JPWO2015152093A1 - 非水電解質二次電池負極用炭素質材料、非水電解質二次電池用負極電極、非水電解質二次電池及び車両 - Google Patents

非水電解質二次電池負極用炭素質材料、非水電解質二次電池用負極電極、非水電解質二次電池及び車両 Download PDF

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Abstract

体積当たり容量が高く、入力特性に優れる非水電解質二次電池負極用炭素質材料等を提供すること。本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cm3であり、平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m2/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)が1.0以下である。

Description

本発明は、非水電解質二次電池負極用炭素質材料、非水電解質二次電池用負極電極、非水電解質二次電池及び車両に関する。
近年、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、小型及び軽量であるという特徴を活かして、モーターのみで駆動する電気自動車(EV)、または内燃エンジンとモーターとを組み合わせたプラグインハイブリット型自動車(PHEV)やハイブリッド型電気自動車(HEV)等の車載用途での普及が期待されている。車載用リチウムイオン二次電池は、一回の充電での航続距離を延ばすためのエネルギー密度の向上とともに、車両燃費を一層改善するためエネルギー回生効率の向上に必要な電池の入力特性の向上が望まれている。また、自動車が寒冷地で使用されることも考慮し、低温環境においても高い入力特性を維持することが求められている。
現在、リチウムイオン二次電池の負極材には、炭素材料が使用されており、黒鉛質材料や非黒鉛性炭素材料が用いられている。非黒鉛性炭素材料は、易黒鉛化性炭素(SC)と難黒鉛化性炭素(HC)に大別され、黒鉛質材料と比べて充電割合により電位が緩やかに変化する。そのため、非黒鉛性炭素材料では黒鉛質材料の充電電位より貴な電位で充電できる範囲が広く、入力特性に優れていることから燃費向上、改善を目的とした自動車用途の二次電池に適している。
具体的に、負極材料として難黒鉛化性炭素や易黒鉛化性炭素に代表される非黒鉛性炭素材料の選択が提案されている。例えば、特許文献1では粒子径分布の調整により負極電極の粒子間空隙を制御することで出力特性が改善した非水電解質二次電池が開示されている。しかし、特許文献1は、車載用電池のような急速な入力特性に関する結果は示されておらず、また低温での特性向上を意図するものでもない。
WO2013/118757号パンフレット
本発明の目的は、低温環境においても体積当たりの入力特性を向上させた非水電解質二次電池負極用炭素質材料及び非水電解質二次電池用負極電極、並びにこの非水電解質二次電池用負極電極を備える非水電解質二次電池及び車両を提供することにある。
本発明者らは、ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cmであり、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)が1.0以下であることにより、低温環境においても高い体積当たり入力特性を有する非水電解質二次電池負極用炭素質材料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cmであり、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)が1.0以下であることを特徴とする非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
(2) 体積粒子径30μm以上の粒子の量が1.0体積%以下である、上記(1)に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
(3) X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.365nm以上0.400nm以下である、上記(1)または(2)に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
(4) X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上0.375nm以下であり、1000倍の偏光顕微鏡により観察される光学的異方性組織が長径10μm以下の異方性単位から構成される微細なモザイク構造である、上記(1)または(2)に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
(5) 窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)(単位:m/g)と、体積平均粒子径(Dv50)(単位:μm)、及びブタノール法により求めた真密度(ρBt)(単位:g/cm)を用いて、計算式「6/(Dv50×ρBt)」から求められる比表面積(CALC)(単位:m/g)との比表面積比(BET/CALC)が、5.5超である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
(6) 揮発分が5.5質量%以下の炭素前駆体を粉砕し、900℃〜2000℃で焼成処理されることで得られる、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
(7) 電極片面当たりの電極層の厚みが10μm以上60μm以下である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含む非水電解質二次電池用負極電極。
(8) 上記(7)に記載の負極電極を備えた非水電解質二次電池。
(9) 上記(8)に記載の非水電解質二次電池を搭載した車両。
本発明によれば、ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cmであり、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)が1.0以下であることにより、高い体積当たり入力特性を有する非水電解質二次電池負極用炭素質材料が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[1]非水電解質二次電池負極用炭素質材料
本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cmであり、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比が1.0以下であることを特徴とする。
本発明の炭素質材料は、ブタノール法により求められる真密度(ρBt)が1.50g/cm以上2.10g/cm未満である。この真密度は、黒鉛の真密度よりも低い範囲にある非晶質炭素材料によって呈されるものである。このような炭素材料は、リチウム参照電極基準で0.2V〜1.1Vという車載用リチウムイオン二次電池で最も使用に供する電位範囲における充放電曲線の傾きがなだらかになる。これにより、50%前後の充電領域で使用される実用状態において、負極と正極との電位差が高く維持され、高い体積当たり入力特性を備えることができる点で実用上適している。
真密度(ρBt)は、過小であると、電極密度の向上が困難になるため、体積当たりの入力密度が小さくなり、十分な入力特性が得られないため、1.50g/cm以上が好ましい。より好ましくは1.60g/cm以上である。他方、過大であると、その結晶構造が黒鉛材料に近づき、(002)面の平均面層間隔(d002)が小さく、かつc軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が大きくなり、充放電サイクル特性にともなう結晶の膨張および収縮の繰り返しによる容量のサイクル特性が劣化するため、2.10g/cm以下が好ましい。より好ましくは2.00g/cm以下である。
本発明の炭素質材料は、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmである。粒子径は小さいほど、電解液との接液面積が増加し、粒子内部へリチウムが進入するので入力特性が向上する。さらに、粒子表面から粒子中心部までの距離が短くなるので、粒子表面から内部までリチウムが拡散するための拡散長が短くなるため、入力特性向上に有利である。一方、粒子径が小さすぎると、電解液との反応性が過度に高まり、不可逆容量が増加する傾向にある。また粒子径が小さすぎると、電極にするために必要なバインダー量が多くなり、電極の抵抗が増加する。そのため、平均粒子径は、1〜15μmであることが好ましく、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmである。
本発明の炭素質材料は窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上である。窒素吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)は、窒素ガス分子が進入できる程度の粒子内の比表面積を反映したものである。比表面積(BET)と炭素材料内部に電解液が進入することによる炭素材料と電解液との接液面積には良い相関関係があると考えられるため、比表面積(BET)が大きいとリチウムイオンの吸蔵放出に関わる接液面積が多くなり、急速な充放電が可能となるので、入力特性が向上する。この比表面積(BET)は、7.0m/g以上が好ましく、より好ましくは、8.0m/g以上、さらに好ましくは10.0m/g以上である。
本発明の炭素質材料は粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比が1.0以下である。比表面積は、小粒子径粉末を含有する程度とその粒子径分布によって変化する。本発明では、粒子を真球と仮定し、粒子径分布を各体積粒子径の範囲にn個に分割し、各体積粒子径に相当する粒子の表面積を求め、それらを加算することにより比表面積(CAL)を計算した。さらに、以下の式で単位質量当たりの比表面積(CAL)と、前記窒素吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)を計算した。球相当体積粒子径(μm)、個数頻度は、粒子径分布の結果を用いた。
Figure 2015152093
CALとBETが同じ値の場合、(CAL/BET)は1.0になるが、窒素ガス分子が炭素内部に進入可能な細孔が存在しないことを示唆している。このとき、リチウムが進入できる細孔も少なくなっており、リチウムの吸蔵放出に関わる細孔の割合が減少した形態となってしまっていることを示していると考えられる。このような炭素質材料は、急速な充放電が困難になるため好ましくない。この比(CAL/BET)は、1.0以下が好ましい。
また、原料から炭素化のプロセスでは、残存揮発分が粒子表面に付着しやすく、これにより相対的に粒子径が大きくなる。あるいは、付着物が接着剤として機能して、粒子の塊を生じやすい。またこの付着物は、リチウムの吸蔵放出に関わる細孔を塞ぎBETを低下させる他、電極の抵抗を増大させるため、入力特性を悪化させる。それに対し、本発明の炭素質材料は、残存揮発分が少ないため、揮発分による粒子径増大と細孔閉塞を防ぎ、入力特性の悪化を抑制できるというメリットも有する。
本発明の炭素質材料は、体積粒子径30μm以上の粒子の量が1.0体積%以下である。上記のとおり、体積平均粒子径(DV50)、比表面積(BET)、比表面積比(CAL/BET)を所定範囲で有する本発明は、相対的に小粒子径粉末からなるものである。大きい粒子を含有すると、これらの範囲を満たすことが難しくなるので、大粒子径の粒子は多量に含まれないことが好ましい。
また、入力特性を向上させるために、特に限定されるものではないが、負極の活物質層を薄くすることが効果的である。上記の炭素質材料は、密に充填可能であるが、そうすると負極の炭素質粉末の間に形成される空隙が小さくなり、電解液中のリチウムの移動が抑制されて入力特性に影響する。他方、負極の活物質層が薄い場合は、リチウムイオンの拡散行程が短くなるので、その結果、密充填による上記リチウムイオンの移動が抑制されるデメリットに比べて、体積当たり容量増加のメリットが上回りやすくなる。このような薄い平滑な活物質層を形成する観点では、大粒子径の粒子は多量に含まれないことが好ましく、具体的には、体積粒子径30μm以上の粒子の量が1.0体積%以下であり、より好ましくは、0.5体積%以下、更に好ましくは0体積%である。このような粒子径分布への調整は、製造過程での粉砕条件の調整、あるいは粉砕後に分級することで調整できる。
炭素質材料の(002)面の平均層面間隔は、結晶完全性が高いほど小さな値を示し、理想的な黒鉛構造のそれは、0.3354nmの値を示し、構造が乱れるほどその値が増加する傾向がある。したがって、平均層面間隔は、炭素の構造を示す指標として有効である。本発明の炭素質材料は、X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔が0.365nm以上0.400nm以下の炭素質材料を使用できる。これには、例えば難黒鉛化性炭素が含まれる。上記平均層面間隔の下限値としては、0.370nm以上がより好ましい。同じく、上限値は、0.395nm以下がより好ましく、0.390nm以下が更に好ましい。
本発明の炭素質材料は、X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔が0.340nm以上0.375nm以下の炭素質材料を使用できる。これには、例えば易黒鉛化性炭素が含まれる。上記平均層面間隔の下限値としては、0.345nm以上がより好ましい。同じく、上限値は、0.370nm以下が好ましく、0.365nm以下が更に好ましい。
また、1000倍の偏光顕微鏡によって観察される光学的異方性組織の構造が、長径が10μm以下の異方性単位から構成される微細なモザイク構造を示すことが好ましい。これにより、微細な結晶子が無秩序に配列するため、結晶層間への活物質のドープ・脱ドープによる結晶の歪みが全体として等方的になり、活物質のドープ・脱ドープによる結晶の崩壊が抑制される。このような炭素質材料で構成された負極を備える二次電池は、良好な充放電サイクル特性を有する。光学的異方性組織を構成する異方性単位の寸法は、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
本発明において、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)(単位:m/g)と、体積平均粒子径(Dv50)(単位:μm)、及びブタノール法により求めた真密度(ρBt)(単位:g/cm)を用いて、計算式「6/(Dv50×ρBt)」から求められる比表面積(CALC)(m/g)との比表面積比(BET/CALC)が、5.5超であることが好ましい。
前記計算式は、n個の粒子が同じ半径rの球形であると仮定し、粒子の総表面積(4nπr)、総体積(4nπr/3)、密度ρ(総質量/総体積)により、単位質量当たりの比表面積(総表面積/総質量)は、3/ρrとなり、r=Dv50/2により、CALC=6/(Dv50×ρBt)となる。
BETは、窒素ガスが進入できる細孔に関係する一方で、CALCは、ρBtに依存するためブタノールが進入できる程度の比較的大きい孔に関係する。BET/CALCが大きいことは、ブタノールは進入できないが窒素は進入できる大きさの細孔の多さを反映しており、このような細孔は、Liの吸蔵放出に関与する度合いが高いと考えられる。BET/CALCが5.5未満であると、急速な充放電が困難になるので好ましくない。この観点から、5.5超が好ましく、8以上がより好ましく、更に好ましくは11以上である。
(非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造)
本発明の炭素質材料は、元素分析により測定された水素原子と炭素原子との比(H/C)が小さいほど好ましい。炭素化度が高くなるほど炭素質材料の水素含有率が小さくなるため、H/Cが小さくなる傾向にある。したがってH/Cは、炭素化度を表す指標として有効である。本発明の炭素質材料のH/Cは、限定されないが0.10以下であり、より好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.05以下である。H/Cが0.10を超えると、炭素質材料に官能基が多く存在し、リチウムとの反応により不可逆容量が増加することがあるので好ましくない。
本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料は、特に限定されないが、従来の非水電解質二次電池用炭素負極材料と類似の製造法をベースにしつつ、焼成条件を最適化することで良好に製造することができる。具体的には、以下のとおりである。
(炭素前駆体)
本発明の炭素質材料は、炭素前駆体から製造されるものである。炭素前駆体として、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、ポリイミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、又はポリエーテルエーテルケトンを挙げることができる。更に、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を挙げることができる。
なお、本明細書において、「炭素前駆体」は、未処理の炭素質の段階から、最終的に得られる非水電解質二次電池用炭素質材料の前段階までの炭素質を意味する。すなわち、最終工程の終了していないすべての炭素質を意味する。
(架橋処理)
炭素前駆体として、石油ピッチ若しくはタール、石炭ピッチ若しくはタール、又は熱可塑性樹脂を用いる場合、架橋処理を行う。架橋処理の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化剤を用いて行うことができる。酸化剤も特に限定されるものではないが、気体としては、O、O、SO、NO、これらを空気、窒素などで希釈した混合ガス、又は空気などの酸化性気体を用いることができる。また、液体としては、硫酸、硝酸、若しくは過酸化水素等の酸化性液体、又はそれらの混合物を用いることができる。酸化温度も、特に限定されるものではないが、好ましくは、120〜400℃であり、より好ましくは、150〜350℃である。温度が120℃未満であると、十分に架橋構造ができず熱処理工程で粒子同士が融着してしまう。また温度が400℃を超えると、架橋反応よりも分解反応のほうが多くなり、得られる炭素材料の収率が低くなる。
焼成は、炭素前駆体を非水電解質二次電池負極用炭素質材料とするものである。予備焼成及び本焼成を行う場合は、予備焼成の後に一旦温度を低下させて、粉砕し、本焼成を行ってもよい。
予備焼成及び本焼成は、本発明の分野において、公知の方法によって行うことができる。例えば、以下に記載された、本焼成の手順、又は予備焼成及び本焼成の手順に従って行うことができる。粉砕は、架橋処理の後行ってもよいが、予備焼成後に行う方が好ましい。
本発明の炭素質材料は、炭素前駆体を粉砕する工程、炭素前駆体を焼成する工程により製造される。
(予備焼成工程)
本発明における予備焼成工程は、炭素源を300℃以上900℃未満で焼成することによって行う。予備焼成では、揮発分、例えばCO、CO、CH、及びHなどと、タール分とを除去し、本焼成において、それらの発生を軽減し、焼成器の負担を軽減することができる。予備焼成温度が300℃未満であると脱タールが不十分となり、粉砕後の本焼成工程で発生するタール分やガスが多く、粒子表面に付着する可能性があり、粉砕したときの表面性を保てず電池性能の低下を引き起こすので好ましくない。予備焼成温度は300℃以上が好ましく、更に好ましくは500℃以上、特に好ましくは550℃以上である。一方、予備焼成温度が900℃以上であるとタール発生温度領域を超えることになり、使用するエネルギー効率が低下するため好ましくない。更に、発生したタールが二次分解反応を引き起こしそれらが炭素前駆体に付着し、性能の低下を引き起こすことがあるので好ましくない。また、予備焼成温度が高すぎると炭素化が進んで炭素前駆体の粒子が硬くなりすぎ、予備焼成後に粉砕を行う場合、粉砕機の内部を削り取ってしまうなど粉砕が困難になる場合があるため好ましくない。
予備焼成は、不活性ガス雰囲気中で行い、不活性ガスとしては、窒素、又はアルゴンなどを挙げることができる。また、予備焼成は、減圧下で行うこともでき、例えば、10kPa以下で行うことができる。予備焼成の時間も特に限定されるものではないが、例えば0.5〜10時間で行うことができ、1〜5時間がより好ましい。
(粉砕工程)
本発明における粉砕工程は、炭素前駆体の粒子径を、均一にするために行うものである。本焼成による炭素化後に粉砕することもできるが、炭素化反応が進行すると炭素前駆体が硬くなり、粉砕による粒子径分布の制御が困難になるため、粉砕工程は、予備焼成の後で本焼成の前が好ましい。
粉砕に用いる粉砕機は、特に限定されるものではなく、例えばジェットミル、ボールミル、ハンマーミル、又はロッドミルなどを使用することができる。
分級として、篩による分級、湿式分級、又は乾式分級を挙げることができる。湿式分級機としては、例えば重力分級、慣性分級、水力分級、又は遠心分級などの原理を利用した分級機を挙げることができる。また、乾式分級機としては、沈降分級、機械的分級、又は遠心分級の原理を利用した分級機を挙げることができる。
粉砕工程において、粉砕と分級は1つの装置を用いて行うこともできる。例えば、乾式の分級機能を備えたジェットミルを用いて、粉砕と分級を行うことができる。
更に、粉砕機と分級機とが独立した装置を用いることもできる。この場合、粉砕と分級とを連続して行うこともできるが、粉砕と分級とを不連続に行うこともできる。
(本焼成工程)
本発明における本焼成工程は、通常の本焼成の手順に従って行うことができ、本焼成を行うことにより、非水電解質二次電池負極用炭素質材料を得ることができる。本焼成の温度は、900〜2000℃である。本焼成温度が900℃未満では、炭素質材料に官能基が多く残存してH/Cの値が高くなり、リチウムとの反応により不可逆容量が増加するため好ましくない。本発明の本焼成温度の下限は900℃以上であり、より好ましくは1000℃以上であり、特に好ましくは1100℃以上である。一方、本焼成温度が2000℃を超えると炭素六角平面の選択的配向性が高まり放電容量が低下するため好ましくない。本発明の本焼成温度の上限は2000℃以下であり、より好ましくは1500℃以下であり、特に好ましくは1450℃以下である。
本焼成は、非酸化性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性ガスとしては、ヘリウム、窒素又はアルゴンなどを挙げることができこれらを単独或いは混合して用いることができる。更には塩素などのハロゲンガスを上記非酸化性ガスと混合したガス雰囲気中で本焼成を行うことも可能である。また、本焼成は、減圧下で行うこともでき、例えば、10kPa以下で行うことも可能である。本焼成の時間も特に限定されるものではないが、例えば0.1〜10時間で行うことができ、0.3〜8時間が好ましく、0.4〜6時間がより好ましい。
(タール又はピッチからの炭素質材料の製造)
タール又はピッチからの本発明の炭素質材料の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
まず、タール又はピッチに対して架橋処理(不融化)を施した。この架橋処理を施したタール又はピッチは、その後の焼成で炭素化されて構造制御された炭素質材料になる。
タール又はピッチとしては、エチレン製造時に複製する石油タール又はピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、及びコールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分又はピッチ、石炭の液化により得られるタール又はピッチなどの石油又は石炭のタール又はピッチが使用できる。また、これらのタール及びピッチの2種類以上を混合してもよい。
具体的に、架橋処理の方法としては架橋剤を使用する方法、又は空気などの酸化剤で処理する方法等がある。架橋剤を用いる場合は、石油タール若しくはピッチ、又は石炭タール若しくはピッチに対し、架橋剤を加えて加熱混合し架橋反応を進め炭素前駆体を得る。例えば、架橋剤としては、ラジカル反応により架橋反応が進行するジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート、又はN,N−メチレンビスアクリルアミド等の多官能ビニルモノマーが使用できる。多官能ビニルモノマーによる架橋反応は、ラジカル開始剤を添加することにより反応が開始する。ラジカル開始剤としては、α,α’アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、クメンヒドロベルオキシド、1−ブチルヒドロペルオキシド、又は過酸化水素などが使用できる。
また、空気などの酸化剤で処理して架橋反応を進める場合は、以下のような方法で炭素前駆体を得ることが好ましい。すなわち石油ピッチ又は石炭ピッチに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形しピッチ成形体を得る。次にピッチに対し低溶解度を有しかつ添加剤に対して高溶解度を有する溶剤でピッチ成形体から添加剤を抽出除去して多孔性ピッチとした後、酸化剤を用いて酸化し、炭素前駆体を得る。前記の芳香族添加剤の目的は、成形後のピッチ成形体から該添加剤を抽出除去して成形体を多孔質とし、酸化による架橋処理を容易にし、また炭素化後に得られる炭素質材料を多孔質にすることにある。前記の添加剤としては、例えばナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、又はビフェニル等の1種又は2種以上の混合物から選択することができる。ピッチに対する芳香族添加剤の添加量は、ピッチ100質量部に対し30〜70質量部の範囲が好ましい。
ピッチと添加剤の混合は、均一な混合を達成するため、加熱し溶融状態で行う。ピッチと添加剤との混合物は、添加剤を混合物から容易に抽出できるようにするため、粒子径1mm以下の粒子に成形してから行うことが好ましい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後粉砕する等の方法によってもよい。ピッチと添加剤の混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素主体の混合物、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類が好適である。このような溶剤でピッチと添加剤の混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま添加剤を成形体から除去することができる。この際に成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
得られた多孔性ピッチを架橋するため、次に酸化剤を用いて、好ましくは120〜400℃の温度で酸化する。酸化剤としては、O、O、NO、これらを空気、窒素等で希釈した混合ガス、又は空気等の酸化性気体、あるいは硫酸、硝酸、過酸化水素水等の酸化性液体を用いることができる。酸化剤として、空気又は空気と他のガス例えば燃焼ガス等との混合ガスのような酸素を含むガスを用いて、120〜400℃で酸化して架橋処理を行うことが簡便であり、経済的にも有利である。この場合、ピッチの軟化点が低いと、酸化時にピッチが溶融して酸化が困難となるので、使用するピッチは軟化点が150℃以上であることが好ましい。
上述のようにして架橋処理を施した炭素前駆体を、予備焼成を行った後、非酸化性ガス雰囲気中で900℃〜2000℃で炭素化することにより、本発明の炭素質材料を得ることができる。
(樹脂からの炭素質材料の製造)
樹脂からの炭素質材料の製造方法について、以下に例を挙げて説明する。
本発明の炭素質材料は、樹脂を前駆体として用い、900℃〜2000℃で炭素化することによっても得ることができる。樹脂としては、フェノール樹脂又はフラン樹脂など、或いはそれらの樹脂の官能基を一部変性した熱硬化性樹脂を使用することができる。熱硬化性樹脂を必要に応じて900℃未満の温度で予備焼成したのち、粉砕し、900℃〜2000℃で炭素化することによっても得ることができる。熱硬化性樹脂の硬化促進、架橋度の促進、或いは炭素化収率の向上を目的に必要に応じて120〜400℃の温度で酸化処理を行ってもよい。酸化剤としては、O、O、NO、これらを空気、窒素等で希釈した混合ガス、又は空気等の酸化性気体、あるいは硫酸、硝酸、過酸化水素水等の酸化性液体を用いることができる。
更に、ポリアクリロニトリル又はスチレン/ジビニルベンゼン共重合体などの熱可塑性樹脂に架橋処理を施した炭素前駆体を使用することもできる。これらの樹脂は、例えばラジカル重合性のビニルモノマー及び重合開始剤を混合したモノマー混合物を、分散安定剤を含有する水性分散媒体中に添加し、撹拌混合により懸濁してモノマー混合物を微細な
液滴とした後、ついで昇温することによりラジカル重合を進めて得ることができる。得られた樹脂を架橋処理により、架橋構造を発達させることにより球状の炭素前駆体とすることができる。架橋処理は、120〜400℃の温度範囲で行うことができ、特に好ましくは170℃〜350℃、更に好ましくは220〜350℃の温度範囲で行うことが好ましい。酸化剤としては、O、O、SO、NO、これらを空気、窒素等で希釈した混合ガス、又は空気等の酸化性気体、又は硫酸、硝酸、過酸化水素水等の酸化性液体を用いることができる。その後、前記のように熱に不融である炭素前駆体を、必要に応じて予備焼成を行った後、粉砕し、非酸化性ガス雰囲気中で900℃〜2000℃で炭素化することにより、本発明の炭素質材料を得ることができる。
粉砕工程は、炭素化後に行うことも出来るが、炭素化反応が進行すると炭素前駆体が硬くなるため、粉砕による粒子径分布の制御が困難になるため、粉砕工程は900℃未満の予備焼成の後で本焼成の前が好ましい。
[2]非水電解質二次電池用負極電極
本発明の非水電解質二次電池用負極電極は、本発明の非水電解質二次電池負極用炭素質材料を含む。
(負極電極の製造)
本発明の炭素質材料を用いる負極電極は、炭素質材料に結合剤(バインダー)を添加し適当な溶媒を適量添加、混練し、電極合剤とした後に、金属板などからなる集電板に塗布・乾燥後、加圧成形することにより製造することができる。本発明の炭素質材料を用いることにより特に導電助剤を添加しなくとも高い導電性を有する電極を製造することができるが、更に高い導電性を賦与することを目的に、必要に応じて電極合剤を調製時に導電助剤を添加することができる。導電助剤としては、導電性のカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、ナノチューブなどを用いることができ、添加量は使用する導電助剤の種類によっても異なるが、添加する量が少なすぎると期待する導電性が得られないので好ましくなく、多すぎると電極合剤中の分散が悪くなるので好ましくない。このような観点から、添加する導電助剤の好ましい割合は0.5〜10質量%(ここで、活物質(炭素質材料)量+バインダー量+導電助剤量=100質量%とする)であり、更に好ましくは0.5〜7質量%、とくに好ましくは0.5〜5質量%である。結合剤としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、及びSBR(スチレン・ブタジエン・ラバー)とCMC(カルボキシメチルセルロース)との混合物などの電解液と反応しないものであれば特に限定されない。中でもPVDFは、活物質表面に付着したPVDFがリチウムイオン移動を阻害することが少なく、良好な入力特性を得るために好ましい。PVDFを溶解しスラリーを形成するためにN−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましく用いられるが、SBRなどの水性エマルジョンやCMCを水に溶解して用いることもできる。結合剤の添加量が多すぎると、得られる電極の抵抗が大きくなるため、電池の内部抵抗が大きくなり電池特性を低下させるので好ましくない。また、結合剤の添加量が少なすぎると、負極材料粒子相互及び集電材との結合が不十分となり好ましくない。結合剤の好ましい添加量は、使用するバインダーの種類によっても異なるが、PVDF系のバインダーでは好ましくは3〜13質量%であり、更に好ましくは3〜10質量%である。一方、溶媒に水を使用するバインダーでは、SBRとCMCとの混合物など、複数のバインダーを混合して使用することが多く、使用する全バインダーの総量として0.5〜5質量%が好ましく、更に好ましくは1〜4質量%である。電極活物質層は集電板の両面に形成するのが基本であるが、必要に応じて片面でもよい。電極活物質層が厚いほど、集電板やセパレータなどが少なくて済むため高容量化には好ましいが、対極と対向する電極面積が広いほど入力特性の向上に有利なため電極層が厚すぎると入力特性が低下するため好ましくない。他方、電極層の厚みが過小であると、必要とされる炭素質材料の最大粒子径が小さくなり、それを達成するための粉砕条件の困難性、及びそれによる超微細粉末の増加が懸念される。好ましい電極層(片面当たり)の厚みは、10〜60μmであり、更に好ましくは10〜55μm、とくに好ましくは10〜50μmである。
[3]非水電解質二次電池
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用負極電極を含む。
(非水電解質二次電池の製造)
本発明の負極材料を用いて、非水電解質二次電池の負極電極を形成した場合、正極材料、セパレータ、及び電解液など電池を構成する他の材料は特に限定されることなく、非水溶媒二次電池として従来使用され、あるいは提案されている種々の材料を使用することが可能である。
例えば、正極材料としては、層状酸化物系(LiMOと表されるもので、Mは金属:例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、又はLiNiCoMo(ここでx、y、zは組成比を表わす)、オリビン系(LiMPOで表され、Mは金属:例えばLiFePOなど)、スピネル系(LiMで表され、Mは金属:例えばLiMnなど)の複合金属カルコゲン化合物が好ましく、これらのカルコゲン化合物を必要に応じて混合してもよい。これらの正極材料を適当なバインダーと電極に導電性を付与するための炭素材料とともに成形して、導電性の集電材上に層形成することにより正極が形成される。
これら正極と負極との組み合わせで用いられる非水溶媒型電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解することにより形成される。非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、又は1,3−ジオキソランなどの有機溶媒の一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、電解質としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiAsF、LiCl、LiBr、LiB(C、又はLiN(SOCFなどが用いられる。二次電池は、一般に上記のようにして形成した正極層と負極層とを必要に応じて不織布、その他の多孔質材料などからなる透液性セパレータを介して対向させ電解液中に浸漬させることにより形成される。セパレータとしては、二次電池に通常用いられる不織布、その他の多孔質材料からなる透過性セパレータを用いることができる。あるいはセパレータの代わりに、もしくはセパレータと一緒に、電解液を含浸させたポリマーゲルからなる固体電解質を用いることもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば自動車などの車両に搭載される電池(典型的には車両駆動用リチウムイオン二次電池)として好適である。
本発明による車両とは、通常電動車両として知られるものや燃料電池や内燃機関とのハイブリッド車など、特に制限されることなく対象とすることができるが、少なくとも上記電池を備えた電源装置と、該電源装置からの電源供給により駆動する電動駆動機構と、これを制御する制御装置を備える。更に、発電ブレーキや回生ブレーキを備え、制動によるエネルギーを電気に変換して当該リチウムイオン二次電池に充電する機構を備えてもよい。ハイブリッド車は特に電池容積の自由度が低いため、本発明の電池が有用である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下に本発明の非水電解質二次電池用炭素質材料の物性値(真密度(ρBt)、体積平均粒子径(Dv50)、BET比表面積、粒子径分布から計算される比表面積(CALC)、水素/炭素の原子比(H/C)、d002、充電容量、放電容量、不可逆容量、入力特性)の測定法を記載するが、実施例を含めて、本明細書中に記載する物性値は、以下の方法により求めた値に基づくものである。
(ブタノール法による真密度(ρBt))
真密度は、JIS R 7212に定められた方法に従い、ブタノール法により測定した。内容積約40mLの側管付比重びんの質量(m)を正確に量る。次に、その底部に試料を約10mmの厚さになるように平らにいれた後、その質量(m)を正確に量る。これに1−ブタノールを静かに加えて、底から20mm程度の深さにする。次に比重びんに軽い振動を加えて、大きな気泡の発生がなくなったのを確かめた後、真空デシケーター中にいれ、徐々に排気して2.0〜2.7kPaとする。その圧力に20分間以上保ち、気泡の発生が止まった後に、取り出し、更に1−ブタノールを満たし、栓をして恒温水槽(30±0.03℃に調節してあるもの)に15分間以上浸し、1−ブタノールの液面を標線に合わせる。次に、これを取り出して外部をよくぬぐって室温まで冷却した後質量(m)を正確に量る。
次に、同じ比重びんに1−ブタノールだけを満たし、前記と同じようにして恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m)を量る。また、使用直前に沸騰させて溶解した気体を除いた蒸留水を比重びんに採取し、前記と同様に恒温水槽に浸し、標線を合わせた後、質量(m)を量る。ρBtは次の式により計算する。
Figure 2015152093
このとき、dは、水の30℃における比重(0.9946)である。
(レーザー回折法による体積平均粒子径(Dv50))
試料に分散剤(カチオン系界面活性剤SNウェット366(サンノプコ社製))を3滴加え、試料に分散剤を馴染ませる。次に純水を加えて、超音波により分散させた後、粒子径分布測定器(日機装株式会社製「Microtrac MT3300EX」)で、粒子径0.02〜1400μmの範囲の粒子径分布を求めた。得られた粒子径分布から、体積基準の累積容積が50%となる粒子径をもって、体積平均粒子径Dv50とした。
また、体積粒子径30μm以上の粒子の量は、測定された体積粒子径30μmまでの粒子の量の累積値を100から減じることにより算出した。
(窒素ガス吸着によるBET法による比表面積(BET))
以下にBETの式から誘導された近似式を記す。
Figure 2015152093
上記の近似式を用いて、液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.2)によりvを求め、次式により試料の比表面積を計算した。
Figure 2015152093
このとき、vは試料表面に単分子層を形成するに必要な吸着量(cm/g)、vは実測される吸着量(cm/g)、xは相対圧力である。
具体的には、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II2300」を用いて、以下のようにして液体窒素温度における炭素質材料への窒素の吸着量を測定した。粒子径約1〜20μmに粉砕した炭素質材料を試料管に充填し、ヘリウム:窒素=80:20の混合ガスを流しながら、試料管を−196℃に冷却し、炭素質材料に窒素を吸着させる。つぎに試料管を室温に戻す。このとき試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量vとした。
(粒子径分布から計算される比表面積(CAL))
粒子を真球と仮定し、粒子径分布を各体積粒子径の範囲n個に分割し、各体積粒子径に相当する粒子の表面積を求め、それらを加算することにより比表面積を計算した。以下の式で単位質量当たりの比表面積(CAL)を計算する。球相当体積粒子径(μm)、個数頻度は、粒子径分布から算出することができる。
Figure 2015152093
(水素/炭素の原子比(H/C))
JIS M8819に定められた方法に準拠し測定した。CHNアナライザーによる元素分析により得られる試料中の水素及び炭素の質量割合から、水素/炭素の原子数の比として求めた。
(X線回折法による平均層面間隔(d002))
炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、PANalytical社製X’Pert PROを用いて、対称反射法にて測定した。走査範囲は8<2θ<50°で印加電流/印加電圧は45kV/40mAの条件で、Niフィルターにより単色化したCuKα線(λ=1.5418Å)を線源とし、X線回折図形を得た。標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正する。CuKα線の波長を0.15418nmとし、以下に記すBraggの公式によりd002を算出する。
Figure 2015152093
λ:X線の波長,θ:回折角
(活物質のドープ−脱ドープ試験)
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた炭素質材料1〜8及び比較炭素質材料1〜6を用いて、以下の(a)〜(d)の操作を行い、負極電極及び非水電解質二次電池を作製し、そして電極性能の評価を行った。
(a)電極作製
上記炭素質材料94質量部、ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製「KF#9100」)6質量部にNMPを加えてペースト状にし、銅箔上に均一に塗布した。乾燥した後、塗工電極を直径15mmの円板状に打ち抜き、これをプレスして電極とした。なお、電極中の炭素質材料の量は約10mgになるように調整した。
(b)試験電池の作製
本発明の炭素質材料は、非水電解質二次電池の負極電極を構成するのに適しているが、電池活物質の放電容量(脱ドープ量)及び不可逆容量(非脱ドープ量)を、対極の性能のバラツキに影響されることなく精度良く評価するために、特性の安定したリチウム金属を対極として、上記で得られた電極を用いてリチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。
リチウム極の調製は、Ar雰囲気中のグローブボックス内で行った。予め2016サイズのコイン型電池用缶の外蓋に直径16mmのステンレススチール網円盤をスポット溶接した後、厚さ0.8mmの金属リチウム薄板を直径15mmの円盤状に打ち抜いたものをステンレススチール網円盤に圧着し、電極(対極)とした。
このようにして製造した電極の対を用い、電解液としてはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを容量比で1:2:2で混合した混合溶媒に1.4mol/Lの割合でLiPFを加えたものを使用し、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製微細細孔膜をセパレータとして使用し、ポリエチレン製のガスケットを用いて、Arグローブボックス中で、2016サイズのコイン型非水電解質系リチウム二次電池を組み立てた。
(c)電池容量の測定
上記構成のリチウム二次電池について、充放電試験装置(東洋システム製「TOSCAT」)を用いて25℃にて充放電試験を行った。炭素極へのリチウムのドープ反応を定電流定電圧法により行い、脱ドープ反応を定電流法で行った。ここで、正極にリチウムカルコゲン化合物を使用した電池では、炭素極へのリチウムのドープ反応が「充電」であるが、本発明の試験電池のように対極にリチウム金属を使用した電池では、炭素極へのドープ反応を「放電」と呼ぶことになり、用いる対極により同じ炭素極へのリチウムのドープ反応の呼び方が異なる。そこでここでは、便宜上炭素極へのリチウムのドープ反応を「充電」と記述することにする。逆に「放電」とは試験電池では充電反応であるが、炭素質材料からのリチウムの脱ドープ反応であるため便宜上「放電」と記述することにする。
ここで採用した充電方法は定電流定電圧法であり、具体的には端子電圧が0.025Vになるまで0.5mA/cmで定電流充電を行い、端子電圧が0.025Vに達した後、端子電圧0.025Vで定電圧充電を行い電流値が20μAに達するまで充電を継続した。このとき、供給した電気量を電極の炭素質材料の質量で除した値を炭素質材料の単位質量当たりの充電容量(mAh/g)と定義した。充電終了後、30分間電池回路を開放し、その後放電を行った。放電は0.5mA/cmで定電流放電を行い、終止電圧を1.5Vとした。このとき放電した電気量を電極の炭素質材料の質量で除した値を炭素質材料の単位質量当たりの放電容量(mAh/g)と定義する。不可逆容量は、充電容量−放電容量として計算される。同一試料を用いて作製した試験電池3個の測定値を平均して充放電容量及び不可逆容量を決定した。
(d)50%充電状態の入力特性
負極は、上記(a)と同様の手順で負極電極を作製した。なお、電極中の炭素質材料の量は、プレス後に規定の電極厚みとなるよう調整した。正極は、コバルト酸リチウム(LiCoO)94質量部、カーボンブラック3質量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ製KF#1300)3質量部にNMPを加えてペースト状にし、アルミニウム箔上に均一に塗布した。乾燥した後、塗工電極を直径14mmの円板上に打ち抜き、これをプレスし電極とした。なお、負極活物質の充電容量の95%となるよう正極電極中のコバルト酸リチウムの量を調整した。コバルト酸リチウムの容量を150mAh/gとして計算した。
このようにして調製した電極の対を用い、電解液としてはエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートを容量比で1:2:2で混合した混合溶媒に1.4モル/リットルの割合でLiPFを加えたものを使用し、直径19mmの硼珪酸塩ガラス繊維製微細細孔膜をセパレータとして使用し、ポリエチレン製のガスケットを用いて、Arグローブボックス中で、2032サイズのコイン型非水電解質系リチウム二次電池を組み立てた。
はじめに25℃にて2回充放電を繰り返してエージングを行った後、入力試験を開始した。エージングで採用した定電流定電圧条件は、1回目のエージング時は電池電圧が4.2Vになるまで電流値をC/5で充電を行い、その後、電圧を4.2Vに保持するように(定電圧に保持しながら)電流値を連続的に変化させて電流値がC/100に達するまで充電を継続する。充電終了後、10分間電池回路を開放し、その後放電を行った。放電は電池電圧が2.75Vに達するまで電流値をC/5で行った。2回目のエージング時は電流値を2C/5とした以外は、1回目と同様に行った。2回目2/5Cのエージングでの放電容量を初期容量とした。初期容量に対する充電深度50%まで充電後、試験環境を−10℃とし、十分保持した後、10秒間0.5Cで放電を行い、10分間電池開路を解放し、その後10秒間0.5Cで充電を行い、10分間電池開路を解放した。電流値を1C、2Cとして同様の放充電を行った。その後、試験環境を−20℃とし、同様に十分保持したのち、同様に放充電を行った。更にその後、試験関環境を−30℃とし、同様に十分保持したのち、同様に放充電を行った。各測定温度において、規定電流で放充電した際の1秒目の充電電圧と電流の関係から、上限電圧を4.2Vとした際の電流値を外挿し、得られた上限電圧、電流値から入力値を算出した。この入力値を正極及び負極の体積で除してエネルギー密度を算出した。
(実施例1)
軟化点205℃、H/C原子比0.65の石油系ピッチ70kgと、ナフタレン30kgとを、撹拌翼および出口ノズルのついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃で加熱溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却し、耐圧容器内を窒素ガスにより加圧して、内容物を出口ノズルから押出し、直径約500μmの紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径(D)と長さ(L)の比(L/D)が約1.5になるように粉砕し、得られた破砕物を93℃に加熱した0.53質量%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)を溶解した水溶液中に投入し、撹拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により取り除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍量の質量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、270℃まで昇温し、270℃に1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
次に多孔性球状酸化ピッチを窒素ガス雰囲気中(常圧)で600℃まで昇温し、600℃で1時間保持して予備焼成を実施し、炭素前駆体を得た。得られた炭素前駆体をジェットミルにて粉砕し、平均粒子径3.8μmの粉末状炭素前駆体とした。続いてこの粉末状炭素前駆体10gを直径100mmの横型管状炉に入れ、250℃/hの昇温速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間保持して、本焼成を行い、炭素質材料1を調整した。なお、本焼成は流量10L/minの窒素雰囲気下で行った。
(実施例2)
多孔性球状ピッチの酸化温度を、250℃に変更した以外は実施例1と同様にして炭素質材料2を得た。
(実施例3)
多孔性球状ピッチの酸化温度を、205℃に変更した以外は実施例1と同様にして炭素質材料3を得た。
(実施例4)
多孔性球状ピッチの酸化温度を、190℃に変更した以外は実施例1と同様にして炭素質材料4を得た。
(実施例5)
多孔性球状ピッチの酸化温度を、170℃に変更した以外は実施例1と同様にして炭素質材料4を得た。
(実施例6)
多孔性球状ピッチの酸化温度を、165℃に変更した以外は実施例1と同様にして炭素質材料4を得た。
(実施例7)実施例3と同様にして得た炭素前駆体をジェットミルにて粉砕し、分級された粉末も混合し、平均粒子径3.0μmの粉末状炭素前駆体とした。本焼成は実施例1と同様に実施して炭素質材料7を得た。
(比較例1)
予備焼成後の炭素前駆体をボールミルにて粉砕し、粉砕後の体積平均粒子径を9.7μmと変更した以外は実施例1と同様に実施して比較炭素質材料1を得た。
(比較例2)
実施例2と同様の条件で得た多孔性球状酸化ピッチをジェットミルにて粉砕し、体積平均粒子径約3.8μmの粉砕状炭素前駆体とした。続いてこの粉末状炭素前駆体10gを実施例1と同様の条件で本焼成を行い、比較炭素質材料2を得た。
(比較例3)
BTR918(BTR NEW ENERGY MATERIALS INC社製、天然黒鉛)を用いた。
(比較例4)
実施例1の石油系ピッチを、軟化点210℃、H/C原子比0.63の石油系ピッチに変更し、石油系ピッチ68kgと、ナフタレン32kgとを、実施例1と同様に撹拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃に加熱し溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却し、耐圧容器内を窒素ガスにより加圧して、内容物を出口ノズルから押出し、直径が約500μmの紐状成形体を得た。ついで、この紐状成形体を直径(D)と長さ(L)の比(L/D)が約1.5になるように粉砕し、得られた破砕物を93℃に加熱した0.53質量%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)を溶解した水溶液中に投入し、撹拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体スラリーを得た。大部分の水をろ過により取り除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍量の質量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチ多孔体を加熱空気を通じながら、160℃で1時間保持して酸化処理を行い、多孔性球状酸化ピッチを得た。
この多孔性球状酸化ピッチを、窒素雰囲気中、480℃で1時間熱処理した炭素前駆体を粉砕し、平均粒子径が約13.7μmの炭素前駆体とした。次にこの炭素前駆体を窒素気流中で1800℃で1時間炭素化し、比較炭素材料4を得た。
(比較例5)
フルフリルアルコール100gに85%燐酸0.5gと水10.0gを加え、90℃で5時間反応させたのち、1NのNaOH水溶液を徐々に加えpHを約5に調整し、さらにこれより2.7kPaの減圧下70℃の条件で、残留水および未反応アルコールを除去しフルフリルアルコール初期縮合物を得た。得られた縮合物をさらに150℃で16時間硬化させフラン樹脂とした。
次に、得られたフラン樹脂を粗粉砕したのち、窒素気流下(常圧)500℃で1時間仮焼した。得られた炭素前駆体をジェットミルにて粉砕し、平均粒子径5.0μmの粉末状炭素前駆体とした。本焼成は実施例1と同様に実施して比較炭素質材料5を得た。
実施例1〜7および比較例1〜5で得られた炭素質材料の特性、それを用いて作製した電極および電池性能の測定結果を表1に示す。また、実施例2の炭素質材料を用いて負極厚みを変えて電池性能を測定した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1〜7の炭素質材料は、いずれも低温条件下での体積当たりエネルギー密度が高く、低温環境においても入力特性の向上を示した。
これに対し、比較例1〜5の炭素質材料は、体積当たりエネルギー密度が低かった。比較例1、2は、真密度(ρBt)が本発明の範囲に含まれるものであるが、いずれも比表面積が小さく、さらに比較例2は、比表面積比(CAL/BET)が大きいため、体積当たりエネルギー密度が低かった。比較例3は、真密度(ρBt)、平均粒子径(DV50)が大きく、比表面積(BET)が小さいため、また、比較例4は、比表面積(BET)が小さいため、また、比較例5は、真密度が本発明の範囲よりも小さいため、いずれも体積当たりエネルギー密度が低かった。
また、本発明の炭素質材料は、負極電極の電極層が10μm以上の厚みを有するが、表2に示すように、電極層が厚くなると体積当たりエネルギー密度が低減した。そのため、電極層厚みが60μmを超えると好ましくない。
Figure 2015152093
Figure 2015152093

Claims (9)

  1. ブタノール法により求めた真密度(ρBt)が1.50〜2.10g/cmであり、体積平均粒子径(DV50)が1〜15μmであり、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)が7.0m/g以上であり、粒子径分布から計算される比表面積(CAL)と、前記窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)との比(CAL/BET)が1.0以下であることを特徴とする非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
  2. 体積粒子径30μm以上の粒子の量が1.0体積%以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
  3. X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.365nm以上0.400nm以下である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
  4. X線回折法により求めた(002)面の平均層面間隔d002が0.340nm以上0.375nm以下であり、1000倍の偏光顕微鏡により観察される光学的異方性組織が長径10μm以下の異方性単位から構成される微細なモザイク構造である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
  5. 窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)(単位:m/g)と、体積平均粒子径(Dv50)(単位:μm)、及びブタノール法により求めた真密度(ρBt)(単位:g/cm)を用いて、計算式「6/(Dv50×ρBt)」から求められる比表面積(CALC)(単位:m/g)との比表面積比(BET/CALC)が、5.5超である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料。
  6. 揮発分が5.5質量%以下の炭素前駆体を粉砕し、900℃〜2000℃で焼成処理されることで得られる、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池負極用炭素質材料の製造方法。
  7. 電極片面当たりの電極層の厚みが10μm以上60μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の負極材料を含む非水電解質二次電池用負極電極。
  8. 請求項7に記載の負極電極を備えた非水電解質二次電池。
  9. 請求項8に記載の非水電解質二次電池を搭載した車両。
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