JP4215633B2 - 複合黒鉛粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の負極材として、高負荷特性および高サイクル特性を有し、さらに高放電容量で、低不可逆容量の複合黒鉛粒子の提供を目的とする
近年、電子機器や通信機器の小型化および軽量化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として用いられる二次電池に対しても小型化および軽量化の要求が強く、高エネルギー密度で、かつ高電圧を有するリチウムイオン二次電池が提案されている。リチウムイオン二次電池は、正極に、例えば、コバルト酸リチウムを使用し、負極に黒鉛などの炭素質材料を使用して、充電時にリチウムイオンを負極に吸蔵させ、放電時にこれらのリチウムイオンを負極から放出させるものである。
この負極材としては、天然の鉱物資源である天然黒鉛と石油系あるいは石炭系の重質油から誘導されるMCMB(メソカーボンマイクロビーズ)や、特許文献1に記載のように、メソフェーズピッチの微粒子を黒鉛化した人造黒鉛が使用されている。一般的には、炭素質材料の黒鉛化性とそれを用いた負極材の放電容量には相関性があり、炭素質材料の黒鉛化性がよい程、電極として用いた場合に放電容量が高くなる傾向にある。そのため、高結晶性である鱗片状天然黒鉛は、黒鉛の理論放電容量である372mAh/gに匹敵する放電容量を示す。ただし、形状が鱗片状であるために、集電体への塗工性に劣り、集電体に対する粒子の配向が起こる。このような物理的な問題のために、電極面内の電気抵抗が高くなり、結果的には、負極材として用いた場合、電池の不可逆容量が大きくなったり、高負荷特性が悪くなったり、電池としてのサイクル特性が悪くなるなどの問題が出てきている。
近年、電子機器の小型化あるいは高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望はますます高まっている。リチウムイオン二次電池は、他の二次電池に比べて高電圧化が可能なのでエネルギー密度を高められるため注目されている。リチウムイオン二次電池は、負極、正極および非水電解質を主たる構成要素とする。非水電解質から生じるリチウムイオンは、放電および充電過程で負極および正極間を移動し、二次電池となる。通常、上記のリチウムイオン二次電池の負極材料には、炭素材料が使用される。このような炭素材料として、特に充放電特性に優れ、大きい放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛が有望視されている(特許文献2など)。
黒鉛は、縮合多環六角網平面(本発明では、炭素網面とも呼ぶ)からなる三次元結晶規則性(本発明では、結晶性とも呼ぶ)が発達するほど、リチウムとの層間化合物を安定して形成しやすい。よって、黒鉛の結晶性が高いほど、多量のリチウムが炭素網面の層間に挿入されるので、放電容量を大きくできることが報告されている(非特許文献1など)。炭素網面層へのリチウムの挿入量により種々の層構造が形成され、それらが共存する領域では平坦でかつリチウム金属に近い高い電位を示すことも報告されている(非特許文献2など)。従って、黒鉛を負極材に用いてリチウムイオン二次組電池を組み立てた場合には、高出力を得ることが可能となる。一般的に、負極材料として黒鉛を使用した場合の理論容量は、最終的に黒鉛とリチウムとが理想的な黒鉛層間化合物であるLiC6を形成した場合の放電容量と規定されており、この限界放電容量は372mAh/gとされている。
しかし、黒鉛を負極材料としたリチウムイオン二次電池では、黒鉛の結晶性が高くなるほど、初回の充電時に電解液の分解などの副反応が黒鉛表面で起こりやすくなる。この副反応は、分解生成物が黒鉛表面に堆積して成長し、黒鉛の電子が溶媒などに直接移動できない程度の厚みになるまで継続する。初回充電時の副反応は、電池反応には関与しないので、初回の放電過程で電気量として取り出すことができない所謂不可逆容量を著しく増加させる。すなわち、初回の充電容量に対する初回の放電容量の比率(本発明では、初期充放電効率とも呼ぶ)が低下するという問題がある(非特許文献3など)。不可逆容量は、下式により表される。
不可逆容量=初回の充電容量−初回の放電容量
また、溶媒分子とリチウムイオンとがコインターカレート(co-intercalation)して黒鉛表面層が剥げ落ち、新たに露出した黒鉛表面が電解液と反応することにより初期充放電効率が低下することも報告されている(非特許文献4)。このような初期充放電効率の低下を補償する手段として、二次電池の正極材を追加する方法が知られている。しかし、余分な正極材の添加は、エネルギー密度を減少させるという新たな問題を発生させてしまう。
上記のように、黒鉛を負極材料として用いたリチウムイオン二次電池では、大きい放電容量と高い初期充放電効率を両立させることは、黒鉛の結晶化度に依存する二律背反する要求となる。これを解決する方法として、放電容量の増大に有利な高結晶性の黒鉛を核として、その表面を初期充放電効率の向上に有利な低結晶性の黒鉛あるいは炭素で被覆し、複合構造とする方法が提案されている。なぜなら、低結晶性の炭素は、放電容量は小さいものの電解液に対する分解反応性が低いからである。
このような結晶性の異なる複合構造の炭素材を用いた従来技術を大別すれば、次のようになる。
(1)核となる高結晶性黒鉛の表面を、プロパンやベンゼンなどの有機化合物の熱分解ガスから導かれる低結晶性の炭素で被覆するもの(例えば、特許文献3および4)。
(2)核となる高結晶性黒鉛に、ピッチや硬化性樹脂などを液相で被覆あるいは含浸した後、1,000℃程度の温度で焼成して表層に低結晶性の炭素を形成するもの(例えば、特許文献5〜12)。
しかしながら、何れの方法も、放電容量の増大に関する近年の要求レベルに対しては未だに充分とはいえない。上記(1)の方法は、工業的生産の観点からは製造工程が煩雑でコストが高く、生産性に問題がある。また、表面の低結晶性炭素が極薄膜状に被覆されるため、比表面積が高く初期充放電効率が低いという問題がある。また、上記(2)の方法は、1,000℃程度で焼成した際に、表層の低結晶性炭素同士が融着し、これを解砕した場合に表層の低結晶性炭素が核である黒鉛から剥れ落ち、比表面積や嵩密度などの粉体特性、初期充放電効率などの電池特性が低下するという問題がある。
また、上記(1)と(2)の方法においては、核である黒鉛と表層の低結晶性炭素とは、充放電に伴う膨張および収縮挙動が異なるため、急速充放電時や充放電を繰り返すにつれて、表層の低結晶性炭素が剥がれ落ち、上記と同様の問題を引き起こすこともある。
電池の放電容量は、負極を構成する黒鉛の容積当りの放電容量に大きく依存する。従って、電池の放電容量を大きくするためには、単位重量当りの放電容量(mAh/g)が大きい黒鉛を高密度に充填する方が有利である。ところが、黒鉛を高密度に充填して負極を形成した場合には、上記の(1)と(2)の方法では、黒鉛と表層の低結晶性炭素の密着力が不足しがちである。すると、低結晶性炭素の被膜が黒鉛から剥がれ、電解液との反応性が高い黒鉛表面が露出し、初期充放電効率が低下することがある。
なお、特許文献12においては、黒鉛にピッチを被覆後、2,800℃で熱処理することも実施例に示されているが、形成された被膜は結晶性が低く(ラマン分光のR値が0.32、R値の測定法は後述する)、上記と同様の問題を生じる。また、角取りされた鱗片状黒鉛を芯材に用いているが、黒鉛のアスペクト比が大きく、負極を製造した場合に黒鉛が配向することも急速放電特性やサイクル特性の低下を招いている。
上記の従来技術とは別に、複合黒鉛の粒子形状を球状に近づけた特許文献13の場合は、急速充放電特性やサイクル特性に一定の効果が認められる。しかしながら、特許文献13では、最外層と内部との結晶性の違いは言及されていない。複数の偏平状のコークスとピッチとを混合および焼成し、アスペクト比が5以下になるように粉砕した後、黒鉛化するという該方法からすれば、単に高結晶性の複合黒鉛粒子が得られるのみであり、初期充放電効率は低いままである。
特開平9−251855号公報 特公昭62−23433号公報 特開平4−368778号公報 特開平5−275076号公報 特開平4−368778号公報 特開平5−94838号公報 特開平5−217604号公報 特開平6−84516号公報 特開平7−302595号公報 特開平11−54123号公報 特開2000−229924公報 特開2000−3708号公報 特開2001−89118号公報 電気化学および工業物理化学、61(2),1383(1993) J.Electrochem.Soc.,Vol.140,9,2490(1993) J.Electrochem.Soc.,Vol.117 222(1970) J.Electrochem.Soc.,Vol.137, 2009(1990)
そのため最近では、炭素質材料が高結晶性であっても、その粉砕方法を工夫したり、あるいはメカニカルフュージョンなどの方法で、アスペクト比が3以下の比較的塊状または球に近い高結晶性黒鉛または天然黒鉛が生産されるようになってきた。しかし、これらの天然黒鉛は、比較的比表面積が大きいために、リチウムイオン二次電池の負極材として用いた場合、電解液との反応性が高くなり、不可逆容量が大きくなるなどの欠点をもつ。しかし、これら天然黒鉛は、理論値に近い放電容量を示すので、その利用への要望は強い。
従って、本発明の第1の目的は、リチウムイオン二次電池用の負極材として高負荷特性および高サイクル特性を有し、さらに高放電容量で、低不可逆容量の複合黒鉛粒子を提供することである。
また、本発明は、複合構造の炭素材を生産性よく、低コストで製造することを第2の目的とする
上記目的は以下の発明によって達成される。すなわち、本発明は、複数の鱗片状黒鉛を造粒助剤を用いずに機械的外力で造粒球状化した球状黒鉛粒子、炭化後に複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%となる、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物で被覆し、該被覆粒子を加熱処理して被覆層を炭化することを特徴とする複合黒鉛粒子の製造方法を提供する。
上記本発明においては、前記樹脂が、フェノール樹脂またはフェノール樹脂の前駆体またはフェノール樹脂のモノマー混合物であることが好ましい。また、前記ピッチが、石油系または石炭系ピッチであることが好ましい。また、樹脂とピッチとの混合割合が、樹脂/ピッチ=5/95〜100/0(質量比)であることが好ましい。
また、上記造粒球状化した球状黒鉛粒子が、平均粒径が5〜60μm、アスペクト比が3以下、比表面積が0.5〜10m2/gおよびX線回折の測定値であるLcが40nm以上、Laが40nm以上、d002が0.337nm以下、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.06〜0.30、および1580cm-1バンドの半値幅が10〜60である高結晶性の人造または天然黒鉛からなることが好ましい。
また、上記炭素材が、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.05〜0.40であることが好ましい。
さらに、本発明は、球状黒鉛粒子を、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物で被覆した後、空気中または不活性雰囲気下において200〜300℃で熱処理後、2,000〜3,200℃で焼成することが好ましい。
さらに本発明は、複数の鱗片状黒鉛を造粒球状化した黒鉛に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を2,000℃〜3,200℃で炭化する複合黒鉛粒子の製造方法において、炭化後に、複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%が炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材になるように炭化可能材料を混合することを特徴とする複合黒鉛粒子の製造方法を提供する。
上記製造法においては、上記炭化可能材料が、樹脂材料とタール類との混合物であり、かつ樹脂材料/タール類=5/95〜100/0(質量比)であることが好ましい。また、上記樹脂材料が、樹脂の原料および樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、上記樹脂材料が、熱硬化性樹脂の原料および熱硬化性樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、上記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂であることが好ましい。また、上記黒鉛に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を炭化するに先だって該混合物を200〜300℃で加熱した後炭化することが好ましい。
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決するために、鋭意検討の結果、これらの天然黒鉛のような高結晶性黒鉛を球状に近い形状に造粒した粒子を、難黒鉛化性を示す樹脂やピッチなどの炭化可能材料と混合し、該粒子表面を被覆し、高温熱処理を行うことによって、炭化可能材料を炭化し、上記黒鉛粒子の比表面積を簡単に低下させ、かつ負荷特性を上げる方法を見出した。この方法により製造された複合黒鉛粒子は、黒鉛化性が高く、比表面積が低いので、リチウムイオン二次電池用の負極材として、高放電容量で、低不可逆容量および高負荷特性の材料である。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池用の負極材として高負荷特性および高サイクル特性を有し、さらに高放電容量で、低不可逆容量の黒鉛粒子を提供することができる。また、本発明によれば、被覆材として樹脂とピッチとの混合物などの炭化可能材料を用いることによって、高い放電容量とレート特性を維持しながら、本質的に高密度な電極を得ることができるうえに、電極製造時におけるプレス圧力の依存性が少なく、均一な密度を有する電極を容易に製造することができる。
また、本発明の方法によれば、複合構造の炭素材が、生産性良く、低コストで製造することができる。しかもこの方法によれば、従来製造できなかった、リチウムイオン二次電池の負極材として好適な複合黒鉛粒子が製造できる。これを負極材に用いたリチウムイオン二次電池は、従来、二律背反して達成が困難であった高い初期充放電効率と大きい放電容量の両性能を高度に達成できる。さらに優れた急速放電特性とサイクル特性を有する。よって、本発明の複合黒鉛粒子により、電池エネルギーの高密度化に対する近年の要望も満足できる。さらに、本発明の負極材およびリチウム二次電池を搭載する機器は、小型化および高性能化が可能となり、広く社会に貢献できる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明で使用する球状黒鉛粒子とは、人造または天然の高黒鉛化鱗片状黒鉛を、機械的外力で造粒球状化した球状黒鉛粒子である。機械的外力とは、機械的に粉砕および造粒することであり、鱗片状黒鉛を造粒球状化することができる。鱗片状黒鉛の粉砕装置としては、例えば、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン(株)製)、カレントジェット(日清エンジニアリング(株)製)などの粉砕装置が使用可能であり、例えば、平均粒径5〜60μm、好ましくは平均粒径15〜25μmに粉砕する。
上記粉砕品は、その表面が鋭角な部分を有しているが、本発明では、粉砕品を造粒球状化して使用する。粉砕品の造粒球状化装置としては、例えば、GRANUREX(フロイト産業(株)製)、ニューグラマシン((株)セイシン企業)、アグロマスター(ホソカワミクロン(株)製)などの造粒機、ハイブリダイゼーション((株)奈良機械製作所製)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)などのせん断圧縮加工装置が使用可能であり、本発明において「球状」とは、鱗片状黒鉛粒子が、平均粒径が5〜60μm、アスペクト比が3以下、比表面積が0.5〜10m2/gであるものをいう
また、本発明で使用する黒鉛粒子は、その結晶性が、X線回折の測定値であるLcが40nm以上、Laが40nm以上、d002が0.337nm以下、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.06〜0.30、および1580cm-1バンドの半値幅が10〜60である高結晶性の人造または天然黒鉛の粒子であることが好ましい。このような特性を有さない黒鉛では、本発明の目的が充分に達成されない場合がある。なお、Lcは黒鉛構造のc軸方向の結晶子の大きさLc(002)、Laは黒鉛構造のa軸方向の結晶子の大きさLa(110)である。
本発明は、上記黒鉛粒子を炭素材で被覆することを特徴としている。炭素材を形成する材料としては、炭化が可能である炭化可能材料を用いる。特に、炭化が容易である各種樹脂であれば、特に限定されないが、好ましい材料はフェノール樹脂単独、またはフェノール樹脂とピッチとの混合物である。上記「フェノール樹脂」とは、フェノール樹脂それ自体(置換基を有してもよいフェノール類とホルムアルデヒドとの高度縮合物)、フェノール類とホルムアルデヒドとの初期縮合物(フェノール樹脂の前駆体)、およびフェノール類とホルムアルデヒドとの混合物(モノマー混合物)が何れも使用できる。これらのフェノール樹脂による前記黒鉛粒子の被覆を均一に行うためには、熱による溶融または溶液化が可能なフェノール樹脂の前駆体、または水溶液とすることができる前記モノマー混合物を用いることが好ましい。樹脂、特にフェノール樹脂を単独で用いる場合には、本発明の複合黒鉛粒子における炭素材は、黒鉛化することがなく、黒鉛粒子表面に適切な炭素材による被覆層が形成され、高い放電レートおよび低い比表面積を有する本発明の複合黒鉛粒子が得られる。
上記樹脂は単独でも使用できるし、また、ピッチとの混合物としても使用できる。使用するピッチとしては、例えば、石油系または石炭系のタールを濃縮および熱重合させて得られるタールピッチが好ましい。黒鉛粒子の被覆材として樹脂(特にフェノール樹脂)とピッチとを混合して使用する場合には、樹脂とピッチとの混合割合が、樹脂/ピッチ=5/95〜100/0(質量比)となる比率とすることが好ましい(樹脂/ピッチ=100/0の場合は、上記樹脂単独使用と同一である)。
樹脂の使用割合が上記範囲未満であると、形成される炭素材の黒鉛化が進み過ぎてレート特性の点で好ましくない。樹脂とピッチとを併用する場合の両者の好ましい使用割合は、樹脂とピッチの質量比において、5/95〜100/0の比率が好ましく、さらに30/70〜70/30の比率が好ましい。樹脂とピッチとを併用することにより、形成される炭素材は、黒鉛化の進行が所望の程度に抑えられて、黒鉛粒子表面に適切な炭素材による被覆層が形成され、高い放電レートおよび低い比表面積を有する本発明の複合黒鉛粒子が得られる。
前記黒鉛粒子表面を上記炭素材により被覆する工程においては、強剪断応力を加えることのできる混合機に黒鉛粒子と炭化可能材料を投入し、炭化可能材料の液状化温度以上の温度領域で混練することで、黒鉛粒子の被覆処理を行うことができる。または、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物を溶解できる溶剤に溶かし、これら炭化可能材料の溶液と黒鉛粒子とを混合攪拌した後、蒸留して溶剤を取り除く方法でも行うことができる。または、樹脂のモノマー混合物または低分子量樹脂(樹脂の前駆体)やピッチ溶液中に黒鉛粒子を加えて攪拌し、粒子表面上に樹脂または樹脂/ピッチ複合物を付着させるか、または、重合させながら付着させて被覆することもできる。
さらに、炭素材を均質もしくは層構造に被覆することも可能である。均質とは、炭素材が単一成分または複数成分を均質に混合したものであることを意味し、層構造の被覆とは、薄い被覆を行った後に、さらに別の炭素材を再度被覆することを意味する。例えば、黒鉛粒子表面に第1層として、フェノールとホルムアルデヒドとからなるフェノール樹脂で被覆した後、ジメチルフェノール(キシレノール)とホルムアルデヒドとからなるキシレノール樹脂を第2層として被覆したり、黒鉛粒子表面に第1層としてピッチを被覆した後、フェノール樹脂を第2層として被覆することもできる。このような多様な手法を用いることにより、任意の割合の炭素材で黒鉛粒子表面を被覆することができる。
炭素材の含有量は、炭化後の複合黒鉛粒子に対する、炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素の割合(質量%)である。
炭素材の含有量は、複合黒鉛粒子全体の0.50〜20質量%である。特に8〜12質量%が好ましい。0.5質量%より少ないと、黒鉛粒子には実質として被覆されきれていない表面ができるなど、充分な被覆効果が得られない。一方、20質量%を超えると被覆層が厚すぎて、得られる複合黒鉛粒子の放電容量低下などの逆効果になるばかりでなく、炭化可能材料の残炭率(殆どの場合40〜60%)を考慮すると、黒鉛粒子に対する炭素材量が多く、被覆(混合)、加熱(硬化)、または炭化工程において著しい黒鉛粒子の融着が起こる。この融着粒子を粉砕する際に、炭素材の割れや剥離が起こり、被覆が不均一になるため、製法上好ましくない。上記において、含有量が比較的多い場合は、炭化処理前に、350〜1,500℃程度の温度で予備的な焼成を行うと、後に炭化処理時の過度のガス発生を抑えることができ、操業上好ましい。なお、炭素材の含有量は複合黒鉛粒子全体の平均として上記範囲内にあればよい。個々の粒子全てが上記範囲内にある必要はなく、上記範囲以外の粒子を一部含んでいてもよい。
本発明においては、黒鉛粒子の被覆処理を行った後、炭化する。この工程において、200〜300℃の加熱工程を置くことが望ましい。加熱工程は炭化可能材料、つまり樹脂やピッチ中に含まれる軽揮発分の揮発が起こるため、充分な時間(例えば、4〜6時間)をかけて昇温する必要がある。この時間を短くすると、急激なガス発生に由来する危険性が増すばかりだけでなく、被覆材の硬化速度が軟化速度に達せず、被覆黒鉛粒子の凝着が増大し、製造工程において好ましくない。
炭化は2,000〜3,200℃の高温焼成を行うことで達成できるが、本発明においては好ましくは2,500〜3,200℃、より好ましくは2,800〜3,200℃で炭化する。この時の炭化方法には、アチスン炉などに代表される一般的な黒鉛化炉を用いることができる。このような炭化において形成される炭素材は、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.05〜0.40であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.20である。このような特性を有さない炭素材では本発明の目的が充分に達成されない場合がある。
以上のような工程を経て製造された本発明の複合黒鉛粒子は、リチウムイオン二次電池の負極材として有用である。例えば、本発明の複合黒鉛粒子を、バインダーとして、例えば、水系バインダーとしてのゴム系微粒子バインダー(SBR)と、分散液としての水と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とでスラリーを作成し、または有機溶剤系バインダーとして、ポリフッ化ビニリデンとN−メチルピロリドンの有機溶剤溶液とでスラリーとした後、銅箔上に塗布、乾燥およびプレスして負極とすることができる。
一方、正極として、例えば、コバルト酸リチウムを、セパレータとして多孔質ポリプロピレン膜を、電解液として、例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合液にLiPF6を溶解させたものを用いて電池を製造することができる。このように、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物を用いて、黒鉛粒子を炭素材で被覆することによって、高い負荷特性とプレス時に過度に変形することのない、負極用黒鉛粒子を得ることができる。従って、本発明の複合黒鉛粒子は、リチウムイオン二次電池負極材として有用であり、高性能のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
また、第2の目的に関する本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明は、複数の粒子が集合した黒鉛球状造粒物に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を2,000℃〜3,200℃で炭化する複合黒鉛粒子の製造方法において、炭化後に複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%が炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材になるように炭化可能材料を混合することを特徴とする複合黒鉛粒子の製造方法である。
上記製造方法に関する本発明の対象は、複数の粒子が集合した黒鉛球状造粒物に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を2,000℃〜3,200℃で炭化する複合黒鉛粒子である。この複合黒鉛粒子に着目した理由を以下に述べる。
黒鉛としては、粒状の黒鉛を用いる。鱗片状や繊維状のものを用いず、球状に近い粒子状のものを用いると、最終的に得られる複合黒鉛粒子の形状が、アスペクト比(粒子の最大径と最大径と直交する径の比)の小さいものとなる。アスペクト比が小さいほど、負極を形成した場合に黒鉛結晶がランダムに配置され、充放電に伴う黒鉛の膨張収縮方向が均一化し、充放電後の黒鉛粒子の接触を保つことができる。また、電解液の吸液性や保持性にも優れる。これらの作用によって、急速充放電特性やサイクル特性の優れたものとなる。
粒状黒鉛に混合する材料として、樹脂材料を含有する炭化可能材料を用いるのは、2,000℃〜3,200℃で炭化することによって、放電容量と初期充放電効率のバランスに優れた炭化物が得られるからである。従来技術にあるタールやピッチのみを炭化可能材料として用いると、高い放電容量が得られても初期充放電効率が低下する。
また、高い放電容量を得る観点から、炭化温度を2,000℃〜3,200℃とする。従来技術のように1,000℃程度で炭化した場合には、初期充放電効率が高くなるものの、放電容量が低下したり、急速充放電特性やサイクル特性が低いものとなるからである。
本発明の製造方法においては、樹脂材料として樹脂の原料および樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。さらに好ましいのは、樹脂材料として熱硬化性樹脂の原料および熱硬化性樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることである。樹脂として高分子量化されたものを出発原料した場合に比べて、樹脂の原料や樹脂の前駆体を原料に用いると、製造過程における複合構造の破壊を抑制でき、最終的に得られる複合黒鉛粒子の炭素材と黒鉛との密着性が非常に強固なものとなり、後述する電池特性の改善に寄与する。
熱硬化樹脂の原料、前駆体を用いると炭化率が高く比較的少ない量で所望の複合黒鉛粒子を得ることができるのでより好ましい。また、熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、つまり樹脂材料としてフェノール樹脂の原料およびフェノール樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いると、特に炭化率が高く、比較的少ない原料で所望の複合黒鉛粒子を得ることができるので最も好ましい。すなわち、粒状黒鉛と炭化可能材料とを混合する工程において、投入する樹脂材料の原料が少ないため、前述の融着の問題を回避することができる。
本発明の製造方法の最大の特徴は、炭化後に複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%が炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材になるように炭化可能材料を混合する点にある。従来技術にあるように、炭素材の含有量が20%超になると、相対的に樹脂材料の含有量が増え、複合黒鉛粒子の製造過程において粒子間の融着を生じる。炭素材の含有量を0.50〜20質量%に限定することによって、樹脂の原料や樹脂の前駆体の混合過程、焼成過程において、材料間の融着を抑え、樹脂材料の偏在や複合黒鉛粒子の凝集を抑制することができ、好適な形状を容易に得ることができる。その結果、融着による解砕工程を追加する必要もなく、生産性が向上する。なお、炭素材の含有量は複合黒鉛粒子全体の平均として上記範囲内にあればよい。個々の粒子全てが上記範囲内にある必要はなく、上記範囲以外の粒子を一部含んでいてもよい。
本発明の製造方法においては、望ましくは炭化可能材料を、樹脂材料とタール類との混合物とする。タール類を単独で用いると初期充放電効率の低下を生じるが、適正範囲で樹脂材料とタール類とを混合することにより、電池特性が最大となるように結晶性を制御することができるのである。樹脂材料/タール類の割合は、5/95〜100/0の範囲が好ましい。
また、黒鉛として、鱗片状黒鉛を造粒したもの、特に造粒助剤を用いずに機械的外力で球状に賦形した黒鉛を用いる。このような操作によって、炭素材との密着性がさらに高まるほか、創出された粒状黒鉛の隙間に炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材が浸透することも密着性向上に寄与する。炭素材と粒状黒鉛との密着性が高いので、製造過程においてこれらが剥離することがない。さらに鱗片状黒鉛が有する、電解液との反応性の高い黒鉛構造のエッヂ部分の表面への露出を減らすことができ、炭化可能材料の混合量を低減しても目的の電池特性を発現することができる。炭化可能材料の必要量が少ないので、原料である黒鉛の形状をそのまま複合黒鉛粒子の形状に反映でき、品質制御、工業的生産の観点からも大変効率がよい。
さらに、本発明の製造方法においては、前記黒鉛に樹脂材料を含有する炭化可能材料とを混合し、得られた混合物を炭化するに先だって該混合物を200〜300℃で加熱したのち炭化することが好ましい。炭化の前に200〜300℃で加熱することにより、樹脂材料やタール類に含まれる揮発物の揮発や、熱硬化性樹脂材料の原料や前駆体を用いた場合には熱硬化性樹脂の硬化が生じることにより、黒鉛と炭化可能材料との密着性が増し、複合黒鉛粒子の充放電時における炭素材の剥離を防止でき、電池特性の向上に寄与する。なお、この加熱は低い昇温速度とすることが好ましい。
次に、本発明の方法で得られる複合黒鉛粒子のうち、これをリチウムイオン二次電池の負極材に用いた時に、従来に無いほど、大きい放電容量と高い初期充放電効率を兼備するとともに急速放電特性とサイクル特性を発現する新規な複合黒鉛粒子の発明についてより具体的に説明する。
本発明者らは、高結晶性の黒鉛の少なくとも表面部分に、黒鉛よりも結晶性が低い炭素材を有する複合黒鉛粒子とし、炭素材の割合を電池特性が最大となる観点から適正化し、さらに、複合黒鉛粒子のアスペクト比、最外層の結晶性を適正範囲に規定した。
すなわち、本発明は、複数の粒子が集合した黒鉛球状造粒物の少なくとも表面部分に炭化後に複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%となる樹脂材料を含有する炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材を有する複合黒鉛粒子である。
さらに本発明は、X線回折の面間隔d002が0.337nm未満である黒鉛の少なくとも表面部分に、炭素材を有する複合黒鉛粒子であって、複合黒鉛粒子のアスペクト比が3以下で、複合黒鉛粒子のラマンスペクトルにおける1580cm-1のピーク強度(I1580)に対する1360cm-1のピーク強度(I1360)の比(I1360)/(I1580)が0.1以上から0.3未満である複合黒鉛粒子である。
[黒鉛]
本発明の複合黒鉛粒子の芯材を構成する黒鉛は、X線回折の測定値であるd002が0.337nm未満を示す高結晶性の黒鉛である。このような黒鉛としては、市販の鱗片状天然黒鉛が代表的である。結晶性の高い黒鉛ほど、結晶が規則的に成長しており、一般に鱗片状を呈している。また、最終的に得られる複合黒鉛粒子の形状はこの黒鉛の形状が反映されることから、黒鉛の形状は球状に近いものが好ましく、アスペクト比(粒子の最大径の最大径と直交する径の比)が3以下の粒状黒鉛を用いるのがよい。アスペクト比が3を超えると、これを用いて負極を製造した場合に黒鉛が配向し、電池特性が劣化するおそれがあるからである。ただし、このアスペクト比は、黒鉛全体の平均として3以下であるのが好ましいものであり、個々の黒鉛粒子全てのアスペクト比が3以下である必要はなく、3を超える粒子を一部に含んでいてもよい。このような粒状黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛を原料として以下の方法で作ることができる。
まず、鱗片状黒鉛としては、すでに鱗片状を呈した市販品を用いる、あるいは様々な形状の黒鉛(粗粒の天然黒鉛や人造黒鉛)を公知の粉砕装置を用いて粉砕して調製することもできる。この際、粉砕物の平均粒径を5〜60μmに調整するのが好ましい。粉砕装置としては、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン(株)製)、カレントジェット(日清エンジニアリング(株))などが使用できる。粉砕などによって得た鱗片状黒鉛は、その表面に鋭角な部分を有しているが、本発明では、これに機械的外力を加えて球状に賦形し、表面が平滑な粒状黒鉛に造粒する。この造粒工程では、通常、複数の粉砕された鱗片状黒鉛を用いて、アスペクト比が3以下の粒状黒鉛になるように造粒される。造粒する方法は、例えば、接着剤や樹脂などの造粒助剤を用いずに機械的外力を加えて球状に造粒する方法が最も好ましい。
上記の造粒装置としては、GRANUREX(フロイント産業(株)製)、ニューグラマシン((株)セイシン企業製)、アグロマスター(ホソカワミクロン(株)製)などの造粒機、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株))などの剪断圧縮加工能力を有する装置が使用可能である。また、前記の粉砕装置を用いて運転条件を操作することによっても造粒することができる。球状に賦形された黒鉛は、複数の鱗片状黒鉛が集合し造粒されてなるものである。特に複数の鱗片状黒鉛が同心円状に造粒された形状を呈することが好ましい。
[炭素材]
本発明の複合黒鉛粒子は、黒鉛の少なくとも表面部分に炭素材を有する。炭素材は、後述する複合黒鉛粒子の性状を与えるものであればいかなるものであってもよい。通常、炭素材は、上述の黒鉛粒子に樹脂材料を含む炭化可能材料を塗布、含浸および/または混合などした後、加熱による炭化処理を行うことによって得られる。本発明で言う炭化可能材料とは、加熱することによって炭化および/または黒鉛化され得る材料を指す。このような加熱は、一般には700℃以上であり、好ましくは800〜3,200℃である。従って、本発明で言う炭化処理とは、黒鉛化処理をも包含するものである。特に好ましくは2,000〜3,200℃である。
また、本発明で言う黒鉛の少なくとも表面部分とは、黒鉛の外表面の全面あるいはその一部を指す。本発明の典型例でもあるが、例えば、造粒処理によって得られる黒鉛粒子が複数の(鱗片状)黒鉛からなる二次粒子である場合には、この二次粒子の外表面あるいはその一部を指す。このような二次粒子の場合、炭化可能材料が二次粒子の内部まで侵入して炭化されている場合がある。勿論、黒鉛単体の内部に炭素材が形成される場合もある。しかし、本発明の複合黒鉛粒子は、黒鉛の外表面が炭素材で被覆されているのが最適である。好適な被覆率は、50〜100%である。
また、本発明では、上述の炭化可能材料は、樹脂材料とタール類との混合物であり、タール類に対する樹脂材料の質量比が、樹脂材料/タール類=5/95〜100/0であるのが好ましい。さらに好ましくは30/70〜70/30である。樹脂材料の割合が5質量%以上であれば、形成される炭素材の黒鉛化(結晶化)が十分に進行するのと同時に初期充放電効率の向上効果が大きくなる。樹脂材料とタール類とを混合して用いることは、炭素材の黒鉛化度(結晶性)を本発明の効果が最大となるように調整することができるので望ましい。
本発明で言うタール類とは、木材乾留時に生成するタール、石炭から得られるコールタール、石油から生産される重質油などの炭素材料前駆体を指し、これらを原料として重縮合させたものを含む。具体的には、石炭系ピッチ、バルクメソフェーズピッチ、石油系ピッチなどが例示される。これらはそれぞれ単独を3,000℃程度で熱処理した場合に黒鉛構造を生成するものである。光学的には、等方性でも異方性でもよい。
本発明で言う樹脂材料とは、樹脂の原料および樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この樹脂の前駆体には、反応中間体やオリゴマーあるいは重合中間体なども含む。樹脂の原料を例示すれば、モノマー類や重合開始剤などを含み、これら原料の混合物を加熱、攪拌および放置などすることによって樹脂が得られるものである。
本発明では、樹脂材料として、熱硬化性樹脂の原料および熱硬化性樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂類を高温で炭化した場合、得られる炭化物は、平均的には黒鉛相当の高い結晶性を有しており黒鉛部分も含まれることもあるが、炭素乱層構造を有する部分も含まれるので、本発明では炭素材と称し、芯材黒鉛と区別して呼ぶ。
熱硬化性樹脂としては、熱処理によって残存する炭素量の多いものが望ましく、ユリア樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン樹脂、キシレン樹脂やフェノール樹脂などが挙げられる。本発明では、樹脂材料として、フェノール樹脂、フェノール樹脂のモノマーの混合物およびフェノール樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。より具体的に例示すれば、フェノール樹脂それ自体(置換基を有してもよいフェノール類と、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類との高度縮合物)、フェノール類とアルデヒド類との初期縮合物(フェノール樹脂の前駆体)、およびフェノール類とアルデヒド類との混合物(モノマー混合物)が何れも使用できる。
本発明の複合黒鉛粒子を構成する炭素材の結晶性は、黒鉛のX線回折の面間隔d002が0.337nm未満であるのに対して、0.343nm未満であることが好ましい。炭素材のd002が0.343nm未満であれば、放電容量がより向上し、炭素材と黒鉛の密着性も向上する。また、黒鉛と炭素材の結晶性の差は、黒鉛のd002に対する炭素材のd002の比が1.001以上から1.020未満の範囲にあることがより好ましい。1.001以上であれば、初期充放電効率がさらに向上し、1.020未満である方が、炭素材の密着性もさらに向上する。
[複合黒鉛粒子]
本発明の複合黒鉛粒子は、X線回折の面間隔d002が0.337nm未満である黒鉛の少なくとも表面部分に、炭素材を有する複合黒鉛粒子であって、複合黒鉛粒子のアスペクト比が3以下で、複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%が上記炭素材であり、複合黒鉛粒子のラマンスペクトルにおける1580cm-1のピーク強度(I1580)に対する1360cm-1のピーク強度(I1360)の比(I1360/I1580)が0.1以上から0.3未満であることを再度示し、より詳細に説明する。
上記複合黒鉛粒子も、使用する黒鉛と同様にアスペクト比が3以下の球状に近い形状とすることが好ましい。アスペクト比が3を超えると、これを用いて負極を製造した場合に黒鉛が配向し、電池特性が劣化するおそれがあるからである。ただし、このアスペクト比は、複合黒鉛粒子全体の平均として3以下であるのが好ましいものであり、個々の複合黒鉛粒子全てのアスペクト比が3以下である必要はなく、3を超える粒子を一部に含んでいてもよい。本発明の複合黒鉛粒子は、前述の黒鉛を芯材とし、その少なくとも表面部分に黒鉛よりも結晶性が低い炭素材が存在している。複合黒鉛粒子の表面の結晶性をラマン分光法のR値で規定することができ、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.1以上0.3未満であることが必要である。R値が0.1未満あるいは0.3以上の場合には、何れも初期充放電効率が低下することがある。特に好ましいR値は0.1〜0.2である。
また、本発明における炭素材の割合は、複合黒鉛粒子に占める炭素材の割合が0.50〜20質量%の範囲に限定される。炭素材の割合が0.50質量%未満の場合は、活性な黒鉛エッヂ面を完全に被覆することが難しくなり、初期充放電効率が低下することがある。一方、20質量%を越える場合には、相対的に放電容量の低い炭素材の割合が多すぎて、複合黒鉛粒子の放電容量が低下する。また、炭素材を形成するための原料(熱硬化性樹脂類やタールピッチ類)の割合が多く、被覆工程やその後の熱処理工程において、粒子が融着しやすく、最終的に得られる複合黒鉛粒子の炭素材層の一部に割れや剥離を生じ、初期充放電効率の低下を生じることがある。特に3〜15質量%、さらには8〜12質量%であることが好ましい。なお、炭素材の含有量は複合黒鉛粒子全体の平均として上記範囲内にあればよい。個々の粒子全てが上記範囲内にある必要はなく、上記範囲以外の粒子を一部含んでいてもよい。
さらに、本発明の複合黒鉛粒子の好ましい物性値を挙げると、平均粒子径が5〜60μm、比表面積が0.5〜10m2/g、X線回折の測定値であるLcが40nm以上、d002が0.3370nm以下であることが好ましい。平均粒子径やアスペクト比が前述の値の範囲内であれば、放電容量や初期充放電効率が高く、かつ急速充放電特性やサイクル特性などの他の電池特性もより向上するからである。比表面積が10m2/g以下であれば、負極を形成する場合の負極合剤ペースト(負極材料とバインダー分散液との混合物)の粘度調整が容易であり、バインダーによる結着力も向上する。X線回折のLcおよびd002が前述の値内であれば、十分な放電容量が得られる。なお、Lcは黒鉛構造のc軸方向の結晶子の大きさLc(002)、Laは黒鉛構造のa軸方向の結晶子の大きさLa(110)である。
[複合黒鉛粒子の製造方法]
上述した本発明の複合黒鉛粒子についての製造方法を例示する。鱗片状黒鉛は前記のとおり、造粒操作などで、あらかじめ球状に賦形されたものを用いる。この黒鉛粒子の外表面に熱硬化性樹脂類とタール類との混合物からなる炭化可能材料を被覆する場合には、炭化可能材料と黒鉛粒子とを混合機に投入し、炭化可能材料の軟化点以上の温度領域で強い剪断力を付与して混練する、あるいは、炭化可能材料を溶液または分散液として黒鉛粒子と混合した後溶媒または分散媒を乾燥除去する方法などが用いられる。特に熱硬化性樹脂類を低分子量体(樹脂の前駆体)あるいはモノマー混合体とし、黒鉛粒子への被覆と同時に加熱によって高分子量化することが望ましい。同様に、炭化可能材料にタール類を含む場合においても、被覆と同時にタール類の重縮合を進行させることが有効である。
本発明では炭化可能材料として必須な熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂が好ましく、黒鉛粒子にフェノール樹脂を被覆する場合に、フェノール樹脂前駆体またはフェノール樹脂のモノマー含有体を用いることが好ましい。フェノール樹脂前駆体またはフェノール樹脂のモノマー含有体は、加熱による溶融または溶液化が容易であるほか、黒鉛粒子に均一に被覆することができる。また、被覆と同時に加熱することにより形成されるフェノール樹脂層が黒鉛粒子と強固に密着するという特徴を有する。
炭化可能材料は、複数種の組成のものを均質もしくは分散した状態で被覆することができる。炭化可能材料は、その組成を変えて、複数回被覆することもできる。例えば、黒鉛粒子に第1層として、フェノールとホルムアルデヒドとからなるフェノール樹脂を被覆した後、第2層としてジメチルフェノール(キシレノール)とホルムアルデヒドとからなるキシレノール樹脂を被覆したり、黒鉛粒子に第1層としてピッチを被覆したりした後、第2層としてフェノール樹脂を被覆することができる。
炭化可能材料の被覆量は、最終的に複合黒鉛粒子に占める炭素材の割合が0.50〜20質量%となるように設定すればよい。黒鉛粒子に炭化可能材料を混合した後、あるいは混合処理と同時に樹脂材料を200〜300℃で加熱するのが好ましい。この加熱工程では樹脂材料の硬化と樹脂材料やタール類に含まれる軽揮発分の揮発が起こるので通常4時間以上の充分な時間をかけて昇温するのが好ましい。このような昇温時間を維持する方が、混合が完全になり、スムーズな硬化が進行するので、炭化可能材料と黒鉛粒子の密着性が増し、複合黒鉛粒子の充放電時における炭素材の剥離が防止でき、電池特性の向上に寄与する。
硬化工程の後、必要に応じて、解砕や篩処理などによって粒度調整を行い、焼成するのが好ましい。焼成は2,000〜3,200℃で行うことが好ましい。より好ましくは2,500〜3,200℃、さらには2,800〜3,200℃が好ましい。焼成処理はアチソン炉に代表される一般的な黒鉛化炉を用いることができる。非酸化性雰囲気下で行うことが望ましい。
本発明では、上述の複合黒鉛粒子の何れかを含有する負極材も提供する。本発明の複合黒鉛粒子は、その特徴を活かして負極以外の用途、例えば、燃料電池セパレーター用の導電材料や耐火物用黒鉛などにも転用することができるが、特に上記したリチウムイオン二次電池の負極材として好適である。すなわち、本発明の負極材は、少なくとも上述の複合黒鉛粒子が含有されることを要件とする。従って、本発明の複合黒鉛粒子そのものも本発明の負極材である。
以下、本発明の複合黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池の負極材、リチウムイオン二次電池負極、さらにはリチウムイオン二次電池について説明する。[リチウムイオン二次電池用の負極材および負極]
本発明では、上述した何れかの本発明の複合黒鉛粒子を含有するリチウムイオン二次電池用の負極材も提供する。本発明の負極材としては、本発明の目的を損なわない範囲内で本発明の複合黒鉛粒子以外の負極材を含んでいてもよい。本発明の負極は、上述の本発明の負極材を固化および/または賦形して得られる。負極の形成は、通常の成形方法に準じて行うことができるが、複合黒鉛粒子の性能を充分に引き出し、かつ粉末に対する賦形性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる方法であれば何ら制限されない。
負極製造時には、複合黒鉛粒子に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質や電解液溶媒に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが望ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンラバー、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中1〜20質量%程度の量で用いるのが好ましい。
負極合剤層は、具体的には、分級などによって適当な粒径に調整した複合黒鉛粒子を、結合剤と混合することによって負極合剤を調製し、この負極合剤を、通常、集電体の片面もしくは両面に塗布することで形成することができる。この際、通常の溶媒を用いることができ、負極合剤を溶媒中に分散させてペースト状とした後、集電体に塗布、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に集電体に接着された負極を得ることができる。ペーストは、各種ミキサーで攪拌することにより調製することができる。
例えば、本発明の複合黒鉛粒子と、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂粉末を、イソプロピルアルコールなどの溶媒中で混合、混練した後、塗布して負極合剤層を形成することもできる。また、本発明の複合黒鉛粒子と、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末あるいはカルボキシメチルセルロースなどの水溶性粘結剤を、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドあるいは水、アルコールなどの溶媒と混合してスラリーとした後、塗布して負極合剤層を形成することもできる。
本発明の複合黒鉛粒子と結合剤との混合物からなる負極合剤を集電体に塗布する際の塗布厚は10〜300μmとするのが適当である。負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をさらに高めることができる。本発明のリチウムイオン二次電池において、負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されないが、箔状、あるいはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケルなどを挙げることができる。集電体の厚みは、箔状の場合、5〜20μm程度が好適である。
本発明では、さらに上述の負極を用いたリチウムイオン二次電池が提供される。
[リチウムイオン二次電池]
リチウムイオン二次電池は、通常、負極材、正極材および非水系の電解質を主たる電池構成要素とする。正極材および負極材はそれぞれリチウムイオンの担持体となる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の複合黒鉛粒子を含有する負極材を用いること以外は特に限定されない。他の構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
(正極材)
本発明のリチウムイオン二次電池に使用される正極材(正極活物質)としては、リチウム化合物が用いられるが、充分量のリチウムをドープ/脱ドープできるものを選択するのが好ましい。例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのLi化合物などのリチウム含有化合物、一般式MxMo68-y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などである。バナジウム酸化物はV25、V613、V24、V38で示されるものなどである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。複合酸化物は単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1-xM(2)x2(式中Xは0≦X≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる。)あるいはLiM(1) 2-yM(2)y4(式中は0≦Y≦の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる。)で示される。
上記式中、M(1)、M(2)で示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alなどである。また、リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下600℃〜1,000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物および塩類に限定されず、水酸化物などであってもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、正極活物質は上記リチウム化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。また、正極材の中に、炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩を添加することもできる。
(正極)
正極は、例えば、上記リチウム化合物と結合剤および電極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を集電体の片面もしくは両面に塗布することで正極合剤層を形成することにより得られる。結合剤としては、負極で例示したものが何れも使用可能である。導電剤としては、黒鉛やカーボンブラックなどの炭素材料が用いられる。
正極も、負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布および乾燥することによって正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧などの圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一かつ強固に集電体に接着される。集電体の形状は特に限定されず、箱状、あるいはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などのものが用いられる。例えば、集電体としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケル箔などを挙げることができる。その厚さとしては、10〜40μmのものが好適である。
(非水電解質)
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質としては、通常の非水電解液に使用される電解質塩であり、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C65 4 、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiN(CF3CH2OSO22、LiN(CF3CF 2 OSO22、LiN(HCF2CF2CH2OSO22、LiN(CF32CHOSO2 2、LiB{C63(CF324、LiAlCl4、LiSiF6などのリチウム塩が挙げられる。特に、LiPF6、LiBF4が酸化安定性の点から好ましい。
電解液中の電解質塩濃度は、0.1〜5モル/リットルであるのが好ましく、0.5〜3.0モル/リットルであるのがより好ましい。非水電解質は、液状の非水電解質としてもよいし、固体電解質あるいはゲル電解質などの高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン電池として構成され、後者の場合、非水電解質電池は、高分子固体電解質、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
液状の非水電解質液とする場合には、溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1,1−または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソフラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
非水電解質を高分子固体電解質、高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、マトリクスとして可塑剤(非水電解液)でゲル化された高分子を用いる。マトリクスを構成する高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレートなどのアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)やビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物が特に好ましい。
前記高分子固体電解質または高分子ゲル電解質には可塑剤が配合されるが、可塑剤としては、前記の電解質塩や非水溶媒が使用可能である。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は、0.1〜5モル/リットルが好ましく、0.5〜2.0モル/リットルがより好ましい。
固体電解質の作製方法は特に制限されないが、例えば、マトリックスを形成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融する方法、有機溶剤に高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を溶解させた後、有機溶剤を蒸発させる方法、および高分子電解質の原料となる重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射してポリマーを形成させる方法などを挙げることができる。また、前記固体電解質中の非水溶媒(可塑剤)の添加率は、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると、導電率が低くなり、90質量%を超えると機械的強度が弱くなり成膜しにくくなる。
(セパレーター)
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレーターを使用することができる。セパレーターの材質は特に限定されないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔質膜などなどが例示される。特に、合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、その中でもポリオレフィン系微多孔質膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗などの点から好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔質膜、またはこれらを複合した微多孔質膜などである。
また、セパレーターを使用せずにゲル電解質を用いることもできる。ゲル電解質を用いた二次電池は、前記複合黒鉛粒子を含有する負極材と、正極材およびゲル電解質を、例えば、負極材、ゲル電解質、正極材の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。さらに負極材と正極材の外側にゲル電解質を配するようにしてもよい。
さらに、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。ゲル電解質を用いた電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、文中「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<黒鉛>
本発明の複合黒鉛粒子の芯材を構成する黒鉛として、下記表1に示す物性を有する造粒化黒鉛Aを以下の実施例1〜5および比較例に、造粒化黒鉛Bを実施例6に用いた。造粒化黒鉛Aは、平均粒径30μmの鱗片状天然黒鉛を、ホソカワミクロン(株)製カウンタジェットミル200AFGを用い、空気圧力300kPaで1時間、機内で循環させることによって造粒したものである。得られた造粒化黒鉛のうち、粒子径が5μm以下で造粒が不十分な微粉を除去した。また、75μm篩い下になるように粗粉を除去した。下記表1に示すように各々の実施例および比較例に用いた造粒化黒鉛は、造粒により高い結晶性を保持していながら、一般的な鱗片状黒鉛に比べ低い比表面積を持つ。
Figure 0004215633
上記表1における各種物性は以下のようにして測定した。
・比表面積(m2/g):窒素ガス吸着によるBET比表面積を求めた。
・平均粒径(μm):レーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が、体積百分率で50%となる粒子径とした。
・アスペクト比:黒鉛粒子の300倍の走査型電子顕微鏡をイメージアナライザー(東洋紡績(株)製)を用いて画像処理し、任意の50個の黒鉛粒子のアスペクト比(長軸方向の長さとそれに直交する短軸方向の長さの比)の平均値とした。
・Lc(nm)、La(nm)およびd002(nm):X線としてCuKα線を用い、高純度シリコンを標準物質とするX線回折法{学振法(日本学術振興会第117委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」(大谷杉郎著、第733〜742頁(1986年)、近代編集社)に記載された方法}によって測定された値とした。
・R値:日本分光(株)製NR−1800により波長514.5nmのアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおいて1570〜1630cm-1の領域に存在するピークの波長をIGとし、1350〜1370cm-1の領域に存在するピークの強度をIDとするときのID/IG比とした。
・半値幅:上記ラマンスペクトルにおいて1570〜1630cm-1の領域に存在するピークの1/2の高さにおけるラマンバンドのバンド幅から算出した。
実施例1
フェノール樹脂(残炭率40%)25gを、エチレングリコール500gとヘキサメチレンテトラミン2.5gとの混合物に添加して溶解した溶液に、造粒化黒鉛(黒鉛粒子)(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)90gを加え、分散状態で攪拌した。次に減圧下において150℃で溶剤を留去し、樹脂と混合された黒鉛粒子を得た。この樹脂混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。次に窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、10%の炭素材の含有量をもつ本発明の複合黒鉛粒子を得た。
なお、実施例1の炭素材の結晶性を見積もるために、実施例1に黒鉛粒子を加えず、実施例1と同じ熱履歴を付与して炭素材を調製した。X線回折で測定したd002は0.3366nm、Lc38nmであり、芯材として用いた黒鉛粒子のd002、Lc(表1)よりも若干結晶性が低いことが確認された。また、炭化可能材料の残炭率は、JIS K 2425の固定炭素法に準拠し、800℃に加熱し、実質的に全量が炭素化されたときの残分をいい、百分率で表したものである。
実施例2
フェノールモノマー39gと37%ホルマリン66gとヘキサメチレンテトラミン4gとからなる溶液に、黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)110gを加え、分散状態で攪拌した。90℃に加熱してモノマーを重合させて黒鉛粒子をフェノール樹脂と混合させ、ろ過して樹脂混合黒鉛粒子を取り出した。この混合黒鉛粒子は樹脂分として20%(残炭率で10%)を有していた。この混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、10%の炭素材の含有量をもつ本発明の複合黒鉛粒子を得た。
実施例3
石炭系ピッチ(軟化点105℃、残炭率60%)6.7gとフェノール樹脂(残炭率40%)15gとを、タール軽油500gとヘキサメチレンテトラミン1.5gとの混合物に添加した溶液に、黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)90gを加えて分散状態で攪拌した。次に減圧下において150℃で溶剤のタール軽油を留去し、ピッチ/樹脂混合黒鉛粒子を得た。この混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。次に窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、10%の炭素材の含有量をもつ本発明の複合黒鉛粒子を得た。
実施例4
フェノールモノマー20gと37%ホルマリン33gとヘキサメチレンテトラミン2gと石炭系メソフェーズピッチ微(平均粒径4μm、軟化点350℃、残炭率80%)7.5gとを混合してなる溶液に黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)110gを加え、分散状態で攪拌した。90℃で上記成分を重合させて黒鉛粒子と混合した。次いで、ろ過して混合黒鉛粒子を取り出した。この黒鉛粒子はピッチ複合樹脂と混合されていた(ピッチ複合樹脂分として18%、残炭率で10%)。この樹脂混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。次に窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、10%の炭素材の含有量をもつ本発明の複合黒鉛粒子を得た。
実施例5
実施例2において複合黒鉛粒子の炭素材の含有量が5%となるようにフェノールモノマーを配合し、3,000℃の炭化に代えて1,300℃の炭化を行い、それ以外は、実施例2と同様にして複合黒鉛粒子を製造し、5%の炭素材の含有量を持つ複合黒鉛粒子を得た。
実施例6
実施例1において、黒鉛粒子として、鱗片状の天然黒鉛に機械的外力を付与し造粒した造粒化黒鉛Bを用いた以外は実施例1と同様にして複合黒鉛粒子を製造し、10%の炭素材の含有量を持つ複合黒鉛粒子を得た。
比較例1
フェノール樹脂(残炭率40%)1gをエチレングリコール500gとヘキサメチレンテトラミン0.1gとの混合物に添加し、該溶液に黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)100gを加え、分散状態で攪拌した。減圧下で150℃で溶剤を留去し、樹脂混合黒鉛粒子を得た。この混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、0.40%の炭素材の含有量をもつ比較例の複合黒鉛粒子を得た。
比較例2
フェノール樹脂(残炭率40%)60gを、タール軽油500gとヘキサメチレンテトラミン6gとの混合物からなる溶液に、黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)100gを加え、分散状態で攪拌した。減圧下で150℃で溶剤を留去し、樹脂混合黒鉛粒子を得た。この混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、24%の炭素材の含有量をもつ比較例の複合黒鉛粒子を得た。
比較例3
フェノール樹脂(残炭率40%)0.6gと石炭系ピッチ(軟化点105℃、残炭率60%)0.4gとタール軽油500gとヘキサメチレンテトラミン0.1gとを混合してなる溶液に、黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)100gを加え、分散状態で攪拌した。次に減圧下において150℃で溶剤のタール軽油を留去し、混合黒鉛粒子を得た。この樹脂混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。次に窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、0.48%の炭素材の含有量をもつ比較例の複合黒鉛粒子を得た。
比較例4
フェノール樹脂(残炭率40%)30gと石炭系ピッチ(軟化点105℃、残炭率60%)20gとタール軽油500gとヘキサメチレンテトラミン6gとからなる溶液に黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)76gを加え、分散状態で攪拌した。次に減圧下において150℃で溶剤のタール軽油を留去し、樹脂混合黒鉛粒子を得た。この樹脂混合黒鉛粒子を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃で2時間保持し、加熱した。これを75μm篩い下になるように解砕した。次に窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、さらに3,000℃で炭化を行うことによって、24%の炭素材の含有量をもつ比較例の複合黒鉛粒子を得た。
比較例5
実施例1において、炭化可能材料を用いず、その他は実施例1と同様の前炭化処理と炭化のみを施して比較例の黒鉛粒子を得た。
比較例6
石炭系ピッチ(軟化点105℃、残炭率60%)16.7gをタール軽油500gに溶解し、溶液に黒鉛粒子(平均粒径20μm、アスペクト比2.0)90gを加えて分散状態で攪拌した。次に減圧下において150℃で溶剤のタール軽油を留去し、ピッチ混合黒鉛を得た。この混合黒鉛粒子を窒素雰囲気中で1,000℃で前炭化処理を行い、75μm篩い下になるように解砕した。さらに3,000℃で炭化を行うことによって、10%の炭素材の含有量をもつ従来技術に相当する比較例の複合黒鉛粒子を得た。
評価例1
前記実施例および比較例の複合黒鉛粒子または黒鉛粒子を用いて、図1に示すような構成の評価用のボタン型二次電池を以下に示すように作製して評価した。しかし、実電池は、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる
<負極合剤ペーストの調製>
複合黒鉛粒子98%に対して、結合剤としてスチレンブタジエンラバーを1%、カルボキシメチルセルロースを1%の割合で水に加えてスラリーとし負極合剤ペーストを調製した。このペーストは各実施例および比較例のそれぞれの複合黒鉛粒子を用いて行なった(なお、比較例5のものは複合黒鉛粒子ではない)。
作用電極の製造>
上記の各負極合剤ペーストを銅箔(集電材)上に均一な厚さで塗布し、さらに真空中で90℃に加熱して溶剤を揮発させて乾燥した。次に、この銅箔上に塗布された負極合剤をローラープレスによって加圧し、さらに銅箔と一緒に直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、銅箔からなる集電体7b(厚み16μm)に密着した負極合剤層(厚み50μm)からなる作用電極2を製造した。
極の製造>
リチウム金属箔を、ニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円柱状に打ち抜いて、ニッケルネットからなる集電体7aと、集電体に密着したリチウム金属箔(厚み0.5μm)からなる極4を製造した。
<電解質>
エチレンカーボネート33mol%およびエチルメチルカーボネート67mol%の割合の混合溶媒に、LiPF6を1mol/dm3となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸されたセパレーター5を製造した。
<評価用電池の製造>
評価電池として図1の構造を有するボタン型二次電池を作製した。まず、集電体7bに密着した作用電極2と集電体7aに密着した対極4との間に、電解質溶液を含浸させたセパレーター5を挟んで積層する。その後、作用電極集電体7b側が外装カップ1内に、極集電体7a側が外装缶3内に収容されるように、外装カップ1と外装缶3とを合わせる。その際、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。以上のようにして作製された評価電池について、25℃の温度下で下記のような充放電試験を行った。
<充放電試験>
0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行う。次に、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続け、その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。次に0.9mAの電流値で、回路電圧が2.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式から初期充放電効率を計算した。
Figure 0004215633
なお、この試験では、リチウムイオンを複合黒鉛粒子中にドープする過程を充電、複合黒鉛粒子から脱ドープする過程を放電とした。
次いで、第2サイクルとして、第1サイクルと同様にして充電した後、20mAの電流値で、回路電圧が2.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から第2サイクルの放電容量を求めた。このとき第1サイクルにおける放電容量と第2サイクルにおける放電容量から、次式に従って急速放電効率を評価した。
Figure 0004215633
また、これらの評価試験とは別に6mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行う。次に、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続ける。その後、120分間休止した。次に6mAの電流値で、回路電圧が2.5Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電を20サイクル繰り返し、第20サイクルの放電容量を求めた。1サイクル目と20サイクル目における放電容量を求め、次式からサイクル特性を計算した。
Figure 0004215633
表2に実施例および比較例の複合黒鉛粒子または黒鉛粒子の特性およびこれらを負極材として用いた評価用電池の電池特性を示す。
本発明の実施例1〜6においては、黒鉛粒子に適度なR値に設定された炭素材を有している。炭素材を有しない比較例5に比べてわずかに放電容量が低下するものの、高い放電容量を維持し、初期充放電効率、急速放電効率、サイクル特性にも優れていることがわかる。特に、樹脂材料として、フェノール樹脂のモノマーを原料に用いた実施例2、4では急速放電効率、サイクル特性が優れている。
一方、炭素材を有しない比較例5や、炭素材の含有量が本発明の範囲より少ない比較例1、3では初期充放電効率、急速放電効率、サイクル特性が著しく低い。逆に炭素材の含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2、4では、混合時に融着した複合黒鉛粒子の解砕に由来して、炭素材が剥がれ、初期充放電効率などの改善効果に乏しい。また、放電容量の低下が顕著である。炭素材の剥離は比表面積の増加からも確認できる。
炭素材に樹脂材料を用いない従来技術に相当する比較例6の場合には、炭素材の結晶性が高くなりすぎてR値が低下し、初期充放電効率が低いものとなる。
Figure 0004215633
Figure 0004215633
Figure 0004215633
上記表2−1〜3における各種特性の測定は以下のようにして行なった。
・炭素材の割合(%):炭素材の原料単体に複合黒鉛粒子と同一の熱履歴を付与して、炭素材単体の炭化物を調製し、原料の残炭率を求めた。該残炭率から換算して複合黒鉛粒子に占める炭素材の割合を算出した。
・被覆率:複合黒鉛粒子を研磨して断面を得て、偏光顕微鏡を用いて1,000倍で粒子表面を観察した。任意の粒子の10個について最外層に存在する内部黒鉛とは異なる異質な炭素物質の露出部を目視で計測し、複合黒鉛粒子の輪郭の長さに対する炭素材被覆部の長さの比の平均値を求めた。
・比表面積(m2/g):前記表1と同じ。
・平均粒径:前記表1と同じ。
・R値:前記表1と同じ。
・d002:前記表1と同じ。
・アスペクト比:前記表1と同じ。
評価例2(プレス圧依存性)
実施例1、3、4および比較例3、4、5の複合黒鉛粒子または黒鉛粒子を用いて前記の通りに黒鉛電極を作製し、その際の電極密度のプレス圧力依存性を調べたところ、図2に示す結果が得られた。図2に示される通り、炭素材の含有量が少ない比較例3、および炭化可能材料を用いない比較例5に示した複合黒鉛粒子または黒鉛粒子は、完全な球状をしているわけではないが、機械的に鱗片状黒鉛を丸く造粒している。しかし、負極を作製する工程でのプレス圧力に対して急激に電極密度が上昇した。このことは、数mにわたって電極をプレス成型する場合、僅かの圧力変動によって、密度が不均一になりやすいことを示している。これに対して、実施例3および4で得られた適量の樹脂/ピッチからなる炭化可能材料を用いた複合黒鉛粒子は、何れの場合にも密度のプレス圧力依存性が少なくなり、一定の電極密度を制御しやすい材料であることがわかる。また、炭素材の含有量の多い比較例4はプレス圧力依存性が低いものの、前記評価例1に示すように電池特性が満足できない。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池用の負極材として高負荷特性および高サイクル特性を有し、さらに高放電容量で、低不可逆容量の黒鉛粒子を提供することができる。また、本発明によれば、被覆材として樹脂とピッチとの混合物を用いることによって、高い放電容量とレート特性(急速放電効率)を維持しながら、本質的に高密度な電極を得ることができるうえに、電極製造時におけるプレス圧力の依存性が少なく、均一な密度を有する電極を容易に製造することができる。
また、本発明の方法によれば、複合構造の炭素材が、生産性良く、低コストで製造することができる。しかもこの方法によれば、従来製造できなかった、リチウムイオン二次電池の負極材として好適な複合黒鉛粒子が製造できる。これを負極材に用いたリチウムイオン二次電池は、従来、二律背反して達成が困難であった高い初期充放電効率と大きい放電容量の両性能を高度に達成できる。さらに優れた急速放電特性とサイクル特性を有する。よって、本発明の複合黒鉛粒子により、電池エネルギーの高密度化に対する近年の要望も満足できる。さらに、本発明の負極材およびリチウム二次電池を搭載する機器は、小型化および高性能化が可能となり、広く社会に貢献できる。
評価用のボタン型二次電池の断面を説明する図。 電極密度−プレス圧力相関図。
符号の説明
1:外装カップ
:作用電
3:外装缶
:対極
5:セパレーター
6:絶縁ガスケット
7a:集電体
7b:集電体

Claims (13)

  1. 複数の鱗片状黒鉛を造粒助剤を用いずに機械的外力で造粒球状化した球状黒鉛粒子、炭化後に複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%となる、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物で被覆し、該被覆粒子を加熱処理して被覆層を炭化することを特徴とする複合黒鉛粒子の製造方法
  2. 樹脂が、フェノール樹脂またはフェノール樹脂の前駆体またはフェノール樹脂のモノマー混合物である請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法
  3. ピッチが、石油系または石炭系ピッチである請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法
  4. 樹脂とピッチとの混合割合が、樹脂/ピッチ=5/95〜100/0(質量比)である請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法
  5. 造粒球状化した球状黒鉛粒子が、平均粒径が5〜60μm、アスペクト比が3以下、比表面積が0.5〜10m2/gおよびX線回折の測定値であるLcが40nm以上、Laが40nm以上、d002が0.337nm以下、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.06〜0.30、および1580cm-1バンドの半値幅が10〜60である高結晶性の人造または天然黒鉛からなる請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法
  6. 炭素材が、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm-1ピーク強度(I1360)と1580cm-1ピーク強度(I1580)の比I1360/I1580(R値)が0.05〜0.40である請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法
  7. 球状黒鉛粒子を、樹脂単独または樹脂とピッチとの混合物で被覆した後、空気中または不活性雰囲気下において200〜300℃で熱処理後、2,000〜3,200℃で焼成する請求項に記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
  8. 複数の鱗片状黒鉛を造粒助剤を用いずに造粒球状化した黒鉛に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を2,000℃〜3,200℃で炭化する複合黒鉛粒子の製造方法において、炭化後に、複合黒鉛粒子の0.50〜20質量%が炭化可能材料を加熱炭化してなる炭素材になるように炭化可能材料を混合することを特徴とする複合黒鉛粒子の製造方法。
  9. 炭化可能材料が、樹脂材料とタール類との混合物であり、かつ樹脂材料/タール類=5/95〜100/0(質量比)である請求項に記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
  10. 樹脂材料が、樹脂の原料および樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項またはに記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
  11. 樹脂材料が、熱硬化性樹脂の原料および熱硬化性樹脂の前駆体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項またはに記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
  12. 熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂である請求項1に記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
  13. 前記黒鉛に、樹脂材料を含有する炭化可能材料を混合し、得られた混合物を炭化するに先だって該混合物を200〜300℃で加熱した後炭化する請求項〜1の何れか1項に記載の複合黒鉛粒子の製造方法。
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