JP4108226B2 - バルクメソフェーズの製造方法、炭素材料の製造方法、負極用活物質およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

バルクメソフェーズの製造方法、炭素材料の製造方法、負極用活物質およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルクメソフェーズ、そのバルクメソフェーズの製造方法、ならびにバルクメソフェーズを用いた炭素材料の製造方法およびその炭素材料を負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭や石油系のタール、タールピッチ類を350〜450℃で熱処理すると、タールやタールピッチ中の芳香族性物質が重縮合反応により高分子化、積層してマトリックス中に光学的に異方性を有する小球体が生成する。この小球体は球晶(メソフェーズ小球体とも称す)として知られている。熱処理を進めると、この球晶は大きく成長、合体して球形を維持できず、異形となりバルクメソフェーズが生成する。さらに熱処理を進めると、最終的にはマトリックス全体がコークスとなる。一般に、炭素材料の結晶の発達は、この熱処理段階で液相状態を長く保ったものほど最終処理温度での結晶成長が著しく、通常は球晶よりもバルクメソフェーズあるいはコークスの方が最終的な結晶性は優れている。また、炭素材料の結晶の発達は原料タール、タールピッチの性状に強く依存することもよく知られるところである。例えば、通常、石炭系のタールにはコークス炉で生成する非晶質の遊離炭素(フリーカーボンとも称す)が含有されている。これらの遊離炭素はそれ自身結晶性が悪いばかりでなく、球晶の成長、合体を阻害するため、得られる製品の結晶性は著しく低下する。
【0003】
ところで、近年、パソコンや携帯電話に代表される通信機器類など電子機器の小型化、軽量化にともない、高エネルギー密度の電源としてリチウムイオン二次電池が急速に普及してきた。このリチウムイオン二次電池は、リチウム含有酸化物を活物質とする正極と、黒鉛粉末等の炭素材料を活物質とする負極と、非水電解液とを主要構成部材とするものである。
【0004】
リチウムイオン二次電池はその応用分野が広がり、需要が急増するにつれてその性能の改善が要求され、特に負極用活物質に使用される炭素材料は、電池の放電容量、充放電効率、サイクル特性、安全性等の主要な性能に大きな影響を与えるため、その改良は大きな課題となっている。現在、負極用活物質として実用化されている炭素材料は黒鉛系と非黒鉛系の2種類に大別される。黒鉛系の炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池は、単位質量当たりのリチウムイオンの理論放電容量が372mAh/gと限界があるものの、放電カーブが安定しており、リチウムイオン二次電池の特徴である3.2Vという高い放電電圧が保持できるため、近年では黒鉛系炭素材料が主流を占めつつある。
【0005】
黒鉛系炭素材料としては、(1)天然黒鉛あるいは人造黒鉛粉末系と、(2)ピッチ類を熱処理した時に生成する球晶を黒鉛化処理したものや球晶が成長合体してなるバルクメソフェーズを黒鉛化処理したもの、いわゆるメソフェーズ系黒鉛材料とがある。黒鉛系炭素材料を負極用活物質として用いた場合、リチウムイオン二次電池の放電容量は、炭素材料の結晶構造が発達するほど、高くなることが知られている。このため、メソフェーズ系黒鉛材料では、バルクメソフェーズを黒鉛化処理したものに注目が集まっている。バルクメソフェーズを黒鉛化処理したものは、球晶を黒鉛化処理したものよりも結晶構造が発達し、かつ、天然黒鉛や人造黒鉛よりも球形に近い形状を有するため、電極への充填性に優れるという特徴を有しているからである(例えば、特開平9−259886号公報等参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バルクメソフェーズを黒鉛化処理する際には、残存する揮発分の影響で、黒鉛化処理における700〜1100℃までの昇温速度を極めてゆっくりしなければ、昇温途中で大きな膨潤・発泡現象が生じ、黒鉛化処理でトラブルが生じる問題点があった。
【0007】
そこで本発明の第1の目的は、結晶性に優れるとともに、黒鉛化処理工程で膨潤、発泡が生じないバルクメソフェーズを製造する方法を提供することにある。また、本発明の第の目的は、前記バルクメソフェーズを黒鉛化処理した、リチウムイオン二次電池負極用活物質およびこれを用いた放電容量が大きいリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、バルクメソフェーズの黒鉛化処理での膨潤・発泡現象がバルクメソフェーズに内在するピッチの軽質分に起因する揮発分によるものであり、揮発分を一定の範囲内に管理することが重要であることを知見し、その範囲が2〜6重量%であることを確認して、本発明に至った。
【0010】
本願の第の発明はタールおよび/またはタールピッチを加熱してバルクメソフェーズを生成し、該バルクメソフェーズを溶媒で洗浄し150〜500℃で熱処理して、揮発分の含有量が2〜6重量%であるバルクメソフェーズを得ることを特徴とするバルクメソフェーズの製造方法。
【0011】
本願の第の発明は、前記の方法で製造されたバルクメソフェーズを黒鉛化処理することを特徴とする炭素材料の製造方法である。
【0012】
本願の第の発明は、第の発明の製造方法で得られた炭素材料からなることを特徴とするリチウム二次電池負極用活物質である。
【0013】
本願の第の発明は、第の発明の製造方法で得られた炭素材料を活物質とする負極と、正極と、非水電解質とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
【0014】
以下、本発明のバルクメソフェーズ製造方法、ならびに炭素材料の製造方法および二次電池などについて詳細に説明する。
本発明のバルクメソフェーズは、揮発分が2〜6重量%の範囲のものであり、揮発分が3〜5重量%の範囲のものがより好ましい。本発明において、バルクメソフェーズの揮発分は、バルクメソフェーズ1gを入れた磁製るつぼを、800℃に加熱した炉内で7分間保持し、その後自然冷却した後の重量減少分[(加熱後の重量減少分/加熱前の重量)×100]をいう。揮発分が2重量%未満では、その後の黒鉛化処理で、自己による不活性雰囲気の形成が難しく、酸化によって特性の劣化、例えば、放電容量の低下を招く。これは、通常、黒鉛化処理はコークスブリーズ中で行うが、350〜600℃の低温領域ではバルクメソフェーズの方が酸素に活性であるため、優先して酸化反応が進行し、コークスブリーズは還元材として寄与しないことに起因するものと考えられる。一方、揮発分が6重量%を越える場合には、昇温速度にもよるが, バルクメソフェーズ同士の融着と膨潤が進行し、黒鉛化処理が困難になる。さらに、揮発分を2〜6重量%に調整すれば、粉砕・分級により粒度調整後、直接、2000℃以上の温度で黒鉛化処理することが可能であり、結果として製造工程の大幅な短縮とコストダウンが実現される利点がある。
【0015】
本発明のバルクメソフェーズは、黒鉛化処理することにより、メソフェーズ小球体の特徴である、優れた充填性と、天然黒鉛・人造黒鉛並みの340〜350mAh/gという優れた放電容量を有するリチウムイオン二次電池負極用の活物質として好適である。
【0016】
本発明のバルクメソフェーズの製造は、揮発分が2〜6重量%のものを製造することができる方法であれば、特に制限されず、いずれの方法にしたがって行ってもよい。本発明において、特に、タールおよび/またはタールピッチを加熱してバルクメソフェーズを生成し、該バルクメソフェーズを溶媒で洗浄後、150〜500℃で熱処理することにより、バルクメソフェーズの揮発分の含有量を2〜6重量%に調整する方法が好ましい。
【0017】
本発明のバルクメソフェーズの製造において、加熱用原料として、石炭系、石油系等のタールおよび/またはタールピッチが用いられる。このタールおよびタールピッチは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0018】
また、本発明において、炭素原料として用いられるタールおよび/またはタールピッチは、最終製品である黒鉛粉末の結晶性(放電容量)に強い影響を与えるため、遊離炭素量が極力少ないものが好ましく、特に340mAh/gの高放電容量を有するリチウムイオン二次電池負極用活物質を得るためには、遊離炭素量が1重量%以下が好ましい。
【0019】
本発明において、このタールおよび/またはタールピッチを熱処理すると、タールおよび/またはタールピッチの成分である芳香族炭化水素化合物が重縮合反応により高分子化し、ピッチマトリックス中に、球状の形態をしたメソフェーズ小球体が析出してくる。さらに熱処理を進めると、この球晶は大きく成長、合体して球形を維持できず、異形となってバルクメソフェーズが生成する。
【0020】
バルクメソフェーズを生成させるための熱処理の温度は、350℃以上の範囲、好ましくは350〜600℃の範囲である。350℃未満では芳香族炭化水素化合物の重縮合反応が極めて遅く、メソフェーズ小球体の生成に長時間を要するため、現実的ではない。また600℃を越えた場合には、芳香族炭化水素化合物の重縮合反応が極めて速くなるため、工業的にはメソフェーズ小球体の生成を制御するのが困難となる。さらに好ましい熱処理温度は380〜480℃である。
【0021】
本発明において、熱処理で生成したバルクメソフェーズは、マトリックス中から回収される。このバルクメソフェーズの回収工程において、得られた熱処理物を、数〜数十μm程度に粉砕処理した後、溶媒による洗浄処理を行い、バルクメソフェーズに付着している軽質分を除去する。この洗浄処理は、ピッチマトリックス中から沈降分離、遠心分離、濾過分離等で回収されたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄してもよいし、あるいは、バルクメソフェーズを含有するピッチマトリックスに溶媒を添加し、溶媒中にピッチ分を抽出除去した後、沈降分離、遠心分離、濾過分離等でバルクメソフェーズを回収してもよい。
【0022】
従来、バルクメソフェーズの軽質分除去のために、酸素による不融化、あるいは減圧蒸留処理が行われていた。しかし、酸化不融化は結晶構造の低下を招きやすく、減圧蒸留では工業的に安価で確実に揮発分を除去することが困難である。その点、本発明は、洗浄処理における溶媒の種類、温度および使用量によって容易に揮発分の制御が可能である。洗浄処理時の温度は、通常、溶媒の沸点以下が経済的であり、使用量は、1回当たり、加熱原料に対して2〜10倍量(容量)が好ましい。
【0023】
洗浄処理に用いられる溶媒としては、通常、芳香族系の溶剤が使用される。好適なものとしては、ベンゼン、トルエン、ピリジン、キノリン、タール軽油、タール系中油、コールタールナフサ、粗ナフタレン油、脱晶アントラセン油などがあげられる。これらの溶剤は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0024】
洗浄処理されたバルクメソフェーズは、150〜500℃で熱処理される。熱処理の温度が150℃未満の場合、黒鉛化処理時に融着が生じやすく、500℃を超える場合、後工程で粉砕を行うと、形状がりん片状に近くなり、充填性が低下する。熱処理の雰囲気は、窒素ガスなどの不活性雰囲気下もしくは減圧下が好ましい。熱処理後、必要に応じて、分級処理を行い、数〜数十μmの粒度に調整される。
【0025】
以上のように、溶媒による洗浄処理と、150〜500℃の熱処理を行うことにより、揮発分の含有量が2〜6重量%のバルクメソフェーズを調製することができる。
【0026】
黒鉛化処理は、バルクメソフェーズを、通常、容器に入れて、必要に応じてふたをして行うことができる。容器およびふたは導電性、不純物混入防止の点から黒鉛製が好ましい。黒鉛化処理時の雰囲気中に酸素が混入すると、バルクメソフェーズと酸素が反応し、燃えてしまうので、不活性雰囲気中(アルゴン、窒素など)や還元性雰囲気中(COなど)の非酸化性雰囲気中で、黒鉛化処理を行うことが好ましい。
この黒鉛化処理は、例えば、間接通電炉、直接通電炉、タンマン炉等の炉を用いて行うことができ、通常、2000〜3000℃の温度で行う。
【0027】
なお、黒鉛化処理を行う前に、必要に応じ、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で、温度300〜600℃で仮焼処理し、温度700〜1500℃で焼成処理を行ってもよい。
【0028】
このようにして得られた炭素材料は、X線回折による測定によれば、黒鉛層間距離(002)が0.336nm以下、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が80nm以上、a軸方向の結晶子の大きさ(La)が80nm以上、(101)回折ピークと(100)回折ピークの比(P101 /P100 )が1.5〜2.0である。
【0029】
本発明により得られる炭素材料は、結晶性に優れ、形状が天然黒鉛、人造黒鉛に比べると、球状に近いため、充填性に優れ、リチウムイオン二次電池の負極活物質として最適である。
本発明により得られる炭素材料は、ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等のバインダーを添加し、負極とするに好適な形状、例えばシートまたは板状に加圧ロール成形した後、対極にリチウム金属を用いて還元処理を行うことによって容易に高性能な負極とすることができる。また、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等の集電体上に、本発明の炭素材料とバインダーの混合物を塗布して、負極を製造してもよい。このようにして作られた負極は、単位体積当たりの容量が大きく、電池の小型化に好適である。
【0030】
本発明による炭素材料を負極用活物質として用い、リチウムイオン二次電池を作成する場合を説明する。
非水電解質としては、リチウム塩を溶解し得るものであればよく、特に非プロトン性の誘電率が大きい有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチル−ジオキソラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等をあげることができる。これらの溶媒を単独あるいは適宜混合して用いることが可能である。非水電解質としては、安定なアニオンを生成するリチウム塩、例えば、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、六塩化アンチモン酸リチウム、六フッ化アンチモン酸リチウム等が好適である。
【0031】
また、リチウムイオン二次電池の正極用活物質としては、例えば、酸化クロム、酸化チタン、酸化コバルト、五酸化バナジウム等の金属酸化物や、リチウムマンガン酸化物(LiMn2 4 )、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2 )、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2 )等のリチウム金属酸化物;硫化チタン、硫化モリブデン等の遷移金属のカルコゲン化合物;及びポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等の導電性を有する共役系高分子物質等を用いることができる。これらの物質を、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等の集電体上に、バインダーと共に塗布して正極とすることができる。
【0032】
これらの正極と負極との間に合成繊維製又はガラス繊維製の不織布、織布やポリオレフィン系多孔質膜、ポリテトラフルオロエチレンの不織布等のセパレータが設けられる。
【0033】
本発明の二次電池は、前記正極、非水電解質、およびセパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素と本発明の特定の負極を用い、常法に従って円筒型、角型或いはボタン型等の形態のリチウムイオン二次電池に組立てることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
20リットルのオートクレーブに、タール(遊離炭素量:0.5重量%)を入れ、480℃で約2.5時間加熱処理して熱処理ピッチを製造した。
得られた熱処理ピッチのQI(キノリン不溶分)は、85重量%であった。
【0036】
次に、熱処理ピッチを60メッシュ以下に粉砕後、熱処理ピッチ100重量部に対して600重量部のタール系中油を使用して、約120℃の温度で2時間洗浄した。洗浄処理後、不活性雰囲気(N2 )中、390℃で加熱してバルクメソフェーズを得た。
得られたバルクメソフェーズの揮発分を測定したところ、3.5重量%(800℃−7分間)であった。
【0037】
このバルクメソフェーズを、さらに平均粒子径約25μmに粒度調整後、そのまま焼成することなく、直接アヂソン炉を使用して3000℃の温度で黒鉛化した。このとき、発泡および膨張は生じなかった。
得られたバルクメソフェーズ黒鉛粉末の真比重およびタップ密度の測定、ならびに放電容量の測定を下記の方法で行った。結果を表1に示す。
【0038】
放電容量の測定
黒鉛粉末に10重量%のポリビニリデンフルオライドを混合し、得られた混合物を銅箔上に塗布・圧着し、リチウムイオン二次電池用の負極を作成した。
この負極と、金属リチウムからなる対極および参照極を有する3極式の電池評価用セルを作成した。電解液には、エチレンカーボネートと炭酸ジエチルとを重量比1:1に混合した液に、過塩素酸リチウムが1Mになるように添加したものを使用した。
電流密度0.2mA/cm2 の一定の条件下で充放電試験を行い、放電容量を測定した。
【0039】
(実施例2)
20リットルのオートクレーブに、タール(遊離炭素量:トレース)を入れ、475℃で約2.0時間加熱処理して熱処理ピッチを製造した。
得られた熱処理ピッチのQI(キノリン不溶分)は92重量%であった。
【0040】
次に、熱処理ピッチを60メッシュ以下に粉砕後、熱処理ピッチ100重量部に対して600重量部のタール系中油を使用して、約120℃の温度で2時間洗浄した。洗浄処理後、不活性雰囲気(N2 )中、400℃で加熱してバルクメソフェーズを得た。
得られたバルクメソフェーズの揮発分を測定したところ、4.2重量%(800℃−7分間)であった。
【0041】
このバルクメソフェーズを、さらに平均粒子径約18μmに粒度調整後、そのまま焼成することなく、直接アヂソン炉を使用して3000℃の温度で黒鉛化した。このとき、発泡および膨張は生じなかった。
得られたバルクメソフェーズ黒鉛粉末の真比重およびタップ密度の測定、ならびに放電容量の測定を実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1、2)
天然黒鉛(比較例1)およびメソフェーズ小球体(比較例2)を、実施例1と同様にして、3000℃で黒鉛化し、得られた黒鉛粉末の真比重およびタップ密度の測定、ならびに放電容量の測定を実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0043】
表1
Figure 0004108226
【0044】
表1に示す結果から、本発明のバルクメソフェーズは、黒鉛化処理時に膨張、発泡することがなく、天然黒鉛とメソフェーズ小球体の両者の特徴を活かした優れたリチウムイオン二次電池負極用活物質であることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のバルクメソフェーズは、黒鉛化処理時に膨張、発泡しない。本発明の方法で製造したバルクメソフェーズの黒鉛化処理品は、結晶性に優れ、球に近い形状をしているため、メソフェーズ小球体からの黒鉛粉末と天然黒鉛あるいは人造黒鉛粉末のそれぞれ優れた特徴を活かしたリチウムイオン二次電池負極用活物質に最適なものである。
本発明のバルクメソフェーズの黒鉛化処理は、焼成工程が不要であり、直接黒鉛化できるため、製造工程を短縮することができる利点がある。

Claims (4)

  1. タールおよび/またはタールピッチを加熱してバルクメソフェーズを生成し、該バルクメソフェーズを溶媒で洗浄し、150〜500℃で熱処理して、揮発分の含有量が2〜6重量%であるバルクメソフェーズを得ることを特徴とするバルクメソフェーズの製造方法。
  2. 請求項に記載の方法で製造されたバルクメソフェーズを黒鉛化処理することを特徴とする炭素材料の製造方法。
  3. 請求項に記載の製造方法で得られた炭素材料からなることを特徴とするリチウム二次電池負極用活物質。
  4. 請求項に記載の製造方法で得られた炭素材料を活物質とする負極と、正極と、非水電解質とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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