JP2948097B2 - 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法 - Google Patents

二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法

Info

Publication number
JP2948097B2
JP2948097B2 JP6111707A JP11170794A JP2948097B2 JP 2948097 B2 JP2948097 B2 JP 2948097B2 JP 6111707 A JP6111707 A JP 6111707A JP 11170794 A JP11170794 A JP 11170794A JP 2948097 B2 JP2948097 B2 JP 2948097B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
secondary battery
aqueous solvent
graphite material
battery electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6111707A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07296814A (ja
Inventor
直弘 園部
二朗 増子
隆夫 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kureha Corp filed Critical Kureha Corp
Priority to JP6111707A priority Critical patent/JP2948097B2/ja
Priority to DE69407526T priority patent/DE69407526T2/de
Priority to EP94306238A priority patent/EP0646978B1/en
Priority to US08/295,066 priority patent/US5527643A/en
Priority to CA002131122A priority patent/CA2131122C/en
Publication of JPH07296814A publication Critical patent/JPH07296814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2948097B2 publication Critical patent/JP2948097B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池電極用黒鉛質
材料に関するものであり、さらに詳しくは高エネルギー
密度非水溶媒系二次電池の電極材料として好適な黒鉛質
材料およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】VTRや小型通信機器等の小型軽量化に
伴い、それらの電源として高エネルギー密度の二次電池
の要求が高まり、非水溶媒系リチウム二次電池が提案さ
れている(例えば、特開昭57−208079号公報、
特開昭62−90863号公報、特開昭62−1220
66号公報、特開平2−66856号公報参照)。これ
らは負極にリチウム金属を用いる代わりに、リチウムを
炭素へドープして使用することにより、デンドライトの
発生に伴う内部ショートの危険性を解消し、充放電サイ
クル特性、貯蔵安定性等を改良したものである。
【0003】ところで、高エネルギー密度の電池を作成
するには負極を構成する炭素材料が多くのリチウムをド
ープ・脱ドープできることが重要である。電池容積当た
りのエネルギー密度を高くするためには、単位重量当た
りの活物質のドープ・脱ドープ容量が大きい炭素材料を
使用し、できるだけ多量の炭素材料を電池の負極に充填
することが重要である。
【0004】上記公知技術においては、非水溶媒系リチ
ウム二次電池の負極用炭素材料として黒鉛、あるいは有
機材料を炭素化して得られる炭素質材料を用いるもので
ある。
【0005】黒鉛は真密度が2.27g/cm3 と大き
く、多量の炭素材料を負極に充填する点では有利であ
る。しかしながら、黒鉛にリチウムをドープすることに
より黒鉛層間化合物が形成されるが、c軸方向の結晶子
の大きさが大きいほどドープ・脱ドープにより結晶子に
繰り返し生じる歪みが大きく結晶の破壊が起き易い。そ
のためc軸方向の結晶子の大きな黒鉛構造の発達した黒
鉛質材料を用いて構成した二次電池は充放電の繰り返し
性能が劣る。また、黒鉛へのリチウムのドープ、脱ドー
プ反応は黒鉛のエッジ面より進行するが、a軸方向の結
晶子の大きさの大きな黒鉛質材料ではエッジ面が少ない
ためドープ、脱ドープ反応が遅い。そのため、このよう
な黒鉛質材料を使用した電池においては、急速な充放電
を行なおうとするとドープ容量や脱ドープ容量が急激に
減少したり、過電圧が高くなり電解液の分解が起り易い
という問題もある。
【0006】また、フェノール樹脂やフラン樹脂を炭素
化して得られる、いわゆる難黒鉛化性炭素材料では、、
単位重量当たりで高いドープ・脱ドープ容量が得られる
が、真密度が1.6g/cm3 程度と小さく、容積当た
りの重量が小さい。そのため、これらの難黒鉛化性炭素
材料を用いて負極を構成した二次電池では、必ずしも容
積当たりのエネルギー密度は高くならない。また、負極
炭素材料にドープされたチリウムが完全には脱ドープさ
れず、多量のリチウムが負極炭素材料中に残り、活物質
であるリチウムが無駄に消費されるという問題がある。
さらに、放電時の電位が放電量とともに低下するという
問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、真密度が大き
く、単位重量当たりのリチウムのドープ・脱ドープ容量
が大きく、ドープ容量と脱ドープ容量の差として求めら
れる活物質の不可逆容量が小さく、急速充放電による容
量低下が小さく、且つ放電曲線の平坦性に優れた高エネ
ルギー密度の二次電池を可能とする電極用黒鉛質材料及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、黒鉛質材
料の微細組織を適切に制御することにより、大きな充放
電容量を有し、急速充放電による容量低下が小さく、充
放電サイクル特性に優れ、不可逆容量の小さい(活物質
利用率の大きい)非水溶媒系二次電池を可能とする黒鉛
質材料が得られることを見出した。
【0009】すなわち、本発明の非水溶媒系二次電池電
極用黒鉛質材料は、粉末X線回折法により求めた(00
2)面の平均層面間隔(以下「d002 」と略記すること
がある。)が0.336〜0.350nm、c軸方向の
結晶子の大きさ(以下Lc(002) と略記することがあ
る。)が15nmを超え50nm以下、a軸方向の結晶
子の大きさ(以下「La(110) と略記することがあ
る。)が5〜50nmであり、偏光顕微鏡によって観察
される光学的異方性組織の構造が微細なモザイク(fi
ne mosaic)構造であることを特徴とするもの
である。
【0010】このような特性を有する黒鉛質材料は、石
油系又は石炭系のタール若しくはピッチに架橋処理を施
した後、減圧下又は不活性ガス雰囲気中で1800℃以
上で黒鉛化処理をすることによって製造することができ
る。
【0011】
【発明の具体的説明】本発明の黒鉛質材料が満たすべき
第1の特性は、X線回折法により求めた(002)面の
平均層面間隔d002 が0.336〜0.350nm、c
軸方向の結晶子の大きさLc(002) が15nmを超え5
0nm以下、a軸方向の結晶子の大きさLa(110) が5
〜50nmとなることである。Lc(002) が50nmを
超えるような黒鉛構造の発達した黒鉛質材料を負極材料
として用いた二次電池においては、活物質のドープ・脱
ドープによる黒鉛質物質の崩壊や電解液の分解が起り易
く、好ましくない。またLa(110) が50nmを超える
ような黒鉛質材料では、結晶子のエッジ部が少なくな
り、活物質のドープ、脱ドープ速度が遅くなるので好ま
しくない。また、d002 が0.350nmを超えるよう
な炭素質材料は、放電曲線の平坦性が悪化するので好ま
しくない。好ましくはd002 が0.336〜0.345
nm、Lc(002) が15nmを超え40nm以下、La
(110) が10〜50nm、更に好ましくはd002 が0.
337〜0.342nm、Lc(002)が20〜40n
m、La(110) が15〜50nmである。
【0012】本発明の黒鉛質材料が具備すべき第2の特
性は、黒鉛質材料を偏光顕微鏡によって観察したとき、
微細なモザイク構造の光学的異方性組織が観察されるこ
とである。
【0013】この様な構造の黒鉛質材料は、微細な結晶
子が無秩序に配列しており、結晶層間への活物質のドー
プ・脱ドープによる結晶の歪みが全体として等方的にな
り、活物質のドープ・脱ドープによる結晶の崩壊が抑制
される。この様な黒鉛質材料から構成した負極を備える
二次電池は良好な充放電サイクル特性を有する。光学的
異方性組織を構成する異方性単位の寸法は、好ましくは
10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
【0014】黒鉛質材料を用いて二次電池の電極を構成
する場合は、黒鉛質材料を100μm程度以下の微細な
粒子とした後、バインダーを加えて加圧成形したものを
集電体と電気的に接続する方法や、金属箔等の集電体の
表面に黒鉛質材料微粒子とバインダーとからなるペース
ト状の組成物を塗布した後、乾燥する等の方法が採用さ
れている。
【0015】従って、電池容積当たりのエネルギー密度
を高くするためには、黒鉛質材料の真密度が大きいほど
有利である。本発明の黒鉛質材料は、上記d002 、Lc
(002) 、La(110) で定まるように結晶構造を制御した
範囲内で、真密度が1.90g/cm3 以上、好ましく
は2.00g/cm3 以上、更に好ましくは2.10g
/cm3 以上であることが好ましい。
【0016】本発明の黒鉛質材料は、例えば以下の方法
により製造することができる。
【0017】すなわち、石油系または石炭系のタール若
しくはピッチに架橋処理を施した後、減圧下又は不活性
ガス雰囲気中で1800℃以上で黒鉛化処理を行なう。
【0018】タール又はピッチに対する架橋処理は、架
橋処理を行ったタール又はピッチを炭素化ならびに黒鉛
化して得られる黒鉛質材料の微細組織を制御する目的で
行うものである。本発明の方法は、この架橋処理による
架橋の度合い(架橋度)と、後の黒鉛化の条件との組み
合わせによって、得られる黒鉛質材料の微細組織を適切
に制御するものである。
【0019】架橋処理を施したタール又はピッチの架橋
度は、このタール又はピッチを、更に例えば窒素気流中
で1000℃で1時間熱処理して得た炭素質の試料を研
磨して、直交ニコル下で例えば1000倍の偏光顕微鏡
観察を行う架橋度判定法により知ることができる。観察
される光学的異方性組織は、架橋度が小さいときはいわ
ゆる流れ構造(例えば後述の比較例1で得られる黒鉛質
材料の偏光顕微鏡写真である図2参照)を示すが、架橋
度が大きくなると微細なモザイク構造(例えば後述の実
施例4で得られる黒鉛質材料の偏光顕微鏡写真である図
1参照)を示すようになる。架橋度の増大に伴い、観察
される光学的異方性組織の異方性単位の寸法が小さくな
り、遂には光学的異方性組織は観察されず、等方性(例
えば後述の比較例2で得られる炭素質材料の偏光顕微鏡
写真である図3参照)となる。架橋処理後に上述の方法
で観察される光学的異方性組織は、その後の熱処理温度
の高低によってはそれ程大きくは変化しない。従って、
最終的に炭素化ないし黒鉛化して得られた炭素または黒
鉛質材料の光学的異方性組織を観察することによって
も、炭素化処理前、すなわち架橋処理後のタール又はピ
ッチの架橋度の判定は可能である。熱処理温度が同一の
場合、架橋度の増大に伴って、一般に熱処理後に得られ
る炭素質材料のd002 は増大、Lc(002) およびLa
(110) は減少する。架橋度が同一の場合は、熱処理温度
の上昇に伴って、一般に得られる炭素質材料のd002
減少、Lc(002) およびLa(110) は増大する。
【0020】本発明の方法においては架橋処理は、上述
の架橋度判定法によって観察される炭素質材料の光学的
異方性組織が微細なモザイク構造の組織になる程度に行
い、等方化する以前に止めるものである。架橋処理は、
好ましくは微細モザイク状の光学的異方性組織を構成す
る異方性(モザイク)単位の寸法(長径基準)が10μ
m以下、更に好ましくは5μm以下になるように行う。
異方性単位の下限は、1000倍の偏光顕微鏡写真でモ
ザイク単位が充分確認でき、等方性相と区別できること
である。
【0021】本発明の製造方法においては、黒鉛質材料
の原料として、エチレン製造時に副生する石油系のター
ル及びピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、コ
ールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分やピッ
チ、石炭の液化により得られるタール及びピッチのよう
な石油系又は石炭系のタール若しくはピッチが使用でき
る。また、これらのタール及びピッチの2種以上を混合
して使用してもよい。
【0022】タール又はピッチに対する架橋処理は、タ
ール又はピッチに硝酸、硝酸アセチル、硫黄等を加えて
熱処理する方法、タール又はピッチを酸化剤を用いて酸
化する方法等によって行うことができる。酸化剤として
は、O2 、O3 、NO2 、これらを空気、窒素等で希釈
した混合ガス、又は空気等の酸化性気体、あるいは硫
酸、硝酸、過酸化水素水等の酸化性液体を用いることが
できる。
【0023】タール又は低軟化点のピッチに硝酸、硝酸
アセチル、硫黄等を加えて150〜400℃で熱処理し
て架橋処理を行う方法は、原料の炭化率を向上させる作
用も有し、原料からの炭素質材料の取得収率が向上する
ので好ましい方法である。
【0024】中でも硝酸を用いる方法は、均一な架橋反
応を行わせることができ、反応の制御も容易で好ましい
方法である。更に硝酸は安価であるため経済的にも有利
である。
【0025】硝酸を用いて架橋処理を行う場合、原料の
タール又はピッチに硝酸を添加し、撹拌しながら反応さ
せ、温度を徐々に上昇させ150〜450℃、好ましく
は300〜400℃に10分〜4時間程度保持して反応
させる。タール又はピッチに硝酸を添加すると発熱する
ので、反応の暴走を抑えるため、硝酸を徐々に添加し、
反応系を冷却し、温度を40℃以下に保って1〜3時間
程度反応させた後、昇温することが好ましい。反応の途
中又は反応終了後、反応系に存在する低沸点成分を蒸留
により除去することもできる。低沸点成分を除去するこ
とにより、この後に行われる炭素化・黒鉛化の工程で発
生する揮発分の量を低減し、炭素化・黒鉛化の装置の負
担の軽減、作業性の向上を図ることができる。
【0026】使用する硝酸の濃度は特に限定されないが
50〜68%程度が好ましい。硝酸の添加量は、使用す
るタール又はピッチの水素/炭素原子比(H/C)等に
より異なる。前述の架橋度判定法により適正な架橋度の
黒鉛質材料が得られるように、その使用量を増減するこ
とにより、その範囲をほぼ適正に決定することができ
る。
【0027】架橋処理の他の方法として、タール又は低
軟化点のピッチを蒸留、エアブローイングその他の方法
で処理したピッチを酸化剤で酸化する方法がある。この
場合ピッチを微粉状、繊維状又はフィルム状に成形した
後酸化する方法も採用され得るが、酸化を均一に又容易
に行うため、以下の方法によることが好ましい。
【0028】すなわち石油ピッチ、石炭ピッチ等のピッ
チに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環
の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した
後、成形しピッチ成形体を得る。次にピッチに対し低溶
解度を有しかつ添加剤に対して高溶解度を有する溶剤
で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去せしめ、多孔性
ピッチとした後、酸化剤を用いて酸化する方法である。
【0029】上記した芳香族添加剤の目的は、成形後の
ピッチ成形体から該添加剤を抽出除去せしめて成形体を
多孔質となし、酸化による架橋処理を容易にすることに
ある。このような添加剤は、例えばナフタレン、メチル
ナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレ
ン、メチルアントラセン、フェナンスレン、ビフェニル
等の1種又は2種以上の混合物から選択される。ピッチ
に対する添加量は、ピッチ100重量部に対し10〜5
0重量部の範囲が好ましい。
【0030】ピッチと添加剤の混合は、均一な混合を達
成するため、加熱し溶融状態で行う。ピッチと添加剤の
混合物は、添加剤を混合物から容易に抽出できるように
するため、粒径1mm以下の粒子に成形することが好ま
しい。成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷
却後粉砕する等の方法によってもよい。
【0031】ピッチと添加剤の混合物から添加剤を抽出
除去するための溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、ケロシン
等の脂肪族炭化水素主体の混合物、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール
類等が好適である。
【0032】このような溶剤でピッチと添加剤の混合物
成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形
状を維持したまま添加剤を成形体から除去することがで
きる。この際に成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、
均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推
定される。
【0033】このようにして得られた多孔性ピッチを、
上述の酸化剤を用いて酸化し、架橋処理を施す。酸化剤
としては、空気又は空気と他のガス例えば燃焼ガス等と
の混合ガスのような酸素を含むガスを用いて、120℃
〜300℃で架橋処理を行うことが簡便であり、経済的
にも有利である。この場合、ピッチの軟化点が低いと、
酸化時にピッチが溶融して酸化が困難となるので、使用
するピッチは軟化点が150℃以上であることが好まし
い。
【0034】架橋処理の程度は前述の架橋度判定法によ
るのが確実であるが、酸素を含むガスを用いて酸化する
場合は、目安として酸化処理後の多孔性ピッチの元素分
析による酸素含有量が1〜5%となるように酸化するこ
とが好ましい。
【0035】本発明の方法においては、黒鉛化処理は減
圧下又は不活性ガス雰囲気中で1800℃以上、好まし
くは2200℃以上、更に好ましくは2600℃以上で
行う。不活性ガスとしてはアルゴンガス、ヘリウムガス
等をあげることができる。
【0036】黒鉛化処理の温度は架橋度とのかねあいで
決定されるが、1800℃未満では黒鉛化が不十分であ
り好ましくない。
【0037】黒鉛化処理は、タール又はピッチに架橋処
理を施して得た架橋ピッチを連続的に黒鉛化処理温度ま
で昇温して行なうことも可能であるが、架橋ピッチを1
800℃以下、好ましくは800〜1200℃の温度で
焼成・炭素化を行なった後黒鉛化処理を行なうことが好
ましい。
【0038】微粉末状の黒鉛質材料が要求される場合
は、黒鉛化完了後に得られた黒鉛質材料を粉砕すること
も可能であるが、タール又はピッチに上述のようにして
架橋処理を施したもの(架橋ピッチ)を、黒鉛化に先立
ち更に不活性ガス雰囲気中で350〜700℃で熱処理
し重縮合を進めると同時に低沸点成分を除去し、揮発分
を15%以下とした炭素前駆体を得、これを平均粒径1
00μm以下、好ましくは50μm以下に粉砕した後炭
素化処理、黒鉛化処理を行なうことによって微粉末状の
黒鉛質材料を製造することができる。
【0039】炭素前駆体の揮発分を15%以下とするの
は、炭素化処理時に粉砕粒子の溶融や粉砕粒子同士の融
着が起るのを防止するためである。炭素前駆体の揮発分
は好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下であ
る。
【0040】炭素化前の炭素前駆体は、炭素化されたも
のに比べて、非常に粉砕が容易で粉砕機の摩耗等も少な
いので、炭素化前に粉砕する方法は非常に有利である。
また炭素前駆体の揮発分を少なくすることは、炭素化工
程でのタールや分解ガスの発生を少なくし、炭素化工程
の負荷が軽減されるので好ましい。
【0041】本発明の黒鉛質材料を用いて非水溶媒系二
次電池の電極を構成する場合には、黒鉛質材料を、必要
に応じて平均粒径約5〜100μmの微粒子とした後、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリエチレン等の非水溶媒に対して安定な結合剤によ
り、例えば、円形あるいは矩形の金属板等からなる導電
性の集電材に接着して厚さが例えば10〜200μmの
層を形成する等の方法により電極を製造する。結合剤の
好ましい添加量は、黒鉛質材料に対して1〜20重量%
である。結合剤の添加量が多すぎると、得られる電極の
電気抵抗が増大し、電池の内部抵抗が大きくなり電池特
性を低下させるので好ましくない。また結合剤の添加量
が少なすぎると、黒鉛質材料粒子相互及び集電材との結
合が不十分となり好ましくない。なお、上記は、比較的
小容量の二次電池についての値であるが、より大容量の
二次電池の形成のためには、上記黒鉛質微粒子と結合剤
の混合物をプレス成形等の方法により、より大なる厚さ
の成形体を製造し、これを集電材と電気的に接続する等
の方法も可能である。
【0042】本発明の黒鉛質材料は、その良好なドープ
特性を利用して、非水溶媒系二次電池の正極材料として
用いることも可能であるが、上述したように、非水溶媒
系二次電池の負極、特にリチウム二次電池の負極活物質
としてのリチウムのドープ用負極、の構成に用いること
が好ましい。
【0043】この場合、正極材料としては、LiCoO
2 、LiNiO2 、LiMnO4 等の複合金属カルコゲ
ン化物が好ましく、適当なバインダーと電極に導電性を
付与するための炭素材料とともに成形して、導電性の集
電材上に層形成される。
【0044】これら正極及び負極との組合せで用いられ
る非水溶媒型電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解
することにより形成される。非水溶媒としては、例えば
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシ
エタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テト
ラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スル
ホラン、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒の一種また
は二種以上を組合せて用いることが出来る。また電解質
としては、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、L
iCF3 SO3、LiAsF6 、LiCl、LiBr、
LiB(C6 5 4 、LiN(SO2CF3 2 等が
用いられる。
【0045】本発明の黒鉛質材料を用いて二次電池を構
成する場合は、非水溶媒としてエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエト
キシエタン等との混合溶媒が好ましく、電解質としては
LiPF6 、LiBF4 が好ましい。エチレンカーボネ
ートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPF6
LiBF4 又はこれらの両者を溶解させた非水溶媒型電
解液は二次電池の充放電の際の非水溶媒の分解が起こり
にくく特に好ましい。
【0046】二次電池は、一般に上記のようにして形成
した正極層と負極層とを、必要に応じて不織布、その他
の多孔質材料等からなる透液性セパレータを介して、対
向させ電解液中に浸漬することにより形成される。
【0047】
【作用及び効果】本発明では、タール又はピッチに架橋
処理を施した後、黒鉛化処理を行なって、得られる黒鉛
質材料の微細組織を適切に制御することにより、高密度
で、高い活物質のドープ・脱ドープ容量を有しながら、
ドープ容量と脱ドープ容量の差として求められる不可逆
容量が小さく、二次電池電極材料として適した黒鉛質材
料を得ることが可能となる。
【0048】また、黒鉛質材料の結晶子の大きさを制御
することにより、電極を形成した黒鉛質材料への活物質
のドープ、脱ドープ反応を容易にし、急速なドープ、脱
ドープに伴う容量低下が防止される。
【0049】さらに、黒鉛質材料の微細な異方性組織を
無秩序に配列させることにより電極への急速なドープ、
脱ドープ反応を可能にし、さらに活物質のドープ・脱ド
ープ時の結晶子の歪みを小さくし、かつ歪みの方向を分
散させ活物質のドープ・脱ドープによる黒鉛質材料の崩
壊が防止される。
【0050】従って、本発明の黒鉛質材料は、急速充放
電性に優れ、高エネルギー密度の非水溶媒系二次電池の
電極用黒鉛質材料として優れた特性を有するものであ
る。
【0051】なお、本明細書に記載する炭素ないし黒鉛
質材料のd002 、Lc(002) 、La(110) 、真密度、ピ
ッチの揮発分、軟化点の測定及び偏光顕微鏡観察は、以
下のようにして行った。
【0052】「黒鉛質材料のd002 、Lc(002) および
La(110) 」: 黒鉛質材料粉末をアルミニウム製試料セ
ルに充填し、グラファイトモノクロメーターにより単色
化したCuKα線(波長λ=0.15418nm)を線
源とし、反射式デフラクトメーター法によりX線回折図
形を得る。回折図形の補正には、ローレンツ偏光因子、
吸収因子、原子散乱因子等に関する補正を行わず、Kα
1 、Kα2 の2重線の補正のみをRachinger
の方法により行なった。(002)回折線のピーク位置
は、重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する
2θ値でピーク位置を求める方法)により求め、標準物
質用高純度シリコン粉末の(111)回折線を用いて補
正し、下記Braggの公式よりd002 を計算した。
【0053】Lc(002) は、炭素質試料の(002)回
折線の半値幅と標準物質用高純度シリコン粉末の(11
1)回折線の半値幅からAlexander曲線を用い
てβ1/2 を求め、下記Scherrerの式により計算
した。ここで、形状因子Kは、0.9とした。
【0054】La(110) は、炭素質試料の(110)回
折線の半値幅と標準物質用高純度シリコン粉末の(33
1)回折線の半値幅からAlexander曲線を用い
てβ1/2 を求め、下記Scherrerの式により計算
した。ここで、形状因子Kは、0.9とした。
【0055】 d002 =λ/(2・sinθ) (Braggの公式) L=K・λ/(β1/2 cosθ) (Scherrerの式) 「真密度」:真密度はJIS R7212に定められた
方法に従い、ブタノール法により測定した。
【0056】「揮発分」:揮発分はJIS R7212
に定められた方法に準じて測定を行った。ただし、試料
の加熱を800℃、30分間とした。
【0057】「軟化点」:島津製作所製高化式フローテ
スターを用い、250μm以下に粉砕された試料1gを
直径1mmのノズルを底部に有する断面積1cm2 のシ
リンダーに充填し、9.8N/cm2 (10kg/cm
2 )の加重を加えながら6℃/分の速度で昇温する。温
度の上昇に伴い粉体粒子が軟化し充填率が向上し、試料
粉体の体積は減少するが、ある温度以上では体積の減少
は停止する。さらに昇温を続けるとシリンダー下部のノ
ズルより試料が溶融して流出する。このときの試料粉体
の体積減少が停止する温度をその試料の軟化点と定義す
る。なお軟化点の高い試料においては、ノズルからの試
料の流出が起らない場合もある。
【0058】「偏光顕微鏡観察」:試料が粉末状の場合
は、液状エポキシ樹脂に10重量%程度の粉末試料を添
加し、よく混合した後シリコンゴム製の型枠(直径25
mm)に充填し、試料が粒状又は塊状の場合は、試料を
粒径数mmとした後上記型枠に充填した液状エポキシ樹
脂中に数個埋め込み、120℃で24時間保持してエポ
キシ樹脂を硬化させた後、試料が表面に出るように適当
な位置で硬化エポキシ樹脂を切断し切断面を研磨し、直
交ニコル下1000倍で偏光顕微鏡観察を行った。
【0059】光学的異方性組織を構成する異方性単位の
寸法が「Aμm以下」との表現は、上記の偏光顕微鏡観
察によって黒鉛質材料試料の重複しない任意の10領域
を観察し、観察視野中で、異方性単位の寸法の最大の部
分がAμm以上である異方性単位の合計面積が黒鉛質材
料の全面積に占める割合が10%以下となるような光学
的異方性組織中の異方性単位寸法を意味するものであ
る。
【0060】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
更に詳細に説明する。
【0061】(実施例1)撹拌機付の内容積20リット
ルの反応器に、残留炭素分14.1%、密度1.09g
/cm3 のエチレンボトムオイル15kgを仕込み、撹
拌しながら冷却し温度を40℃以下に保ち、61%硝酸
2kgを添加し2時間反応させた。次に、80℃で1時
間保持したのち、100℃/毎時で380℃まで昇温
し、380℃で2時間反応させたのち冷却して、架橋ピ
ッチを得た。
【0062】この架橋ピッチの収率は、原料のエチレン
ボトムオイルに対して36.1%であった。
【0063】この架橋ピッチは軟化点284℃、揮発分
28.3%、酸素含有量0.5%、窒素含有量1.3
%、H/C原子比0.63であった。
【0064】この架橋ピッチを、窒素気流中で600℃
で1時間熱処理した後、冷却、粉砕し、平均粒径25μ
mの炭素前駆体微粒子を得た。この炭素前駆体微粒子を
窒素気流中で1000℃で1時間炭素化し、さらに、A
r気流中で2800℃で1時間黒鉛化処理し黒鉛質材料
を得た。
【0065】得られた黒鉛質材料の特性を後記の表1に
示す。
【0066】(実施例2)軟化点210℃、キノリン不
溶分1重量%、H/C原子比0.63%の石油系ピッチ
68kgとナフタレン32kgとを、撹拌翼のついた内
容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃に加
熱し溶解混合した後、80〜90℃に冷却して押し出
し、直径が約500μmの紐状成形体を得た。ついで、
この紐状成形体を直径と長さの比が約1.5となるよう
に粉砕し、得られた粉砕物を90℃に加熱した0.53
%ポリビニルアルコール(ケン化度88%)水溶液中に
投下し、撹拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体を得
た。大部分の水を濾過により除いたのち、球状ピッチ成
形体の約6倍量の重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中
のナフタレンを抽出除去した。
【0067】このようにして得られた球状ピッチ多孔体
を加熱空気を通じながら165℃で1時間保持して酸化
処理を行い、酸化ピッチを得た。
【0068】この酸化ピッチの酸素含有率は2%であっ
た。
【0069】この酸化ピッチを、窒素雰囲気中、480
℃で1時間熱処理して揮発分が4.7%の炭素前駆体を
得た。この炭素前駆体を粉砕し、平均粒子径が約25μ
mの炭素前駆体微粒子とした。
【0070】次に、この炭素前駆体微粒子を窒素気流中
で1000℃で1時間炭素化し、さらに、Ar気流中で
2000℃で1時間黒鉛化処理し黒鉛質材料を得た。
【0071】得られた黒鉛質材料の特性を後記表1に示
す。
【0072】(実施例3〜5)黒鉛化処理温度をそれぞ
れ2400℃(実施例3)、2800℃(実施例4)お
よび3000℃(実施例5)とした以外は実施例2と同
様にしてそれぞれ黒鉛質材料を得た。
【0073】得られたこれらの黒鉛質材料の特性を後記
表1に示す。
【0074】上記実施例1〜5で得られた黒鉛質材料
は、偏光顕微鏡観察の結果、いずれも微細モザイク状の
光学的異方性組織を示した。代表的に、実施例4による
黒鉛質材料の偏光顕微鏡写真(1000倍)を図1に示
す。
【0075】(比較例1)実施例2で使用した石油ピッ
チを窒素気流中で600℃で1時間熱処理した後、冷
却、粉砕し平均粒径が25μmの炭素前駆体微粒子を得
た。この炭素前駆体微粒子を窒素気流中で1000℃で
1時間炭素化し、さらに、Ar気流中2800℃で1時
間黒鉛化処理し炭素材料を得た。
【0076】得られた炭素材料の特性を後記表1に示
す。
【0077】この炭素材料を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、偏光顕微鏡写真(1000倍)を図2に示すように
光学的異方性組織はモザイク構造を示さず、流れ構造を
示した。
【0078】(比較例2)実施例2で得た球状ピッチ多
孔体を加熱空気を通じながら260℃で1時間保持して
酸化処理を行い、酸化ピッチを得た。
【0079】この酸化ピッチの酸素含有率は16%であ
った。
【0080】この酸化ピッチを、窒素雰囲気中、600
℃で1時間熱処理したのち、粉砕し、平均粒子径が約2
5μmの炭素前駆体微粒子とした。つぎに、この炭素前
駆体微粒子を窒素気流中で1200℃で1時間炭素化
し、さらに、Ar気流中で2800℃で1時間黒鉛化処
理し炭素材料を得た。
【0081】この炭素材料を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、偏光顕微鏡写真(1000倍)を図3に示すように
光学的異方性組織はモザイク構造を示さず、光学的に等
方性を示した。
【0082】この炭素材料の特性を後記表1に示す。
【0083】(比較例3)平均重合度700のポリ塩化
ビニル(PVC)を比較例1と同様に処理して炭素材料
を得た。
【0084】この炭素材料を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、光学的異方性組織はモザイク構造を示さず、流れ構
造を示した。
【0085】この炭素材料の特性を後記表1に示す。
【0086】(比較例4)ポリ塩化ビニリデン(PVD
C)を比較例1と同様に処理して炭素材料を得た。この
炭素材料を偏光顕微鏡で観察したところ、偏光顕微鏡写
真(1000倍)を図4に示すように光学的異方性組織
はモザイク構造を示さず等方性を示した。
【0087】この炭素材料の特性を後記表1に示す。
【0088】(比較例5)フェノール47.1gに37
%のフォルマリン121.6gを加え60℃に加熱、撹
拌したのち、29%アンモニア水3.8gを滴下し、そ
の後80℃で6時間反応させた。つぎに、これを室温ま
で冷却したのち、6.4gの乳酸を添加し反応液を中和
し飴状の初期縮合物を得た。初期縮合物は、150℃で
12時間縮合させレゾール型レジンとした。このレジン
を窒素気流中500℃で1時間予備焼成し炭素前駆体と
したのち、粉砕し平均粒径25μmの炭素前駆体微粒子
を得た。つぎに、この炭素前駆体微粒子を窒素気流中で
1000℃で1時間炭素化し、さらに、Ar気流中で2
800℃で1時間黒鉛化処理し炭素材料を得た。
【0089】この炭素材料を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、光学的異方性組織は観察されず、等方的であった。
【0090】この炭素材料の特性を後記表1に示す。
【0091】(比較例6)マダガスカル産鱗片状天然黒
鉛(日本黒鉛商事(株)CP)を用いた。
【0092】この天然黒鉛は固定炭素分が97%、灰分
が2%、揮発分が1%、平均粒径7μmである。この天
然黒鉛の特性を後記表1に示す。
【0093】(活物質のドープ・脱ドープ試験)上記実
施例及び比較例で得られた各炭素材料を用いて、以下の
ようにして非水溶媒系二次電池を作成し、その特性を評
価した。
【0094】本発明の黒鉛質材料は非水溶媒二次電池の
負極として用いるのに適しているが、本発明の効果であ
る電池活物質のドープ容量、脱ドープ容量及び脱ドープ
されずに黒鉛質材料中に残存する量(不可逆容量)を、
対極の性能のバラツキに影響されることなく精度良く評
価するために、特性の安定した大過剰のリチウム金属を
対極(負極)とし、上記で得られた黒鉛質材料を正極と
するリチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。
【0095】すなわち正極(炭素ないし黒鉛質材料電
極)は以下のようにして製造した。上記のようにして製
造した微粒子状炭素ないし黒鉛質材料を90重量部、ポ
リフッ化ビニリデン10重量部に、N−メチル−2−ピ
ロリドンを加えてペースト状とし、銅箔上に均一に塗布
し、乾燥した後、銅箔より剥離させ直径21mmの円板
状に打ち抜く。これを直径21mmのステンレススチー
ル網円板にプレスにより加圧して圧着し正極とした。な
お正極中の炭素材料の量は約40mgになるように調整
した。
【0096】負極には、厚さ1mmの金属リチウム薄板
を直径21mmの円板状に打ち抜いたものを使用した。
【0097】このようにして製造した正極及び負極を用
い、電解液としてはエチレンカーボネートとジエチルカ
ーボネートを容量比で1:1で混合した混合溶媒に1モ
ル/リットルの割合でLiPF6 を加えたものを使用
し、ポリプロピレン製微細孔膜をセパレータとし非水溶
媒系リチウム二次電池を構成した。
【0098】このような構成のリチウム二次電池におい
て炭素材料にリチウムのドーピング、脱ドーピングを行
いそのときの容量を求めた。
【0099】ドーピングは、端子電圧が10mVに到達
するまでは、1.0mA/cm2 の定電流密度で行い、
端子電圧が10mVに到達した後は、端子電圧10mV
の定電圧で行った。ドーピングのための通電時間は10
時間とした。このときの電気量を使用した炭素材料の重
量で除した値をドープ容量と定義し、mAh/gの単位
で表わした。
【0100】次に同様にして逆方向に電流を流し炭素材
料にドープされたリチウムを脱ドープした。脱ドーピン
グは、1.0mA/cm2 の定電流密度で端子電圧が
3.0Vに達するまで行った。この時の電気量を使用し
た炭素材料の重量で除した値を脱ドープ容量と定義し、
mAh/gの単位で表わした。
【0101】次いでドープ容量と脱ドープ容量との差と
して不可逆容量を求めた。脱ドープ容量をドープ容量で
除した値に100を乗じて、放電効率(%)を求めた。
これは活物質がどれだけ有効に使用されたかを示す値で
ある。
【0102】以上のようにして求めた各炭素材料を正極
としたリチウム二次電池の電池特性を後記表2に示す。
また、各ドープ容量、脱ドープ容量にそれぞれの炭素材
料の真密度を乗じて求めた体積当たりの容量(mAh/
cm3 の単位で表わす。)もあわせて表2に示す。
【0103】表2から本発明の実施例で得られた黒鉛質
材料を使用した二次電池は比較例2、3、4、5および
6で得た炭素材料を使用した電池と比較しドープ、脱ド
ープ容量がともに大きく、かつ不可逆容量が小さいこと
が分かる。
【0104】比較例2、4及び5で得られる炭素材料は
表1から明らかなように難黒鉛化性炭素であり、これら
を使用した二次電池では、電極材料の真密度が小さく体
積当たりの容量という観点からも不利であることが分か
る(表2参照)。
【0105】比較例6の天然黒鉛を使用した二次電池で
は、不可逆容量が大きいが、これは天然黒鉛の結晶子が
あまりにも大きいためリチウムが黒鉛層間へは挿入され
にくく、過電圧による電解液の分解に消費された電気量
が不可逆容量として観測されたためと考えられる。
【0106】(急速充放電試験)次に本発明及び比較例
で得られた炭素材料を正極とした二次電池の急速充放電
試験を以下の方法で行った。
【0107】炭素材料としては、実施例4で得られた黒
鉛質材料及びLc(002) 、La(110) の大きな黒鉛構造
の発達した比較例1、3及び6で得られた炭素材料を使
用して上述のドープ・脱ドープ試験と同様のリチウム二
次電池を構成し比較試験を行った。
【0108】各電池について、電流密度を0.5mA/
cm2 、1mA/cm2 、2mA/cm2 、3mA/c
2 と変化させてドーピング・脱ドーピングを行った。
【0109】ドーピングは、端子電圧が10mVに到達
するまでは、上記の所定の定電流密度(初期電流密度)
でドーピングを行い、端子電圧が10mVに到達した後
は、端子電圧10mVの定電圧でドーピングを行った。
ドーピング時間は、初期電流密度をXmA/cm2
し、ドーピング時間をY時間としたときXとYの積が1
0となるように設定した。脱ドーピングはドーピング時
の初期電流密度と同一の電流密度で行い、端子電圧が
1.5Vに到達した時を終点とした。
【0110】1回目のドーピング・脱ドーピングを行っ
た際の脱ドープ容量と初期電流密度の関係を図5に示
す。
【0111】表1及び図5を参照すると、本発明の実施
例で得られた偏光顕微鏡によって観察される光学的異方
性組織の構造が微細なモザイク構造を示す黒鉛質材料を
使用した二次電池は、比較例1、3及び6で得られるL
(002) 、La(110) の大きな炭素材料を使用した電池
と比較して高い電流密度で充放電した際の脱ドープ容量
が大きく、急速充放電が可能なことが分かる。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例4で得られる黒鉛質材料の偏光
顕微鏡写真(1000倍)である。
【図2】比較例1で得られる炭素材料の偏光顕微鏡写真
(1000倍)である。
【図3】比較例2で得られる炭素材料の偏光顕微鏡写真
(1000倍)である。
【図4】比較例4で得られる炭素材料の偏光顕微鏡写真
(1000倍)である。
【図5】本発明及び比較例により得られる炭素材料を正
極とした二次電池の電流密度と脱ドープ容量の関係を示
す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−13078(JP,A) 特開 平7−130360(JP,A) 特開 平7−85861(JP,A) 特開 平6−333564(JP,A) 特開 平6−290781(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/58 H01M 4/02 H01M 10/40

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線回折法により求めた(002)面の
    平均層面間隔d002が0.336〜0.350nm、c
    軸方向の結晶子の大きさLc(002)が15nmを超え5
    0nm以下、a軸方向の結晶子の大きさLa(110)が5
    〜50nmであり、1000倍の偏光顕微鏡写真観察
    より微細なモザイク状の光学的異方性組織が確認され且
    つ該光学的異方性組織を構成する異方性(モザイク)単
    位の長径基準の実寸法が10μm以下であることを特徴
    とする非水溶媒系二次電池電極用黒鉛質材料。
  2. 【請求項2】 真密度が1.90g/cm3以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の非水溶媒系二次電池
    電極用黒鉛質材料。
  3. 【請求項3】 石油系又は石炭系のタール若しくはピッ
    チに架橋処理を施した後、減圧下又は不活性ガス雰囲気
    中で1800℃以上で黒鉛化処理をすることを特徴とす
    る、X線回折法により求めた(002)面の平均層面間
    隔d002が0.336〜0.350nm、c軸方向の結
    晶子の大きさLc(002)が15nmを超え50nm以
    下、a軸方向の結晶子の大きさLa(110)が5〜50n
    mであり、1000倍の偏光顕微鏡写真観察により微細
    なモザイク状の光学的異方性組織が確認され且つ該光学
    的異方性組織を構成する異方性(モザイク)単位の長径
    基準の実寸法が10μm以下である非水溶媒系二次電池
    電極用黒鉛質材料の製造法。
  4. 【請求項4】 石油系又は石炭系のタール若しくはピッ
    チに、硝酸を添加して架橋処理を施すことを特徴とする
    請求項3に記載の非水溶媒系二次電池電極用黒鉛質材料
    の製造法。
  5. 【請求項5】 石油系又は石炭系のピッチに対し、添加
    剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物
    の1種又は2種以上を加えて加熱混合した後、成形しピ
    ッチ成形体を得、次にピッチに対し低溶解度を有しかつ
    添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体
    から添加剤を抽出除去し、得られた多孔性ピッチを酸化
    し架橋処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の非
    水溶媒系二次電池電極用黒鉛質材料の製造法。
  6. 【請求項6】 多孔性ピッチを酸素を含むガスで酸化し
    て架橋処理を施すことを特徴とする請求項5に記載の非
    水溶媒系二次電池電極用黒鉛質材料の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の黒鉛質材料からなる負
    極を有する非水溶媒系二次電池。
  8. 【請求項8】 エチレンカーボネートとジエチルカーボ
    ネートの混合溶媒に、LiPF 6 、LiBF4又はこれら
    の両者を溶解してなる液を電解液として用いる請求項7
    の非水溶媒系二次電池。
JP6111707A 1993-09-03 1994-04-28 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法 Expired - Fee Related JP2948097B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6111707A JP2948097B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法
DE69407526T DE69407526T2 (de) 1993-09-03 1994-08-24 Kohlenstoffhaltiges Elektrodenmaterial für Sekundärbatterie, sowie Verfahren zu seiner Herstellung
EP94306238A EP0646978B1 (en) 1993-09-03 1994-08-24 Carbonaceous electrode material for secondary battery and process for production thereof
US08/295,066 US5527643A (en) 1993-09-03 1994-08-26 Carbonaceous electrode material for secondary battery and process for production thereof
CA002131122A CA2131122C (en) 1993-09-03 1994-08-30 Carbonaceous electrode material for secondary battery and process for production thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6111707A JP2948097B2 (ja) 1994-04-28 1994-04-28 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07296814A JPH07296814A (ja) 1995-11-10
JP2948097B2 true JP2948097B2 (ja) 1999-09-13

Family

ID=14568122

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6111707A Expired - Fee Related JP2948097B2 (ja) 1993-09-03 1994-04-28 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2948097B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6344296B1 (en) 1996-08-08 2002-02-05 Hitachi Chemical Company, Ltd. Graphite particles and lithium secondary battery using the same as negative electrode
KR100269918B1 (ko) 1997-08-28 2000-10-16 김순택 리튬 계열 이차 전지의 음극용 활물질 및 그의 제조 방법
US6316146B1 (en) 1998-01-09 2001-11-13 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Carbon materials for negative electrode of secondary battery and manufacturing process
US6673492B2 (en) 2000-05-26 2004-01-06 Ube Industries, Ltd. Electrode material for a secondary cell and its production process
WO2004034491A1 (ja) * 2002-10-11 2004-04-22 Fdk Corporation 非水電解質二次電池、及びこの非水電解二次電池に用いる正極の製造方法
TWI440248B (zh) * 2009-01-21 2014-06-01 Kureha Corp Production method of negative electrode material for nonaqueous electrolyte secondary battery
WO2012132173A1 (ja) * 2011-03-29 2012-10-04 株式会社豊田自動織機 非水電解質二次電池および車両
US10504635B2 (en) * 2013-02-19 2019-12-10 Kuraray Co., Ltd. Carbonaceous material for nonaqueous electrolyte secondary battery negative electrode
KR101790400B1 (ko) 2013-12-20 2017-10-25 주식회사 엘지화학 음극 활물질 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
WO2015093894A1 (ko) * 2013-12-20 2015-06-25 주식회사 엘지화학 음극 활물질 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
JP2021068491A (ja) * 2018-01-30 2021-04-30 昭和電工株式会社 黒鉛材料、その製造方法及びその用途
CN115472827A (zh) * 2021-06-10 2022-12-13 国家能源投资集团有限责任公司 煤基石墨负极材料及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07296814A (ja) 1995-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3502669B2 (ja) 二次電池電極用炭素質材料およびその製造法
JP4215633B2 (ja) 複合黒鉛粒子の製造方法
US5527643A (en) Carbonaceous electrode material for secondary battery and process for production thereof
JP6535467B2 (ja) リチウムイオン二次電池負極活物質用黒鉛粉
JPH07320740A (ja) 二次電池電極用炭素質材料
JP3803866B2 (ja) 二次電池用の二層炭素材料及びそれを用いたリチウム二次電池
US20150024277A1 (en) Carbonaceous material for non-aqueous electrolyte secondary battery
JP3633257B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP3276983B2 (ja) リチウム二次電池用負極材料とその製造方法
JPH11199211A (ja) 黒鉛粒子、その製造法、リチウム二次電池及びその負極
JP3568563B2 (ja) 二次電池電極用炭素質材料およびその製造法
JP2948097B2 (ja) 二次電池電極用黒鉛質材料およびその製造法
WO2016021736A1 (ja) 非水電解質二次電池負極用炭素質材料
JP4045438B2 (ja) 二次電池用の二層炭素材料及びそれを用いたリチウム二次電池
JP3496901B2 (ja) 二次電池電極用炭素質材料
US5910383A (en) Production process of carbonaceous material and battery
JPH0992284A (ja) 二次電池電極用黒鉛質材料及びその製造方法並びに二次電池
EP3131144A1 (en) Carbonaceous material for negative electrodes of nonaqueous electrolyte secondary batteries, negative electrode for nonaqueous electrolyte secondary batteries, nonaqueous electrolyte secondary battery and vehicle
JP3645063B2 (ja) 電池用黒鉛質材料の製造方法及び電池
JP3223144B2 (ja) 炭素質材料の製造方法及び電池
JP2000260428A (ja) 非水系炭素被覆負極を用いたリチウム二次電池
JP2001006670A (ja) バルクメソフェーズおよびその製造方法
JPH08306359A (ja) リチウム二次電池用負極材料とその製造方法
JPH11343109A (ja) 炭素材料およびその製造方法、リチウム二次電池用負極並びにリチウム二次電池
JP3633094B2 (ja) リチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080702

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080702

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090702

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100702

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110702

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110702

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120702

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees