JP2015170494A - リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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【課題】サイクル特性を損ねることなく水系バインダでのハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成するバルクメソフェーズ生成工程と、前記バルクメソフェーズ生成工程で得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、非酸化性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整するバルクメソフェーズ揮発分調整工程と、前記バルクメソフェーズ揮発分調整工程で得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理して得られる、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望がますます高まっている。なかでも、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、高電圧化が可能であることから注目されている。
リチウムイオン二次電池負極用材料としては、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る炭素材料を用いることが一般的である。炭素材料としては、黒鉛構造、乱層構造などの多種多様な構造、組織、形態のものが知られており、これら多種多様な構造、組織、形態に応じて、充放電時の作動電圧などの電極性能が大きく異なる。なかでも、高い放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛が、現状多く使用されている。
黒鉛材料は、結晶性黒鉛構造が発達するほどリチウムとの層間化合物を安定して形成しやすく、多量のリチウムが炭素網面の層間に挿入されるので、高い放電容量が得られることが報告されている。リチウムの挿入量により種々の層構造を形成し、それらが共存する領域では平坦でかつリチウム金属に近い高い電位を示す。このことから、組電池にした場合には、高出力を得ることが可能となり、一般的に炭素負極材料の理論容量(限界値)は、最終的に黒鉛とリチウムとの理想的な黒鉛層間化合物LiCが形成された場合の放電容量372mAh/gとされている。
一方、近年では、車載などの動力用やパワーツール用、さらには携帯機器でも高機能化による高出力化で、ハイレート特性が要求されてきている。これに対しては、リチウムを吸蔵・脱離する負極の改良に期待されているところが大きい。
ハイレート特性がとくに要求されるハイブリッド車用のリチウムイオン二次電池負極材料としては、ハードカーボンがある。ハードカーボンとは、「難黒鉛化炭素」の意味で、上述した黒鉛材料にたいして炭素網面が発達していない材料である。そのため、黒鉛よりも炭素網面の層間や網面構造間の空孔が広いことで、ハイレートでのリチウム吸蔵・脱離に適している。
ハードカーボンに対して、難黒鉛化性ではなく、本来は黒鉛化するものを1000℃前後の焼成温度で止めることで、ハードカーボンと同等のハイレート特性が期待される材料として、ソフトカーボンが近年注目されている。ソフトカーボンはハードカーボンと異なり、フェノール樹脂などの高価な難黒鉛化性の原料を用いる必要がなく、また本来黒鉛化するタールピッチ原料を酸化反応などで難黒鉛化処理する必要もないため、その製造コストの安価さも重要な点である。
このソフトカーボンについては、各種の材料、および製造方法について以下の通り提案されている。
特許文献1には、キノリン可溶分が95%以上であるバルクメソフェーズピッチを3μm〜25μmに粉砕して、これを空気中で200〜350℃で酸素含有率が5wt%〜15wt%になるまで熱処理することにより表層のみを酸化処理した後、不活性雰囲気下で800〜3000℃で熱処理して得られる球状炭素粉末または球状黒鉛粉末の製造方法が記載されている。
特許文献2には、メソフェ−ズ量が80wt%以上でかつ揮発分が25wt%以下であるバルクメソフェ−ズピッチを平均粒子径3〜20μmに粉砕した後、酸素含有率が2〜8wt%となるように軽度に酸化処理し、等方圧成形法または型込め成形法で加圧成形して得た成形体を、不活性または自己雰囲気中で600℃〜3000℃に加熱して炭素化または黒鉛化した後、粉砕・整粒することを特徴とするリチウム電池負極材用炭素又は黒鉛粉末の製造法が記載されている。
特許第2824824号公報 特許第3153471号公報
石炭や石油を原料とするタールピッチが、リチウムイオン二次電池負極材料用の炭素の原料として使用される。熱処理を進めるに従い、固体としての炭素構造が発達するが、それにともない塊状化も進行するため、リチウムイオン二次電池負極用材料に供するための粒状とするには、その後の熱処理工程で塊状化が進行しないよう、表面のマトリックスピッチを除去または不融化した上で粒状とする必要がある。
リチウムイオン二次電池負極用材料用の粒状の炭素材料の代表としては、メソカーボンマイクロビーズが使用されている。しかしこのメソカーボンマイクロビーズは、例えば、特開平1−219010号公報に記載された発明、および特開平1−212208号公報に記載された発明のように、製造の際にマトリックスピッチからビーズを分離するのに多量の溶剤を使用するため、製造時の環境面、コスト面で問題があった。
上記に対し、マトリックスピッチから溶剤で分離する方法でなく、単なる熱処理で固体の炭素とした「バルクメソフェーズ」でも、その表面を酸化させる「不融化」処理を行うことで、その後さらに熱処理を加えても、合体して塊状になることはなく、粒子状態を保つことが出来る。特許第2824824号公報に記載された発明、および特許第3153471号公報に記載された発明は、その方法に関しての一例である。しかしながら、この表面酸化処理を行った場合、リチウムイオン二次電池用の負極電極とする際に近年主流となっている水系バインダを用いると、その機構は明らかではないが、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)バインダ(非水系バインダ)であれば得られていたハイレート特性が著しく低下する問題がある。
一方、本発明者らは、タールおよび/またはタールピッチを加熱してバルクメソフェーズを生成し、該バルクメソフェーズを溶媒で洗浄し、150〜500℃で熱処理して、揮発分の含有量が2〜6重量%であるバルクメソフェーズを得、それをさらに黒鉛化処理することを特徴とする黒鉛粒子の製造方法を提案している(特許第4108226号公報)。この製造方法では、バルクメソフェーズの表面の微量のマトリックスピッチを溶剤で洗浄・除去することにより、メソカーボンマイクロビーズに対して少量の溶剤で洗浄が可能なうえ、表面の酸化処理も行わずに、その後の焼成・黒鉛化処理でも塊状化しないリチウムイオン負極用の黒鉛粒子を製造することができる。この黒鉛粒子の製造方法は、焼成工程が不要であり、直接黒鉛化できるため、製造工程を短縮することができる利点がある。
しかし、本発明者らが検討したところでは、この黒鉛粒子をリチウムイオン二次電池用の負極電極とする際に、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)等の非水系バインダを用いた場合には優れたハイレート特性が得られるものの、水系バインダを用いると十分なハイレート特性が得られない場合があるという問題があることがわかった。
そこで、本発明は、サイクル特性を損ねることなく水系バインダでのハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成し、得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、非酸化性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整し、それにより得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理することで、サイクル特性を損ねることなく水系バインダでのハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料が得られることを知得し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成するバルクメソフェーズ生成工程と、
前記バルクメソフェーズ生成工程で得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、非酸化性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整するバルクメソフェーズ揮発分調整工程と、
前記バルクメソフェーズ揮発分調整工程で得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理して、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料を得る焼成工程と
を有するリチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法。
(2)(1)に記載の製造方法で得られるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料。
(3)(2)に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料を含むリチウムイオン二次電池負極。
(4)前記リチウムイオン二次電池負極が水系バインダを含む、(3)に記載のリチウムイオン二次電池負極。
(5)(3)または(4)に記載のリチウムイオン二次電池負極を有するリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、サイクル特性を損ねることなく水系バインダでのハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池負極ならびにリチウムイオン二次電池を提供することができる。
図1は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料、リチウムイオン二次電池負極およびリチウムイオン二次電池について詳細に説明する。
[リチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法]
本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成するバルクメソフェーズ生成工程と、前記バルクメソフェーズ生成工程で得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、非酸化性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整するバルクメソフェーズ揮発分調整工程と、前記バルクメソフェーズ揮発分調整工程で得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理して、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料を得る焼成工程とを有する。
以下、各工程について説明する。
〈バルクメソフェーズ生成工程〉
バルクメソフェーズ生成工程は、タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成する工程である。
《加熱処理》
タールおよび/またはタールピッチを加熱処理すると、タール、タールピッチの成分である芳香族炭化水素化合物が重縮合反応により高分子化し、ピッチマトリックス中に、球状の形態をしたメソカーボン小球体が析出してくる。さらに加熱処理を進めると、このメソカーボン小球体は大きく成長、合体して球状の形態を維持できず、異形となってバルクメソフェーズが生成する。なお、バルクメソフェーズ生成工程中で、加熱処理を複数回に分割して行ってもよい。
(タール、タールピッチ)
タール、タールピッチとしては、石炭系、石油系等のタール、タールピッチが用いられる。タールおよびタールピッチは、それぞれ、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(加熱処理雰囲気)
加熱処理の際の雰囲気(加熱処理雰囲気)は、特に限定されず、非酸化性雰囲気(不活性雰囲気および還元性雰囲気を含む。)または酸化性雰囲気のいずれであってもよいが、非酸化性雰囲気または若干の酸化性雰囲気が好ましい。
(加熱処理圧力)
加熱処理の際の圧力(加熱処理圧力)は、特に限定されず、減圧、常圧または加圧のいずれでもよいが、芳香族炭化水素化合物の重縮合反応が促進され、その結果としてバルクメソフェーズの生成速度が向上するため、加圧条件で加熱処理を行うことが好ましい。
(加熱処理温度)
加熱処理の際の温度(加熱処理温度)は、特に限定されないが、好ましくは350℃以上であり、より好ましくは350〜600℃であり、さらに好ましくは380〜480℃である。加熱処理の温度が350℃以上であると、芳香族炭化水素化合物の重縮合反応が迅速に進行し、メソフェーズ小球体の生成に長時間を要しないため、現実的である。また、加熱温度が600℃以下であると、芳香族炭化水素化合物の重縮合反応が速くなりすぎず、工業的には、メソフェーズ小球体の生成を制御することが容易となる。加熱温度が350℃以上600℃以下ではメソフェーズ小球体の生成速度とその生成の制御のし易さとのバランスが優れ、400℃以上500℃以下ではそのバランスがより優れる。
(加熱処理温度)
加熱処理の際の時間(加熱処理時間)は、バルクメソフェーズが生成されるまでであり、特に限定されない。なお、バルクメソフェーズ生成工程中で、加熱処理を複数回に分割して行う場合は、加熱処理時間は分割した加熱処理のそれぞれの処理時間の合計である。
〈バルクメソフェーズ揮発分調整工程〉
バルクメソフェーズ揮発分調整工程は、バルクメソフェーズ生成工程で得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、不活性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整する工程である。
なお、本発明において、バルクメソフェーズの揮発分含有量は、バルクメソフェーズ1gを入れた磁製るつぼを、800℃に加熱した炉内で7分間保持し、その後自然冷却した後の質量減少分[(加熱後の質量減少分/加熱前の質量)×100]をいう。
《洗浄処理》
従来、バルクメソフェーズの軽質分除去のために、酸素による不融化(酸化不融化)、または減圧蒸留が行われていた。しかし、酸化不融化は結晶構造の低下を招きやすく、減圧蒸留では揮発分を十分に除去することが困難であるという問題があった。その点、本発明の製造方法では、バルクメソフェーズ揮発分調整工程での洗浄処理における、溶媒の種類、温度および使用量を制御することによって、揮発分含有量を容易に調整することが可能である。
(洗浄処理)
バルクメソフェーズ生成工程で生成したバルクメソフェーズを、溶媒を用いて洗浄処理することにより、バルクメソフェーズに付着している軽質分を除去する。洗浄の方法はバルクメソフェーズに付着している軽質分を除去することができるものであれば特に限定されず、例えば、ピッチマトリックス中から沈降分離、遠心分離、ろ過分離等の方法によりバルクメソフェーズを回収し、回収したバルクメソフェーズを溶媒で洗浄してもよいし、バルクメソフェーズを含有するピッチマトリックス中に溶媒を添加し、溶媒中にピッチ分を抽出除去した後、沈降分離、遠心分離、ろ過分離等の方法によりバルクメソフェーズを回収してもよい。
(粉砕処理)
必要に応じて、洗浄処理の前に粉砕処理を行い、バルクメソフェーズの平均粒径を数μm〜数十μmにしてもよい。粉砕処理の方法は特に限定されず、例えば、高速粉砕および/またはせん断粉砕を行って粉砕することができる。
(溶媒)
洗浄処理に用いられる溶媒の種類は、特に限定されないが、通常、芳香族系の溶媒が使用される。芳香族系の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ピリジン、キノリン、タール軽油、タール系中油、コールタールナフサ、粗ナフタレン油、脱晶アントラセン油等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
洗浄処理の際の溶媒の温度は、特に限定されないが、通常、溶媒の沸点以下である。
また、洗浄処理の際の溶媒の使用量は、特に限定されないが、容量で、1回あたり、原料の2〜10倍量が好ましい。溶媒の使用量が少量で済むので、製造時の環境面およびコスト面での問題が少ない。
《熱処理》
熱処理により、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整する。揮発分含有量が2質量%未満である場合、後述する焼成工程での焼成処理の際に自己による不活性雰囲気の形成が難しく、酸化によってハイレート特性の劣化を招く。また、揮発分含有量を調整しない場合、または調整しても揮発分含有量が6質量%超である場合、焼成処理の際の昇温速度にもよるが、バルクメソフェーズ同士の融着と膨潤が進行しやすく、粒状とするためには焼成処理後に粉砕を行う必要がある。焼成後に粉砕を行うと、反応活性の高い炭素エッジの新生面が露出するため、リチウムイオン二次電池としたときの初回不可逆容量が大きくなり、好ましくない。
(熱処理雰囲気)
熱処理の際の雰囲気(熱処理雰囲気)は非酸化性雰囲気である。非酸化性雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスによる不活性雰囲気や水素等による還元性雰囲気を利用することができる。空気(大気)等の酸化性雰囲気でバルクメソフェーズを熱処理した場合、バルクメソフェーズの表面が酸化されたり、細孔構造が微細化されたりすることによって、とくに水系バインダで電極作製の場合に、原因は明確ではないが、CMCの表面被覆作用等で、ハイレート特性の劣化を招くおそれがある。
(熱処理温度)
熱処理の際の温度(熱処理温度)は150〜500℃である。熱処理温度が150℃未満である場合、後述する焼成工程での焼成処理の際にバルクメソフェーズの融着を生じやすい。また、熱処理の温度が500℃超である場合、焼成処理の際の昇温速度にもよるが、バルクメソフェーズ同士の融着と膨潤が進行しやすく、粒状とするためには焼成処理後に粉砕を行う必要がある。焼成処理後に粉砕を行うと、形状が鱗片状に近くなり、充填性が低下するうえ、反応活性の高い炭素エッジの新生面が露出するため、リチウムイオン二次電池としたときの初回不可逆容量が大きくなり、好ましくない。
(熱処理時間)
熱処理の際の時間(熱処理時間)は、バルクメソフェーズの揮発分含有量が2〜6質量%になるまでであり、特に限定されない。
(分級処理)
熱処理後、必要に応じて、軽い解砕や篩などによる分級処理を行い、バルクメソフェーズの平均粒子径を2〜30μmに調整してもよい。
〈焼成工程〉
焼成工程は、バルクメソフェーズ揮発分調整工程で得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理して、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料(「本発明の炭素材料」という場合がある。)を得る工程である。
《焼成処理》
揮発分含有量を2〜6質量%に調整したバルクメソフェーズを焼成処理により炭化し、本発明の炭素材料を得る。本発明の製造方法では、焼成処理は700〜1500℃で行われ、黒鉛化処理のように2000〜3000℃といった高温で処理する必要がないため、高温加熱炉が不要である。また、揮発分含有量を2〜6質量%に調整したバルクメソフェーズの焼成処理をする前に、700℃未満、例えば300〜600℃、で予備的な加熱処理を施さないことが好ましい。
(焼成処理雰囲気)
焼成処理の際の雰囲気(焼成処理雰囲気)は非酸化性雰囲気である。非酸化性雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスによる不活性雰囲気や水素等による還元性雰囲気を利用することができる。空気(大気)等の酸化性雰囲気でバルクメソフェーズを熱処理した場合、炭素は燃えて灰になってしまう。
(焼成処理温度)
焼成処理の際の温度(焼成処理温度)は700〜1500℃である。焼成処理温度が700℃未満では炭素化が遅く、場合によっては十分に炭素化することができない。また、焼成処理温度が1500℃超では水系バインダを用いた場合のハイレート特性を低下させるおそれがある。このようなハイレート特性の低下は、焼成温度が高くなると、炭素の構造が緻密化し、表面の細孔構造が収縮するため、バインダが付着した際に炭素表面の細孔が閉塞しやすくなるためであると推測している。
(焼成処理時間)
焼成処理の際の時間(焼成処理時間)は、バルクメソフェーズが炭化されるまでであり、特に限定されない。
《粉砕処理》
必要に応じて、揮発分含有量を2〜6質量%に調整したバルクメソフェーズをさらに粉砕する粉砕処理を行ってもよい。粉砕処理を施したバルクメソフェーズの平均粒径(粉砕平均粒径)は、2〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましい。粉砕処理の方法は特に限定されず、例えば、高速粉砕および/またはせん断粉砕を行って粉砕することができる。
[リチウムイオン二次電池負極用炭素材料]
本発明のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料(以下、単に「本発明の炭素材料」ともいう。)は、上述の本発明の製造方法により得られる炭素粒子である。
本発明の炭素材料は、非酸化性雰囲気下、2000〜3000℃、好ましくは2700〜3000℃、での加熱処理(黒鉛化処理)を施すことなく、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料として使用することができる。
(負極材料の平均粒径)
本発明の炭素材料の平均粒径は、特に限定されるものではないが、嵩密度が高く、電極とした際により高い充填密度が得られ、かつ電極の厚みは通常100μm以下で使用されるという理由から、2〜30μmが好ましく、ハイレート特性が要求されるリチウムイオン二次電池ではとくに3〜20μmがより好ましい。なお、本発明の炭素材料の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。
(負極材料の比表面積)
本発明の炭素材料の比表面積は、特に限定されるものではないが、大きすぎるとリチウムイオン二次電池の安全性の低下を生じることがあるため、20m/g以下が好ましく、0.3〜10.0m/gがより好ましく、より優れたハイレート特性を発揮するため、2.0〜5.0m/gがさらに好ましい。ここで、負極材料の比表面積は、窒素ガス吸着BET比表面積である。
(2種類以上の負極材料の混合)
また、本発明の炭素材料は、リチウムイオン二次電池負極として成型する際、1種類のみで使用する以外にも2種類以上を配合使用してもまったく問題ない。配合にあたっては、乾粉を任意の方式のミキサーで混合する方法のほか、リチウムイオン二次電池負極を成型する際の、負極合剤ペーストを作製する任意のタイミングで配合してもよい。
配合にあっては、配合する一部のリチウムイオン二次電池負極用材料で上述した種々の特性値が好適な範囲から外れる場合であっても、配合した結果として前記の好適な範囲を満足すればよい。
[リチウムイオン二次電池]
本発明の炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう)について説明する。また、本発明の炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池負極についても説明する。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解液を主たる電池構成要素とし、正・負極はそれぞれリチウムイオンを吸蔵可能な層状やクラスター状の物質からなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の炭素材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
(負極)
負極を作製する際は、上述した本発明の炭素材料、または、本発明の炭素材料を含む混合負極材料にバインダ(結合剤)を加えた負極合剤を用いる。バインダとしては、水系バインダまたは非水系(有機溶剤系)バインダのいずれも用いることができるが、負極製造時の環境負荷が低いことから、水系バインダを用いることが好ましい。水系バインダは水溶性高分子を用いたバインダであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PAA)等が挙げられる。これらの水系バインダは1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。非水系(有機溶剤系)バインダは水に不溶で有機溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド)に溶解する高分子を用いたバインダであり、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。これらの非水系バインダは1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。バインダは、通常、負極合剤の全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。
負極の作製には、負極作製用の通常の溶媒を用いることができる。負極合剤を溶媒中に分散させ、ペースト状にした後、集電体に塗布、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に集電体に接着される。より具体的には、例えば、本発明の炭素材料の粒子と、バインダとを、水、アルコールなどの溶媒と混合してスラリーとした後、ニーダーやミキサーなどで混練してペーストを調製する。このペーストを集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一に接着した負極が得られる。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧等の圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をさらに高めることができる。負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状のもの、または、メッシュ、エキスパンドメタル等の網状のもの等が用いられる。集電体の材質としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。集電体の厚さは、例えば、箔状の場合、5〜20μm程度が好適である。
(正極)
正極の材料(正極活物質)はリチウムと遷移金属との複合酸化物であり、こればリチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1−pM(2)(式中Pは0≦P≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)、または、LiM(1)2−qM(2)(式中qは0≦q≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)で示される。ここで、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、In、Snなどが挙げられ、Co、Ni、Fe、Mn、Ti、Crが好ましい。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1300℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
このような正極材料を用いて正極を形成する方法としては、例えば、正極材料、結合剤および導電剤からなるペースト状の正極合剤塗料を集電体の片面または両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で例示したものを使用できる。導電剤としては、例えば、微粒の炭素材料、繊維状の炭素材料、黒鉛、カーボンブラックを使用できる。集電体の形状は特に限定されず、負極と同様の形状のものが用いられる。集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどを使用することができる。
上述した負極および正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を適宜使用することができる。
(電解質)
電解質としては、LiPF、LiBFなどのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。この非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
(セパレータ、セルケース、その他部材)
本発明のリチウムイオン二次電池においては、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンの微多孔膜またはそれらを層構造としたもの、或いは不織布などのセパレータを使用する。また本発明のリチウムイオン二次電池のセル構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
〈リチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造〉
(バルクメソフェーズ製造工程)
20リットルのオートクレーブに、タールを入れ、480℃で約2.5時間加熱処理してバルクメソフェーズを製造した。加熱処理の温度および時間を、表1のバルクメソフェーズ製造工程の欄に示す。
(バルクメソフェーズ揮発分調整工程)
得られたバルクメソフェーズを60メッシュ以下に粉砕後、バルクメソフェーズ100質量部に対してタール系中油600質量部を使用して、約120℃の温度で2時間溶媒洗浄した。溶媒洗浄処理後、不活性(N)雰囲気中、390℃で熱処理してバルクメソフェーズの揮発分含有量を調整した。得られたバルクメソフェーズの揮発分含有量は3.5質量%であった。溶媒洗浄の溶媒、温度および時間、熱処理の雰囲気、温度および時間、ならびにバルクメソフェーズの揮発分含有量を、表1のバルクメソフェーズ揮発分調整工程の欄に示す。
(焼成工程)
揮発分を調整したバルクメソフェーズを、さらに粉砕し、粒度を調整した。得られたバルクメフェーズの平均粒径(粉砕平均粒径)は10μmであった。その後、不活性(N)雰囲気中、温度1200℃、時間1hの条件で焼成を行い、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料となる炭素材料を得た。バルクメソフェーズの平均粒径、ならびに焼成の雰囲気、温度および時間を表1の焼成工程の欄に示す。
〈評価電池の作製〉
製造したリチウムイオン二次電池負極用炭素材料98質量部と、カルボキシメチルセルロースアンモニウム1質量部(固形分で)と、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム1質量部とを混合し、水を溶媒として、プラネタリーミキサーを用いて攪拌混合して、負極合剤ペーストを得た。得られた負極合剤ペーストを15μm厚みの銅箔上に塗布し、110℃の温度下にて真空乾燥し、負極合剤層を形成した。形成した負極合剤層をロールプレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜き、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する負極を作製した。
次いで、評価電池として図1に示すコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。評価電池は、その内部に外装缶3の内面から順に、集電体7a、円筒状の正極4、電解液が含浸されたセパレータ5および集電体7bが積層された電池系である。前記評価電池は、セパレータ5を集電体7bと、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、集電体7bを外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、さらに、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉して作製した。なお、電解液は、エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなる濃度で溶解させた非水電解質である。また、セパレータおよび負極電極は、あらかじめ非水電解液に浸して、非水電解液を含浸させた。
〈電池特性の評価〉
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行なった。なお、本試験では、リチウムイオンを負極材料中にドープ(吸蔵)する過程を「充電」、負極材料から脱ドープ(離脱)する過程を「放電」としている。
(放電容量)
回路電圧が1mVに達するまで1.2mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、10分間休止した。
次に、1.2mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(単位:mAh/g)を求めた。これを第1サイクルとした。
求めた第1サイクルの放電容量を第1表に示す。
(初回充放電効率)
上記充放電試験の結果から、次式により、初回充放電効率(単位:%)を求めた。
初回充放電効率=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)×100
求めた初回充放電効率を第1表に示す。
(サイクル特性)
新しい未使用の評価電池を用意し、サイクル特性を評価した。
回路電圧が0mVに達するまで6.0mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間休止した。
次に、6.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。50回充放電を繰返し、得られた放電容量から次の式によってサイクル特性(単位:%)を求めた。
サイクル特性=(第50サイクルでの放電容量/第1サイクルでの放電容量)×100
求めたサイクル特性を第1表に示す。
(ハイレート放電特性(急速放電特性))
新しい未使用の評価電池を用意し、ハイレート放電特性を評価した。
第1サイクルに続いて、回路電圧が1mVに達するまで1.2mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その後、10分間休止した。
次に、18.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(単位:mAh/g)を求めた。求めた放電容量から、次の式によって、ハイレート放電特性(単位:%)を求めた。
ハイレート放電特性=(18.0mAの放電容量/第1サイクル1.2mAの放電容量)×100
求めたハイレート放電特性を第1表に示す。
なお、本明細書において、このようにして求められた急速放電特性を「3C/0.2Cの放電率」という場合がある。
(ハイレート充電特性(急速充電特性))
新しい未使用の評価電池を用意し、ハイレート充電特性を評価した。
第1サイクルに続いて、回路電圧が1mVに達するまで6.0mAの定電流充電を行った後、10分間休止した。この間の通電量から充電容量(単位:mAh/g)を求めた。求めた充電容量から、次の式によって、ハイレート充電特性(単位:%)を求めた。
ハイレート充電特性=(6.0mAの充電容量/第1サイクル1.2mAの充電容量)×100
求めたハイレート充電特性を第1表に示す。
なお、本明細書において、このようにして求められた急速充電特性を「1C/0.2Cの充電率」という場合がある。
[実施例2〜5]
実施例2〜5は、以下に記載する点を除いて、実施例1と同様にして製造および評価を行った。
実施例2、3は、それぞれ、焼成工程での粉砕処理により、バルクメソフェーズの平均粒径を5μm、15μmとしたものである(実施例1は10μm)。
実施例4は、バルクメソフェーズ揮発分調整工程での熱処理の際の温度(熱処理温度)を250℃として(実施例1は390℃)、揮発分含有量を5.8質量%とものである(実施例1は3.5質量%)。
実施例5は、焼成工程での焼成処理の際の温度(焼成処理温度)を1000℃としたものである(実施例1は1200℃)。
[比較例1、3、4]
比較例1、3および4は、以下に記載する点を除いて、実施例1と同様にして製造および評価を行った。
比較例1は、バルクメソフェーズ揮発分調整工程での熱処理の際の温度(熱処理温度)を130℃として(実施例1は390℃)、揮発分含有量を8.0質量%としたものである(実施例1は3.5質量%)。
比較例3は、バルクメソフェーズ揮発分調整工程で洗浄処理を行わず、揮発分含有量を15.0質量%としたものである(実施例1は3.5質量%)。
比較例4は、バルクメソフェーズ揮発分調整工程での熱処理の雰囲気を大気雰囲気としたものである(実施例1は不活性(N)雰囲気)。
[比較例2]
比較例2は、焼成工程での焼成処理の際の温度(焼成処理温度)を3000℃とした点が実施例1と相違する(実施例1は1200℃)ほかは、実施例1と同様にして製造および評価を行った。
なお、比較例2のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料を用いて、バインダとして、カルボキシメチルセルロースアンモニウム1質量部(固形分で)およびカルボキシ変性スチレンブタジエンゴム1質量部に代えて、PVdF(ポリフッ化ビニリデン;非水系バインダ)2質量部を用い、水に代えて、N-メチル-2-ピロリドンを溶媒として用いたほかは実施例1と同様にして評価電池を作製し、ハイレート放電特性(急速放電特性)およびハイレート充電特性(急速充電特性)を評価したところ、ハイレート放電特性(急速放電特性)は90%であり、ハイレート充電特性(急速充電特性)は62%であった。
[比較例5]
〈リチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造〉
(メソフェーズ小球体の製造)
20リットルのオートクレーブに、タールを入れ、450℃で約2.5時間加熱処理して平均直径30μmのメソフェーズ小球体を製造した。加熱処理の温度および時間を、表1のバルクメソフェーズ製造工程の欄に示す。
(メソフェーズ小球体の揮発分の調整)
得られたメソフェーズ小球体100質量部に対してタール系中油600質量部を使用して、約120℃の温度で2時間溶媒洗浄した。溶媒洗浄処理後、不活性(N)雰囲気中、390℃で熱処理してメソフェーズ小球体の揮発分含有量を調整した。得られたメソフェーズ小球体の揮発分含有量は4.0質量%であった。溶媒洗浄の溶媒、温度および時間、熱処理の雰囲気、温度および時間、ならびにメソフェーズ小球体の揮発分含有量を、表1のバルクメソフェーズ揮発分調整工程の欄に示す。
(メソフェーズ小球体の焼成)
揮発分を調整したメソフェーズ小球体を、さらに粉砕し、粒度を調整した。得られたメソフェーズ小球体の平均粒径(粉砕平均粒径)は10μmであった。その後、不活性(N)雰囲気中、温度1200℃、時間1hの条件で焼成を行い、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料となる炭素材料(メソフェーズ小球体焼成品)を得た。メソフェーズ小球体の平均粒径、ならびに焼成の雰囲気、温度および時間を表1の焼成工程の欄に示す。
〈評価電池の作製および評価〉
得られたメソフェーズ小球体焼成品を用いて、実施例1と同様にして製造および評価を行った。結果を表1に示す。
1 外装カップ
2 負極
3 外装缶
4 正極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a 集電体
7b 集電体

Claims (5)

  1. タールおよび/またはタールピッチを加熱処理してバルクメソフェーズを生成するバルクメソフェーズ生成工程と、
    前記バルクメソフェーズ生成工程で得られたバルクメソフェーズを溶媒で洗浄処理した後、非酸化性雰囲気中、150〜500℃で熱処理して、バルクメソフェーズの揮発分含有量を2〜6質量%に調整するバルクメソフェーズ揮発分調整工程と、
    前記バルクメソフェーズ揮発分調整工程で得られたバルクメソフェーズを非酸化性雰囲気中、700〜1500℃で焼成処理して、リチウムイオン二次電池負極用炭素材料を得る焼成工程と
    を有するリチウムイオン二次電池負極用炭素材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で得られるリチウムイオン二次電池負極用炭素材料。
  3. 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池負極用炭素材料を含むリチウムイオン二次電池負極。
  4. 前記リチウムイオン二次電池負極が水系バインダを含む、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池負極。
  5. 請求項3または4に記載のリチウムイオン二次電池負極を有するリチウムイオン二次電池。
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JP2011003332A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Mitsubishi Chemicals Corp 黒鉛負極材料及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池

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