JP2005019091A - 非水系2次電池用負極材料、その製造方法、及びその2次電池 - Google Patents

非水系2次電池用負極材料、その製造方法、及びその2次電池 Download PDF

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輝彦 草野
Kazuhiro Ogawa
和宏 小川
Satoshi Yamazaki
悟志 山崎
Takeshi Haga
剛 芳賀
Hisashi Satake
久史 佐竹
Tsuguro Mori
嗣朗 森
Kazuya Kuriyama
和哉 栗山
Shizukuni Yada
静邦 矢田
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Abstract

【課題】実用的なドーピング時間で、質量当たり及び体積当たりの高容量を得ることができ、サイクル特性に優れた非水系2次電池の負極材料を提供することであり、更に、製造が簡単でその収率の高い非水系2次電池の負極材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の非水系2次電池用負極材料は、石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素からなり、(a)水素/炭素の原子比が0.18乃至0.25の範囲にあり、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲にあり、真密度が1.45g/cm以上であり、平均粒径が10μm以下であることを特徴とし、また本発明に係る非水系2次電池用負極材料の製造方法は、上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を不融化処理することなく熱反応に供して多環芳香族系炭化水素を得てなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系2次電池用の負極材料及びその製造方法に関するものであり、特に、リチウム2次電池の性能を著しく向上させることができる非水系2次電池用負極材料、その製造方法、及びその2次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話に代表される小型携帯機器用の電源、深夜電力の貯蔵システム、太陽光発電による電力貯蔵などを行うための家庭用分散型蓄電システム、電気自動車のための蓄電システムなどに関連して、各種の高エネルギー密度電池の開発が精力的に行われている。特にリチウムイオン電池は、350Wh/lを超える高い体積エネルギー密度を有すること、安全性、サイクル特性などの信頼性が優れていることなどの理由により、その市場は飛躍的に拡大している。
【0003】
リチウムイオン電池は、正極としてLiCoO、LiMnなどに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極として黒鉛に代表される炭素系材料を用いている。現在、リチウムイオン電池はより一層の高容量化が進められているが、正極酸化物および負極炭素系材料の改良による高容量化は、ほぼ限界に達しており、450Wh/lを超えるエネルギー密度を達成することは困難である。また、今後予測される大型化のニーズに応える為には、材料コストの低減も、強く望まれている。
【0004】
特に、電池の高エネルギー密度化および大型化のためには、安全性の確保が最重要課題であり、この観点からも、電極材料のさらなる特性改善が望まれている。
従来のリチウムイオン電池の負極材料としては、種々の黒鉛系材料、炭素系材料および多環芳香族系共役構造物質(一般に、低温処理炭素材料あるいはポリアセン系材料と呼ばれている。)が開発されている。特に、550〜1000℃程度の比較的低温で、種々の原料を熱処理して得られる多環芳香族系共役構造物質は、グラファイトの理論容量であるCLi(372mAh/g)を超える材料として、特に注目を浴びている。
【0005】
その中でも、石油、石炭ピッチを主成分とする原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素からの非水系2次電池用負極材料が提案されている(例えば、参考文献1を参照。)。このような非水系2次電池用負極材料は、水素/炭素(H/C)の原子比が0.35乃至0.05の範囲にあり、BET法による比表面積が50m/g以下であることが好ましいとしている。
また、このようなH/C比が0.22の負極材料では、20時間のリチウムドーピングにより900mAh/gの容量が得られている。この点で、上述の課題を解決する材料として期待がされている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−251885号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記多環芳香族系炭化水素材料の実用化においては、改善すべき課題が多く残されており、特に、非水系2次電池にこの材料を適用する場合、長くとも8時間程度の実用的なリチウムのドーピング速度における質量当たり及び体積当たりの容量、サイクル特性が重要となり、この観点から容量のより一層の向上が望まれている。従来、ピッチを原料とする炭素材料は、空気中でピッチを100〜400℃程度の温度で加熱するか、或いは硝酸、硫酸などの酸化性溶液で処理して、ピッチ全体或いはその表面を不融化処理(架橋処理)した後、不活性雰囲気中で熱処理することにより製造される場合が多い。この方法で得られる多環芳香族系炭化水素の比表面積が高くなり、初期効率等に問題があった。
【0008】
従って、本発明の課題は、実用的なドーピング時間で、質量当たり及び体積当たりの高容量を得ることができ、サイクル特性に優れた非水系2次電池の負極材料を提供することであり、更に、このような材料の製造が簡単でその収率の高い非水系2次電池の負極材料の製造方法、及びそれを用いた非水系2次電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、石炭系等方性ピッチを主原料として得られる多環芳香族系炭化水素を所定の粒径以下に粉砕して、所望の水素/炭素の原子比、所望の比表面積、及び真密度が所定以上になるものを、非水系2次電池の負極材料に用いると、実用的なドーピング時間での質量当たり及び体積当たりの容量が向上すること、及びサイクル特性に優れることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明に係る非水系2次電池用負極材料、その製造方法、及びその2次電池、更には非水系2次電池は、以下の構成或いは手段からなることを特徴とし、上記課題を解決するものである。
【0010】
(1) 石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素からなる負極材料であって、該材料の水素/炭素の原子比(H/C)が0.18乃至0.25の範囲にあり、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲にあり、真密度が1.45g/cm以上であり、更に平均粒径が10μm以下であることを特徴とする非水系2次電池用負極材料。
【0011】
(2) 上記平均粒径が1μm乃至6μmの範囲にあることを特徴とする上記(1)記載の非水系2次電池用負極材料。
(3) 上記BET法による比表面積が0.1乃至30m/gの範囲にあることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の非水系2次電池用負極材料。
【0012】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の非水系2次電池用負極材料の製造方法において、上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を不融化処理することなく熱反応に供して上記多環芳香族系炭化水素を得てなることを特徴とする非水系2次電池用負極材料の製造方法。
【0013】
(5)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の非水系2次電池用負極材料を用いる非水系2次電池。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る非水系2電池用負極材料、その製造方法、及びそれを用いた非水系2次電池の好ましい実施の形態を詳述する。尚、本発明に係る負極材料、その製造方法、及びそれを用いた非水系2次電池は以下の実施形態及び実施例に限るものではない。
本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、石炭系等方性ピッチを主成分とした原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素(多環芳香族系共役構造物質)からなる。
【0015】
上記原料の主成分となる石炭系等方性ピッチは、所定の物性を備えた負極材料を得ることができる限り、特に限定されるものではない。ピッチには、大別して石油系ピッチと石炭系ピッチとに分けられる。例えば、石油ピッチとしては、原料の蒸留残渣、流動性接触分解残渣(デカントオイルなど)、サーマルクラッカーからのボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタールなどが例示される。
また、石炭系ピッチとしては、石炭の乾留時に得られる油分であるコールタールを蒸留して、軽質分を流出させた残渣であるストレートピッチあるいはこれにアントラセン油、タールなどを添加したものなどである。
更に、ナフタレンの重縮合により合成されるナフタレンピッチ等の合成ピッチも知られている。
【0016】
これらのピッチは、現在安価でかつ大量に生産されており、主に製鉄用コークスバインダー、電極用含浸材、コークス用原料、炭素繊維用原料、成形炭素材料用バインダーなどの用途に用いられているが、本発明に用いるピッチは石炭系等方性ピッチであり、石炭系等方性ピッチは偏光顕微鏡で観察した時、光学的に等方性を示す。一方、異方性ピッチとしては晶質化ピッチ(メソフェーズピッチ)があるが、等方性ピッチの加熱、溶剤抽出、水素添加等を組み合わせて製造される為、コスト的に不利であり、石炭系等方性ピッチを用いる方が好ましい。また、石油系ピッチについては、不純物としての硫黄分が石炭系に比べ多く含まれるものが多く、合成ピッチについては、晶質化ピッチ(メソフェーズピッチ)同様コスト的に不利である。
【0017】
本発明に係る負極材料に使用する石炭系等方性ピッチを主成分とする原料としては、石炭系等方性ピッチに対して50質量%を超えない範囲で、より好ましくは30質量%を超えない範囲で、例えば、石油ピッチ等の石炭系等方性ピッチ以外のピッチ、フェノール樹脂等の合成樹脂、黒鉛などの導電剤を含めても良い。従って、本発明における「石炭系等方性ピッチを主成分とする原料」とは、石炭系等方性ピッチ単独からなる原料のみならず、このような混合物含有ピッチをも含むものである。しかし、本発明に係る負極材料を効果的に得るためには石炭系等方性ピッチ単独からなる原料を用いることが好ましい。
【0018】
上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料の軟化点は、温度70乃至400℃程度の範囲のものが好ましく、より好ましくは温度100乃至350℃の範囲のもの、特に好ましくは温度150乃至300℃の範囲のものである。ピッチの軟化点が上記範囲を下回るような場合には、所望の熱反応生成物の収率を低下させる一方、ピッチの軟化点が上記範囲を上回るような場合には、熱反応生成物の比表面積を増大させて、これもまた所望の負極材料が容易に得られなくなる。
【0019】
本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、上記ピッチを主成分とした原料を熱反応に供して得られた熱反応生成物(多環芳香族系炭化水素)を平均粒径が10μm以下に粉砕してなるものである。特に、1μm乃至7μmの範囲のもの、更に好ましくは2μm乃至6μmの範囲のものである。
材料としての平均粒径が上記範囲を超えると、質量当たりの容量が減少し、一方、上記範囲未満では電極の作製作業に困難が生じてくる。
【0020】
また、本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、その真密度が1.45g/cm以上、更には1.50g/cm以上のものが好ましい。体積当たりの十分な容量を得るためには1.45g/cm以上のものが好ましい。
【0021】
本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、水素/炭素の原子比(H/C)が0.18乃至0.25の範囲にあることが必要とされるものである。
上記原子比(H/C)が0.25を超えると、負極材料中に主要な多環芳香族系共役構造が十分に生じていないため、非水系2次電池用の負極材料に使用した場合には、サイクル容量の維持率の十分な改善が見られなくなる。一方、上記原子比(H/C)が0.18未満になると、サイクル容量の維持率は高くなるが、炭素化が過度に進行して高容量を得ることができない。従って、材料の原子比(H/C)が0.18乃至0.25の範囲にあると、質量及び体積当たりの容量が高く、サイクル維持率に優れた負極材料が得られる。
【0022】
尚、上記負極材料にあっては、本発明に係る効果に影響を与えない範囲で炭素及び水素以外に他の元素を含んでいても良い。例えば、負極材料は、その原料由来の炭素および水素以外の元素(酸素、硫黄、窒素など)を含んでも良い。そして、このような元素により負極材料の特性を阻害しないためには、その他の元素の合計質量が20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下に抑えることが望ましい。このためには、不要元素の含有量の少ない原料を選択するか、或いは不要元素を放出し易い条件の熱反応条件を選択することが望ましい。
【0023】
本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲にあることが必須とされる。より好ましくは比表面積が0.1乃至30m/gの範囲である。
負極材料の比表面積が大き過ぎると、リチウムのドープおよび脱ドープの初期効率が悪くなるので、実用上好ましくない。負極材料の比表面積が上記範囲未満となるとリチウムのドープがスムースにできなくなる。
【0024】
次に、本発明に係る非水系2次電池用負極材料の製造方法を説明する。
本発明に係る負極材料の製造方法は、上述した石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を、不融化処理することなく熱反応に供することにより多環芳香族系炭化水素を得るものである。
また、上記炭化水素を主材料とする本発明に係る負極材料の製造方法にあっては、その材料の水素/炭素の原子比(H/C)が0.18乃至0.25の範囲で、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲、より好ましくは0.1乃至30m/gの範囲で、真密度が1.45g/cm以上で、更に平均粒径が10μm以下、より好ましくは1μm乃至6μmの範囲になるように製造するものである。
【0025】
上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料の熱反応は、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気中(真空を含む)で行う。反応温度は、上述の原料の種類・性状および温度以外の諸条件(昇温速度、反応時間、反応雰囲気、圧力、反応時に生成するガス成分の反応系外の除去速度など)をも考慮して、水素/炭素の原子比(H/C)、及びBET法による比表面積を粉砕後に上記範囲となる様に適宜選択することができる。
【0026】
上記熱反応温度は通常、600乃至750℃の範囲、より好ましくは620乃至720℃の範囲である。
上記石炭系等方性ピッチを主成分とした原料を不活性雰囲気下の温度600乃至750℃の範囲で熱反応させれば、その熱反応生成物から上記範囲の水素/炭素の原子比及び比表面積を有する多環芳香族系炭化水素材料が高収率で得られる。熱反応による所望の炭化水素の収率は、主にピッチの軟化点、キノリン溶解度により左右されるが、本発明の製造方法においては少なくとも60%以上、好ましくは70%以上である。上記温度範囲で原料及び軟化点等を適宜選択すれば、所望の多環芳香族系炭化水素を60%以上の収率で十分に得ることができる。
【0027】
また、本発明に係る負極材料の製造方法にあっては、特定のH/C比と特定の比表面積値を同時に充足するために、石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を制御して、不融化処理をしないで熱反応に供するものである。
負極材料の比表面積は、一般に熱反応温度を上昇させると低下して、リチウムのドープ及び脱ドープの初期効率が高くなるが、その反面、容量が急激に減少する。従来からの多環芳香族系共役構造物質は、一般に比表面積が炭素系材料および黒鉛系材料に比べて高く、50m/gを上回るものが殆どである。この高い比表面積を低下させて容量を高めるために、再度表面処理を行う技術も開発されているが、この場合には煩雑な操作を必要とし、製造上、工程が余分に付加され、負極材料の製造コストを著しく上げるので実用的に不利である。
【0028】
本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、上述のようにH/C比の範囲を維持しながら、比表面積を50m/g以下とすることを特徴とする。本発明においては石炭系等方性ピッチを原料とし、原料ピッチの1回の熱反応により比表面積を50m/g以下とすることができ、その反応操作を更に簡便に行うことができる。
従来、ピッチ原料から炭化水素材料を製造する際には、空気中でピッチを100〜400℃程度の温度で加熱するか、或いは硝酸、硫酸などの酸化性液体により処理して、ピッチ全体あるいはその表面を不融化処理(架橋処理)した後、不活性雰囲気中で熱処理することにより、製造される。これに対して、本発明の製造方法において、その反応生成物が上記の特定のH/C比と特定の比表面積とを同時に充足するように、不融化処理あるいは表面酸化処理しない状態で、石炭系等方性ピッチを熱反応に供する。
【0029】
更に本発明に係る負極材料の製造方法にあっては、その特性を決定する主な条件は上記熱反応温度の範囲であるが、その他の副次的条件としては、特に限定されるものではないが昇温速度等が挙げられる。
昇温速度は10乃至1000℃/時間の範囲、より好ましくは50乃至500℃/時間の範囲である。昇温速度は一定である必要はなく、例えば、温度300℃までは100℃/時間の速度で昇温し、温度300℃乃至650℃までは50℃/時間の速度で昇温することができる。また、反応時間(ピーク温度保持時間)は1乃至50時間程度である。圧力は常圧でよいが、減圧あるいは加圧状態で行うことも可能である。
【0030】
本発明に係る非水系2次電池用負極材料の製造方法では、上記熱反応によって得られる熱反応生成物は殆どが不定形な状態で得られる。これを材料とするためには不定形な熱反応生成物を所定の粒径に粉砕し、必要に応じて粒度調整をして負極材料として使用する。上述したように平均粒径10μm以下となるまで、常法に従って熱反応生成物をボールミル、ジェットミルなどの粉砕器で粉砕し、更に必要ならば分級して使用する。
【0031】
このように製造される本発明に係る負極材料に関しては、その使用対象として後述する非水系2次電池に特に限定されるものではなく、公知の正極、非水系電解質と組み合わせて使用される限り本発明における負極材料となるものである。
【0032】
次に、本発明に係る非水系2次電池用負電極の実施の形態について簡単に説明する。
本発明に係る非水系2次電池用負電極は上述した負極材料が使用され、正極としてはリチウムの吸蔵/放出が可能な正極材料であれば特に制限されず、高電圧と高容量のリチウム二次電池を得るために、例えば、公知のリチウム複合コバルト酸化物、リチウム複合ニッケル酸化物、リチウム複合マンガン酸化物、或いはこれらの混合物、更にこれらの酸化物に異種金属元素を一種以上添加した系などを用いることができる。また、マンガン、バナジウム、鉄などの金属酸化物、ジスルフィド系化合物、ポリアセン系物質、活性炭などを用いることも可能であり、特に、容量の観点からLiCoO、LiNiCo、LiNiMnなどを含むリチウム複合酸化物が好ましい。
また、本発明の負電極の上記負極材料中にあらかじめリチウムをドープした状態で、電池を組み立てることも可能であり、さらに負電極上にリチウム金属を張り合わせるなどの方法により、電池組立後に負電極にリチウムをドープすることも可能である。
【0033】
非水系電解液としては、公知のリチウム塩を含む非水系電解液が用いられる。電解液の種類は、正極材料の種類、負極材料の性状、充電電圧などの使用条件などに応じて、適宜決定される。電解液としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClOなどのリチウム塩をプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチルなどの1種または2種以上からなる有機溶媒に溶解したものが、好ましい。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明に係る非水系2次電池材料、及びその製造方法の実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをさらに明確にする。
(実施例1)
石炭系等方性ピッチ(軟化点280℃)1000gをステンレス鋼製の皿に入れ、この皿を電気炉(炉内有効寸法:300mm×300mm×300mm)内に配置して、熱反応に供した。熱反応は、窒素雰囲気下で行い、窒素流量は10リットル/分とした。熱反応は、温度400℃までは昇温速度100℃/時間で、温度400℃以上では昇温速度50℃/時間で温度700℃(炉内温)となるまで昇温する。昇温後、同温度で12時間保持した後、自然冷却により、温度60℃まで冷却し、反応生成物を電気炉から取り出した。得られた生成物は、原料の形状を留めておらず、不定形な不溶不融性固体であった。収率は79.4質量%であった。
【0035】
得られた材料を剪断ミルで粒径5mm以下に粗粉砕した後、ジェットミルを用いて平均粒度4μm程度まで粉砕して負極材料を得た。得られた負極材料についての元素分析(測定機:パーキンエルマー社製、元素分析装置「PE2400シリーズII、CHNS/0」)、BET法による比表面積(測定機:QANTACHROME社製、「NOVA1200」)、真密度(溶媒に1−ブタノールを使用)、及び粒度分布(測定機:島津製作所「SALD2000J」)の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0036】
次いで、上記負極材料粉末の90質量部、導電剤としてのアセチレンブラック粉末の5質量部、およびバインダーとしてのPVdFの5質量部を溶媒としてのN−メチルピロリドン(NMP)と混合し、負極合剤スラリーを得た。このスラリーを厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥した後、プレスして厚さ50μm、密度1g/cmの電極を得た。
【0037】
上記で得られた電極を作用極とし、対極と参照極に金属リチウムを用い、電解液としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(質量比)で混合した溶媒に1mol/Lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いて、電気化学セルをアルゴンドライボックス中で作成した。リチウムのドーピングは、リチウム電位に対して1mVになるまで1mA/cmの定電流で行い、さらにリチウム電位に対して1mVの定電圧印加し、合わせて8時間ドーピングをした。10分の休止後、1mA/cmの定電流でリチウム電位に対して2Vまで脱ドーピングを行った。10分休止後、上記と同様にドーピング・脱ドーピングを行い、全10サイクル行った。結果を下記表1に示す。
【0038】
(実施例2)
実施例1で石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を680℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は79.5質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を下記表1に示した。
【0039】
(実施例3)
実施例1で石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を660℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は79.4質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を下記表1に示した。
【0040】
(実施例4)
実施例1で石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を640℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は84.3質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を下記表1に示した。
【0041】
(比較例1)
石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を620℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は81.3質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示した。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を下記表1に示した。
【0042】
(比較例2)
石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を580℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は82.5質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を表1に示す。
【0043】
(比較例3)
石炭系等方性ピッチ原料の熱反応温度を740℃とする以外は実施例1と同様にして熱反応を行い、不溶不融性固体を得た。収率は79.2質量%であった。この材料のH/C、比表面積、真密度、平均粒径を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
次いで、実施例1と同様にして電極を作製し、リチウムのドーピング量および脱ドーピング量を10サイクル測定した。初期容量、10サイクル容量の結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2005019091
【0045】
質量及び体積あたりの容量、サイクル特性を総合的に判断する為、10サイクル目の容量に真密度を乗じた体積あたりの容量で比較すると、H/Cが0.25乃至0.18では、950mAh/cm〜970mAh/cmであり、H/Cが0.25を上回ると、初期容量は大きくなるが、上記体積容量は低下する。また、0.18を下回る場合、初期容量そのものが低下する。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る非水系2次電池用負極材料は、石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素からなり、水素/炭素の原子比が0.18乃至0.25の範囲にあり、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲にあり、真密度が1.45g/cm以上であり、平均粒径が10μm以下であるので、実用的なドーピング時間で、質量当たり及び体積当たりの高容量を得ることができ、サイクル特性に優れた非水系2次電池を提供することができる。また、本発明に係る非水系2次電池用負極材料の製造方法は、上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を不融化処理することなく熱反応に供して多環芳香族系炭化水素を得てなるので、負極材料の製造が簡単でその収率を向上させることができる。

Claims (5)

  1. 石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を熱反応に供することにより得られる多環芳香族系炭化水素からなる負極材料であって、該材料の水素/炭素の原子比(H/C)が0.18乃至0.25の範囲にあり、BET法による比表面積が0.1乃至50m/gの範囲にあり、真密度が1.45g/cm以上であり、更に平均粒径が10μm以下であることを特徴とする非水系2次電池用負極材料。
  2. 上記平均粒径が1μm乃至6μmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の非水系2次電池用負極材料。
  3. 上記BET法による比表面積が0.1乃至30m/gの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の非水系2次電池用負極材料。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の非水系2次電池用負極材料の製造方法において、上記石炭系等方性ピッチを主成分とする原料を不融化処理することなく熱反応に供して上記多環芳香族系炭化水素を得てなることを特徴とする非水系2次電池用負極材料の製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の非水系2次電池用負極材料を用いる非水系2次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2015152093A1 (ja) * 2014-03-31 2017-04-13 株式会社クレハ 非水電解質二次電池負極用炭素質材料、非水電解質二次電池用負極電極、非水電解質二次電池及び車両

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