以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「前方」「後方」「左方」「右方」「上方」「下方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「前方(前)」「後方(後)」「左方(左)」「右方(右)」「上方(上)」「下方(下)」とは、その注記された方向を指す。
<テープ印刷装置の概略構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態に係わるテープ印刷装置の概略構成について説明する。
<筐体>
図1〜図4において、本実施形態のテープ印刷装置1(印刷物作成装置に相当)は、装置外郭を構成する筐体2を有している。筐体2は、筐体本体2aと、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9と、を備えている。
筐体本体2a内には、後方側に設けられた第1収納部3と、前方側に設けられた第2収納部5及び第3収納部4と、が備えられている。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することで、第1収納部3の上方を開閉可能である。この後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側の上部に設けられた所定の回動軸心K1まわりに回動することで、第1収納部3のうち前方側の上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、第1収納部3のうち前方側の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第1収納部3のうち前方側の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
第1開閉カバー8aの内部には、ヘッド保持体10が設けられている(図3も参照)。そして、第1開閉カバー8aは、上記の回動軸心K1まわりに回動することで、ヘッド保持体10に備えられた印字ヘッド11を、筐体本体2aに設けられた搬送ローラ12に対して相対的に離反・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aの上記閉じ位置(図1、図2の状態)では印字ヘッド11が搬送ローラ12に対して近接し、第1開閉カバー8aの上記開き位置(図3、図4の状態)では、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離反する。
第2開閉カバー8bは、上記第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられており、筐体本体2aの後方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K2まわりに回動することで、第1収納部3のうち後方側の上方を、上記第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、第1収納部3のうち後方側の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、第1収納部3のうち後方側の上方を露出させる開き位置(図3及び図4の状態)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、第1収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側の上端部に設けられた所定の回動軸心K3まわりに回動することで、第3収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、第3収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1、図2の状態)から、第3収納部4の上方を露出させる開き位置(図3、図4の状態)までの間で回動可能である。
<被印字テープロール及びその周辺>
このとき、図2〜図4に示すように、筐体本体2aにおける、閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある第1所定位置13には、テープカートリッジTK(図2参照)が着脱可能に装着される。このテープカートリッジTKは、軸心O1まわりに巻回形成された第1ロールR1を備えている。
すなわち、テープカートリッジTKは、図5に示すように、第1ロールR1と、連結アーム16とを備えている。連結アーム16は、後方側に設けられた左・右一対の第1ブラケット部20,20と、前方側に設けられた左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備えている。
第1ブラケット部20,20は、上記第1ロールR1を、軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第1ロールR1を当該軸心O1まわりに回転可能に保持する。これら第1ブラケット部20,20は、上端部において左右方向に略沿って延設された第1接続部22により第1ロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第1ロールR1は、テープカートリッジTKが筐体本体2aの内部に装着された際には回転自在となる。第1ロールR1は、繰り出しにより消費される被印字テープ150(粘着テープに相当:後述する被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151を備える。図2中拡大図参照)を、あらかじめ左右方向の軸心O1まわりに巻回している。
第1収納部3には、上記テープカートリッジTKの装着によって、第1ロールR1が上方から受け入れられ、被印字テープ150の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、被印字テープ150を繰り出す。
本実施形態では、粘着性を備えた被印字テープ150が用いられる場合を例示している。すなわち、被印字テープ150は、被印字層154、基材層153、粘着剤層152、剥離材層151が、厚さ方向一方側(図2中の上方側)から他方側(図2中の下方側)へ向かって、この順序で積層されている。被印字層154は、上記印字ヘッド11によるインクの熱転写によって所望の印字部155(図2中の部分拡大図参照)が形成される層である。粘着剤層152は、基材層153を適宜の被着体(図示省略)に貼り付けるための層である。剥離材層151は、粘着剤層152を覆う層である。
<搬送ローラ及び印字ヘッド>
図2〜図4に戻り、筐体本体2aにおける第1収納部3及び第2収納部5の中間上方側には、上記搬送ローラ12が設けられている。搬送ローラ12は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM1によりギア機構(図示省略)を介して駆動されることで、第1収納部3に収納された第1ロールR1から繰り出される被印字テープ150を、テープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、第1開閉カバー8aに設けられた上記ヘッド保持部10には、上記印字ヘッド11が備えられている。印字ヘッド11は、上述したように、第1開閉カバー8aが回動軸心K1まわりに回動することで、搬送ローラ12に対して相対的に離間・近接可能である。すなわち、第1開閉カバー8aが閉じ状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12に近接し、第1開閉カバー8aが開き状態となると、印字ヘッド11が搬送ローラ12から離間する。この印字ヘッド11は、搬送ローラ12により搬送される被印字テープ150を当該搬送ローラ12と協働して挟持するように、ヘッド保持部10のうち閉じ状態での第1開閉カバー8aにおいて搬送ローラ12の上方に対向する位置に配置されている。したがって、第1開閉カバー8aが閉じ状態である場合には、印字ヘッド11と搬送ローラ12とは、互いに上下方向に対向して配置される。そして、印字ヘッド11は、搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150の被印字層154に対し、後述するインクリボンカートリッジRKのインクリボンIBを用いて所望の印字を形成して、印字済みテープ150′とする。
<インクリボンカートリッジ>
図2及び図3に示すように、筐体本体2aにおける閉じ状態での第1開閉カバー8aの下方でかつテープカートリッジTKの上方となる第2所定位置14には、インクリボンカートリッジRKが着脱可能に装着される。このインクリボンカートリッジRKは、未使用のインクリボンIBを繰り出し可能に巻回したリボン繰り出しロールR4と、リボン巻き取りロールR5とを備えている。インクリボンカートリッジRKは、後方側の繰り出しロール収納部81と、前方側の巻き取りロール収納部82と、が中央の連結部(図示省略)によって連結されている。連結部は、リボン繰り出しロールR4から繰り出された上記インクリボンIBをインクリボンカートリッジRK外に露出させるようにしつつ、上記巻き取りロール収納部82と上記繰り出しロール収納部81とを連結する。
リボン繰り出しロールR4は、繰り出しロール収納部81内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のD方向)に回転することで、印字ヘッド11による印字形成を行うためのインクリボンIBを繰り出す。
リボン巻き取りロールR5は、巻き取りロール収納部82内において回転自在に支持されており、インクリボンカートリッジRKが装着された状態において所定の回転方向(図2中のE方向)に回転することで、印字形成後の使用済みのインクリボンIBを巻き取る。
すなわち、図2において、リボン繰り出しロールR4から繰り出されるインクリボンIBは、印字ヘッド11と搬送ローラ12との間に挟まれた状態の被印字テープ150のさらに印字ヘッド11側に配置されて印字ヘッド11の下方に接触する。そして、印字ヘッド11からの加熱によりインクリボンIBのインクが、被印字テープ150の被印字層154に転写されて印字形成が実行された後、使用済みのインクリボンIBが、リボン巻き取りロールR5に巻き取られる。
<剥離材ロール及びその周辺>
図5に示すように、テープカートリッジTKの連結アーム16は、例えば略水平なスリット形状を含む引き剥がし部17を備えている。この引き剥がし部17は、第1ロールR1から繰り出されて前方側へと搬送される印字済みテープ150′から、剥離材層151を引き剥がす部位である。上記のようにして印字が形成された印字済みテープ150′は、図2に示すように、上記引き剥がし部17によって上記剥離材層151が引き剥がされることで、剥離材層151と、それ以外の被印字層154、基材層153及び粘着剤層152からなる印字済みテープ150″(印字済み粘着テープに相当)とに分離される。
テープカートリッジTKは、図2及び図5に示すように、上記引き剥がされた剥離材層151が軸心O3まわりに巻回されることで形成される、上記第3ロールR3を有している。すなわち、上述したテープカートリッジTKの装着によって、第3ロールR3が上方から上記第2収納部5に受け入れられ、剥離材層巻回用の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、第3ロールR3は、第2収納部5に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において、筐体本体2a内に設けられた剥離紙巻取用モータM3によりギア機構(図示省略)を介して駆動され、第2収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することで、剥離材層151を巻き取る。
このとき、図5に示すように、テープカートリッジTKの上記第2ブラケット部21,21は、上記第3ロールR3を、軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにし、テープカートリッジTKが筐体本体2aに装着された状態では第3ロールR3を当該軸心O3まわりに回転可能に保持する。これら第2ブラケット部21,21は、上端部において左右方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。そして、後方側の第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、前方側の第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とは、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。
また、図5中では、軸心O3まわりに剥離材層151が巻回され第3ロールR3が形成される前の状態(未使用のテープカートリッジTKである場合)を示している。すなわち、当該剥離材層151の幅方向両側を挟み込むように設けられている略円形の上記ロールフランジ部f3,f4を図示するとともに、便宜的に第3ロールR3が形成される箇所に符号「R3」を付している。
<印字済みテープロール及びその周辺>
一方、図2及び図4に示すように、上記第3収納部4には、上記印字済みテープ150″を順次巻回するための、巻き取り機構40が上方から受け入れられる。巻き取り機構40は、印字済みテープ150″の巻回の軸心O2が左右方向となる状態で、軸心O2まわりに回転可能に支持されるように収納される。そして、巻き取り機構40が、第3収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内部に設けられた粘着巻き取り用モータM2により不図示のギア機構を介して駆動され、第3収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することで、印字済みテープ150″を巻き取って積層する。これにより、巻き取り機構40の外周側に印字済みテープ150″が順次巻回されて、第2ロールR2が形成される。
<カッター機構>
また、図2に示すように、テープ搬送方向に沿って印字ヘッド11の下流側でかつ第2ロールR2の上流側に、カッター機構30(切断手段に相当)が設けられている。
カッター機構30は、詳細な図示を省略するが、可動刃と、可動刃を支持しテープ幅方向(言い替えれば左右方向)に走行可能な走行体とを有している。そして、カッターモータMC(後述の図6参照)の駆動により走行体が走行し可動刃がテープ幅方向に移動することで、上記印字済みテープ150″を幅方向に切断する。
<テープ印刷装置の動作の概略>
次に、上記構成のテープ印刷装置1の動作の概略について説明する。
すなわち、上記第1所定位置13にテープカートリッジTKが装着されると、筐体本体2aの後方側に位置する第1収納部3に第1ロールR1が収納され、筐体本体2aの前方側に位置する第2収納部5に第3ロールR3を形成する軸心O3側が収納される。また、筐体本体2aの前方側に位置する第3収納部4には、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40が収納される。
このとき、搬送ローラ12が駆動されると、第1収納部3に収納された第1ロールR1の回転により繰り出される被印字テープ150が、前方側へ搬送される。そして、搬送される被印字テープ150の被印字層154に対し、印字ヘッド11により所望の印字が形成されて、印字済みテープ150′となる。印字形成された印字済みテープ150′は、さらに前方側へ搬送されて引き剥がし部17まで搬送されると、当該引き剥がし部17において剥離材層151が引き剥がされて印字済みテープ150″となる。引き剥がされた剥離材層151は、下方側へ搬送されて第2収納部5へ導入され、当該第2収納部5内において巻回されて第3ロールR3が形成される。
一方、剥離材層151が引き剥がされた印字済みテープ150″は、さらに前方側へ搬送されて第3収納部4へ導入され、当該第3収納部4内の巻き取り機構40の外周側に巻回されて第2ロールR2が形成される。その際、搬送方向下流側(すなわち前方側)に設けられたカッター機構30が印字済みテープ150″を切断する。これにより、ユーザの所望のタイミングで、第2ロールR2に巻回されていく印字済みテープ150″を切断し、切断後は第2ロールR2を第3収納部4から取り出すことができる。なお、この切断後において、第2ロールR2に巻回されている印字済みテープ150″が、各請求項記載の印刷物に相当している。
なおこのとき、図示による説明を省略するが、第1ロールR1に、非粘着テープ(上記粘着剤層152及び剥離材層151のないもの)が巻回されていても良い。この場合においても、第1収納部3には、テープカートリッジTKの装着によって、非粘着テープが巻回された第1ロールR1が上方から受け入れられ、非粘着テープの巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、第1ロールR1は、第1収納部3に収納された状態(テープカートリッジTKが装着された状態)において当該第1収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することで、非粘着テープを繰り出す。
またこのとき、上記非粘着テープ(又は上記被印字テープ150でもよい)の搬送経路を、第2ロールR2へ向かう側と排出口(図示省略)へ向かう側との相互間で切り替える、シュート15(図2参照)が配されていても良い。すなわち、切替レバー(図示省略)によるシュート15の切替操作でテープ経路を切り替えることで、印字形成後の非粘着テープ(又は印字済みテープ150″)を上述のように第3収納部4内において巻回することなく、筐体2の例えば第2開閉カバー8b側に設けた排出口(図示省略)から、そのまま筐体2外部へ排出するようにしても良い。
<制御系>
次に、図6を用いて、テープ印刷装置1の制御系について説明する。図6において、テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。CPU212は、RAM213及びROM214に接続されている。CPU212は、RAM213の一時記憶機能を利用しつつROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってテープ印刷装置1全体の制御を行う。
また、CPU212は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行うモータ駆動回路218と、上記第2ロールR2を駆動する上記粘着巻取用モータM2の駆動制御を行うモータ駆動回路219と、上記第3ロールR3を駆動する上記剥離紙巻取用モータM3の駆動制御を行うモータ駆動回路220と、上記印字ヘッド11の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路221と、上記可動刃を備えた走行体を走行させるカッターモータMCの駆動制御を行うモータ駆動回路222と、適宜の表示を行う表示部215と、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部216と、に接続されている。また、CPU212は、この例では、外部端末としてのPC217に接続されるが、テープ印刷装置1が(いわゆるオールインワンタイプで)単独で動作する場合には、接続されなくてもよい。
ROM214には、所定の制御処理を実行するための制御プログラム(後述する図10、図11のフローの処理を実行するプログラムを含む)が記憶されている。RAM213には、例えば上記操作部216(又は上記PC217)での操作者の操作に対応して生成された印字データ(後述のステップS204参照)を、上記被印字層154の所定の印字領域に印字するためのドットパターンデータに展開して記憶するイメージバッファ213aが備えられている。CPU212は、上記制御プログラムに基づき、搬送ローラ12により被印字テープ150を繰り出しつつ、イメージバッファ213aに記憶された上記ドットパターンデータに対応した1つのイメージを、印字ヘッド11によって被印字テープ150に対し繰り返して印刷する。
<実施形態の特徴>
本実施形態の特徴は、上記のようにして行われる、被印字テープ150の搬送、被印字テープ150への印字形成、及び、印字済みテープ150″の巻き取り、による上記印刷物の作成において、上記巻き取り機構40によって順次巻き取られる印字済みテープ150″の長さを正確に取得する手法にある。以下、その詳細を、図7、図8、及び図9に基づき詳細に説明する。
<準備処理>
本実施形態では、上述のような搬送・印字形成等を行う前に、所定の準備処理が行われる。図7(a)〜(c)に、この準備処理の工程を模式的に示す。まずユーザは、テープカートリッジTKの第1ロールR1から手動で被印字テープ150を繰り出し、繰り出した被印字テープ150を搬送ローラ12と印字ヘッド11の間に通す(図7(a)参照)。このとき、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を搬送方向に回転させるように、搬送用モータM1を制御する。なお、このようにして搬送ローラ12と印字ヘッド11の間に通され、それらの下流側に進出した被印字テープ150を、説明の便宜上、テープ150−0と称する。このテープ150−0は、後述の印字ヘッド11による印字形成開始後における印字済みテープ150′に対応する部位である。
その後、ユーザは、上記テープ150−0から剥離材層151を手動で引き剥がし、基材層153及び粘着剤層152からなるテープ150−1(後述の印字ヘッド11による印字形成開始後における印字済みテープ150″に対応する部位)の先端を、第2ロールR2を形成するための巻き取り機構40の巻芯41(図4参照)に固定する。これにより、これ以降の巻芯41の回転に伴うテープ150−1及び上記印字済みテープ150″の巻回によって上記第2ロールR2が形成されることとなる。その一方で、ユーザは、テープ150−0から引き剥がした剥離材層151の先端を、第3ロールR3を形成するための巻芯29(図5参照)に固定する(図7(b)参照)。これにより、これ以降の巻芯29の回転に伴う剥離材層151の巻回によって上記第3ロールR3が形成されることとなる。
この状態で、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を停止させると共に、上記巻芯41だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2を制御する(図7(b)参照)。これにより、剥離材層151が引き剥がされた上記テープ150−1は、停止した搬送ローラ12と巻き取り方向に回転する巻芯41とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で巻芯41の回転が停止して、張力が作用した状態となる。なお、このようにテープ150−1に張力が作用しているはずの時点で、巻芯41の回転が検出された場合には、巻芯41に対するテープ150−1の先端の固定が不良であるために巻芯41(言い換えれば第2ロールR2)が空回りしているとみなして、不具合を報知する(後述のステップS135、ステップS190参照)。
次に、CPU212は所定の時間だけ、搬送ローラ12を停止させると共に、上記巻芯29だけを巻き取り方向に回転させるように、搬送用モータM1、剥離紙巻取用モータM3を制御する(図7(c)参照)。これにより、テープ150−0から引き剥がされた剥離材層151は、停止した搬送ローラ12と巻き取り方向に回転する巻芯29(言い換えれば第3ロールR3)とによって引っ張られ、弛みが除去された時点で巻芯29の回転が停止して、張力が作用した状態となる。またこのとき、上記第2ロールR2のみの回転でのテープ150−0の引き込みにより、テープ150−0と剥離材層151との剥離点が移動した場合でも、元の位置に戻すことができる(図7(c)中の破線部参照)。なお、このように剥離材層151に張力が作用しているはずの時点で第3ロールR3の回転が検出された場合には、上記巻芯29に対する剥離材層151の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、不具合を報知する(後述のステップS155、ステップS198参照)。
次に、CPU212は所定の時間だけ、(印字動作をせずに)搬送ローラ12、第2ロールR2、及び第3ロールR3を全て回転させるように、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3を制御する(特に図示せず)。この最終確認動作をすることにより、被印字テープ150の繰り出し及び搬送、テープ150−0の搬送、テープ150−1の搬送及び巻取り、剥離材層151の引き剥がし及び巻取り、等を含む一連の動作が正常に行われるかどうかを事前に確認できる。
<印刷物の作成>
上記準備処理の後、前述した搬送・印字形成による上記印刷物の作成が行われる。すなわち、既に述べたように、図7(c)に示した状態から、被印字テープ150が搬送ローラ12によって搬送されると、その搬送される被印字テープ150に対し、印字ヘッド11によって所望の印字が形成され、印字済みテープ150′となる。印字済みテープ150′から剥離材層151が引き剥がされた印字済みテープ150″は、巻き取り機構40によって軸心O2まわりに順次巻き取られ、さらにカッター機構30によって切断されることで、印字済みテープ150″が巻回された1つの第2ロールR2が生成される。
このように印字済みテープ150″の巻き取りによって第2ロールR2が作成される場合、巻き取りが終わって第2ロールR2が完成してしまった後では、その第2ロールR2中に巻回して含まれている印字済みテープ150″の長さを確認するのは困難となる。そこで、本実施形態では、第2ロールR2の作成途中である印字済みテープ150″を巻回している最中において、上記印字済みテープ150″の巻き取り量が検出される。図8(a)〜(c)及び図9(a)〜(b)を用いて、この巻き取り量検出手法について説明する。
<ロール巻回量の検出>
図8(a)は、図7(c)に示した上記準備処理完了後に、上記印字形成を開始した直後の状態を表している。図8(a)中の★印が、印字ヘッド11による印字開始点Sを示す。図8(a)の状態から、前述のようにして、被印字テープ150の繰り出し及び搬送と、当該被印字テープ150への印字形成による印字済みテープ150′の生成及び搬送と、印字済みテープ150′からの剥離材層151の引き剥がしによる印字済みテープ150″の生成及び引き剥がされた剥離材層151の巻取りと、印字済みテープ150″の搬送及び巻取りと(以下適宜、これらを総称して「印刷物形成動作」という)、が開始される。これにより、上記印字開始点Sは搬送方向下流側へ移行し、第2ロールR2の外形に到達し(図8(b)参照)、さらに上記印刷物形成動作が進むことで、上記印字開始点Sは第2ロールR2の最外周を周方向に沿って移動する(図8(c)参照)。
このような挙動において、上記のように移動した印字開始点Sから印字ヘッド11までの距離L(言い換えれば、印字形成により生成開始された印字済みテープ150″の長さの累計。図8(b)及び図8(c)参照)は、上記第2ロールR2中に含まれる印字済みテープ150″の長さに略対応している。但し、図8(b)及び図8(c)に示すように、印字ヘッド11で印字形成された印字済みテープ150″は、さらに印字ヘッド11から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x1(第1離間距離に相当)だけ搬送方向に沿って搬送された後に、第2ロールR2のロール外形に到達して巻回される。したがって、厳密には、上記距離Lは、上記離間距離x1だけ、第2ロールR2中に含まれる印字済みテープ150″の長さよりも長い(図8(c)参照)。
そこで、本実施形態においては、上記に対応し、まず、上述のようにして印字済みテープ150″が生成されているときに、上述した印字ヘッド11から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x1を上記距離Lから差し引いたL−x1を算出し、ロール巻回量とする。
<切断後、最終的な巻き取り量の決定>
上記図8(c)に示した状態からさらに印刷物形成動作が進むことで、上記印字開始点Sはさらに第2ロールR2の周方向に沿って移動する。そして、被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″が、印刷物作成動作の開始前に予め定められた特定の搬送方向位置となったら、図9(a)に示すように、搬送ローラ12、第2ロールR2、及び第3ロールR3が全て回転を停止する。これにより上記被印字テープ150の繰り出し及び搬送、印字済みテープ150′の搬送、印字済みテープ150″の搬送及び巻取り、が停止する(なお、この停止状態で、カッター機構30と印字ヘッド11との間が非印字区間である上記テープ150−0となるように、上記停止に先んじたタイミングで印字形成は停止されている)。この状態で、カッター機構30により、搬送ローラ12と第2ロールR2との間で印字済みテープ150″が切断される(図9(a)参照)。
なお、図9(a)では、図示の煩雑を避けて構成を明確化するために、上記印字開始点Sが第2ロールR2の外形への到達位置から第2ロールR2上を周方向に略4/5周移動した時点で、上記切断が行われた場合を一例として示している。
その後、(搬送ローラ12が停止した状態のまま)第2ロールR2が巻き取り方向に所定時間回転した後に停止するように、粘着巻取用モータM2が制御される。すなわち、カッター機構30による印字済みテープ150″の切断完了後、第2ロールR2はただちに停止するのではなく、所定時間回転させた後に停止する。これにより、切断完了後に第2ロールR2を所定量回転させ、切断により生じた印字済みテープ150″の終端部が確実に第2ロールR2へと巻き取られる(図9(b)参照)。これにより、上記印字開始点Sは第2ロールR2上をさらに進み、(上記図8(b)に示した状態から)最終的に周方向に略1周分移動することとなる。
ここで、上記図9(a)に示した状態(印字開始点Sが第2ロールR2の外形への到達位置から周方向に略4/5周移動した状態)において、この時点までの印字済みテープ150″の巻き取り量は、上記巻回量(L−x1)である。この図9(a)の状態では、印字済みテープ150″のうち当該停止の直前に印字ヘッド11により印字形成された部分は、(まだ第2ロールR2に組み込まれるには至らず)カッター機構30による切断位置と第2ロールR2のロール外形との中間部(後述の距離x2の部分)に位置している。この部分は、図9(a)に示す切断時点では上記第2ロールR2に組み込まれていないが、上記図9(b)を用いて説明したように、切断後に非印字形成状態で搬送が行われる(これにより上記テープ150−0が生じる)ことで巻き取られ、第2ロールR2に組み込まれる。したがって、前述したようにして第2ロールR2としてテープ印刷装置1から取り出されるときには、上記中間部に位置する部分(後述の距離x2の部分)の印字済みテープ150″も第2ロールR2に含まれた状態となる。
そこで、上記に対応して、本実施形態においては、前述のようにして離間距離x1が差し引かれる形で算出されていたロール巻回量L−x1に対し、上記カッター機構30の切断位置から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x2(第2離間距離に相当)が足し戻され、この足し戻された後の(L−x1+x2)が最終的を巻き取り量とする(図9(b)参照)。
なお、以上の説明においては、説明の便宜のために、印字済みテープ150″が周方向に1周のみ巻回された後に切断されることで、第2ロールR2が形成された場合を例にとって説明したが、実際は印字済みテープ150″が複数周順次巻回されて径方向に積層された後に切断され、第2ロールR2が形成される。
<制御処理の内容>
上記手法を実現するためにCPU212により実行される巻き取り検出の処理内容を、図10及び図11のフローにより説明する。なお図10及び図11中においては、紙面の都合上、各部の名称を適宜略記して示す(以下同様)。
図10において、例えばユーザによりテープ印刷装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まず、ステップS100において、CPU212は、前述の準備処理を実行する。このステップS100の詳細については後述する(図11参照)。
上記ステップS100の後、ステップS202に移り、CPU212は、操作部216での(又は上記PC217での)ユーザの上記印刷物の作成開始操作に対応した作成開始指示信号が入力されたか否かを判定する。上記作成開始指示信号が入力されない場合はステップS202の判定が満たされず(S202:NO)ループ待機する。上記作成開始指示信号が入力されたらステップS202の判定が満たされ(S202:YES)、ステップS203に移る。
ステップS203では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC212での)ユーザの操作に対応して、作成する印刷物の長さ(言い換えれば、生成する上記印字済みテープ150″の搬送方向に沿った全長)を表す全長データが入力されたか否かを判定する。ユーザの意図する長さに対応した上記全長データが入力されない場合はステップS203の判定が満たされず(S203:NO)上記ステップS202に戻って同様の手順を繰り返す。上記全長データが入力されたらステップS203の判定が満たされ(S203:YES)、ステップS204に移る。
ステップS204では、CPU212は、操作部216での(又は上記PC212での)ユーザの操作に対応して、上記被印字テープ150に印字形成する(この例ではテープ長さ方向に繰り返して印字形成する)1つのイメージを表す印字データが入力されたか否かを判定する。印字データが入力されない場合はステップS204の判定が満たされず(S204:NO)上記ステップS202に戻って同様の手順を繰り返す。上記印字データが入力されたらステップS204の判定が満たされ(S204:YES)、ステップS205に移る。
その後、ステップS205において、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送(以下適宜、単に「テープ搬送」と称する)、及び上記印字済みテープ150″の巻き取りが開始される。
そして、ステップS206に移り、CPU212は、前述した距離L(=搬送ローラ12と印字ヘッド11との協働により生成される印字済みテープ150″の長さの累計)のカウントを開始する。具体的には、例えばパルスモータにより構成される搬送用モータM1に対し、モータ駆動回路218から出力される上記制御信号中に含まれるパルス数をカウントする、等の公知の手法により、このタイミングからの印字済みテープ150″の搬送量を検出すればよい。この結果、ステップS206より前の上記ステップS100の準備処理については、後述のように多少の距離のテープ搬送が実行されるものの、そのときの搬送量はこのステップS206から開始されるカウントには含まれない(言い換えれば準備処理における搬送量は除外される)。
その後、ステップS207に移り、CPU212は、上記ステップS206においてカウントされた距離Lから、上述した印字ヘッド11から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x1(予め設定されROM214等に記憶されている)を差し引いた、上記ロール巻回量(L−x1)の算出を開始する。
そして、ステップS210で、CPU212は、上記ステップS204で取得された印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字開始位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字開始位置に到達していない場合、判定は満たされず(S210:NO)、ステップS206に戻って同様の手順を繰り返す。印字開始位置に到達した場合、ステップS215の判定が満たされ(S210:YES)、ステップS220に移る。
ステップS220では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子に通電を行って、上記ステップS204で入力した印字データに対応した1つのイメージの、上記被印字テープ150への繰り返し印字形成(同一の印字部155の繰り返し形成)を開始する。
その後、ステップS230で、CPU212は、上記ステップS204で取得された印字データに基づき、公知の手法により、対応する印字終了位置に印字ヘッド11が対向する状態まで上記テープ搬送が到達したか否かを判定する。印字終了位置に到達していない場合は判定が満たされず(S230:NO)、上記のステップS220に戻って同様の手順が繰り返される。印字終了位置に到達した場合は判定が満たされ(S230:YES)、ステップS240に移る。
ステップS240では、CPU212は、印字ヘッド制御回路221に制御信号を出力し、印字ヘッド11の発熱素子への通電を停止して、上記被印字テープ150に対する印字形成(印字部155の形成)を停止する。このとき、テープ搬送は継続して行われている。これにより、それ以降の印字済みテープ150′には、印字部155が存在しない空白状態(前述のテープ150−0)となる。その後、ステップS250に移る。
ステップS250では、CPU212は、上記ステップS203で取得された全長データに対応した上記カッター機構30による切断位置(巻き取り機構40によって第2ロールR2として巻回される印字済みテープ150″の搬送方向に沿った全長が、操作者の意図する長さとなるような切断位置)まで、上記テープ搬送が達したか否かを判定する。切断位置に到達していない場合、判定は満たされず(S250:NO)、ループ待機する。切断位置に到達した場合、判定は満たされ(S250:YES)、ステップS260に移る。
ステップS260では、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。これにより、上記被印字テープ150、印字済みテープ150′、及び印字済みテープ150″の搬送が(上記テープ150−0も含めて)停止する。
その後、ステップS261で、CPU212は、上記ステップS206で開始した、距離L(=搬送ローラ12と印字ヘッド11との協働により生成される印字済みテープ150″の長さの累計)のカウントを終了する。
そして、ステップS262で、CPU212は、上記ステップS207で算出を開始しているロール巻回量(L−x1)に対し、上記ステップS206で確定した距離Lのカウント値を適用して、最終的なロール巻回量(L−x1)の値を確定する。
その後、ステップS265で、CPU212は、モータ駆動回路222に制御信号を出力して上記カッターモータMCを駆動し、上記カッター機構30の作動により印字済みテープ150″の切断を行う(図9(a)参照)。
そして、ステップS270に移り、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を開始して、印字済みテープ150″の終端部の巻き取りを開始する(図9(b)参照)。
その後、ステップS275で、CPU212は、上記ステップS265でのカッター機構30の切断動作から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していない場合、判定は満たされず(S275:NO)、ループ待機する。この所定時間は、印字済みテープ150″の上記終端部を巻き取り機構40の上記巻芯41へ巻き取るのに十分な時間とすれば足りる。上記所定時間が経過したらこの判定は満たされ(S275:YES)、ステップS280へ移る。
ステップS280では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。これにより上記切断により生じた印字済みテープ150″の終端部を確実に巻き取ることができる。
ステップS281では、CPU212は、上記ステップS262で確定したロール巻回量(L−x1)に対し、上記切断位置から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x2を足し戻し、足し戻し後の(L−x1+x2)を最終的な巻き取り量として決定(算出)する。
なお、この算出された巻き取り量(L−x1+x2)は、例えば、後方側開閉部8の前面に設けられた表示部215(前述した図1及び図6参照)に表示される。図1に示す例では、表示部215には、上記テープ巻き取り量(この例では「300mm」)の他に、インクリボンRKのリボン残量(この例では「300mm」)及びインクリボン幅(この例では「48mm」)、被印字テープ150のテープ残量(この例では「200mm」)及びテープ幅(この例では「48mm」が表示されている。あるいは、上記表示部215に代え、上記PC217において上記同様の表示を行うようにしてもよい。また、上記のように、ユーザの所望の長さの印字済みテープ150″の巻き取りが終わった場合に限られない。すなわち、何らかの理由(テープ切れ、インクリボン切れ、搬送異常、印字ヘッド11の過熱)で上記印刷物作成動作が途中で強制停止される場合、あるいはユーザが意図的に上記印刷物の作成を途中でキャンセルして終了する場合、等においても、上記同様の巻き取り量の算出及び表示を行うようにしてもよい。
上記ステップS281が完了したら、このフローを終了する。
なお、上記ステップS206、ステップS207、ステップS261、ステップS262、ステップS281を実行するCPU212が、各請求項記載の巻き取り検出手段として機能する。そのうち、ステップS262を実行するCPU212は各請求項記載の巻回量算出手段として機能し、ステップS281を実行するCPU212は、各請求項記載の巻き取り量決定手段としても機能する。
<準備処理の制御内容の詳細>
上記ステップS100の制御内容を、図11を用いて説明する。なお図中においては、紙面の都合上、各部の名称を適宜略記して示す(以下同様)。
まずステップS105で、CPU212は、モータ駆動回路218に制御信号を出力し、搬送用モータM1の駆動を開始する。
その後、ステップS110で、CPU212は、上記ステップS105での搬送用モータM1の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間だけ経過していなければステップS110の判定は満たされず(ステップS110:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、第1ロールR1から繰り出された被印字テープ150の先端側に位置する上記テープ150−0が、搬送ローラ12から搬送されて第2ロールR2又は第3ロールR3に到達できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合には、ステップS110の判定は満たされ(ステップS110:YES)、ステップS115へ移る。
ステップS115では、CPU212は、モータ駆動回路218に制御信号を出力し、搬送用モータM1の駆動を停止する。
その後、ステップS120で、CPU212は、操作部216(又は上記PC217)を介してユーザから動作再開を指示する操作が入力されたか否かを判定する。上記指示操作が入力されなければステップS120の判定は満たされず(ステップS120:NO)、指示操作入力されるまでループ待機する。上記指示操作が入力された場合は、ステップS120の判定は満たされ(ステップS120:YES)、ステップS125へ移る。
ステップS125では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2(図中ではADモータと略記)の駆動を開始する。
その後、ステップS130で、CPU212は、上記ステップS125での粘着巻取用モータM2の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS130の判定は満たされず(ステップS130:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、搬送ローラ12から第2ロールR2までの間の上記テープ150−0,150−1の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間(例えば、最大1s)でよい。所定時間経過した場合は、ステップS130の判定は満たされ(ステップS130:YES)、ステップS135へ移る。
ステップS135では、CPU212は、第2ロールR2に対応して設けた図示しない適宜の回転検出センサ(例えば光学センサ等)の検出結果に基づいて、この時点で第2ロールR2が回転中であるか否かを判定する。第2ロールR2が回転していない場合、判定は満たされず(S135:NO)、ステップS140へ移る。
ステップS140では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。
その後、ステップS145で、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3(図中では剥離紙モータと略記)の駆動を開始する。
そして、ステップS150で、CPU212は、上記ステップS145での剥離紙巻取用モータM3の駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS150の判定は満たされず(ステップS150:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、上述した剥離点の引き戻しも含め搬送ローラ12から第3ロールR3までの間の剥離材層151の弛みを除去して適切な張力を作用できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合は、ステップS150の判定は満たされ(ステップS150:YES)、ステップS155へ移る。
ステップS155では、CPU212は、第3ロールR3に対応して設けた図示しない適宜の回転検出センサ(例えば光学センサ等)の検出結果に基づいて、この時点で第3ロールR3が回転中であるか否かを判定する。第3ロールR3が回転していない場合、判定は満たされず(S155:NO)、ステップS160へ移る。
ステップS160では、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
その後、ステップS165で、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を開始する。
そして、ステップS170で、CPU212は、上記ステップS165での各モータの駆動開始から所定時間だけ経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、ステップS170の判定は満たされず(ステップS170:NO)、所定時間経過するまでループ待機する。この場合に待機する所定時間は、被印字テープ150の繰り出し及び搬送、テープ150−0の搬送、テープ150−1の搬送及び巻取り、剥離材層151の巻取り等を含む一連の動作が正常に行われるかどうかを目視で十分確認できる程度の時間でよい。所定時間経過した場合は、ステップS170の判定は満たされ(ステップS170:YES)、ステップS175へ移る。
ステップS175で、CPU212は、モータ駆動回路218,219,220に制御信号を出力し、搬送用モータM1、粘着巻取用モータM2、及び剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
その後、ステップS180で、CPU212は、全ての動作が正常に行われ、準備処理が正常に終了した旨を表示部215(又はPC217)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
一方、上記ステップS135の判定において、第2ロールR2が回転していた場合、判定が満たされ(S135:YES)、ステップS185へ移る。
ステップS185では、CPU212は、モータ駆動回路219に制御信号を出力し、粘着巻取用モータM2の駆動を停止する。
その後、ステップS190で、CPU212は、第2ロールR2のための巻芯41に対するテープ150−1の先端の固定が不良であるために第2ロールR2が空回りしているとみなして、その旨を表示部215(又はPC217)に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
また一方、上記ステップS155の判定において、第3ロールR3が回転していた場合、判定が満たされ(S155:YES)、ステップS195へ移る。
ステップS195では、CPU212は、モータ駆動回路220に制御信号を出力し、剥離紙巻取用モータM3の駆動を停止する。
その後、ステップS198で、CPU212は、第3ロールR3のための巻芯29に対する剥離材層151の先端の固定が不良であるために第3ロールR3が空回りしているとみなして、その旨を表示部215に表示するなどにより報知する。そして、このフローを終了する。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態においては、印字済み粘着テープ150″を巻回している最中において、上記印字済み粘着テープ150″の巻き取り量が検出される(図10のステップS206〜ステップS281参照)。これにより、生成された第2ロールR2に巻回して含まれている上記印字済み粘着テープ151″の長さを、確実に取得することができる。このとき、印刷物作成開始前の準備動作時において生じうるテープ搬送量については、巻き取り量として検出しないようにすることで、上記印字済み粘着テープ151″の長さを正確に取得することができる。これにより、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態においては、特に、上記距離L(生成された上記印字済みテープ150″の長さ累計)から、上述した印字ヘッド11から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x1を差し引いて、上記ロール巻回量L−x1とする(図10のステップS207、ステップS262参照)。これにより、第2ロールR2形成途中における印字済みテープ150″の巻き取り量を確実に検出することができる。
また、本実施形態においては、特に、離間距離x1が差し引かれる形で算出されていた上記ロール巻回量L−x1に対し、カッター機構30による切断位置から第2ロールR2のロール外形までの離間距離x2を足し戻し、この足し戻したL−x1+x2を最終的な巻き取り量とする。これにより、第2ロールR2としての実体に即した印字済みテープ150″の巻き取り量を、高精度かつ確実に算出することができる。
また、以上においては、本発明を、被印字テープ150に対し印字を行う粘着テープ印刷装置1に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、粘着テープに対し印字以外の処理を行うテープ処理装置に適用することも可能である。
なお、以上において、図6に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10、図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。