状態では、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合しない状態とし、第1ロールR1を回転自在な状態とすることが可能である。その結果、粘着テープカートリッジTK単独の状態でテープのばらけや緩みが生じるのを防止できるので、粘着テープカートリッジTKの装着時にテープのばらけや緩みを解消させる必要が無くなり、ユーザによる取り扱い性を向上できる。
また、このようにしてテープのばらけや緩みの発生を防止できるので、第1ロールR1の回転を防止するための別途のロック機構等は不要である。したがって、構造が複雑化することがなく、粘着テープカートリッジTKや粘着テープ印刷装置1の小型化及びコストの削減を図ることが可能となる。
また、本実施形態では特に、例えば、連結アーム16が第1ロールR1を吊り下げ状態で保持する構造の場合、粘着テープカートリッジTKが第1収納部3より取り外されて持ち上げられた状態では、重力により第1ロールR1が相対的に下方に移動するので、第1軸端部R1aは第1軸穴部R1bの下側に接触する。また、粘着テープカートリッジTKがテーブル等に載置された状態では、第1ロールR1が相対的に上方に移動するので、第1軸端部R1aは第1軸穴部R1bの上側に接触する。このように、粘着テープカートリッジTK単独の状態では、その状態に応じて第1軸端部R1aと第1軸穴部R1bの接触位置が変動する。
本発明では、内周側突起部62を第1ブラケット部22の第1軸穴部R1bの内周面の周方向全体に設けると共に、外周側突起部61を第1軸端部R1aの外周面の周方向全体に設ける。これにより、第1軸端部R1aが第1軸穴部R1bのどの方向に偏心して接触したとしても、内周側突起部62と外周側突起部61とを係合させることができる。その結果、例えば上述の例では、粘着テープカートリッジTKが持ち上げられた状態又は載置された状態のいずれにおいても、第1ロールR1を回転不能な状態とすることができるので、テープのばらけや緩みの発生を確実に防止し、ユーザによる取り扱い性をさらに向上できる。
また、本実施形態では特に、被印字粘着テープ150が基材層153、粘着剤層152、及び剥離材層151を備える。第1ロールR1から被印字粘着テープ150が繰り出され、粘着テープ印刷装置1の印字ヘッド11により基材層153に対して所望の印字がなされ、印字済み粘着テープ150′となる。その後、印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされ、第3ロールR3の中心軸まわりに巻き取られて第3ロールR3となる。
このように、粘着テープカートリッジTKが第1ロールR1と第3ロールR3の2つのロールを有する場合、粘着テープカートリッジTK単独の状態でテープロールが自由に回転すると、各ロールにおいてテープのばらけや緩みが生じる他、ロール間でテープの弛みが生じるおそれがある。本発明では、粘着テープカートリッジTK単独の状態では、第1ロールR1及び第3ロールR3の両方を回転不能な状態とし、粘着テープカートリッジTKが装着された状態では、両ロールR1、R3を回転自在な状態とすることができる。これにより、各ロールR1、R3におけるテープのばらけや緩み、及びロール間のテープの弛みを防止できるので、ユーザによる取り扱い性を確実に向上できる。
また、本実施形態では特に、粘着テープカートリッジTKが第1収納部3に装着されると、第1収納部3は、特に図示しない内部の軸受部に支持された第1軸端部R1aが連結アーム16の一対の第1軸穴部R1bの略中心に位置するように、粘着テープカートリッジTKを収納する。これにより、第1軸穴部R1bの内周面に設けた内周側突起部62と第1軸端部R1aの外周面に設けた外周側突起部61とが係合しない状態となり、第1ロールR1を回転自在な状態とすることができる。一方、粘着テープカートリッジTKが第1収納部3から取り外されると、第1ロールR1の軸心が連結アーム16の第1軸穴部R1bの中心位置よりいずれかの方向にずれることで、内周側突起部62と外周側突起部61とが係合した状態となり、第1ロールR1を回転不能な状態とすることができる。
このように、ユーザは粘着テープカートリッジTKの第1収納部3への着脱操作をするだけで、第1ロールR3を回転可能又は回転不能な状態に切り替えることができる。したがって、ユーザの取り扱い性を確実に向上できる。
また、以上においては、本発明を、被印字粘着テープ150に対し印字を行う粘着テープ印刷装置1に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、粘着テープに対し印字以外の処理を行うテープ処理装置に適用することも可能である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。