JP2001345122A - 二次電源及び二次電源の製造方法 - Google Patents

二次電源及び二次電源の製造方法

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JP2001345122A JP2000164469A JP2000164469A JP2001345122A JP 2001345122 A JP2001345122 A JP 2001345122A JP 2000164469 A JP2000164469 A JP 2000164469A JP 2000164469 A JP2000164469 A JP 2000164469A JP 2001345122 A JP2001345122 A JP 2001345122A
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剛 森本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐電圧かつ高容量でエネルギー密度が高
く、高温での充放電サイクルの信頼性の高い二次電源、
及びその製造方法の提供。 【解決手段】 活性炭を含む正極と、リチウムイオンを
吸蔵・脱離しうる炭素を含む負極と、リチウムイオンを
含む有機電解液とを有する二次電源において、負極に含
まれる炭素をX線回折法で測定した〔002〕面の面間
隔0.334〜0.337nmの黒鉛系炭素を非晶質炭
素で被覆したものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐電圧が高く、容
量が大きく、高温での急速充放電サイクルの信頼性の高
い二次電源、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気二重層キャパシタの電極に
は、正極、負極ともに活性炭を主体とする分極性電極が
使用されている。電気二重層キャパシタの耐電圧は、水
系電解液を使用すると1.2V、有機系電解液を使用す
ると2.5〜3.3Vである。電気二重層キャパシタの
エネルギは耐電圧の2乗に比例するので、耐電圧の高い
有機電解液の方が水系電解液より高エネルギである。し
かし、有機電解液を使用した電気二重層キャパシタで
も、そのエネルギ密度は鉛蓄電池等の二次電池の1/1
0以下であり、さらなるエネルギ密度の向上が必要とさ
れている。
【0003】これに対し、特開昭64−14882号公
報には、活性炭を主体とする電極を正極とし、X線回折
法による〔002〕面の面間隔が0.338〜0.35
6nmである炭素材料にあらかじめリチウムイオンを吸
蔵させた電極を負極とする上限電圧3Vの二次電源が、
また、特開平8−107048号公報には、リチウムイ
オンを吸蔵、離脱しうる炭素材料にあらかじめ化学的方
法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵させた炭
素材料を負極に用いる電池が、さらに、特開平9−55
342号公報には、リチウムイオンを吸蔵、離脱しうる
炭素材料をリチウムと合金を形成しない多孔質集電体に
担持させる負極を有する、上限電圧4Vの二次電源が、
それぞれ提案されている。しかし、これらの二次電源
は、負極の炭素材料にあらかじめリチウムイオンを吸蔵
させる工程を必要とするという問題があった。
【0004】また、電気二重層キャパシタ以外に大電流
充放電可能な電源にはリチウムイオン電池がある。リチ
ウムイオン電池は電気二重層キャパシタに比べて高電圧
かつ高容量という特徴を有するが、抵抗が高く、急速充
放電サイクルによる寿命が電気二重層キャパシタに比べ
て著しく短いという問題があった。
【0005】さらに、正極に活性炭、負極に黒鉛系炭素
材料などのリチウムイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材
料、電解液にリチウムイオンを含む有機電解液を使用し
た二次電源では、正負極とも活性炭を主体とする電気二
重層キャパシタより高電圧を発現することが可能である
が、充放電時に負極ではリチウムイオンの炭素への吸
蔵、脱離反応という電気化学的反応が起こるため、それ
に伴う負極材料の劣化が見られる場合があった。特に、
X線回折法によって得られる〔002〕面の面間隔が
0.334〜0.337nmの黒鉛系炭素材料では、5
mA/cm2 以上の充放電電流での充放電の繰り返しに
よる容量変化が大きかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、X線
回折法によって得られる〔002〕面の面間隔が0.3
34〜0.337nmの黒鉛系炭素材料を負極に用いた
ときの5mA/cm2 以上の充放電電流での充放電サイ
クル後の容量変化率が大きいという問題を解決し、急速
充放電が可能で、高耐電圧かつ高容量で、エネルギ密度
が高い二次電源を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の構成を
採用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 活性炭を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵・脱離
しうる炭素を含む負極と、リチウムイオンを含む有機電
解液とを有する二次電源において、負極に含まれる炭素
がX線回折法で測定した〔002〕面の面間隔0.33
4〜0.337nmの黒鉛系炭素を非晶質炭素で被覆し
たものであることを特徴とする二次電源。
【0008】(2) 前記負極に含まれる炭素は、前記黒鉛
系炭素100質量部に対して非晶質炭素1.0〜10質
量部により被覆されたものであることを特徴とする前記
(1)記載の二次電源。 (3) 前記正極の活性炭がリチウム含有遷移金属酸化物を
含むことを特徴とする前記(1) 又は(2) 記載の二次電
源。 (4) 前記正極中のリチウム含有遷移金属酸化物の含有量
が、1〜30質量%であることを特徴とする前記(3) 記
載の二次電源。
【0009】(5) 前記(1) 〜(4) のいずれか1つに記載
の二次電源の製造方法であって、X線回折法で測定した
〔002〕面の面間隔が0.334〜0.337nmの
黒鉛系炭素表面に、有機化合物を化学蒸着法で析出さ
せ、600〜1300℃で熱処理して非晶質炭素を生成
し、得られた炭素を負極に含有させることを特徴とする
二次電源の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本明細書において、活性炭を含む
正極と集電体とを接合して一体化させたものを正極体と
いう。負極体についても同様の定義とする。また、二次
電池も電気二重層キャパシタも二次電源の1種である
が、本明細書では、正極に活性炭を含み、負極にリチウ
ムイオンを吸蔵・脱離しうる炭素を含む特定の構成の二
次電源を単に二次電源という。
【0011】本発明は、正極を活性炭とし、負極をリチ
ウムイオンを吸蔵・脱離しうる炭素を主体とする電極と
し、リチウム塩を含む有機電解液を用い、充電したとき
に正極ではアニオンの活性炭への吸着が起こり、負極で
はリチウムイオンを吸蔵・脱離しうる炭素に電解液中の
リチウムイオンが吸蔵される。本明細書では、吸着とは
充電時に電気二重層形成によるイオンの活性炭への吸着
をいい、吸蔵とは電荷移動を伴う反応をいう。また、放
電時に活性炭からイオンが離れることを脱着といい、電
荷移動を伴うものを脱離という。
【0012】本発明の二次電源は、X線回折法で測定し
た〔002〕面の面間隔(以下、単に「面間隔」とい
う)が0.334〜0.337nmの黒鉛系炭素表面を
非晶質炭素で被覆した炭素を負極として用い、正極は活
性炭を主体とし、電解液としてリチウムイオンを含む有
機電解質を用いる。この二次電源は、面間隔が0.33
4〜0.337nmの黒鉛系炭素表面を非晶質炭素で被
覆した負極を用いることにより、高温における充放電サ
イクル特性を向上させることができる。ここで、前記の
非晶質炭素とは、〔002〕面の面間隔が0.340〜
0.420nmの炭素をいう。なお、本発明の面間隔
は、X線回折装置(理学電機社製、RINT1000)
で測定し、X線回折強度の最も強い角度から算出した。
【0013】〔002〕面の面間隔が0.334〜0.
337nmの黒鉛系炭素表面をそのまま負極として用い
ると、充電初期に電解液が分解して、負極表面に被膜が
形成され、高温での充放電サイクルが繰り返されると、
被膜が厚くなると考えられ、それによって充放電サイク
ルの劣化が大きくなる。本発明では、同様の黒鉛系炭素
に非晶質炭素を被覆させた炭素を負極として用いること
により、黒鉛系炭素のみからなる負極ほど被膜ができ
ず、高温での充放電サイクル特性が向上するものと考え
られる。
【0014】本発明で使用する基材の黒鉛系炭素は、天
然黒鉛、人造黒鉛、石油系若しくは石炭系のピッチ若し
くはコークスを不活性雰囲気中で2500℃以上、好ま
しくは2600〜3000℃の範囲で熱処理した黒鉛系
炭素、又は六角網目構造中にホウ素を含有する黒鉛系炭
素など、面間隔が0.334〜0.337nmのものを
使用する。なお、面間隔が0.334nmを下回るもの
は現在存在せず、0.337nmを超えると初期のクー
ロン効率が低下するという不都合が生ずる。
【0015】本発明において黒鉛系炭素基材に非晶質炭
素被膜を形成するには、前記基材表面に有機化合物を化
学蒸着法によって析出させ熱処理して非晶質炭素被膜を
形成することができる。化学蒸着は、処理温度600〜
1300℃で、有機化合物気体と窒素やアルゴン等の不
活性ガスとの混合ガス雰囲気で2〜5時間熱処理するこ
とが望ましい。前記有機化合物としては、飽和炭化水
素、オレフィン、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン
などを挙げることができ、その中でもエチレン、プロピ
レン、イソプレン、エタノール、アセトン、ベンゼン、
スチレン、トルエン等がより好ましい。前記有機化合物
と不活性ガスとの体積比は5:95〜50:50の範囲
が望ましい。
【0016】前記の熱処理温度が600℃を下回ると、
表面に生成する非晶質炭素に水素原子が残り、初期のク
ローン効率が大幅に低下するので好ましくない。130
0℃を超えると、黒鉛系炭素基材の表面に非晶質炭素が
うまく固定できない。なお、熱処理温度の好ましい範囲
は700〜1100℃である。
【0017】黒鉛系炭素基材表面を被覆する非晶質炭素
は、黒鉛系炭素に対し1.0〜10質量%の範囲が好ま
しい。1.0質量%未満では非晶質炭素の被覆効果が小
さく、10質量%を超えると二次電源の容量が低下して
しまう。なお、非晶質炭素のより好ましい被覆量は3.
0〜8.0質量%である。
【0018】また、本発明の二次電源では、正極にリチ
ウム含有遷移金属酸化物を添加することが好ましい。こ
の場合、充電時に負極でおこる反応は、電解液中のリチ
ウムイオンと正極から脱離したリチウムイオンの吸蔵で
ある。正極に含まれるリチウム含有遷移金属酸化物とし
ては、V、Fe、Co、Mn、Ni、W及びZnからな
る群から選ばれる1種以上の遷移金属とリチウムとの複
合酸化物が好ましい。特に好ましいのは、Co、Mn及
びNiからなる群から選ばれる1種以上とリチウムとの
複合酸化物である。複合酸化物の具体例を示すと次のと
おりである。 Lix Coy Ni(1-y) 2 Liz Mn2 4 (ただし、0<x<2、0≦y≦1、0<z<2。)
【0019】正極中のリチウム含有遷移金属酸化物の配
合量は1〜30質量%が好ましい。1質量%未満である
と、初めの充電時に脱離されるリチウムイオンの量が、
負極で吸蔵できるリチウムイオンの量に対して充分では
なく、二次電源の電圧を高くできない。30質量%を超
えると、相対的に正極中の活性炭量が少なくなるため、
充放電サイクルにおける容量減少が大きくなる。より好
ましい範囲は5〜20質量%である。
【0020】正極に含まれる活性炭は、BET比表面積
が300〜3000m2 /gであることが好ましい。B
ET比表面積のより好ましい範囲は500〜2500m
2 /gである。活性炭の原料、賦活条件は限定されない
が、例えば原料として、やしがら、フェノール樹脂、石
油コークス等が挙げられ、賦活方法としては水蒸気賦活
法、溶融アルカリ賦活法等が挙げられる。
【0021】正極の抵抗を低くするために、電極中に導
電剤として導電性のカーボンブラックや黒鉛などを配合
することが好ましい。導電剤の配合量は、正極中に0.
1〜20質量%の範囲が適当である。導電剤の配合量の
好ましい範囲は5〜15質量%である。
【0022】正極体の作製方法としては、例えば活性炭
粉末と、リチウム含有遷移金属酸化物粉末と、導電剤と
してのカーボンブラックとからなる混合物に、バインダ
ーとしてポリテトラフルオロエチレンを添加し、混練し
た後シート状に成形して正極とした。この正極は集電体
に導電性接着剤を用いて固定する。また、バインダーと
してのポリフッ化ビニリデン、ポリアミドイミド、ポリ
イミド等を溶解したワニスに、活性炭粉末及びリチウム
含有遷移金属酸化物粉末、又は、活性炭粉末のみを分散
させ、この液をドクターブレード法等によって集電体上
に塗工し、乾燥して得てもよい。正極中に含まれるバイ
ンダーの量は、正極体の強度と容量等の特性とのバラン
スから1〜20質量%の範囲が適当である。また、負極
体の作製方法としては、例えば非晶質炭素により表面を
被覆された黒鉛系炭素に、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
アミドイミドなどのバインダーと溶媒を加えてペースト
化し、集電体上に塗布、乾燥するなどして得る。
【0023】本発明で使用する有機電解液は、カチオン
がリチウムイオン、アニオンがPF6 - 、BF4 - 、C
lO4 - 、N(CF3 SO2 2 - 、CF3 SO3 -
C(SO2 CF3 3 - 、AsF6 - 及びSbF6 -
群から選択された1種類以上からなり、溶媒がエチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカー
ボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、スルホラン及びジメト
キシエタンの群の中から選ばれる1種以上のものが好適
である。支持電解質は電気伝導度を高くするために、
0.5〜2mol/lに調整することが好ましい。
【0024】本発明で使用するセパレータの材質は、有
機電解液に不溶で一定の強度を有するものであればその
種類は問わない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、レーヨン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
フェニレンサルファイドなどが使用できる。その中で
も、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びレーヨンがコ
ストの面では有利であるが、耐熱性の面からはポリブチ
レンテレフタレート及びポリフェニレンサルファイドが
有利である。また、セパレータの形態は多孔質フィル
ム、不織布などが好適である。
【0025】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例におけるセル
の作製及び測定は、すべて露点が−60℃以下のアルゴ
ングローブボックス中で行った。セルの直径は10.8
mm、高さは1.7mmのコインセルを用いた。
【0026】〔実施例1〕正極体は、フェノール樹脂を
原料とし水蒸気賦活法によって得たBET比表面積20
00m2 /gの活性炭を70質量%、導電性カーボンブ
ラックを20質量%、及びバインダーとしてポリテトラ
フルオロエチレンを10質量%からなる混合物にエタノ
ールを加えて混練し圧延した後、200℃で2時間真空
乾燥して電極シートを得た。この電極シートは、ポリア
ミドイミドをバインダーとする導電性接着剤を用いてコ
インセルキャップに接着し、減圧下で300℃で2時間
熱処理し、実施例1の正極体とした。
【0027】負極体は、黒鉛系炭素として、2800℃
で熱処理された大阪ガス社製のメソカーボンマイクロビ
ーズ(MCMB、面間隔=0.336nm)を用い、8
00℃のベンゼン雰囲気中で化学蒸着法で処理して非晶
質炭素で析出させた。化学蒸着処理後の炭素の質量は
4.3%増加した。この非晶質炭素被覆MCMBと、導
電剤として2800℃で熱処理された気相成長炭素(V
GCF)を、バインダー成分であるポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)を溶解するN−メチル−2−ピロリドン
に分散させ、銅集電体に塗工、乾燥してコインセルケー
スに溶接して負極体を得た。負極の重量組成比は、非晶
質炭素被覆MCMB:VGCF:PVDF=7:1:2
とした。
【0028】ポリプロピレン製のセパレータを介し、
1.0mol/LのLiBF4 を含むエチルメチルカー
ボネートとエチレンカーボネート(体積比1:1)を電
解液としてコインセルを作製して初期容量を測定し、
4.2Vから2.75Vまでの間で45℃雰囲気で充放
電サイクルを1000回繰り返して容量を測定し、初期
との容量変化率を算出し、結果を表1に示した。
【0029】〔実施例2〕正極体は、実施例1と同様の
ものを用いた。負極には炭素六角網面にホウ素を2.0
質量%含有する黒鉛(面間隔=0.335nm)を用
い、実施例1と同様に非晶質炭素の被覆処理を行い負極
体を作製した。化学蒸着処理後の炭素の質量は3.9%
増加した。実施例1と同様の電解液及びセパレータを用
いてコインセルを作製して、実施例1と同様の試験を行
い、結果を表1に示した。
【0030】〔実施例3〕正極体は、実施例1と同様の
活性炭を63質量%、LiCoO2 を3質量%、導電性
カーボンブラックを20質量%、及び、バインダのポリ
テトラフルオロエチレンを10質量%とからなる混合物
をエタノールを加えて混練し圧延した後、200℃で2
時間真空乾燥して電極シートを得た。この電極シートは
ポリアミドイミドをバインダとする半導性接着剤を用い
てコインセルに接着し、減圧下で300℃で2時間熱処
理をして正極体を得た。負極体、電解液、セパレータは
実施例1と同様のものを用い、コインセルを作製して初
期容量を測定し、4.2Vと2.75Vの間で充放電サ
イクルを1000回繰り返して容量を測定し、初期との
容量変化率を算出し、結果を表1に示した。
【0031】〔比較例1〕正極体は、実施例1と同様の
ものを用いた。負極には2800℃で熱処理された大阪
ガス社製のメソカーボンマイクロビーズ(MCMB、面
間隔=0.336nm)をそのまま使用し、導電剤とし
て2800℃で処理した気相成長炭素(VGCF)と、
バインダ成分であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)
を溶解するN−メチル−2−ピロリドンに分散させ、銅
集電体に塗工、乾燥して負極体を得た。負極の重量組成
比は、MCMB:VGCF:PVDF=7:1:2とし
た。この負極体を用い、実施例1と同じ電解質とセパレ
ータを用いてコインセルを作製して、実施例1と同様の
試験を行い、結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】(評価)非晶質炭素で被覆していない黒鉛
系炭素の負極体を用いた比較例1のコインセルでは、初
期容量が0.306mAhと低く、容量変化率は−1
6.9%と大きな値を示した。一方、非晶質炭素で被覆
した黒鉛系炭素の負極体を用いた実施例1〜3のコイン
セルは、初期容量が0.311〜331mAhと大き
く、容量変化率は−10.7〜−5.8%と小さな値を
示した。また、前記試験において、4.2Vまで充電し
ても実施例のコインセルは、充放電サイクルによる劣化
が少なく、耐電圧を高く維持できることが分かった。
【0034】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、耐電圧が高く、容量が大きく、かつ高温での急速
充放電サイクル信頼性の高い二次電源を提供できるよう
になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 車 勇 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AK03 AK08 AL07 AL08 AM03 AM05 AM07 BJ03 BJ13 CJ02 CJ24 DJ17 DJ18 HJ01 HJ04 HJ13 HJ14 5H050 AA02 AA07 AA08 BA17 CA07 CA16 CB08 CB09 DA09 EA10 FA04 GA02 GA24 HA01 HA13 HA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭を含む正極と、リチウムイオンを
    吸蔵・脱離しうる炭素を含む負極と、リチウムイオンを
    含む有機電解液とを有する二次電源において、負極に含
    まれる炭素がX線回折法で測定した〔002〕面の面間
    隔0.334〜0.337nmの黒鉛系炭素を非晶質炭
    素で被覆したものであることを特徴とする二次電源。
  2. 【請求項2】 前記負極に含まれる炭素は、前記黒鉛系
    炭素100質量部に対して非晶質炭素1.0〜10質量
    部により被覆されたものであることを特徴とする請求項
    1記載の二次電源。
  3. 【請求項3】 前記正極の活性炭がリチウム含有遷移金
    属酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の
    二次電源。
  4. 【請求項4】 前記正極中のリチウム含有遷移金属酸化
    物の含有量が、1〜30質量%であることを特徴とする
    請求項3記載の二次電源。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の二
    次電源の製造方法であって、X線回折法で測定した〔0
    02〕面の面間隔が0.334〜0.337nmの黒鉛
    系炭素表面に、有機化合物を化学蒸着法で析出させ、6
    00〜1300℃で熱処理して非晶質炭素を生成し、得
    られた炭素を負極に含有させることを特徴とする二次電
    源の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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