JP6297702B2 - 非水電解質二次電池負極用炭素質材料 - Google Patents
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Description
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ金属化合物添着炭素質前駆体(以後、アルカリ添着炭素質前駆体と呼ぶことがある。)を得るアルカリ金属化合物添着工程(以後、アルカリ添着工程と呼ぶことがある)、及び
(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、
(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は
(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程、
を含む製造方法によって得られる炭素質材料であって、
真密度が1.35〜1.60g/cm3、窒素吸着によるBET法で求められる比表面積が30m2/g以下、平均粒子径が50μm以下、及び元素分析により求められる水素原子と炭素原子の原子比(H/C)が0.1以下であることを特徴とする、非水電解質二次電池負極用炭素質材料、
[2]前記炭素質前駆体が、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を炭素源とするものである、[1]に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料、
[3]前記焼成工程(2)(a)が、
(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a1)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程であるか、又は前記焼成工程(2)(b)が、(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(b1)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、アルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程であるか、若しくは(b2)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程である、[1]又は[2]に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料、
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の炭素質材料を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極、
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の炭素質材料を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池、
[6](1)酸素含有量が1〜25重量%の炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ金属元素を含む化合物の添着量(以後、アルカリ添着量と記載することがある。)が0.5〜40重量%のアルカリ添着炭素質前駆体を得るアルカリ添着工程であって、酸素含有量が1重量%以上9重量%未満の場合はアルカリ添着量が4〜40重量%であり、酸素含有量が9〜25重量%の場合はアルカリ添着量が0.5〜40重量%であるアルカリ添着工程、及び(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程、を含む非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法、
[7]前記炭素質前駆体が、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を炭素源とするものである、[6]に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法、
[8]前記焼成工程(2)(a)が、(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a1)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程であるか、又は前記焼成工程(2)(b)が、(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(b1)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、アルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程であるか、若しくは(b2)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程である、[6]又は[7]に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法、に関する。
なお、特許文献4には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びリンの少なくとも一種を、元素換算で0.1〜5.0重量%含有する炭素質材料が開示されている。これらの炭素質材料を用いた二次電池は、高い充放電容量を得ることができなかった。また、特許文献5及び6には樹脂組成物等の表面にアルカリ金属含有化合物を担持させて、炭化処理することにより得られる炭素材が開示されている。しかしながら、これらの炭素材を用いた二次電池も、高い放電容量を得ることができなかった。
更に、本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、予備焼成の後に、アルカリ金属元素を含む化合物を除去することによって、比表面積の増加を抑制することができる。
本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、(1)炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ添着炭素質前駆体を得るアルカリ添着工程、及び(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程、を含む製造方法によって得られる炭素質材料である。また、本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、真密度が1.35〜1.60g/cm3、窒素吸着によるBET法で求められる比表面積が30m2/g以下、平均粒子径が50μm以下、及び元素分析により求められる水素原子と炭素原子の原子比(H/C)が0.1以下である。
本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、前記アルカリ添着工程(1)及び焼成工程(2)を含む方法によって、製造することができる。前記アルカリ添着工程(1)は、好ましくは(1)酸素含有量が1〜25重量%以上の炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ金属元素を含む化合物の添着量が0.5〜40重量%のアルカリ添着炭素質前駆体を得るアルカリ添着工程であって、酸素含有量が1重量%以上9重量%未満の場合はアルカリ添着量が4〜40重量%であり、酸素含有量が9〜25重量%の場合はアルカリ添着量が0.5〜40重量%である。
前記アルカリ添着工程(1)においては、炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加する。
本発明の炭素質材料の炭素源である炭素質前駆体は、非酸化性雰囲気中、1100℃以上で熱処理した場合に、炭素元素の含有率が80重量%以上の組成となる炭素材料であれば特に限定されない。
炭素質前駆体の1100℃における炭素化収率が低すぎる場合、後述の焼成工程(2)において炭素質前駆体に対するアルカリ金属元素、又はアルカリ金属化合物の割合が過剰となり、比表面積の増加などの反応を引き起すので好ましくない。従って、炭素質前駆体を、非酸化性雰囲気中1100℃で熱処理したときの炭素化収率は、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上である。
本明細書における炭素質前駆体とは、限定されるものではないが水素原子と炭素原子との原子比(H/C)が、0.05以上、さらに好ましくは0.15以上、とくに好ましくは0.30以上のものが好ましい。H/Cが0.05未満の炭素前駆体は、アルカリ添着の前に焼成されていることが考えられる。このような炭素質前駆体は、アルカリ添着を行っても、十分にアルカリ金属元素等が炭素前駆体の内部に含浸することができない。従って、アルカリ添着後に焼成を行っても、多くのリチウムをドープ及び脱ドープすることを可能とする十分な空隙を形成することが、困難となることがある。
本発明の炭素質材料の真密度は、1.35〜1.60g/cm3である。炭素質前駆体としては、石油系ピッチ若しくはタール、石炭系ピッチ若しくはタール、又は熱可塑性樹脂を炭素源として用いる場合、酸化処理などの架橋(不融化)処理により、難黒鉛化性炭素質前駆体とすることができる。従って、不融化することが好ましいが、不融化なしで、本発明の炭素質材料を得ることもできる。難黒鉛化性炭素前駆体は易黒鉛化性炭素前駆体と比べ、少量のアルカリ添加により高容量が得られるので好ましい。タール又はピッチに対する架橋処理は、架橋処理を行ったタール又はピッチを易黒鉛化性炭素前駆体から難黒鉛化性炭素前駆体に連続的に構造制御することを目的とするものである。タール又はピッチとしては、エチレン製造時に副生する石油系のタール又はピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、コールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分又はピッチ、石炭の液化により得られるタール及びピッチを挙げることができる。また、これらのタール又はピッチの2種以上を混合して使用してもよい。
石油系ピッチ若しくはタール、石炭系ピッチ若しくはタール、又は熱可塑性樹脂などの架橋処理の方法としては、例えば架橋剤を使用する方法、又は空気などの酸化剤で処理する方法を挙げることができる。
前記の通り、粉砕の順番は限定されるものではない。しかしながら、本発明の効果である高い充放電容量を得るためには、炭素質前駆体にアルカリを均一に添着し、そして焼成を行うことが好ましい。従って、アルカリ添着前に粉砕することが好ましく、具体的には粉砕工程、アルカリ添着工程(1)、そして焼成工程(2)の順に実施することが好ましい。最終的に得られる炭素質材料の粒子径とするためには、粉砕工程において平均粒子径1〜50μmに粉砕することが、好ましい。
炭素質前駆体を酸化により不融化した場合の酸素含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。なお、本明細書において、炭素質前駆体に含まれる酸素は、酸化(不融化)によって含まれる酸素でもよく、また本来含まれていた酸素でもよい。但し、本明細書においては、炭素前駆体を酸化により不融化した場合、酸化反応により炭素前駆体に取り込まれた酸素原子が炭素前駆体の分子同士を架橋する働きをすることが多いため、酸化による酸素架橋度を酸素含有量と同じ意味で用いることがある。
ここで、酸素架橋による不融化処理を行わない場合は、酸素含有量(酸素架橋度)0重量%でもよいが、酸素含有量(酸素架橋度)の下限は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上であり、更に好ましくは4重量%以上であり、最も好ましくは9重量%以上である。1重量%未満であると真密度が大きくなりリチウムを格納する空隙が小さくなるので好ましくない。酸素含有量(酸素架橋度)の上限は、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは18重量%以下である。25重量%を超えると真密度が小さくなり、体積当たりの充放電容量が低下することがあるため好ましくない。
炭素材料の真密度は、六角網平面の配列の仕方、いわゆる微細組織や結晶完全性により真密度が変化する為、炭素質材料の真密度は炭素の構造を示す指標として有効である。炭素質前駆体の熱処理で炭素質材料となるが、熱処理温度と共に炭素質材料の真密度が変化するため、炭素質前駆体をある特定の処理温度で処理した炭素質材料の真密度は炭素質前駆体の構造を示す指標として有効である。炭素質前駆体の真密度は、得られる炭素質材料の真密度が1.35〜1.60g/cm3である限りにおいて、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明で好適に使用される炭素質前駆体は、炭素質前駆体を窒素ガス雰囲気中1100℃で1時間熱処理したときの炭素質材料の真密度の下限は、好ましくは1.40g/cm3以上であり、より好ましくは1.45g/cm3以上であり、更に好ましくは1.50g/cm3以上である。真密度の上限は、好ましくは1.70g/cm3以下であり、より好ましくは1.65g/cm3以下であり、更に好ましくは1.60g/cm3以下である。炭素質前駆体を窒素ガス雰囲気中1100℃で1時間熱処理したときの炭素質材料の真密度が1.40〜1.70g/cm3であることによって、得られる炭素質材料の真密度を1.35〜1.60g/cm3に制御することができる。
炭素質前駆体に添着するアルカリ金属化合物に含まれるアルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、又はカリウムなどのアルカリ金属元素を用いることができる。リチウム化合物は他のアルカリ金属化合物と比べ空間を広げる効果が低く、また他のアルカリ金属元素と比べ埋蔵量が少ないという問題がある。一方、カリウム化合物は炭素共存下で還元雰囲気で熱処理を行うと金属カリウムが生成されるが、金属カリウムは他のアルカリ金属元素と比べ水分との反応性が高く、特に危険性が高いという問題点かある。そのような観点からアルカリ金属元素としてはナトリウムが好ましい。ナトリウムを用いることによって、特に高い充放電容量を示す炭素質材料を得ることができる。
アルカリ金属元素は、金属の状態で炭素質前駆体に添着してもよいが、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、又はハロゲン化合物などアルカリ金属元素を含む化合物(以下、アルカリ金属化合物又はアルカリ化合物と称することがある)として添着してもよい。アルカリ金属化合物としては、限定されるものではないが、浸透性が高く、炭素質前駆体に均一に含浸できるため、水酸化物、又は炭酸塩が好ましく、特には水酸化物が好ましい。
前記炭素質前駆体にアルカリ金属元素又はアルカリ金属化合物を添加することによって、アルカリ添着炭素質前駆体を得ることができる。アルカリ金属元素又はアルカリ金属化合物の添加方法は、限定されるものでない。例えば、炭素質前駆体に対し、所定量のアルカリ金属元素又はアルカリ金属化合物を粉末状で混合してもよい。また、アルカリ金属化合物を適切な溶媒に溶解し、アルカリ金属化合物溶液を調製する。このアルカリ金属化合物溶液を炭素質前駆体と混合した後、溶媒を揮発させ、アルカリ金属化合物が添着した炭素質前駆体を調製してもよい。具体的には、限定されるものではないが、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を良溶媒である水に溶解し、水溶液としたのち、これを炭素質前駆体に添加する。50℃以上に加熱した後、常圧或いは減圧で水分を除去することにより炭素質前駆体にアルカリ金属化合物を添加することができる。炭素前駆体は、疎水性であることが多く、アルカリ水溶液の親和性が低い場合には、アルコールを適宜添加することにより、炭素質前駆体へのアルカリ水溶液の親和性を改善することができる。アルカリ金属水酸化物を使用する場合、空気中で添着処理を行うとアルカリ金属水酸化物が二酸化炭素を吸収して、アルカリ金属水酸化物がアルカリ金属炭酸塩と変化し、炭素質前駆体へのアルカリ金属化合物の浸透力が低下するので、雰囲気中の二酸化炭素濃度を低減することが好ましい。水分の除去は、アルカリ添着炭素前駆体の流動性が維持できる程度に水分が除去されていればよい。
本発明の真密度が1.35〜1.60g/cm3の炭素質材料と得るためには、酸素含有量(酸素架橋度)及びアルカリ添着量を最適化することが好ましい。換言するならば、真密度が1.35〜1.60g/cm3となるように、酸素含有量(酸素架橋度)及びアルカリ添着量を調整することができる。具体的には、酸素含有量(酸素架橋度)が低く、アルカリ添着量が低い場合には、比較例3及び5のように、真密度が1.60g/cm3を超えるために、高い充放電容量が得られる炭素質材料を製造することができない。例えば、酸素含有量(酸素架橋度)が1重量%以上9重量%未満、且つアルカリ添着量が4重量%未満の場合は、真密度が1.60g/cm3を超えることがあり、高い充放電容量を示す炭素質材料を得られらないことがある。しかしながら、酸素含有量(酸素架橋度)が低い場合は、アルカリ添加量を増加させることによって、真密度を1.60g/cm3以下にすることができる。また、アルカリ添加量が低い場合には、酸素含有量(酸素架橋度)を高くすることによって、真密度を1.60g/cm3以下にすることができる。
従って、本発明の製造方法において、炭素質前駆体の酸素含有量(酸素架橋度)は1〜25重量%以上であり、そしてアルカリ添着炭素質前駆体のアルカリ添着量は0.5〜40重量%であるが、酸素含有量(酸素架橋度)が1重量%以上9重量%未満、且つアルカリ添着量が0.5以上4重量%未満の場合は、酸素含有量(酸素架橋度)及びアルカリ添着量の組み合わせの範囲から除外される。従って、酸素含有量(酸素架橋度)が1重量%以上9重量%未満の場合はアルカリ添着量が4重量%以上であり、酸素含有量(酸素架橋度)が9〜25重量%の場合はアルカリ添着量が0.5〜40重量%である。
焼成工程は、前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する。本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料を得るための焼成工程においては、前記(b)の操作に従い、予備焼成を行い、次いで本焼成を行ってもよく、前記(a)の操作に従い、予備焼成を行わずに本焼成を行ってもよい。
予備焼成は、揮発分、例えばCO2、CO、CH4、及びH2などと、タール分とを除去することができる。また、アルカリ添着炭素質前駆体を直接高温で熱処理すると、アルカリ添着炭素質前駆体から多量の分解生成物が発生する。これらの分解生成物は高温で二次分解反応を生じ、炭素材料の表面に付着して電池性能の低下の原因となる可能性、また焼成炉内に付着し炉内の閉塞を引き起こす可能性があるので、好ましくは本焼成を行う前に予備焼成を行い、本焼成時の分解生成物を低減させる。予備焼成温度が低すぎると分解生成物の除去が不十分となることがある。一方、予備焼成温度が高すぎると分解生成物が二次分解反応などの反応を生じることがある。予備焼成の温度は、好ましくは400℃以上800℃未満であり、より好ましくは500℃以上800℃未満である。予備焼成温度が400℃未満であると脱タールが不十分となり、粉砕後の本焼成工程で発生するタール分やガスが多く、粒子表面に付着する可能性があり、粉砕したときの表面性を保てず電池性能の低下を引き起こすことがある。一方、予備焼成温度が800℃以上であるとタール発生温度領域を超えることになり、使用するエネルギー効率が低下することがある。更に、発生したタールが二次分解反応を引き起こしそれらが炭素前駆体に付着し、性能の低下を引き起こすことがある。
アルカリ金属元素又はアルカリ金属化合物の添着量が均一、且つ炭素質前駆体への浸透が容易になるため、粒子径の小さな炭素質前駆体へ添着することが好ましい。したがって、予備焼成前の炭素質前駆体を粉砕することが好ましいが、炭素質前駆体が予備焼成時に溶融する場合があるので、予め炭素質前駆体を予備焼成した後に、粉砕することにより、粒度調整を行ってもよい。粉砕は、炭素化後(本焼成の後)に行うこともできるが、炭素化反応が進行すると炭素前駆体が硬くなるため、粉砕による粒子径分布の制御が困難になるため、粉砕工程は800℃以下の予備焼成の後で、本焼成の前が好ましい。粉砕によって、本発明の炭素質材料の平均粒子径を1〜50μmにすることができる。粉砕に用いる粉砕機は、特に限定されるものではなく、例えばジェットミル、ロッドミル、振動ボールミル、又はハンマーミルを用いることができるが、分級機を備えたジェットミルが好ましい。
本発明の焼成工程(2)においては、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物を除去(アルカリ化合物の洗浄)することが好ましい。アルカリ金属及びアルカリ金属化合物が炭素質材料に大量に残留している場合、炭素質材料が強アルカリ性になる。例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)をバインダーとして用いて負極を作製する場合に、炭素質材料が強アルカリ性を示すとPVDFがゲル化することがある。また、炭素質材料にアルカリ金属が残存した場合、二次電池の放電時に、対極にアルカリ金属が移動し、充放電特性に悪影響を及ぼすことが考えられる。従って、アルカリ金属化合物を、炭素質前駆体から除去することが好ましい。
すなわち、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物の洗浄は、炭素質材料にアルカリ金属化合物が残存することを防ぐために行う。アルカリ金属元素等の添着量が少ない場合、アルカリ金属の残存量が少なくなるが、リチウムのドープ・脱ドープ容量が低下する傾向にある。また、焼成温度が高い場合、アルカリ金属は揮発し、残存量が少なくなるが、焼成温度が高すぎるとリチウムを格納する空隙が小さくなり、リチウムのドープ・脱ドープ容量が低下するので好ましくない。従って、アルカリ金属元素等の添着量が多い場合、及び焼成温度が低い場合に、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物の洗浄を行いアルカリ金属の残存量を減少させることが好ましい。アルカリ金属元素等の添着量が多い場合とは、特に限定されるものではないが、例えば15.0重量%を超える場合を挙げることができる。すなわち、例えばアルカリ添着量が20.0重量%以上、25.0重量%以上、30.0重量%以上の場合に、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物の洗浄を行うことが好ましい。
炭素質前駆体からアルカリ金属及びアルカリ金属化合物を洗浄により除去するには、アルカリ添着した炭素質前駆体を、そのまま、粉砕し微粒子としたのち塩酸等の酸類や水に浸漬して処理することが好ましい。すなわち、酸洗浄又は水洗が好ましく、特には水に浸漬して処理する水洗が好ましい。使用する酸類又は水は、常温のものでもよいが、加熱したもの(例えば、熱水)を用いてもよい。アルカリ金属及びアルカリ金属化合物洗浄時の被処理物の粒径が大きいと、洗浄率が低下することがある。被処理物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。アルカリ金属及びアルカリ金属化合物の洗浄は、限定されるものでないが、予備焼成して得た炭素前駆体に施すことが、洗浄率を向上させる上で有利である。
本発明の製造方法における本焼成は、通常の本焼成の手順に従って行うことができ、本焼成を行うことにより、非水電解質二次電池負極用炭素質材料を得ることができる。本焼成の温度は、800〜1500℃である。本発明の本焼成温度の下限は800℃以上であり、より好ましくは1100℃以上であり、特に好ましくは1150℃以上である。熱処理温度が低すぎると炭素化が不十分で不可逆容量が増加することがある。また、熱処理温度を高くすることにより、炭素質材料からアルカリ金属の揮発除去が可能となり、水洗等によるアルカリ金属化合物の除去が可能となる。逆に、熱処理温度が低い場合、十分にアルカリを除去することができないことがある。また、炭素質材料に官能基が多く残存してH/Cの値が高くなり、リチウムとの反応により不可逆容量が増加することがある。一方、本発明の本焼成温度の上限は1500℃以下であり、より好ましくは1400℃以下であり、特に好ましくは1300℃以下である。本焼成温度が1500℃を超えるとリチウムの格納サイトとして形成された空隙が減少し、ドープ及び脱ドープ容量が減少することがある。すなわち、炭素六角平面の選択的配向性が高まり放電容量が低下することがある。
本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、真密度が1.35〜1.60g/cm3、窒素吸着によるBET法で求められる比表面積が30m2/g以下、平均粒子径が50μm以下、及び元素分析により求められる水素原子と炭素原子の原子比(H/C)が0.1以下である。
理想的な構造を有する黒鉛質材料の真密度は、2.27g/cm3であり、結晶構造が乱れるに従い真密度が小さくなる傾向がある。従って、真密度は炭素の構造を表す指標として用いることができる。本明細書における真密度はブタノール法により測定されたものである。
本発明の炭素質材料の真密度は、1.35〜1.60g/cm3である。真密度の上限は、好ましくは1.58g/cm3以下であり、より好ましくは1.55g/cm3以下である。真密度の下限は、好ましくは1.38g/cm3以上であり、さらに好ましくは1.40g/cm3以上である。真密度が1.60g/cm3を超える炭素質材料は、リチウムを格納できるサイズの細孔が少なくドープ及び脱ドープ容量が小さくなることがある。また、真密度の増加は炭素六角平面の選択的配向性を伴うため、リチウムのドープ及び脱ドープ時に炭素質材料が膨張収縮を伴う場合が多いため好ましくない。一方、1.35g/cm3未満の炭素質材料は、細孔内に電解液が侵入し、リチウムの格納サイトとして安定な構造を維持できないことがある。更に、電極密度が低下するため体積エネルギー密度の低下をもたらすことがある。
本発明の炭素質材料の真密度は、炭素質前駆体の原料、酸素含有量、及びアルカリ添加量などによって変化する。例えば、一般に炭素質前駆体の原料が、石油よりも石炭の方が、真密度が高くなる傾向があり、石炭を原料とする炭素質材料は、真密度が1.60g/cm3を超えることがある。また、後述の比較例3及び5に示すように、酸素含有量及びアルカリ添着量のいずれか、又は両方が低い場合は、真密度が1.60g/cm3を超えることがある。当業者であれば、酸素含有量、及びアルカリ添加量を制御することにより、真密度を1.60g/cm3以下に制御することができる。すなわち、真密度を1.60g/cm3以下となるように、不融化処理(酸素架橋、又は酸素含有量)及びアルカリ添着を制御することができる。
比表面積は、窒素吸着によるBETの式から誘導された近似式で求めることができる。本発明の炭素質材料の比表面積は、30m2/g以下である。比表面積が30m2/gを超えると電解液との反応が増加し、不可逆容量の増加に繋がり、従って電池性能が低下する可能性がある。比表面積の上限は、好ましくは30m2/g以下、さらに好ましくは20m2/g以下、とくに好ましくは10m2/g以下である。また、比表面積の下限は、特に限定されないが、比表面積が0.5m2/g未満であると、入出力特性が低下する可能性があるので、比表面積の下限は、好ましくは0.5m2/g以上である。
本発明の炭素質材料の平均粒子径(Dv50)は、1〜50μmである。平均粒子径の下限は、好ましくは1μm以上であり、更に好ましくは1.5μm以上であり、特に好ましくは2.0μm以上である。平均粒子径が1μm未満の場合、微粉が増加することによって、比表面積が増加する。従って、電解液との反応性が高くなり充電しても放電しない容量である不可逆容量が増加し、正極の容量が無駄になる割合が増加するため好ましくない。平均粒子径の上限は、好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは35μm以下である。平均粒子径が50μmを超えると、粒子内でのリチウムの拡散自由行程が増加するため、急速な充放電が困難となる。更に、二次電池では、入出力特性の向上には電極面積を大きくすることが重要であり、そのため電極調製時に集電板への活物質の塗工厚みを薄くする必要がある。塗工厚みを薄くするには、活物質の粒子径を小さくする必要がある。このような観点から、平均粒子径の上限としては50μm以下が好ましい。
H/Cは、水素原子及び炭素原子を元素分析により測定されたものであり、炭素化度が高くなるほど炭素質材料の水素含有率が小さくなるため、H/Cが小さくなる傾向にある。従って、H/Cは、炭素化度を表す指標として有効である。本発明の炭素質材料のH/Cは0.10以下であり、より好ましくは0.08以下である。特に好ましくは0.05以下である。水素原子と炭素原子の比H/Cが0.10を超えると、炭素質材料に官能基が多く存在し、リチウムとの反応により不可逆容量が増加することがある。
本発明の炭素質材料のアルカリ金属元素含有量は、特に限定されるものでないが、0.05〜5重量%が好ましい。アルカリ金属元素含有量の下限は、より好ましくは0.5重量%であり、上限はより好ましくは4重量%であり、更に好ましくは3重量%であり、最も好ましくは1.5重量%以下である。アルカリ金属元素含有量が高すぎると炭素質材料が強アルカリ性になり、バインダーのPVDFがゲル化したり、充放電特性に悪影響を及ぼすことがある。従って、アルカリ金属及びアルカリ金属化合物の洗浄により、添着したアルカリ金属を除去し、0.05〜5重量%とすることが好ましい。
《負極電極の製造》
本発明の炭素質材料を用いる負極電極は、炭素質材料に結合剤(バインダー)を添加し適当な溶媒を適量添加、混練し、電極合剤とした後に、金属板等からなる集電板に塗布・乾燥後、加圧成形することにより製造することができる。本発明の炭素質材料を用いることにより特に導電助剤を添加しなくとも高い導電性を有する電極を製造することができるが、更に高い導電性を賦与することを目的に必要に応じて電極合剤を調製時に、導電助剤を添加することができる。導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、又はカーボンファイバーなどを用いることができ、添加量は使用する導電助剤の種類によっても異なるが、添加する量が少なすぎると期待する導電性が得られないので好ましくなく、多すぎると電極合剤中の分散が悪くなるので好ましくない。このような観点から、添加する導電助剤の好ましい割合は0.5〜15重量%(ここで、活物質(炭素質材料)量+バインダー量+導電助剤量=100重量%とする)であり、更に好ましくは0.5〜7.0重量%、特に好ましくは0.5〜5.0重量%である。結合剤としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、およびSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物等の電解液と反応しないものであれば特に限定されない。中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入出力特性を得るために好ましい。PVDFを溶解しスラリーを形成するためにN−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましく用いられるが、SBRなどの水性エマルジョンやCMCを水に溶解して用いることもできる。結合剤の添加量が多すぎると、得られる電極の抵抗が大きくなるため、電池の内部抵抗が大きくなり電池特性を低下させるので好ましくない。また、結合剤の添加量が少なすぎると、負極材料粒子相互および集電材との結合が不十分となり好ましくない。結合剤の好ましい添加量は、使用するバインダーの種類によっても異なるが、PVDF系のバインダーでは好ましくは3.0〜13.0重量%であり、更に好ましくは3.0〜10.0重量%である。一方、溶媒に水を使用するバインダーでは、SBRとCMCとの混合物など、複数のバインダーを混合して使用することが多く、使用する全バインダーの総量として0.5〜5.0重量%が好ましく、更に好ましくは1.0〜4.0重量%である。電極活物質層は集電板の両面に形成するのが基本であるが、必要に応じて片面でもよい。電極活物質層が厚いほど、集電板やセパレータなどが少なくて済むため高容量化には好ましいが、対極と対向する電極面積が広いほど入出力特性の向上に有利なため活物質層が厚すぎると入出力特性が低下するため好ましくない。好ましい活物質層(片面当たり)の厚みは、限定されるものではなく10μm〜1000μmの範囲内であるが、好ましくは10〜80μmであり、更に好ましくは20〜75μm、特に好ましくは20〜60μmである。
負極電極は、通常集電体を有する。負極集電体としては、例えば、SUS、銅、ニッケル又はカーボンを用いるができ、中でも、銅又はSUSが好ましい。
本発明の負極材料を用いて、非水電解質二次電池の負極を形成した場合、正極材料、セパレータ、電解液など電池を構成する他の材料は特に限定されることなく、非水溶媒二次電池として従来使用され、あるいは提案されている種々の材料を使用することが可能である。
正極電極は、正極活物質を含み、更に導電助剤、バインダー、又はその両方を含んでもよい。正極活物質層における正極活物質と、他の材料との混合比は、本発明の効果が得られる限りにおいて、限定されるものではなく、適宜決定することができる。
正極活物質は、正極活物質を限定せずに用いることができる。例えば、層状酸化物系(LiMO2と表されるもので、Mは金属:例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、又はLiNixCoyMnzO2(ここでx、y、zは組成比を表す))、オリビン系(LiMPO4で表され、Mは金属:例えばLiFePO4など)、スピネル系(LiM2O4で表され、Mは金属:例えばLiMn2O4など)の複合金属カルコゲン化合物を挙げることができ、これらのカルコゲン化合物を必要に応じて混合してもよい。
また、コバルト酸リチウムのコバルトの一部をニッケルとマンガンで置換し、コバルト、ニッケル、マンガンの3つを使用することで材料の安定性を高めた三元系〔Li(Ni−Mn−Co)O2〕や前記三元系のマンガンの代わりにアルミニウムを使用するNCA系材料〔Li(Ni−Co−Al)O2〕が知られており、これらの材料を使用することができる。
正極活物質層は、通常集電体を有する。負極集電体としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボンを用いるができ、中でも、アルミニウム又はSUSが好ましい。
これら正極と負極との組み合わせで用いられる非水溶媒型電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解することにより形成される。非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、又は1,3−ジオキソランなどの有機溶媒の一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiCl、LiBr、LiB(C6H5)4、又はLiN(SO3CF3)2などが用いられる。二次電池は、一般に上記のようにして形成した正極層と負極層とを必要に応じて不織布、その他の多孔質材料などからなる透液性セパレータを介して対向させ電解液中に浸漬させることにより形成される。セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布、その他の多孔質材料からなる透過性セパレータを用いることができる。あるいはセパレータの代わりに、もしくはセパレータと一緒に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
非水電解質二次電池用負極材料として最適な構造とは、第1に負極材料中に多くのリチウムをドープ及び脱ドープすることを可能とする空隙を有していることである。炭素質材料の空隙には、幅広い細孔径を有する細孔構造があるが、電解液の侵入可能な細孔は電気化学的に外表面と見なされるためリチウムの安定な可能サイトにはならない。リチウムの格納サイトとしては電解液が侵入困難な細孔であり、且つリチウムドープ時にその細孔の隅々までリチウムが到達可能な細孔である。隅々までリチウムが到達可能とは、炭素骨格をリチウムが拡散することは当然であるが、その過程で炭素六角網平面を広げながらリチウムが炭素内部まで拡散することが可能な細孔であってもよい。
非水電解質二次電池用負極材料として最適な構造とは、第2にドープ及び脱ドープ反応の初期により観測されるドープ容量と脱ドープ容量の差である不可逆容量が小さいことを可能とする構造、すなわち炭素表面での電解液の分解反応が少ない構造であることがあげられる。黒鉛質材料は表面で電解液を分解することが知られているので、炭素骨格としては非黒鉛質材料が好ましい。また、炭素質材料の中でエッジ面が反応性の富むことが知られていることから、細孔構造の形成過程でエッジ面が生成するのを抑制することが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、アルカリ添着炭素質前駆体を焼成することによって得られ、且つ真密度が1.35〜1.60g/cm3であることにより、負極材料中に多くのリチウムをドープ及び脱ドープすることを可能とする空隙を有しており、更に炭素表面での電解液の分解反応が少ない構造であると考えられる。
なお、以下に炭素質前駆体の物性値(「水素/炭素の原子比(H/C)」、「酸素含有量」及び「真密度」)、並びに本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の物性値(「水素/炭素の原子比(H/C)」、「比表面積」、「ブタノール法により求めた真密度」、「レーザー回折法による平均粒子径」、及び「アルカリ金属元素含有量」の測定法を記載するが、実施例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づくものである。
JIS M8819に定められた方法に準拠し測定した。CHNアナライザーによる元素分析により得られる試料中の水素及び炭素の質量割合から、水素/炭素の原子数の比として求めた。
《酸素含有量》
JIS M8819に定められた方法に準拠し測定した。CHNアナライザーによる元素分析により得られる試料中の炭素、水素、窒素の質量百分率を100から差引き、これを酸素含有量とした。
JIS Z8830に定められた方法に準拠し、比表面積を測定した。概要を以下に記す。
BETの式から誘導された近似式
(ここで、vmは試料表面に単分子層を形成するに必要な吸着量(cm3/g)、vは実測される吸着量(cm3/g)、xは相対圧力である。)
具体的には、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II2300」を用いて、以下のようにして液体窒素温度における炭素質物質への窒素の吸着量を測定した。
炭素材料を試料管に充填し、窒素ガスを20モル%濃度で含有するヘリウムガスを流しながら、試料管を−196℃に冷却し、炭素材に窒素を吸着させる。次に試験管を室温に戻す。このとき試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量vとした。
JIS R7212に定められた方法に準拠し、ブタノールを用いて測定した。概要を以下に記す。なお、炭素質前駆体を1100℃で熱処理して得られた炭素質材料及び本発明の炭素質材料のいずれも、同じ測定方法で測定した。
内容積約40mLの側管付比重びんの質量(m1)を正確に量る。次に、その底部に試料を約10mmの厚さになるように平らに入れた後、その質量(m2)を正確に量る。これに1−ブタノールを静かに加えて、底から20mm程度の深さにする。次に比重びんに軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、真空デシケーター中に入れ、徐々に排気して2.0〜2.7kPaとする。その圧力に20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後取り出して、更に1−ブタノールで満たし、栓をして恒温水槽(30±0.03℃に調節してあるもの)に15分間以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせる。次に、これを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後、質量(m4)を正確に量る。次に同じ比重びんに1−ブタノールだけを満たし、前記と同じようにして恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m3)を量る。また、使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重びんにとり、前と同様に恒温水槽に浸し、標線を合わせた後質量(m5)を量る。真密度(ρBt)は次の式により計算する。
試料約0.1gに対し、分散剤(カチオン系界面活性剤「SNウェット366」(サンノプコ社製))を3滴加え、試料に分散剤を馴染ませる。次に、純水30mLを加え、超音波洗浄機で約2分間分散させたのち、粒径分布測定器(島津製作所製「SALD−3000J」)で、粒径0.05〜3000μmの範囲の粒径分布を求めた。
得られた粒径分布から、累積容積が50%となる粒径をもって平均粒径Dv50(μm)とした。
アルカリ金属元素含有率の測定のためには、予め所定のアルカリ金属元素を含有する炭素試料を調製し、蛍光X線分析装置を用い、各アルカリ金属元素に相当するX線強度とアルカリ元素の含有量との関係に関する検量線を作成しておく。次いで試料について、蛍光X線分析におけるアルカリ金属元素に相当するX線の強度を測定し、先に作成した検量線よりアルカリ元素の含有量を求める。
蛍光X線分析は、理学電機(株)製の蛍光X線分析装置を用い、以下の条件で行った。上部照射方式用ホルダーを用い、試料測定面積を直径20mmの円周内とした。被測定試料を設置しポリエチレンテレフタレート製フィルムで表面を覆い測定を行った。
軟化点205℃、H/C原子比0.65、キノリン不溶分0.4%の石油系ピッチ70kgと、ナフタレン30kgとを、撹拌翼及び出口ノズルのついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、加熱溶融混合を行った。その後、加熱溶融混合した石油系ピッチを冷却後、粉砕し、得られた粉砕物を90〜100℃の水中に投入し、攪拌分散し、冷却して球状ピッチ成型体を得た。大部分の水をろ過により取り除いた後に、球状ピッチ成型体をn−ヘキサンでピッチ成型体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチに対し加熱空気を通じながら、加熱酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。多孔性球状酸化ピッチの酸素含有量(酸素架橋度)は6重量%であった。
次に、不融性の多孔性球状酸化ピッチ200gをジェットミル(ホソカワミクロン社AIR JET MILL;MODEL 100AFG)により、20分間粉砕し、平均粒子径が20〜25μmの粉砕炭素質前駆体を得た。得られた粉砕炭素質前駆体に窒素雰囲気中で水酸化ナトリウム水溶液を加え含浸させたのち、これを減圧加熱脱水処理を行い、粉砕炭素質前駆体に対して7.0重量%の水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を得た。次に、水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を粉砕炭素前駆体の質量換算で10gを横型管状炉に入れ、窒素雰囲気中600℃で10時間保持して予備焼成を行い、さらに250℃/hの昇温速度で1150℃まで昇温し、1150℃で1時間保持して、本焼成を行い、炭素質材料1を調製した。なお、本焼成は、流量10L/minの窒素雰囲気下で行った。得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
実施例1と同様にして調製した粉砕炭素質前駆体に窒素雰囲気中、水酸化ナトリウム水溶液を加え含浸させたのち、これを加熱減圧脱水処理を行い、粉砕炭素質前駆体に対して15.0重量%の水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を得た。次に、水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を粉砕炭素質前駆体の質量換算で10gを横型管状炉で窒素雰囲気中600℃、10時間、予備焼成を行い放冷した。予備焼成した炭素質前駆体をビーカーに入れ、脱イオン交換水にて十分に水洗し、アルカリ金属化合物を除去し、濾過後、窒素雰囲気中105℃で乾燥させた。水洗した炭素質前駆体を窒素雰囲気中250℃/hの昇温速度で1100℃まで昇温し、1100℃で1時間保持して、本焼成を行い、炭素質材料2を調製した。なお、本焼成は、流量10L/minの窒素雰囲気下で行った。得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を6重量%に代えて8重量%としたこと、及び本焼成の温度を1150℃に代えて1200℃としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、炭素質材料3を調製した。得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を6重量%に代えて13重量%としたこと、アルカリ添加量を7重量%に代えて1.0重量%としたこと、及び本焼成の温度を1150℃に代えて1200℃としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、炭素質材料4を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を6重量%に代えて13重量%としたこと、及びアルカリ添加量を7.0重量%に代えて2.4重量%としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、炭素質材料5を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであり、アルカリ金属元素含有量は1.5重量%であった。
本焼成の温度を1150℃に代えて1200℃としたことを除いては、実施例5の操作を繰り返して、炭素質材料6を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
炭素質前駆体の平均粒子径を20〜25μmに変えて11μmとしたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、炭素質材料7を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は9μmであった。
炭素質前駆体の平均粒子径を20〜25μmに変えて6μmとしたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、炭素質材料8を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は5μmであった。
アルカリ添加量を2.4重量%に代えて7.0重量%としたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、炭素質材料9を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を13重量%に代えて14重量%としたこと、アルカリ添加量を7.0重量%に代えて15.0重量%としたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、炭素質材料10を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を6重量%に代えて18重量%としたこと、アルカリ添加量を15.0重量%に代えて30.0重量%としたこと、及び本焼成の温度を1100℃に代えて1200℃としたことを除いては、実施例2の操作を繰り返して、炭素質材料11を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は21μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を8重量%に代えて18重量%としたこと、添着するアルカリ金属化合物をNaOHに代えてKOHを用いたことを除いては、実施例3の操作を繰り返して、炭素質材料12を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は21μmであった。
実施例1の操作を繰り返し酸素含有量(酸素架橋度)が6重量%に代えて酸素含有量(酸素架橋度)18重量%の多孔性球状酸化ピッチを調製し、これを窒素雰囲気中500℃で熱処理し、多孔性球状炭素質前駆体を得た。次に、多孔性球状炭素質前駆体を実施例1と同様にして粉砕し、平均粒子径が20〜25μmの粉砕炭素質前駆体を得た。この粉砕炭素質前駆体をアルカリ添加量を7.0重量%に代えて15.0重量%、本焼成温度を1150℃に代えて1200℃としたことを除いては、実施例1操作を繰り返して、炭素質材料13を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は21μmであった。
石炭系ピッチを、平均粒子径20〜25μmに粉砕したのち、加熱空気を通じながら、加熱酸化し、熱に対して不融性の粉砕炭素質前駆体を得た。得られた粉砕炭素質前駆体の酸素含有量(酸素架橋度)は、8重量%であった。得られた粉砕炭素質前駆体に窒素雰囲気中で水酸化ナトリウム水溶液を加え含浸させたのち、これを減圧加熱脱水処理することにより、粉砕炭素質前駆体に対して7.0重量%の水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を得た。次に、水酸化ナトリウムを添着した粉砕炭素質前駆体を粉砕炭素前駆体の質量換算で10gを横型管状炉に入れ、窒素雰囲気中600℃で10時間保持して予備焼成を行い、さらに250℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間保持して、本焼成を行い、炭素質材料14を調製した。なお、本焼成は、流量10L/minの窒素雰囲気下で行った。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を8重量%に代えて16重量%としたこと、アルカリ添着をしなかったことを除いては、実施例3の操作を繰り返して、比較炭素質材料1を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を16重量%に代えて6重量%としたことを除いては、比較例1の操作を繰り返して、比較炭素質材料2を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を13重量%に代えて6重量%としたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、比較炭素質材料3を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を13重量%に代えて1重量%としたこと、アルカリ添加量を2.4重量%に代えて50.0重量%としたことを除いては、実施例6の操作を繰り返して、比較炭素質材料4を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は15μmであった。得られた炭素質材料を用いて電極作製を行ったが、電極作製が困難で電池性能を測定することができなかった。
アルカリ添加量を7.0重量%に代えて1.0重量%としたことを除いては、実施例13の操作を繰り返して、比較炭素質材料5を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は19μmであった。
酸素含有量(酸素架橋度)を16重量%に代えて18重量%としたこと、及び本焼成の温度を1200℃に代えて800℃としたことを除いては、比較例1の操作を繰り返して、比較炭素質材料6を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
本焼成の温度を800℃に代えて1500℃としたことを除いては、比較例6の操作を繰り返して、比較炭素質材料7を調製した。なお、得られた炭素質材料の平均粒子径は20μmであった。
(a)試験電池の作製
本発明の炭素材は非水電解質二次電池の負極電極を構成するのに適しているが、電池活物質の放電容量(脱ドープ量)及び不可逆容量(非脱ドープ量)を、対極の性能のバラツキに影響されることなく精度良く評価するために、特性の安定したリチウム金属を対極として、上記で得られた電極を用いてリチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。
リチウム極の調製は、Ar雰囲気中のグローブボックス内で行った。予め2016サイズのコイン型電池用缶の外蓋に直径16mmのステンレススチール網円盤をスポット溶接した後、厚さ0.8mmの金属リチウム薄板を直径15mmの円盤状に打ち抜いたものをステンレススチール網円盤に圧着し、電極(対極)とした。
このようにして製造した電極の対を用い、電解液としてはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを容量比1:2:2で混合した混合溶媒に1.4mol/Lの割合でLiPF6を加えたものを使用し、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製微細細孔膜のセパレータとして、ポリエチレン製のガスケットを用いて、Arグローブボックス中で、2016サイズのコイン型非水電解質系リチウム二次電池を組み立てた。
上記構成のリチウム二次電池について、充放電試験装置(東洋システム製「TOSCAT」)を用いて充放電試験を行った。ここで、正極にリチウムカルコゲン化合物を使用した電池では、炭素極へのリチウムのドープ反応が「充電」であり、本発明の試験電池のように対極にリチウム金属を使用した電池では、炭素極へのドープ反応が「放電」と呼ぶことになり、用いる対極により同じ炭素極へのリチウムのドープ反応の呼び方が異なる。そこでここでは、便宜上炭素極へのリチウムのドープ反応を「充電」と記述することにする。逆に「放電」とは試験電池では充電反応であるが、炭素材からのリチウムの脱ドープ反応であるため便宜上「放電」と記述することにする。ドープ反応は、0.5mA/cm2の電流密度で1時間通電したのち2時間休止する操作を繰り返し、端子間の平衡電位が5mVに達するまで行った。このときの電気量を使用した炭素質材料の重量で除した値をドープ容量と定義し、mAh/gの単位で表した。次に同様にして逆方向に電流を流し、炭素質材料にドープされたリチウムを脱ドープした。脱ドープは、0.5mA/cm2の電流密度で1時間通電したのち、2時間休止する操作を繰り返し、端子電位1.5Vをカットオフ電圧とした。このとき放電した電気量を電極の炭素材の重量で除した値を炭素材の単位重量当たりの放電容量(Ah/kg)と定義する。さらに、単位重量当たりの放電容量と真密度の積を体積当たりの放電容量(Ah/L)とした。また、重量当たりの放電容量を重量当たりの充電容量で除し、充放電効率を求めた。充放電効率は、百分率(%)で表記した。同一試料を用いて作製した試験電池についてのn=3の測定値を平均して充放電容量及び充放電効率を計算した。
また、実施例5の炭素質材料は、1.5重量%のナトリウム金属元素を含んでいた。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
Claims (4)
- (1)酸素含有量が1〜25重量%の炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ金属元素を含む化合物のアルカリ添着量が0.5〜40重量%のアルカリ添着炭素質前駆体を得るアルカリ添着工程であって、酸素含有量が1重量%以上9重量%未満の場合はアルカリ添着量が4〜40重量%であり、酸素含有量が9〜25重量%の場合はアルカリ添着量が0.5〜40重量%であるアルカリ添着工程、及び
(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、
(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は
(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程、
を含む非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法であって、
前記非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、真密度が1.35〜1.60g/cm 3 、窒素吸着によるBET法で求められる比表面積が30m 2 /g以下、平均粒子径が50μm以下、及び元素分析により求められる水素原子と炭素原子の原子比(H/C)が0.1以下である、非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。 - 前記炭素質前駆体が、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を炭素源とするものである、請求項1に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
- 前記焼成工程(2)(a)が、
(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(a1)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程であるか、又は
前記焼成工程(2)(b)が、
(2)前記アルカリ添着炭素質前駆体を、(b1)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、アルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成する、焼成工程であるか、若しくは(b2)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成し、そしてアルカリ金属及びアルカリ金属元素を含む化合物を洗浄により除去する、焼成工程である、
請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。 - 酸素含有量が1〜25重量%の炭素質前駆体に、アルカリ金属元素を含む化合物を添加し、アルカリ金属元素を含む化合物のアルカリ添着量が0.5〜40重量%のアルカリ添着炭素質前駆体を得るアルカリ添着工程であって、酸素含有量が1重量%以上9重量%未満の場合はアルカリ添着量が4〜40重量%であり、酸素含有量が9〜25重量%の場合はアルカリ添着量が0.5〜40重量%であるアルカリ添着工程、及び
前記アルカリ添着炭素質前駆体を、
(a)非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成するか、又は
(b)非酸化性ガス雰囲気中において400℃以上800℃未満で予備焼成し、そして非酸化性ガス雰囲気中において800℃〜1500℃で本焼成して、焼成物を得る焼成工程、
前記焼成物を負極用炭素質材料として、非水電解質二次電池を構成する工程、
を含み、
前記負極用炭素質材料は、真密度が1.35〜1.60g/cm 3 、窒素吸着によるBET法で求められる比表面積が30m 2 /g以下、平均粒子径が50μm以下、及び元素分析により求められる水素原子と炭素原子の原子比(H/C)が0.1以下である、ことを特徴とする、非水電解質二次電池の製造方法。
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