JP5551883B2 - メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法ならびにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、メソフェーズ小球体および炭素材料の製造方法ならびにリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化あるいは高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望がますます高まっている。特にリチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べて高電圧化が可能であり、エネルギー密度を高められるため注目されている。
リチウムイオン二次電池は負極、正極および非水電解質を主たる構成要素とする。リチウムイオンは電解液を介して、放電過程および充電過程で負極と正極との間を移動し二次電池となる。通常、上記リチウムイオン二次電池の負極材料には炭素材料が使用される。このような炭素材料として、特に充放電特性に優れ、高い放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛が有望視されている(特許文献1参照)。
負極材料として使用される炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛粒子、タールやピッチ類を原料としたメソフェーズピッチやメソフェーズ小球体を熱処理して得られるバルクメソフェーズ黒鉛粒子やメソフェーズ小球体黒鉛粒子、粒子状や繊維状のメソフェーズピッチを酸化不融化した後に熱処理して得られるメソフェーズ黒鉛粒子やメソフェーズ黒鉛繊維、天然黒鉛や人造黒鉛をタール、ピッチ類などで被覆した後に熱処理して得られる複合黒鉛粒子などが挙げられる。
このような中でも、メソフェーズ小球体を熱処理し焼成して得られる黒鉛は、リチウムイオン二次電池の負極材料として特に優れた特性を示す(特許文献2、3参照)。本発明者は、この黒鉛を調製し、その特性を検証したところ、黒鉛の結晶構造が粒子内や負極上で一方向に配列しないことや粒子間の空隙が十分に確保されるなどの特徴から、急速充放電特性やサイクル特性に優れることを確認した。また、該黒鉛粒子は、硬さの目安になる圧縮強度が大きいという特徴もある(特許文献3参照)。しかし、硬すぎると高密度充填ができなくなり、天然黒鉛などの高結晶性の黒鉛材料に比べると体積当たりの放電容量が低いという課題がある(特許文献4参照)。
また、近年、リチウムイオン二次電池にはさらに高度な特性、例えば急速充放電特性やサイクル特性をさらに高レベルに改善することが求められている。
一般的には負極材料の粒子径を微細化することで、これらの特性を改善できると考えられている。本発明者も、メソフェーズ小球体の黒鉛材料の粒子径を小さくすれば、急速充放電特性やサイクル特性の向上に有効であるという知見を得ている。
このような特性を具備し得る小粒径のメソフェーズ小球体を製造する方法として、例えば特許文献5には、原料のコールタールに粒子径0.5μm以上のカーボンブラックを添加して熱処理する方法が記載され、この方法によって小粒径のメソフェーズ小球体が高収率で得られることが記載されている。
なお、特許文献5には、得られるメソフェーズ小球体の粒径に、コールタール中のフリーカーボンが影響を及ぼす旨が記載され、コールタールは通常1〜4%程度のフリーカーボン(一次QI分)を含むことが記載されている。そして、実施例には、唯一、フリーカーボン含有率が2.0%のコールタールを用いたことが記載されている。
さらに、リチウムイオン二次電池の急速充放電特性、サイクル特性および放電容量を改善することを目的とした提案として、例えば特許文献6、7に記載のものが挙げられる。
特許文献6には、ピッチ類等の原料に、金属化合物等(0.2μmNi粉、0.3μm酸化鉄等)を含有する液晶ポリマーを添加し、該液晶ポリマーの溶融温度以上、500℃以下の温度範囲で加熱して、メソカーボン小球体を生成させるメソカーボン小球体生成工程と、該メソカーボン小球体を加熱して、黒鉛化する黒鉛化工程とを有するメソカーボン小球体黒鉛質粒子の製造方法が記載されている。そして、得られるメソカーボン小球体黒鉛質粒子を負極材料としたリチウムイオン二次電池は、体積当りの放電容量が高く、サイクル特性、急速放電特性などの電池特性が良好であることが記載されている。
なお、特許文献6には、フリーカーボンを1質量%含有するコールタールピッチを用いる実施例が記載されているものの、それと異なるフリーカーボン含有率については記載されていない。
特許文献7には、ピッチ等と親水性粒子(0.03μmの気相無水シリカ、0.021μmの気相チタニア等)との混合物を熱処理して、バルクメソフェーズを生成させ、その後、粉砕して粒状バルクメソフェーズを製造する方法が記載されている。そして、該粒状バルクメソフェーズを黒鉛化処理して得た粒状黒鉛質粒子を、リチウムイオン二次電池の負極用材料として用いた場合には、放電容量が高く、サイクル特性や負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られることが記載されている。
特公昭62−23433号公報 特開平4−115458号公報 特開2007−95535号公報 特開2008−166047号公報 特開平7−126659号公報 特開2008−47427号公報 特開2003−119013号公報
本発明者は、上記の特許文献5に記載の方法を検証し、コールタールの熱処理によって発生するメソフェーズ小球体の粒子径が小さくなることを確認した。しかし得られた小粒径のメソフェーズ小球体を黒鉛化し、リチウムイオン二次電池の負極材料に用いたところ、カーボンブラック未添加の場合に比べて、放電容量が大幅に低下することがわかった。これはカーボンブラックの結晶性が低いことに起因するものと、本発明者は考えている。このことから従来のメソフェーズ小球体の黒鉛材料は、粒子径が小さくなるほど放電容量が低下するという問題があることがわかった。
また、特許文献6または7に記載の製造方法によって得られるメソカーボン小球体黒鉛化物または粒状黒鉛質粒子を負極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、コールタールピッチ中のフリーカーボン含有率によっては、放電容量、サイクル特性および急速放電特性の電池特性の全てが良好にならないことを見出した。特に、特許文献6に記載の実施例において用いたフリーカーボンを1質量%含有するコールタールピッチでは、得られた黒鉛材料の圧縮強度が依然として大きく、リチウムイオン二次電池の負極材料としては硬すぎるため、高密度充填を図った場合に、集電材を損傷するなどの問題が生じた。
本発明者は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、小粒径で、安定生産可能なメソフェーズ小球体の製造方法、それを用いて放電容量、初期充放電効率、急速充放電特性およびサイクル特性の電池特性の全てに優れるリチウムイオン二次電池を得ることができると同時に、圧縮強度が適度な炭素材料の製造方法、および、それを負極材料として用いるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、次の1〜13である。
1. キノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類100質量部と、平均粒子径が0.01μm以上1μm未満の金属、半金属およびこれらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属類粒子0.05〜5質量部とのみからなる混合物を加熱して、前記金属類粒子をメソフェーズ小球体の表面に付着させ、
得られたメソフェーズ小球体を700〜3300℃で焼成して炭素材料(A)を得る、炭素材料の製造方法。
2. 前記メソフェーズ小球体の平均粒子径が2〜50μmである上記1に記載の炭素材料の製造方法。
3. 前記メソフェーズ小球体の平均アスペクト比が1.3未満である上記1または2に記載の炭素材料の製造方法。
4. 前記メソフェーズ小球体を2500〜3300℃で焼成する、上記1〜3のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
5. 前記焼成によって炭素材料(A)から前記金属類粒子を消失させる上記1〜4のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
6. 前記金属類粒子が前記メソフェーズ小球体の表面に直接付着する、上記1〜5のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
7. 前記炭素材料(A)の形状が球状である、上記1〜6のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
8. 上記1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた炭素材料(A)に、炭素質材料(B)の炭化物を付着させて炭素材料(C)を得る炭素材料の製造方法。
9. 上記1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた炭素材料(A)に、炭素質材料(B)を付着させた後、500〜1500℃で加熱して前記炭素質材料(B)を炭化し炭素材料(C)を得る炭素材料の製造方法。
10. 前記炭化後の炭素質材料(B)の炭化物の付着量が、前記炭素材料(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である上記8または9に記載の炭素材料の製造方法。
11. 前記炭素材料がリチウムイオン二次電池負極用炭素材料である上記1〜10のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
12. 上記111のいずれかに記載の製造方法によって得られる炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池。
13. 前記リチウムイオン二次電池の放電容量が359〜363mAh/gである上記12に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法によれば、通常の製造方法に比べて粒子径の小さいメソフェーズ小球体を安定的に得ることができる。また、本発明によって得られたメソフェーズ小球体を焼成してなる炭素材料(A)を負極材料として、また、炭素材料(A)に炭素質材料(B)の炭化物を付着させた炭素材料(C)を負極材料として用いたリチウムイオン二次電池は、高い放電容量を有し、かつ、初期充放電効率、急速充放電特性やサイクル特性に優れる。なお、前記炭素材料(C)は圧縮強度が適度であることから、負極材料の製造工程において、高密度充填が可能で、集電材の変形や破断が生じることがなく、好ましい。よって、本発明のリチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要望を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有効である。
実施例において充放電試験に用いるためのボタン型評価電池の構造を示す模式断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、キノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類100質量部と、平均粒子径が0.01μm以上1μm未満の金属、半金属およびこれらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属類粒子0.05〜5質量部との混合物を加熱処理してメソフェーズ小球体を得るメソフェーズ小球体の製造方法である。
前記製造方法を、以下では「本発明のメソフェーズ小球体の製造方法」ともいう。
また、前記製造方法によって得られるメソフェーズ小球体を、以下では「本発明のメソフェーズ小球体」ともいう。
また、本発明は、本発明のメソフェーズ小球体を、700〜3300℃、好ましくは2500〜3300℃で焼成処理して炭素材料(A)を得る炭素材料の製造方法であり、該炭素材料(A)に、炭素質材料(B)の炭化物を付着させて炭素材料(C)を得る炭素材料の製造方法である。
前記製造方法を、以下では「本発明の炭素材料の製造方法」ともいう。
また、前記製造方法によって得られる炭素材料(A)、(C)を、以下では「本発明の炭素材料」ともいう。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法について説明する。
(ピッチ類)
ピッチ類とは、後工程の加熱によってメソフェーズ小球体を発生させることができるものであればよく、例えばコールタール、コールタールピッチ、石油系タール、石油系タールピッチ等である。これらに、さらにプラスチックを熱分解して得たタール状物質を加えたものであってもよい。コールタールピッチおよび/または石油系タールピッチが好ましい。
コールタール等のピッチ類は、通常、キノリン不溶分を1質量%以上15質量%以下含有しており、ピッチ類を加熱すると微小な核の回りにキノリン不溶分が付着し、成長して、メソフェーズ小球体となるものと考えられている。
ところで、キノリン不溶分が1〜2質量%のピッチ類を加熱すると、通常25〜40μm程度のメソフェーズ小球体が得られる。これを高温で焼成して得た炭素材料をリチウムイオン二次電池負極用炭素材料として用いたリチウムイオン二次電池は、放電容量は優れるものの、急速充放電特性およびサイクル特性が不十分となる。これは、放電容量が炭素材料の結晶性に主に依存し、急速充放電特性およびサイクル特性が炭素材料の粒径に主に依存するためであると、本発明者は考えている。
また、キノリン不溶分が約4質量%のピッチ類を加熱すると、通常10μm程度のメソフェーズ小球体が得られる。これを高温で焼成して得た炭素材料をリチウムイオン二次電池負極用炭素材料として用いたリチウムイオン二次電池は、急速充放電特性およびサイクル特性は優れるものの、放電容量が不十分となる。これはメソフェーズ小球体の粒径が小さいためであることに加えて、放電容量の増加に寄与しない石炭滓が増加するためであると、本発明者は考えている。
また、従来、キノリン不溶分が0.5質量%のピッチ類を加熱すると、粒度分布が広くなるという知見が得られていた。これは核の回りに付着するキノリン不溶分が少なく、核同士が合体しやすいためであると考えられていた。この場合、大粒径のものも多くなることに起因して、急速充放電特性およびサイクル特性が低下する。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法で用いる前記ピッチ類は、キノリン不溶分が1質量%未満である。前記のようにキノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類は、通常、加熱により小粒径のメソフェーズ小球体を安定的に発生させることが困難であり、または、粒度分布が広くなり、急速充放電特性、サイクル特性が低下する。
しかしながら、キノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類であっても、ピッチ類を後述する金属類粒子と均一に混合させた後、混合物として加熱することにより、小粒径のメソフェーズ小球体を安定的に発生させ、成長させることができるのである。これは金属類粒子が核に付着することで核の成長および核同士の凝集を抑制することができ、結果として、小粒径でかつ狭い粒度分布のメソフェーズ小球体を得ることができるためであると、本発明者は考えている。
前記ピッチ類のキノリン不溶分は1質量%未満であるが、0.5質量%以下であるのが好ましい。
なお、本発明においてキノリン不溶分の含有率は、JIS K2425−1983(クレオソート油・加工タール・タールピッチ試験方法)に記載された方法に準拠して測定したキノリン不溶分から算出する値を意味するものとする。すなわち、ピッチ類をキノリンに溶解させ、75℃で30分間加熱した後、JIS R3503−1994に規定されたるつぼ型ろ過機IG4を用い、ろ過助剤として珪藻土を用いて、熱いうちに吸引ろ過する。その後、残分をキノリン、アセトンの順に、それぞれのろ液が無色になるまで洗浄し、乾燥後、質量を測定し、キノリン不溶分の含有率を計算する方法によって算出する値である。
キノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類を得るためには、キノリン不溶分が1〜15質量%のピッチ類(原料タール等)の静置による沈降、遠心分離による沈降現象などを利用することができる。
(金属類粒子)
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法では、金属類粒子と前記ピッチ類とを混合して混合物を得る。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法において金属類粒子とは、金属、半金属およびこれらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであって、平均粒子径が0.01μm以上1μm未満のものである。
前記金属は遷移金属が好ましく、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Wがより好ましく、Fe、Co、Niがさらに好ましい。
前記半金属はB、Siが好ましい。
前記金属類粒子はこれらの金属や半金属の化合物、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、炭酸化合物などの無機化合物であってもよく、Fe、Co、NiおよびSiから選ばれる少なくとも一つの金属または半金属、あるいはこれらの酸化物が好ましい。
前記金属類粒子の形状は特に限定されず、球状、板状、鱗片状、針状、塊状などのいずれであってもよいが、球状または塊状などの球体に近い形状であることが好ましい。ピッチ類に金属類粒子が分散しやすいからである。また生成したメソフェーズ小球体の表面に凝集せず、均一に付着しやすいからである。
前記金属類粒子の平均粒子径は0.01μm以上1μm未満であり、0.05μm以上0.5μm未満であることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満であるとメソフェーズ小球体同士が発生直後に合体しやすく、メソフェーズ小球体の粒子径が揃わず、所定の粒子径に制御することが難しくなる。また、平均粒子径が1μm以上であると、メソフェーズ小球体の粒子径を小さくすることが困難になる。
ここで金属類粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定した粒度分布の累積度数が、体積百分率で50%となる粒子径を意味するものとする。
(混合方法)
前記ピッチ類と前記金属類粒子とを混合して混合物を得るが、その混合比は、前記ピッチ類の100質量部に対して前記金属類粒子が0.05〜5質量部であり、0.2〜5質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であるとメソフェーズ小球体同士が発生直後に合体しやすく、メソフェーズ小球体の粒子径が揃わず、所定の粒子径に制御することが難しくなる傾向にある。また、5質量部超であるとメソフェーズ小球体の粒子径が過度に小さくなる傾向がある。さらに後述する加熱処理において、大量の金属類粒子が瞬時に蒸発して黒鉛化炉から噴出しが起こる可能性があり、また、加熱後に金属類粒子が残存して放電容量が低下する可能性がある。
前記混合物はピッチ類と金属類粒子との他に、他の炭素材料、黒鉛材料、高分子材料を本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。
前記混合物は前記ピッチ類と前記金属類粒子とが、ほぼ均一に混合されたものである。混合方法は特に限定されない。これらを均一に混合することができる混合方法であればよく、例えば一般的な混合装置を使用して連続的またはバッチ式で実施することができる。混合装置としては、攪拌翼を有するオートクレーブや連続式ニーダー型混合装置が挙げられる。後述する加熱処理で用いることができる加熱装置と同一の装置を用いることもできる。
(メソフェーズ小球体の製造方法)
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法では、前記ピッチ類と前記金属類粒子との混合物を加熱する。
加熱における加熱温度は350〜500℃が好ましく、380〜480℃がより好ましい。前記加熱温度よりも低すぎるとメソフェーズ小球体の生成速度が遅くなり、逆に高すぎると生成したメソフェーズ小球体が凝集してバルクメソフェーズ化する傾向があるので好ましくない。加熱時間は10分〜10時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。また、攪拌しながら加熱することが好ましい。メソカーボン小球体の発生が促進されるからである。
前記加熱温度および加熱時間で加熱することで、メソフェーズ小球体に金属類粒子が効率的かつ適度に付着し、小粒径のメソフェーズ小球体を高収率で得ることができる。メソフェーズ小球体への金属類粒子の付着量は、メソフェーズ小球体の100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜5質量部であることがより好ましい。金属類粒子の付着量は、金属類粒子の混合量で調整できる。
前記混合物を加熱した後、混合物中から前記金属類粒子が付着したメソフェーズ小球体を分離する。
その分離方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば溶剤抽出法を好ましく適用することができる。抽出溶剤はピッチマトリックスの良溶媒であることが好ましく、タール中油、キノリン等が例示される。また、溶媒抽出したメソフェーズ小球体は、さらに遠心分離、ろ過などの定法により、抽出溶剤から分離して小球体として単離することができる。分離の際に、メソフェーズ小球体に付着した金属類粒子はメソフェーズ小球体から脱離しない。
本発明のメソフェーズ小球体の製造方法によって、メソフェーズ小球体を安定的に得ることができる。メソフェーズ小球体を工業的に安価に製造する上で収率を20%以上に確保することが望まれるが、本発明のメソフェーズ小球体の製造方法によれば、前記混合物の全質量に対し20〜50質量%程度の収率で本発明のメソフェーズ小球体を得ることができる。
本発明のメソフェーズ小球体の平均粒子径は2〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましく、5〜25μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が前記範囲にあると急速充放電特性およびサイクル特性に優れる。ここで平均粒子径は、前述の金属類粒子の平均粒子径と同様の方法で測定した値を意味するものとする。
本発明のメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.3未満であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。真球状に近い形状であるほど、黒鉛の結晶構造が粒子内や負極上で一方向に配列しないほか、電解液中のリチウムイオンの拡散性が高く、急速充放電特性やサイクル特性が良好になるからである。
なお、アスペクト比はメソフェーズ小球体の1粒子における長軸長の短軸長に対する比(長軸長/短軸長)を意味するものとする。ここで長軸長は測定対象粒子における最も長い径を意味するものとし、短軸長は測定対象粒子における最も短い径を意味するものとする。また、長軸長および短軸長は、走査型電子顕微鏡によって100個のメソフェーズ小球体を観察して測定した値の単純平均値とする。ここで走査型電子顕微鏡で観察する際の倍率は、測定対象粒子の形状を確認できる倍率とする。
本発明の炭素材料(A)の製造方法について説明する。
(焼成)
本発明の炭素材料(A)の製造方法では、本発明のメソフェーズ小球体を最終的に700〜3300℃で焼成する。ただし、焼成温度が700〜2500℃であるとメソフェーズ小球体の黒鉛化が不十分となるほか、メソフェーズ小球体に付着している前記金属類粒子が蒸発または分解せずに、残存することがある。焼成温度が700〜2500℃の炭素材料(A)は、急速充放電特性に特化する場合などに限定して使用することができる。焼成温度が2500〜3300℃であるとメソフェーズ小球体が黒鉛化し、メソフェーズ小球体に付着している前記金属類粒子が蒸発または分解して、実質的に残存しない。焼成温度は、前記金属類粒子が蒸発または分解して実質的に残存せずに消失する温度であることが好ましい。具体的には2800〜3200℃が好ましく、3000〜3200℃がより好ましい。それは、残存する金属が金属炭化物や金属窒化物となり、活物質として作用せず、放電容量の低下を招くからである。
焼成時間は1〜50時間が好ましく、2〜10時間がより好ましい。
焼成温度を2800℃以上とし、短時間の焼成を複数回に分けて行うことが好ましい。複数回に分けて焼成すると、メソフェーズ小球体が溶融し難いからである。例えば800〜1400℃で1〜5時間焼成した後、2800〜3200℃で4〜8時間焼成する方法が好ましい。
焼成は従来公知の焼成炉を用いて行うことができる。具体的にはアチェソン炉、LWG炉、タンマン炉、リードハンマー炉、トンネルキルン炉、電気炉などを用いて前記焼成温度で炭化または黒鉛化することができる。
(予備焼成)
本発明の炭素材料(A)の製造方法においては、前記焼成の前処理として、さらに予備焼成を行うことが好ましい。
予備焼成は前記焼成の前段階で700℃未満の温度で前記メソフェーズ小球体を焼成する工程である。前記予備焼成することにより焼成時のメソフェーズ小球体の融着や大量のガス発生を抑えることができ、形状制御性や安定生産性を高めることができる。
予備焼成を複数回行ってもよい。
本発明の炭素材料(A)の製造方法においては、前記焼成の前処理および/または後処理として、メソフェーズ小球体の粉砕や分級を行って形状や大きさを予め調製することが好ましい。例えば球状または塊状の粒子に調製することが好ましい。粉砕、分級の方法は特に限定されない。例えば渦流式粉砕機、衝撃式粉砕機、摩砕式粉砕機を用いて粉砕することが好ましい。粉砕後に微粒子を分級し、篩分けして除去することもできる。
(炭素材料(A))
前記製造方法によって得られる本発明の炭素材料(A)は、平均粒子径が2〜50μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。2μm未満では、最終的に得られる本発明の炭素材料をリチウムイオン二次電池の負極材料に用いた場合に、初期充放電効率の低下を生じるおそれがあり、50μm超では、急速充放電特性やサイクル特性が低下するおそれがある。
なお、平均粒子径は、前述の金属類粒子の平均粒子径と同様の方法で測定した値を意味するものとする。
本発明の炭素材料(A)の形状は特に制限はなく、粒状、塊状、球状、楕円体状などのいずれであってもよいが、球状に近い、すなわちアスペクト比が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。このようなアスペクト比とすることで急速充放電効率およびサイクル特性が向上する。これは負極を形成した場合に、炭素材料の結晶構造が一方向に配列することなく、かつ電解液が内部に浸透しやすくなるからである。
本発明の炭素材料(A)は結晶性が高いことが好ましい。本発明の炭素材料(A)をリチウムイオン二次電池負極材料として用いたときに高い放電容量を得ることができ、また、各種導電材として用いたときに高い導電性が得られるからである。
特に、X線回折における格子面間隔d002が0.3365nm以下、特に0.3360mm未満であることが好ましい。ここで、格子面間隔d002とは、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質とするX線回折法(大谷杉郎著、「炭素繊維」、733−742頁(1986年)、近代編集社)によって測定した値である。
本発明の炭素材料(A)の比表面積は0.1〜20m/gであることが好ましく、0.5〜10m/gであることがより好ましい。20m/gを超えると、負極合剤ペーストの粘度調整が不安定になったり、バインダーによる結着力が低下するおそれがある。
比表面積は窒素ガス吸着によるBET法によって求めた値を意味するものとする。
次に、本発明の炭素材料(C)の製造方法について説明する。
(付着方法)
炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)の炭化物が付着した炭素材料(C)を得る方法には、炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)を付着させた後、炭素質材料(B)を加熱して炭化する方法、および、炭素材料(A)の表面に、炭素質材料(B)の炭化物を付着させて炭素材料(C)を得る方法があるが、前者の方法が炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)を均一に付着できる点から好ましい。
炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)を付着させた後、炭化する方法には、気相法で炭化する方法、液相法で付着後、炭化する方法および固相法で付着後、炭化する方法がある。
気相法は、炭素材料(A)の表面に、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素で代表される炭素質材料(B)の蒸気を900〜1200℃で蒸着する方法である。蒸着時に炭素質材料(B)が炭化する。
液相法は、炭素質材料(B)を含む溶液に炭素材料(A)を浸漬し、分散して炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)を付着させた後、前記分散液から液状物質を除去して、炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)が付着した付着物を得る方法である。
液相法に使用する炭素質材料(B)としては、タールピッチ類および/または樹脂類が好ましい。具体的には、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、メソフェーズピッチなどの石油系または石炭系のタールピッチ類が挙げられるが、特に好ましいのはコールタールピッチ、メソフェーズピッチなどである。
樹脂類としては、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂が挙げられる。ほかに、糖類、セルロース類も使用することができる。
溶媒としてはコールタールナフサを使用することができる。
固相法は、炭素材料(A)と炭素質材料(B)の粉末を混合し、圧縮、剪断、衝突、摩擦などの機械的エネルギーを付与するメカノケミカル処理などによって、炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)を圧着する方法である。メカノケミカル処理によって、炭素質材料(B)が溶融または軟化し、炭素材料(A)に擦り付けられることにより付着する。
メカノケミカル処理可能な装置としては、「GRANUREX」(フロイント産業(株)製)、「ニューグラマシン」((株)セイシン企業製)、「アグロマスター」(ホソカワミクロン(株)製)などの造粒機、ロールミル、二軸混練機、押出機、ボールミル、遊星ミル、「ハイブリダイゼーション」((株)奈良機械製作所製)、「メカノマイクロシステム」((株)奈良機械製作所製)、「メカノフュージョンシステム」(ホソカワミクロン(株)製)、「ノビルタ」(ホソカワミクロン(株)製)などの圧縮剪断式加工装置などを挙げることができる。
固相法に使用する炭素質材料(B)は、液相法に使用する炭素質材料(B)を乾燥して得た固体を微粉砕して得た粉末などである。具体的にはコールタールピッチ、メソフェーズピッチ、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂などが挙げられる。
本発明の炭素材料(A)は、粒子内部が緻密であり、機械的エネルギーを付与しても炭素材料(A)の変形、破壊を殆ど生じることがないが、前記機械的エネルギーの付与によって、炭素材料(A)の形状、粒径などを実質的に変化させないようにすることが好ましい。炭素質材料(B)の付着後における炭素材料(A)の平均粒子径の低下率が10%未満であることが好ましい。
(炭化)
炭素材料(A)の表面に付着した炭素質材料(B)の炭化は、前記付着物を不活性雰囲気中、500〜1500℃、好ましくは800〜1300℃で加熱して炭化する。加熱により付着した炭素質材料(B)およびその炭化物が剥離、脱離することは殆どない。前記炭化により炭素質材料(B)の炭化物が付着した本発明の炭素材料(C)が得られる。
次に、炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)の炭化物を付着させて炭素材料(C)を得る方法について説明する。
炭素質材料(B)としては、前記液相法、固相法の場合と同じものが使用できる。
炭素質材料(B)の炭化は、前記炭化と同じ方法、条件で行うことができる。
炭素質材料(B)の炭化物の付着も前記液相法、固相法と同じ方法、条件で行うことができる。
(炭素材料(C))
本発明の炭素材料(C)は、炭素材料(A)の表面に炭素質材料(B)の炭化物が付着した炭素材料である。前記炭化物は、炭素材料(A)の表面の一部を被覆していればよいが、表面の全域を均一に被覆していることが好ましい。前記炭化物の付着により、炭素材料(C)は前記炭素材料(A)に比べ、圧縮強度の目安となる硬度が増大するが、炭素材料(A)の硬度が充分に低く、かつ、炭素質材料(B)の炭化物の付着量が少量に規定されているため、リチウムイオン二次電池用負極材料の製造時に充填密度を高くすることができ、集電材を損傷することなどがない。また、リチウムイオン二次電池としての初期充放電効率や急速充電特性をさらに向上させることができる。
炭素材料(A)の表面に付着した炭素質材料(B)の炭化物の付着量は、炭素材料(A)100質量部に対し0.1〜5質量部であるのが好ましい。5質量部を超えると、得られる炭素材料(C)が硬質になり、二次電池の負極材料を製造する場合に、高密度で充填することが難しくなるほか、集電材の変形、破断が生じたり、放電容量の低下を生じることがある。0.1質量部未満であると、炭素材料(A)に炭素質材料(B)の炭化物を付着させた効果が十分発揮されない。すなわち、負極材料の初期充放電効率や急速充電特性の向上が小さい。前記付着量は0.5〜3質量部であることが特に好ましい。
なお、炭素材料(C)の平均粒子径、平均アスペクト比、X線回折における格子面間隔d002および比表面積の好ましい範囲は、前記した炭素材料(A)の好ましい範囲と同じである。
本発明の炭素材料は、炭素材料(A)および/または(C)のほかに、本発明の目的を損なわない範囲で、異種の黒鉛材料、非晶質ハードカーボンなどの炭素材料、有機物、金属、金属化合物などの混合物、内包物、被覆物、積層物を含んでもよい。
また、本発明の炭素材料に、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、物理的処理、酸化処理などを施してもよい。
以下、本発明の炭素材料は、炭素材料(A)および/または炭素材料(C)を意味するものとする。
(リチウムイオン二次電池)
次に、本発明の炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう。)について説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の炭素材料を用いること以外は、通常のリチウムイオン二次電池と同様の構成であってよい。すなわち、電解液、負極および正極を主たる電池構成要素とし、これら要素が、例えば電池缶内に封入されている。そして負極および正極はそれぞれリチウムイオンの担持体として作用し、充電時には負極からリチウムイオンが離脱する。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および電解液を主たる電池構成要素とし、正極および負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなり、充電時には、リチウムイオンが負極中に吸蔵され、放電時には負極から離脱する電池機構によっている。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の負極材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
(負極)
本発明のリチウムイオン二次電池用の負極の作製は、本発明の負極材料の電池特性を充分に引き出し、かつ賦型性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる成型方法であればいずれでもよいが、本発明の負極材料と結合剤を溶剤および/または分散媒(以後、単に溶剤とも称す)中で混合して、ペースト化し、得られた負極合剤ペーストを集電材に塗布した後、溶剤を除去し、プレスなどにより固化および/または賦形する方法によるのが一般的である。すなわち、まず、本発明の負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た組成物を溶剤に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。
より具体的には、本発明の負極材料と、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴムなどの結合剤を、水、アルコールなどの溶剤中で混合して得たスラリー、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末を、イソピロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤と混合して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合して、負極合剤ペーストを調製する。該ペーストを、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは30〜100μmである。
また、負極合剤層は、本発明の負極材料と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を乾式混合し、金型内でホットプレス成型して作製することもできる。ただし、乾式混合では、十分な負極の強度を得るために多くの結合剤を必要とし、結合剤が過多の場合は、リチウムイオン二次電池の放電容量や急速充放電効率が低下することがある。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができる。
負極に用いる集電材の形状は、特に限定されないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状物などが好ましい。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電材の厚みは、箔状の場合は好ましくは5〜20μmである。
(正極)
正極は、例えば正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電材の表面に塗布することにより形成される。正極の材料(正極活物質)は、充分量のリチウムを吸蔵/脱離し得るものを選択するのが好ましく、リチウムと遷移金属の複合カルコゲン化物、なかでもリチウムと遷移金属の複合酸化物(リチウ含有遷移金属酸化物とも称す)が好ましい。該複合酸化物は、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。
リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM1 1-X2 X2(式中Xは0≦X≦1の範囲の数値であり、M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素である)またはLiM1 2-Y2 Y4(式中Yは0≦Y≦2の範囲の数値であり、M1、M2は少なくとも一種の遷移金属元素である)で示される。Mで示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどである。好ましい具体例は、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi0.9 Co0.12、LiNi0.5Co0.52などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩類等を出発原料とし、これら出発原料を混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウム等の炭素塩を添加することができる。また、正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
正極は、正極材料、結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電材の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物など公知のものが使用される。
集電材の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電材の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電材に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
(電解液)
本発明に用いられる電解液としては、溶媒と電解質塩からなる有機系電解液や、高分子化合物と電解質塩とからなるポリマー電解質などが用いられる。電解質塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCl、LiBr、LiCFSO、LiCH3SO、LiN(CFSO、LiC(CF3SO、LiN(CF3CHOSO、LiN(CF3CFOSO、LiN(HCFCFCHOSO、LiN((CFCHOSO、LiB[C(CF、LiAlCl、LiSiFなどのリチウム塩を用いることができる。特にLiPF、LiBFが酸化安定性の点から好ましく用いられる。
有機系電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/lが好ましく、0.5〜3.0mol/l がより好ましい。
有機系電解液の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソフラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
電解液をポリマー電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子化合物を含むが、このマトリクス高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂などを単独、もしくは混合して用いることができる。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
ポリマー電解質の作製は特に限定されないが、例えば、マトリックスを構成する高分子化合物、リチウム塩および溶媒を混合し、加熱して溶融・溶解する方法が挙げられる。また、混合用有機溶媒に、高分子化合物、リチウム塩、および溶媒を溶解させた後、混合用有機溶媒を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および溶媒を混合し、紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ポリマー電解質中の溶媒の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。該範囲であると、導電率が高く、機械的強度が強く、フィルム化しやすい。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータは特に限定されるものではないが、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等である。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、初期充放電効率が高いことから、ゲル電解質を用いることも可能である。
ポリマー電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、一般にポリマー電池と呼ばれ、本発明の負極材料を用いてなる負極と、正極およびポリマー電解質から構成される。例えば、負極、ポリマー電解質、正極の順に積層し、電池外装材内に収容することで作製される。なお、これに加えて、さらに、負極と正極の外側にポリマー電解質を配するようにしてもよい。本発明の負極材料を用いるポリマー電池では、ポリマー電解質にプロピレンカーボネートを含有させることができる。一般にプロピレンカーボネートは黒鉛に対して電気的分解反応が激しいが、本発明の負極材料に対しては分解反応性が低い。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。ポリマー電解質を用いたポリマー電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
以下、リチウムイオン二次電池を単に二次電池とも言う。
以下に、本発明の実施例を比較例とともに示す。
実施例および比較例においてピッチ類のキノリン不溶分、メソフェーズ小球体およびその炭素材料の物性および特性は、以下の方法によって測定し評価した。
評価結果を表1に示す。
ピッチ類の残炭率はJIS K2425の固定炭素法に準拠し、800℃に加熱して実質的に全量が炭素化されたときの残部を言い、質量百分率で表したものである。
ピッチ類のキノリン不溶分の含有率、炭素材料のアスペクト比、炭素材料の比表面積、炭素材料の格子面間隔d002の測定方法は、前述の通りである。
金属類粒子、メソフェーズ小球体、その炭素材料の体積換算の平均粒子径の測定方法は、前述の通りである。すなわち、レーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。また、同様の方法で粒度分布を測定し、累積度数が体積百分率で10%および90%となる粒子径も測定した。この粒子径を各々、D10およびD90と記す。
炭素材料の硬さは、微小圧縮試験機((株)島津製作所製、MCT)により破壊強度を求め、実施例1の炭素材料(A)の破壊強度を1とした場合の相対値で示した。
[実施例1]
(メソフェーズ小球体の製造)
平均粒子径0.2μmの塊状のニッケル微粒子1.5質量部を、コールタールピッチ100質量部(残炭率60%、キノリン不溶分0.5質量%)に混合し、連続式ニーダー型混合装置を用いて攪拌し均一化した。得られた混合物をオートクレーブに移し、窒素気流中、攪拌しながら410℃にて5時間加熱してメソフェーズ小球体を発生させた。メソフェーズ小球体の発生率(混合物中のキノリン不溶分)は42質量%であった。
なお、本実施例は、工業的に安価製造可能な目安とされるメソフェーズ小球体の収率20質量%を大きく超えている。また、メソフェーズ小球体の発生粒子径が5時間の加熱中徐々に大きく成長するため、粒子径の制御が容易であり、工業的規模で安定的に製造することができる。
その後、150℃まで冷却したところでタール中油を添加し、1時間抽出を行った。メソフェーズ小球体を含有するタール中油を加熱ろ過し、メソフェーズ小球体を分離した。得られたメソフェーズ小球体を乾燥し、窒素気流中、350℃で3時間加熱した。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は12μmであった。元素分析を行ったところ、Niが3.5質量%含まれていた。メソフェーズ小球体を研磨して、その断面について元素のマッピング分析を行ったところ、ニッケル微粒子がメソフェーズ小球体の表面に付着していることが確認できた。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は6μmおよび22μmであった。
(炭素材料(A)の製造)
次に、上記のニッケル微粒子が付着したメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成した後、さらに3200℃で6時間焼成し黒鉛化して炭素材料(A)を製造した。
得られた炭素材料(A)の平均粒子径は11μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料(A)のアスペクト比は1.1、比表面積は1.3m/g、格子面間隔d002は0.3356nmであった。前記炭素材料(A)の硬さを、以下の実施例、比較例における炭素材料の硬さを知るための基準値の1.0と規定した。また、元素分析の結果、Niは検出限界以下であった。
次に、得られた炭素材料(A)を用いてリチウムイオン二次電池を製造した。
製造方法および評価方法等を示す。
(負極合剤ペーストの調製)
炭素材料(A)90質量%と、結合剤としてのポリフッ化ビニリデン10質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒に入れ、ホモミキサーを用いて2000rpmで30分間攪拌混合し、有機溶媒系負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極の作製)
負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さで塗布し、さらに真空中で90℃で分散媒を揮発させて乾燥した。次に、この銅箔上に塗布された負極合剤をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打抜くことで、銅箔からなる集電材(厚み16μm)に密着した負極合剤層(厚み60μm)からなる作用電極を作製した。
(対極の作製)
リチウム金属箔を、ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電材と、該集電材に密着したリチウム金属箔(厚み0.5μm)からなる対極を作製した。
(電解液・セパレータ)
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶媒に、LiPF6 を1mol/dmとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸されたセパ
レータを作製した。
(評価電池の作製)
評価電池として図1に示すボタン型二次電池を作製した。
集電材7bに密着した作用電極2と集電材7aに密着した対極4との間に、電解液を含浸させたセパレータ5を挟んで積層した。その後、作用電極集電材7b側が外装カップ1内に、対極集電材7a側が外装缶3内に収容されるように、外装カップ1と外装缶3とを合わせた。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。
前記のように作製された評価電池について、25℃の温度下で下記のような充放電試験を行い、放電容量、初期充放電効率・急速充電効率・急速放電効率・サイクル特性を計算した。評価結果を表1に示した。
(放電容量、初期充放電効率)
回路電圧が0mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式(I)から初期充放電効率を計算した。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)×
100 (I)
なおこの試験では、リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、負極材料から離脱する過程を放電とした。
(急速充電率)
引き続き、第2サイクルにて高速充電を行なった。
電流値を第1サイクルの4倍の3.6mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式(II)から急速充電率を計算した。
急速充電率=(第2サイクルにおける定電流充電容量/第1サイクルにおける放電容量) ×100 (II)
(急速放電率)
前記第2サイクルの定電流充電に引き続き、第2サイクルにて、高速放電を行った。第1サイクルと同様にして定電圧充電に切替え充電した後、電流値を16倍の14.4mAとして、回路電圧が1.5Vに達するまで、定電流放電を行った。得られた放電容量から、次式(III)により急速放電率を計算した。
急速放電率=(第2サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電容量)×
100 (III)
(サイクル特性)
放電容量、初期充放電効率、急速充電率、急速放電率を評価した評価電池とは別の評価電池を作製し、以下のような評価を行なった。
回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、定電圧充電に切替え、電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間休止した。次に4.0mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。20回充放電を繰返し、得られた放電容量から、次式(IV)を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性=(第20サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電容量)× 100 (IV)
表1に示すように、作用電極に実施例1の炭素材料(A)を負極材料として用いて得られた評価電池は、高い放電容量を示し、急速充電特性、急速放電特性およびサイクル特性にも優れている。
〔比較例1〕
実施例1において、コールタールピッチ中にニッケル微粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメソフェーズ小球体を製造した。メソフェーズ小球体の発生率は30質量%であった。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は32μmであった。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は、各々、18μmおよび55μmであった。
上記のメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成したのち、3200℃で6時間焼成し黒鉛化した。
得られた炭素材料の平均粒子径は29μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料のアスペクト比は1.1、比表面積は0.5m/g、格子面間隔d002は0.3359nmであった。硬さは1.3であった。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表1に示す。
表1に示されるように、金属類粒子としてのニッケル微粒子を配合しない比較例1の場合には、メソフェーズ小球体の平均粒子径が大きく、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性が不足する。また、金属類粒子を配合した場合に比べ、放電容量が低くなっている。
〔比較例2〕
実施例1において、コールタールピッチをキノリン不溶分の多いもの(残炭率60%、キノリン不溶分1.5質量%)に置き換えた以外は、実施例1と同様にしてメソフェーズ小球体を製造した。メソフェーズ小球体の発生率は43質量%であった。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は8μmであった。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は、各々、4μmおよび17μmであった。
上記のメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成したのち、3200℃で6時間焼成し黒鉛化した。
得られた炭素材料の平均粒子径は7μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料のアスペクト比は1.1、比表面積は1.8m/g、格子面間隔d002は0.3366nmであった。硬さは2.3であった。また、Niは検出限界以下であった。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表1に示す。
表1に示されるように、キノリン不溶分の多いピッチ類を原料に用いた場合には、メソフェーズ小球体の発生粒子径が小さくなり、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性は良好であるものの、放電容量が不足する。
〔実施例2〕
(炭素材料の調製)
平均粒子径0.3μmの塊状のシリコン微粒子0.7質量部を、コールタールピッチ100質量部(残炭率60%、キノリン不溶分0.3質量%)に混合し、連続式ニーダー型混合装置を用いて攪拌し均一化した。得られた混合物をオートクレーブに移し、窒素気流中、攪拌しながら410℃にて5時間加熱してメソフェーズ小球体を発生させた。メソフェーズ小球体の発生率は40質量%であった。
その後、150℃まで冷却したところでタール中油を添加し、1時間抽出を行った。メソフェーズ小球体を含有するタール中油を加熱ろ過し、メソフェーズ小球体を分離した。得られたメソフェーズ小球体を乾燥し、窒素気流中、350℃で3時間焼成した。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は16μmであった。元素分析を行ったところ、Siが1.7質量%含まれていた。メソフェーズ小球体を研磨して、その断面について元素のマッピング分析を行ったところ、シリコン微粒子がメソフェーズ小球体の表面に付着していることが確認できた。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は11μmおよび26μmであった。
次に、上記のシリコン微粒子が付着したメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成した後、さらに3200℃で6時間焼成して黒鉛化し、炭素材料(A)を製造した。
得られた炭素材料(A)の平均粒子径は14μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料(A)のアスペクト比は1.1、比表面積は1.1m/g、格子面間隔d002は0.3355nmであった。硬さは0.9であった。また、Siは検出限界以下であった。
表1に示すように、作用電極に実施例1の炭素材料(A)を負極材料として用いて得られた評価電池は、高い放電容量を示し、急速充電特性、急速放電特性およびサイクル特性にも優れている。
〔比較例3〕
実施例2において、シリコン微粒子を平均粒子径2μmのものに置き換えた以外は、実施例2と同様にしてメソフェーズ小球体を製造した。メソフェーズ小球体の発生率は35質量%であった。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径は25μmであった。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は、各々、14μmおよび48μmであった。
上記のメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成したのち、3200℃で6時間焼成して黒鉛化した。
得られた炭素材料の平均粒子径は23μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料のアスペクト比は1.1、比表面積は0.8m/g、格子面間隔d002は0.3360nmであった。硬さは1.5であった。また、Siは検出限界以下であった。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表1に示す。
表1に示されるように、規定よりも粒子径の大きい金属類粒子をピッチ類に添加した比較例3の場合には、メソフェーズ小球体の発生粒子径が若干大きくなり、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性の向上が小さいものとなるほか、放電容量が不足する。
〔比較例4〕
実施例2において、シリコン微粒子に代えて、平均粒子径0.6μmのカーボンブラックを用いた以外は、実施例2と同様にしてメソフェーズ小球体を製造した。メソフェーズ小球体の発生率は34質量%であった。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は18μmであった。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は、各々、10μmおよび32μmであった。
上記のメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成したのち、3200℃で6時間焼成して黒鉛化した。
得られた炭素材料の平均粒子径は16μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料のアスペクト比は1.1、比表面積は1.3m/g、格子面間隔d002は0.3366nmであった。硬さは2.4であった。また、炭素材料の表面には、カーボンブラックに由来する炭素質の微粒子が付着していた。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表1に示す。
表1に示されるように、金属類粒子をピッチ類に添加せず、カーボンブラックを添加した従来技術では、放電容量が不足する。
〔実施例3〕
(炭素材料(A)の製造)
シランカップリング剤によって疎水処理された平均粒子径30nmのシリカ微粒子0.3質量部を、コールタールピッチ100質量部(残炭率60%、キノリン不溶分0.7質量%)に混合し、連続式ニーダー型混合装置を用いて攪拌し均一化した。得られた混合物をオートクレーブに移し、窒素気流中、攪拌しながら410℃にて5時間加熱してメソフェーズ小球体を発生させた。メソフェーズ小球体の発生率は48質量%であった。
その後、150℃まで冷却したところでタール中油を添加し、1時間抽出を行った。メソフェーズ小球体を含有するタール中油を加熱ろ過し、メソフェーズ小球体を分離した。得られたメソフェーズ小球体を乾燥し、窒素気流中、350℃で3時間焼成した。
得られたメソフェーズ小球体はアスペクト比が1.1のほぼ真球状であり、平均粒子径(D50)は10μmであった。元素分析を行ったところ、Siが0.3質量%含まれていた。メソフェーズ小球体を研磨して、その断面について元素のマッピング分析を行ったところ、シリカ微粒子がメソフェーズ小球体の表面に付着していることが確認できた。
また、メソフェーズ小球体の粒度分布を測定したところ、D10およびD90は5μmおよび23μmであった。
次に、上記のシリカ微粒子が付着したメソフェーズ小球体を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成処理した後、3200℃で6時間焼成して黒鉛化し、炭素材料(A)を製造した。
得られた炭素材料(A)の平均粒子径は9μmであったが、その形状は、焼成前のメソフェーズ小球体とほぼ同一の真球状であった。炭素材料のアスペクト比は1.1、比表面積は1.7m/g、格子面間隔d002は0.3357nmであった。硬さは1.1であった。また、Siは検出限界以下であった。
表1に示すように、作用電極に実施例3の炭素材料(A)を負極材料として用いて得られた評価電池は、高い放電容量を示し、急速充電特性、急速放電特性およびサイクル特性にも優れている。
[比較例5、6]
実施例3において、コールタールピッチをキノリン不溶分の多いもの(キノリン不溶分1.5質量%または4.0質量%)に置換え、疎水処理されたシリカ微粒子を加えない以外は、実施例3と同様にしてメソフェーズ小球体を製造し、焼成して黒鉛化した。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表1に示す。
表1に示されるように、キノリン不溶分の多いコールタールピッチからメソフェーズ小球体を製造した場合は、粒子径が小さくなり、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性が高いものの、放電容量が小さくなる。
[比較例7]
平均粒子径0.3μmの塊状のシリコン微粒子0.7質量部を、コールタールピッチ100質量部(残炭率60%、キノリン不溶分0.5質量%)に混合し、連続式ニーダー型混合装置を用いて攪拌し均一化した。得られた混合物を鋼鉄製の容器に移し、そのまま窒素気流中、500℃で6時間焼成し、メソフェーズ小球体が合体したバルクメソフェーズ焼成品を得た。
得られたバルクメソフェーズ焼成品を掻き出して、粗粉砕したのち、ジェットミル式粉砕機で微粉砕し、平均粒子径を13μmに調整した。D10およびD90は5μmおよび38μmであった。得られたバルクメソフェーズ焼成品の形状は、やや扁平な塊状〜タイル状であり、アスペクト比は3.2であった。
次に、上記バルクメソフェーズ粉砕品を、窒素気流中、1000℃で3時間焼成した後、3200℃で6時間焼成して黒鉛化し、炭素材料を製造した。
得られた炭素材料の平均粒子径は12μmであったが、その形状は、焼成前のバルクメソフェーズ焼成品とほぼ同一のやや扁平な塊状〜タイル状であった。炭素材料のアスペクト比は3.2、比表面積は1.5m/g、格子面間隔d002は0.3360であった。硬さは1.5であった。また、Siは検出限界以下であった。
表1に示されるように、作用電極に比較例7の炭素材料を負極材料として用いて得られた評価電池は放電容量、急速充電特性、急速放電特性およびサイクル特性のいずれの特性も不足している。
〔実施例4〕
実施例2の炭素材料の調製において、塊状のシリコン微粒子の平均粒子径を0.3μmから0.4μmに変更する以外は、実施例2と同様にメソフェーズ小球体を発生させた。メソフェーズ小球体の発生率は38質量%であった。次いで、実施例2と同様にメソフェーズ小球体を分離し、350℃で3時間焼成した後、1000℃で3時間焼成し、さらに3200℃で6時間焼成し黒鉛化して炭素材料(A)を得た。
得られた炭素材料(A)について、実施例1と同様に作用電極を作製して電池特性の評価を行った。表1に示されるように、本発明の金属類粒子の平均粒子径を好適範囲の上限近傍とした実施例4は、放電容量、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性において高い値が得られている。
〔実施例5〕
実施例2の炭素材料の調製において、塊状のシリコン微粒子の平均粒子径を0.3μmから0.9μmに変更する以外は、実施例2と同様にメソフェーズ小球体を発生させた。メソフェーズ小球体の発生率は37質量%であった。次いで、実施例2と同様にメソフェーズ小球体を分離し、350℃で3時間焼成した後、1000℃で3時間焼成し、さらに3200℃で6時間焼成し黒鉛化して炭素材料(A)を得た。
得られた炭素材料(A)について、実施例1と同様に作用電極を作製して電池特性の評価を行った。表1に示されるように、本発明の金属類粒子の平均粒子径を本発明の範囲の上限近傍とした実施例5は、放電容量、急速充電特性、急速放電特性、サイクル特性が実施例4より劣るものの、比較例1よりも高い値を示している。
〔実施例6〕
(炭素材料(C)の製造)
実施例2の炭素材料(A)100質量部に、炭素質材料(B)であるメソフェーズピッチ粉末(軟化点200℃、平均粒子径3μm、1300℃での残炭率67%)3.0質量部を混合し、得られた混合物を乾式粉体複合化装置「メカノフュージョンシステム」(ホソカワミクロン(株)製、型式AMS)に投入し、回転ドラムの周速20m/秒、回転ドラムと内部部材との距離5mmで60分間、圧縮力と剪断力を同時に繰返し付与してメカノケミカル処理し、炭素材料(A)の表面に前記メソフェーズピッチ粉末を付着させた。得られた付着物を、ロータリーキルンを用い、窒素気流中1300℃で3時間加熱し、付着した前記メソフェーズピッチ粉末を炭化して炭素材料(C)を製造した。
得られた炭素材料(C)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭素材料(A)の表面全域に前記メソフェーズピッチ粉末の炭化物が膜状に被覆していることが確認できた。前記メソフェーズピッチ粉末の炭化物の付着量は、炭素材料(A)100質量部に対し2.0質量部であった。
炭素材料(C)の平均粒子径は14μmであり、付着前の炭素材料(A)の平均粒子径と同一であった。炭素材料(C)の形状も付着前の炭素材料(A)と同様なほぼ真球状であり、アスペクト比は1.1であった。比表面積は0.9m/g、格子面間隔d002は0.3355nmであった。炭素材料(C)の硬さは、炭素質材料(B)を付着していない実施例2の炭素材料(A)に対して僅かな上昇に留まっている。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例2の炭素材料(A)に、炭素質材料(B)であるメソフェーズピッチ粉末の炭化物を薄膜状に被覆することにより、初期充放電効率と急速充電特性が向上している。
〔実施例7〜9〕
実施例6において、メソフェーズピッチ粉末の混合量を表2に示すように変更する以外は、実施例6と同様な方法と条件で炭素材料(C)を製造した。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表2に示す。
表2に示されるように、炭素質材料(B)であるメソフェーズピッチ粉末の付着量が少ない場合には、実施例6よりも初期充放電効率と急速充電特性が向上が僅かである。その一方、メソフェーズピッチ粉末の付着量が多い場合には、炭素材料(C)が硬くなり、格子面間隔d002が大きくなって、放電容量が低下する。
〔実施例10〕
(炭素材料(C)の製造)
実施例2の炭素材料(A)100質量部に、炭素質材料(B)であるメソフェーズピッチ粉末(軟化点200℃、平均粒子径3μm、1300℃での残炭率67%)3.0質量部をタール中油に溶解してピッチ溶液と混合し、得られた混合物を二軸加熱ニーダーを用いて、150℃で1時間混練し、徐々に減圧してタール中油を除去し、炭素材料(A)の表面に前記メソフェーズピッチ粉末を付着させた。得られた付着物を、150℃で真空乾燥してタール中油を完全に除去した後、ロータリーキルンを用い、窒素気流中1300℃で3時間加熱し、付着した前記メソフェーズピッチ粉末を炭化して炭素材料(C)を製造した。
得られた炭素材料(C)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭素材料(A)の表面全域に前記メソフェーズピッチ粉末の炭化物が膜状に被覆していることが確認できた。前記メソフェーズピッチ粉末の炭化物の付着量は、炭素材料(A)100質量部に対し2.0質量部であった。
炭素材料(C)の平均粒子径は14μmであり、付着前の炭素材料(A)の平均粒子径と同一であった。炭素材料(C)の形状も付着前の炭素材料(A)と同様なほぼ真球状であり、アスペクト比は1.1であった。比表面積は0.9m/g、格子面間隔d002は0.3355nmであった。炭素材料(C)の硬さは、炭素質材料(B)を付着していない実施例2の炭素材料(A)に対して僅かな上昇に留まっている。
実施例1と同様に作用電極を作製して評価を行った。電池特性の結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例2の炭素材料(A)に、炭素質材料(B)であるメソフェーズピッチ粉末の炭化物を薄膜状に被覆することにより、初期充放電効率と急速充電特性が向上している。
〔実施例11〕
実施例6の炭素材料(C)の製造において、炭素質材料(B)として、実施例4で用いたメソフェーズピッチ粉末を予め窒素気流中1300℃で3時間加熱して炭化させ、その後平均粒子径1μmに微粉砕して得た炭化物粉末を用い、前記炭化物粉末2.0質量部を炭素材料(A)に混合した以外は、実施例6と同様に炭素材料(A)の表面に前記炭素質材料(B)の炭化物粉末を付着させて、炭素材料(C)を製造した。
得られた炭素材料(C)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭素材料(A)の表面に均一に前記メソフェーズピッチ炭化物の粉末が付着していることが確認できた。
得られた炭素材料(C)について、実施例1と同様に作用電極を作製して電池特性の評価を行った。
表2に示されるように、実施例2の炭素材料(A)に炭素質材料(B)の炭化物を付着させることにより、炭化物を薄膜状に被覆した実施例4よりも劣るものの、初期充放電効率と急速充電特性が実施例2よりも向上する。
〔実施例12〕
実施例6の炭素材料(C)の製造において、炭素質材料(B)として、メソフェーズピッチ粉末に代えてフェノール樹脂粉末(平均粒子径2μm、1300℃での残炭率40質量%、軟化点150℃)5.0質量部を混合した以外は、実施例6と同様に炭素材料(C)を製造した。前記フェノール樹脂粉末の炭化物の付着量は、炭素材料(A)100質量部に対し2.0質量部であった。
得られた炭素材料(C)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭素材料(A)の表面全域に前記フェノール樹脂粉末の炭化物が付着していることが確認できた。
得られた炭素材料(C)について、実施例1と同様に作用電極を作製して電池特性の評価を行った。表2に示されるように、実施例2の炭素材料(A)に炭素質材料(B)であるフェノール樹脂粉末の炭化物を薄膜状に被覆することにより、初期充放電効率と急速充電特性が向上した。
Figure 0005551883
Figure 0005551883
本発明の炭素材料は、搭載する機器の小型化および高性能化に有効に寄与するリチウムイオン二次電池の負極材料に用いることができる。また、その特徴を活かして、負極材料以外に、導電性や耐熱性を必要とする各種用途、例えば、樹脂添加用導電材、燃料電池セパレーター用導電材、耐火物用黒鉛、導電性フィラーなどにも使用することもできる。
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a、7b集電体

Claims (13)

  1. キノリン不溶分が1質量%未満のピッチ類100質量部と、平均粒子径が0.01μm以上1μm未満の金属、半金属およびこれらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属類粒子0.05〜5質量部とのみからなる混合物を加熱して、前記金属類粒子をメソフェーズ小球体の表面に付着させ、
    得られたメソフェーズ小球体を700〜3300℃で焼成して炭素材料(A)を得る、炭素材料の製造方法。
  2. 前記メソフェーズ小球体の平均粒子径が2〜50μmである請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
  3. 前記メソフェーズ小球体の平均アスペクト比が1.3未満である請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
  4. 前記メソフェーズ小球体を2500〜3300℃で焼成する、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  5. 前記焼成によって炭素材料(A)から前記金属類粒子を消失させる請求項1〜4のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  6. 前記金属類粒子が前記メソフェーズ小球体の表面に直接付着する、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  7. 前記炭素材料(A)の形状が球状である、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた炭素材料(A)に、炭素質材料(B)の炭化物を付着させて炭素材料(C)を得る炭素材料の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた炭素材料(A)に、炭素質材料(B)を付着させた後、500〜1500℃で加熱して前記炭素質材料(B)を炭化し炭素材料(C)を得る炭素材料の製造方法。
  10. 前記炭化後の炭素質材料(B)の炭化物の付着量が、前記炭素材料(A)100質量部に対して0.1〜5質量部である請求項8または9に記載の炭素材料の製造方法。
  11. 前記炭素材料がリチウムイオン二次電池負極用炭素材料である請求項1〜10のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
  12. 請求項11のいずれかに記載の製造方法によって得られる炭素材料を負極材料として用いるリチウムイオン二次電池。
  13. 前記リチウムイオン二次電池の放電容量が359〜363mAh/gである請求項12に記載のリチウムイオン二次電池。
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