JP6097641B2 - 非晶質炭素粒子の製造方法、非晶質炭素粒子、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

非晶質炭素粒子の製造方法、非晶質炭素粒子、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非晶質炭素粒子の製造方法、非晶質炭素粒子、リチウムイオン二次電池用負極材料およびリチウムイオン二次電池に関する。
従来、ハイブリッド自動車用の充電池としては、主に価格と軽量化との観点から、ニッケル水素電池が用いられてきたが、さらに軽量化を図るためには、電池1個当りの電圧が高く、エネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池の適用が期待されている。
ところで、電気自動車など電池のみで駆動する自動車用電池については、1充電走行距離を確保するために、エネルギー密度の高い材料、負極においては黒鉛系の材料の使用が広く検討されている。
一方、ハイブリッド自動車用の電池のように自動車に積む容量が小さく、ブレーキによる減速時にエネルギーを回生する必要があるシステムにおいては、充放電の入出力密度が高い電池が要望されており、ハードカーボンに代表される非晶質炭素粒子の使用が検討されている。
特開平3−252053号公報 特開平6−89721号公報 特開平8−115723号公報 特開平9−153359号公報
非晶質炭素粒子は、その前駆体の段階でグラフェン組織が積層された易黒鉛化性のメソフェーズ組織からなるものと、光学的に等方性であってメソフェーズ組織が含まれないものとに大別され、前者はソフトカーボン、後者はハードカーボンと呼ばれている。
一般的に、ハードカーボンは、同一の焼成温度で比較した場合にソフトカーボンよりも真比重が低いうえに(ブタノールを用いた真比重測定方法では、焼成温度、原料にもよるが、一般的なハードカーボンは1.5〜1.6と低い。)、粒子が硬質であるため、電極密度の向上が困難であり、電極のプレス性に劣る場合がある。
しかし、ハードカーボンは、リチウムイオン二次電池の負極材料として使用した場合、その粒子内の架橋構造によって、充放電時に膨張収縮しにくい優れた性質をもつ。
一方、ソフトカーボンは、黒鉛に比較すれば充放電時の膨張収縮は小さいものの、ハードカーボンよりも膨張収縮が大きい。充放電時の膨張収縮が大きい場合、長期間の電池サイクルでは、不具合が起こる可能性がある。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、プレス性に優れ、かつ、充放電時の膨張収縮が抑制された非晶質炭素粒子を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、非晶質炭素粒子にメソフェーズ粒子を内包させることにより、電極密度が向上してプレス性が良好となり、また、充放電時の膨張収縮も抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品を粉砕し、当該粉砕された第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施した後、焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(2)非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、上記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、上記不融化処理品に焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(3)非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品を粉砕し、当該粉砕された第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、上記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、上記メカノケミカル処理品に焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
(4)上記メソフェーズ粒子の添加量が、上記非晶質炭素の前駆体に対して1〜70質量%である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の非晶質炭素粒子の製造方法。
(5)粒子内にメソフェーズ組織を内包し、上記メソフェーズ組織の含有量が1〜80質量%であることを特徴とする、非晶質炭素粒子。
(6)上記非晶質炭素粒子の真比重が1.600〜1.741g/cm 3 である、上記(5)に記載の非晶質炭素粒子。
(7)上記(5)または(6)に記載の非晶質炭素粒子を含む、リチウムイオン二次電池用負極材料。
(8)上記(5)または(6)に記載の非晶質炭素粒子を負極材料として用いる、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、プレス性に優れ、かつ、充放電時の膨張収縮が抑制された非晶質炭素粒子を得ることができる。
評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。 実施例1で得られた炭素粒子の断面を示す偏光顕微鏡写真である。 メカノケミカル処理に用いられる装置を示し、(a)は作用機構を示す模式図、(b)は装置の構成を示す模式図である。 メカノケミカル処理に用いられる装置の構成を示す模式図である。
[非晶質炭素粒子の製造方法]
本発明の非晶質炭素粒子の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)は、概略的には、非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施した後、焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
〔非晶質炭素の前駆体〕
本発明に用いられる非晶質炭素の前駆体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチ;フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂;ピッチと樹脂との混合物;等が挙げられ、なかでも、経済性等の観点から、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチが好ましい。
石炭系ピッチの具体例としては、コールタールピッチ、石炭液化ピッチ等が挙げられ、石油系ピッチの具体例としては、デカントオイルピッチ、エチレンタールピッチ等が挙げられる。
なお、ピッチを用いる場合、キノリン不溶分(QI)含有量は、電池の容量を上げる観点から、0〜2質量%であるのが好ましいが、特に限定されない。
〔メソフェーズ粒子〕
本発明に用いられるメソフェーズ粒子は、縮合多環芳香族平面分子が互いに平行に重なった構造を有するメソフェーズ組織からなる、光学的異方性を示す炭素質粒子であり、例えば、メソカーボン小球体、バルクメソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ炭素繊維などが挙げられる。また、これらが熱処理工程を経たものでもよく、その場合、熱処理温度は1500℃までの温度であることが好ましい。
なお、メソフェーズ粒子は、試料の断面を偏光顕微鏡で観察することにより、光学的異方性を有するか否かを観察することができる。
バルクメソフェーズピッチ等は、光学的等方性ピッチ部分が残留したり混合したりしたものでもよい。光学的等方性ピッチ部分の割合は、混合の場合は30質量%以下が好ましく、残留したものについてはQI(キノリン不溶分)量が70質量%以上であることが好ましい。光学的等方性部分が多いと、得られる非晶質炭素粒子の真比重が低くなり、本発明の効果が得られにくい場合がある。
また、バルクメソフェーズピッチは、その等方性部分があらかじめ不融化されていてもよい。不融化されることにより、メソフェーズ部分と光学的等方性部分とがその後の処理によって分離されることなく中間層によって強固に結びつき、焼成後にもその構造が保持され、粒子内部にメソフェーズ部分および光学的等方性部分の傾斜層を設けた効果が得られるためである。その際、バルクメソフェーズの不融化度(不融化後の酸素含有量)は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下にするのがより好ましい。これより高い不融化度であると、真比重低下や傾斜層の構造脆化が起こる場合があるからである。
なお、石油系もしくは石炭系の重質油または石油系もしくは石炭系のピッチを350〜500℃で加熱すると、加熱初期に光学的に異方性の球状体(「メソカーボン小球体」)が母液中に生成し、さらに加熱を続けると、メソカーボン小球体どうしが合体、成長を繰り返して母液全体が光学的に異方性の物質(「バルクメソフェーズピッチ」)となる。
また、バルクメソフェーズピッチから製造された炭素繊維が「メソフェーズピッチ炭素繊維」である。
メソフェーズ粒子の平均粒子径としては、最終的に得られる非晶質炭素粒子の粒子径にもよるが、1〜25μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。メソフェーズ粒子の粒子径が小さすぎると、混合が困難となって内包されにくくなる場合がある。一方、粒子径が大きすぎると、メソフェーズ粒子とマトリクスである非晶質炭素の前駆体とが粗大化して粒度調整の際にメソフェーズ粒子の面が露出する確率が高くなる。これに対し、粒子径が上記範囲であれば、メソフェーズ粒子が内包されやすく単体の粒子が多く発生することが抑えられ、また、メソフェーズ粒子の面が露出する確率も低減できる。
なお、本発明において、メソフェーズ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
〔添加・混合〕
本発明の製造方法の一態様としては、まず、非晶質炭素の前駆体(以下、単に「前駆体」ともいう)にメソフェーズ粒子を添加混合するが、その方法としては特に限定されず、例えば、攪拌装置付きのオートクレーブを用いて、前駆体を加熱して流動状態とした後に、攪拌しながらメソフェーズ粒子を少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行う方法などが挙げられる。
混合するに際しては、溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、後工程で蒸発するものが好ましい。
このとき、メソフェーズ粒子の添加量としては、メソフェーズ粒子の形状にもよるが、上記前駆体に対して1〜70質量%であるのが好ましく、5〜50質量%がより好ましい。添加量が多すぎるとメソフェーズ粒子を全て内包できる確率が低くなり、少なすぎると真比重が向上しにくい場合がある。これに対し、添加量が上記範囲であれば、メソフェーズ粒子をほぼ全て内包できるため充電時の膨張収縮がより抑制され、また、真比重がより高くなる。
〔架橋処理〕
次に、架橋処理を施して架橋処理品(第1の架橋処理品)を得る。架橋処理を施す方法としては、例えば、エアーブローイング反応による方法;酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、エアーブローイング反応による方法が好ましい。
エアーブローイング反応は、例えば、加熱しながら、酸化性ガス(例えば、空気、酸素、オゾン、これらの混合物)を吹き込むことにより、軟化点を上昇させる反応である。エアーブローイング反応によれば、例えば200℃以上の高軟化点を有する架橋処理品(例えば、エアーブロンピッチ)を得ることができる。
なお、特許文献4によれば、エアーブローイング反応は、液相状態での反応であり、固相状態での架橋処理と比較して炭素材料中への酸素原子の取り込みが殆どないことが知られている。
また、エアーブローイング反応においては、酸化的脱水反応を主体とする反応が進行し、ビフェニル型の架橋結合により重合が進む。そして、その後の不融化、焼成(後述)によって、この架橋部分が支配的になった配向性のない三次元構造を有し、リチウムが吸蔵される空隙を数多く残存させた炭素粒子が得られるとされている。
エアーブローイング反応の条件は、特に限定されないが、温度が高すぎるとメソフェーズが発達し、低いと反応速度が遅くなるという理由から、反応温度としては、280〜420℃が好ましく、320〜380℃がより好ましい。また、酸化性ガスの吹き込み量としては、空気の場合ピッチ1000gあたり0.5〜10L/分が好ましく、1.0〜2L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
また、本発明の製造方法の別態様としては、まず、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して架橋処理品(第2の架橋処理品)を得てもよい。なお、架橋処理および添加混合の方法としては、上述した方法と同様の方法が挙げられる。
以下では、第1の架橋処理品と第2の架橋処理品とをまとめて単に「架橋処理品」ともいう。
このようにして得られる架橋処理品の軟化点としては、不融化処理のしやすさから、200〜400℃が好ましく、250〜350℃がより好ましい。
〔粉砕〕
得られた架橋処理品については、粉砕して、粒度調整するのが好ましい。粉砕の方法は特に限定されず従来公知の方法を用いることができる。また、粉砕後の平均粒子径としては、例えば、1〜50μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。なお、このような粉砕は、後述する不融化処理品に対して行なってもよい。
なお、本発明において、粉砕後の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
〔不融化処理〕
次に、適宜粉砕された架橋処理品に対して不融化処理を施して、不融化処理品を得る。不融化処理は、固相状態で行われる一種の架橋処理(酸化処理)であり、架橋処理品の中に酸素が取り込まれ、さらに架橋が進行することにより、高温で溶融し難くなる。
不融化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、酸化性ガスによる乾式法が好ましい。
不融化処理の処理温度としては、架橋処理品の軟化点以下を選択することが好ましい。また、バッチ式で行う場合の昇温速度は、融着をより防止する観点から、5〜100℃/時間が好ましく、10〜50℃/時間がより好ましい。
不融化処理におけるその他の処理条件は特に限定されないが、例えば、酸化性ガスの吹き込み量としては、空気の場合、原料1000gあたり1.0〜20L/分が好ましく、2.0〜10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
不融化処理によって得られる不融化処理品の酸素量としては、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
〔焼成〕
不融化処理の後、不融化処理品を、減圧または窒素等の不活性ガス雰囲気中において焼成することにより、炭素粒子を得る。このとき、昇温速度としては、50〜150℃/時間が好ましく、80〜120℃/時間がより好ましい。また、到達温度(焼成温度)は、1000〜1300℃が好ましく、1000〜1200℃がより好ましい。
なお、本発明においては、架橋処理品または不融化処理品に対して、メカノケミカル処理を施してもよい。これにより、粒子どうしがこすり合わされるため、焼成後に得られる粒子は、角がとれ丸みを帯びた形状となり、電極密度が向上し、プレス性がより優れることが期待できる。
すなわち、本発明の製造方法は、非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、上記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、上記不融化処理品に焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法であってもよい。
また、本発明の製造方法は、非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、上記第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、上記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、上記メカノケミカル処理品に焼成を行うことにより、粒子内に上記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、を備える非晶質炭素粒子の製造方法であってもよい。
メカノケミカル処理に用いる装置としては、架橋処理品および不融化処理品に圧縮力と剪断力とを同時に掛けることができる装置であれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノマイクロス(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)等の装置を使用できる。
これらのうち、回転速度差を利用して剪断力および圧縮力を同時に付加する装置、例えば、図3(a)および(b)に模式的機構を示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)が好ましい。図3に示す装置は、回転ドラム11、回転ドラム11と回転速度の異なる内部部材(インナーピース)12、ならびに、架橋処理品または不融化処理品13の循環機構14および排出機構15を有する。回転ドラム11と内部部材12との間に供給された架橋処理品または不融化処理品13に遠心力を付加しながら、内部部材12により回転ドラム11との速度差に起因する圧縮力と剪断力とを同時に繰返し付加することによりメカノケミカル処理を施すことができる。
また、図4に模式的機構を示すハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)を用いることもできる。図4に示す装置は、固定ドラム21、高速回転するローター22、架橋処理品または不融化処理品23の循環機構24および排出機構25、ブレード26、ステーター27、ならびに、ジャケット28を有する。架橋処理品または不融化処理品23を、固定ドラム21とローター22との間に供給し、固定ドラム21とローター22との速度差に起因する圧縮力と剪断力とを架橋処理品または不融化処理品23に付加することにより、メカノケミカル処理を施すことができる。
メカノケミカル処理の条件は、使用する装置によっても異なるため一概にはいえないが、下記の条件で処理を行えば、より角がとれ丸みを帯びた粒子形状となり、電極密度がより高くなる。
例えば、回転ドラムと内部部材とを備えた装置(図3参照)を用いる場合には、回転ドラムと内部部材との周速度差は、5〜50m/秒が好ましく、5〜30m/秒がより好ましい。両者間の距離は、1〜50mmが好ましく、1〜30mmがより好ましい。処理時間は、5〜60分が好ましく、20〜60分がより好ましい。
また、固定ドラムと高速回転ローターとを備える装置(図4参照)を用いる場合には、固定ドラムとローターとの周速度差は、10〜100m/秒が好ましく、50〜100m/秒がより好ましい。処理時間は、30秒〜5分が好ましく、2〜5分がより好ましい。
[非晶質炭素粒子]
本発明の非晶質炭素粒子は、例えば、上述した本発明の製造方法等によって得られるものであって、粒子内にメソフェーズ粒子を内包することによりメソフェーズ組織を内包する非晶質炭素粒子である。このとき、メソフェーズ粒子は完全に内包されていなくてもよく、メソフェーズ粒子の一部が非晶質炭素と接合(融合)していればよい。この接合面積が大きいほど本発明の効果がより優れる。
なお、非晶質炭素の前駆体を熱処理してメソフェーズ組織をあらかじめ発生させておいてから、上述した架橋処理等を施して得られたものも、本発明の非晶質炭素粒子に含まれる。
本発明の非晶質炭素粒子においては、非晶質炭素よりも真比重の高いメソフェーズ粒子(メソフェーズ組織)を内包することにより、粒子全体として真比重を高めて電極密度を向上させ、プレス性を良好にすることができる。なおかつ、メソフェーズ粒子をそのまま焼成したものでは、充放電時の膨張収縮が大であるが、非晶質炭素粒子内に内包させることによって、膨張を抑制できる。
そのため、車載用電池など、長期間にわたり充放電を繰り返すタイプの電池において、好適に用いることができる。
なお、このような本発明の非晶質炭素粒子は、架橋処理前の原料にメソフェーズ粒子を入れずに架橋後、不融化処理を施した後の不融化処理品にメソフェーズ粒子を添加混合してこれを焼成した場合には、得ることができない。
本発明の非晶質炭素粒子においては、メソフェーズ粒子(メソフェーズ組織)の含有量は、真比重がより高まり、かつ、膨張収縮がより抑制できるという理由から、1〜80質量%であるのが好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
本発明の非晶質炭素粒子の平均粒子径は、使用する電池の特性にもよるが、入出力特性向上の観点から、1〜25μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。内包するメソフェーズ粒子の露出が顕著にならない程度に調整することができる。
なお、本発明の非晶質炭素粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定したものである。
本発明の非晶質炭素粒子の比表面積は、電解液との反応性を抑制するという理由から、10m/g以下であるのが好ましい。なお、本発明において、比表面積は、窒素ガスの吸着によるBET法により求めたものである。
本発明の非晶質炭素粒子は、放電容量やサイクル寿命が優れるという理由から、X線回折における(002)面の平均格子面間隔d002(以下、単に「平均格子面間隔d002」ともいう)が、0.345nm以上であるのが好ましい。
なお、本発明において、平均格子面間隔d002とは、X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して非晶質炭素粒子の(002)面の回折ピークを測定し、そのピークの位置から算出するものである。算出方法は、学振法(日本学術振興会第17委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」[大谷杉郎、733−742頁(1986年3月)、近代編集社]に記載された方法である。
本発明の非晶質炭素粒子の真比重は、その値が高くなると電極密度がより向上するという理由から、1.600g/cm以上が好ましい。
なお、本発明において、真比重は、JIS R7222に従い、ブタノールを用いて、ピクノメーターによる液相置換法により求めたものである。
次に、本発明の非晶質炭素粒子を用いた負極材料として用いたリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう)について説明する。
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解液を主たる電池構成要素とし、正・負極はそれぞれリチウムイオンを吸蔵可能な層状やクラスター状の物質からなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の非晶質炭素粒子を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
〔負極〕
本発明の非晶質炭素粒子から負極を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法に準じて行うことができる。負極製造時には、本発明の非晶質炭素粒子に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが好ましく、通常、負極合剤全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。なお、本発明の非晶質炭素粒子以外の炭素粒子、黒鉛粒子が含まれていてもよい。
具体的には、例えば、本発明の非晶質炭素粒子を、結合剤と混合することによってペースト状の負極合剤塗料を調製し、この負極合剤を、通常、集電体の片面または両面に塗布することで負極合剤層を形成する。この際、塗料調製には通常の溶媒を用いることができる。負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状;メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状;等が挙げられる。集電体としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
〔正極〕
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムイオンをドープ/脱ドープし得るものを選択するのが好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそれらのリチウム含有化合物、一般式MMo8−y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭酸塩を添加することもできる。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1−pM(2)(式中Pは0≦P≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)、または、LiM(1)2−qM(2)(式中Qは0≦Q≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)で示される。ここで、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、Co、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが好ましい。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
このような正極材料を用いて正極を形成する方法としては、例えば、正極材料、結合剤および導電剤からなるペースト状の正極合剤塗料を集電体の片面または両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で例示したものを使用できる。導電剤としては、例えば、微粒の炭素材料、繊維状の炭素材料、黒鉛、カーボンブラックを使用できる。集電体の形状は特に限定されず、負極と同様の形状のものが用いられる。集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどを使用することができる。
上述した負極および正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を、適宜使用することができる。
〔電解質〕
電解質としては、LiPF、LiBFなどのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。
非水電解質は、液系の非水電解液であってもよいし、固体電解質やゲル電解質などの高分子電解質であってもよい。
液系の非水電解質液とする場合には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒を使用できる。
高分子電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子を含む。このマトリクス高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子などを単独または混合して用いることができ、なかでも、酸化還元安定性等の観点から、フッ素系高分子が好ましい。
高分子電解質に含有される可塑剤(非水電解液)を構成する電解質塩や非水溶媒としては、液系の電解液に使用できるものを使用できる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンの微多孔膜またはそれらを層構造としたものや不織布などのセパレータを使用する。ゲル電解質を用いることも可能である。この場合、例えば、本発明の非晶質炭素粒子を含有する負極、ゲル電解質、正極をこの順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、メソフェーズ粒子としてJFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:6μm)30gを、攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下でオートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約12μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
得られた炭素粉末を樹脂に埋め込み、断面を研磨して、該断面を偏光顕微鏡で観察した。図2は、実施例1で得られた炭素粒子の断面を示す偏光顕微鏡写真である。炭素粉末aの中に点在する微小部分bは光学的異方性を示し、それ以外の部分は光学的等方性を示した。この微小部分bは、添加したメソフェーズ粒子に由来するものと考えられる。
<実施例2および3>
実施例2および3では、使用したコールタールピッチおよびメソフェーズ粒子(メソカーボン小球体)を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、炭素粉末を得た。
<実施例4>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、攪拌しながら窒素気流下、オートクレーブで400℃まで昇温し、6時間反応させ、ピッチをバルクメソフェーズ化した。室温まで冷却して内容物を取り出した後、アトマイザーを用いて、平均粒子径3μmになるまで粉砕した。粉砕品であるバルクメソフェーズピッチは、キノリン不溶分が73質量%であった。さらに、断面を偏光顕微鏡で観察したところ、一部光学的等方性が見られるが、ほぼ全面が光学的異方性を示した。
メソフェーズ粒子として、メソカーボン小球体の粉砕品の代わりに、ここで得られたバルクメソフェーズピッチを用い、添加量を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素粉末を得た。
<実施例5>
実施例4で得たバルクメソフェーズピッチの添加量を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素粉末を得た。
<実施例6>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、攪拌しながら窒素気流下、オートクレーブで400℃まで昇温し、5時間反応させ、ピッチをバルクメソフェーズ化した。室温まで冷却して内容物を取り出した後、アトマイザーを用いて、平均粒子径3μmになるまで粉砕した。粉砕品であるバルクメソフェーズピッチのキノリン不溶分は、68質量%であった。
粉砕品を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で1時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。不融化処理を施したバルクメソフェーズピッチは、酸素量が4.8質量%であった。また、QIは99質量%であった。さらに、断面を偏光顕微鏡で観察したところ、一部光学的等方性が見られるが、ほぼ全面が光学的異方性を示した。
メソフェーズ粒子として、メソカーボン小球体の粉砕品の代わりに、ここで得られた不融化処理を施したバルクメソフェーズピッチを用い、添加量を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素粉末を得た。
<実施例7>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、JFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:3μm)30gを少量のコールタールピッチと混ぜて流動状態にしたものを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約9μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例8>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、メソフェーズ粒子としてJFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:6μm)60gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径を約12μmに粒度調整した。これを、図3に示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて、回転ドラムの周速を10m/秒としてメカノケミカル処理を行った。
得られたメカノケミカル処理品を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例9>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れて加熱し、流動状態とした後、メソフェーズ粒子としてJFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:6μm)60gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約12μmに粒度調整した。得られた粉体を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
この不融化処理品を、図3に示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて、回転ドラムの周速を10m/秒としてメカノケミカル処理を行った。
次に、メカノケミカル処理が施された不融化処理品(メカノケミカル処理品)100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例10>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、JFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:6μm)60gを少量のコールタールピッチと混ぜて流動状態にしたものを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約9μmに粒度調整した。これを、図3に示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて、回転ドラムの周速を10m/秒としてメカノケミカル処理を行った。
得られたメカノケミカル処理品の粉体を、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例11>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを入れ、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、JFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:6μm)60gを少量のコールタールピッチと混ぜて流動状態にしたものを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約10μmに粒度調整した。得られた粉体を回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
得られた不融化処理品を、図3に示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて、回転ドラムの周速を10m/秒としてメカノケミカル処理を行った。
次に、メカノケミカル処理が施された不融化処理品(メカノケミカル処理品)100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例12>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gおよび石炭系高沸点油200gを加熱し、流動状態とした後、メソフェーズ粒子としてJFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:9μm)300gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約20μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例13>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gおよび石炭系高沸点油200gを加熱し、流動状態とした後、実施例4で得られたバルクメソフェーズピッチ(平均粒子径:3μm)200gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約15μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた不融化処理品100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
<実施例14>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gおよび石炭系高沸点油200gを加熱し、流動状態とした後、実施例4で得られたバルクメソフェーズピッチ(平均粒子径:3μm)200gを攪拌しながら少しずつ添加し、均一になるまで攪拌を行なった。
攪拌後、窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量を下記第1表に示す。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径約17μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品の酸素量を下記第1表に示す。
得られた不融化処理品を、図3に示すメカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いて、回転ドラムの周速を10m/秒としてメカノケミカル処理を行った。
次に、メカノケミカル処理が施された不融化処理品(メカノケミカル処理品)100gを、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1130℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。
実施例1と同様にして、実施例2〜14で得られた炭素粉末の断面を偏光顕微鏡で観察したところ、図2と同様に、炭素粉末の中に光学的異方性を示す微小部分が点在する構造となっていた。
<比較例1>
比較例1では、コールタールピッチにメソフェーズ粒子を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、炭素粉末を得た。
<比較例2>
比較例2では、メソフェーズ粒子としてJFEケミカル社製メソカーボン小球体の粉砕品(平均粒子径:3μm)を、黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で昇温させ、1150℃で2時間の焼成を行い、メソフェーズ粒子焼成品(炭素粉末)を得た。
<比較例3>
比較例3では、比較例1と同様にして炭素粉末を得たが、後述する負極合剤ペーストを調製する際に、この炭素粉末100質量部に対して、比較例2で得られた炭素粉末10質量部を添加、混合したもの(以下、これを単に「炭素粉末」という)を負極材料として用いた。
<比較例4>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、コールタールピッチ(残炭率:60質量%、キノリン不溶分(QI):0.1質量%)1000gを加熱し、流動状態とした後、攪拌しながら窒素気流下、オートクレーブで320℃まで加熱した後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で5時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却して内容物を取り出した。得られた内容物の酸素量は1.0質量%であった。
次に、得られた内容物を、アトマイザーを用いて粉砕して、平均粒子径4μmに粒度調整した。これを、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持することにより不融化処理を施した後、放置冷却を行なった。得られた不融化処理品は、酸素量が7.4質量%であった。さらに、断面を偏光顕微鏡で観察したところ、全面が光学的等方性を示した。なお、得られた等方性の不融化処理品である炭素材料は、比較例1の中間品に相当する。
メソフェーズ粒子を添加する代わりに、上記方法によって得られた等方性の炭素材料を30g添加した以外は実施例1と同様に行い、炭素粉末を得た。
<評価>
(焼成後の炭素粉末の評価)
まず、各々の実施例および比較例において上記焼成により得られた炭素粉末について、平均粒子径(単位:μm)、比表面積(単位:m/g)、および、真比重(単位:g/cm)を、上述した方法によって測定した。結果を下記第1表に示す。
次に、各々の実施例および比較例で得られた炭素粉末を負極材料として用いて評価用のコイン型二次電池(図1参照)を作製し、各種の評価を行なった。
(負極合剤ペーストの調製)
まず、得られた炭素粉末を負極材料として、負極合剤ペーストを調製した。具体的には、プラネタリーミキサーに、炭素粉末(95質量部)と、ポリビニリデンジフルオライドのN−メチルピロリジノン12%溶液(固形分で5質量部)とを入れ、100rpmで15分間攪拌し、さらに、N−メチルピロリジノンを追加して固形分比60%となるように調整して引き続き15分間攪拌を行い、負極合剤ペーストを調製した。
(作用電極(負極)の作製)
調製した負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに送風乾燥機内に入れて100℃で溶媒を揮発させ、負極合剤層を形成した。次に、負極合剤層をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。なお、評価を行う前に、真空中100℃で8時間以上の乾燥を行なった。
(電極のプレス性(電極密度))
作製した作用電極について、一定面積を有する鏡面板どうしの間に挟み、ハンドプレス機を用いて250MPaの圧力を20秒間かけた後の電極密度(単位:g/cm)を求めた。電極密度は、負極合剤層の質量および厚さを測定し、計算により求めた。この電極密度が高いほど、プレス性に優れるものとして評価できる。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPFを1mol/dmとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
なお、セパレータ5および作用電極(負極)2(いずれも図1参照)は、あらかじめ非水電解液に浸して、液を含浸させた。
(評価電池の作製)
次に、作製した作用電極(負極)を用いて、図1に示す評価用のコイン型二次電池(単に「評価電池」ともいう)を作製した。図1は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
まず、リチウム金属箔をニッケルネットに押し付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、ニッケルネットからなる集電体7aに密着した、リチウム箔からなる円盤状の対極4を作製した。
次に、セパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極(負極)2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、作用電極2を外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、外装カップ1と外装缶3との周縁部を、絶縁ガスケット6を介してかしめ、密閉することにより、評価電池を作製した。
作製された評価電池においては、外装カップ1と外装缶3との周縁部が絶縁ガスケット6を介してかしめられ、密閉構造が形成されている。密閉構造の内部には、図1に示すように、外装缶3の内面から外装カップ1の内面に向けて順に、集電体7a、対極4、セパレータ5、作用電極(負極)2、および、集電体7bが積層されている。
(充放電試験)
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行なった。なお、本試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を「充電」、炭素粉末から脱ドープする過程を「放電」とした。
まず、0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から充電容量(「初回充電容量」ともいう)(単位:mAh/g)を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(「初回放電容量」ともいう)(単位:mAh/g)を求めた。これを第1サイクルとした。
(初回充放電効率)
上記充放電試験の結果から、次の式より、初回充放電効率(単位:%)を求めた。
初回充放電効率=(初回放電容量/初回充電容量)×100
(充電時膨張率)
作製した評価電池を、初回充電容量を求めた際の条件で充電した後、ショートしないように分解して、充電された状態での作用電極(負極)の厚さをマイクロメーターを用いて測定した。このとき、充電前の作用電極(負極)の厚さを事前に測定しておき、次の式から、充電時の膨張率(単位:%)を求めた。この値が小さいほど充放電時の膨張収縮が抑制されているものとして評価できる。
充電時膨張率=(充電状態の電極厚さ/充電前の電極厚さ)×100−100
上述のようにして求めた電極密度、初回放電容量、初回充放電効率、および、充電時膨張率の結果を、下記第2表に示す。
このような実施例1〜14と比較例1とを対比すると、実施例1〜14は、非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加しなかった比較例1と比べて、真比重の値が高く電極密度も向上しており、プレス性に優れることが分かった。
また、実施例1〜14と比較例3とを対比すると、比較例3は、電極密度等は比較的良好であるものの、充電時膨張率が高い結果であった。これは、比較例3では、メソフェーズ粒子の膨張率が高いために、加成性により膨張が大きくなったものと考えられる。
実施例1〜14と比較例4とを対比すると、実施例1〜14は、非晶質炭素の前駆体に光学的等方性の炭素材料を添加した比較例4と比べて、真比重の値が高く電極密度も向上しており、プレス性に優れることが分かった。
実施例1〜14では、メソフェーズ粒子が、架橋された非晶質炭素成分と融合しており、膨張が抑制され、低い充電時膨張率が得られたと考えられる。
1 外装カップ
2 作用電極(負極)
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a 集電体
7b 集電体
11 回転ドラム
12 内部部材(インナーピース)
13 架橋処理品または不融化処理品
14 循環機構
15 排出機構
21 固定ドラム
22 ローター
23 架橋処理品または不融化処理品
24 循環機構
25 排出機構
26 ブレード
27 ステーター
28 ジャケット
a 炭素粉末
b 微小部分

Claims (8)

  1. 非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
    前記第1または第2の架橋処理品を粉砕し、当該粉砕された第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施した後、焼成を行うことにより、粒子内に前記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
    を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
  2. 非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
    前記第1または第2の架橋処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
    前記メカノケミカル処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
    前記不融化処理品に焼成を行うことにより、粒子内に前記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
    を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
  3. 非晶質炭素の前駆体にメソフェーズ粒子を添加混合した後に架橋処理を施して第1の架橋処理品を得る、または、非晶質炭素の前駆体に架橋処理を施した後にメソフェーズ粒子を添加混合して第2の架橋処理品を得る工程と、
    前記第1または第2の架橋処理品を粉砕し、当該粉砕された第1または第2の架橋処理品に不融化処理を施して不融化処理品を得る不融化処理工程と、
    前記不融化処理品にメカノケミカル処理を施してメカノケミカル処理品を得るメカノケミカル処理工程と、
    前記メカノケミカル処理品に焼成を行うことにより、粒子内に前記メソフェーズ粒子を内包する非晶質炭素粒子を得る工程と、
    を備える非晶質炭素粒子の製造方法。
  4. 前記メソフェーズ粒子の添加量が、前記非晶質炭素の前駆体に対して1〜70質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の非晶質炭素粒子の製造方法。
  5. 粒子内にメソフェーズ組織を内包し、前記メソフェーズ組織の含有量が1〜80質量%であることを特徴とする、非晶質炭素粒子。
  6. 前記非晶質炭素粒子の真比重が1.600〜1.741g/cm 3 である、請求項5に記載の非晶質炭素粒子。
  7. 請求項5または6に記載の非晶質炭素粒子を含む、リチウムイオン二次電池用負極材料。
  8. 請求項5または6に記載の非晶質炭素粒子を負極材料として用いる、リチウムイオン二次電池。
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