JP2022032057A - リチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料 - Google Patents

リチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料 Download PDF

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Abstract

【課題】大型電池が要求する、高サイクル特性と高レート特性と高エネルギー密度を併せ持った電極が作製可能なリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の提供。【解決手段】X線回折測定による(002)面の平均面間隔d002が0.3354nm以上0.3370nm以下であり、表面粗さが6.0~14.0であり、偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される以下の(1)~(4)の条件を満足するリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。(1)5μm2≦Da(10)≦20μm2、(2)40μm2≦Da(50)≦250μm2、(3)200μm2≦Da(90)≦500μm2、(4)光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対して、光学異方性ドメイン面積の割合が95.0~99.0%。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料、およびその黒鉛材料を負極材に用いたリチウムイオン二次電池に関する。
携帯機器の電源として、リチウムイオン二次電池がそのエネルギー密度の大きさやサイクル寿命が長いことから主流になっている。携帯機器はその機能が多様化し消費電力が大きくなっているため、リチウムイオン二次電池には、そのエネルギー密度をさらに増加させ、同時に充放電サイクル特性を向上させることが求められている。また最近では、電動ドリル等の電動工具や、ハイブリッド自動車用等、高出力で大容量の二次電池への要求が高まっている。この分野は従来、鉛二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池が主に使用されているが、小型軽量で高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池への期待は高く、大電流負荷特性(レート特性)に優れたリチウムイオン二次電池が求められている。
特に、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)等の自動車用途においては、10年間以上にわたる長期間のサイクル特性と、ハイパワーモーターを駆動させるためのレート特性を主たる要求特性とし、さらに航続距離を伸ばすための高い体積エネルギー密度も要求され、モバイル用途に比して過酷なものとなっている。
このリチウムイオン二次電池は、一般に正極活物質にコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの金属酸化物やこれらの複合酸化物が使用され、電解液にリチウム塩が使用され、負極活物質に黒鉛などの炭素質材料が使用されている。黒鉛としては、天然黒鉛と人造黒鉛とがある。
天然黒鉛は一般的に安価であり、高結晶性であるため高容量であるとの利点がある。しかし、形状が鱗片状であるため、バインダーとともにペーストにし、それを集電体に塗布すると、天然黒鉛が一方向に配向してしまう。そのような電極で充電すると電極が一方向にのみ膨張し、電流特性やサイクル寿命など、電極としての性能を低下させる。天然黒鉛を造粒して球状にした球状化天然黒鉛が提案されているが、電極作製時のプレスによって球状化天然黒鉛が潰れて配向してしまう。また、高結晶性の欠点として、天然黒鉛の表面活性が高いために初回充電時にガスが多量に発生し、初期効率が低く、それによって、さらに、サイクル寿命が悪化する。これらを解決するため、特許文献1では、球状に加工した天然黒鉛の表面に、人造カーボンをコーティングする方法が提案されている。しかし、本方法で作製された材料は、モバイル用途等が要求する高容量・低電流・中サイクル特性については対応可能であるが、上記のような大型電池の大電流、長期サイクル特性といった要求を満たすことは非常に難しい。また、天然黒鉛は鉄などの金属不純物が多く、品質安定性の面でも問題がある。
人造黒鉛として、石油、石炭ピッチ、コークス等を黒鉛化処理したものは比較的安価に入手できる。しかし、結晶性のよい針状コークスは鱗片状になり配向しやすい。この問題を解決するため、特許文献2に記載された方法が成果を上げている。この方法は、人造黒鉛原料の微粉の他、天然黒鉛等の微粉も使用可能であり、これまでの小型リチウムイオン二次電池用黒鉛としては、高容量で優れた特性を有する。しかし、自動車用途の要求特性を満足するためには、使用量の増加に向けた生産性の向上や製造コスト低減、不純物管理、サイクル特性、保存特性の向上などが必須である。
また、特許文献3に記載されている、いわゆるハードカーボンや、非結晶質カーボンを用いた負極材料は、大電流に対する特性に優れ、また、サイクル特性も比較的良好である。しかし、体積エネルギー密度があまりにも低く、また、価格も非常に高価なため、一部の特殊な大型電池にしか使用されていない。
特許第3534391号公報 特許第3361510号公報 特開平7-320740号公報
従来の技術では、大型電池が要求する、高サイクル特性と高レート特性と高エネルギー密度を併せ持った電極が作製可能なリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料を得ることができなかった。
本発明は以下の構成からなる。
[1]X線回折測定による(002)面の平均面間隔d002が0.3354nm以上0.3370nm以下であり、ラマン分光スペクトル測定による1300~1400cm-1の範囲にあるピークの強度(ID)と1580~1620cm-1の範囲にあるピークの強度(IG)との比ID/IG(R値)が0.09以上0.40以下であり、表面粗さが6.0~14.0であり、
(表面粗さは、粒度分布から算出される球換算面積に対するBET表面積の比(BET表面積/粒度分布から算出される球換算面積)により求められる。)
偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される以下の(1)~(4)の条件を満足するリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
(1) 5μm≦Da(10)≦20μm
(2) 40μm≦Da(50)≦250μm
(3) 200μm≦Da(90)≦500μm
(4)光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対して、光学異方性ドメイン面積の割合が95.0%以上99.0%以下
(上記式中、Da(n)は、光学異方性ドメインの面積を小さいものから順に積算していった際、その積算値が全光学異方性ドメインの面積(μm)のn%に達した際の最大ドメインの面積(μm)を表す)
[2]偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される光学異方性ドメイン面積と光学異方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対して、空隙面積が1.0%以下である前記1に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
[3]偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察において、
Db(99.5)/Da(100)が0.75以下である前記1~2のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
(Db(m)は、光学異方性ドメインを面積の小さい順に配列させた際、その個数の合計が、光学異方性ドメインの個数の合計(B)のm%に達した際の最大ドメインの面積値(μm)を表わす。)
[4]偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される光学異方性ドメインのうち、長辺部の長さの最大値をLmax、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径(D50)をLaveとした場合、Lmax/Laveが0.5以下である前記1~3のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
[5]レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径分布における10%粒子径(D10)が4.0μm以上16.0μm以下、50%粒子径(D50)が10.0μm以上30.0μm以下、90%粒子径(D90)が25.0μm以上80.0μm以下である前記1~4いずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料。
[6]BET比表面積が0.5m/g以上6.0m/g以下である前記1~5いずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料。
[7]円形度が0.89以上0.90以下である前記1~6いずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
[8]粒度の均一度(D60/D10)が1.5以上3.0以下である前記1~7いずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
[9]表面酸素量が0.010以上0.030以下である前記1~8いずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
[10]前記1~9のいずれか1つに記載の黒鉛材料を含む負極活物質。
[11]前記10に記載の負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極。
[12]前記11に記載の負極を用いたリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、大型電池が要求する、高サイクル特性と高レート特性と高エネルギー密度を併せ持った電極が作製可能なリチウムイオン二次電池用黒鉛材料得ることができる。
以下、本発明の実施態様を詳細に説明する。
[1]黒鉛材料
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料を以下で詳細に説明する。
[1-1]d002、Lc
本発明の一実施形態における黒鉛材料のX線回折測定による(002)面の平均面間隔d002は0.3354nm以上である。0.3354nmは黒鉛結晶のd002の下限値である。また、d002は0.3356nm以上が好ましい。0.3356nm以上であると、黒鉛結晶組織が発達しすぎていないため、サイクル特性に優れる。d002は0.3370nm以下である。0.3370nm以下であると、放電容量が大きくなり、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。同様の観点から、0.3365nm以下が好ましく、0.3360nm以下がより好ましい。
本発明の一実施形態における黒鉛材料のX線回折測定による(002)回折線の結晶子サイズLcは80nm以上が好ましい。80nm以上であると、放電容量が大きくなり、大型電池に要求されるエネルギー密度を満足する電池が得られる。同様の観点から90nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましい。Lc(002)は1000nm以下が好ましい。1000nm以下であると、黒鉛結晶組織が発達しすぎていないため、サイクル特性に優れる。同様の観点から500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましい。
黒鉛結晶面間隔d002、結晶子サイズLcは粉末X線回折(XRD)法を用いて測定することができる(Iwashita et al.,Carbon vol.42(2004),p.701-714参照)。
[1-2]表面粗さ
粒度分布から算出される球換算面積に対するBET表面積の比(BET表面積/粒度分布から算出される球換算面積)により表面粗さが求められる。(大島敏男など、粉体工学会誌、30巻、7号(1993)496-501参照)
本発明の一実施態様における黒鉛材料の表面粗さは6.0以上である。6.0以上であると抵抗が下がり、レート特性が向上する傾向が見られる。同様の観点から7.0以上がより好ましく、8.0以上がさらに好ましい。表面粗さは14.0以下が好ましい。14.0以下であると電解液との副反応が抑えられサイクル特性が優れる。同様の観点から13.0以下がより好ましく、12.0以下がさらに好ましい。
BET比表面積は、窒素ガス吸着法を用いた比表面積計(例えば、Quantachrome社製NOVA-1200)を用いて決定することができる。
粒度分布から算出される球換算面積(S)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、マルバーン社製マスターサイザー)を用いて得られる粒度分布のデータに基づいて次式によって算出することができる。
Figure 2022032057000001
Viは粒径区分i(平均径d)の相対体積、ρは粒子密度、Dは粒径をそれぞれ表す。
[1-3]偏光顕微鏡による黒鉛材料の光学組織評価
偏光顕微鏡によって黒鉛材料の光学組織を評価することができる。
[1-3-1]光学異方性ドメインの面積割合
黒鉛材料は、光学的に異方性を示すドメイン(結晶が発達し黒鉛網面が整ったドメイン。以下、光学異方性ドメインと記す)と光学的に等方性を示すドメイン(結晶が未発達、もしくはハードカーボンのような結晶の乱れが大きいドメイン。以下、光学等方性ドメインと記す)と空隙とで構成される。ここでドメインとは光学組織が連続している単位領域を示す。測定方法は実施例に記載の方法による。
本発明の一実施態様における黒鉛材料では、光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメインの面積空隙面積の合計に対する光学異方性ドメイン面積が95.0%以上である。光学異方性ドメインは、リチウムイオン等の挿入脱離に寄与するため、95.0%以上であるとエネルギー密度が大きくなる。同様の観点から96.0%以上が好ましい。光学異方性ドメインの面積は99.0%以下である。99.0%以下であると光学等方性ドメインが十分に確保でき、サイクル特性、レート特性に優れる。同様の観点から98.0%以下が好ましい。
本発明の一実施態様における黒鉛材料では、光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対する光学等方性ドメイン面積は1.0%以上が好ましい。1.0%以上であると、レート特性、サイクル特性に優れる。同様の観点から1.5%以上がより好ましい。光学等方性ドメインの面積は5.0%以下が好ましい。5.0%以下であると、光学異方性ドメインが十分に確保でき、エネルギー密度に優れる。同様の観点から4.0%以下が好ましい。
本発明の一実施態様における黒鉛材料では、光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対する空隙面積は1.0%以下が好ましい。空隙は充放電に直接は寄与しないので1.0%以下であると、エネルギー密度が高くなる。同様の観点から0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
[1-3-2]Da
本発明の一実施態様における黒鉛材料において、光学異方性ドメインの大きさの分布の観点から、光学異方性ドメイン面積を面積が小さい順に積算していった際、その積算値の合計が、光学異方性ドメイン面積の合計のn%に達した際の最大ドメインの面積値をDa(n)をとした場合、Da(10)は5μm以上である。各Daがこの範囲内であると放電容量、サイクル特性、レート特性をいずれも高くすることができる。同様の観点から7μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。Da(10)は20μm以下である。上記観点から16μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましい。
Da(50)は40μm以上であり、上記観点から100μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましい。Da(50)は250μm以下であり、上記観点から230μm以下が好ましく、210μm以下がより好ましい。
Da(90)は200μm以上であり、上記観点から250μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましい。Da(90)は500μm以下であり、上記観点から450μm以下が好ましく、420μm以下がより好ましい。
Da(30)は10μm以上が好ましく、上記観点から20μm以上がより好ましく、30μm以上がさらに好ましい。Da(30)は90μm以下であり、上記観点から80μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましい。
[1-3-3]Db/Da
本発明の一実施態様における黒鉛材料において、光学異方性ドメインの大きさの分布の観点から、光学異方性ドメイン面積を面積の小さい順に配列させた際、その個数の合計が、光学異方性ドメインの個数の合計のm%に達した際の最大ドメインの面積値をDb(m)とした場合、Db(99.5)/Da(100)は0.75以下が好ましい。0.75以上であると光学組織ドメインの面積が十分に大きく、大きな放電容量が得られる。同様の観点から0.65以下がより好ましく、0.55以下がさらに好ましい。
[1-3-4]Lmax/Lave
本発明の一実施態様における黒鉛材料の光学異方性ドメインのうち、長辺部の長さの最大値をLmax、レーザー回折法による体積基準粒子径分布における50%粒子径 (D50)をLaveとした場合、Lmax/Laveは1.00以下であることが好ましい。Lmax/Laveが1.00以下であると、光学異方性ドメインが大きすぎず、一つ一つのドメインにおける炭素網目の向きが一方向に配向せずに任意の方向を向くことから、充放電時の結晶子の膨張収縮が分散され結果として電極の変形量は小さくなる。これにより、充放電を繰り返しても粒子同士の電気的接点を失う確率が低減され、サイクル特性は向上する。また、イオンの出入りする黒鉛のエッジが電極表面に存在する確率も高まる為、レート特性も有利になる。同様の観点から0.95以下が好ましい。
Laveの測定はマルバーン製マスターサイザー等のレーザー回折式粒度分布測定器を使用して測定することができる。
[1-3-5]Cmin
光学異方性ドメインの向きは、偏光顕微鏡の検光子に対してサンプルを0度から45度回転した場合のドメイン干渉色の変化から確認できる。この場合、ドメインの向きにより、ブルー、イエロー、マゼンタの3種の干渉色に分類できるが、各色の面積の合計値のうち、最も小さいものの面積割合をCminと表し、この値が大きいとドメインの向きがランダムであり、異方性組織が大きく成長していないことを示し、小さいと揃っていて異方性組織が大きく成長していることを示す。
本発明の一実施態様における黒鉛材料の光学異方性ドメインの向きのランダムさを表すCminは20%以下が好ましい。20%以下であると異方性組織が十分に成長し放電容量が高くなる。同様の観点から15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましい。
[1-4]ラマンR値
本発明の一実施形態における黒鉛材料のラマン分光スペクトルで測定される1360cm-1の付近にあるピーク強度(ID)と1580cm-1の付近にあるピーク強度(IG)との強度比ID/IG(R値)は0.09以上が好ましい。0.09以上ではリチウムの出入りの障壁が低くなり、電流負荷特性が向上しやすくなる。同様の観点から0.10以上が好ましく、0.12以上がさらに好ましい。ID/IG(R値)は0.40以下が好ましい。0.40以下であると活性の高いエッジ部分の過度の露出が抑えられ、クーロン効率を高くできる。同様の観点から0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましい。
[1-5]レーザー回折法による体積基準粒子径分布
本発明の一実施形態における黒鉛材料のレーザー回折法による体積基準粒子径分布における50%粒子径(D50)は6.0μm以上が好ましい。6.0μm以上であると、塗工性が増し生産効率が向上し、さらにクーロン効率が高くなり易い。同様の観点から10.0μm以上がより好ましく、15.0μm以上がさらに好ましい。(D50)は30.0μm以下が好ましい。30μm以下であると、レート特性を高くすることができる。同様の観点から29.0μm以下がより好ましく、27.0μm以下がさらに好ましい。
本発明の一実施形態における黒鉛材料のレーザー回折法による体積基準粒子径分布における10%粒子径(D10)は1.0μm以上が好ましい。1.0μm以上であると、サイクル特性を高くすることができる。同様の観点から4.0μm以上がより好ましく、7.0μm以上がさらに好ましい。D10は16.0μm以下が好ましい。16.0μm以下であると、薄い電極を製造することができ高エネルギー密度化に有利である。
本発明の一実施形態における黒鉛材料のレーザー回折法による体積基準粒子径分布における90%粒子径(D90)は25.0μm以上が好ましい。D90は80.0μm以下が好ましい。80.0μm以下であると、薄い電極を製造することができ高エネルギー密度化に有利である。同様の観点から70.0μm以下がより好ましく、50.0μm以下がさらに好ましい。
レーザー回折法による体積基準粒子径分布はレーザー散乱回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製MASTERSIZER)にて測定することができる。
[1-6]BET比表面積
本発明の一実施形態における黒鉛材料のBET比表面積は0.5m/g以上が好ましい。0.5m/g以上であると、レート特性を高くできる。同様の観点から0.8m/g以上がより好ましく、1.0m/g以上がさらに好ましい。BET比表面積は6.0m/g以下が好ましい。6.0m/g以下であると、クーロン効率やサイクル特性を高くすることができる。同様の観点から4.0m/g以下がより好ましく、3.0m/g以下がさらに好ましい。BET比表面積は実施例に記載のBET比表面積測定装置を用いて測定することができる。
[1-7]円形度
本発明の一実施形態における黒鉛材料の円形度は0.89以上が好ましい。0.89以上の材料は、エネルギー密度を高くできる。同様の観点から0.90以上がより好ましい。円形度は0.98以下が好ましい。0.98以下であると、粒子同士の接触を多くし易くレート特性が高い。同様の観点から0.96以下がより好ましい。円形度は実施例に記載の円形度測定装置を用いて測定することができる。
[1-8]粒度の均一度(D60/D10)
本発明の一実施形態における黒鉛材料における粒度の均一度(D60/D10)は1.5以上が好ましい。1.5以上であると粒子の電極塗工性に優れる。同様の観点から1.5以上の好ましく、1.8以上より好ましく、2.0以上がさらに好ましい。粒度の均一度(D60/D10)は3.0以下が好ましい。3.0以下であると均一度が小さい、すなわち粒度分布の幅が狭いことを示し、電極密度を高くできる。同様の観点から2.8以下より好ましく、2.6以下がさらに好ましい。ここで、D60はレーザー回折法による体積基準粒子径分布における60%粒子径であり、D10はレーザー回折法による体積基準粒子径分布における10%粒子径である。
[1-9]表面酸素量
黒鉛材料は、粉体への直接通電により黒鉛化すると表面が適度に酸化され表面が安定化され、電解液との副反応が抑えられる。
本発明の一実施形態における黒鉛材料において、7940eVの硬X線を用いたHAX-PES測定により得られるO1sのピーク強度から測定される粒子の表面から深さ方向に対し40nmまでの間の表面酸素量は0.010質量%以上が好ましい。0.010質量%以上であると、酸化の効果によりクーロン効率が向上する。同様の観点から0.010質量%以上がより好ましい。表面酸素量は0.040質量%以下が好ましい。表面酸素量が0.040質量%以下であると黒鉛材料の導電性低下に悪影響を及ぼさず、抵抗を低く抑えられるので、レート特性を高く維持できる。同様の観点から0.030質量%以下がより好ましい。
[2]リチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料の製造方法
本発明の一実施態様における黒鉛材料の製造方法は、炭素材料を粉砕して炭素粒子を得る工程と、炭素粒子を2800℃以上3300℃以下で熱処理して黒鉛材料を得る黒鉛化工程とを含む。
[2-1]炭素材料
本発明の一実施態様で用いる炭素材料は限定されないが、例えば石油ピッチ、石炭ピッチ、石炭コークス、石油コークス、石油由来バルクメソフェーズカーボン、石油由来メソフェーズマイクロビーズ、石炭由来バルクメソフェーズカーボン、石炭由来メソフェーズマイクロビーズ、およびこれらの混合物が熱処理されたものから選択することが好ましい。中でも石油由来バルクメソフェーズカーボン、石油由来メソフェーズマイクロビーズ、石炭由来バルクメソフェーズカーボン、石炭由来メソフェーズマイクロビーズ、石油由来メソフェーズピッチ、石炭由来メソフェーズピッチ、石油コークスがより好ましく、石油コークスがさらに好ましい。特にパラフィン含有量が40%以上の原油から得られた石油コークスが好ましい。パラフィン含有量が質量40%以上であると光学異方性ドメインの大きな黒鉛材料が得られ、高エネルギー密度、高サイクル特性点の電池が得やすい。同様の観点から50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
パラフィン含有量は原油成分のパラフィン成分、芳香族成分、レジン成分、アスファルテン成分の合計量を100質量%としたときのパラフェン成分の質量から求められる。測定方法としてはTLC-FID法を用いて測定することができ、イオトロスキャン(株式会社LSIメディエンス製)にて測定することができる。
本発明の一実施態様で用いる炭素材料は、不活性雰囲気下で300℃から1200℃まで加熱した際、この温度領域における質量減少は0.1質量%以上が好ましい。0.1質量%以上になると粉砕時に粒子形状が塊状または球状になりやすく、電極を高密度にしやすい。また、負極として用いた場合に電解液との副反応が減少する。この理由としては、300℃から1200℃の加熱によって揮発する成分が、黒鉛化する時に露出したエッジ部分の結晶を安定化すると推定している。質量減少は3.0質量%以下が好ましい。3.0質量%以下では黒鉛化後の粒子同士の結着が少なく、収率が良い。
前記加熱減量分は、昇温速度10℃/分で、示差熱-熱重量同時測定(TG-DTA)が行える市販の装置を用いることによって測定することができる。実施例ではセイコーインスツルメント社製 TGDTAw6300を使用し、測定サンプル約15mgを正確に測りとり、白金製パンにのせて装置にセットし、アルゴンガスを200ml/分で流し、10℃/minで300℃から1200℃まで昇温して測定する。リファレンスとして和光純薬製αアルミナを1500℃で3hrあらかじめ処理し、揮発分を除去したものを用いる。
[2-2]粉砕工程
本発明の一実施態様で用いる炭素材料の粉砕方法は限定されないが、ジェットミル、ハンマーミル、ローラーミル、ピンミル、振動ミル等市販の粉砕機を用いて行うことができる。また、これらの粉砕機を2種類以上使用し、2段階で粉砕することもできる。炭素材料を粉砕することで炭素粒子を得る。
本発明の一実施態様で用いる炭素材料の最高熱履歴は600℃以下が好ましい。600℃以下であると粉砕時に鱗片状に解砕されエッジ面が多く露出することが無く、黒鉛化後負極として用いた場合に電解液との副反応が少なくなる。
本発明の一実施態様で用いる炭素粒子は800℃以上1500℃以下の熱処理をすることが好ましい。800℃以上であると熱処理すると黒鉛化処理時に抵抗値が下がり生産性が上がる。同様の観点から900℃以上がより好ましく、1000℃以下がさらに好ましい。1500℃以下であると炭素材料の揮発分が適度に残存し、黒鉛材料の表面が適切な状態になる同様の観点から1400℃以下がより好ましく、1300℃以下がさらに好ましい。熱処理の方法は限定されないが、例えばロータリーキルン、ローラーハースキルン、バッチ式焼成炉を用いることができ、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
本発明の一実施態様で用いる炭素粒子の安息角は、30°以上が好ましい。安息角が30°未満となると炭素材料の流動性が高くなることから、炉体への充填中に飛散したり通電中に粉体が噴出したりする場合がある。同様の観点から安息角は32°以上が好ましい。安息角は50°以下が好ましい。安息角が50°を超えると炭素材料の流動性が低下するため炉体内での充填性が低くなって生産性が低下し、炉全体の通電抵抗が極端に上がったりする場合がある。同様の観点から45°以下が好ましくは、40°以下がさらに好ましい。
安息角はタップデンサーを用いて測定することができる。具体的には、セイシン企業製KYT-4000を用い、50gの測定用サンプルを装置上部の専用投入口より自由落下させて、付属のテーブル上に三角錐型に堆積させ、次いで前記テーブルと三角錐の立ち上がり角度を分度器により測定し、安息角が求められる。
本発明の一実施態様で用いる炭素粒子の、緩め嵩密度(0回タッピング)と固め嵩密度(タップ密度)から算出される圧縮率((固め嵩密度-緩め嵩密度)/緩め嵩密度)は20%以上50%以下が好ましい。この範囲にあれば、バインダー及び溶剤と混練した電極スラリーを作製する際に、良好な流動性を持ち集電体上へ塗布しやすい電極スラリーを得ることができる。
緩め嵩密度は、高さ20cmから試料100gをメスシリンダーに落下させ、振動を加えずに体積と質量を測定して得られる密度である。また、固め嵩密度(タップ密度)は、カンタクローム製オートタップを使用して400回タッピングした100gの粉の体積と質量を測定して得られる密度である。
これらはASTM B527およびJIS K5101-12-2に準拠した測定方法であるが、タップ密度測定におけるオートタップの落下高さは5mmとした。
本発明の一実施態様で用いる炭素粒子の円形度は0.89以上が好ましい。0.89以上の材料は、密度を高くできるため黒鉛化時に熱を均一に分布できる。同様の観点から0.90以上がより好ましい。円形度は0.98以下が好ましい。0.98以下であると、粒子同士の接触が多くなり黒鉛化時の発熱効率が高い。同様の観点から0.96以下がより好ましい。
本発明の一実施態様で用いる炭素粒子の粒度の均一度(D60/D10)は1.5以上が好ましい。1.5以上であると均一度が小さい、すなわち粒度分布の幅が狭いことを示し、黒鉛化時の流動性が高く熱が均一に分布しやすい。同様の観点から1.5以上が好ましく、1.8以上より好ましく、2.0以上がさらに好ましい。粒度の均一度(D60/D10)は3.0以下が好ましい。3.0以下であると、流動性が良く、輸送性に優れる。同様の観点から2.8以下より好ましく、2.6以下がさらに好ましい。
[2-3]黒鉛化工程
本発明の一実施態様における黒鉛化工程は限定されないが、上記の炭素粒子に直接電流を流して発熱させることにより行うことが好ましい。
炭素粒子に直接電流を流す方法は限定されないが、例えば、セラミックスレンガ製で、上方が開口した直方体状の炉体を用いて行うことができる。このような炉体構造を採用すると、炭素粒子に熱が均一に加わるため、黒鉛化の際に凝集が生じないとの利点を有する。また、温度分布が均一で、不純物揮発のトラップ部分がないため不純物の少ない黒鉛材料が得られる。
黒鉛化処理は、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で熱処理する方法や、空気と接する面に酸素をバリヤする層を設ける方法が挙げられる。バリヤ層としては、例えば、炭素板や炭素粉体層などを別途設け、酸素を消費させる方法などが挙げられる。
黒鉛化処理温度は、2500℃以上が好ましく、2900℃以上がより好ましく、3000℃以上がさらに好ましい。黒鉛化処理温度の上限は、材料の昇華による変質を防ぐ観点から、3300℃以下が好ましい。黒鉛化処理後は、得られた黒鉛材料を解砕または粉砕しないことが好ましい。黒鉛処理化後に解砕または粉砕することで、表面のエッジ面が新たに露出し、性能が低下するおそれがある。
黒鉛化処理において、B4Cなどのホウ素化合物やSiCなどの珪素化合物のような黒鉛化助触媒を添加することが好ましい。配合量は炭素材料中10質量ppm以上100000質量ppm以下が好ましい。これにより黒鉛化の熱処理効率や生産性を上げることができる。
[3]リチウムイオン二次電池の負極活物質
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池の負極活物質は上記黒鉛材料を含む。
負極活物質は上記黒鉛材料からなるか、あるいはさらに他の黒鉛または炭素材料を含む。他の黒鉛または炭素材料を含む場合、黒鉛材料100.00質量部に対して、他の黒鉛材料または炭素材料を0.01~20.00質量部添加することが好ましい。他の黒鉛または炭素材料を混合して用いることにより、黒鉛材料の優れた特性を維持した状態で、他の黒鉛または炭素材料が有する優れた特性も兼ね備えた負極活物質とすることが可能である。同様の観点から0.01~100.00質量部配合することがより好ましい。他の黒鉛または炭素材料として、球状天然黒鉛や人造黒鉛が好ましい。
また、負極活物質には炭素繊維を配合することが好ましい。配合量は、前記負極活物質100.00質量部に対して、0.01~20.00質量部が好ましく、0.500~5.00質量部がより好ましい。
炭素繊維としては、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの有機系カーボンファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。これらのうち、特に、結晶性が高く、熱伝導性の高い、気相法炭素繊維が好ましい。炭素繊維を複合炭素粒子の表面に接着させる場合には、特に気相法炭素繊維が好ましい。
複合炭素粒子と他の材料を混合するための装置としては、市販の混合機、攪拌機を用いることができる。具体的な例としてはリボンミキサー、V型混合機、W型混合機、ワンブレードミキサー、ナウターミキサー等の混合機を挙げることができる。
[4]リチウムイオン二次電池用負極
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池用負極は、集電体とその集電体上に形成した負極活物質とバインダーを含む負極合剤からなる。負極合剤には導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤は例えばデンカブラック(登録商標、HS-100)、VGCF(登録商標)-H等が挙げられる。
集電体は、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュなどが挙げられる。ペーストの塗布厚は、50~200μmとすることが好ましい。ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1×10~3×10kg/cmとすることが好ましい。
バインダーは、例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)が挙げられる。
[5]リチウムイオン二次電池
リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造を有する。本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池は、負極として前記負極活物質を用いてなる。
リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属元素に対するモル比が0.3~2.2の化合物が用いられ、より好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属に対するモル比が0.3~2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式LiMO(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、x=0.02~1.2)、またはLi(Nは少なくともMnを含む。y=0.02~2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレーターを設けることがある。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
本発明の好ましい実施態様におけるリチウムイオン二次電池を構成する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できるが、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
以下、本発明に実施例を具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
実施例及び比較例の黒鉛材料の物性評価方法、電池の作製方法、電池の特性の測定方法、及び各例で用いた黒鉛材料は以下の通りである。
[6]黒鉛材料の物性評価方法、
[6-1]面間隔d002、Lc
黒鉛材料と標準シリコン(NIST製)が9対1の質量比になるように混ぜた混合物をガラス製試料板(試料板窓18×20mm、深さ0.2mm)に充填し、以下のような条件で測定を行った。
XRD装置:リガク製SmartLab(登録商標)
X線種:Cu-Kα線
Kβ線除去方法:Niフィルター
X線出力:45kV、200mA
測定範囲:24.0~30.0deg.
スキャンスピード:2.0deg./min.
得られた波形に対し、学振法を適用し面間隔d002、Lcの値を求めた。(Iwashita et al.,Carbon vol.42(2004),p.701-714参照)。
[6-2]レーザー回折法による体積基準粒子径、球換算面積算出
粒度測定装置:Marvern製Mastersizer2000
5mgのサンプルを容器に入れ、界面活性剤が0.04質量%含まれた水を加えて5分間超音波処理を行った後に測定を行った。
[6-3]BET比表面積
BET比表面積測定装置:Quantachrome製NOVA2200e
測定セル(9mm×135mm)に3gのサンプルを入れ、300℃、真空条件下で1時間乾燥後、測定を行った。BET比表面積測定用のガスはNを用いた。
[6-4]光学組織評価
黒鉛材料の光学組織評価は以下のようにして行った。(最新の炭素材料実験技術(分析・解析偏)炭素材料学会偏(2001年),出版:サイペック株式会社)
[6-4-1]黒鉛材料の調製
内容積30cmのプラスチック製サンプル容器の底に両面テープを貼り、その上にスパチュラ2杯ほど(2g程度)の観察用サンプルを乗せた。冷間埋込樹脂(商品名:冷間埋込樹脂#105,製造会社:ジャパンコンポジット(株),販売会社:丸本ストルアス(株))に硬化剤(商品名:硬化剤(M剤),製造会社:日本油脂(株),販売会社:丸本ストルアス(株))を加え、30秒練った。得られた混合物(5ml程度)を前記サンプル容器に高さ約1cmになるまでゆっくりと流し入れ、1日静置して硬化させた。次に硬化したサンプルを取り出し、両面テープを剥がした。そして、研磨板回転式の研磨機を用いて、測定する面を研磨した。
研磨は、回転面に研磨面を押し付けるように行った。研磨板の回転速度は1000rpmで行う。研磨板の番手は、#500、#1000、#2000の順に行い、最後はアルミナ(商品名:バイカロックス タイプ0.3CR,粒子径0.3μm,製造会社:バイコウスキー,販売会社:バイコウスキージャパン)を用いて鏡面研磨した。
研磨したサンプルをプレパラート上に粘土で固定し、偏光顕微鏡(OLYMPUS社製、BX51)を用いて反射モードにてランダムに10箇所観察を行った。
[6-4-2]偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察
偏光顕微鏡で観察した画像は、OLYMPUS製CAMEDIA C-5050 ZOOMデジタルカメラをアタッチメントで偏光顕微鏡に接続し、撮影した。撮影モードはHQ2560×1280とし、シャッタータイムは1.6秒で行った。撮影データは、bmp形式で株式会社ニレコ製画像解析装置LUZEX APを用いて読み込んだ。色データの表示形式は、IHPカラーとする(Iは輝度、Hは色相、Pは純度を示す)。画像は2560×1920画素で取込んだ。
選択した倍率の画像を、観察角度0度と45度においてそれぞれ同じ地点から正方形の領域(100μm四方)を切り抜き、その範囲内の全粒子について以下の解析を行い、平均を求めた。解析に用いている倍率は、対物レンズ×50、1画素=0.05μmで行った。粒子内の領域について、ブルー・イエロー・マゼンタ・ブラック・ピュアマゼンタについて色の抽出を行い、それぞれの面積比をカウントした。光学異方性ドメインは結晶子の向きにより色が変化するが、真正面を向いている確率はきわめて低いため、マゼンタを示しても、波長はピュアマゼンタとは若干異なることがほとんどである。一方、光学等方性ドメインは常にピュアマゼンタの波長を示す。そこで本発明では、ピュアマゼンタはすべて光学等方性領域と認定した。
色の抽出については、LUZEX APのコマンドを使用し、各色の抽出幅は、IHPのデータを以下の表1のように設定して行った。また、ノイズ除去のため、ロジカルフィルタのELIMINATE1のW-1コマンドを用い、1ドット以下の領域を除去する。カウントについては、ピクセル数を用い、画像の総和ピクセル数と、該当色ピクセル数を算出した。
Figure 2022032057000002
光学異方性ドメインとしては、偏光顕微鏡の検光子に対してサンプルを0度、45度、90度回転させた際に色が変化した部分の面積比を表2に示したように算出した。
Figure 2022032057000003
粒子面積(%)=B1+Y1+M1+K1+PM1
光学等方性面積比(%)=PM1
空隙面積比(%) =K1
光学異方性面積比(%)=100-(光学等方性面積比)-(空隙面積比)
同様にd45、d90についても算出し、d00とd45とd90の平均値をとり、当該粒子の値とした。
ここで炭素材料の空隙とは、粒子内の空隙を意味し、粒子間の空隙は含まない。
[6-5]ラマン分光分析
ラマン分光装置:日本分光株式会社NRS-5100
励起波長532.36nm、入射スリット幅200μm、露光時間15秒、積算回数2回、回折格子600本/mmの条件で測定を行い、1300~1400cm-1の範囲にあるピークの強度(ID)と1580~1620cm-1の範囲にあるピークの強度(IG)の強度比をR値(ID/IG)とした。
[7-6]円形度
円形度測定装置:フロー式粒子像分析装置FPIA-3000(シスメックス社製)
円形度とは、観測された粒子像の面積と同面積を有する円の周長を粒子像の周長で割ったものであり、1に近いほど真円に近い。円形度は粒子像の面積をS、周長をLとすると、以下の式で表すことができる。
円形度=(4πS)1/2/L
黒鉛材料を目開き106μmのフィルターを通すことで精製し、その試料0.1gを20mlのイオン交換水中に添加し、界面活性剤0.1~0.5質量%加えることによって均一に分散させ、測定用試料溶液を調製した。分散は超音波洗浄機UT-105S(シャープマニファクチャリングシステム社製)を用い、5分間処理することにより行った。得られた測定用試料溶液を装置に投入し、LPFモードで10000個の粒子に対して解析された円形度の個数基準の度数分布により円形度の中央値を算出した。
[7-7]表面酸素量
SPring-8(ビームラインBL46XU)に常設の装置を用いて、入射エネルギー7940eVのHAX-PES測定を行い、黒鉛材料表面の酸素量を定量した。測定条件は、C1sのナロースペクトルでは光電子のKinetic Energyが7638~7658eVのエネルギー範囲を測定し、O1sのナロースペクトルでは光電子のKinetic Energyが7396~7416eVのエネルギー範囲を測定した。黒鉛材料表面の酸素量は以下の方法に従って定量した。
[7-7-1]光電子スペクトルのエネルギー校正
標準試料として板状のAu試料の測定を行った。Au4fのナロースペクトルとしてKinetic Energyが7648~7859eVのエネルギー範囲を測定し、測定で得られたAu4f7/2のピーク位置とAu4f7/2の理論ピーク位置との差を計算することでBL46XUの常設装置の仕事関数φ値を算出した。算出したφ値を元に、黒鉛材のナロースペクトルのエネルギー校正を行った。
[7-7-2]光電子スペクトル強度の規格化
黒鉛材料のO1sナロースペクトル強度を任意のC1sナロースペクトル強度と測定で得られたC1sナロースペクトル強度をもとに規格化した。ノーマライズ強度x(O1s)は下記式1から算出した。
[式1]
ノーマライズ強度x(O1s)=測定強度(O1s)×任意の強度(C1s)/測定強度(C1s)
[7-7-3]黒鉛材料表面の酸素量の定量
上記に基づき、実施例及び比較例の黒鉛材料のノーマライズ強度(O1s)から、黒鉛材料の表面酸素量を下記式2より定量した。ここで、式2における任意の強度(C1s)は式1で用いた値である。
[式2]
黒鉛材料表面酸化量a(mol%)=(ノーマライズ強度x(O1s)/c任意の強度(C1s))×測定積算回数d(C1s)/測定積算回数e(O1s)
本測定は、非常に高輝度の放射光を用いることで、黒鉛材料表面から40nm程度の深度までの情報を積算している。そのため、黒鉛材料表面の汚染の影響をほとんど受けずに、精度の高い測定結果が得られる。黒鉛材料は主成分の炭素の占める割合が圧倒的に高いため、炭素のC1sナロースペクトル強度から規格化した上記方法による酸素量の算出は妥当である。
[7-8]電池評価
[7-8-1]ペースト作製:
黒鉛材料100質量部に呉羽化学社製KFポリマーL1320(ポリビニリデンフルオライド(PVDF)を12質量%含有したN-メチルピロリドン(NMP)溶液品)10質量部を加え、プラネタリーミキサーにて混練し、主剤原液とした。
[7-8-2]電極作製、電極密度:
主剤原液にNMPを加え、粘度を調整した後、高純度銅箔上でドクターブレードを用いて250μm厚に塗布した。これを120℃で1時間真空乾燥し、18mmφに打ち抜き、打ち抜いた電極を超鋼製プレス板で挟み、電極に対して2t/cmの圧でプレスした。その後、真空乾燥器で120℃、12時間乾燥して、評価用電極とした。このときの活物質質量を活物質の体積で除算し、電極密度(g/cm3)とした。
[7-8-3]電池作製:
下記のようにして電池を作製した。なお以下の操作は露点-80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で実施した。
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内において、上記[7-8-2]で作製した銅箔付き電極と金属リチウム箔をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層した。これに電解液を加えフタをして評価用電池とした。電解液としてはEC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合液に、電解質としてLiPFを1モル/リットル溶解したものを使用した。
[7-8-4]放電容量、エネルギー密度、クーロン効率
25℃に設定した恒温槽内でレストポテンシャルから0.002Vまで0.4mAでCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、カットオフ電流値50.8μAで充電を行った。上限電圧1.5VとしてCCモードで0.4mAで放電を行った。
初回放電時の電気量をリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料の重量で割った値を放電容量とした。また、放電容量(0.2C)と電極密度を乗算し、体積エネルギー密度とした。また初回充電時の充電容量と初回放電時の放電容量比率、すなわち初回放電容量/初回充電容量を百分率で表した値をクーロン効率とした。
[7-8-5]レート特性
25℃に設定した恒温槽内で行った。充電(黒鉛へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行う。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させた。放電(炭素からの放出)は電流密度0.2Cおよび3Cで定電流定電圧放電試験を行い、電圧1.5Vでカットオフした。放電容量(3C)/放電容量(3C)の値を放電レート特性とした。
[7-8-6]サイクル特性
60℃に設定した恒温槽中で充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させた。
放電(黒鉛からの放出)は電流密度1CでCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。放電を200サイクル繰り返した。200サイクル目放電容量/1サイクル目放電容量の値をサイクル特性とした。
実施例1:
パラフィン含有量45質量%の中国産原油に対してディレードコーキングプロセスを用いて得られた石油コークスを炭素材料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーで気流分級してD50を17.0μmとし、日本碍子製ローラーハースキルンで窒素ガスを流しながら、1000℃で熱処理し、炭素粒子1を得た。炭素粒子1の物性を表3にまとめた。
セラミックレンガで縦500mm、横1000mm、深さ200mmの炉を作り、内側の両端面に450×180mm、厚み20mmの炭素電極板を設置した。その炉の中に、上記炭素粒子1を詰め込み、窒素ガス投入口と排気口が設けられた蓋をした。トランスを設置し、窒素ガスを流しながら、電極板間に約5時間電流を流すことで加熱し、最高温度3200℃で黒鉛化した。
得られた黒鉛材料1の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
実施例2:
炭素材料をD50=15.0μmとなるように粉砕・分級した以外は実施例1と同様の製造方法を用い炭素粒子2を得た。炭素粒子2の物性を表3にまとめた。
以降の工程も実施例1と同様の方法で製造し、得られた黒鉛材料2の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
実施例3:
炭素材料をD50=24.0μmとなるように粉砕・分級した以外は実施例1と同様の製造方法を用い炭素粒子3を得た。炭素粒子3の物性を表3にまとめた。
以降の工程も実施例1と同様の方法で製造し、得られた黒鉛材料3の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
実施例4:
炭素材料をD50=27.0μmとなるように粉砕・分級した以外は実施例1と同様の製造方法を用い炭素粒子4を得た。炭素粒子4の物性を表3にまとめた。
以降の工程も実施例1と同様の方法で製造し、得られた黒鉛材料4の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
実施例5:
パラフィン含有量65質量%の中国産原油に対してディレードコーキングプロセスを用いて得られた石油コークスを炭素材料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーで気流分級してD50を23.0μmとし、日本碍子製ローラーハースキルンで窒素ガスを流しながら、1000℃で熱処理し、炭素粒子5を得た。炭素粒子5の物性を表3にまとめた。以降の工程は実施例1と同様の製造方法で製造し、得られた黒鉛材料5の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例1:
パラフィン含有量27質量%のベネズエラ産原油に対してディレードコーキングプロセスを用いて得られた石油コークスを炭素材料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーで気流分級してD50を16.0μmとし、日本碍子製ローラーハースキルンで窒素ガスを流しながら、1000℃で熱処理し、炭素粒子6を得た。炭素粒子6の物性を表3にまとめた。
以降の工程は実施例1と同様の製造方法で製造し、得られた黒鉛材料6の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例2:
パラフィン含有量32質量%のメキシコ産原油に対してディレードコーキングプロセスを用いて得られた石油コークスを炭素材料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーで気流分級してD50を16.0μmとし、日本碍子製ローラーハースキルンで窒素ガスを流しながら、1000℃で熱処理し、炭素粒子7を得た。炭素粒子7の物性を表3にまとめた。
以降の工程は実施例1と同様の製造方法で製造し、得られた黒鉛材料7の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例3:
パラフィン含有量36質量%のカリフォルニア産原油に対してディレードコーキングプロセスを用いて得られた石油コークスを炭素材料に用いた。これをホソカワミクロン製バンタムミルで粉砕し、日清エンジニアリング製ターボクラシファイアーで気流分級してD50を16.0μmとし、日本碍子製ローラーハースキルンで窒素ガスを流しながら、1000℃で熱処理し、炭素粒子8を得た。炭素粒子8の物性を表3にまとめた。
以降の工程は実施例1と同様の製造方法で製造し、得られた黒鉛材料8の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例4:
炭素粒子2をネジ蓋つき黒鉛ルツボに充填し、アチソン炉を用いて最高温度3200℃で黒鉛化し、黒鉛材料9を得た。黒鉛材料9の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例5:
炭素粒子3をネジ蓋つき黒鉛ルツボに充填し、アチソン炉を用いて最高温度3200℃で黒鉛化し、黒鉛材料10を得た。黒鉛材料10の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例6:
D50=7μmの中国産天然黒鉛600gを奈良機械製ハイブリダイザーNHS1型に投入しローター周速度60m/secにて3分間処理し平均粒子径15μmの球状黒鉛粒子を得た。この球状黒鉛粒子3kgと石油系タール1kgを、(株)マツボー社製のM20型レディゲミキサー(内容積20リットル)に投入し、混練を行った。続いて、窒素ガス雰囲気下にて700℃まで昇温して脱タール処理した後に、1300℃まで昇温して熱処理を行った。得られた熱処理物をピンミルにて解砕し、黒鉛材料11を得た。黒鉛材料11の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例7:
大阪ガス製MCMB2528(黒鉛化温度 2800℃)を購入し黒鉛材料12として各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
比較例8:
石炭コークスをバンタムミル(ホソカワミクロン(株)製)を用いて粉砕し、ターボクラシファイアー(日清エンジニアリング(株)製)を用いて気流分級によりD50=6mの炭素粒子9を得た。
炭素粒子9 100質量部と石炭系ピッチ100質量部とを混合し、200℃の熱を加えながら30分間混練した。その後、誘導加熱炉を用いてアルゴンガス気流下において3200℃の熱処理を10分間行い、D50=23.0μmとなるように粉砕し黒鉛材料13を得た。黒鉛材料13の各種物性および電池評価結果を、表4にまとめた。
Figure 2022032057000004
Figure 2022032057000005

Claims (12)

  1. X線回折測定による(002)面の平均面間隔d002が0.3354nm以上0.3370nm以下であり、ラマン分光スペクトル測定による1300~1400cm-1の範囲にあるピークの強度(ID)と1580~1620cm-1の範囲にあるピークの強度(IG)との比ID/IG(R値)が0.09以上0.40以下であり、表面粗さが6.0~14.0であり、
    (表面粗さは、粒度分布から算出される球換算面積に対するBET表面積の比(BET表面積/粒度分布から算出される球換算面積)により求められる。)
    偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される以下の(1)~(4)の条件を満足するリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
    (1) 5μm≦Da(10)≦20μm
    (2) 40μm≦Da(50)≦250μm
    (3) 200μm≦Da(90)≦500μm
    (4)光学異方性ドメイン面積と光学等方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対して、光学異方性ドメイン面積の割合が95.0~99.0%
    (上記式中、Da(n)は、光学異方性ドメインの面積を小さいものから順に積算していった際、その積算値が全光学異方性ドメインの面積(μm)のn%に達した際の最大ドメインの面積(μm)を表す)
  2. 偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される光学異方性ドメイン面積と光学異方性ドメイン面積と空隙面積の合計100.0%に対して、空隙面積が1.0%以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
  3. 偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察において、
    Db(99.5)/Da(100)が0.75以下である請求項1~2のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
    (Db(m)は、光学異方性ドメインを面積の小さい順に配列させた際、その個数の合計が、光学異方性ドメインの個数の合計(B)のm%に達した際の最大ドメインの面積値(μm)を表わす。)
  4. 偏光顕微鏡による黒鉛材料の断面観察から測定される光学異方性ドメインのうち、長辺部の長さの最大値をLmax、レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径(D50)をLaveとした場合、Lmax/Laveが0.5以下である請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
  5. レーザー回折法により測定した体積基準の粒子径分布における10%粒子径(D10)が4.0μm以上16.0μm以下、50%粒子径(D50)が10.0μm以上30.0μm以下、90%粒子径(D90)が25.0μm以上80.0μm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料。
  6. BET比表面積が0.5m/g以上6.0m/g以下である請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池電極用黒鉛材料。
  7. 円形度が0.89以上0.90以下である請求項1~6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
  8. 粒度の均一度(D60/D10)が1.5以上3.0以下である請求項1~7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
  9. 表面酸素量が0.010以上0.030以下である請求項1~8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極用黒鉛材料。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の黒鉛材料を含む負極活物質。
  11. 請求項10に記載の負極活物質を含むリチウムイオン二次電池用負極。
  12. 請求項11に記載の負極を用いたリチウムイオン二次電池。

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