JP2021068491A - 黒鉛材料、その製造方法及びその用途 - Google Patents

黒鉛材料、その製造方法及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】高いエネルギー密度を維持したまま低温での入出力特性、高温での充放電サイクル容量維持特性と、低温での動作に有効なPC(プロピレンカーボネート)電解液耐性を備えた電池電極を得ることができる電池電極用黒鉛材料とその製造方法の提供。【解決手段】粉末XRD測定から得られる黒鉛結晶の(002)面の平均面間隔d002が0.3354nm以上、0.3370nm以下、(112)回折線の結晶子の大きさLc(112)が3.0nm以上、6.0nm以下、(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004が0.30以上0.67以下、アルゴンイオンレーザーによるラマン分光測定にピーク強度IDと、ピーク強度IGとの比であるID/IGが0.05以上、0.30以下を示す黒鉛材料であって、光学組織が特定の関係を満たす黒鉛材料。【選択図】 なし

Description

本発明は、黒鉛材料、電池電極用炭素材料、及び電池に関する。さらに詳細には、非水電解液二次電池の電極材料として好適な光学組織と粒子形状、表面状態を備えた黒鉛材料を含む電池電極用炭素材料とその製造方法であって、特に低温での入出力特性、高温での充放電サイクル容量維持特性と、低温での動作に有効なPC(プロピレンカーボネート)電解液耐性に関する。
携帯機器等の電源としてはリチウムイオン二次電池が主に用いられている。携帯機器等はその機能が多様化し消費電力が大きくなっている。そのため、リチウムイオン二次電池には、その電池容量を増加させ、同時に充放電サイクル特性を向上させることが求められている。さらに、電動ドリル等の電動工具や、ハイブリッド自動車用等、高出力で大容量の二次電池への要求が高まっている。この分野では従来から、鉛二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池が主に使用されているが、小型軽量で高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池への期待は高く、入出力特性に優れたリチウムイオン二次電池が求められている。
特に、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の自動車用途においては、10年間以上にわたる長期間のサイクル特性と、60℃以上での高温サイクル容量維持特性、低温でハイパワーモーターを駆動させるための入出力特性を主たる要求特性とし、さらに航続距離を伸ばすための高い体積エネルギー密度も要求され、モバイル用途に比して過酷なものとなっている。
このリチウムイオン二次電池は、一般に、正極活物質にコバルト酸リチウムなどのリチウム塩が使用され、負極活物質に黒鉛などの炭素質材料が使用されている。
黒鉛には、天然黒鉛と人造黒鉛とがある。
これらのうち天然黒鉛は安価に入手できる。しかし、天然黒鉛は鱗片状を成しているので、バインダーとともにペーストにし、それを集電体に塗布すると、天然黒鉛が一方向に配向してしまう。そのような電極で充電すると電極が一方向にのみ膨張し、電極としての性能を低下させる。天然黒鉛を造粒して球状にしたものが提案されているが、電極作製時のプレスによって球状化天然黒鉛が潰れて配向してしまう。また、天然黒鉛の表面がアクティブであるために初回充電時にガスが多量に発生し、初期効率が低く、さらに、サイクル特性も良くなかった。これらを解決するため、特許第3534391号(米国特許第6632569号、特許文献1)等では、球状に加工した天然黒鉛の表面に、人造カーボンをコーティングする方法が提案されている。しかし、本方法で作製された材料は、モバイル用途等が要求する高容量・中サイクル・低電流特性については対応可能であるが、上記のような大型電池の高温での長期サイクル容量維持特性、低温での入出力特性といった要求を満たすことは非常に難しい。
石油、石炭ピッチ、コークス等の黒鉛化品に代表される人造黒鉛も比較的安価に入手できる。しかし、結晶性のよい針状コークスは鱗片状になり配向しやすい。この問題を解決するため、特許第3361510号(特許文献2)等に記載された方法が成果を上げている。この方法は、人造黒鉛原料の微粉の他、天然黒鉛等の微粉も使用可能であり、モバイル用負極材としては、非常に優れた性能を発揮する。しかし、この材料も、モバイル用途等が要求する高容量・中サイクル・低電流特性については対応可能であるが、上記のような大型電池の高温での長期サイクル容量維持特性、低温での入出力特性といった要求を満たすには至っていない。
人造黒鉛のうち、特許第5728475号(特許文献3)で原料となるコークスに圧縮剪断応力を加えることで高出力特性の改善を図ったものが開示されている。また、特許第4738553号(特許文献4)、特許第5641613号公報(特許文献5)に記載の黒鉛の光学組織に着目して入出力、長期サイクル容量維持特性の改善を図ったものが開示されている。
特開2002−124255号公報(特許文献6)や特開2000−149946号公報(特許文献7)では、モザイク組織をもつ黒鉛材料が採用されており、粒状または粉末状のメソフェーズピッチ熱処理品(戻し媒)の表面で流動させながら、原料メソフェーズピッチを加熱重合することで、流動による剪断力を受けながら固化し、モザイク組織を形成させている。しかしながら、硝酸を用いる等の架橋処理を行わない重合反応の場合には光学的異方性組織は成長を続けるので、上記のような重合方法ではモザイク組織自体が大きくなってしまう。
特許第3534391号公報 特許第3361510号公報 特許第5931727号公報 特許第4738553号公報 特許第5641613号公報 特開2002−124255号公報 特開2000−149946号公報
上記いずれの発明も、高温でのサイクル容量維持特性と低温での入出力特性、さらには低温での動作に有効なPC(プロピレンカーボネート)電解液耐性を両立する材料としては不十分であった。
本発明の目的は、高エネルギー密度特性に加え、大型電池が要求する高温での長期サイクル容量維持特性、低温での入出力特性、PC(プロピレンカーボネート)電解液耐性を併せ持った電極が作製可能なリチウムイオン二次電池用負極炭素材等に好適な黒鉛材料とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の態様を包含する発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の黒鉛材料及びその製造方法、電池電極用炭素材料、電極用ペースト、電池並びにリチウムイオン二次電池を提供する。
[1]
粉末XRD測定から得られる黒鉛結晶の(002)面の平均面間隔d002は0.3354nm以上、0.3370nm以下、(112)回折線の結晶子の大きさLc(112)は3.0nm以上、6.0nm以下、(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004は0.30以上、0.67以下、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザーによるラマン分光測定における1350〜1370cm−1の領域に存在するピーク強度IDと、1570〜1630cm−1の領域に存在するピーク強度IGとの比であるID/IGが0.05以上、0.30以下を示し、下記(A)、(B)および(C)の条件を満足することを特徴とする負極活物質用黒鉛材料:
(A)黒鉛材料を含む成形体断面において、一辺が100μmの正方形領域を任意に10箇所選んだとき、該領域中に現れる黒鉛材料の断面において、光学異方性ドメインの面積割合が65.0%以上、90.0%以下
(B)前記断面において観察される光学異方性ドメインについて、面積の小さなドメインから面積を累積し、その累計面積が全光学異方性ドメイン面積に対して10%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(10)とし、50%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(50)とし、90%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(90)とした場合、
(1)0.5μm≦Da(10)≦2.0μm
(2)0.6μm≦Da(50)≦4.0μm
(3)0.7μm≦Da(90)≦30.0μm
(C)前記断面において観察される光学等方性ドメインについて、面積の小さなドメインから面積を累積し、その累計面積が全光学等方性ドメイン面積に対して10%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(10)とし、50%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(50)とし、90%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(90)とした場合、
(1)0.5μm≦Dc(10)≦1.0μm
(2)0.6μm≦Dc(50)≦2.0μm
(3)0.7μm≦Dc(90)≦14.0μm
[2]
BET比表面積が1.5m/g以上4.0m/g以下である前記1に記載の黒鉛材料。
[3]
レーザー回析法による体積基準の平均粒子径(D50)が4.0μm以上20.0μm以下である前記1または2に記載の黒鉛材料。
[4]
(002)回折線の結晶子の大きさLc(002)が50nm以上80nm以下である前記1〜3のいずれかに記載の黒鉛材料。
[5]
平均円形度が0.86以上0.95以下である前記1〜4のいずれかに記載の黒鉛材料。
[6]
タップ密度が0.55g/m以上1.30g/m以下である前記1〜5のいずれかに記載の黒鉛材料。
[7]
前記黒鉛材料の表面が他の炭素材料で被覆された粒子を含む前記1〜6のいずれかに記載の黒鉛材料。
[8]
前記1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料を含む電池電極用炭素材料。
[9]
前記1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料100質量部と、0.3354nm以上0.3370nm以下の平均面間隔(d002)を有する球状天然黒鉛または人造黒鉛0.01〜200質量部とを含む電池電極用炭素材料。
[10]
前記8または9に記載の電池電極用炭素材料とバインダーとを含む電極用ペースト。
[11]
前記10に記載の電極用ペーストの成形体を含む電極。
[12]
前記11に記載の電極を構成要素として含む電池。
[13]
前記12に記載の電極を構成要素として含むリチウムイオン二次電池。
[14]
アスファルテン分と樹脂分の組成の合計が20質量%以上60質量%以下、硫黄分が0.5質量%以上6.0質量%以下灰分が0.2質量%以上1.0質量%以下の原油蒸留残渣に、コークスドラム前の加熱炉ヒーター出口温度を550℃〜580℃に制御したディレードコーキングを行ない、それにより得られたマイクロ強度が20質量%以上40質量%以下の炭素材料を粉砕し、2500〜3600℃の温度で黒鉛化処理する工程を含む前記1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料の製造方法。
本発明の黒鉛材料を電池電極用炭素材料として用いると高エネルギー密度特性を維持したまま、高温での長期サイクル容量維持特性、低温での入出力特性、PC(プロピレンカーボネート)電解液耐性に優れた電池電極を得ることができる。
また、本発明の製造方法によって電池特性、経済性、量産性に優れた黒鉛材料をすることができる。
実施例1の黒鉛材料の偏光顕微鏡像画像
(1)黒鉛材料
以下、本発明の実施態様の黒鉛材料について詳細に説明する。
なお本発明の黒鉛材料は、黒鉛粒子と、黒鉛粒子を他の炭素材料で被覆して得られた複合黒鉛粒子を含むものとする。
<X線回折>
本発明の黒鉛材料におけるX線回折法によるd002、Lc(002)、Lc(112)は、既知の方法により粉末X線回折(XRD)法を用いて測定することができる((稲垣道夫、「炭素」、1963、No.36、25−34頁;Iwashita et al.,Carbon vol.42(2004),p.701−714)。
学振法によるX線回折により求めた格子面(002)面の平均面間隔d002の下限値は0.3354nmであり、0.3358nmが好ましく、0.3360nmがさらに好ましい。0.3354nm以上であると異方性組織が発達しすぎないため、電極にした場合配向が抑えられ入出力特性がよい電池が得られる。上限値は0.3370nmであり、0.3369nmが好ましく、0.3368nmが最も好ましい。0.3370nm以下であると、放電容量が大きくなり、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。
(002)回折線の結晶子の大きさLc(002)の下限値は50nmが好ましく、52nmがさらに好ましく、54nmが最も好ましい。上限値は80nmが好ましく、70nm以下がさらに好ましく、65nm以下が最も好ましい。
50nm以上であると、放電容量が大きくなり、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。80nm以下であると異方性組織が発達しすぎていないため、電極にした場合配向が抑えられ入出力特性がよい電池が得られる。
(112)回折線の結晶子の大きさLc(112)の下限値は3.0nmであり、3.5nmが好ましく、4.0nmが最も好ましい。上限値は6.0nmであり、5.5nmが好ましく、5.0nmが最も好ましい。
3.0nm以上であると、放電容量が大きく、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。6.0nm以下であると異方性組織が発達しすぎず、電極にした場合配向が抑えられ入出力特性がよい電池が得られる。
本発明の好ましい実施態様における黒鉛材料は、粉末X線回折測定から得られるXRDパターンにおいて黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004の下限値は0.30であり、0.35が好ましく、40が最も好ましい。上限値は、0.67である。0.30以上であることにより電極集電体に対する配向が抑えられるため、Liの挿入が起こり易く入出力特性優れ、また電極の膨張の抑えられた電池が得られる。
<ラマン分光分析>
日本分光株式会社製レーザーラマン分光測定装置(NRS−5100)を用いて、励起波長532nm、入射スリット幅200μm、露光時間3秒、積算回数2回、回折格子1800本/mmの条件で測定を行う。測定されたスペクトルから1360cm−1付近のピークの強度ID(非晶質成分由来)と1580cm−1付近のピークの強度IG(黒鉛成分由来)の比(ID/IG)を算出する。それをR値として黒鉛化度合いの指標とする。
本発明の黒鉛材料は、ラマンR値の下限値は0.05であり、0.10が好ましく、0.15がさらに好ましい。上限値は0.30であり、0.25が好ましい。上記0.05よりもR値が低いと、リチウムイオンの挿入または脱離に関わるエッジ部位が少なく、入出力特性が低下する傾向がある。0.30よりもR値が高いと充放電時に副反応が生じやすい傾向がある。
<光学組織観察>
炭素関連材料の組織において、結晶が発達し黒鉛網面が整ったドメインは光学異方性を示し、結晶が未発達もしくはハードカーボンのような結晶の乱れが大きい材料は光学等方性を示すことが、古くから知られており、これは例えば“最新の炭素材料実験技術(分析・解析偏)炭素材料学会偏(2001年),出版:サイペック株式会社,1〜8頁”等に記載されている偏光顕微鏡観察法により判別することができる。これらの光学異方性を示す組織(以下、光学異方性組織)と光学等方性を示す組織(以下、光学等方性組織)を総称して光学組織と呼ぶ。また、ドメインとは観察される光学異方性組織または光学等方性組織の最小単位組織を示す。
本発明者らは、黒鉛材料の粒子1つ1つの内部構造に着目した。すなわち、高エネルギー密度の重要ファクターとなる黒鉛網面が整ったドメインと、入出力特性、サイクル特性に強いハードカーボン様のドメインとを複合化した粒子を想定し、上記課題を解決できないか鋭意検討を行った。すなわち、上記2種のドメインの大きさ、比率、配向方向、その他組織の影響等について詳細に検討を加えた。
本発明において、光学組織の構造を解析する方法として、以下に示す偏光顕微鏡観察法を用いた。
この観察方法を用いると、特に、複屈折体である透明な石膏や白雲母の結晶を一定の方向にガラス板に貼り付けた鋭敏色検板を介することで干渉色の鋭敏化を図ることが可能になる。すなわち、光学異方性ドメインについては、偏光顕微鏡像観察時、直交ニコル状態では、一定厚みの鋭敏色検板により位相遅れ530nmの紅色を示す。この系では位相の遅れがわずかに増減しても干渉色が鋭敏に変化する状態となる。すなわち、直交ニコルで全体紅色時、被検体を回転させると、等方性部分は紅色(ピュアマゼンタ)のままであるが、波長がわずかに大きくなれば紫色から青色に近づき、逆に波長が小さくなれば橙色から黄色に近づく。よって、光学異方性ドメインは、0°から45°回転させた場合、黒鉛網面の配列方向によって、黄(イエロー)、赤(マゼンタ)、青(ブルー)等に干渉色の変化を示すことからドメインの配列方向も容易に判別可能である。
本発明における「黒鉛材料を含む成形体断面」は以下のようにして調製する。
内容積30cmのプラスチック製サンプル容器の底に両面テープを貼り、その上にスパチュラ2杯ほど(2g程度)の観察用サンプルを乗せる。冷間埋込樹脂(商品名:冷間埋込樹脂#105,製造会社:ジャパンコンポジット(株),販売会社:丸本ストルアス(株))に硬化剤(商品名:硬化剤(M剤),製造会社:日本油脂(株),販売会社:丸本ストルアス(株))を加え、30秒練る。得られた混合物(5ml程度)を前記サンプル容器に高さ約1cmになるまでゆっくりと流し入れ、1日静置して硬化させる。次に硬化したサンプルを取り出し、両面テープを剥がす。そして、研磨板回転式の研磨機を用いて、測定する面を研磨する。
研磨は、回転面に研磨面を押し付けるように行う。研磨板の回転は1000rpmで行う。研磨板の番手は、#500、#1000、#2000の順に行い、最後はアルミナ(商品名:バイカロックス タイプ0.3CR,粒子径0.3μm,製造会社:バイコウスキー,販売会社:バイコウスキージャパン)を用いて鏡面研磨する。
研磨したサンプルをプレパラート上に粘土で固定し、偏光顕微鏡(OLYMPAS社製、BX51)を用いて、偏光子に対するサンプルの角度を0°、45°、90°に回転させ反射法で観察を行う。
[偏光顕微鏡像解析方法]
偏光顕微鏡で観察した画像は、OLYMPUS製CAMEDIA C−5050 ZOOMデジタルカメラをアタッチメントで偏光顕微鏡に接続し、撮影する。撮影モードはHQ2560×1280とし、シャッタータイムは1.6秒で行う。撮影データは、bmp形式で株式会社ニレコ製画像解析装置LUZEX APを用いて読み込んだ。色データの表示形式は、IHPカラーとする(Iは輝度、Hは色相、Pは純度を示す。)。画像は2560×1920画素で取込む。
選択した箇所に対して、正方形の領域(100μm四方)を切り抜き、その範囲内の全粒子について以下の解析を行った。解析に用いている倍率は、対物レンズ×50、1画素=0.05μmで行う。光学組織ドメインについて、ブルー(B1)・イエロー(Y1)・マゼンタ(M1)・ブラック(K1)・ピュアマゼンタ(PM1)について色の抽出を行い、それぞれの面積比をカウントする。光学異方性ドメインは結晶子の向きによりブルー(B1)・イエロー(Y1)・マゼンタ(M1)に色が変化する。また、異方性ドメインは真正面を向いている確率はきわめて低いため、マゼンタ(M1)を示しても、波長はピュアマゼンタ(PM1)とは若干異なることがほとんどである。一方、光学等方性ドメインは常にピュアマゼンタ(PM1)の波長を示す。そこで本発明では、ピュアマゼンタ(PM1)はすべて光学等方性ドメインと認定する。また黒色部(K1)は樹脂部分に相当するものである。
色の抽出については、LUZEX APのコマンドを使用し、各色の抽出幅は、IHPのデータを以下の表1のように設定して行う。また、ノイズ除去のため、ロジカルフィルタのELIMINATE1のW−1コマンドを用い、1ドット以下の領域を除去する。カウントについては、ピクセル数を用い、画像の総和ピクセル数と、該当色ピクセル数を算出する。
Figure 2021068491
[光学組織面積割合]
表2に示すように光学異方性ドメインとしては、ブルー(B1)・イエロー(Y1)・マゼンタ(M1)部分の面積比、光学等方性ドメインとしては、ピュアマゼンタ(PM1)部分の面積比を表2に示したように算出する。なお、黒色部(K1)は統計対象から除外する。
Figure 2021068491

光学異方性ドメインの面積割合(%)=100×(B1+Y1+M1)/(B1+Y1+M1+PM1)
光学等方性ドメインの面積割合(%)=100×PM1/(B1+Y1+M1+PM1)
同様に観察範囲を45°、90°に回転させたd45、d90についても算出し、d00とd45とd90の平均値をとり、当該光学組織の値とする。
本発明の好ましい実施態様では、黒鉛材料を含む成形体断面において、一辺が100μmの正方形領域を任意に10箇所選んだとき、該領域中に現れる黒鉛材料の断面において、光学異方性ドメイン割合の上限は90.0%であり、88.0%が好ましく、85.0%がさらに好ましい。下限は65.0%であり、70.0%が好ましく、75.0%がさらに好ましい。光学異方性ドメインが90.0%よりも多いと光学等方性ドメインが減少し入出力特性、サイクル特性が極端に低下する。光学異方性ドメインが65.0%よりも低いと放電容量、プレス後の電極密度が著しく低下する。
[光学組織面積]
光学異方性ドメインの大きさの分布は、以下の範囲である。
前記断面において観察される光学異方性ドメインについて、面積の小さいドメインから順に積算していき、その積算値の合計が、光学異方性ドメインの全面積(μm)のn1%に達した際の面積積算値をDa(n1)(μm)とした場合、以下の条件を満足する。
0.5μm≦Da(10)≦2.0μm
0.6μm≦Da(50)≦4.0μm
0.7μm≦Da(90)≦30.0μm
各Da(n1)がこの範囲にあることにより、放電容量、入出力特性、サイクル特性、PC電解液耐性のすべてを高い水準で備えた材料となる。
また以下の条件を満足することが好ましい。
0.5μm≦Da(10)≦1.2μm
0.6μm≦Da(50)≦3.0μm
0.7μm≦Da(90)≦20.0μm
以下の条件を満足することがさらに好ましい。
0.5μm≦Da(10)≦0.9μm
0.6μm≦Da(50)≦2.0μm
0.7μm≦Da(90)≦10.0μm
光学等方性ドメインの大きさの分布は、以下の範囲である。
前記断面において観察される光学等方性ドメインについて、面積の小さいドメインから順に積算していき、その積算値の合計が、光学等方性ドメインの全面積(μm)のn2%に達した際の面積積算値をDc(n2)(μm)とした場合、以下の条件を満足する。
0.5μm≦Dc(10)≦1.0μm
0.6μm≦Dc(50)≦2.0μm
0.7μm≦Dc(90)≦14.0μm
各Dc(n2)がこの範囲にあることにより、放電容量、入出力特性、サイクル特性、PC電解液耐性のすべてを高い水準で備えた材料となる。
また以下の条件を満足することが好ましい。
0.5μm≦Dc(10)≦0.8μm
0.6μm≦Dc(50)≦1.8μm
0.7μm≦Dc(90)≦10.0μm
以下の条件を満足することがさらに好ましい。
0.5μm≦Dc(10)≦0.6μm
0.6μm≦Dc(50)≦1.5μm
0.7μm≦Dc(90)≦5.0μm
<BET比表面積> 本発明の黒鉛材料は、BET比表面積の下限値は1.5m/gが好ましく、1.7m/gがさらに好ましく、1.8m/gが最も好ましい。上限値は4.0m/g以下が好ましく、3.7m/gがさらに好ましく、3.5m/gが最も好ましい。1.5m/g以上の場合、初回充放電時の副反応の発生量が抑えられ初回クーロン効率のよい電池が得られる。4.0m/g以下の場合、リチウムイオンの吸蔵・放出反応が阻害されづらく入出力特性に優れた電池が得られる。 BET比表面積は、Quantachrome INSTRUMENTS社製比表面積測定装置(NOVA 4200e)を用い、予備乾燥として300℃ に加熱し、15分間窒素ガスを流した後、窒素ガス吸着によるBET3点法によって測定する。
<平均粒子径(D50)>
本発明の黒鉛材料は、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径分布における平均粒子径(D50)の下限値は4.0μmが好ましく、4.2μmがさらに好ましく、4.5μmが最も好ましい。上限値は20.0μmが好ましく、15.0μmがさらに好ましく、7.0μmが最も好ましい。4.0μm以上の場合、初回充放電時の副反応の発生量が抑えられ、初回クーロン効率のよい電池が得られる。20.0μm以下の場合、リチウムイオンの吸蔵・放出反応が阻害されづらく入出力特性に優れた電池が得られる。
平均粒子径(D50)はレーザー回折式粒度分布測定器マスターサイザー(マルバーン製)で測定される。
<平均円形度>
本発明の黒鉛材料は、平均円形度の下限値は0.86が好ましく、0.87がさらに好ましく、0.88が最も好ましい。上限値は0.95が好ましく、0.94がさらに好ましく、0.93が最も好ましい。0.86以上の場合、電極にした場合粒子の配向が抑えられるため入出力特性が優れた電極が得られる。0.95以下の場合粒子間の接触が十分とりやすく、入出力特性が優れた電極が得られる。
平均円形度の測定方法は黒鉛材料を106μmのフィルターに通して微細なゴミを取り除いて精製し、その試料0.1gを20mlのイオン交換水中に添加し、界面活性剤0.1〜0.5質量%加えることによって均一に分散させ、測定用試料溶液を調製する。分散は超音波洗浄機UT−105S(シャープマニファクチャリングシステム社製)を用い、5分間処理することにより行う。
得られた測定用試料溶液をフロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)に投入し、LPFモードで10000個の粒子から平均円形度を求めた。なお円形度とは、黒鉛材料の投影面積と同じ面積を持つ円の直径である円相当径から算出される円としての周囲長を、黒鉛材料の投影像から測定される周囲長で除して得られる数値であり、真円では1.00となる。
<タップ密度>
本発明の黒鉛材料は、400回タッピングを行った際の粉体密度(タップ密度)の下限値は0.55g/cmが好ましく、0.65g/cmがさらに好ましく、0.68g/cmが最も好ましい。上限値は1.30g/cmが好ましく、1.10g/cmがさらに好ましく、0.95g/cmが最も好ましい。0.55g/cm以上の場合、プレス時に到達する電極密度を充分高くすることが可能となり高エネルギー密度の電池が得られる。1.30g/cm以下の場合、得られた電極の電解液浸透性を充分高くすることが可能となり入出力特性の高い電池が得られる。
タップ密度は、カンタクローム製オートタップを使用して400回タッピングした100gの粉の体積と質量を測定して得られる密度である。これらはASTM B527およびJIS K5101−12−2に準拠した測定方法であるが、オートタップの落下高さは5mmとした。
(2)黒鉛材料の製造方法
本発明の黒鉛材料の製造方法は、炭素原料から以下のコーキング処理によって得られた炭素材料を粉砕し、次いで2500℃以上の熱処理をすることにより黒鉛粒子を製造する方法と、黒鉛粒子を他の炭素材料で被覆することで複合黒鉛粒子を製造する方法を含む。
炭素原料としては、石油精製プロセスにおいて原油を常圧、減圧蒸留してなる残渣や、熱分解タール等にしたものが好ましく使用できる。
炭素原料の元になる原油としては、ナフテン系炭化水素を多く含むものが好ましい。パラフィン系、オレフィン系炭化水素が多くなると、コーキングの際に炭化の進行が緩やかになり、光学異方性ドメインが大きく発達しすぎてしまうことがある。
炭素原料の下記成分の割合はその後の組成、特にドメインの面積や分布、光学異方性、光学等方性ドメインの比率等に大きく影響を及ぼすので重要である。
上記の蒸留残渣、タール等を原料とする場合、その中に含まれるアスファルテン、樹脂分、飽和炭化水素成分、灰分の含有量が高いことが望ましい。アスファルテンは、黒褐色の脆い固体で、H/Cの小さな縮合多環構造の物質であり、ベンゼン、四塩化炭素等に可溶、ペンタン、アルコール等には不溶で分子量は1000以上と考えられる物質である。チオフェン環、ナフテン環、芳香族環等の多環化合物を主体とした硫黄化合物、ピロール環、ピリジン環を主体とする窒素化合物等を含む。また、樹脂分は、褐色樹脂状物質で、酸素、窒素分が多い化合物である。灰分はマグネシウム、アルミニウム、チタン、マンガン、コバルト、ナトリウム、およびニッケルなどから1又は2以上の金属成分を含む酸化物である。
炭素原料の組成は、アスファルテン分と樹脂分の組成の合計の下限値は20質量%が好ましく、25質量%がさらに好ましく、30質量%が最も好ましい。上限値は60質量%が好ましく、50質量%がさらに好ましく、40質量%が最も好ましい。アスファルテン分及び樹脂分の合計が20質量%以上であると、ディレードコーカーによるコーキング処理中に結晶発達が適切に抑えられ光学等方性ドメインが発達する。光学等方性ドメインが発達すると、黒鉛化処理後の負極材の特性として、電流入出力特性、サイクル特性、PC電解液耐性が大きく向上する。アスファルテン分と樹脂分の合計が60%以下の場合、光学異方性ドメインの割合が適切になりエネルギー密度の高い電池が得られる。
炭素原料におけるアスファルテン分、樹脂分とは、JPI(石油学会)で規定する「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法(JPI−5S−22−83)」に基づいて含有率を測定したものを意味する。本方法は、アルミナを充填材として使用し試料油から飽和分、芳香族分、樹脂分と共にアスファルテン分を分離定量する。
炭素原料中、チオフェン環、ナフテン環、芳香族環等の多環化合物を主体とした硫黄化合物成分の下限値は0.5質量%が好ましく、0.8質量%がさらに好ましく、1.0質量%が最も好ましい。上限値は6.0質量%が好ましく、4.5質量%がさらに好ましく、3.0質量%が最も好ましい。0.5質量%以上の場合、ディレードコーカーによるコーキング処理中に結晶発達が抑えられ光学等方性ドメインが適度に発達する。光学等方性ドメインが発達すると、黒鉛化処理後の負極材の特性として、入出力特性、サイクル特性、PC電解液が向上する。6.0質量%以下の場合、光学異方性ドメインが適度に発達し黒鉛化後の結晶性が良くなる結果、放電容量が十分高く、電極密度も高いものが得られる。なお、本発明における硫黄化合物成分とは、JISK2541にしたがって分析された硫黄分の値である。
炭素原料中、灰分含有量の下限値は0.2質量%が好ましく、0.3質量%がさらに好ましい。上限値は1.0質量%が好ましく、0.7質量%がさらに好ましく、0.5質量%が最も好ましい。0.2質量%以上の場合、ディレードコーカーによるコーキング処理中に結晶発達が抑えられ光学等方性ドメインが適度に発達する。光学等方性ドメインが発達すると、黒鉛化処理後の負極材の特性として、入出力特性、サイクル特性、PC電解液が向上する。1.0質量%以下の場合、光学異方性ドメインが適度に発達し黒鉛化後の結晶性が良くなる結果、放電容量が十分高く、電極密度も高いものが得られる。なお、本発明における灰分とは、JISM8812にしたがって分析された値である。
また、FCC(流動接触分解装置)の残渣油(FCCボトム油)は、芳香族指数(fa)=0.8程度と適度であることから、これを炭素原料に添加してコーキングすることでコークスの結晶性を高めることが高結晶コークス作製プロセスでしばしば行われている。しかし、本発明においてはFCCボトム油を添加するとドメインが発達しすぎることから好ましくない。
炭素原料をディレードコーキングプロセスに投入しコーキング処理を行い炭素材料を得る。この際、コークスドラム前の加熱炉ヒーター出口温度は通常480〜500℃に制御されているが、本炭素原料については、約10%アップの560〜570℃に上げて運転を行う。好ましくは、ドラム内圧力は通常100〜280kPa(約15psig〜40psig)に制御されているが、これを約10%アップの115〜305kPa(約17psig〜44psig)に上げて運転を行う。
炭素材料は通常塊で生成されるため、水流で輪切りにしながら排出することが一般的である。しかし、このように原料を規定し、コーキング条件も規定した運転を行うと、粒子状炭素材料を得ることができる。
このようにして得られた粒子状炭素材料は、後に黒鉛化した際の内部構造が本発明の範囲内になり、放電容量、入出力特性、サイクル特性、PC電解液耐性のバランスが取れ、好ましい状況となる。なぜ粒子状になった炭素材料で作製した黒鉛材料がこのような特性を示すのかは必ずしも明らかではないが、このような成分の重質タールは粘性の関係から球状で存在し、この球状タールが硫黄や灰分の存在もあって、アスファルテン分の架橋反応による反応熱で急激に炭化することによるものと考えている。
このような操作により、通常得られるコークスよりも光学異方性ドメインに発達しやすい組織の発生が抑えられ、本発明の黒鉛材料に好適な炭素材料を得ることができる。
マイクロ強度は、鋼製シリンダー(内径25.4mm、長さ304.8mm)に20メッシュ〜30メッシュの炭素材料2gと直径5/16inch(7.9mm)の鋼球12個を入れ、鉛直面を管と直角方向に25rpmで800回転させたのち(すなわち、シリンダーを立てた状態から上下が入れ替わるように、回転軸を水平にして、あたかもプロペラが回転するように回転させる)、48メッシュでふるい分け、試料に対するふるい上の質量をパーセントで示した値である。
得られた炭素材料のマイクロ強度の下限値は20質量%が好ましく、23質量%がさらに好ましく、25質量%以上が最も好ましい。また上限値は40質量%が好ましく、35質量%がさらに好ましく、32質量%が最も好ましい。
炭素材料のマイクロ強度は隣接する結晶子間の結合強さを示す指標である。一般に、隣接する結晶子の間には、六角網平面の構成単位となるベンゼン環以外の構造を有した未組織炭素が存在し、その隣接する結晶子間を結合させる機能を有している。この未組織炭素は、原料炭組成物が炭素化及び/又は黒鉛化された後も残存し、同様な役割を演じている。
炭素材料のマイクロ強度が20質量%以上の場合は、隣接する結晶子間の結合強さが強く、粉砕時に鱗片形状になりにくい。この場合、電極製造時に粒子がランダムに配向することからリチウムイオン拡散に有利であり充放電レート特性が向上する。また、充放電時に電極の膨張収縮量が小さくなるため容量維持特性に向上する。40質量%以下の場合は、隣接する結合子間の結合強さが大きすぎないため、粉砕性が良好で通常の粉砕設備では目的の粒度を達成することが可能である。
次にこの炭素材料を粉砕する。炭素材料の粉砕には公知のジェットミル、ハンマーミル、ローラーミル、ピンミル、振動ミル等が用いられる。このうち、ジェットミルが粒子を適度な球形度に粉砕することができるため好ましい。
炭素材料の粉砕はできるだけ熱履歴が低い状態で行うことが好ましい。熱履歴が低い方が、硬度が低く、粉砕が容易である上、破砕時の亀裂方向がランダムに近く、円形度が大きくなりやすい。また、後の加熱プロセスで粉砕面に露出したエッジ部分が修復される確率が高まり、充放電時の副反応を低減できる効果がある。
粉砕した炭素材料は、黒鉛化処理をする前に、非酸化性雰囲気下で500〜1300℃で焼成してもよい。この焼成によって次に行う黒鉛化処理でのガス発生を低減させることができ、また、嵩密度を下げられることから黒鉛化処理コストも低減することが可能となる。
次いで炭素材料の黒鉛化処理を行い、黒鉛粒子を得る。
黒鉛化処理温度の下限値は2500℃が好ましく、2900℃がさらに好ましく、3000℃が最も好ましい。黒鉛化処理温度の上限値は、焼損を抑える観点から3500℃が好ましい。
黒鉛化処理後は、黒鉛粒子を解砕または粉砕しないことが好ましい。黒鉛処理化後に解砕または粉砕すると、滑らかになった表面が傷つき、性能が低下するおそれがある。
(3)複合黒鉛粒子の製造方法
本発明の黒鉛材料は黒鉛粒子を他の炭素材料で被覆して使用することができる。このようにして得られた黒鉛材料を複合黒鉛粒子と呼ぶ。
例えば、本発明の複合黒鉛粒子は、黒鉛粒子の表面に光学等方性炭素によるコーティングを行うことができる。コーティングにより、充電時の入力特性を改善でき、大型電池の要求特性が向上する。コーティング量は特に限定はないが、黒鉛粒子100質量部に対し、下限値は0.1質量部が好ましく、0.2質量部がさらに好ましく、0.5質量部が最も好ましい。上限値は3.0質量部が好ましく、2.0質量部がさらに好ましく、1.5質量部が最も好ましい。コーティング量が0.1質量部以上の場合コート層が均一になり易いためコーティングの効果が十分に得られる。3.0質量部以下の場合、電極密度を低下させないため高エネルギー密度の電極を得られる。
コーティング方法は公知の技術が利用でき、特に制限されない。例えば、直径0.1〜10μmのコールタールピッチと黒鉛粒子を混合し、非酸化性雰囲気下、800℃〜3300℃、好ましくは800℃〜1300℃で加熱することにより表面に光学等方性炭素を形成する方法や、黒鉛粒子の少なくとも一部の表面に重合体を含む組成物を付着させ、非酸化性雰囲気下、800℃〜3300℃、好ましくは800℃〜1300℃で熱処理することにより表面に光学等方性炭素を形成する方法などが挙げられる。前記重合体を含む組成物は、例えば、乾性油またはその脂肪酸及びフェノール樹脂を含む組成物を用いることができる。後者の方法は、例えば、特開2003−100293号公報や特開2005−019397号公報に記載されている。
黒鉛粒子は1次粒子であるものが好ましい。1次粒子は複数の1次粒子を集合または結合させて得られる2次粒子と比べ、繰り返しの膨張収縮に強く粒子内剥離や電極からの剥離が起こりにくいため、サイクル維持特性が優れる傾向にある
(4)電池電極用炭素材料
本発明の電池電極用炭素材料は、上記黒鉛材料を含んでなる。上記黒鉛材料を電池電極用炭素材料として用いると、高エネルギー密度特性を維持したまま、高温での長期サイクル容量維持特性、低温での入出力特性、PC(プロピレンカーボネート)電解液耐性に優れた電池電極を得ることができる。
電池電極用炭素材料としては、例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質及び負極導電付与材として用いることができる。
本発明の電池電極用炭素材料は、上記黒鉛材料のみを使用することができるが、黒鉛材料100質量部に対して、d002が0.3370nm以下の球状天然黒鉛または人造黒鉛を0.01〜200質量部、好ましくは0.01〜100質量部配合したもの、を使用することもできる。他の黒鉛材料を混合して用いることにより、本発明の黒鉛材料の優れた特性を維持した状態で、他の黒鉛材料が有する優れた特性を加味した黒鉛材料とすることが可能である。具体的には、例えば人造黒鉛としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を混合した場合には、MCMBが有する優れた潰れ性により、電極としたときの密度が上がり、体積エネルギー密度を向上させることができる。これらの混合は、要求される電池特性に応じて適宜、混合材料を選択し、混合量を決定することができる。
(5)電極用ペースト
本発明の電極用ペーストは、前記電池電極用炭素材料とバインダーとを含んでなる。この電極用ペーストは、前記電池電極用炭素材料とバインダーとを混練することによって得られる。混錬には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等公知の装置が使用できる。電極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
電極用ペーストに用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系等公知のものが挙げられる。
バインダーの使用量は、電池電極用炭素材料100質量部に対して1〜30質量部が適当であるが、特に3〜20質量部が好ましい。
混練する際に溶媒を用いることができる。溶媒としては、各々のバインダーに適した公知のもの、例えばフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等;SBRの場合は水等;その他にジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、増粘剤を併用することが好ましい。溶媒の量は集電体に塗布しやすい粘度となるように調整される。
(6)電極
本発明の電極は前記電極用ペーストの成形体を含むものである。本発明の電極は例えば前記電極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形することによって得られる。
集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュなどが挙げられる。ペーストの塗布厚は、通常50〜200μmである。塗布厚が大きくなりすぎると、規格化された電池容器に負極を収容できなくなることがある。ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1〜3t/cmが好ましい。電極の電極密度が高くなるほど体積あたりの電池容量が通常大きくなる。しかし電極密度を高くしすぎるとサイクル特性が通常低下する。本発明の電極用ペーストを用いると電極密度を高くしてもサイクル特性の低下が小さいので、高い電極密度の電極を得ることができる。本発明の電極用ペーストを用いて得られる電極の電極密度は、材料組成によるが通常1.3〜1.7g/cmである。このようにして得られた電極は、電池の負極、特に二次電池の負極に好適である。
(7)電池、二次電池
前記電極を構成要素(好ましくは負極)として、電池または二次電池とすることができる。
リチウムイオン二次電池を具体例に挙げて本発明の電池または二次電池を説明する。リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造をしたものである。負極には本発明の電極が用いられる。
リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属元素のモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられ、さらに好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式LiMO(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、0<a≦1.2)、またはLi(Nは少なくともMnを含む。0<b≦2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
さらに、正極活物質はLi1−d(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、DはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの中のM以外の少なくとも1種、c=0〜1.2、d=0.5〜1)を含む材料、またはLi(N1−f(NはMn、EはCo、Ni、Fe、Mn、Al、Zn、Cu、Mo、Ag、W、Ga、In、Sn、Pb、Sb、Sr、B、Pの少なくとも1種、e=0〜2、f=1〜0.2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−h、LiCo1−i、LiCoFe1−i、LiMn、LiMnCo2−j、LiMnNi2−j、LiMn2-j、LiMnFe2−j(ここでg=0.02〜1.2、h=0.1〜0.9、i=0.8〜0.98、j=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3)が挙げられる。最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−h、LiMn、LiCo1−l(g=0.02〜1.2、h=0.1〜0.9、l=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)が挙げられる。
正極活物質のレーザー回折法により測定した体積基準の粒子径分布における平均粒子径(D50)は特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。比表面積は特に限定されないが、BET法で0.01〜50m/gが好ましく、特に0.2m/g〜1.0m/gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレーターを設けることがある。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池を構成する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できるが、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
有機電解液としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレ5グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート;γ−ブチロラクトン;N−メチルピロリドン;アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒の溶液が好ましい。さらに、好ましくはエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、ジエトキシエタン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられ、特に好ましくはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系非水溶媒を用いることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウム塩が使用される。一般的に知られているリチウム塩にはLiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCl、LiCFSO、LiCFCO、LiN(CFSO等がある。
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例の炭素材料、黒鉛材料についての、平均面間隔d002、結晶子サイズLc(002)、結晶子サイズLc(112)、ラマンR値、光学異方性ドメイン面積割合、光学等方性ドメイン面積割合、Da(n1)、Dc(n2)、Cminの割合、BET比表面積、平均粒子径(D50)、平均円形度、タップ密度(400回)は、本明細書の「発明を実施するための形態」に詳述した方法により測定する。また、I110/I004の測定、電池評価、電極密度および体積エネルギー密度は以下の方法により行う。
<I110/I004>
炭素粉末試料をガラス製試料板(試料板窓18×20mm、深さ0.2mm)に充填し、以下のような条件でXRD測定を行った。
XRD装置:Rigaku製SmartLab
X線種:Cu−Kα線
Kβ線除去方法:Niフィルター
X線出力:45kV、200mA
測定範囲:5.0〜10.0deg.
スキャンスピード:10.0deg./min.
得られた波形に対し、平滑化、バックグラウンド除去、Kα2除去を行い、プロファイルフィッティングを行った。その結果得られた(004)面のピーク強度I004と(110)面のピーク強度I110から配向性の指標となる強度比I110/I004を算出した。なお、各面のピークは以下の範囲のうち最大の強度のものをそれぞれのピークとして選択した。
(004)面:54.0〜55.0deg.
(110)面:76.5〜78.0deg1次不再理
<電池評価方法>
(a)ペースト作製:
黒鉛材料100質量部に増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)1.5質量部及び水を適宜加えて粘度を調節し、固形分比40質量部のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)微粒子の分散した水溶液3.8質量部を加え撹拌・混合し、充分な流動性を有するスラリー状の分散液を作製し、主剤原液とした。
(b)負極作製:
主剤原液を高純度銅箔上でドクターブレードを用いて150μm厚に塗布し、70℃で12時間真空乾燥した。塗布部が20cmとなるように長方形に打ち抜いた後、超鋼製プレス板で挟み、プレス圧が1×10〜3×10N/mm(1×10〜3×10kg/cm)となるようにプレスし、負極1を作製した。また、前記の塗布部を16mmφの円形に打ち抜いた後、負極1と同様の方法で、プレス圧が1×10N/mm(1×10kg/cm)となるようにプレスし、負極2を作製した。また、前記の塗布部を16mmφの円形に打ち抜いた後、負極1と同様の方法で、プレス圧が2×10N/mm(2×10kg/cm)となるようにプレスし、負極3を作製した。
(c)正極作製
LiNi1/3Mn1/3Co1/3(D50:7μm)を90g、導電助剤としてのカーボンブラック(TIMCAL社製、C45)を5g、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5g、N−メチル−ピロリドンを適宜加えながら撹拌・混合し、スラリー状の分散液を作製した。
この分散液を厚み20μmのアルミ箔上に厚さが均一となるようにロールコーターにより塗布し、乾燥後、ロールプレスを行い、塗布部が20cmとなるように長方形に打ち抜き、正極を得た。
(d)電池作製:
[二極セル]
上記負極1、正極に対し、それぞれAl箔にAlタブ、Cu箔にNiタブをとりつけた。ポリプロピレン製フィルム微多孔膜を介してこれらを対向させ積層、アルミラミネートによりパックし後述の電解液Aを注液後、開口部を熱融着により封止し、電池を作製した。
[対極リチウムセル]
ポリプロピレン製のねじ込み式フタつきのセル(内径約18mm)内において、上記負極2と16mmφに打ち抜いた金属リチウム箔をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層し、後述の電解液AまたはBを加えて試験用セルとした。
(e)電解液:
電解液A;EC(エチレンカーボネート)2質量部及びEMC(エチルメチルカーボネート)3質量部の混合液に、電解質としてLiPFを1モル/リットル溶解した。
電解液B;EC(エチレンカーボネート)1質量部及びEMC(エチルメチルカーボネート)3質量部及びPC(プロピレンカーボネート)1質量部の混合液に、電解質としてLiPFを1モル/リットル溶解した。
(f)放電容量、初回クーロン効率(A)の測定試験:
対極リチウムセルを用いて試験を行った。レストポテンシャルから0.002Vまで0.2mAでCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、カットオフ電流値25.4μAで充電を行った。
上限電圧1.5VとしてCCモードで0.2mAで放電を行った。
試験は25℃に設定した恒温槽内で行った。この際、初回放電時の容量を放電容量とした。また初回充放電時の電気量の比率、すなわち放電電気量/充電電気量を百分率で表した値を初回クーロン効率とした。
(g)初回クーロン効率(B)(PC電解液耐性)の測定試験:
電解液Bを用いたときの初回クーロン効率をPC電解液初回クーロン効率とした。電解液を変えたこと以外はすべて(f)と同一の条件で行った。この値をPC電解液耐性とする。
(h)充放電サイクル容量維持率の測定試験
2極セルを用い、電流密度2mA/cm(1C相当)で定電流低電圧充放電試験を行った。充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cmでCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させる。放電(炭素からの放出)は所定電流密度でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。また、測定は、60℃に設定した恒温槽中で行い、充放電を200サイクル繰り返した。
初回放電容量に対する200サイクル時放電容量の割合を算出し、それを放電容量維持率とした。
(200サイクル後放電容量維持率(%))
=(200サイクル時放電容量)/(初回放電容量)×100
(i)充放電レート測定試験
二極セルを用いて試験を行った。セルを上限電圧4.15V、カットオフ電流値1.25mAとしてCC、CVモードにより0.1C(0.C=約2.5mA)で充電後、下限電圧2.8VでCCモードにより0.2C(約5mA)放電し、0.1C放電容量を基準として、0.2Cにおける放電容量の比を算出した。同様に充電後、下限電圧2.8VでCCモードにより0.5C(約12.5mA)放電し、0.1C放電容量を基準として、0.5Cにおける放電容量の比を算出した。
また、セルを下限電圧2.8VとしてCCモードにより0.1Cで放電後、上限電圧4.15VとしてCCモードにより0.2Cで充電し、0.1C充電容量を基準として、0.2Cにおける充電容量の比を算出した。同様に放電後、下限電圧2.8VでCCモードにより0.5C(約12.5mA)充電し、0.1C放電容量を基準として、0.5Cにおける充電容量の比を算出した。また、測定は、−20℃に設定した恒温槽中で行った。
(j)電極密度および体積エネルギー密度の測定
負極3に対して膜厚計(SMD−565、(株)TECLOCK)を用いて電極密度を測定する。(f)で得られた放電容量との積をとることで、体積エネルギー密度とした。
実施例1:
ブラジル産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とした。本原料の性状は、比重4.2°API、アスファルテン分17質量%、樹脂分21質量%、硫黄分2.1質量%、灰分0.3質量%である。この原料を、ディレードコーキングプロセスに投入した。この際、コークスドラム前の加熱炉ヒーター出口温度を570℃で運転した。内部圧力は約138kPa(35psig)とした。炭素材料は粒径約3〜8mmの粒子状に造粒された状態として得られる。これを水冷してコーキングドラムから排出した。これを120℃で加熱し、水分含有率0.5質量%以下まで乾燥し炭素材料を得た。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、次に、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーTC−15Nで気流分級し、D50=15.5μmの炭素材料を得た。次にセイシン企業製ジェットミルで粉砕し、D50=6.6μmの炭素材料を得た。この粉砕された炭素材料をネジ蓋つき黒鉛ルツボに充填し、アチソン炉にて3100℃で加熱処理して、黒鉛粒子を得た。これに粉末状の等方性石油系ピッチ(中国産)を芯材に対して1.0質量%となる量で乾式混合し、アルゴン雰囲気下、1100℃にて1時間加熱して、1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。複合黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
また、偏光顕微鏡像写真を図1に示す。
実施例2:
中国新疆ウイグル自治区産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の性状は、比重3.1°API、アスファルテン分17質量%、樹脂分20質量%、硫黄分0.8質量%、灰分0.4質量%である。この炭素原料を、実施例1と同様のプロセスで処理し1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。本複合黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例3:
中国遼寧省産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の性状は、比重5.2°API、アスファルテン分22質量%、樹脂分17質量%、硫黄分1.2質量%、灰分0.6質量%である。この炭素原料を実施例1と同様のプロセスで処理し、1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。本複合黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例4:
実施例1と同様の炭素原料を用い、得られた炭素材料に対して、セホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、次に、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーTC−15Nで気流分級し、D50=5.8μmの炭素材料を得た以外は実施例1と同様のプロセスで処理し1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。本複合黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例5:
実施例1で得られた黒鉛粒子70質量部に、比較例7に記載の大阪ガス社製人造黒鉛MCMB2528(黒鉛化温度2800℃)30質量部を加え、ヘンシェルミキサーにて2分間、チョッパー回転数2000rpmで攪拌混合した。得られた混合材料を、実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例6:
実施例1で得られた黒鉛粒子に対して複合黒鉛化処理を行わず、各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例7:
実施例1と同様の炭素原料を用い、得られた炭素材料に対して、ホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、次に、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーTC−15Nで気流分級し、D50=15.5μmの炭素材料を得た。この粉砕された炭素材料をネジ蓋つき黒鉛ルツボに充填し、アチソン炉にて3100℃で加熱処理して、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表3に示す。
実施例8
実施例3と同様の炭素原料に対して、実施例7と同様のプロセスで処理し1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例1:
ベネズエラ産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の性状は、比重3.4°API、アスファルテン分21質量%、樹脂分11質量%、硫黄分3.3質量%、灰分0.2質量%である。この炭素原料に対して実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について各種物性を測定後、上記のように電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例2:
メキシコ産原油を常圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の成分は、比重0.7°API、アスファルテン分15質量%、樹脂分14質量%、硫黄分5.3質量%、灰分0.1質量%である。この炭素原料に対して実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例3:
カリフォルニア産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の性状は、比重3.0°API、アスファルテン分28質量%、樹脂分11質量%、硫黄分3.5質量%、灰分0.1質量%である。この炭素原料に対して実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について、実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例4
比較例3で得られた黒鉛粒子70質量部に、比較例7に記載の大阪ガス製人造黒鉛MCMB2528(黒鉛化温度2800℃)30質量部を加え、ヘンシェルミキサーにて2分間、チョッパー回転数2000rpmで攪拌混合した。得られた混合黒鉛粒子を、実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例5
比較例3で得られた黒鉛粒子93質量部に、5質量部のコールタールピッチ(平均粒子径0.5μm)を加え、さらに昭和電工社製VGCF(登録商標)を2質量部加えて、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて5分間、チョッパー回転数2000rpmで攪拌混合した。得られた複合粒子を、アルゴン雰囲気下で、1200℃で熱処理し、1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。これを実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例6:
フェノール樹脂(「ベルパール(登録商標) C−800」;鐘紡(株)製)を170℃で3分予備硬化後、130℃で8時間硬化させた。次に窒素雰囲気中で250℃/hの速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間保持した後冷却してフェノール樹脂焼成炭を得た。得られた1次粒子であるフェノール樹脂焼成炭について、実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表4に示す。
比較例7:
1次粒子である大阪ガス社製人造黒鉛MCMB(登録商標)2528(黒鉛化温度2800℃)を購入し、実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
比較例8:
アラビア産原油を減圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の性状は、比重3.4°API、アスファルテン分7質量%、樹脂分7質量%、硫黄分は0.2質量%、灰分は0.0重量%である。この炭素原料に対して実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
比較例9:
平均粒子径7μmの中国産天然黒鉛600gを奈良機械製ハイブリダイザーNHS1型に投入しローター周速度60/m/secにて3分間処理し平均粒子径15μmの2次粒子である球状黒鉛粒子を得た。この操作を数回行い、得られた球状黒鉛粒子3kgと石油系タール1kgを、(株)マツボー社製のM20型レディゲミキサー(内容積20リットル)に投入し、混練を行った。続いて、窒素雰囲気下にて700℃まで昇温して脱タール処理した後に、1300℃まで昇温して熱処理を行った。得られた熱処理物をピンミルにて解砕し、粗粒子を除く目的で分級処理を行い、複合黒鉛粒子を調製した。得られた複合黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
比較例10:
イラン産原油を常圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の成分は、比重8.0°API、アスファルテン分9質量%、樹脂分9質量%、硫黄分0.4質量%、灰分0.0質量%である。この炭素原料に対して実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
比較例11:
テキサス産原油を常圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の成分は、比重17.0°API、アスファルテン分8質量%、樹脂分6質量%、硫黄分6.3質量%、灰分0.1質量%である。この炭素原料に対して、実施例1と同様のプロセスで処理し、1次粒子である複合黒鉛粒子を得た。本複合黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
比較例12:
インドネシア産原油を常圧蒸留した残渣を炭素原料とする。本原料の成分は、比重5.0°API、アスファルテン分12質量%、樹脂分9質量%、硫黄分0.7質量%、灰分0.1質量%である。この炭素原料に対して、実施例7と同様のプロセスで処理し、1次粒子である黒鉛粒子を得た。本黒鉛粒子について実施例1と同様に各種物性を測定後、電極を作製し、サイクル特性等を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2021068491
Figure 2021068491
Figure 2021068491
表3〜5に示した結果から、d002、Lc(112)、I110/I004、ラマンR値、光学異方性ドメイン面積割合、光学異方性ドメイン面積分布、光学等方性ドメイン面積分布が本発明の範囲内にある場合、低温での入出力特性、高温での充放電サイクル容量維持特性、PC(プロピレンカーボネート)電解液を用いた場合での高い初回クーロン効率を得ることができることを示している。
本発明によれば、光学組織構造と、粒子形状、表面状態の最適な黒鉛材料を形成することにより、リチウムイオン二次電池用負極材として特に低温での入出力特性、高温での充放電サイクル容量維持特性と、低温での動作に有効なPC(プロピレンカーボネート)電解液耐性を得ることができる。また、本発明の黒鉛材料の製造方法は、経済性、量産性に優れ、今後期待される大型リチウムイオン二次電池用として優れた性能を発揮する。本発明の電池または二次電池は、従来の鉛二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池が主に使用されていた分野、例えば、電動ドリル等の電動工具や、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)用等への適用が可能である。

Claims (14)

  1. 粉末XRD測定から得られる黒鉛結晶の(002)面の平均面間隔d002は0.3354nm以上0.3370nm以下、(112)回折線の結晶子の大きさLc(112)は3.0nm以上6.0nm以下、(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比I110/I004は0.30以上0.67以下、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザーによるラマン分光測定における1350〜1370cm−1の領域に存在するピーク強度IDと、1570〜1630cm−1の領域に存在するピーク強度IGとの比であるID/IGが0.05以上0.30以下を示し、下記(A)、(B)および(C)の条件を満足することを特徴とする負極活物質用黒鉛材料:
    (A)黒鉛材料を含む成形体断面において、一辺が100μmの正方形領域を任意に10箇所選んだとき、該領域中に現れる黒鉛材料の断面において、光学異方性ドメインの面積割合が65.0%以上90.0%以下
    (B)前記断面において観察される光学異方性ドメインについて、面積の小さなドメインから面積を累積し、その累計面積が全光学異方性ドメイン面積に対して10%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(10)とし、50%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(50)とし、90%の面積となるときの光学異方性ドメイン面積をDa(90)とした場合、
    (1)0.5μm≦Da(10)≦2.0μm
    (2)0.6μm≦Da(50)≦4.0μm
    (3)0.7μm≦Da(90)≦30.0μm
    (C)前記断面において観察される光学等方性ドメインについて、面積の小さなドメインから面積を累積し、その累計面積が全光学等方性ドメイン面積に対して10%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(10)とし、50%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(50)とし、90%の面積となるときの光学等方性ドメイン面積をDc(90)とした場合、
    (1)0.5μm≦Dc(10)≦1.0μm
    (2)0.6μm≦Dc(50)≦2.0μm
    (3)0.7μm≦Dc(90)≦14.0μm
  2. BET比表面積が1.5m/g以上4.0m/g以下である請求項1に記載の黒鉛材料。
  3. レーザー回析法による体積基準の平均粒子径(D50)が4.0μm以上20.0μm以下である請求項1または2に記載の黒鉛材料。
  4. (002)回折線の結晶子の大きさLc(002)が50nm以上80nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の黒鉛材料。
  5. 平均円形度が0.86以上0.95以下である請求項1〜4のいずれかに記載の黒鉛材料。
  6. タップ密度が0.55g/m以上1.30g/m以下である請求項1〜5のいずれかに記載の黒鉛材料。
  7. 前記黒鉛材料の表面が他の炭素材料で被覆された粒子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の黒鉛材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料を含む電池電極用炭素材料。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料100質量部と、0.3354nm以上0.3370nm以下の平均面間隔(d002)を有する球状天然黒鉛または人造黒鉛0.01〜200質量部とを含む電池電極用炭素材料。
  10. 請求項8または9に記載の電池電極用炭素材料とバインダーとを含む電極用ペースト。
  11. 請求項10に記載の電極用ペーストの成形体を含む電極。
  12. 請求項11に記載の電極を構成要素として含む電池。
  13. 請求項12に記載の電極を構成要素として含むリチウムイオン二次電池。
  14. アスファルテン分と樹脂分の組成の合計が20質量%以上60質量%以下、硫黄分が0.5質量%以上6.0質量%以下、灰分が0.2質量%以上1.0質量%以下の原油蒸留残渣に、コークスドラム前の加熱炉ヒーター出口温度を550℃〜580℃に制御したディレードコーキングを行ない、それにより得られたマイクロ強度が20質量%以上40質量%以下の炭素材料を粉砕し、2500〜3600℃以下の温度で黒鉛化処理する工程を含む請求項1〜7のいずれかに記載の黒鉛材料の製造方法。

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