JP6152108B2 - 高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる汚泥の脱水方法 - Google Patents

高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる汚泥の脱水方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子凝集剤及びその製造方法並びに汚泥の脱水方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、難脱水性汚泥を効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができる高性能な高分子凝集剤及びその製造方法並びにそれを用いる汚泥の脱水方法に関する。
従来、生活排水、産業排水等に含まれる懸濁物を凝集・沈降・分離させることを目的として、ノニオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の高分子凝集剤が使用されている。特に、下水汚泥の脱水処理にはカチオン性高分子凝集剤が多用されている。しかし、汚泥の発生量の増加や汚泥の性状の変化、特に有機性汚泥については有機物含有量の増加や腐敗等により、汚泥を十分に脱水することができなくなっている。これらの問題を解決するため、汚泥の脱水方法に関する種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、有機性汚泥に無機凝集剤を添加し、さらに両性高分子凝集剤を添加した後、脱水する方法が提案されている。しかし、これらの方法では、汚泥の性状によっては十分な効果が得られなかったり、薬品コストが高い、設備や作業が煩雑になる等の問題がある。
また、特許文献3や特許文献4には、有機性汚泥に特定の物性を示すカチオン性高分子凝集剤を添加し、脱水する方法が提案されている。特許文献3と特許文献4には、特定の物性を示すカチオン性高分子凝集剤の製造処方の具体例がないので、どのように製造すると当該高分子凝集剤が得られるのか詳細は不明である。分岐や架橋の指標とされる曳糸長をパラメータに使用していることや2官能のアクリル系架橋剤であるメチレンビスアクリルアミドが例示されていることから、メチレンビスアクリルアミド等の公知の架橋剤を用いた架橋型重合体である可能性が高い。このような公知の方法で製造される架橋型の高分子凝集剤を使用しても、難脱水性汚泥に対しては、十分に満足できる効果は得られない。
特許文献5には、重合体中のカルボキシル基と反応する2官能のジグリシジルエーテル系架橋剤を用いた架橋型の高分子凝集剤及びその製造方法が開示されている。しかし、このような架橋剤は熱によって架橋反応の進み方が大きく異なる。そのため、重合時や乾燥時のわずかな温度の違いの影響を受け易く、架橋反応が進みすぎると容易にゲル化してしまう等、架橋反応の調整が極めて困難である。
特許文献6には、重合時に過酸化水素等を使用し、重合体の主鎖中の水素を引き抜き、ラジカルを発生させてそこを起点に分岐反応や架橋反応させる分岐型または架橋型のカチオン性高分子エマルジョンの製造方法及び高分子凝集剤としての使用例が開示されている。しかし、前記の特許文献5と同様に、架橋反応が進みすぎると容易にゲル化してしまう等、架橋反応の調整が困難である。
特許文献7には、架橋剤として2官能のアクリル系架橋剤であるメチレンビスアクリルアミドを用いた架橋型両性高分子エマルジョンからなる汚泥脱水剤及びその製造方法が開示されている。しかし、当該架橋型両性高分子エマルジョンは、非架橋型すなわち従来の直鎖状の両性高分子エマルジョンと比較すると一定の効果は見られるものの十分ではない。特に難脱水性汚泥に対しては、十分に満足できる効果は得られない。また、前記の特許文献1や特許文献2と同様に、薬品コストが高い、設備や作業が煩雑になる等の問題も解消されていない。
特許文献8には、架橋剤として2官能以上のビニル基又は(メタ)アリル基を分子内に有する架橋性単量体を用いた架橋型水溶性重合体からなり、特定の固有粘度を示すことを特徴とする高分子凝集剤及びその製造例が開示されている。また、当該発明で使用可能な架橋剤の具体例として、非常に多くの架橋剤が例示されている。しかし、これら全ての架橋剤は、反応性の官能基がいずれもビニル基又は(メタ)アリル基であり、ラジカル重合の反応性が低すぎるために殆ど架橋反応が進まない。反応性が低いことを補うために、架橋剤の添加量を多くしているが、そのうち、実際に架橋反応に寄与するのはごく一部であり、架橋反応しないものの方が多い。高分子凝集剤としての性能も、非架橋型すなわち従来の直鎖状のカチオン性重合体と比較すると僅かに効果は見られるものの十分ではなく、特に難脱水性汚泥に対して十分に満足できる効果は得られない。
特開昭63−158200号公報 特開平2−180700号公報 特開2000−126800号公報 特開2000−24700号公報 特開2001−129311号公報 特開2002−114810号公報 特開2002−233708号公報 特開2004−255378号公報
本発明が解決しようとする課題は、前記の問題点を解決し、難脱水性汚泥に対して凝集性に優れ、フロック径が大きく、ろ過速度やろ液の外観にも優れ、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができる高性能な高分子凝集剤及びその製造方法並びに汚泥の脱水方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくともカチオン性単量体と、特定の架橋性単量体と、を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる架橋型重合体を、高分子凝集剤として使用すると、難脱水性汚泥に対しても凝集性に優れ、フロック径が大きく、重力ろ過性やろ液の外観にも優れ、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
《1》 少なくともカチオン性単量体と、
1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体と、
を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる架橋型重合体を含む高分子凝集剤である。
《2》 前記単量体混合物が、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を含む《1》の高分子凝集剤である。
《3》 前記架橋型重合体のB型回転式粘度計を用いて、ローター回転数60rpm、25℃で測定した0.5%塩粘度が、8〜75mPa・sである《1》の高分子凝集剤である。
《4》 前記カチオン性単量体が、下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の1種又は2種以上を含む《1》の高分子凝集剤である。
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (1)
(但し、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
《5》 前記カチオン性単量体が、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル第4級塩及びジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル第4級塩の少なくとも1種である《1》の高分子凝集剤である。
《6》 前記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体が、下記一般式(2)〜(4)で表される化合物の1種又は2種以上を含む《1》の高分子凝集剤である。
(但し、R、R、Rはそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、l、m、nはそれぞれ独立に0〜5の整数、R、R、R10はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R11はヒドロキシ基、メチル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基をそれぞれ表す。)
(但し、R12〜R17はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、p1、p2、q1、q2、r1、r2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R18〜R22はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R23は水素原子、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。)
(但し、R24〜R27はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、s1、s2、t1、t2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R28〜R31はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。)
《7》 前記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体が、
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパンから選択される1種又は2種以上と、
(メタ)アクリル酸と、
の反応生成物である《1》の高分子凝集剤である。
《8》 前記架橋型重合体が、[A]B型回転式粘度計を用いて、ローター回転数12rpm、25℃で測定した0.5%水溶液粘度a(mPa・s)を、[B]濃度1モル/Lの塩化ナトリウム水溶液を溶媒とし、B型回転式粘度計及びBLアダプタを使用して、ローター回転数60rpm、25℃で測定した0.1%塩粘度b(mPa・s)で除した商(a/b)が、下記式(5)〜(8)で表される範囲内にある架橋型重合体である《1》の高分子凝集剤である。
y1 ≦ (a/b) ≦ y2 (5)
y1 = 400・ln(x) − 670 (6)
y2 = 1160・ln(x) − 2060 (7)
8 ≦ x(mPa・s) ≦ 75 (8)
(但し、x及びln(x)はそれぞれ架橋型重合体の0.5%塩粘度(mPa・s)及びその自然対数を表す。)
《9》 前記単量体混合物が、片末端に下記一般式(9)で表されるエチレン性不飽和基を有するポリアルキレンオキサイドオリゴマーの1種又は2種以上を含む《1》の高分子凝集剤。
CH=CR32−Y− (9)
(但し、R32は水素原子又はメチル基、Yは−R33O−又は−O−、R33は炭素数1〜4のアルキレン基をそれぞれ表す。)
《10》 少なくともカチオン性単量体と、
1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体と、
水と、
を含む単量体混合物の水溶液を、ラジカル重合開始剤の存在下、水溶液重合することを特徴とする《1》〜《9》のいずれかの高分子凝集剤の製造方法である。
《11》 前記ラジカル重合開始剤が光重合開始剤であり、且つ連鎖移動剤の存在下、単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う《10》の高分子凝集剤の製造方法である。
及び、
《12》 汚泥に、《1》〜《9》のいずれかの高分子凝集剤を添加して脱水する汚泥の脱水方法である。
本発明の高分子凝集剤は、難脱水性汚泥に対しても凝集性に優れ、フロック径が大きく、ろ過速度やろ液の外観にも優れ、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得ることができる。すなわち、本発明により、上記のような高性能な高分子凝集剤及びその製造方法並びに汚泥の脱水方法が提供される。
また、その他の用途としては、例えば、製紙用濾水歩留向上剤、濾水性向上剤、地合形成助剤及び紙力増強剤等の製紙用薬剤、掘削・泥水処理用凝集剤、原油増産用添加剤、有機凝結剤、増粘剤、分散剤、スケール防止剤、帯電防止剤及び繊維用処理剤等の幅広い用途に応用することが可能である。これらのうち、製紙用薬剤、掘削・泥水処理用凝集剤、原油増産用添加剤及び有機凝結剤の用途において、特に優れた性能が発揮される。
以下に本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
本発明の高分子凝集剤は、
(A) 少なくともカチオン性単量体と、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体と、を必須成分として含む単量体混合物を;
(B) ラジカル重合して得られる;
(C) 架橋型重合体を含む;
ことを特徴とする。
本発明で使用するカチオン性単量体は、ラジカル重合し得るラジカル重合性の二重結合及びカチオン基を有する単量体であればいずれでもよく、下記一般式(1)で表される化合物の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物等を挙げることができる。これらのカチオン性単量体の中でも、ラジカル重合反応性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、得られる架橋型重合体の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
CH=CR−CO−X−Q−N・Z (1)
但し、上記一般式(1)中のRは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。Zとしては、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや硫酸イオンが例示される。
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの好ましいカチオン性単量体の中でも、特に高分子凝集剤としての性能に優れ、カチオン性単量体及び架橋型重合体の品質及び貯蔵安定性にも優れることから、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩及びジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩が最も好ましい。
これらのカチオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の高分子凝集剤は、前記カチオン性単量体の他、必要に応じて共重合可能な単量体の1種又は2種以上を併用してもよい。
共重合可能な単量体としては、特に制限されないが、以下に記載するアニオン性単量体及びノニオン性単量体が例示される。
アニオン性単量体としては、下記一般式(10)で表される(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類の他、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸等及びこれらの塩類を挙げることができる。これらのアニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(10)で表される(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類が好ましい。塩類としては、アンモニウム塩並びにナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
CH=CR34−CO−OM (10)
但し、上記一般式(10)中のR34は水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す。
これらの(メタ)アクリル酸及びそれらの塩類の中でも、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリル酸及びそのアンモニウム塩が最も好ましい。
これらのアニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ノニオン性単量体としては、下記一般式(11)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのノニオン性単量体の中でも、カチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(11)で表される(メタ)アクリルアミド系化合物が好ましい。
CH=CR35−CO−NR3637 (11)
但し、上記一般式(11)中のR35は水素原子又はメチル基であり、R36及びR37はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
これらの(メタ)アクリルアミド系化合物の中でも、水溶性であり、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、アクリルアミドが最も好ましい。
これらのノニオン性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の単量体混合物中の各単量体の配合比(モル比)は、カチオン性単量体:アニオン性単量体:ノニオン性単量体=1〜100:0〜99:0〜99である。ノニオン性単量体を用いる場合、単量体混合物中におけるノニオン性単量体の含有量は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。
本発明で使用する1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体(以下、単に「架橋性単量体」又は「架橋剤」と略記することもある)は、ラジカル重合性の官能基である下記一般式(12)で表される(メタ)アクリロイル基を、当該架橋性単量体の1分子中に3個以上有する化合物であればいずれでもよく、下記一般式(2)〜(4)で表される化合物の他、種々の化学構造の化合物が対象となる。
CH=CR38−CO− (12)
但し、上記一般式(11)中のR38は水素原子又はメチル基であり、−CO−はカルボニル基を表す。
前記架橋性単量体の1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、3個以上である。3〜10個であるものが好ましく、3〜6個であるものがさらに好ましく、3〜4個であるものが最も好ましい。1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個有する架橋性単量体では、得られる架橋型重合体の高分子凝集剤としての性能が劣る。また、1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数が10個を超えても、(メタ)アクリロイル基の数に相応の高分子凝集剤としての性能向上の効果が得られない場合がある。
これらの中でも、ラジカル重合反応性及びカチオン性単量体との共重合性に優れて、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、得られる架橋型重合体の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(2)〜(4)で表される化合物が好ましい。
但し、上記一般式(2)中のR、R、Rはそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、l、m、nはそれぞれ独立に0〜5の整数、R、R、R10はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R11はヒドロキシ基、メチル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基をそれぞれ表す。
但し、上記一般式(3)中のR12〜R17はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、p1、p2、q1、q2、r1、r2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R18〜R22はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R23は水素原子、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
但し、上記一般式(4)中のR24〜R27はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、s1、s2、t1、t2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R28〜R31はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート等が例示される。なお、EO変性およびPO変性とは、エチレンオキサイド(以下、「EO」と略記する)およびプロピレンオキサイド(以下、「PO」と略記する)をそれぞれ付加して変性された化合物であることを表し、その具体例としては、EOおよびPOの付加モル数が1〜5のものが例示される。
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールPO変性ペンタ(メタ)アクリレート等が例示される。また、EO変性およびPO変性の具体例としては、EOおよびPOの付加モル数が1〜5のものが例示される。
前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンEO変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンPO変性テトラ(メタ)アクリレート等が例示される。また、EO変性およびPO変性の具体例としては、EOおよびPOの付加モル数が1〜5のものが例示される。
また、前記一般式(2)〜(4)で表される以外の化合物の具体例としては、ジグリセリンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンEO変性テトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が例示される。
これらの前記一般式(2)〜(4)で表される化合物の中でも、高分子凝集剤としての性能が特に優れることから、本発明で使用する架橋性単量体は、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパンから選択される1種又は2種以上と(メタ)アクリル酸との反応生成物であることが好ましい。当該化合物は、前記一般式(2)中のl、m、nが0であり、前記一般式(3)中のp1、p2、q1、q2、r1、r2が0であり、前記一般式(4)中のs1、s2、t1、t2が0である。
さらに好ましい架橋性単量体の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
これらの架橋性単量体は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル第4級塩をカチオン性単量体の主体として使用する場合には、当該カチオン性単量体との共重合性が特に優れて、高分子凝集剤としての性能のうち、難脱水性汚泥に対しても凝集性に優れ、フロック径が大きく、ろ過速度やろ液の外観にも優れ、効果的に脱水することができ、含水率の低い脱水ケーキを得られることから、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物がさらに好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物が最も好ましい。
本発明の1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体を用いた架橋型重合体が特に高分子凝集剤としての性能に優れる理由に関して、本発明を制限するものではないが、本発明者らは以下のように考察している。 すなわち、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体である本発明の架橋剤を用いた架橋型重合体の場合、従来の2官能の架橋剤を用いた架橋型重合体に比べて、一つの架橋剤分子により繋ぎ合わされる重合体主鎖の本数が多くなると推定される。つまり、本発明の架橋型重合体では、一つの架橋点で繋ぎ合わされる重合体主鎖の本数が多く、このような高分子構造を有する本発明の架橋型重合体では、処理対象となる汚泥に添加された際、汚泥スラリー中で、汚泥中の懸濁物を凝集させるのに有利な凝集力の強いコンフォメーションを取り易いためではないかと考えられる。
本発明で使用する1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体の添加量は、特に制限されないが、前記単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で2〜1,000ppmが好ましく、5〜500ppmがさらに好ましく、10〜300ppmが最も好ましい。架橋性単量体の添加量が2ppm未満では、架橋反応が不十分となることがあり、その場合、高分子凝集剤としての汚泥フロックの形成能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、脱水ケーキの含水率が低くならなかったりすることがある。また、架橋性単量体の添加量が1,000ppmを超えると、架橋反応が進みすぎることがあり、その場合、水に溶けない不溶解量が増加して、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。
本発明の高分子凝集剤は、フロック強度の向上や脱水ケーキの含水率の低減等の高分子凝集剤の性能をさらに向上させるために、前記カチオン性単量体及び1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体の他、片末端に下記一般式(9)で表されるエチレン性不飽和基を有するポリアルキレンオキサイドオリゴマーの1種又は2種以上を併用してもよい。
CH=CR32−Y− (9)
(但し、R32は水素原子又はメチル基、Yは−R33O−又は−O−、R33は炭素数1〜4のアルキレン基をそれぞれ表す。)
前記Yは、−R33O−又は−O−である。Yがこれら以外の例えばエステル結合であると、意図しない架橋反応を生じることがある。その場合、本発明の1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体を用いた架橋型重合体の構造が阻害される。その結果、本発明の高分子凝集剤の性能を低下させる。
前記R33は、炭素数1〜4のアルキレン基である。R33の構造は直鎖状でも分岐状でもよい。R33は、メチレン基であることが好ましい。
前記一般式(9)で表されるエチレン性不飽和基の具体例としては、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、3−ブテニル−1−オキシ基、3−メチル−3−ブテニル−1−オキシ基、4−ペンテニル−1−オキシ基、4−メチル−4−ペンテニル−1−オキシ基、2,4−ジメチル−4−ペンテニル−1−オキシ基、5−ヘキセニル−1−オキシ基、ビニルオキシ基、1−プロペニル−2−オキシ基等が例示される。これらの中でも反応性に優れ、入手が容易である点で、アリルオキシ基、メタリルオキシ基が好ましい。
ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの主鎖は、アルキレンオキサイドの1種又は2種以上から構成される。前記主鎖を構成するアルキレンオキサイドとしては、EO、PO、ブチレンオキサイド等が例示される。前記主鎖の構造は、直鎖状でも分岐状でもよい。また、2種以上のアルキレンオキサイドをブロック状に有するものでもよい。その具体例としては、ポリ(EO/PO)のブロックオリゴマー等が例示される。
ポリアルキレンオキサイドオリゴマーのアルキレンオキサイドの繰り返し単位数は5以上が好ましく、より好ましくは5〜80である。その数が5未満の場合、高分子凝集剤の性能向上の効果が十分に発揮されないことがある。また、80を超える場合、未重合物が多くなると共に、同様に性能向上の効果が十分に発揮されないことがある。
また、前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーにおいて、他の末端には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基を有することが好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの添加量は、前記単量体混合物中の各単量体の合計モル数に対して、モル比で0.01〜10モル%が好ましく、0.03〜5モル%がさらに好ましく、0.05〜3モル%が最も好ましい。ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの添加量が0.01モル%未満では、高分子凝集剤の性能向上の効果が十分に発揮されないことがある。また、ポリアルキレンオキサイドオリゴマーの添加量が10モル%を超えると、添加量の増加に応じた性能向上の効果が見込まれない。また、未重合物が多くなることがあり、その場合、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。
本発明の架橋型重合体を得るための重合の方法は、ラジカル重合であること以外には特に制限されないが、本発明に適用可能なラジカル重合の具体的な形態として、水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相エマルジョン重合等が例示される。これらの中でも操作方法が簡便且つ原料及び製品の取扱いが容易であり、工業的な生産における生産コストの面でも有利な水溶液重合が好ましい。
本発明の架橋型重合体の好ましい製造方法の具体例としては、少なくともカチオン性単量体、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体、水を含む単量体混合物の水溶液を、ラジカル重合開始剤の存在下、水溶液重合する方法が例示される。
水溶液重合の場合、前記単量体混合物の濃度は、25〜85質量%とすることが好ましく、30〜65質量%とすることが特に好ましい。単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
前記重合反応の際に用いられるラジカル重合開始剤は特に制限されない。水溶液重合の場合は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤及び光重合開始剤等を適宜利用できる。
これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合開始温度は、通常0〜35℃が好ましい。重合時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。また、重合反応は酸素の存在しない不活性雰囲気で行うことが好ましい。これらの重合条件は公知である。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥、粉砕等の後処理を行う。これらの後処理も公知の方法を適用できる。
前記水溶液重合による製造方法の中でも、架橋型重合体の物性や品質のバラツキが少なく、安定した生産が可能であり、物性の調整が容易である等の理由から、光照射重合が特に好ましい。光照射重合の具体例としては、少なくともカチオン性単量体、1分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体、水を含む単量体混合物の水溶液を、光重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下、単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う方法が例示される。
光照射重合に用いられる光重合開始剤は特に制限されない。好ましい光重合開始剤として、アセトフェノン系光重合開始剤やアゾ系開始剤等が例示される。その中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易である等の理由から、水溶性のアゾ系開始剤が特に好ましい。
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が例示される。
これらの光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の添加量は特に制限されない。光重合開始剤の種類、架橋型重合体の分子量、単量体組成及び残存単量体の含有量に応じて、適宜調整すればよい。水溶性アゾ系開始剤の場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で100〜3,000ppmが好ましい。
光照射重合に用いられる連鎖移動剤は、主に架橋型重合体の分子量の調整及び不溶解物の発生を抑制する目的で添加される。その種類は特に制限されない。本発明で使用可能な連鎖移動剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、メルカプトエタノール、イソプロパノール等が例示される。これらの中でも単量体混合物の水溶液への溶解度が高く、少量の添加量でも効果が高く、架橋型重合体の分子量を容易に調整できる等の理由から、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
これらの連鎖移動剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の添加量は特に制限されない。連鎖移動剤の種類、架橋型重合体の分子量、単量体組成、架橋性単量体の添加量及び不溶解量に応じて、適宜調整すればよい。亜硫酸水素ナトリウムの場合、通常、単量体混合物中の各単量体の合計質量に対して、質量基準で5〜500ppmが好ましく、10〜300ppmがさらに好ましく、15〜200ppmが最も好ましい。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が5ppm未満では、不溶解物の発生を抑制できない場合がある。その場合、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。亜硫酸水素ナトリウムの添加量が500ppmを超えると、架橋型重合体の分子量が低くなりすぎることがある。その場合、高分子凝集剤としての汚泥に対する凝集力が低下し、フロック径が大きくならない。また、ろ過速度が低下したり、汚泥中の微細な固形物がろ液に抜けて、ろ液の透明性が悪化する場合がある。
光照射重合に用いられる光の波長、照射強度、照射時間等の光照射条件は特に制限されない。使用する光重合開始剤の種類及び添加量並びに架橋型重合体の物性及び性能に応じて、適宜調整すればよい。光重合開始剤として、前記水溶性アゾ系開始剤を使用する場合、波長365nm付近の光が好ましく、照射強度は365nm用のUV照度計による0.1〜1.0mW/cmが好ましい。照射時間は、通常0.1〜3時間が好ましい。
本発明の架橋型重合体の重量平均分子量は、100万〜2000万であることが好ましい。重量平均分子量が100万未満の場合、高分子凝集剤としての汚泥フロックの形成能が不足して、フロック径が十分に大きくならないことがある。また、重量平均分子量が2000万を超えると、架橋反応が進みすぎることがあり、その場合、水に溶けない不溶解量が増加して、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。
本発明の架橋型重合体の不溶解量は、50mL以下であることが好ましく、20mL以下であることがさらに好ましく、1mL以下であることが最も好ましい。不溶解量が50mLを超えると、高分子凝集剤として有効に作用する有効成分の量が減る。また、高分子凝集剤を水に溶解した溶解液を送液するポンプを閉塞させるトラブルの原因になることがある。
本発明の架橋型重合体の0.5%塩粘度は、8〜75mPa・sであることが好ましく、10〜60mPa・sであることがさらに好ましく、12〜45mPa・sであることが最も好ましい。0.5%塩粘度が8mPa・s未満の場合、高分子凝集剤としての汚泥フロックの形成能が不足して、フロック径が十分に大きくならなかったり、重力ろ過性が低下することがある。0.5%塩粘度が75mPa・sを超えると、架橋反応が進みすぎて、水に溶けない不溶解量が増加したり、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
本発明の架橋型重合体では、0.5%水溶液粘度a(mPa・s)を0.1%塩粘度b(mPa・s)で除した商(a/b)を指標にして、当該架橋型重合体の架橋の度合いを表すことができる。本発明者らは、0.5%塩粘度x(mPa・s)が同じである架橋型重合体同士を比較すると、a/bが大きい値を示すものほど、高密度に架橋した架橋型重合体であり、一方、同じ程度に架橋した架橋型重合体同士を比較すると、xが大きい値を示すものほど、a/bも大きい値を示す傾向であることを見出した。さらに、本発明者らは、本発明の架橋型重合体が高分子凝集剤としての優れた性能を発揮するには、架橋型重合体のxの大きさに応じてa/bの好ましい範囲が異なることを見出し、それらの知見に基づいて、a/bの好ましい範囲をxを用いた関係式として特定した。つまり、本発明の架橋型重合体は、xの大きさに応じて、下記式(5)〜(8)で表される範囲内のa/bを示す架橋型重合体であることが好ましい。
y1 ≦ (a/b) ≦ y2 (5)
y1 = 400・ln(x) − 670 (6)
y2 = 1160・ln(x) − 2060 (7)
8 ≦ x(mPa・s) ≦ 75 (8)
但し、上記式(6)〜(8)中のx及びln(x)はそれぞれ架橋型重合体の0.5%塩粘度(mPa・s)及びその自然対数を表す。
前記式(5)に示すa/bの好ましい範囲の下限値であるy1が、前記式(6)で表される値よりも小さいと、架橋の度合いが不足して、従来の直鎖状の重合体と同程度にしかフロック径が大きくならなかったり、重力ろ過性が向上しなかったり、脱水ケーキの含水率が低下しないことがある。一方、前記式(5)に示すa/bの好ましい範囲の上限値であるy2が、前記式(7)で表される値を超えると、架橋反応が進みすぎて、水に溶けない不溶解量が増加したり、脱水ケーキの含水率が十分に低下しないことがある。
前記y1及びy2は、下記式(13)及び(14)で表される値であることがさらに好ましい。つまり、本発明の架橋型重合体は、xの大きさに応じて、前記式(5)および(8)並びに、下記式(13)及び(14)で表される範囲内のa/bを示す架橋型重合体であることがさらに好ましい。
y1 = 500・ln(x) − 870 (13)
y2 = 980・ln(x) − 1730 (14)
但し、上記式(13)および(14)中のx及びln(x)はそれぞれ架橋型重合体の0.5%塩粘度(mPa・s)及びその自然対数を表す。
なお、a/bの値は、当該架橋型重合体の架橋の度合いを表す指標であることからも推測できるように、架橋性単量体の添加量及び連鎖移動剤の添加量等によって調整することができる。例えば、架橋性単量体の添加量が同じでも連鎖移動剤の添加量を増量すると、a/bの値は低下する。一方、連鎖移動剤の添加量が同じ場合、架橋性単量体の添加量を増量すると、a/bの値は上昇する。しかし、連鎖移動剤の添加量を一定にして、架橋性単量体の添加量を増量しすぎると、a/bの値は上昇するものの不溶解量も増加するために好ましくない。このように本発明の架橋型重合体では、0.5%塩粘度、不溶解量及びa/bの値が好ましい範囲に入るように、架橋性単量体及び連鎖移動剤の添加量を適宜変えることでこれらの物性を調整することができる。
本発明の高分子凝集剤を用いる汚泥の脱水方法では、処理対象の汚泥は特に制限されない。下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等がいずれも処理対象になる。
本発明の汚泥の脱水方法は、上記各種汚泥に、本発明の前記架橋型重合体を含む高分子凝集剤を添加して脱水することを特徴とする。
脱水方法の具体例としては、以下の方法が例示される。すなわち、汚泥に、必要に応じて無機凝集剤を添加し、好ましくはpHを4〜7に調節する。その後、この汚泥に本発明の高分子凝集剤を添加し、公知の方法で撹拌および/または混合することで汚泥中の懸濁物と高分子凝集剤を作用させて、汚泥フロックを形成させる。形成された汚泥フロックを、公知の手段により機械的に脱水処理することで、処理水と脱水ケーキに分離する。なお、本発明の高分子凝集剤として架橋型両性重合体を使用する場合は、前記無機凝集剤を併用することが好ましい。また、脱臭、脱リン及び脱窒等を目的とする場合は、汚泥のpHを5未満にすることが好ましい。
無機凝集剤としては、特に制限されないが、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄等が例示される。
脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤等が例示される。
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
〔0.5%塩粘度〕
純水500mLに、塩化ナトリウム20.8gおよび0.50質量%となる量の試料(重合体)を加えて十分に溶解し、試料溶液を調製した。B型回転式粘度計を用いて、この試料溶液の25℃、ローター回転数60rpmにおける粘度を測定した。
〔不溶解量〕
純水400mLに、0.10質量%となる量の試料(重合体)を加えて十分に溶解し、目開き180μmのステンレス製JIS標準篩でろ過後の残渣量をメスシリンダーにて測定した。
〔0.5%水溶液粘度〕
純水400mLに、0.50質量%となる量の試料(重合体)を加えて十分に溶解し、試料溶液を調製した。B型回転式粘度計を用いて、この試料溶液の25℃、ローター回転数12rpmにおける粘度を測定した。
〔0.1%塩粘度〕
塩化ナトリウム5.84gを純水に溶解して全容量を80.0mLに調製した塩化ナトリウム水溶液に、前記0.5%水溶液粘度を測定後の試料溶液20.0mLを加えて十分に溶解した後、目開き180μmのろ布でろ過して残渣を除去し、試料溶液を調製した。BLアダプタ及び専用のBLローターを装着したB型回転式粘度計を用いて、この試料溶液の25℃、ローター回転数60rpmにおける粘度を測定した。
〔フロック径〕
凝集した汚泥中のフロックの大きさ(フロック径)を目視で測定した。
〔重力ろ過性〕
内径75mm、深さ100mm、目開き250μm又は180μmのステンレス製篩に、凝集した汚泥を一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、汚泥投入後、5秒、10秒、20秒、30秒経過後のろ液の容量を計測して、重力ろ過性を評価した。このうち、10秒経過後のろ液の容量を10秒後ろ液量(mL)とした。
〔ろ液の外観〕
前記の重力ろ過性の評価後のろ液の外観について、下記の基準で目視で評価した。
◎: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が全く見られない
〇: ろ液に懸濁成分(SS)の流出がほとんど見られない
△: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が若干量見られる
×: ろ液に懸濁成分(SS)の流出が多量に見られる
〔脱水ケーキの含水率〕
前記の重力ろ過性を評価後のステンレス製篩上に残った重力ろ過後の汚泥の含水ケーキを全量取り出し、ベルトプレス用ろ布(ポリエステル製、杉綾織)に挟んで卓上試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3分間圧搾することで脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキから中心の一部をサンプリングしてアルミパンに秤量し、105℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量を測定し、乾燥による減少量と乾燥前の質量の質量比から含水率を求めた。
<製造例1>
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル第4級塩(以下、「DAC」と略記する)の79質量%水溶液727.0gとアクリルアミド(以下、「AM」と略記する)の40質量%水溶液131.7gを秤量し、純水を加えて全質量を1,100gとした。このとき、この溶液の各単量体のモル組成はDAC/AM=80/20mol%であり、各単量体の合計濃度は57質量%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を5℃に調節した。その後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(3官能)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(4官能)の混合物である多官能性アクリレート系架橋剤(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−306」、以下、「M−306」と略記する)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下、「V−50」と略記する)及び亜硫酸水素ナトリウムを、各単量体純分の合計質量に対して、それぞれ20ppm、300ppm、30ppmとなるように加えた。次いで、反応容器の上方からこの溶液に光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。光照射には13Wブラックライト蛍光管4本を用い、照射強度が365nm用のUV照度計で0.4mW/cmとなる条件下、60分間光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。
得られた含水ゲル状の重合体を容器から取り出して細断した。これを温度100℃で2.5時間乾燥後、粉砕して粉末状の重合体を得た(以下、この重合体をA1ともいう)。この重合体の物性を前記の方法で分析した結果、0.5%塩粘度は20.6mPa・s、不溶解量は1mL以下、0.5%水溶液粘度(a)は1,840mPa・s、0.1%塩粘度(b)は2.39mPa・sであり、a/bは770であった。これらの分析結果を表1に示した。
<製造例2〜7、比較製造例1〜3>
架橋剤の種類及び添加量を表1に記載のように変更したこと並びに連鎖移動剤である亜硫酸水素ナトリウムの添加量を適宜調整したこと以外は、製造例1と同様に操作して、粉末状の重合体A2〜A7、B1〜B3を得た。これらの重合体の分析結果を表1に示した。なお、重合体A2〜A7、B1〜B3に用いた亜硫酸水素ナトリウムの添加量は、それぞれ100ppm、120ppm、60ppm、30ppm、70ppm、60ppm、20ppm、30ppm及び30ppmである。
<製造例8〜9、比較製造例4>
各単量体の組成、架橋剤の種類及び添加量を表1に記載のように変更したこと並びに連鎖移動剤である亜硫酸水素ナトリウムの添加量を適宜調整したこと、各単量体の合計濃度を50質量%に変更したこと、V−50の添加量を1200ppmに変更したこと以外は、製造例1と同様に操作して、粉末状の重合体A8〜A9、B4を得た。これらの重合体の分析結果を表1に示した。なお、重合体A8〜A9、B4に用いた亜硫酸水素ナトリウムの添加量は、それぞれ80ppm、90ppm及び30ppmである。
但し、表1における架橋剤の種類については、下記のものを表す。
「M−306」: ペンタエリスリトールトリアクリレート(3官能)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(4官能)の混合物
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−306」)
「M−400」: ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(5官能)とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能)の混合物
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−400」)
「M−309」: トリメチロールプロパントリアクリレート(3官能)
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−309」)
「M−360」: トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(3官能)
但し、EO付加モル数は約2である。
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−360」)
「M−321」: トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(3官能)
但し、PO付加モル数は約2である。
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−321」)
「M−408」: ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(4官能)
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−408」)
「MBAAm」: N,N’−メチレンビスアクリルアミド(2官能)
「M−240」: ポリエチレングリコールジアクリレート(2官能)
但し、EO付加モル数は約4である。
(東亞合成株式会社製;商品名「アロニックスM−240」)
「P−30M」: ペンタエリスリトールジアリルエーテル(2官能)、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(3官能)、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル(4官能)の混合物
(ダイソー株式会社製;商品名「ネオアリルP−30M」)
本発明の1分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリレート系架橋剤を用いた製造例1〜9の重合体(A1〜A9)は、比較製造例1〜4の重合体(B1〜B4)と比較して、a/bの値が大きいことから、高密度に架橋した架橋型重合体の物性を示している。また、製造例の重合体(A1〜A9)は、何れも不溶解量が20mL以下であり、溶解性にも優れている。
2官能の架橋剤(MBAAm)を用いた比較製造例2の重合体(B2)では、多量の不溶解物が発生した。また、2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較製造例3の重合体(B3)では、不溶解量は少ないもののa/bの値が463と低いことから、製造例のA1〜A9よりも架橋の効果が少ない。アリルエーテル系架橋剤(P−30M)を用いた比較製造例4の重合体(B4)では、溶解性は優れるもののa/bの値がB3よりも低く、架橋の効果は殆ど見られない。
<製造例10>
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル第4級塩(以下、「DMC」と略記する)の79質量%水溶液1,058gを秤量し、純水を加えて全質量を1,100gとした。このとき、この溶液の単量体のモル組成はDMC=100mol%であり、単量体の濃度は76質量%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を15℃に調節した。その後、ペンタエリスリトールトリメタクリレート(3官能)とペンタエリスリトールテトラメタクリレート(4官能)の混合物である多官能性メタクリレート系架橋剤(以下、「PMX」と略記する)、V−50、亜硫酸水素ナトリウムを、単量体純分の合計質量に対して、それぞれ30ppm、500ppm、30ppmとなるように加えた。次いで、製造例1と同じ条件で反応容器の上方から光照射して重合を行い、得られた白色塊状の重合体を、公知の方法で細断、乾燥、粉砕して粉末状の重合体を得た(以下、この重合体をA10ともいう)。その分析結果を表2に示した。
<比較製造例5>
架橋剤を添加しなかったこと以外は、製造例10と同様に操作して、粉末状の重合体B5を得た。その分析結果を表2に示した。
但し、表2における架橋剤の種類については、下記のものを表す。
「PMX」: ペンタエリスリトールトリメタクリレート(3官能)とペンタエリスリトールテトラメタクリレート(4官能)の混合物
本発明の1分子中にメタクリロイル基を3個以上有するメタクリレート系架橋剤(PMX)を用いた製造例10の重合体(A10)は、比較製造例5の重合体(B5)と比較して、a/bの値が大きいことから、高密度に架橋した架橋型重合体の物性を示している。また、製造例の重合体(A10)は、不溶解量が1mL以下であり、溶解性にも優れている。
架橋剤を使用していない比較製造例5の重合体(B5)では、不溶解物はないもののa/bの値が339と低く、架橋の効果は見られない。
<実施例1〜9、比較例1〜3>
公共下水処理場1から採取した消化汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この消化汚泥の性状は、pH=7.2、TS(Total Solid)=16,500mg/L、VTS(Volatile Total Solids)/TS=62.4質量%、SS(Suspended Solids)=14,500mg/L、VSS(Volatile Suspended Solids)/SS=61.4質量%、繊維分/SS=16.4質量%、電気伝導度=591mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れた。これに、製造例1〜9及び比較製造例1、3、4で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して250ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を300rpmで1分間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き250μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。このとき、ろ液が200mLのメスシリンダーに入るようにロートをセットしておき、所定時間経過毎にろ液の容量を測定して、重力ろ過性を評価した。また、ろ液の外観を目視で評価した。
次いで、重力ろ過性を評価後のステンレス製篩上に残った重力ろ過後の汚泥の含水ケーキを全量取り出し、卓上試験用ベルトプレス機を使用して170kPaで3分間圧搾することで脱水ケーキを得た。得られた脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表3に示した。
実施例で用いた重合体(A1〜A9)は、比較例で用いた重合体(B1、B3、B4)と比較して形成されるフロックの粒径が同等又は大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例1の重合体(B1)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が最も悪い。2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較例2の重合体(B3)は、B1と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、脱水ケーキの含水率について僅かな改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。アリルエーテル系架橋剤(P−30M)を用いた比較例3の重合体(B4)は、B1とほぼ同等乃至B1及びB3の中間の性能である。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<実施例10〜15、比較例4〜6>
公共下水処理場2から採取した初沈汚泥と余剰汚泥が混合された混合汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この混合汚泥の性状は、pH=4.7、TS=28,500mg/L、VTS/TS=79.6質量%、SS=22,600mg/L、VSS/SS=52.7質量%、繊維分/SS=22.6質量%、電気伝導度=456mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを500mLのビーカーに入れた。これに、製造例1〜5及び製造例10並びに比較製造例1、3、5で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して280ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を100rpmで30秒間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き250μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表4に示した。
実施例で用いた重合体(A1〜A5、A10)は、比較例で用いた重合体(B1、B3、B5)と比較して形成されるフロックの粒径が同等又は大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例4及び比較例6の重合体(B1、B5)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が悪い。2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較例5の重合体(B3)は、B1及びB5と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、脱水ケーキの含水率について僅かな改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<製造例11>
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、DACの79質量%水溶液778.6gとAMの40質量%水溶液29.7gを秤量し、純水を加えて全質量を1,100gとした。このとき、この溶液の各単量体のモル組成はDAC/AM=95/5mol%であり、各単量体の合計濃度は57質量%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を5℃に調節した。その後、M−306、V−50、亜硫酸水素ナトリウムを、各単量体純分の合計質量に対して、それぞれ30ppm、350ppm、30ppmとなるように加えた。次いで、製造例1と同じ条件で反応容器の上方から光照射して重合を行った。得られた含水ゲル状の重合体を、製造例1と同様に操作して細断、乾燥、粉砕して粉末状の重合体を得た(以下、この重合体をA11ともいう)。この重合体の物性を前記の方法で分析した結果、0.5%塩粘度は24.0mPa・s、不溶解量は15mL、0.5%水溶液粘度(a)は2,060mPa・s、0.1%塩粘度(b)は2.50mPa・sであり、a/bは824であった。これらの結果を表5に示した。
<製造例12〜19、比較製造例6〜8>
架橋剤の種類及び添加量を表5に記載のように変更したこと並びに連鎖移動剤である亜硫酸水素ナトリウムの添加量を適宜調整したこと以外は、製造例11と同様に操作して、粉末状の重合体A12〜A19、B6〜B8を得た。これらの重合体の分析結果を表5に示した。なお、重合体A12〜A19、B6〜B8に用いた亜硫酸水素ナトリウムの添加量は、それぞれ35ppm、40ppm、30ppm、40ppm、35ppm、35ppm、40ppm、45ppm、25ppm、35ppm及び25ppmである。
なお、表5における架橋剤の種類については、表1に示したものと同様である。
本発明の1分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリレート系架橋剤を用いた製造例11〜19の重合体(A11〜A19)は、比較製造例6〜8の重合体(B6〜B8)と比較して、a/bの値が大きいことから、高密度に架橋した架橋型重合体の物性を示している。また、製造例の重合体(A11〜A19)は、いずれも不溶解量が15mL以下であり、溶解性にも優れている。
2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較製造例7の重合体(B7)では、不溶解量は少ないもののa/bの値が432と低いことから、製造例の重合体(A11〜A19)よりも架橋の効果が少ない。アリルエーテル系架橋剤(P−30M)を用いた比較製造例8の重合体(B8)では、溶解性は優れるもののa/bの値がB7よりも低く、架橋の効果は殆ど見られない。
<実施例16〜24、比較例7〜9>
食品加工工場から採取した消化汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この消化汚泥の性状は、pH=6.5、TS=6,940mg/L、VTS/TS=70.2質量%、SS=4,260mg/L、VSS/SS=89.2質量%、繊維分/SS=4.39質量%、電気伝導度=328mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを500mLのビーカーに入れた。これに、製造例11〜19及び比較製造例6〜8で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して150ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を250rpmで1分間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き180μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表6に示した。
実施例で用いた重合体(A11〜A19)は、比較例で用いた重合体(B6〜B8)と比較して形成されるフロックの粒径が同等又は大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例7の重合体(B6)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が最も悪い。2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較例8の重合体(B7)は、B6と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、脱水ケーキの含水率について僅かな改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。アリルエーテル系架橋剤(P−30M)を用いた比較例9の重合体(B8)は、B6とほぼ同等乃至B6及びB7の中間の性能である。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<実施例25〜29、比較例10〜11>
し尿処理場から採取した消化汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この消化汚泥の性状は、pH=7.4、TS=26,000mg/L、VTS/TS=73.1質量%、SS=24,000mg/L、VSS/SS=73.8質量%、繊維分/SS=17.0質量%、電気伝導度=883mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを500mLのビーカーに入れた。これに、製造例11〜15及び比較製造例6〜7で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して350ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を250rpmで1分間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き180μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表7に示した。
実施例で用いた重合体(A11〜A15)は、比較例で用いた重合体(B6〜B7)と比較して形成されるフロックの粒径が大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例10の重合体(B6)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が最も悪い。2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較例11の重合体(B7)は、B6と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、脱水ケーキの含水率について僅かな改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<実施例30、比較例12〜13>
養豚場から採取した生し尿汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この生し尿汚泥の性状は、pH=6.4、TS=23,900mg/L、VTS/TS=72.0質量%、SS=11,900mg/L、VSS/SS=86.6質量%、繊維分/SS=32.8質量%であった。
まず、この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れた。これに、製造例12及び比較製造例6〜7で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して300ppm添加した。次いで、この汚泥をスパーテルで100回手攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き250μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表8に示した。
実施例で用いた重合体(A12)は、比較例で用いた重合体(B6〜B7)と比較して形成されるフロックの粒径が大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例12の重合体(B6)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が最も悪い。2官能の架橋剤(M−240)を用いた比較例13の重合体(B7)は、B6と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、脱水ケーキの含水率について僅かな改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<製造例20>
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、DACの79質量%水溶液、DMCの79質量%水溶液、AMの40質量%水溶液及びアクリル酸(以下、「AA」と略記する)を入れ、純水を加えて全質量を1,100gとした。このとき、この溶液の各単量体のモル組成はDAC/DMC/AM/AA=27/0.8/43.2/29mol%であり、各単量体の合計濃度は40質量%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を20℃に調節した。その後、M−400、V−50、亜硫酸水素ナトリウムを、単量体純分の合計質量に対して、それぞれ30ppm、1,500ppm、30ppmとなるように加えた。次いで、製造例1と同じ条件で反応容器の上方から光照射して重合を行った。得られた含水ゲル状の重合体を、公知の方法で細断、乾燥、粉砕して粉末状の重合体を得た(以下、この重合体をA20ともいう)。その分析結果を表9に示した。
<比較製造例9>
架橋剤を添加しなかったこと及び亜硫酸水素ナトリウムの添加量を20ppmに変更したこと以外は、製造例20と同様に操作して、粉末状の重合体B9を得た。その分析結果を表9に示した。
本発明の1分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリレート系架橋剤(M−400)を用いた製造例20の重合体(A20)は、比較製造例9の重合体(B9)と比較して、a/bの値が2倍以上大きいことから、高密度に架橋した架橋型重合体の物性を示している。また、製造例の重合体(A20)は、不溶解量が15mLであり、溶解性にも大きな問題はない。
架橋剤を使用していない比較製造例9の重合体(B9)では、不溶解物はないものの、0.5%塩粘度が40.0mPa・sと比較的高い割にはa/bの値が477と低いので、架橋の効果は見られない。
<実施例31、比較例14>
化学工場から採取した初沈汚泥と余剰汚泥が混合された混合汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この混合汚泥の性状は、pH=6.4、TS=13,000mg/L、VTS/TS=85.2質量%、SS=10,400mg/L、VSS/SS=88.0質量%、繊維分/SS=26.8質量%、電気伝導度=145mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを300mLのビーカーに入れた。この汚泥に、pHが5.0となるまでポリ硫酸第二鉄2,500ppmを添加した。これに、製造例20及び比較製造例9で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して100ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を200rpmで1分間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き250μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表10に示した。
実施例で用いた重合体(A20)は、比較例で用いた重合体(B9)と比較して形成されるフロックの粒径が大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。
架橋剤を用いなかった比較例14の重合体(B9)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率のいずれも実施例で用いた重合体には及ばない。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。
<製造例21>
内面をテフロンコーティングしたステンレス製反応容器に、DACの79質量%水溶液、AMの40質量%水溶液及びアリルオキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノブチルエーテル〔日油株式会社製;商品名「PKA5015」、以下、「PKA5015」と略記する。エチレングリコール/プロピレングリコールはブロック共重合体であり、それらのモル比は75:25である。エチレンオキサイドの繰り返し単位数は平均24であり、プロピレンオキサイドの繰り返し単位数は平均8である。PKA5015の数平均分子量は1,600である。〕を入れ、純水を加えて全質量を1,100gとした。このとき、この溶液の各単量体のモル組成はDAC/AM/PKA5015=80/19.925/0.075mol%であり、各単量体の合計濃度は56質量%である。
この溶液をpH=4に調整した後、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液の温度を5℃に調節した。その後、M−306、V−50、亜硫酸水素ナトリウムを、各単量体純分の合計質量に対して、それぞれ30ppm、350ppm、35ppmとなるように加えた。次いで、製造例1と同じ条件で反応容器の上方から光照射して重合を行った。得られた含水ゲル状の重合体を、製造例1と同様に操作して細断、乾燥、粉砕して粉末状の重合体を得た(以下、この重合体をA21ともいう)。この重合体の物性を前記の方法で分析した結果、0.5%塩粘度は37.5mPa・s、不溶解量は8mL、0.5%水溶液粘度(a)は2,860mPa・s、0.1%塩粘度(b)は2.63mPa・sであり、a/bは1,087であった。これらの結果を表11に示した。
<比較製造例10>
架橋剤を添加しなかったこと及び亜硫酸水素ナトリウムの添加量を10ppmに変更したこと以外は、製造例21と同様に操作して、粉末状の重合体B10を得た。その分析結果を表11に示した。
本発明の1分子中にアクリロイル基を3個以上有するアクリレート系架橋剤(M−306)を用いた製造例21の重合体(A21)は、比較製造例10の重合体(B10)と比較して、a/bの値が2倍以上大きいことから、高密度に架橋した架橋型重合体の物性を示している。また、製造例の重合体(A21)は、不溶解量が8mLであり、溶解性にも大きな問題はない。
架橋剤を使用していない比較製造例10の重合体(B10)では、不溶解物はないものの、0.5%塩粘度が38.0mPa・sと比較的高い割にはa/bの値が461と低いので、架橋の効果は見られない。
<実施例32〜33、比較例15〜16>
公共下水処理場3から採取した消化汚泥について、凝集ろ過及び脱水処理のテーブルテストを実施した。なお、この消化汚泥の性状は、pH=7.3、TS=19,200mg/L、VTS/TS=62.0質量%、SS=16,800mg/L、VSS/SS=61.9質量%、繊維分/SS=9.5質量%、電気伝導度=627mS/mであった。
まず、この汚泥200mLを500mLのビーカーに入れた。これに、製造例21、製造例1、比較製造例10及び比較製造例1で製造した重合体を、それぞれ汚泥質量に対して260ppm添加した。ジャーテスターを用いて、この汚泥を250rpmで1分間攪拌することにより、汚泥フロックを形成させ、フロック径を目視で測定した。次に、この凝集した汚泥全量を内径75mm、深さ100mm、目開き250μmのステンレス製篩に一気にそそぎ込み、重力ろ過した。あとは実施例1と同様に操作して、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率を測定した。これらの評価結果を表12に示した。
実施例で用いた重合体(A21、A1)は、比較例で用いた重合体(B10、B1)と比較して形成されるフロックの粒径が大きく、10秒後ろ液量が多いのでろ過性に優れる。また、ろ液の外観にも優れ、得られる脱水ケーキの含水率も低い。特に、PKA5015を用いた実施例32の重合体(A21)は、PKA5015を用いなかった実施例33の重合体(A1)と比較して形成されるフロックの粒径がさらに大きく、10秒後ろ液量がさらに多く、最もろ過性に優れる。また、A21は、得られる脱水ケーキの含水率が最も低い。
架橋剤及びPKA5015の両方を用いなかった比較例16の重合体(B1)は、フロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率が最も悪い。PKA5015を用いたが、架橋剤を用いなかった比較例15の重合体(B10)は、B1と比較するとフロック径、10秒後ろ液量、ろ液の外観、脱水ケーキの含水率についてある程度の改善が見られるものの、実施例で用いた重合体には及ばない。よって、実施例で用いた重合体は、比較例で用いた重合体よりも高分子凝集剤の性能が優れている。

Claims (10)

  1. 少なくともカチオン性単量体と、
    1分子中に(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体と、
    を含む単量体混合物をラジカル重合して得られる架橋型重合体を含む高分子凝集剤であって、
    前記架橋型重合体が、[A]B型回転式粘度計を用いて、ローター回転数12rpm、25℃で測定した0.5%水溶液粘度a(mPa・s)を、[B]濃度1モル/Lの塩化ナトリウム水溶液を溶媒とし、B型回転式粘度計及びBLアダプタを使用して、ローター回転数60rpm、25℃で測定した0.1%塩粘度b(mPa・s)で除した商(a/b)が、下記式(5)〜(8)で表される範囲内にある架橋型重合体である高分子凝集剤。
    y1 ≦ (a/b) ≦ y2 (5)
    y1 = 400・ln(x) − 670 (6)
    y2 = 1160・ln(x) − 2060 (7)
    8 ≦ x(mPa・s) ≦ 75 (8)
    (但し、x及びln(x)はそれぞれ架橋型重合体のB型回転式粘度計を用いて、ローター回転数60rpm、25℃で測定した0.5%塩粘度(mPa・s)及びその自然対数を表す。)
  2. 前記単量体混合物が、アニオン性単量体及びノニオン性単量体を含む請求項1に記載の高分子凝集剤。
  3. 前記カチオン性単量体が、下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の1種又は2種以上を含む請求項1に記載の高分子凝集剤。
    CH=CR−CO−X−Q−N・Z (1)
    (但し、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表す。)
  4. 前記カチオン性単量体が、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル第4級塩及びジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル第4級塩の少なくとも1種である請求項1に記載の高分子凝集剤。
  5. 前記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体が、下記一般式(2)〜(4)で表される化合物の1種又は2種以上を含む請求項1に記載の高分子凝集剤。

    (但し、R、R、Rはそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、l、m、nはそれぞれ独立に0〜5の整数、R、R、R10はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R11はヒドロキシ基、メチル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基をそれぞれ表す。)

    (但し、R12〜R17はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、p1、p2、q1、q2、r1、r2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R18〜R22はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基、R23は水素原子、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。)

    (但し、R24〜R27はそれぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、s1、s2、t1、t2はそれぞれ独立に0〜5の整数、R28〜R31はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。)
  6. 前記1分子中に(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体が、
    ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパンから選択される1種又は2種以上と、
    (メタ)アクリル酸と、
    の反応生成物である請求項1に記載の高分子凝集剤。
  7. 前記単量体混合物が、片末端に下記一般式(9)で表されるエチレン性不飽和基を有するポリアルキレンオキサイドオリゴマーの1種又は2種以上を含む請求項1に記載の高分子凝集剤。
    CH=CR32−Y− (9)
    (但し、R32は水素原子又はメチル基、Yは−R33O−又は−O−、R33は炭素数1〜4のアルキレン基をそれぞれ表す。)
  8. 少なくともカチオン性単量体と、
    1分子中に(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する(メタ)アクリレート系架橋性単量体と、
    水と、
    を含む単量体混合物の水溶液を、ラジカル重合開始剤の存在下、水溶液重合することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子凝集剤の製造方法。
  9. 前記ラジカル重合開始剤が光重合開始剤であり、且つ連鎖移動剤の存在下、単量体混合物の水溶液に光を照射して重合を行う請求項に記載の高分子凝集剤の製造方法。
  10. 汚泥に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子凝集剤を添加して脱水する汚泥の脱水方法。
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