以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態のテープ印刷装置の概略構成について説明する。
図1〜図4において、本実施形態のテープ印刷装置1(印刷装置に相当)は、装置外郭を構成する筐体2と、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9とを有している。
筐体2は、筐体本体2aと、筐体本体2aの後方側に設けられた第1収納部3と、筐体本体2aの前方側に設けられた第2収納部4及び第3収納部5とを備えている。なお、これら第1収納部3、第2収納部4、及び第3収納部5については、後でより詳しく説明する。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1〜図2の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図3参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11(印刷手段に相当)を、筐体本体2aに設けられた搬送ローラ12(搬送手段に相当)に対して相対的に離反・近接可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接した閉じ位置(図2の状態)から、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反した開き位置(図3の状態)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3及び図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第2収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第2収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1〜図3の状態)から、第2収納部4の上方を露出させる開き位置(図4の状態)までの間で回動可能である。
このとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTKが着脱可能に装着される。テープカートリッジTKは、第1ロールR1と、第3ロールR3と、第1ロールR1及び第3ロールR3を連結する連結アーム16(図4参照)とを備えている。
第1ロールR1は、連結アーム16によりテープカートリッジTKの後方側において支持されており、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された際には回転自在となる。第1ロールR1は、繰り出しにより消費される長尺状の被印字粘着テープ150(被記録媒体に相当)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回されている。なお、本願各図においては、上記ロールR1に備えられる上記被印字粘着テープ150は(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該被印字粘着テープ150の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールフランジ部に符号「R1」を付して略示している。
そしてこのとき、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、第1ロールR1が上方から受け入れられ、被印字粘着テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字粘着テープ150を繰り出す。
被印字粘着テープ150は、被印字層154(被印刷層に相当)、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向他方側(図2中の部分拡大図中の上方側)から一方側(図2中の部分拡大図中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図2参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
また、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第3収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aに設けられた搬送用モータM1(搬送用駆動手段に相当)によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された第1ロールR1から繰り出される被印字粘着テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持部10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字粘着テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字粘着テープ150の上記被印字層154に対し、後述するリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、記録済み媒体としての印字済み粘着テープ150′(剥離材層151付き)とする。
またこのとき、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、リボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。リボンカートリッジRKは、リボン供給ロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。
リボン供給ロールR4は、リボンカートリッジRKの後方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
リボン巻き取りロールR5は、リボンカートリッジRKの前方側において回転自在に支持されており、リボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
また、第1開閉カバー8aにおけるテープ搬送方向に沿った印字ヘッド11の下流側には、リボン巻き取りローラ15が備えられている。リボン巻き取りローラ15は、使用済みのインクリボンIBを、リボン巻き取りロールR5へガイドする。
すなわち、リボン供給ロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字粘着テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字粘着テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りローラ15によりガイドされつつリボン巻き取りロールR5に巻き取られる。なお、本願各図においては、上記ロールR4,R5に備えられる上記インクリボンIBは(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、巻回されたインクリボンIBの積層構造を覆うように設けられたロールハウジング部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールフランジ部に符号「R4」「R5」を付して略示している。
連結アーム16は、テープ搬送方向に沿った第3ロールR3の上流側に、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている(図4参照)。引き剥がし部17は、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済み粘着テープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。引き剥がし部17により印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済み粘着テープ150″(記録済み媒体に相当)とに分離される。そして、引き剥がされた剥離材層151が巻き取られ巻回されることで、上記第3ロールR3が形成される。また、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″が巻き取り機構40の外周側に巻回されることで、後述する第2ロールR2が形成される。
第3ロールR3は、連結アーム16によりテープカートリッジTKの前方側(つまり、テープ搬送方向に沿った第1ロールR1の下流側)において支持されている。テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3が回転自在となり、印字済み粘着テープ150′から引き剥がされた剥離材層151を、左右方向の軸心O3(軸線)まわりに巻回する。なお、本願各図においては、上記ロールR3に備えられる上記剥離材層151は(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、便宜上、当該ロールフランジ部に符号「R3」を付して略示している。
このとき、第3収納部5には、テープカートリッジTKの装着によって、第3ロールR3が上方から受け入れられ、剥離材層151の巻回の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、第3ロールR3は、第3収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2aに設けられた剥離紙巻き取り用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第3収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
また、第2収納部4には、印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を順次巻回するための上記巻き取り機構40が上方から受け入れられ、印字済み粘着テープ150″の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第2収納部4に収納された状態において、筐体本体2aに設けられた粘着巻き取り用モータM2(巻取用駆動手段に相当)によりギア機構を介して駆動され、第2収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済み粘着テープ150″を巻き取って積層する。これにより、巻き取り機構40の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻回されて、上記第2ロールR2(記録済み媒体ロールに相当)が形成される。なお、本願各図においては、上記ロールR2に備えられる上記印字済み粘着テープ150″は(図示の煩雑防止のために)適宜省略され、当該被印字粘着テープ150″の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形のロールフランジ部のみを図示している。その場合、当該ロールフランジ部に符号「R2」を付して略示している。
また、前方側開閉カバー9の内面には、所定の付勢部材を介して第2ロールR2の外周面に向かう方向に支持された押さえローラ37が設けられている。第2ロールR2の外径が十分に大きい場合には、押さえローラ37の先端が第2ロールR2の外周面に付勢して接触する。なお、上記巻き取り機構40及び軸心O2周辺の構成については、後でより詳しく説明する。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、テープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に第1ロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部5に第3ロールR3が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部4には、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された第1ロールR1の回転により繰り出される被印字粘着テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字粘着テープ150の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済み粘着テープ150′となる。印字形成された印字済み粘着テープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済み粘着テープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第3収納部5へ導入され、当該第3収納部5内において巻回されて第3ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第2収納部4へ導入され、当該第2収納部4内の巻き取り機構40の外周側に巻回されて第2ロールR2が形成される。その際、第2ロールR2よりも後方側、つまりテープ搬送方向に沿った第2ロールR2の上流側において前方側開閉カバー9に設けられたカッター機構30(後述の図6参照)が、印字形成されかつ剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、第2ロールR2に巻回されていく印字済み粘着テープ150″を切断し、切断後は第2ロールR2を第2収納部4から取り出すことができる。
<各部詳細構造>
次に、テープ印刷装置1の各部の詳細構造について順を追って説明する。
<テープカットリッジ>
図5及び上記図4において、テープカートリッジTKは、前述したように、第1ロールR1と、第3ロールR3と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。なお、図5中では、既に述べたように、第1ロールR1において軸心O1まわりに巻回される被印字粘着テープ150、及び、第3ロールR3において軸心O3まわりに巻回される剥離材層151の図示を省略すると共に、第1ロールR1及び第3ロールR3を構成する部材の一部を省略して図示している。
第1ブラケット部20,20は、第1ロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第1ロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により第1ロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第2ブラケット部21,21は、第3ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。
そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
ここで、前述したように、テープカートリッジTKの使用時には、第1ロールR1から被印字粘着テープ150が繰り出されて搬送されることで、当該被印字粘着テープ150が消費される。一方、第3ロールR3には、被印字粘着テープ150が搬送されて印字形成された印字済み粘着テープ150′から、上記引き剥がし部17により引き剥がされた剥離材層151が、軸心O3まわりに巻回される。
<カッター機構の詳細構造>
図6及び図7に示すように、カッター機構30(切断手段に相当)は、ガイド板31と、可動刃32と、可動刃32を支持する可動刃支持部33aを備えた走行体33と、ガイドレール34と、を有する。
ガイド板31は、第2開閉カバー4の開放縁側の内側に、搬送ローラ12よりもテープ搬送方向下流側においてテープ幅方向に延設されている。このガイド板31は、第2開閉カバー4に対して左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。そして、ガイド板31は、上記筐体2内の搬送ローラ12によりテープ幅方向が左右方向となる姿勢で搬送される印字済み粘着テープ150″の上面(言い換えれば被印字層154の上面)に接触してガイドする(図7中の想像線参照)。
ガイド板31の下方には、刃先32aがガイド板31と上下方向に対向するように(この例では刃先32aが上向きとなるように)上記可動刃32が配置されている。可動刃32は、ガイドレール34に案内されてカッターモータ(図示せず)の駆動により走行される上記走行体33により、ガイド板31に沿いつつテープ幅方向に走行して切断を行う(図7中の矢印ウ参照)。上記ガイドレール34は、第2開閉カバー4に対し、上記左右一対の支持板35a,35bにより支持されている。
可動刃32は、ガイドレール34に沿った走行体33の上記走行によって、ガイド板31との間に印字済み粘着テープ150″を狭持しつつ、当該印字済み粘着テープ150″に対し最下層の粘着剤層152から進入し、上記切断を行う。その際、上記可動刃支持部33aは、可動刃32を、テープ幅に沿った上記走行方向に向かって当該可動刃32の刃先32a(図7参照)が印字済み粘着テープ150″をガイド板31方向へ押す態様で傾斜するように(この例では下り傾斜となるように)、走行体33に対して支持している。これにより、印字済み粘着テープ150″は、上面(詳細には印字ヘッド11による印字形成後の被印字層154の上面)がガイド板31に接触されてガイドされつつ、下方に配置された斜め上向きの可動刃32の刃先32aによって最下層の粘着剤層152から進入され切り込まれることにより、幅方向に切断される。このときガイド板31には、走行体33による可動刃32の走行を案内するために、テープ幅方向にスリット31aが孔設されている。
なお、テープ搬送方向に沿ってガイド板31よりも下流側には、印字済み粘着テープ150″の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口(図示省略)へ向かう側との相互間で切り替えるためのシュート15が配されている。
<巻き取り機構及び軸心O2の周辺構造概略>
また、本実施形態では、上述したように第2収納部4に巻き取り機構40が装着され、この巻き取り機構40の外周側に印字済み粘着テープ150″が巻き取られて積層することで、第2ロールR2が形成される。図8〜図10において、筐体本体2aの第2収納部4内で、第2ロールR2が装着された際の軸心O2方向に沿った左・右両側に、それぞれ当該第2ロールR2を挟み込むように対向して略円柱形状の突起である2つの軸受部39が固定的に設けられている。巻き取り機構40は、その軸方向両側の各軸端部をそれぞれ軸受部39,39に装着することで、当該巻き取り機構40の中央部分が回転可能に支持される。このとき、筐体本体2aの第2収納部4における左側の軸受部39よりも後方側の下方では、上記粘着巻き取り用モータM2に連動する駆動ギア38がその歯面の一部を軸受部39に向けて露出している。なお、図8、図9中では、第2ロールR2の図示を省略している。
図10において、巻き取り機構40は、後に詳述するように、軸心方向両側の各軸端部が連結して小径の支持軸となり、これが印字済み粘着テープ150″を巻回する中央のドラム部50の軸中心を貫通して回転自在に支持するよう構成されている。ドラム部50における右側の外周には略円環形状のフランジを備えた第1外筒42が装着されており、ドラム部50における左側の外周には略円環形状のフランジを備えた第2外筒43が装着されている。この第2外筒43は、当該巻き取り機構40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。これにより、巻き取り機構40が巻回する印字済み粘着テープ150″に対し、第1外筒42と第2外筒43がそのテープ幅に合わせて適切に幅方向で挟み込むことができる。
巻き取り機構40の左端側で所定の周方向位置には、上記第2外筒43の移動位置に応じて露出幅が変化する被検出部81が設けられている。この被検出部81は、露出幅に応じて凹凸波の露出量が変化する形状で形成されている(図中の破線部参照)。巻き取り機構40を筐体本体2aの第2収納部4に装着する際には、この被検出部81が下方に位置するように装着される。筐体本体2aの第2収納部4には、巻き取り機構40が装着された際に、被検出部81と対向する位置に検出部82が設けられている。特に詳細に図示しないが、この検出部82は対向する被検出部81の凹凸波の露出量を機械的又は光学的に検出して、上記第2外筒43の軸方向位置を判別する。これにより、第1外筒42と第2外筒43で挟み込んでいる印字済み粘着テープ150″のテープ幅をテープ印刷装置1側で自動的に検出することができ、さらにこのテープ幅に基づいて第2ロールR2の種別や基本径も判別できる。
また、左側の軸受部39の下方近傍位置(図10中で見た軸受部39の背面位置)には、略四角筒形状の突部36が設けられている。
<巻き取り機構の詳細>
図11及び図12において、巻き取り機構40は、上記軸心O2を軸とする略円筒状の内筒41と、上記第1外筒42と、上記第2外筒43と、軸部材51と、被駆動ギア52と、ロック部材53とを備えている。
第1外筒42は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O2方向である左右方向)に沿って一方側端部(詳細には右端部)の外周側に着脱可能に装着される。この第1外筒42は、略円筒状の第1筒部45と、第1筒部45の右端部に一体的に形成された略円環形状の第1フランジ部46とを備えている。
第2外筒43は、内筒41の軸方向(すなわち軸心O3方向である左右方向)に沿って他方側端部(詳細には左端部)の外周側に装着される。この第2外筒43は、略円筒状の第2筒部47と、第2筒部47の左端部に一体的に形成された略円環形状の第2フランジ部48とを備えている。この第2外筒43は、上述したように、巻き取り機構40の左端側の所定の範囲で軸心方向(左右方向)に移動可能に装着されている。なお、内筒41、第1外筒42、及び第2外筒43が、上記のドラム部50を構成している。
内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1フランジ部46及び第2フランジ部48は、互いに軸心方向で対向して配置され、これら第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間には、上記印字済み粘着テープ150″を受け入れ可能な空間が形成される。
また、内筒41に対し第1外筒42及び第2外筒43が装着された状態では、第1筒部45及び第2筒部47は、第1フランジ部46及び第2フランジ部48を接続するように軸心O2に略沿って延設され、これら第1筒部45及び第2筒部47の外周側(言い換えれば、第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間)には、略円筒状の紙芯44(巻取手段に相当)が装着可能である。紙芯44は、前述の引き剥がし部17において印字済み粘着テープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済み粘着テープ150″を、テープ幅方向が左右方向となるように、外周側に巻き付けるための供給部材である。なお、図12中では、第1筒部45及び第2筒部47の外周側に紙芯44が装着されていない状態を図示している(上記図10も同様)。
軸部材51は、全体が略円柱形状の部材であり、右側の端部には筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着可能な第1係合部51aを備え、軸方向中央部には第1係合部51aより小径のシャンク部51bを備え、左側の端部には軸連結部51cを備えている。内筒41の軸中心には貫通穴41aが設けられており、軸部材51のシャンク部51bがこの貫通穴41aを貫通することで当該内筒41は軸部材51に回転自在に支持される。
被駆動ギア52は、筐体本体2aの第2収納部4に設けられている駆動ギア38に噛合可能なギアであり、その右側の端面の中心には外周面にキーを備えた挿入筒52aが設けられている。この挿入筒52aを内筒41の貫通穴41aの左端開口部に挿入することで、被駆動ギア52と内筒41(及び第1外筒42、第2外筒43)が一体に回転できる。なお、挿入筒52aを含めた被駆動ギア52全体の軸中心にも貫通穴52bが形成されており、上記軸部材51の左端部は連結した内筒41と被駆動ギア52を貫通できる。
ロック部材53は、上記被駆動ギア52全体を内部に収容できる略カップ形状のカバー部53aと、このカバー部53aの外周で周方向所定位置に設けられた操作部53bと、カバー部53aの左側端面で軸中心位置に設けられた第2係合部53cと、この第2係合部53cの近傍に設けられた爪部53dとを備えている。また、このロック部材53の内側面(カバー部53aの右側端面)の軸中心位置は、上記軸部材51の左端部の軸連結部51cと着脱可能に連結できる。また、ロック部材53の第2係合部53cは、軸部材51の上記第1係合部51aと同様に筐体本体2aに設置されている上記軸受部39に装着できる。また、カバー部53aの周方向所定位置には、上記被駆動ギア52の歯面の一部を露出させる露出穴53eが設けられている。
上記構成の巻き取り機構40により、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、紙芯44、及び被駆動ギア52が一体に連結される一方で、軸部材51とロック部材53とが一体に連結される。被駆動ギア52に伝達されたトルクは、内筒41、第1外筒42、第2外筒43、及び紙芯44に伝達され、軸部材51とロック部材53に対して回転する。そして、軸部材51の第1係合部51aとロック部材53の第2係合部53cとが上記2つの軸受部39,39によりそれぞれ支持されるように装着された状態で、巻き取り機構40全体が前述の第2収納部4に収納される。すると、被駆動ギア52が駆動ギア38に噛合し、上記印字済み粘着テープ150″の巻き取りが行われる。すなわち、紙芯44の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻き付けられつつ、巻き取り機構40全体が軸受部39に装着された状態で軸心O2まわりに回転する。これにより、紙芯44の外周側に印字済み粘着テープ150″が順次巻き付けられて積層し、上記第2ロールR2が形成される。なお、前述のように紙芯44はドラム部50の一部として巻き取り機構40に組み込まれていることから、言い替えれば紙芯44は、内筒41や軸部材51等を介し軸受部39に対し回転可能に装着されていることになる。
なお、巻き取り機構40は、紙芯44も含めた全ての部材の単位で分解と組み立てを繰り返すことが可能である。これにより、巻き取り機構40の回転と共に、上記第1フランジ部46及び第2フランジ部48の間の空間に順次印字済み粘着テープ150″が導入され、第1筒部45及び第2筒部47に取り付けた紙芯44に印字済み粘着テープ150″が積層されて第2ロールR2が形成された後には、巻き取り機構40全体を分解して第2ロールR2だけを取り外すことができる。
<制御系>
次に、図13を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図13において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。このとき、ROM214には、後述する制御処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。このCPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記第2ロールR2を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記第3ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記カッター機構30の可動刃32を走行させる上記カッターモータM4の駆動制御を行うモータ駆動回路222と、に接続されている。
さらに、CPU212には、表示部215(表示手段に相当。後述の図30も参照)及び操作部216(操作手段に相当)と、第2ロールR2及び第3ロールR3にそれぞれ対応する2つの光学センサ223,224と、PC217が接続されている。
ROM214には、ユーザの入力操作に対応した、PC217から受信された印刷される文字や記号等の印字データ(ドットパターン)がコードデータと対応させて記憶されており、CPU212は、この記憶された印字データを用いて、上記被印字粘着テープ150の印字領域に印字するための印字データを生成する。CPU212は、搬送ローラ12により被印字粘着テープ150を繰り出しつつ、生成された印字データに従って印字ヘッド制御回路217を介し印字ヘッド11により印刷を行わせ、印字済み粘着テープ150′を作成する。
<実施形態の特徴>
前述したように、第2収納部4内の巻き取り機構40の外周側に印字済み粘着テープ150″が巻回され、カッター機構30が印字済み粘着テープ150″を切断することで、第2ロールR2を第2収納部4から取り出し可能となる。本実施形態の特徴は、このようにして形成された第2ロールR2における、巻回時の印字済み粘着テープ150″の巻き終わり側終端部(言い替えればユーザ使用時に引き剥がしを行うときの印字済み粘着テープ150″の先端部)を視覚的に明確化することにある。以下、その詳細を、比較例を参照しつつ詳細に説明する。
<比較例>
上記のような視覚的な明確化に特に配慮しない、本実施形態の比較例を図14に示す。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付す。図14(a)及び図14(b)において、前述したようにして形成される第2ロールR2において、紙芯44のまわりに、被印字層154、基材層153、粘着剤層152を備えた印字済み粘着テープ150″が巻回されている。巻回された状態では、印字済み粘着テープ150″は、第2ロールR2外周側から内周側に向かって、被印字層154、基材層153、粘着剤層152の順の積層構造となっている(前述の図2中の拡大図も参照)。ユーザの使用時には、このような第2ロールR2から印字済み粘着テープ150″を順次引き剥がすことによって、所望の被着体に貼り付けて使用する(図14(b)参照)。
しかしながら、前述のようにしてテープ印刷装置1において所定長さの印字済み粘着テープ150″が巻回されて第2ロールR2が完成されたとき、完成後の第2ロールR2においては、図14(a)に示すように、どこを見ても単純な略円筒状となっている。この結果、上記引き剥がしを行うための印字済み粘着テープ150″の先端部(言い替えれば、上記巻回時の印字済み粘着テープ150″の巻き終わり側終端部J2の位置)が、ユーザにとっては視覚的にわかりにくい。図示の例では、例えば印字済み粘着テープ150″の被印字層154において、「ABC・・・XWZ」のアルファベットの印字部155がこの順序で形成されている。そして、上記巻回後には最外周に「RSTUVWXYZ」が露出しており、文字「Z」の直後の上記巻き終わり側終端部J2が、引き剥がし時の先端部となる。しかしながら、(特にテープ厚さが比較的小さい場合等においては)その終端部J2の位置が、視覚的に非常に分かりづらい。
<本実施形態の手法>
そこで、本実施形態においては、上記巻回時の巻き終わり側終端部J2が第2ロールR2のどの箇所にあるかを明確に表す終端表示識別子(詳細は後述)が、(通常のテキスト文字等の印字155とは別に)印字ヘッド11によって形成される。またこれと共に、上記巻回時の巻き始め側始端部が第2ロールR2のどの箇所にあるかを明確に表す、始端表示識別子(詳細は後述)も、(通常のテキスト文字等の印字155とは別に)印字ヘッド11によって形成される。
すなわち、本実施形態では、図15(a)に示すように、上記第2ロールR2の形成のために紙芯44に印字済み粘着テープ150″を巻回するとき、印字済み粘着テープ150″の巻き始め側始端部J1(巻き始め側端部、搬送方向下流側端部に相当)の近傍の被印字層154に、始端表示識別子161(第2記録識別子に相当)が形成されている。始端表示識別子161は、この例では、3つの「▲」マークにより構成されている。なお、この例では、始端表示識別子161は、当該表示識別子161を含む印字済み粘着テープ150″に対する印字155(この例ではアルファベット文字「ABC・・」)の形成が印字ヘッド11により行われるときではなく、その1回前の第2ロールR2の形成時に予め形成済みとなっている(詳細は後述)。印字ヘッド11は、印字済み粘着テープ150″の巻回とともに、上記始端表示識別子161に後続する上記印字155(この例ではアルファベット文字「ABC・・」)の形成を開始する。
上記巻回開始後、図15(b)に示すように、さらに、アルファベット文字「・・KLMN・・」からなる印字部155の形成が印字ヘッド11により印字層154に対して継続されるとともに、当該被印字部155を備えた印字済み粘着テープ150″の巻回が続行される。
そして、図15(c)に示すように、最終的にアルファベット文字「・・XYZ」からなる印字部155の形成が印字ヘッド11により終了した後、さらにそのテープ下流側に位置する巻き終わり側終端部J2(巻き終わり側端部、搬送方向上流側端部に相当)の近傍の被印字層154に、印字ヘッド11によって終端表示識別子162(第1記録識別子に相当)が形成される。この例では、終端表示識別子162は、上記始端表示識別子161とはテープ搬送方向に沿って逆向きの3つの「▲」マークにより構成されている。なお、この終端表示識別子162の近傍に位置する上記巻き終わり側終端部J2(言い替えればこれに後続する印字済み粘着テープ150″の巻き始め側始端部J1)は、上記終端表示識別子162と上記後続の印字済み粘着テープ150″の上記始端表示識別子161と(これら2つの表示識別子161,162は後述のように近接したタイミングで略一括して印刷される)の中間部を、カッター機構30が切断することによって形成されている。
上記のようにして構成された本実施形態の第2ロールR2の外観を、上記比較例における図14(a)に対応する、図16(a)に示す。
図16(a)において、本実施形態の第2ロールR2においても、上記比較例同様、外形は単純な略円筒状となっている。しかしながら、最外周に露出している被印字層154において、「RSTUVWXYZ」のアルファベットの印字部155のうち末端の「Z」の文字の近傍に、上記のようにして巻き終わり側終端部J2の近傍に形成された終端表示識別子162が存在している。これにより、ユーザは、終端表示識別子162によって、巻き終わり側終端部J2の位置が第2ロールR2の筒体外周のどの箇所にあるかを視覚的に容易に判別することができる。この結果、図16(b)に示すように、ユーザは、巻回された印字済み粘着テープ150″を紙芯44から容易に引き剥がし、所望の被着体に貼り付けて使用することができる。
なお、上記のように終端表示識別子162及び始端表示識別子161を「▲」マークとする他に、表示識別子として、帯状等の所定形状の塗りつぶし領域としたり、その他各種シンボル等を採用したりしても良い。
<印刷処理制御内容>
上記の手法を実現するために、テープ印刷装置1のCPU212によって実行される印刷処理の制御内容を、図17のフローにより説明する。図17において、例えばユーザによりテープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まずステップS205で、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始して、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送を開始する。この時点で、上述したように、印字済みテープ150″の前端の被印字層154には、図18に示すように、前回の第2ロールR2の形成時において既に始端表示識別子161が形成された状態である(後述の図22も参照)。
その後、ステップS210で、CPU212は、上記PC217での入力操作に対応して生成された上記印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字開始位置まで前述の搬送が到達したか否かを判定する。印字開始位置に到達していない場合、判定は満たされず(S210:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。印字開始位置に到達した場合、判定は満たされ(S210:YES)、ステップS215に移る。
ステップS215では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150への印字部155(この例ではアルファベット「ABC・・」の文字)の形成を開始する(図19参照)。
その後、ステップS220で、CPU212は、上記PC217での入力操作に対応して生成された上記印字データに基づき、公知の手法により、上記印字部155の印字終了位置まで前述の搬送が到達したか否かを判定する。印字終了位置に到達していない場合、判定は満たされず(S220:NO)、ステップS215に戻り同様の手順を繰り返す。これにより、上述の印字部155の形成が続行される(図19参照)。一方、印字終了位置に到達した場合、判定は満たされ(S220:YES)、ステップS225に移る。
ステップS225では、上記PC217での入力操作に対応して生成された上記印字データに基づき決定される上記巻き終わり側終端部J2の位置に対応させて、公知の手法により、上記終端表示識別子162(上記の例では「▲」マーク。以下同様)の形成位置まで前述の搬送が到達したか否かを判定する。終端表示識別子162の形成位置に到達していない場合、判定は満たされず(S225:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。形成位置に到達した場合、判定は満たされ(S225:YES)、ステップS230に移る。
ステップS230では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150に対し、終端表示識別子162を形成する(図20参照)。その後、ステップS235に移る。
ステップS235では、上記PC217での入力操作に対応して生成された上記印字データに基づき決定される上記巻き終わり側終端部J2の位置(言い替えればその後続の印字済み粘着テープ150″のための上記巻き始め側始端部J1の位置)に対応させて、公知の手法により、上記始端表示識別子161(上記の例では「▲」マーク。以下同様)の形成位置まで前述の搬送が到達したか否かを判定する。始端表示識別子161の形成位置に到達していない場合、判定は満たされず(S235:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。形成位置に到達した場合、判定は満たされ(S235:YES)、ステップS240に移る。
ステップS240では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150に対し、始端表示識別子161を形成する(図20参照)。これにより、この例では、上記ステップS230において「▲」マークとして形成された終端表示識別子162と、このステップS240において逆向きの「▲」マークとして形成された始端表示識別子161とが、(後述の切断部位に相当する)それら識別子162,161の中間箇所を中心に所定の間隔をおいて互いに対向して印刷されることとなる。その後、ステップS245に移る。
ステップS245では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対するすべての印字形成を停止する。その後、ステップS250に移る。
ステップS250では、上記巻き終わり側終端部J2の位置(言い替えればその後続の印字済み粘着テープ150″のための上記巻き始め側始端部J1の位置)が、上記カッター機構30の可動刃32の位置となるまで前述の搬送が到達したか否かを判定する。可動刃32の位置に到達していない場合、判定は満たされず(S250:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。可動刃32の位置に到達した場合、判定は満たされ(S250:YES)、ステップS255に移る。
次にステップS255で、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の上記終端表示識別子162及び始端表示識別子161の中間部J(切断後は巻き終わり側終端部J2及び巻き始め側始端部J1となる位置)が上記カッター機構30の可動刃32の位置となった状態で、搬送が停止する(図21参照)。
その後、ステップS260で、CPU212は、カッター駆動回路222に制御信号を出力し、カッターモータM4を駆動してカッター機構30の作動による印字済みテープ150″の中間部Jの切断を行う。この切断後には、先行する搬送方向下流側の印字済み粘着テープ150′の切断端部が上記巻き終わり側終端部J2となり、後続する搬送方向上流側の印字済み粘着テープ150′の切断端部が上記巻き始め側始端部J1となる(図22参照)。
そして、ステップS265に移り、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を開始して、すべての印字済みテープ150′を紙芯44へと巻き取る。
その後、ステップS270では、CPU212は、上記ステップS260でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していない場合、判定は満たされず(S270:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。この所定時間は、上記巻き終わり側終端部J2よりも搬送方向下流側のすべての印字済みテープ150″を紙芯44へと巻き取れるだけの時間でよい。所定時間が経過したらこの判定は満たされ(S270:YES)、ステップS275へ移る。
ステップS275では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。これにより、上記切断により生じた上記巻き終わり側終端部J2よりも搬送方向下流側のすべての印字済みテープ150″を確実に第2ロールR2で巻き取ることができる。この結果、紙芯44の外周側に巻回された第2ロールR2側の印字済み粘着テープ150″(上記巻き終わり側終端部J2の近傍に終端表示部162を備える)と、被印字テープ150に連結された状態の後続の印字済み粘着テープ150″(上記巻き始め側始端部J1の近傍に始端表示部161を備える)とが、分断されて離間した状態となる(図22参照)。
その後、ステップS280で、CPU212は、上記の処理がすべて正常に行われ終了した旨を上記表示部215(又はPC117)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
なお、上記したステップS205〜ステップS280の各処理を実行するCPU212が、各請求項記載の連携制御手段として機能する。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態においては、終端表示識別子162を用いて、上記巻回による完成後の第2ロールR2において印字済み粘着テープ150″の先端部がどこであるかを、明確に表示することができる。この結果、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、紙芯44に巻回された印字済み粘着テープ150″の巻き始め側始端部J1の近傍に始端表示識別子161が形成され、巻き終わり側終端部J2の近傍に終端表示識別子162が形成されている。そして、これら2つの表示識別子161,162は、上述したように、被印字粘着テープ150の被印字層154に対し印字ヘッド11によってそれら終端表示識別子162及び始端表示識別子161を(近接したタイミングで)略一体として印刷しておき、その一体となった両識別子の中間部Jをカッター機構30によって切断することで、円滑に形成される。本実施形態においては、このようにしてカッター機構30の切断部位を跨ぐように印字ヘッド11による上記表示識別子161,162の印字形成が行われることで、テープ端部(媒体端部に相当)であることを表す視覚的表示を円滑かつ確実に行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような条件を満たす各種変形例を順を追って説明する。なお、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
(1)巻き始め側始端部及び巻き終わり側終端部の近傍にそれぞれ個体情報を設ける場合
本変形例では、まず図23(a)に示すように、印字済み粘着テープ150″の上記巻き始め側始端部J1近傍の被印字層154に対し、第1個体情報163が印字形成される。この例では、第1個体情報163として、例えば、第2ロールR2に係わる「製造日時、製造者・販売者、ロール識別情報等を表す、「2013年○月△日、ロールIDxxxx」の文字が形成されている。
本変形例では、上記図15(b)と同様、図23(b)に示すように、アルファベット文字「・・KLMN・・」からなる印字部155の形成が印字ヘッド11により継続されつつ、当該印字部155を備えた印字済み粘着テープ150″の巻回が続行される。
そして、上記のようにして巻回がなされるときの後端部近傍では、図23(c)に示すように、印字済み粘着テープ150″の上記巻き終わり側終端部J2近傍の被印字層154に対し、第2個体情報164が印字形成される。この例では、上記第2個体情報164として、上記第1個体情報163と同様の、第2ロールR2に係わる「製造日時、製造者・販売者、ロール識別情報」等を表す、「2013年○月△日、ロールIDxxxx」の文字が形成されている。
本変形例によれば、巻き始め側始端部J1近傍に第1個体情報163が設けられることにより、ユーザや製造者・販売者に対し、第2ロールR2の品質管理や流通管理等の便宜を図ることができる。また、巻き始め側始端部J1、言い替えればロール径方向最内周に個体情報を設けることにより、第2ロールR2の使用開始後、つまり印字済み粘着テープ150″の引き剥がしがなされた後であっても、使い終わるまで当該個体情報を失うことなく保持することができる。
また、巻き終わり側終端部J2近傍に第2個体情報164が設けられることにより、上記同様、ユーザや製造者・販売者に対し、第2ロールR2の品質管理や流通管理等の便宜を図ることができる。また、巻き終わり側終端部J2、言い替えればロール径方向最外周に個体情報を設けることにより、第2ロールR2が未使用の状態において外観上一目瞭然に各種情報を明示することができる。
なお、上記の例では、第1個体情報163と第2個体情報164との両方を設けたが、いずれか一方のみを設けても良い。
(2)第1個体情報を鏡像印刷した場合
すなわち、本変形例では、図24(a)に示すように、紙芯44′(巻取手段に相当)を適宜の透過性材料により構成し、上記第1個体情報163を、鏡像印刷によって被印字層154に形成する。この例では、第1個体情報163として、「2013年○月△日、ロールIDxxxx」を鏡像にした印字が形成される。
本変形例においては、紙芯44′が透過性材料で構成されていることにより、第2ロールR2が未使用又は使用途中で紙芯44′に印字済み粘着テープ150″が巻回されている状態であっても、ユーザは、ロール径方向最内周の印字済み粘着テープ150″に形成された第1個体情報163を、紙芯44′越しに透かして視認することができる。その際、特に、当該第1個体情報163が鏡像印刷されていることにより、ユーザが上記のように透かして視認した(言い替えればテープ裏側から視認した)ときに、ユーザは印刷内容を正像(上記の例では「2013年○月△日、ロールIDxxxx」)として視認することができる。これにより、ユーザが上記個体情報を正確かつ確実に把握することができるので、さらに確実に利便性を向上することができる。
(3)クーリング実行時にその回数等を併せて表示する場合
例えば、連続動作による印字ヘッド11の過熱を抑制するための、いわゆるクーリングが実行される場合がある。このとき、当該クーリングの実行回数や実行タイミングを、上記終端表示識別子において表示するようにしてもよい。以下、そのような変形例を説明する。
<制御系>
本変形例のテープ印刷装置1に備えられる制御系の機能ブロック図(上記実施形態の図13に相当する図)を図25に示す。図25に示すように、本変形例のテープ印刷装置1では、印字ヘッド11の温度を検出する温度センサSRが設けられ、CPU212に接続される。このとき、CPU212は、印字制御部212Aと、クーリング制御部212Bと、を機能的に備えている。印字制御部212Aは、後述する図29のフローの各手順を実行することで、印字ヘッド11、搬送ローラ12、及びカッター機構30等を互いに連携制御する。クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字制御部212Aに対して一時停止指示信号(詳細は後述)を出力する。
<クーリング制御の処理内容>
上記クーリング制御部212Bが実行する処理内容を表すフローチャートを、図26に示す。図26において、CPU212のクーリング制御部212Bは、まずステップS110及びステップS120で、印字ヘッド11による印字形成を停止する印字停止温度T1、及び、停止後に再び印字形成を再開するための再開温度T2、をそれぞれ設定する。この設定は、予め適宜の記憶手段に記憶されていた値を読み出してRAM213に格納してもよいし、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの操作に対応した値を取得してRAM213に格納してもよい。その後、ステップS130に移る。
ステップS130では、クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字ヘッド11の温度Tが上記印字停止温度T1以上となったか(T≧T1となったか)否か、を判定する。T<T1である間はステップS130の判定が満たされず(S130:NO)、ループ待機する。T≧T1となったらステップS130の判定が満たされ(S130:YES)、ステップS140に移る。
ステップS140では、クーリング制御部212Bは、上述の一時停止指示信号(印刷停止指令に相当)を印字制御部212Aに出力する。これにより、印字制御部212Aによるテープ搬送・印字形成の一時停止制御が行われる(詳細は後述)。
その後、ステップS150で、クーリング制御部212Bは、上記温度センサSRの検出結果に基づき、印字ヘッド11の温度Tが上記再開温度T2以下となったか(T≦T2となったか)否か、を判定する。T>T2である間はステップS150の判定が満たされず(S150:NO)ループ待機する。T≦T2となったらステップS150の判定が満たされ(S150:YES)、ステップS160に移る。
ステップS160では、クーリング制御部212Bは、作成再開指示信号(詳細は後述)を印字制御部212Aに出力する。これにより、後述のように、印字制御部212Aによるテープ搬送・印字形成を再開する制御が行われる。その後、このフローを終了する。
<終端表示識別子におけるクーリング回数等の表示>
上述したように、本変形例では、上記のようにして印刷動作中にクーリングが実行された場合には、上記終端表示識別子において当該クーリングの実行回数や実行タイミングが表される。その詳細を図27及び図28により説明する。
すなわち、本変形例では、上記実施形態の図15と同様、図27(a)に示すように、上記第2ロールR2の形成のために紙芯44に印字済み粘着テープ150″を巻回するとき、印字済み粘着テープ150″の巻き始め側始端部J1(巻き始め側端部、搬送方向下流側端部に相当)の近傍の被印字層154に、始端表示識別子161′(第2記録識別子に相当)が形成されている。始端表示識別子161′は、この例では、テープ幅方向の太直線の両端に2つの「▼」マークが横向きに設けられた、略「Σ」状のマークにより構成されている。なお、この例でも、上記実施形態と同様、始端表示識別子161′は、当該表示識別子161′を含む印字済み粘着テープ150″に対する印字155(この例ではアルファベット文字「ABC・・」)の形成が印字ヘッド11により行われるときではなく、その1回前の第2ロールR2の形成時に予め形成済みとなっている(詳細は省略)。印字ヘッド11は、印字済み粘着テープ150″の巻回とともに、上記始端表示識別子161′に後続する上記印字155(この例ではアルファベット文字「ABC・・」)の形成を開始する。
上記巻回開始後、前述の図15(b)と同様、図27(b)に示すように、さらに、アルファベット文字「・・KLMN・・」からなる印字部155の形成が印字ヘッド11により印字層154に対して継続されるとともに、当該被印字部155を備えた印字済み粘着テープ150″の巻回が続行される。
そして、上記図15(c)に対応する図27(c)に示すように、最終的にアルファベット文字「・・XYZ」からなる印字部155の形成が印字ヘッド11により終了した後、さらにそのテープ下流側に位置する巻き終わり側終端部J2(巻き終わり側端部、搬送方向上流側端部に相当)の近傍の被印字層154に、印字ヘッド11によって終端表示識別子162′(第1記録識別子に相当)が形成される。この例では、終端表示識別子162′は、上記始端表示識別子161′とはテープ搬送方向に沿って逆向きの、逆「Σ」状のマークにより構成されている。なお、上記実施形態と同様、この終端表示識別子162′の近傍に位置する上記巻き終わり側終端部J2(言い替えればこれに後続する印字済み粘着テープ150″の巻き始め側始端部J1)は、上記終端表示識別子162′と上記後続の印字済み粘着テープ150″の上記始端表示識別子161′と(これら2つの表示識別子161′,162′は後述のように近接したタイミングで略一括して印刷される)の中間部を、カッター機構30が切断することによって形成されている。
そして、本変形例の特徴として、上記終端表示識別子162′において、3つのクーリング実行標識v1,v2,v3(停止記録標識に相当)が、(この例では終端表紙識別子162′中のホワイトラインとして)形成されている。このとき、この例では、上記終端表示識別子162′の上記Σ状のマークのうちの太直線のテープ幅方向長さが、上記印字済み粘着テープ150″の巻回開始から巻回終了(言い替えれば第2ロールR2の作成完了)までの時間を表している。図27(c)中の右手前側が上記巻回開始のタイミングを表し、図27(c)中の左奥側が上記巻回終了のタイミングを表している(これに対応して終端表示識別子162′近傍に「START」「END」等の印字形成を行ってもよい)。そして、この例では、上記終端表示識別子162′に形成されたクーリング実行標識v1,v2が、上記巻回動作中の前半にクーリングが2回実行されたことを表しており、クーリング実行標識v3が、上記巻回動作中の後半にクーリングが1回実行されたことを表している。言い替えれば、上記Σ状のマークのうちの太直線のテープ幅方向長さは、上記第2ロールR2中に巻回されている印字済み粘着テープ150″の全長を表しており、図27(c)中のクーリング実行標識v1,v2,v3は、その全長のうちのどの部分の印刷実行中にクーリングが実行されたか、を表していることにもなる。
上記のようにして構成された本変形例の第2ロールR2の外観を、上記実施形態における図16(a)に対応する、図28に示す。
図28(a)に示すように、本変形例の第2ロールR2も、上記実施形態と同様、最外周に露出している被印字層154において、巻き終わり側終端部J2の近傍に形成された終端表示識別子162′が存在している。これにより、ユーザは、終端表示識別子162′によって、巻き終わり側終端部J2の位置が第2ロールR2の筒体外周のどの箇所にあるかを視覚的に容易に判別することができる。そして、当該終端表示識別子162′に形成されるクーリング実行標識v1,v2,v3の数や場所により、上記第2ロールR2の作成中において、どのタイミングで何回クーリングが実行されたか、を明確に表すことができる。
なお、クーリングが実行されなかった場合には、上記終端表示識別子162′には上記クーリング実行標識の形成は行われない。
<制御手順>
上記手法を実現するために、CPU212の上記印字制御部212Aにより実行される処理内容を、図29のフローにより説明する。
図29に示すフローにおいては、上記ステップS205の前にステップS200が新たに設けられた点、上記ステップS215とステップS220との間にステップS216、ステップS217、ステップS218、ステップS219が新たに設けられた点、上記ステップS225の後にステップS227、ステップS229が新たに設けられた点、が上記図17と異なる。
すなわち、まず新たに設けられたステップS200で、クーリングが実行されたことを表すクーリングフラグFを0に初期化する。
その後、上記図17と同様のステップS205、ステップS210を経て、ステップS215で被印字テープ150への印字部155の形成を開始した後、新たに設けたステップS216に写る。
ステップS216では、印字制御部212Aは、上記クーリング制御部212Bからの上記一時停止指示信号(上記図26のステップS140参照)が入力されたか否かを判定する。上記一時停止指示信号が入力されない場合はステップS216の判定が満たされず(S216:NO)、後述のステップS220に移る。上記一時停止指示信号が入力されたらステップS216の判定が満たされ(S216:YES)、ステップS217に移る。
ステップS217では、印字制御部212Aは、上記ステップS216で入力された一時停止指示信号に基づき、モータ駆動回路218,219,220及び印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を制御し、上記テープ搬送を停止すると共に上記印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止し、印字形成を停止する。
その後、印字制御部212Aは、ステップS218で、上記フラグFを、クーリングを実行したことを表す1とする。その後、ステップS219に移る。
ステップS219では、印字制御部212Aは、上記クーリング制御部212Bからの作成再開指示信号(上記図26のステップS160参照)が入力されたか否かを判定する。上記作成再開指示信号が入力されない間はステップS219の判定が満たされず(S219:NO)、ステップS219の判定が満たされるまでループ待機する。上記作成再開指示信号が入力されたらステップS219の判定が満たされ(S219:YES)、ステップS221に移る。
ステップS221では、印字制御部212Aは、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を制御し、上記テープ搬送及び上記印字済みテープ150″の巻き取りを再び開始する。これとともに、印字制御部212Aは、上記ステップS215と同様、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って印字部215の形成を再開する。
その後、上記図17と同様のステップS220を経て、ステップS225で、印字制御部212Aは、上記同様、終端表示識別子162′の形成位置まで上記搬送が到達したか否かを判定する。終端表示識別子162の形成位置に到達していない場合、判定は満たされず(S225:NO)、この判定が満たされるまでループ待機する。形成位置に到達した場合、判定は満たされ(S225:YES)、新たに設けたステップS227に移る。
ステップS227では、印字制御部212Aは、上記フラグF=1であるか否か(言い替えればクーリングが実行されたか否か)を判定する。ステップS215〜ステップS220までの繰り返しによる印字部155の形成処理においてクーリングが実行されておらずF=0の場合は、ステップS227の判定が満たされず(S227:NO)、上記図7と同様のステップS230に移り、上記被印字テープ150に対し、(クーリング実行標識を含まない)終端表示識別子162′を形成する。その後のステップS235以降は図17と同様であり、説明を省略する。
一方、上記ステップS227において、上記印字部155の形成処理においてクーリングが1度でも実行されておりF=1となっている場合は、ステップS227の判定が満たされ(S227:YES)、新たに設けたステップS229に移る。ステップS229では、印字制御部212Aは、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って上記被印字テープ150に対し、上記クーリング実行標識v1,v2,v3を含む終端表示識別子162′を形成する。このとき、上記ステップS215〜ステップS220までの繰り返し途中でのクーリングの実行されたタイミングや回数が、当該クーリング実行時に適宜の箇所(例えばRAM213)に記憶されており、印字制御部212Aは、上記記憶結果に基づき、クーリング実行標識v1,v2,v3の形成箇所(上記の例では上記Σ状のマークの太直線のテープ幅方向長さのうちのどの部位に形成するか)を決定する。ステップS229の終了後は、上記ステップS235に移行し、以降の処理は図17と同様である。
なお、上記ステップS216〜ステップS218の各手順を実行する印字制御部212Aが、各請求項記載の停止制御手段として機能する。また、ステップS200〜ステップS215及びステップS220〜ステップS280の各処理を実行する印字制御部212Aが、各請求項記載の連携制御手段として機能する。
以上のように構成した本変形例によれば、第2ロールR2の形成途中にクーリングによる印刷動作停止があった場合に、その旨及びその動作停止がいつごろ何回あったかを、形成された第2ロールR2において、上記終端表示識別子162′中のクーリング実行標識v1,v2,v3によりユーザに対し視覚的に明確化することができる。
なお、以上においては、第2ロールR2の形成中にクーリングがあった場合に、終端表示識別子162′中に上記クーリング実行標識を形成したが、これに限られない。すなわち、上記始端表示識別子161′中に上記クーリング実行標識を形成してもよい。但し、前述したように、上記の例では、始端表示識別子161′は、当該表示識別子161′を含む印字済み粘着テープ150″に対する印字155の形成が印字ヘッド11により行われるときではなく、その1回前の第2ロールR2の形成時に形成される。すなわち、新たに第2ロールR2を形成するときに印字済み粘着テープ150″の始端表示識別子161′に形成されているクーリング実行標識は、1回前のロール形成時のクーリング挙動を表している。したがって、今回の第2ロールR2の形成に当たってのクーリング挙動の目安(テープ印刷装置1の温度が比較的高くなっていることから、今回ロール形成時においてもクーリングが行われる可能性が比較的高い)を、ユーザに対し視覚的に与えることができる。
(4)プログレスバーによるクーリング実行表示を行う場合
すなわち、上記のようにして第2ロールR2の作成途中にクーリングが実行されるとき、CPU212が上記表示部215を制御することで、時々刻々と伸びるいわゆるプログレスバー(進展表示に相当)によって当該クーリングの実行タイミングや実行回数を表示するようにしてもよい(表示制御手段としての機能)。
例えば図30中の拡大図に示すように、この例では、プログレスバーPBは、上記第2ロールR2の作成の進行状態を帯状に延びる黒色部分によって示されている。図30拡大図中の最上段の例では、第2ロールR2の作成が全体の1/2(25%)程度進行している状態を表している。そして、上記クーリングの実行を表すクーリング実行マークw1(停止表示標識に相当)が、上記黒色部分の下方に、併せて示されている。図30拡大図中の最上段の例では、上記第2ロールR2の作成が全体の15%程度進行したときに、まず(第1回目の)クーリングが行われたことを表している。
上記同様、図30拡大図中の中段の例では、第2ロールR2の作成が全体の65%程度進行している状態を表しており、2つのクーリング実行マークw1,w2(停止表示標識に相当)が併せて示されている。この例では、上記15%程度進行時の第1回目のクーリングに加え、その後上記第2ロールR2の作成が全体の25%程度進行したときに、さらに第1回目のクーリングが行われたことを表している。
上記同様、図30拡大図中の再下段の例では、第2ロールR2の作成が100%完了した状態を表しており、3つのクーリング実行マークw1,w2,w3(停止表示標識に相当)が併せて示されている。この例では、上記15%程度進行時、20%程度進行時の第1回目及び第2回目のクーリングに加え、その後上記第2ロールR2の作成が全体の80%程度進行したときに、さらに第3回目のクーリングが行われたことを表している。
以上のように構成した本変形例においては、クーリングが少なくとも1回実行された場合に、当該クーリングが行われた回数やタイミングを表すクーリング実行マークw1,w2,w3・・等がプログレスバーPBとともに表示部215中に表示される。これにより、第2ロールR2の形成途中にクーリングによる印刷動作停止があった場合に、その旨及びその動作停止がいつごろ何回あったかを、表示部215での表示においてユーザに対し視覚的に明確化することができる。
(5)その他
なお、上記(3)(4)の変形例においては、クーリングの実行時にクーリング制御部212Bから出力される一時停止指示信号に応じて印字制御部212Aがテープ搬送及び印字形成の停止・再開を制御する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち例えば、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの緊急停止操作に基づき、当該操作部216(又は上記PC217)から出力された一時停止指示信号(印刷停止指令に相当)が印字制御部212Aに入力され、これに応じて上記テープ搬送及び印字形成の停止・再開が制御される場合に上記手法を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
また、上記実施形態や(1)(2)(3)の変形例のような終端表示識別子162,162′や始端表示識別子161,161′の印字形成を実行するモード(第1モードに相当)と、それらの印字形成を実行しないモード(第2モードに相当)とを用意し、上記操作部216での操作によってそれらのうちいずれかのモードをユーザが選択可能としてもよい。この場合、上記第1モードが選択された場合には、CPU212(又は印字制御部212A)は、図17の図29の処理により上記終端表示識別子162,162′や始端表示識別子161,161′の印字形成を実行する。第2モードが選択された場合には、図17のステップS225〜ステップS240や、図29のステップS225〜ステップS240は省略される。
これにより、終端表示識別子162,162′や始端表示識別子161,161′による印字済み粘着テープ150″の端部の明示を実行するかしないか、をユーザの任意により選択することができる。
なお、以上において、図13、図25に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、上記図17、図29に示したフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。